【英雄】紋章水滸伝17【革命】

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538ビオティーテ ◆eqfBIotITE
(太陽の恵みが増し、新緑が芽吹き、花が開く……春。
 しかし、暖かく豊かな季節であるこの時季には、同時にまた開いた花を散らすが如くの強い風が
 吹き荒れるのも、また常である――)
……はぁっ。
(小さな嵐の様な風が吹き荒れる春の街道を、一騎の馬が駆けてゆく。
 風に抗い、吹き付ける風よりも早く走らせる馬の手綱を握るのは――
 「悪夢」の仇名でもって呼ばれる黒衣の女だ)

(馬はもうかなりの道程を限界に近い速さで走らされているのだろう。
 その口元からは小刻みの呼吸と共に泡をふき出し、目は血走っている。
 ――平素ならば、家畜とはいえ他者に無理を強いる様な女ではないが、
 今は仔細にかまけている余裕も暇もなかったのだ)

(女の元にその知らせが届いたのは、つい先刻の事――。
 汗みずくになり衣服も髪も乱れに乱れた行商人らしき男が、山賊に少女が……、
 それも革命軍の城で働く者が攫われた、と騒ぎ立てながら町の門をくぐったのだ。
 おりしも……と、いうかちょうど門付近にいた女は、その声を聞きつけ、大変だとわめきたてる
 男をひっ捕まえて、事の仔細を聞き出し……、彼が目撃した情報の全てを吐き出させた)
……無事で……いてくれるといいけどっ……。
(動転して支離滅裂になる商人の証言を、なだめすかして何とか筋道の通ったものにしてみれば、
 彼の目撃した「攫われた少女」は、自分の知り合いである可能性が高かった。
 女は、商人に革命軍の城へと知らせに行く様に告げると、近場を歩いていた町人の馬を
 半ば強引に奪い取る様な形で借り受け、取るものも取らずに駆けだしてきたのだ)

【一方、その頃――山賊達がアジトとしている必要性がなくなり放棄された砦の中では】

(攫ってきた少女を前にして……欲望のままに彼女に手をつけようとした山賊と、
 それを止める者とが言い争っていた。
 ――止める者も、何も義憤や慈愛で止めのではなく……、革命軍に関わりのある少女を使って、
 身代金なり何なりを引きだすか、もしくは奴隷商人に売り払うなりするのに、
 彼女を「キズもの」にされては困る、という利己的な理由から、だ)

(いずれにせよ、欲望に身を任せようとする者、あさましく利をはかろうとする者。
 ――ここには少女の「味方」は一人もいない。
 春の嵐が吹きつける音が幾重にも重なって不気味な重低音を響かせる、埃っぽ廃墟の中で、
 少女をめぐる男達の争いは、やがて殺気立ったものへと変じていく)

【状況説明でかなり長くなってしまいましたが……本日も宜しくお願いしますね】
539ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/04(火) 22:11:33 ID:prA2TTjU
(さらわれたという自覚があまりない、というのが現状に近いだろうか。雑用係長に
命じられて近隣の村に行商に来ていた商人を迎えに出た帰り、林道の草むらに隠れていた
10名ほどの集団に体を拘束され、そのまま森の中へ連れ込まれたのだった。目隠しも
されていたので、ここがどこか分からず、目隠しを外された時はすでにどこかの建物の
中だった。荒々しく埃まみれの空き部屋に放り込まれると、そのまま外から鍵をかけられ)
あっ、あのっ、わたし、まだ仕事が残ってるんですけど…! お願いですから出して
いただけますか…?
(ドアを叩きながらお願いしてみるが、返答はなく、しばらくして、その場にしゃがみこんでしまう)

(やや諦観の心境で、埃まみれの石床に腰かける。これから何があるかはある程度想像できる。
故郷を失ってから革命軍の城にたどり着くまで、幾度となく女衒にだまされて
娼館に入れられ、それと同じ回数だけ脱走した。だから、いくらかでも逃げる
「手段」は思いつくが…)
…っ!
(脱走も大事だが、その前にこの部屋の汚さはどうなのだろうか。まるで何年も
掃除していないかのような誇りのたまり具合に、天井近くには蜘蛛の巣が幾重にも
張り巡らされている。この部屋にいるだけで、精神的に参ってしまいそうだった。
誰の部屋、誰の家であれ、これは許せないと感じた。だから)
すみません、聞こえてらっしゃいましたら掃除用具をくださいませんか? この部屋じゃ、
いるだけで病気になってしまいそうなので…。
(無駄と知りつつドアをノックして掃除用具を要求した)

【こちらこそ、よろしくお願いします。こちらの行動ですが、わたしの扱いで
対立してる山賊さんたちをいつの間にか使役して砦の大掃除をしているオチと、
なんとか目を盗んで脱出するという流れと、どちらがいいでしょうか?】
540ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/04(火) 22:33:16 ID:7NaRKg4x
(元が荷運び用で、最速の駆け足で長距離を走る事になれていないのだろう馬が、脚をゆるめかける度に、
 手綱を鳴らして急きたてて走る事、暫く……漸く女は商人が誘拐を目撃した現場に辿り着いた。
 強い風になぶられるままに長い黒髪を踊らせて女は馬から降りる)
6……7……、大体10人かそこら……靴も軍靴ではない……。
(踏み荒らされた土をしゃがみ込んで見下ろし、そこに残る足跡から相手の人数等を推測する。
 ――滅茶苦茶に乱れた複数の足跡の中、一際異彩を放つ小さな足跡は……誘拐された少女のものだろう)
……折れた枝も、何もかもそのまま……さほど手慣れた集団ではない様ね……。
(その安否を思い、ギリッと音がする程に強く奥歯を噛みしめて、女は集団が残した痕跡を辿る)
陽動……偽装という可能性も捨てきれないけれど……。
確か……あちらには古い砦があった筈……。
(たとえば、ならず者の巣窟に、或いはよからぬ事をたくらむ侵入者の根城に。
 不逞の輩に利用される可能性があったり、有事に利用する事も考えられる軍事施設の類は、
 戦場に生きる者の心得として、それが遺棄されたものであっても把握していた。
 女は、再び馬に跨ると、つかの間の休息が破られて不服そうな馬を急きたてて砦へと向かうのだった)

【一方、その頃の山賊のアジトでは】
(ティスラの閉じ込められた部屋の前で所在なさげに見張りに立つのは、まだあどけなさを残した少年だった)
「え……」
(急に誘拐され、明日をも知れない身の少女のものとは思えない要求に、彼は戸惑ったが、
 まあ、泣かれたり騒がれたりするよりはいいが……と。
 ちょっと待ってろといいおいて、しばらく離れて後……)
「掃除用具……こんなのしかないぞ」
(柄の部分が折れ掛け、ほとんど先も抜けてしまったスカスカの箒と、穴の空いたバケツ、ボロ布の様な
 雑巾を、扉を僅かに開いて差し出した)

【一番目w攫われてしまう、という緊迫した導入から一転、一気にコメディになってしまいますが、
 そうとは知らずにシリアスかつ殺伐と乗り込んだ私が唖然……と、いうギャップが楽しそうなので、
 此処は是非とも大掃除オチでお願いしたいですw
 しかしティスラさん、つよいw】
541ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/04(火) 22:47:36 ID:prA2TTjU
あ、ありがとうございま…
(言葉が途中で止まる。わずかに開いた扉から差し出されたのは、掃除用具とは
名ばかりの単なるガラクタに近いシロモノであったが)
ま、無いよりマシですよね…。
(申し訳程度に先が残っている箒の柄を持って感触を確かめつつ、バケツに水が
入っていないのを見て、再び扉をノックし)
あの、バケツには普通水を入れて出すものなのですけど…。横に穴が開いてますから、
入る範囲でいいですから、水もお願いします。ここに置いておきますので。
(扉の向こうに聞こえるように、わざと大き目の音を立ててバケツを置く。そして
扉から離れ、スカスカ箒の柄のギリギリ端を持ち、天井の蜘蛛の巣を払おうとしたが、
折れている柄の長さでは足りず、ジャンプしては少しだけ巣を引っかけることを
繰り返していた。「捕らわれの身」となった自分を救おうと必死になっている
黒衣の傭兵がいるとは思いもよらず…)

【それでは、雑用係スキル全開で山賊さんたちと接することにしますね】
【それはもう、気が強い方じゃないですけど、今やれることはきちんとやる性格なのでw】
542ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/04(火) 23:05:17 ID:7NaRKg4x
(――走る、走る、走る。
 森の中の道なき道をひた走る。
 張り出した枝が腕や頬をかすめるのも、
 揺らして落ちた葉が髪や肩に降り注ぐのも気にはしていられない。
 思うは、賊徒に攫われ、その手に落ちた少女の安否ばかり――どうか、どうか無事でいてくれ、と
 痛い程に願いながら――)

(やがて遠目に砦が確認出来る位置まで来ると、女は馬を下りる。
 嘶きや蹄の音で賊に気付かれては捕らわれた少女の身の安全に関わるからだ)
……人が、いる。
どうやら辺りだった様ね……。
(遠目にも砦の窓から揺れる灯りが確認し、馬を近くの木に繋ぎとめると、
 女は下生えや木枝を揺らさない様、細心の注意を払いながら砦の門扉へと歩いていった)

【――一方、その頃の砦中では】
(ティスラと同じか少し下の年頃だろうか。見張りの少年は見るからにみすぼらしく薄汚れた格好をしていて、
 元は黒髪だったのだろうと思われる頭髪には、所々に蜘蛛の巣が被さっていたり、埃にまみれたりで
 灰色になってしまっていた――おそらく、この汚れに汚れた砦で長い日数を過ごした結果だろう)
「……お、俺達、掃除なんてしないからよ……水だな水、わかった!」
(線もひょろっこく細く、山賊というよりは、何処ぞの路地裏の孤児の様な風体の少年は、
 ティスラの言葉に慌てて、バケツを取ると、扉の鍵をしめなおす事すらせずに
 何処かへと駆けだしていき……)
「お、お待たせ……それ、取りたいの?俺、やろうか?」
(バケツに空いた穴から道々、盛大に埃と煤の浮いた薄汚れた水をこぼしながらも、
 ティスラのいいつけ通りに、水を汲んで戻ってくる。
 天井の蜘蛛の巣空いてに悪戦苦闘しているティスラを見て、気の毒になったのか……、
 彼女よりは背が高い自分が手伝おうか、と手を差し出す)
543ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/04(火) 23:19:22 ID:prA2TTjU
(外から鍵が開き、手だけ入ってきてバケツを持っていく。ティスラはというと、
蜘蛛の巣との格闘に夢中で男性が鍵をかけ忘れたことに気付かなかった。
バケツに水を汲んで戻ってきた男性。中に入ってきたその容姿を見て、内心少しだけ
驚く。年齢は自分より一つか二つ下だろうか。山賊というより浮浪者といっていいほど
痩せていて、行動もどこかか弱そうだ。しかしティスラの目に入ったのは)
…あの、あなた、お風呂入ったの、いつ…?
(まるで何日も野山を駆け回ったあとのような風体に、肩が落ちそうになる。
軽く頭を振り、この埃まみれ蜘蛛の巣まみれの建物ではこうなるのも仕方ないと
考え直し)
あとで、お風呂に入ってくださいね。お風呂が無いなら濡らしたタオルで頭から
順番に拭いていくだけでもいいですから…。
(手伝おうかと言ってくる少年に少々驚くが、この部屋のあまりの汚さに辟易
していたところなので)
それじゃ、お願いしますね。わたしは窓を雑巾がけしますから)
(少年に箒を手渡すと、そのまま背を向けてボロボロの雑巾を水で濡らし、窓を
拭き始める)
544ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/04(火) 23:38:14 ID:7NaRKg4x
見張りがいない……?
(物音を立てず、気配を殺し……息を吸い、吐く、その行為にすら細心の注意を払い……、
 細い糸の上を歩く様に緊張しながら砦へと近付いた女が訝しげに眉を顰める)
灯りがある時点で無人の偽装には意味がない……なのに、何故……?
(――しかも門扉は開け放たれており、廃墟とはいえ砦という建築物の最大の利点である、
 閉塞性を投げ打つかの様な無警戒さは、罠と考えても無駄が大きく腑に落ちない)
……考えていても、仕方がない、か……。
(裏を考えて足が止まりかけるが、時は一刻を争う。
 ここは多少の危険は承知の上でも、急がなければならないだろう。
 女は、まるで鋭い牙を光らせた魔獣の顎に身を投げる覚悟でもって
 守る者もいなく、無防備に開放されたままの門扉をくぐって中に足を踏み入れるのだった)

【――一方、その頃……】
「ふろ……?」
(ティスラの言葉に怪訝そうに首を傾げるその様子からして、
 そもそも少年が「入浴」という習慣すら馴染みがないのだろう)
「おう!」
(そういや、前に川で体洗ったのはどんだけ前だっけと、両の指を使って数えだした少年だが、
 ティスラから、お願いします、と言われると嬉しそうににかっと笑って箒を取り、
 ばっさばっさと乱雑に振り回して蜘蛛の巣を払い始めた。
 ――当然、天井からもうもうと埃がまい落ちるわけで……)
「おい!何やってんだ!?」
(さて、ティスラと少年がそうやって掃除をしている物音を聞きつけてか……、
 離れた場所でティスラの処遇について議論を戦わせていた山賊の一人が様子を見に来た。
 ――少年に負けず劣らずの薄汚れた格好した男は、山賊というには……、
 やはり余りにもみすぼらしく、ついでに言うなら栄養の足りてない様相をしていた。
 ――山賊、というよりは難民といった方がしっくり来そうだ)
545ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/04(火) 23:52:31 ID:prA2TTjU
…っ!
(にかっと笑って箒を受け取った少年が、乱雑に蜘蛛の巣を払い始める。その動きは、
蜘蛛の巣についていた埃を集中豪雨のごとく室内に撒き散らすこととなり、その
濃密さのために呼吸も難しくなってしまった。慌ててポケットのハンカチを鼻と口にあて、
埃を吸い込まないように注意する)
あっ、あの…! もう少し、優しく…!
(少年に、力加減を考えるように伝えようとしたその時、扉が開き、別の男性が
入ってきた。埃で視界が妨げられている中、その男性を見ると…)
あなたも、ですか…。
(ややげんなりとしてしまう。その男性も、少年に負けず劣らす汚れ放題の
なりをしていたからだ。舞い上がっている埃がやや落ち着き、呼吸に支障が
無い程度になったところでその男性に近寄り、口に当てていたハンカチで男性の
汚れた顔をそっと拭ってやり)
捕われのわたしが言っても説得力ないかもしれませんけど、いい仕事をするには
身だしなみに気を使うことも大切だって係長に習いました。もう少し、身ぎれいに
することを考えてはどうですか?
(真剣に男性を見つめる。その後、窓拭きですっかり汚れてしまった水の入っている
バケツを男性に差し出して)
新しい水がほしいのですけど、汲んで来ていただけますか? わたしは捕われの身ですから、
勝手に部屋を出るわけにはいきませんので。あと、もう少し状態のよい掃除道具があると
嬉しいのですけど。
(少し笑顔を男性に向け、お願いしますというように軽く頭を下げた)
546ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/05(水) 00:11:49 ID:pN/uK8QZ
(かなり昔に打ち捨てられた、小規模なものとはいえ、元は戦の際に要所を守るべく作られた要塞である。
 砦は一人の人間を探して歩くには、広く、閑散としていた)
……。
(それでも鋭敏な感覚に人の気配を感じ取りながら、女は砦の中を進んで行く。
 黒い衣を纏った姿を、壁の影から柱の裏……暗がりに身を溶け込ませ、己の息遣い一つも殺しながら――)

【――一方、その頃……】
「げほっごほっ」「ぶぇーっくしょぃいいっ」
(天井に溜まっていた埃を根こそぎ、室内に降り注がせた少年と折悪しくも、もうもうと煙幕の如くの
 粉塵が舞い散る中に思いっきり大声を上げつつ扉を開けてしまった男、
 双方が盛大に咳き込み、くしゃみをする)
「お、おま……なにやっ……!」
(咳き込んだ所為でかすれる声で、勝手な行動をしている虜囚と見張りを怒鳴りつけようとした男だが
 荒れてすさんだ生活をしていた身では、見る事も触れる事も無かったような、染み一つない
 綺麗なハンカチで顔を拭われ、あまりの驚きに言葉を失ってしまう)
「お……そ……う……」
(あまつさえ、柔らかい声音で愛らしくも見目よい少女―更に言うならスタイルは反則級―の
 笑顔と優しい言葉をかけられては、もう照れの混じった混乱の局地に達し、
 無意味に唸るだけになってしまっていた)

(ついさっきまで、目の前の少女を売り飛ばすとか犯すとかけんか腰の議論をしていた事も忘れ、
 男は壊れた人形の様にかくかくと頷くと、差し出されたバケツを持って、
 すっ飛んで水を汲んで、ついでに幾つかの掃除用具を抱えてきた。
 最も、それらは最初に少年が持ってきた箒やらと似たり寄ったりの状態だったが……。
 ――この状況に興味を引かれたのか、年はまばらだが、少年達と同様に薄汚れた浮浪者風の男達が、
 何だ何だと、様子を見に押し掛けて来て……)

【リミットは何時頃になりますか?】
547ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/05(水) 00:24:08 ID:DLohiLXb
あ、りがとうございます…。
(お願いどおり、男性が掃除用具を持ってきてくれたものの、それは最初に
入手できたガラクタの近似物と大差なく、やや失望の笑顔を作りながら謝意を述べた。
その間に、少年が天井の蜘蛛の巣を払い終わったようで)
あ、終わりました? それじゃ、隅から順番に床を掃いてきていただけますか?
今度は埃が舞ったりしないように、そっと…。
(いつのまにか、少年を自然と使い立てしていた)

(騒がしくなり始めた、攫った女性の部屋に興味を持ったのか、他の人たちも
部屋に集まり始める。その風体は、最初の二人とさして変わりなく、小さくため息を
ついてからリーダーらしき人を見つけて話しかける)
あの…。ひょっとしてこの建物って、この部屋に負けないくらい埃まみれなんですか?
(それならいっそ、全部の部屋を掃除したほうがいいかもしれないと考え始めていた)

【リミットは眠くなるまでと考えていましたが、今の感じですと3時くらいが
限界かなって考えてます】
548ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/05(水) 00:48:08 ID:pN/uK8QZ
(使われなくなって、もうどれ程の年月が経つのだろうか。
 老朽化した建物は、一部の壁や階段、通路等が崩れて外が見えていて、
 それはより風雨に晒される外側、つまり外壁や門扉に近い場所程、崩落と荒廃が顕著であった。
 ――で、あるならば……、少数であるとはいえ集団が寝起きでき、かつ虜囚を閉じ込めておけるのは、
 おそらく中央部の一部分であろう、と見切りを付けた女は、砦の中心部に向かって歩を進める)
……。
(所々、瓦礫に足を止められ、また埃を舞い散らせる事すら憚られる程に隠密を計っての事、
 その道程はじれったくなる程、遅々として思う様に進まない。
 ――一刻も早く、目標の少女を救出しなければ、という焦燥。
 しかしその少女を無事に助けるには、敵に気付かれてはならないという配慮……。
 急きたてる思いと、張りつめた緊張感に焼かれながら、女は一人、暗い廃墟を進んで行く……)

【――その頃、中心部では】
「な、なんか他にほしいもん、あるか!?してほしいことは!?」
(見るからに女性に免疫のなさそうな男は、失望を取り繕ったものとはいえ年頃の女性の
 笑顔を二度も向けられて、完全に舞いあがってしまったらしい。
 上擦った声で落ち着きなく尋ねる――今ならば、ティスラが「そこの窓から飛び降りろ」とでも
 命じれば、素直に実行してしまいそうな勢いですらあった)
「床をすみっこからだな!へへっ、そっと……そぉっと……」
(一方、男よりも先にティスラと接していた少年も似たり寄ったりである。
 嬉しそうに笑うと、ティスラの言葉に忠実に従って床に這いつくばる様にして雑巾がけを始める。
 慣れない手つきでぎこちなくはあるが、注意された事には従って、今度は埃を立てる様な真似はしない。
 ――どうも、女性に慣れてなく、更には嫌がられるか怖がられるかだけだった彼らは、
 はじめて、そういった負の感情でなく接してくれた年頃の女性―しかもスタイルは稀に見る極上の―に
 すっかり崇拝にも似た感情を抱いてしまったらしかった)

(一方、思いも寄らない状態と、自分達を恐れて嫌い、泣き叫ぶとばかり思っていた少女が、
 真っ向から話しかけてくるのに戸惑ったリーダー格が、しどろもどろに説明していわく、
 この砦は何所もかしこも埃まみれで、建物の大半は崩れていて吹きさらし。
 ティスラを閉じ込めていた部屋が「一番まし」な状況だそうだ。
 ――周りを囲む男達は、ティスラと話しているリーダーや、あれこれと指示をもらってる少年を
 何だか羨ましそうに見ていた)

【リミット、了解しましたー。
 でも流れ的にそれよりも早く〆に持っていけそうな気もしますね】
549ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/05(水) 01:04:34 ID:DLohiLXb
(リーダーらしい、山賊を自称する浮浪者の集団をまとめている人の言葉では、
ティスラが閉じ込められたこの部屋が「一番まし」とのこと。一番上等な部屋で
この状態なのだから他の部屋はどれだけの惨状を呈しているのか、想像するのも
怖かったが、それでもリーダー格の男性に向き合ったまま)
それではいっそ、この建物をきちんと掃除しませんか? 汚れたままの建物に
住んでいると心も汚れてしまって、悪いことをしても心が痛まなくなるって
聞いたことがあります。皆さんだって、悪いことをしたくてここにいるわけじゃ
ないんですよね? でしたら、一度建物と心をきれいにしてみませんか?
(ここで、リーダー格からこちらを見ている男たちに体を向き直る。少々
勢いをつけすぎたのか、つられるように胸が弾んで)
皆さんもそう思いませんか? どうせなら、キレイな部屋で気持ちよく生活したいと
思いますよね。そんな部屋を、自分の手で作りませんか?
(作り物でない笑顔を向けながら、やや首をかしげる。そのための掃除用具も
この部屋に集まっていた)

【ですね。これでみんなが掃除を始めてくれて、ナイトメアさまがここに来たら
〆直前な雰囲気ですものね】
550ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/05(水) 01:32:04 ID:pN/uK8QZ
(油断なく周囲に目を走らせながら、滑る様に音も無く廃砦を進む女が、視界の隅に動くものを捉え、
 刹那、表情を険しくする……が)
……。
(それは敵影などではなく、もう役目を終えた建物の窓枠に残滓の様にからみついていた、
 おそらく元は紗幕かカーテンか何かであったのだろう、分厚いボロ布であった。
 瞬き一つに合間に判断を下した女は、その場で腰に佩いていた剣を抜くと、抜き身の白刃を
 ボロ布で包み、右手に下げ持って再び崩れかけた回廊を進み始めた)

(――剣を抜くと鞘走りの音が響く。抜き身の白刃は光の反射で敵に位置を知らせる危険性がある。
 故に敵に音が届く前に、こうして抜き放った剣を布で包めば、隠密性と必要な時に即座に
 刃を振るえる即時性を同時に得ることが出来るのだ。
 ――敵は、近い。
 近付く気配に意識を向ければ、人の気配は一つの場所に集まっている様だ。
 女は、焦りも憂慮も……全ての感情を消し去り、戦場で見せる「悪夢」の
 静謐なる闇を湛えた漆黒の瞳で前を見据えて、剣の柄を握り締めた)

【――一方、女が意識を向けている、その場所では……】
(誘拐してきた女性に諭されて戸惑っていたリーダー始めとする面々であったが、
 「悪い事をしたくてここにいるわけじゃないんですよね?」との問いかけに、
 今にも泣き出しそうに、くしゃりと顔を歪め――……)
「そうだよ!俺達だって俺達だって……!」
(そのままの勢いで、異口同音にそれぞれが思いの丈をぶちまけ始める。
 何しろ10人近い人間が、一辺に口を開いてああだこうだと、がなり立てるものだから、
 全てを聞きとるのは至難のわざだが、彼らの話しを纏めて要約すると……、
 故郷の村が戦火に焼かれ、耕す田畑も帰る家も何もかもを失った難民。
 それでも村の多数の者は、他の地を一から開墾するなりで、新たな生活を切り開こうとしたが、
 元が農耕に適さない荒れ果てた地と、貧しく、戦火に怯えるみじめな暮らしに嫌気がさした
 一部の若い男衆が集落を飛び出したなれの果てが彼らであるらしい。
 ――最初はまともの一旗あげるつもりであったが、鍬をふるったことしかなく戦い方もしらない
 彼らに、戦場働きが出来る筈もなく……初戦からして、ほうほうの体で逃げ帰り、
 その後、盗みをはたらいたり戦場跡で死者の所持品を漁ったりしながら、なんとか生きてきたが、
 本当ならば、悪事を働いて人に後ろ指を差され嫌われる様な生き方はしたくなかった、と)

「きれいに……なれんのかな……こんな汚れちまった俺達でも……」
(急な事に未だ戸惑いのあった山賊―もどきの浮浪者達―であったが、
 向き直ったティスラの見事な胸の揺れと、心からの笑顔が止めとなった)
「俺……やるよ!」
(最初に部屋を見に来た、あの男の一言がきっかけで、全員の心が一つになった。
 薄汚れやつれた顔で……しかし目だけは輝きを取り戻して、口々に賛同の意をとなえて)
「で、姉ちゃん、俺はなにすりゃ……!」
「ばか!俺が先だ……!」
(先を争う様にして、ティスラの指示を仰いだ。
 ――最早、今の彼らにとって、彼らに新たな変化を促したティスラは女神にも等しかったk)
551ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/05(水) 01:49:06 ID:DLohiLXb
(ティスラの言葉のうち、どれが彼らの心に届いたのかは分からないが、まるで
神の前で懺悔をするかのように胸のうちを吐露しはじめる男性達。みなが口々に、
しかも同時に語るので、ティスラには聞き取れていない方が多かったが、それでも
自分が城にたどり着くまでの苦難と変わらないほどのそれを味わってきたことだけは
感じ取れた。ゆっくりとまたリーダー格の男性に向き直り)
…辛かったんですね…。
(その手を握ろうと、そっと手を伸ばす)
でも、もういいんですよ。心と身辺をキレイにしていれば、どんな逆境にも
負けない強さをもてますから。そしてそれは、いつか皆さんが幸せをつかむ
きっかけになりますから…!

えっとそれじゃ…。
(我先にと詰め寄るように指示を求める男性達に、自分の言いたいことが伝わったと思い、
改めて笑顔を向けて)
この中から5人の人は、それぞれ箒を持って、部屋や廊下の蜘蛛の巣を払ってください。
その際に、埃が立ちすぎないようにやさしく払ってくださいね。
あとの人は、バケツじゃなくてもいいので大きめの桶に水を汲んできてください。
天井から埃を落とした石床は、水をかけてその水を拭き取れば一気にきれいになりますので。
あ、一人だけ私のそばにいていただけますか? 雑巾代わりになる厚手の布とか
探したいので、どこに何があるのか教えてほしいんです。
(すぐそばまでナイトメアが来ていることに気付かないまま、男たちに掃除の指示を
与えていく)
552ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/05(水) 02:08:42 ID:pN/uK8QZ
(ゆっくりと、しかし着実に歩を進めて女はとうとう、人の声が聞こえる所にまで辿り着いた。
 話の内容が分かる程、近付いている訳ではないが、女はそこで足を止めた。
 相手の声が聞こえるという事は、同等に此方の立てる物音も相手の耳に届くという事であり、
 相手の姿を目で捉えられるという事は、等しく此方も相手から見えるという事でもある。
 ――此処からが正念場である、といえた)
……。
(女は光源と反射の位置に神経を払ってから、刀身に巻いた布を剥がす。
 壁を背に、柱の陰に隠れながら、手にした剣を掲げ持つ。
 ――鏡の様にして離れた角度を映し、己が身を隠しながら、敵と救出すべき少女の位置を
 探ろうというのである)

(僅かに、僅かに、細心の注意でもって手にした剣の角度を調整する。
 細身の剣に映るのは、小柄な少女を囲む10数人の男の影――。
 少女の無事に内心、胸を撫で下ろしながら攻撃の機会を計っていた――……)

【――一方、その頃の壁と柱の向こう側では】
(ティスラの細く、柔らかい手で手を握られたリーダー格の男は、最早、感涙にむせび泣きそうであった。
 それは他の男達―床を磨いていた少年ですら―が、嫉妬と羨望の入り混じった射抜かんばかりの
 視線で睨んでいた)
「有難う……有難う……!ああ、あんたは本当に女神さまみたいだ!」

(指示を受ける時、ティスラは自分の方を向いてくれ、自分に微笑みかけてくれる!
 男達は無我夢中になって誰よりも先にと、ティスラの指示を受けようとしていた)
「蜘蛛の巣だな!」
「俺は水を……!」
「あ!ずるいぞ、それは俺が……!」
(中には気が急くあまりに、箒やバケツの奪い合いをする者すらいて、場はちょっとした騒ぎになった)
「あ!俺俺!たしかどっかにボロ布が残ってんのを見た!!」
(一人の男が、ここぞとばかりに挙手して告げる。
 ――因みに男が言うボロ布は……彼らの知る由もないことだが……今、彼らを皆殺しにせんと、
 ひっそりと彼らの様子を窺う女の手にした、この場を映す剣に、巻きつけていた例の布だったりする)
553ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/05(水) 02:23:21 ID:DLohiLXb
そんな、おおげさですよ。わたしはただのお城の雑用係なんですから。
(組織のリーダー――今ティスラが手を握っている男性――に、他の男性からの
視線が集中する。嫉妬という負の感情が多分に含まれた、視線に熱があるならば
リーダーが燃え尽きそうなほどの視線が。そしてそれはティスラに向けられたものではないので、
その感触を感じ取ることはなく)
それじゃ、掃除を始めましょうか。

(我先にと箒やバケツを持つ男性達。騒ぎとともに、奪い合いになりかけているところもあり)
あの、順番にお願いします。壊れやすいですから取り合いしないで…!
(壊れかけのバケツに左右からかけられている手にそっと自分の手を重ねて)
掃除は、奪い合いじゃないんです。自分ができることを、心を込めてすればいいんです。
道具がないなら他のもので代用できないかとか、他に自分にできることがないかとか、
考えてみてください、ね?
(一つのバケツをつかんでいる二人に、笑顔を向けて)

あ、では、その場所に案内していただけますか? 雑巾はたくさん必要ですから。
(布が残っている場所を知っているという男性のそばに寄り、歩き出してくれるのを待つ)
554ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/05(水) 02:46:05 ID:pN/uK8QZ
(何やら急に騒がしくなった。
 男達が一斉に何かを言う声と、それに掻き消されそうな少女の声とが、城壁を揺らす風の音と重なりあい、
 広い壁と天井に反響して不協和音を響かせる。
 情景を映す刀身の中で――少女を囲んでいた男達が動き出した)
――っ!!
(賊どもが行動を起こした、という事は少女に危害を加える前触れの可能性が高く、切迫した状況であり、
 同時に攻撃を仕掛けるチャンスでもあった)

(――男達は何故か他方に散る様に動き……少女の傍に一人だけが近付いて行く。
 最早、迷っている暇はない。女は片手に剣を、もう片手に先程、剥がしたボロ布を握り締めて、
 柱の陰から踊り出た――可能な限り身を低くし、最後の一瞬まで影に隠れる様に移動して……、
 ――――一息にティスラ達がいる室内へと踊り出た!)

【――――そして、その時は訪れる】
(ティスラにやんわりと手を触れられた二人の男は、見る間に薄汚れていても分かる程に赤くなり、
 子供の様に素直な返事を返して、バケツの奪い合いを止めて、仲良く水を汲みに行こうと
 背を翻した。
 ――そして、案内を頼まれた男が満面の笑みでティスラに近付いて、頷こうとした、まさにその時だった)

……はぁっ!
(壁の作る影の中から、黒影が飛び出して来たのは――。
 黒衣を纏い、黒塗り鞘の長剣とボロ布を握り締めた女は、左に持った布切れを、水を汲みに行こうと
 していた男達に被せる様にして叩きつける。
 頭上から布に襲われ、何が何やら分からないまま顔を覆われて視界を奪われてもがく彼らに
 目もくれず、一挙動の一閃でティスラの傍に立つ男に斬りかかり――……)
……え?
(此処でようやく、様子がおかしい事に気付いた。
 床に這いつくばって掃除する少年、めいめいがらくた未満の掃除用具を手にした男達……、
 何よりも、全く緊張感も恐怖心も見せていないティスラ……)

(――唸りをあげて男の血を吸わんと迫った白刃は、間一髪、髪一筋程の距離でぴたり、と止まる)
…………。
ええっと……どういう事……?これ……?
(男の首筋に剣を吐きつけた格好の黒衣の女が発した問いは、ある意味、その場の全員の
 疑問でもあっただろう。
 ――沈黙が蟠る中、ただただボロ布の下でもがく二人の男の呻きだけが響いていた――)
555ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/05(水) 02:59:11 ID:DLohiLXb
(全ては一瞬に満たない間に起こった。壁の影から、その影よりも黒い何かが飛び出して
鋭く光るものがティスラの道案内をしてくれている男性の首筋へと襲いかかり…
直前で停止する。その禍々しいまでの光に目を灼かれ、その場にしゃがみこんでしまい)
ぁ、あ…?
(何があったのか、誰が何をしようとしたのか理解できないまま、おそらく一瞬以上の
時間の経過の後、聞き覚えのある声がこちらに質問してきて)
…えと…。多分、それはこちらの聞きたいことになるかと…。この人たちは、
この建物を掃除するところで、それでわたしが掃除の方法とか教えてあげていて…、
(その時、背後からくぐもった呻き声が周囲に漏れだした。それは、たった今
ナイトメアが投げつけた布に絡め取られた哀れな男二人の悲鳴であった。あわてて
その布を外してあげる。その時、ナイトメアがここまで来た理由に思い当たり)
ひょっとして、さらわれたわたしを助けに来てくださったんですか? だとしたら嬉しいです。
(取り払った布を脇に置き、ややぎこちない微笑をナイトメアに向ける)
556ティスラ ◆5VTzaZek0A :2010/05/05(水) 03:07:41 ID:DLohiLXb
【申し訳ありません、大分眠気もしてしまったので、凍結をお願いしたいのですが
よろしいでしょうか?】
557ビオティーテ ◆eqfBIotITE :2010/05/05(水) 03:16:06 ID:pN/uK8QZ
……掃除……この建物を……?この人達と……?
(急に現れた女に殺されかけた男達や、馴染みのない荒事にいきなりさらされたティスラは
 何が何やら訳が分からないといった所だろうが、それは助けに来た筈の人物が、
 誘拐犯に掃除を教えている、とか言われてしまった女も同様であった)
……ひょっとしなくても、その通りなんだけど……ね。
(何だか力が抜けてしまった気がして、肩を落としながら答えを返し――どうやら敵ではなさそうな、
 誘拐一味の男の首から剣を離すと鞘に納める)

(しゃらん、という刃が金属製の鞘を滑りぬける音が、妙に白々と埃だらけの部屋に落ちた)
……でも……まぁ……とりあえず、貴女が無事で……元気そうで良かったわ……。
(それでも、ぎこちなくはあったが笑顔を向けられれば、やはり安堵がわきでてくるもので。
 女もまた柔らかく微笑みを返して)
さて、じゃぁ……まずは最初から事情を聞かせてくれる?
どうして誘拐された貴女が、掃除を教えてるなんて愉快な事になったのか……。
(商人の目撃証言からして、この男達が誘拐犯である事は間違いない。
 なのに何故……何がどうなって、こんなにほのぼのとした事になっているのか……。
 あれだけ緊迫して救出活動に向かった自分は一体なんだというのか……、
 とりあえず、胸に去来する感情を色々とあったが、まずは事態の推移を説明してくれ、と望む)
ああ……革命軍に通報する様に言っておいてから……きっとそう遅れずに
城からも一部隊来るんじゃないかしら。
彼らにも……ね。

(――さて、春の嵐と共にもたらされた革命軍の雑役婦誘拐事件は、この様にして幕を閉じた。
 この後、改心し、ティスラのとりなしを受けて革命軍にて、更生と社会復帰に励むことになった事や、
 元山賊の誘拐犯が暫くはティスラの信奉者の様に後をつきながら、掃除や洗濯の技を習っていた事、
 習得した技術をもって、各所に掃除に回る「お掃除団」として第二の人生を出発する次第になった事は
 …………また、別の機会に語られる話であったろうか)

(――いずれにせよ、城勤めの平凡な少女が、語り草になる武勇伝を刻んだのは間違いなかった)

【それでは此方はこんな感じで〆にしますね。
 結局、リミットをオーバーしてしまって、ごめんなさい】