ピンクのオリキャラなりきり板の明日を考える・２

ここ数ヶ月の大規模規制に伴ってスレH板へ書き込みできなくなった利用者が
規制時にも書き込める板でスレHを行う事例が多発し、運営に苦情が寄せられている。
そのため、スレH板以外でスレH（のような書き込み）を禁止しようという動きがあるらしい。
だとするとオリ板サロン板で行われているエロールも、解釈の仕方によっては規制の対象になる可能性もある。

PBWという言葉がある。Play by Webの略でロールプレイングゲームをウェブ上で行う事を指す。
代表的なのはチャットシステムを用いたPBC（Play by Chat）で、掲示板を用いるのはPB3（Play by BBS＝PBBBS）と呼ばれる。
このオリ板ならびにサロン板も広義にはPB3であり、PBWの世界に起こる諸問題と無縁ではない。
なりきり板へのスレH住民流入問題と同じような現象として、成人PBWサイトにおける風俗関係のチャット利用者の流入が問題になっている。
こうした外部サイトにおける、ネットセックス愛好者となりきりロールプレイヤーの違いを捕らえることも視野にいれ
オリキャラサロン板のあり方を模索したい

ロールとスレHはどう違うのか。

ロール…ロールプレイング（Role Playing　ごっこ遊び・演技）
PINK板においては何らかのキャラクターを演じて書き込みを行いながらレスの応酬をすること。
このときキャラクターを演じているHNを「キャラハン」と呼ぶ。
キャラハンに対して何も演じていない参加者（名無し）が質問レスを付け、それにキャラハンが返答レスをする
質雑（質問+雑談）という遊び方もあるが、これはロールとは呼ばないことが多い。

スレH
PINK板においては「大人のスレH・エロ会話」板で行われる遊び。
同板の板ルールによれば「スレHとはセックスやオナニーを２人または複数で擬似的に表現すること」とある
「ヴァーチャルなテキストベース」の性的コミュニケーションだという言い方もされる。

両者の違いは発生した文化の違いとも言える。
前者は元々TRPGから派生した遊びであり、TRPGのコミュニケーションを対面からネット上に移行させ
その中からさらにゲーム色を薄めてキャラを演じる部分をクローズアップさせるコミュニティが派生して成立した。
PINK板においては「ピンクのキャラサロン」板、ならびに当「ピンクのオリキャラサロン」板で行われている遊びであるが
両者は同じところから発生したわけではないのは興味深いところである。
キャラサロン板は２ちゃんねるの「なりきりなんでもあり」板（なな板）と「キャラネタ」板から成人指定要素を含んだスレが移行して出来た。
したがってなりきりでのロールプレイばかりでなく、版権キャラに関する話題を包括しており、キャラ萌え、属性萌えスレも多数存在する。
一方オリキャラサロン板はエロパロ板において、コテハンによるスレ占有禁止問題が浮上した時に分割された板である。
閉鎖的な目的でのスレ立て禁止はPINK板全体に関わるルールであり、特定の設定上で作られたキャラ「のみ」が遊べるスレは
板ルール違反とみなすという運営判断によって、なりきりのキャラハンは閉鎖的コテハンとして創作系の板では共存できなくなったのである。
オリキャラサロン板は「コテハンによる閉鎖的利用を限定的に認める板」として、一種の隔離板のような機能を持たされたのだった。
そのために他の板では禁じられている個人スレも例外的に認められている。

これに対してスレHは完全に風俗ルーツの板である。
テレホンセックスという風俗営業がすでに存在し、インターネットの普及によってそれが２ショットチャット、チャットHになるにつれ
２ちゃんねるおよびPINK板でも同じ遊びをする利用者が増えてきたために、専用の板が設けられた。
PINK板を２ちゃんねるから切り離す大きな原動力の一つともなった板である（こればかりが原因ではない）

風俗チャットのBBS版であるスレHとオリ板・サロン板で行われるなりきりロールプレイとの接点については項を改め
次項以降で流入問題に触れていくことにしたい。

エロールとスレHは何が違うのか。
キャラになりきるかどうかの違いというのが良く言われるところではあるが
スレH板にもキャラ口調でプレイするスレがあるし、シチュスレでメイドや女子高生などリアルとは違う設定でプレイするのも、
見ようによっては広義のなりきりだと言えなくもない。
少なくともスレH住民でこうした非日常シチュを楽しむ利用者からは、オリキャラでのエロールもシチュスレでのスレHも同じにしか見えないらしい。
そしてオリ板でスレHをやって顰蹙を買う。
スレH板住民にとっては同じようなものでも、オリ板（ならびにサロン板）住民にとってロールとスレHは違って見えるのだ。
ではスレHプレーヤーにはわからないような小さな差異の、何がそんなに迷惑なのであろうか。

・中の人会話
一応【】でくくることによってキャラのレスとキャラハンのリアル会話を区別しているが
なりきりの板なのだから、なりきっていない状態＝中の人のレスは最小限に留めるのがマナーである。
一方、スレHにおいては「リアの状態」を告げることは相手の興奮を煽る一つのテクニックであり、場合によっては推奨されてさえいる。
たとえばメイドプレイのシチュスレでメイドとしてのレスを書き、そこに「今リアで○○してます（必ずしも【】でくくる必要すらない」と書き加えて
相手のレスによって本当に性的興奮を感じているのだと知らせ、自分がその会話を楽しんでいる証明とするのである。
しかしキャラを演じ、シチュエーションを演じるのが目的のオリ板では、背後をうかがわせることは最大のタブーなのだ。
メイドさんが【リアで濡れちゃってます///】などと書いたりすれば、興奮するどころか萎えるのがオリ板住民なのである。

・短文、描写薄、即ヤリ
個性だといってしまえばそれまでだが、（）内が淡白なレスや行為に至るまでの会話がおざなりなロールはスレH的だとして嫌われる。
スレHは性的欲求を満たすためにレスしあう遊びだから、喘ぐだけでもオカズになりさえすればいいのだが
キャラになりきり、キャラとして振舞うことを楽しむ場では「ヤってりゃいい」という流れは物足りないのである。
したがってどうしてもレス文字数が少なくなりがちな携帯ユーザーも、どちらかといえば敬遠されている。

スレHが性的欲求を満たすためのお手軽なコミュニケーションだと思われているのに対し
キャラハン（の相手をする名無し）はキャラを演じ、キャラ同士のドラマを構築するのが目的でロールプレイするのであって
エロールはあくまで演じることで生じた一つの結果でしかない。
スレHとエロールはヴァーチャルセックスを目的として始めるか、結果としてやるかの違いだとも言えるだろう

イメチャ（イメージチャット）という遊びがある。
要は風俗イメクラやコスプレソープのチャット版で、メイドさんとご主人様、とか女子高生と教師、など
ある程度の設定を作ってネットセックスを楽しむ遊びである。
一年ほど前、イメチャの大手サイトが閉鎖した。
理由は出会い系サイト規正法による規制と監視が厳しくなって運営者がユーザー管理をしきれなくなったためで
他のイメチャサイトも次々と閉鎖もしくは縮小していった。
このイメチャサイトユーザーが大挙して似たような遊びであるなりきりサイトに押し寄せている。
その一部（というより相当数）はスレH板にも移住しているようで、PINK板馴れしていないユーザーが時期を同じくして増加している。

スレHはその成立の経緯から住民同士の目が意外と厳しく、自治の激しい板でもある。
出会い系利用、18歳未満の利用による閉鎖の危機が過去に何度もあり、その都度住民の自治で乗り切ってきた。
不慣れな利用者がはしゃいでいるとたちまちIDストーカーの標的になり、激しい叩きの対象となってしまう。
その点、自分と違う人格の皮を被れば個人スレも立てられるオリ板は、ハードルが低く感じられるのかも知れない。
過疎だから出会いのチャンスが少ないと考えるか、スレHよりも人が少なくて自由だと感じるか
時折、オリ板内での活動実績がないキャラハンがいきなり個人スレを立てているのは、後者だと思われる。
そしてたいてい中身とキャラを使い分けられず、自滅する。

意外なことに、スレH住民がキャラサロン板へ行きにくい理由の一つに「ID表示がない」ことがあげられる。
IDがなかったら成りすましや荒らしを見分けられない、というのだ。
複数キャラを使い分ける必要からID非表示を選択しており、そのために見かけの住民がオリ板の数倍になるサロン板であるが
キャラではなく中身同士の付き合いが眼目のスレH住民にしてみれば、中身個人を見分ける方法がない板は使いにくいらしい。
トリがちがったら同キャラでも別人、というサロン板独特の文化を理解するのも、ハードルの一つになるようだ。

ことほどさように垣根の低いスレH板とオリ板であるが、オリ板住民からすれば独自の文化と利用法があり
擬似性行為に関するレスはすべてスレH板で、という見解が運営側にあるとすれば不本意なものだろう。
オリ板の独自性と、スレHとの共存の可能性を次項で考えてみたい。

おまけでいいのでオリキャラ板現況・雑感なんかも考察ヨロ
ちゃんと読ませてもらってる

もしエロールがスレHであると認定され、オリ板がスレH板に吸収された場合、一番困るのは文化の違いよりなにより
避難所利用が限りなく困難になることではないだろうか。

住民のほとんどは、オリ板に最も近いカテゴリの板はキャラサロン板だと認識している。
PINK板でなりきりをするのならこのどちらか、版権ならサロンへ、オリキャラならオリ板へ、というのが一般的な認識だと思われる。
その認識は「ピンクのキャラサロン板避難所の避難所」によって補完されてきた面もある。
ここはまさに両板の避難所として最も大手であり、両板の住民を受け入れてきたことで双方の流通を促してきた。
規制があってもこの避難所があるおかげで連絡が取れ、カップルもスレ住民同士もバラバラにならずに関係を続けていける。
PINK板のサイトルール的にはグレーゾーンではあるが、運営もこうした避難所の存在はある程度黙認しており
これを出会い系利用とはみなしていない。

スレＨ板には避難所がない。
板の設立理由からして風俗サイト利用に傾きやすいスレHでは、外部サイトへの誘導そのものが厳しく禁じられる文化がある。
中には削除までのタイムラグを利用して、あえてメアドを晒したりする直結厨（リアル出会いを目的とした利用者のこと）まで居るのだから
住民としても過敏にならざるを得ないのだろう。
実際、スレＨ板での外部誘導は運営の対応も早い。
そのために今回のような規制が多発すると難民板や、中には２ちゃんねる本体でスレHをするような連中が多数発生してしまう。
今回の越境問題もそこに端を発したわけで、隔離板としての機能が働かなくなってしまったために起こった構造的な問題なのだ。

キャラサロン板とともに、オリ板も避難所の避難所サイトを利用するのを前提として活動している住民がほとんどである現状を見れば
それが禁じられるだけでも、なりきり関係の住民には大打撃だと言えるだろう。
そして上記のような構造的な問題は放置されているままであれば、今後も同じような越境問題は規制のたびに発生すると思われる。