【骨董品屋さんか…それも惹かれるものがあるけれど、僕のわかりにくい能力だからね】
【たまたま仕入れた骨董品には九十九神が憑いてて…と思いついたものの、すごい見切り発車になりそう】
【やはりどちらかが戦闘中にばったりその場で鉢合わせ、が分かりやすいかな、どちらがいいかは、お任せするよ】
【みんな考えることは同じなんだなあとか思ってしまったり】
【やっぱり古い物には何かしら憑いちゃう物なんですね】
【それじゃあ、戦闘中に水鏡先輩がという感じでお願いします】
【三月さんが書き出しをしますので、しばしお待ちください】
【う…あ、ありがちでごめんなさい、次からはもう少しひねりを加えまする】
【それではお待ちしております、どうぞよろしくです】
(本日の衣装は黒のタンクトップに薄手のパーカー)
(ハーフパンツに白のソックス、というのは今はどうでもよくて…)
まずったかなあ…。
(梵天丸を構えながら、小さくぼやく)
(一匹の異形を追いかけて、森の中に入ってきた)
(そこまではよかったんだけど、そこがまさか異形の巣だとは思わなかった)
(いつのまにか、辺りを10体ほどの異形に囲まれている)
(おでこに角のような物が生えた異形の大きさは1.2メートルくらい)
(黒っぽい体色をした異形の大きな目が闇夜に赤く輝いている)
(一匹一匹は大したことのない強さな物の、数が集まれば厄介なことに違いはない)
さすがに、簡単には逃がしてくれないよね…。
(お互いに動くに動けず、一種の膠着状態が発生していた)
【あ、いえ、そういうつもりじゃないんですよ】
【実際にそういうロールを他の人としちゃったものですから】
【そういうの混みで骨董品店を選んだっていうのもあるんですけどね】
【お待たせしました、改めてよろしくお願いします】
夕刊でーす、はい、どうぞ
(今日も今日とてバイトに精を出していると、突然眉を顰め、すんすんと鼻をうごめかし)
また…なのか?これでクビ確実だよ、ね…
(肌に感じる嫌な気配と、かすかな妖しのモノの残り香を嗅ぎつけてしまい)
せっかく見つけたバイトなのに…
(ぶつぶつ言いながらも、次の瞬間には猛然と自転車を漕ぎ出して)
(気配を辿って森の奥にそっと別けいってみれば、鉄の棒?を抱えた少女が一人、異形たちに囲まれている)
手伝おうか?君がよければ、だけど
(じりじりと包囲を狭め、襲い掛かるかという直前の瞬間に、輪の外側から姿を現すと)
(首にタオルを掛け、学校指定のジャージにハーフパンツ、トレーニングシューズ姿の水鏡が立っていた)
(背後から出鼻をくじく声を掛けて、まずは異形たちの動揺を誘って、介入の機会を窺っている)
……!?
(突然声を、掛けられてびくりと身体が硬直してしまった)
(それを絶好の好機と見たのか異形の一匹が飛び掛ってくる)
(異形の獲物は爪と牙、どちらも射程距離には乏しい代物だ)
(それをギリギリで避けると、異形の身体に全力で梵天丸を叩き込む)
(小柄な異形の軽い身体は梵天丸の一撃で、たやすく吹き飛んだ)
おっ、お言葉に甘えてもいいですか?
(次々と襲い掛かってくる異形に梵天丸を振るいながら)
(声の主にお願いをする、相手がどんな人物かを視認する余裕もない)
(少なくとも、態度からはこういう事態に慣れている人物だということはわかる)
(それを信頼するより他に打てるべき手がなかった)
(異形の半数は、突然現れた青年に警戒を示したのか)
(首にタオルを掛けたジャージ姿の青年へと襲いかかっていく)
(正面から2匹ほど、右から1匹、左から1匹と進路を分けて)
(その内の1匹は、青年の身長を超えるほどの跳躍を見せて青年へと飛びかかる)
あ、ごめん、声掛けたのがまずかったみたいだね…
(異形たちが驚けば、少女も驚くというところまでは計算していなかった)
(身軽そうな小鬼モドキが襲ってくるにも関わらず、ぽりぽりと頭を掻いてお辞儀をして見せて)
(異形たちが一斉に四方から飛び掛ってきた―――まさにその瞬間に)
んだよ、今日の相手はチビッコどもか?なんかこーもっと派手でデカくてマッチョな―――
(「変身」の余波で異形たちを吹き飛ばし、こきこきっといかにもやる気なさげに首を回して)
オレ様向きのだったら真面目に相手にしてやるのによ〜
(吹き飛ばされてもすぐさま襲い掛かってきた一匹をろくに見もせずがしっと頭を鷲づかみにし)
(面倒くさそうに、その体を片手で振り回して、飛び来る小鬼モドキたちに棍棒代わりに叩きつけてぶちのめしていく)
金剛棍…ってそんな言葉ねえか、でもそんな感じだな
(ほどなくこちらに襲い掛かってきた異形たちが全て地に倒れ伏すころには、手の中の異形もぼろぼろになっており)
おう、ありがとよ、こいつはお礼ってやつだ―――ありがたく受け取りな!
(そのまま指に力を込め、握力だけでぐしゃり、と異形の頭を潰し)
(その間も少女の戦闘の様子を眺める余裕さえあって)
(全身に異様な文様が光を放ちながら浮かびあがり、顔も隈取のように不気味に彩られたまま)
(にいっと口の端を吊り上げて、笑った)
手間取るようなら、30秒で片をつけてやるぜ、どうする?お嬢さん
半分でもきつい…なっ!
(異形を梵天丸で打ち据えながらも、じりじりと後退させられている)
(段々と青年から距離が離されていくのがわかる)
(戦力の分断、そういうことを考えるだけの知恵はあるみたいだ)
(おまけに、この異形のコンビネーションには舌を巻く)
(力のなさを補って絶妙な時間差で攻めてくる)
(せっかく助けてもらってるのに、これじゃ情けなさすぎるよね…!)
(飛び掛かる異形を強引に梵天丸で叩き落し、返す刃で次の異形を切って捨てる)
(防御を無視した攻撃をしただけあって、背後から右肩を異形に噛みつかれてしまった)
こっ、これぐらいなんとかなります…!
(強がりをいうように、噛み付いた異形の顔面に梵天丸の柄を打ち込んで振り払うと)
(地面に叩き落した異形に鬼切りを突き刺して止めを刺す)
あと、3匹…、やっぱり手伝って貰ってもいいですか?
(異形は紋様を浮かべた青年の強さに怯えている)
(このままいけば、逃げてしまう可能性の方が高かった)
(現に顔面を痛めて転がっている異形以外はじりじりと後ずさりをはじめている)
おっけーおっけー、おら、チビッコども、おにーさんが遊んであげるよ〜
(注意をひきつけながら両手を広げ、にたにたと笑いを浮かべて近づいていくと)
(異形たちもその得体の知れない男に怖れをなしたか、逃亡の気配を見せて輪が崩れて)
ほれ、今だ、ぐっちゃぐちゃのげちょげちょにやっちまいな、おっと逃がすかよ!
(散りじりに逃げ出そうとする、その先に回りこみ)
んじゃま、今日は…ライ○――――――ぱ――――――んち、てか?
(神速の右ストレートを打ち下ろし、どぶっと湿った音を立てて拳で体を打ち抜くと)
あばよ、もう二度と戻ってくんじゃねえぞ
(瞬間、右手の「ケ」の力を解放して異形を塵へと帰し)
(遊びながら逃がすことなく、背後から少女を襲おうとした異形を蹴りで打ち落として)
目の前のチビッコで最後だぜ、お嬢さん
(無造作に足を振り下ろし、踵で頭蓋を一気に砕き、戦いの様子を見定める)
あっ、ありがとうございました…。
(頭蓋を叩き割られた異形を、ぼんやりと見つめながら)
(目の前の青年に、ぺこりと頭を下げてお礼をいう)
あの、強いんですね…。
(隈取のような紋様が、ぼんやりと光っているせいで顔がよくわからない)
(この紋様が彼の強さの秘密なんだろうということは、なんとなくわかる)
やっぱり、私はまだまだ、なんだな…。
(梵天丸を杖代わりに、はあはあと息を整えながら、身体を支える)
(戦いが終わると、どっと疲れがやってくる)
(頭がくらくらするし、異形に噛まれた右肩がズキズキと痛む)
(白いパーカーに血が滲んでいるのが、はっきりとわかる)
私は、伊達三月っていいます。
お兄さんの名前、教えて貰えませんか?
(紋様が目を引いたけど、それ以上に三月さんの目を引いたのは身長だろうか)
(180cmぐらいだろうか、三月さんより背の高い男の人は珍しい)
(だいたいが同じぐらいの背丈なのでそう感じてしまう)
【そろそろ〆という感じでしょうか】
たいしたことねーって、それより肩見せてみな?
(パーカーを一度脱がせて傷跡を検分して、左手をかざす)
落ち着いて、息整えてればいいから、ヘンなことはしねーって
(ぼんやりと燐光に左手が包まれて、傷を治癒していく)
ん、こんなもんだな…(治療の終わりと、「不知火」が解けるのはほぼ同時で)
(すうっと全身を彩る戦装束が消えて、元の姿で立っている)
君も背が高いね、伊達三月さんか、大丈夫かい?
(相手を気遣いながら笑いかけて)
僕は水鏡恭弥、2年だよ、にしても…結構強いみたいだけど、今日は危なかったね
もし困ったことがあったら、今日みたいに助けにくるからいつでも呼んでくれていいよ
あー、さっきの変なのも僕、だから。危害を加えたりはしないのは、分かってくれるよね?
【〆でも軽くお話しながら家路を辿るでも、お任せします】
ちょ、ちょっと…!?
(待ってくださいという間もなくパーカーを脱がされてしまうと)
(異形の歯跡が並ぶ右の肩口からは血が滲んでしまっていて)
そっ、そんなこといわれても…。
(ヘンなことはされないと言われても、すっかり警戒してしまって)
(タンクトップを強く握り締めるようにさせながら)
あっ…、すごい…。
(左手からぼんやりとした燐光を放ち始めると、傷が治っていくのが見て取れて)
(その奇跡の力を前にすっかりと感動してしまう)
傷を治してもらったのに、大丈夫かも何もないと思いますけど。
(紋様が消えて初めて見る、水鏡さんの顔をぼんやりと見つめながら)
水鏡先輩、本当にありがとうございました。
(手を結んで開いて、問題がないのを確認すると)
(水鏡先輩に、改めて深く頭を下げるようにしてお礼をいう)
あはは、困ったことがあったら助けにくるってヒーローみたいですね。
(先輩の言葉に楽しそうにくすりと笑ってみせると)
でも、次は、ヒーローなしでもなんとかしてみせますよ!
むしろ、三月さんが水鏡先輩を守ったりしちゃうとか。
(指でVの形を作ると、ありもしないことを自信満々に語って)
それじゃ、今日は先輩に感謝しながら、家に帰ることにしますね。
(先輩に力を貰ったせいなのか、驚くほど身体は軽くて)
(手を振って水鏡先輩に別れを告げると、駆け足で家路に着くのでした)
【それでは、こちらはこれで〆ということで】
【水鏡先輩、お相手どうもありがとうございました】
【それと、〆に時間がかかってすみません〜!】
うん、まあその…かなり身勝手で暴走気味、だけどね
(苦笑して頭を掻く、どうやらそれが癖のようで)
たまたま気配を辿ったら伊達さんがいただけだよ、でも来れてよかった
(闊達な話し方は好ましく、異形狩りにはふさわしくない格好も、年相応の少女の姿で少しまぶしくて)
でもその意気だよ、いつも僕が来れるとは限らないから気をつけて
(Vサインに苦笑いすると手を振って)
困ったことがあったら本当に遠慮はいらないから、声を掛けてね、気をつけて
(棍を抱えて走り去る姿を見送っていて)
(いつのまにか、辺りはすっかり暮れている)
あー…今からでも、配っておかないとね…
(先々で遅い!と叱られ、ひたすら頭を下げながら配達を終えるころにはとっぷりと日は暮れて既に夜)
(配達途中で妖魔を狩ったのは今回だけでなく、ついにバイトを解雇されてしまって)
ヒーローか…楽じゃないね…
(肩をすくめ、ぼりぼりと頭を掻いて、それでも軽く鼻歌を歌って)
そんじゃロードワークがてら、帰るかな
(軽くジョグをしながら家路を辿る)
【ちゃんと待ってるから大丈夫、むしろレスの密度がこっちのほうが薄くてまだまだ修行が足りないな、と思ったぐらいだよ】
【こちらこそありがとう、これからもよろしく。おやすみなさい】
【以下空いております】
【名前】望月 二葉(もちづき ふたば)
【年齢】15(中三)
【性別】女
【身長】152
【3サイズ】60-53-64
【容貌】黒髪、ショートボブ。
幼く男女どちらにも見える顔つき。
細く全体的に凹凸のない体付き。
【能力】テレキネシス。
半径1m以内にある物体を宙に浮かせることができる。
1kg以下の物体なら5m程、それ以上はせいぜい1mが限度。
【希望】バトル、雑談、エロール、など。
【NG】 グロ
【弱点】物体を浮かせることしかできず特に攻撃力が皆無。
うまくこの能力を生かせないか研究中。
【備考】三年前、双子の兄とともに交通事故に巻き込まれ、兄だけが死んでしまう。
それがきっかけで精神的に弱かった母親が壊れてしまい、二葉の存在を否定し、
二葉を亡くなった兄として認識するようになる。
そのため、男として振舞っている(学ランを着用し、胸にはサラシをまいている)。
また、交通事故がきっかけとなり、テレキネシスに目覚める。
【はじめまして、よろしくお願いします】
【プロフ貼り…新スレは
>>521ですね。ありがとうございます】
【初待機というものをしてみます。よろしくです。】
【まだいるかな?】
【いますよー】
【ロールしますか?】
【お、ごめん。名無しとでもいいかな?】
【もちろんOKです】
【どんなロールにしましょうか?】
【うーん、考えたんだけどいいの出ないや】
【そっちにあるかな?】
【そうだなー…候補としては…】
【屋上で自殺未遂(してるように見えるが実際は浮けるか試してる)】
【僕を名無しさんが止めに来るとか…】
【あと確認、雑談希望ですか?それともエロール?はたまた戦闘?】
さっきから接続悪くて…
本当にごめん!悪いけど破棄でお願いしますm(_ _)m
【はいです。わざわざ声かけてくださってありがとうございます】
【また機会がございましたらよろしくお願いします】
【それでは、僕もこれにて落ちます】
【さて、ロールの前の打ち合わせ】
【決めるべきは、何処で出会い、何をするかだな】
【えっと、放課後の街か、夜が出会いやすいと思うけど】
【やるとしたら雑談くらいかな。そっちのペットたちが気になってるので】
【その辺訊くって感じになるかも】
【移動してきました。では打ち合わせということで】
【そうですね。では放課後の街の方でばったり、そこから雑談に致しましょうか?】
【書き出しはどちらからにしましょうか?】
【遭遇しそうな場所の候補はショッピングモール内の】
【ファーストフードコーナー辺りだろうか。発想が貧困で悪いが】
【特に希望がなければそこで再会ということで】
【書き出しは俺からでも構わない】
【はい、そちらで大丈夫なのです】
【では書き出しをお願いしますね】
(―――今年の夏は湿気が酷い)
(もう直ぐ夏休みだというのに、纏わりつく不快な湿気が体内リズムを)
(微妙に、確実に狂わせてゆく。袖で汗を拭う。むっとする電車から降りる)
(右の頬に大きな絆創膏、右の腕に包帯を巻いた紅い髪の男が駅から出て)
(ショッピングモールへと向かう。ある日の放課後のことだった)
・・・・・・。
(フードコートの一角。この国でも有名なファーストフードの店へと足を運ぶ)
(特にやる事もない日で、特にやりたい事もない日が偶にあるが、今日がその日だった)
(足の赴くまま、気の向くままに電車に乗って、降りて、どうするか思案して――)
(結局、無難に間食をすることにした。手狭な店内は客で半分ほど埋まっている)
(三人ほど並んでいる列の後ろに並んで、順番を待つ)
【では、こんな感じでお願いする】
(放課後の街を小柄な少女がふらりと彷徨う)
(時折銀髪を珍しがる通行人の目を引くが、
既に慣れたもので気にも止めることなく)
(そのままゆったりとショッピングモールの、ファーストフード店へと向かった)
ふむ。
(店内でメニュー見ながら注文でも考えておく。といっても考える程のものでもない)
(ちょっとした買い物帰りに、お腹も空いたことで
ポテトなどでも買いに寄ってみた)
(とりあえず一番小さいサイズのものでもつまむことにして、
二列の内の片方に並びふと隣を見ると)
……おや?
(見覚えのある顔がそこにあった。
この特徴的な外見は記憶を掘り返すまでもなく思い起こされる)
【それではお願いしますね】
(何を食べようかと考える。夕食のことも考慮しなくてはならない)
(だが、今日は別段集まる予定もないし、だからここで済ませてもよかった)
(――とは言え、この手の物で腹を一杯にするのは主義に反する)
(朝はいつもコンビニ弁当で済ませている身としては、ならばこそ考えねばならない)
・・・・・・ん?
(隣の列に誰かが並んだ。反射的にそちらを向くと、銀色の髪をした少女が立っている)
(この国では珍しい――珍しいを通り越して希少価値のありそうな髪の色は見覚えがある)
(霧の中で出会った少女。異形を操り、異形を蒐集していた不思議な少女だ)
(確か名前は――名前、は・・・・・・?)
ああ、この間の子じゃないか。元気にしてたかね?
いやー、この間は珍しいモノを見せてもらって。
よかったら、ちょっとその辺について話聞かせてくれないかな?
(いつも通りの軽薄さで笑い、話しかける)
(名前に関しては、何とか思い出してみよう。それはさておき――)
(年下に対してはいつも柔らかい態度の青年だが、今回は特にそれが顕著である)
(倦怠感に満ちていた瞳に精気が宿る。暇つぶしを見つけた子供の顔色だった)
(あのキーホルダーと使い魔に関して、少し興味があったからだ)
こんばんは、なのです。
ええと……確か紅裂さんでしたよね。
(ほんの僅かな微笑。思わぬ再開だと思いつつ、
霧の中での邂逅のことを思い出す)
ええ。こちらも大事ありません、なのです。
ふむ……? くふ。私の仲間達に興味がお有りなのですか?
(無理に備えつけられた力とはいえ、
その力で生まれた仲間は忌むべき存在ではない)
(むしろ彼らに興味を持ってくれたことは術者の自分としても、
どことなく喜ばしいものがあった)
分かりました。
では、注文を終えてからそこらの席でゆっくりお話しましょうか。
(承諾の返事をしつつ、列に従って前へと進む)
そうそう、その紅裂さんだ。
目下有閑マダム並みに暇を持て余してる最中。
そういうそちらは――卯月ひのわちゃんだったかね、確か。
(ようやくにして、霧が掛ってた記憶が晴れる)
(人間に関して壊滅的な記憶力を持つ彼にしては思い出すのに時間が)
(掛からなかったのは、出会った状況や容姿に因る部分が大きいだろう)
(人のことは言えないが、その髪の色は容易に名前と直結する)
ああ、だってかぁいいじゃん?
(二足歩行するペンギンとトドを思い出して、コメントする)
(あんなのが欲しい、お持ち帰りしたいと、あの時心底願ったものだ)
(却下されたので、あの時は潔く諦めたのだが)
ん、ありがと。
じゃあ、ちょっと待っててくれ。
(適当に注文をする。頼んだのはバーガーとドリンクとサラダの三品である)
(多すぎず、少なすぎず。夕食前の間食なので、ある程度自制しておく)
(「少々お待ちください」と受付のお姉さんに言われ、その足で席を確保する為動く)
(折よく、四人組のグループが座っていた席を離れるところだった)
(そこに座って席を確保して、卯月ひのわに「こっちだよ」と軽く手招きする)
くふー。何から話そうかね。やっぱりあの使い魔たちのことかな?
アレさ。キミの能力で使い魔にしてたわけだよね。やっぱり異能なんだろうけど、
あの手の能力は珍しいっていうか――初めて見たな、ああいうのは。
(いつもの重みが欠けらもない言葉と、軽薄な笑みのままに夜の世界へと足を踏み込む)
(それなりに多数の異能を見てきたが、ああいうタイプの能力は初めてだった)
(魔物を無力化して支配下に置く異能。それは使い方次第では、かなり恐ろしい能力だ)
ええ。覚えていてくれたのですね。
(くふ、と再び例の微笑。なんとも掴みにくい表情変化ばかりである)
可愛い……ですか?
ふむ。色々な方に彼らを見られてきましたが、
そのような評価をして頂けるとは光栄なのです。くふ。
(ちなみに自分でも仲間達のことを可愛いと思ってるが、
彼らを知る者にそのような評価をされたことは少ない)
(愛らしい外見ものが希少だったり、よくみると少々微妙だったりするからだろうか)
あ、はい。今行くのです。
(注文内容はSサイズのポテトにドリンク)
(ちょっとつまむのに、といった微量である)
(注文を終えてから紅裂の手招きに従って席に向かった)
くふ。使い魔……ふむ、そういう見方もありますね。
(というより普通はそうと見るのが一般的なのだが
他に言い表す言葉といえば、本人が恒常的に使う「仲間」という呼称か)
ええ。生まれつきの力ではない、のですがね。
珍しいのも致し方無いと思われます。
詳しいことは私にもわかりませんが、滅多なことで身になるものではないでしょうから。
(それこそあの父親が、他にも自分ほど「合う」器を見つけて能力を付随する気になればの話である)
使い魔じゃなくて、こう・・・
ゲームっぽく「仲魔」とでも呼んだ方がいいかね。
(テーブルの上に指で「仲」と「魔」の字を空書して見せる)
(発音自体は「仲間」と同じなので、あまり意味はないのだけれど)
潜在的な能力が開花したわけじゃない、という事か。
つまり、人為的に開発・・・ああ、悪い。少し踏み込み過ぎたな。
(生まれつきの能力ではないと言われ、納得している自分がいる)
(開発。改造。人体実験。様々な単語と情景が連動して蘇る)
(かつて見たことのある光景。人が人を人で無いモノに変える為の、実験)
(――人類の進歩には、常にそういった実験の犠牲が隠されている)
(ギリリとテーブルの下で拳を握り締める。考えても仕方のないことだった)
あの子たちはさ、普段はキーホルダーになって大人しくしてるんだよな。
便利だよね、それって。ちょっと見せてもらってもいいかな?
(拳を開いて、意識的に明るい声を出して問い掛ける)
(憤怒を抱く権利もなければ立場でもない。科学技術の恩恵に預かっているのは)
(自分とて例外ではない。理性で感情を律する。全てを壊すのは、まだ先の話なのだから)
ゲーム……ですか?
こんな文字列も見たことがあるような気がするのです。
……でも良いですね。気に入りました。
それでは是非この呼称で。
(魔の存在でありながら人に与する存在……
ふさわしい名前だと思った。呼び方が変わらなくとも、口に出す時に意識すれば良い(
はい。私に元来あったのは、あの氷の力ですから。
……いえ、お気になさらないで下さい。私は構わないですから。
(その表情はやはり変わらない)
(本人としては、その話題に触れることを特別避けようとは思っていないが)
(それでも積極的に話す話題でないことは知っているので、基本的に問われぬ限りは話さない)
そうですね。……ではええと、こちらを。
(傍らに置いてあるトランクに手を伸ばす)
(一応一目の付く場所であるため、大体的に開いて見せようとはしない)
(その代わりに中身が覗ける程度に、少しだけ開けて中身を彼に見せる)
……いかがですか?
(中には既に三桁に近づく程の量が犇めいていた)
確か・・・悪魔サモナーだかサマナーだか、
そんな感じのゲームが元ネタだった気がする。
生憎と俺は異聞録のペルソナくらいしかやったことがないが。
まーあ、気にいってくれたならそれでいいさ。
(あの日勝手に命名した「コレクター」にしろ、今日の「仲魔」にしろ)
(大概ネーミングセンスが枯渇している。当人は喜んでいる、らしいが)
(どうにも、感情の揺れ具合が表面からは推察し辛い子だった)
氷の力の方か。夏にはぴったりだな。
掻き氷作る機械でも買っておくか?
シロップなんて大した値段でもないし、売ったら儲けになるかも。
(無論、異能とて無制限に使えるはずもなく、だからくだらない冗談でしかない)
(本人は構わないと言ってはいるが、それでも率先して話すような事ではない)
(他人の気持ちなどわからないが、慮る程度の事はするべきだった)
ふむ・・・何とも凄いものだ。
これ、全部自分で捕まえたのか?大したもんだ。
(少しだけ開いたトランクに詰まっている、キーホルダーとしてコレクションされた異形たち)
(総数は判別し辛いが、かなりの数である事に疑う余地はない。発せられる邪気が押し寄せる)
(無力化されているとは言え、それでもそれらは永遠の監獄の中で生きていた)
――ちょっとした地獄かもな。
(ぽつりと呟いた時、注文の品が出来上がったとの呼び出しがあった)
――何か、俺ばっかり話聞いてて悪いな。
まーあ、だからって俺の方から提供できる話題も大してないんだけど。
(一度注文の品をカウンターに取りに行ってから、会話を再開する)
食べたことは無いですが、食用に使えるのでしょうか。ふむ。
かき氷屋さん……ですか? 売りさばく程の量を作るのが大変なのです。
私的に楽しむ程度でよければ提供できるのですよ。
(冷気の力があるからこそ、攻撃意外にも転じられる力)
(とはいえ余りそういった手段として用いたことは無い)
(自重しているというよりは、余りそういう手段があると考えてこなかっただけで)
7、8年ほどかけて集まったものですので。
とはいえ、学園に来てからはやはり仲間が一段と増えているのです。
(やはり異形の集う街であるからして)
(とは言うものの、以前は外に出ることも少なく異形と出会う機会がそれほどでも無かったことも言える)
……地獄、ですか。
(異形達にとっては、改めて屠られる以外に逃れる道のない状態)
(そのことについて何かを思ったことは無い。これといった感情が沸かず、どう捕えていいかも分からない)
あっと、私も少し失礼するのです。
(紅裂がカウンターに行って間もなく、自分の分も上がった)
(続けざまになる形で取りに行き、僅かながらの量を受け取る)
いえ。お気になさらず。
そうですね、貴方のことについては色々気になることがあるのですが……
(あの謎の霧に異世界の住人、まるで冬眠してたような物言いと)
(思い起こせば謎が多い男であった。そんな中で気になるものが一つ)
そういえば、以前お帰りになる時お迎えの方がいらっしゃいましたよね。
お姉さんか、お友達か……ですか?
(少しだけ小首を傾げてみる)
くふふ。
ではその内個人的に御馳走になろうかね。
ああ、安心しろ、シロップくらいは俺が買うから。
(それは他愛のない、約束とすら言えぬ戯言だった)
(だから、この件についてはあっさりと彼の頭の中から消えるだろう)
・・・そんな小さい頃から、か?ふぅん・・・
なかなかハードな人生送ってるな、見た眼にそぐわず。
(意識せず、平坦な声で言う。他にどんな事が言えたのか)
(彼女が十二歳、十三歳だとするなら、その七、八年前と言えば)
(年齢は一桁という計算になる。自分が珪素使いの能力に目覚めたのも)
(その年齢くらいだったはずだが、少なくともその頃は魔物と戦ったりしなかった)
ん、あれか。アレは・・・・・・
(空間使いのことに話が及んで、曰く言い難い表情になる)
(アレは何なのか、彼は考える。同じ契約者であり、同僚であり、同志と言える)
(けれど、身内や仲間と呼べないし、呼びたくない。その理由など考えるだけ無駄だ)
仕事仲間――だな。うん、そう思ってくれれば間違いない。
生憎と、家族はいなくてね。ちなみに友達は――ああ、いや、何でもない。
キミには、その子たち以外の「仲間」はいるのか?
(友達と呼べる人は一人しかいないという現実に、口を閉ざすしかない)
(だから口に出すのは矛先を変える為の質問)
(夜の中を共に行く仲間は居るのか――それはとても大事なことだった)
くふっ。では機会があれば御馳走するのです。
シロップも、ジュース等試してみたくもありますし。
(他愛も無い会話。それでも心の隅に置いておく程度には覚えておく)
(思い出した頃ぐらいに、ひょっとしたら飛び出すかもしれない)
ハード、でもないのですよ。
本格的に……でしょうか。そんな感じで行使し始めたのは
それよりもう少し後になるのです。
(最初に仲間になったものは、父とその同僚が連れて来た既に瀕死の異形)
(それからも幾度かそういったものを「換えて」きて、自ら斃し仲間にしたのは
それよりもやや後の話。正確にいつ頃ほどからかは覚えていないが)
えっと……
(彼が微妙な表情をしたのを見て、何か不味い質問をしたのかと
少しだけ眉が下がった)
仕事仲間……なるほど、同僚なのですね。
……と……? 私の仲間、ですか。
(脳裏に浮かぶのは、つい最近「お友達」となった英国の少女に、
図書室で会った、いつしかあだ名をつけることになった先輩の姿)
(そして世話になった先輩が男女それぞれ一人ずつ)
(相手がどう思ってるか分からないが、近しい関係に慣れた人も何人かいる)
お友達と言えそうな方は……いるといったらいるのです。
つい最近知り合えた方なのですけれどもね。
仲間とは少し違う気もします。「彼ら」を共に戦う同士とするのであれば、
(何のことでもないように目を閉じる。特別親しいという友人はいないが、
ほんの最近であるにしろ自分はもう孤独からは離れている)
(ただ、「仲間と違う」という下りを口にした時は少しだけ切なくなった)
(もしあの人たちとそういう関係になれたらどうなるのであろうかと、ぼんやり考えてみる)
それでも、子供のすることじゃねえだろ。そういうのはさ。
そんなことは、やりたい奴がやればいい。
・・・悪い。キミやその能力を否定するつもりじゃないんだがな。
(多少、感傷的かつ干渉的な台詞だと気づき、謝罪する)
(誰にだって抱えているモノはある。その重さを知っているのは本人だけだ)
(だからこそ、踏みこんではならない線というものが厳然として存在する)
(だからこそ、時に慎重にならないといけない時もある)
友達は、大事にしないとな。
友達が出来るとな、一人でも独りじゃなくなるのさ。
だからどんな時でも、孤独じゃなくなる。その繋がりが、孤独を消すんだ。
(卯月ひのわに顔に浮かぶ、微細な揺れ。その表情。お友達という言葉)
(今、彼女の脳裏にはその「お友達」のことが横切っているのだろう)
(その言葉に対する憧れにも似た色。彼女もきっと孤独だったのだろうと、漠然と感じる)
まーあ、下手に仲間なんぞになっちまうと、だ。
利害関係や、目的に対する齟齬で歯車が噛み合わなくなって――
最後にはドッカーン!なんて事になる。一番いいのは、「お友達でいましょう」ってやつさ。
最低限付き合うなら、目的が出来るだけ近いやつだけにしとけ。
(オレンジジュースをストローで啜り、バーガーを齧る。認めたくはないが仲間である)
(魔王の契約者たちに馴染めない彼としては、そんな忠告のひとつもしたくなる)
(仲間や同志という言葉は素晴らしいが、それだけでは済まないのが人間関係の怖いところだった)
そうですね。……そうかもしれません。
(子供の頃から。いや今も子供には違いないだろうが)
(それでもあの日から、自分は普通の子供ではなくなっていた)
(捕えようによっては「人」の子ですらない。とにかく普通の子供じゃなくなっていた)
……くふ。大丈夫、なのですよ。
(けれどそのことを気に悩もうとはしない)
(過去の事を懸命に悔いてもタイムスリップが出来るわけでもなし)
ええ。大切にしませんと。
不思議な感覚なのです。会いたいとか、お話がしたいとか思って。
良いものですね。お友達とは。
(少しだけ遠い目になる。異能の人間と出会うようになってから、自分は変わった)
(これからも変わり続けるかもしれない。どうなったものかは知る由もないが)
……貴方もお友達、になりますか? くふふふ。
(ふと、思い出したように不思議で胡散臭い、冗談めかしたような雰囲気を纏った)
ふむ……どかーん、ですか。
よく分かりませんがどうも恐ろしいものなのです。
(そういえば、世話になったあの彼女は組織に属していると言っていた)
(仲間に関する話を聞いて、ちょっとだけ彼女が心配になる。それとも余計な心遣いだろうか)
「お友達でいましょう」、ですか。
それだけ聞くと、告白のお断りの返事みたいなのですね。くふ。
……ご忠言、ありがとうございます。
(ぺこりと軽く頭を下げた)
(相変わらず真意の掴めない、淡い表情だった)
(気にしないでくれとか、平気だとか。大丈夫だとか)
(その手の台詞が信用できた試しは一度とてないのだから)
(それでも、彼女が普通の子供として過ごせなかったその過去を)
(本当に悔いていないというのなら、それでいいと思う)
言葉が交わせる。情が通じる。繋がっていると、信じること。大切なことだ、それは。
まーあ、それだけで済まないのがこの世の常ではあるけどな。
くは。アレだ。卯月ちゃんが誰かに恋でもしたら、理解できるかもな。
(例えば、誰かを好きになって、その人を独占したいという気持ちが芽生えてくる)
(それは想い人の心を引き寄せる為の戦いの始まりだ))
(好意を寄せたら、必ず返してくれるというわけではない)
(その人に、他の好きな人がいる場合とてある。それは失恋の始まりだ)
(兵部晶のことを思い出したが、ジュースと共に飲み干して内側に仕舞いこむ)
はっは。お友達になろうと言われたのは久し振りだ。
俺の方は別に構わないがな。
但し、生憎と俺は悪人だから、あんまり信用しない方がいい。
更に言うならこう見えて引っ込み思案なんで、遊びに誘ったりしないと思う。
(こちらも負けず劣らずな、胡散臭い雰囲気を纏う)
(しかも全部本当のことでしかない辺り、この男は小物なのかもしれない)
どう致しまして。
まーあ、年長者の他愛のないアドバイスのひとつとして受け取ってくれ。
実際どうするか、どう生きるかなんてのは、自分で決めるしかないんだから。
(生きる意義を他人に見出し、その重さを全部その人に預けて生きられるなら楽だろう)
(けれど、その荷物を肩代わりしてくれる人間など、この世の何処にも存在しないのだ)
(魔王と契約し、生きる目的を与えられたこの男にしても、それでも背負っているモノはある)
(その荷物は背骨が軋むほどに重いが、それを放り出すのは当分先のことだ)
・・・っと、そろそろ帰るかな。
卯月ちゃんはどうする?近くまでなら送ってゆくけど。
ああ、一人でのんびりしたいなら、それで構わないが。
(話しの間にバーガーとジュースとサラダは彼の胃の中に消えていた)
(軽くなったトレイを持って立ち上がり、問い掛ける)
【そろそろ〆でいいかな】
【埋めきれなかったのが辛いところだけど】
人と人が支え合って「人」と言う字……と良く言いますしね。
ふむ……私が恋、ですか。
こい、コイ、恋……
(彼女にしては珍しく、面食らったような色を少し醸し、初めて知った言葉のように呟く)
(改めて自分の問題として提示されると、今一つピンと来ない)
(けれどそれに近いようで遠い、よく分からない感覚は構築されてるのかなと思う)
(脳裏に二人程近しい男の姿が浮かんだが、どちらも今のところ
友人とか、恩人とか、そういった程度の感情止まりで)
(とはいえほんの少ししか出会ってないので今後どうなるかさっぱり分からない)
(とりわけそういう感情から遠い人生を歩んでいただけに)
(ただ、その内の一人については間違ってもそういう感情を持ってはならないことを、おぼろげに理解していた)
(大切な人の繋がりを崩したり、解れさせる事は、たとえ天地が狂ってもあってはならない。自分を犠牲にしてでもだ)
……むつかしい問題、なのです。くふー。
(考えれば考える程よくわからなくなってきており)
(当面、この件に関しては色んな人ともっと話をするまで先送りといったところか)
おおっと。
悪い人、だったのですか? とてもそうは見えないのですが。
(余り本気で受けていないような様子でちょこんと再び、首を傾げる)
ともあれ、これで紅裂さんともお友達なのです。
大丈夫です。多分そんな気がします。くふふ。
くふ。時が来たらに参考にさせて頂きます、なのです。
(人に頼ることをしたことがなかったから、分からないことも多いだろうけど)
(知識と経験は無いならこれから構築していくだけのこと)
(なるようになる……いや、そうさせていけたら)
お帰りですか?
……そうですね。私もちょっとした軽食に寄っただけですし。
お気遣いありがとうございます。んと、ここからはそこそこ……ですが。
恐らく真っ暗になるまでには帰れますから、たぶん大丈夫なのです。
(既にトレイの上のポテトもドリンクも空)
(彼に続くように、残骸を残したトレイを持って立ち上って礼をする)
【ではこの辺で〆、ですね】
難しい問題だ、その辺は。
人類の歴史が終焉を迎える時までに、それが解かれることを祈るよ。
(人の心とは、何なのだろうか)
(生命活動とは突き詰めるなら化学反応でしかない)
(思考機関である脳味噌は、ならば心そのものだろう)
(では、その化学反応に振り回されている人間とは何なのだろうか)
(その化学反応でしかないそれらか、今日に至るまで様々な物語を紡いできた)
(人の心の謎が解かれる日は、果たしてやってくるのだろうか)
ヒトは見た目で判断しちゃいけませんよ。
悪い人ってのは、案外ズル賢いからな。
(毎度のことだが、悪人だと言ってもまるで信用されていない)
(久遠ゆりかにもいつも言っている事だが、一度として信用された事がない)
はいはい。友達。フレンズ。素敵な言葉だね。
(やはり状況が悪いのだろう。眼前で殺人でもすれば信用してもらえるかも知れないが)
(そんなことの為に殺すのも、馬鹿らしい話だ。無関係な他者の命に価値を認めぬとは言え、だ)
うん、そっか。気を付けて・・・なんて、大丈夫か。仲魔たちがいるもんな。
精々、悪魔使いと間違われて狩られないようにな。じゃあ、またな。
(トレイを返却して、店の外に出る。これから何をするべきか、少し考えられない)
(帰るとは言ったものの、夜はこれからだ。狂乱の闘争が開幕する夜まで、あと少しだ)
(だから、銀髪の少女に別れの挨拶をして雑踏の中に紛れ込む)
(その紅い髪は、あっと言う間に見えなくなった)
【では、俺はこれで〆で】
【ありがとう。お疲れ様でした、と】
ひとのこころって、簡単には解かれないものだと思うのです。
いえ……難しいどころではないでしょう。
1000年経ってもきっと答えが出ない、そんな感じなのです。
(どんなに賢い科学者も、自分の心のことを
全て理解することは限りなく不可能に近い)
(きっとそれを、この人類が達成する日は来ないか……
あるいはそうだと言えるほどとてつもなく遠い道程に違い無い)
(考えすぎると哲学っぽくなるな、とぼんやり感じていた)
くふ……では私もそこそこ気をつけることにするのです。
後ろからとって食われたりしないよう。
(異形を従える身であるからこそ、いわれなく恨みを飛ばすことを、
全否定はしないにせよ自分から積極的にすることは無い)
(極端に言えば性善説のようなものなのだろうか)
(だとしたら、自分は随分なお人好しだと言えるかもしれない)
(とはいえ敵対する存在には結構容赦が無かったりするのだが)
むー。なんだか投げやりな感じなのですよ。
(信用されず、弁解すらも面倒になったような様子で)
(本当に悪人なのかもしれないが、今の所はそうだったとしても
余り関係無い話のように感じていた)
はい。もしもの時の対策もばっちり、なのです。
では失礼しますね。またお会いしましょう。
(再び会釈をすると、銀色の影はその場から遠ざかる)
(家に戻ればまた一人で過ごす夜。これにはもう慣れた気がしていたが)
(最近になって、久方ぶりに寂しいと思うことが多くなったようにも思えた)
【はい。お疲れ様なのです】
【それではまたいつか】
【置きレスに、1レスお借りいたします。】
矛盾、してる?
(綾香の言葉に、小さく笑って)
そ、かもね。
だってわたし、綾香の言うとおり、とても怖がりなの。
(普段なら、けしてそんな事を言わないであろうことまで)
(傷つけるかもしれないと、解かっていても、言葉が流れ出す。)
知らなかったでしょう?だって、隠している。ずっと、隠してた。
だから、綾香が好きって言ってくれるわたしは、わたしじゃない。
残念?でも、良かった点が一つだけあるわよ。
汚してしまうからなんて、心配してもらえるほど、もともと綺麗じゃない。
汚くて弱い心を隠して、偽って、笑顔を作って、欺いて、騙して、誤魔化して。
(誰かを、好きになるのも、好きになってもらうのも、本当に怖くて)
―――ただの、怖がりの女の子だよ。
(不安そうに眉を寄せる様子を見ても)
(綾香の静かな淡々とした口調に、微かな苛立ちを見つけても、もう心は動かさない。)
(ただ、口許だけを微笑ませ、青い瞳は、ゆりかを見つめる綾香を、見つめ続ける。)
(立ち上がり、綾香の肩越しに見える塞がれたドアを見て、瞳を閉じ、また溜息。)
―――本当に、聞き分けの悪い子。
(目を開いて、にっこりと笑うその表情は、普段どおりのゆりかのもので)
(青くきらきらと、少し大袈裟すぎるぐらいに、笑い、怒り、そんなくるくる変わる瞳。)
(きっと、目を閉じている綾香に、その姿は見えていないのだろうけれど、それでもいつも通りに笑って)
お荷物とか、力になれないとか、そんなことを言ってるんじゃありませんのよ?
目的も、大事だけれど…って。目的が、『いちばんだいじ』でしょう?
なんのために、今まで夜を歩いてきましたの?
綾香とわたしは、今、たまたま同じ電車に乗っているけれど、いずれは乗り換えて別の道を行くのですわ。
みんなで一緒に、楽しく頑張りましょっ
なぁんて。そんな甘いものではないと、綾香はよく知っているはずですわ。
(諦めや喜びが交錯したような、綾香の表情に、ちくりと胸が痛んだ。)
わたしは、綾香をわたしの戦いに巻き込むことは、出来ないもの。
そしてわたしも、綾香の戦いに付き合ってあげること、出来ませんのよ。
お互いに、手を差し伸べ合うことは出来るかもしれないけれど
死んでも良いくらい、なんて、馬鹿げていると思いませんこと?
わたしのために、綾香の目的を捨ててくださるんですの?
わたしのためだけに、死んでくださるんですの?
ふふっ………お馬鹿さん。
(右手を拳銃の形に作り、その人差し指を綾香の指の隙間に挿し込み、胸にあてがって)
わたしが――――
――――わたしのために、死ねる人を求めているとでも、思ってるの?
(背伸びして、綾香の顔に近づき、なるべく感情を殺した声で囁く。)
(指先が、少し痛くなるぐらい、突きつけた人差し指を、ぐっと強く押し)
………Bang!
(その手の形を崩しながら、綾香の胸から降ろして)
(綾香の横をすり抜けて、塞がれたドアへ向かって歩き出す。)
【迷わせちゃって、ごめんね?】
【わたしのほうが、まだ上手に煮詰まっていないことを出してしまったから、迷わせてるんだと思う。】
【ほんと、ごめんね。】
【やりにくい部分とかがあったら、遠慮なく言ってね。】
【事後承諾で、蹴ってくれてかまわないから。】
【綾香が楽しめるように、楽しんでくれたほうが嬉しいからね。】
>>553 隠していたから、何だって言うの…?
私は、そんな事を問題にしているんじゃない。
残念っていう事なら、そういった言い回しをされる事が私には残念。
恐がりなのは、別に悪い事じゃない。
私だって、きっと本当は怖い事だらけ、なんだと思う。
でも…、誰にも見せない様にしてきた…それだけの事、今は少し違うけれど。
(怖いなんて、そんな気持ちが存在しない人が居るのだろうか。
皆隠して生きているだけで別に普通の事じゃないだろうか。
誰もが味方な訳じゃない、でも、自分を見せても受け入れてくれた人だって居る。
それすら、綾香には許されないのだろうかと表情を曇らせて。
同時に、それを見てみたいとの欲求も浮かんでは心を揺らす)
聞き分けが悪いのなんて、今更でしょう?
良かったら、それはきっと私じゃない。
(目を閉じると、風の心地良さとじわりと体を襲う湿気がより鮮明に感じて。
言葉ごとに感情の入れ替わるゆりかの声を風の中にしっかりと捉えながら)
私って、きっと欲張りなんだと思う。
それか、自分が決めたら譲れないか、どちらか。
(自嘲気味に息だけ出すような笑いをすると)
甘いものじゃないけれど、会えたのだって偶然かもしれないけれど。
それでも、私は楽しいって思えた。好きだって思えた。
この気持ちは、きっと嘘じゃないから…自分に嘘はつきたくないから。
今、私が出来る事を、したいと思っているから。
(何時もよりも、言葉を重く、はっきりと言って。
胸に宛がった手を心持ち強く握りしめて、意志の強さを再確認させる様にして)
それに…私は、別に戦いに繋がりを求めている訳じゃない。
自分の事は自分でする気でいるし、ユーリャに協力するかもまた違う話。
ユーリャの力が欲しくて、好きになった訳でも無い、勘違いしないで。
(大体、目の前でゆりかの力をはっきりと見た事が有る訳でもない。
断片的に聞いた事がある程度で、それがどれほど強大かも、確と認識している訳でも無いのだ)
捨てたなんて思わない、きっとどこかで役に立つと信じてるから。
それが、誰かを悲しませる事になったとしても。
(浮かぶのは、今まで会った人達。走馬燈というものは、どうやら実在する様で。
心の中で、ごめんね。と呟いて)
どうだろう、そんな事、私には分からない。
だって、本当のユーリャは私が知らないんでしょう?
(可笑しげに笑うのは、綾香も本当に久しぶりな気がして。
尚、一層笑顔が緩んでしまった様な気がした)
(胸に突きつけられたものは鋭く刺さる様で。
若干の長さを感じるものは、銃口ではなくてきっとマニキュアが塗られていた爪先。)
……。
つか、まえたっ。
(横をすり抜けていく靴の音を感じて、左足を軸に180度ターンする。
目を閉じたまま回るのはふらつきを感じるけれど。
ゆっくり開けながら二つに分けたポニーテールが視界に入ると。
体重を自分の背中からお尻に乗せ、ゆりかを伸ばした腕の中に捉える。
そのまま、後ろから腰を抱きしめるようにして体重で無理矢理綾香の方に引き寄せて)
【北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2さんとのロールの解凍に、お借りいたします。】
【解凍にお借りします。】
【えっと…後1kbしか無くなりそうだから、書けない気がする。】
【後は任せて、埋めでも大丈夫な気が。】