今から200年程昔
少年が子猫を山で拾った
野猫が親からはぐれて衰弱していたのだろう
空腹で動きたくない子猫は近付いても逃げ出さず、あっさり捕まった
「こいつに食い物を守らせよう」
ネズミや害虫を追い払ってくれる猫が居れば何かと役に立つだろう
胸に子猫を抱いて少年は山遊びを終えて帰路に着く
非常食にと持ち歩いてる干物を噛み潰して唾液で柔らかくしたのを鼻先に差し出すと食べた
「ヨシヨシ、家に帰ったら、もう少しマシな食い物をやるからな」
「ゴロゴロ‥」
食べ物を与えられ警戒をといた子猫は喉を鳴らした
「母さん猫だよ、これでネズミを退治できる。」「山菜じゃなくて猫を取って来たのかい。」
「ワラビやゼンマイ‥それとシメジを見つけてるよ」
「それは上出来ね。ご飯にしましょうか。猫にも何か作るね」
味噌汁のダシに使った煮干しと少しの味噌汁を粥に掛けて冷ましてから猫に与える
「ニャ‥」
はむはむ食べる子猫は椀の中身を空にしたら寝てしまう
「あらあら、図太い事、警戒しないのかしら」
「僕に懐いてるのさ」
子猫は成長して期待通りにネズミにゴキブリを殺してくれた
月日は流れる。少年は青年になり『影炎』の名前を貰って忍者となった
影炎は忍務を幾つかこなして里の人達に一人前と認められ妻を娶る
猫は寂しかった
自分が‥人では無いから少年にしてやれる事が少ないし
任務に着いては里を離れる
母親も妻も子供も大切な家族で猫に優しかった
愛されてるのに恋しかった
猫は少年の為に家を守り続けた
少年は里に帰って来た
片腕と引替えに
影炎は忍者としての経験を後世に残す為に生きた。
子供達に忍術を教え、技術を書き残した
影炎は師範として里での地位を高め
それなりに幸せだった。猫も毎日抱いて貰えて幸せだった
月日は流れる‥美味しいご飯を与えてくれた母親は死に
子供達は一人前の忍者になり里から出てしまった。
そして猫も少年から離れる時が来てしまう
突然に猫は消えて
妻は影炎に言った
「猫は死ぬ前に旅立つのよ」
任務に生き残った子供達が孫を見せてくれた頃に妻は死んでしまう
畑仕事に励む働き者の良い嫁だった
少年は‥寂しさを紛らす為に山遊びを再開する
ある日‥少年は野猫を見つける
懐かしいサバトラ柄の猫を
「ミーコ‥」
思わず声を掛けた
猫はうろたえる
少年も驚く野猫には尻尾が2本有ったから
「ミーコなんだろ、戻ってこい」
「私は妖しです。尾が2つになり、話しも出来ます。人の世には戻れませぬ」
「では、私がそちらに行くから逃げないでくれ」
「あなたには妻も子供も居られます。どうか戻って下さい。」
「妻は死んだ、子供達は自立した。だから未練は無い。ずっと感じてた、お前に恋してたと。だから、私はそちらに行く」
「私もです‥好きでした。あなたが私の総てでした。」
「なら、共に生きよう」少年が猫を抱き締める
すると猫は人の形を成した
「山の神々が許してくれたのだ、共に生きようミーコ」
「ああ、許されたのでしょうか?ずっと願ってました、影炎との恋を‥」
2人は人里を離れて山奥で暮らすうちにミーコは子猫を産んだ
「やはりミーコは猫なのだな」
一年経つと子猫は喋り出した
「とうさま‥なでなで」「既に妖怪なのだなぁ‥」
喋れるならと少年は持てる知識と技術を総て教えた。
子猫は年と共に大きくなり、10才になると犬より大きくなって尻尾が2つなった
「尻尾はえた!2つになった。」
子猫はミーコを見つめて真似てみた
子猫は幼女に姿を変えた
「出来た。エヘヘ」
それから10年は本当に楽しかった
子猫は、影炎とミーコの総ての技と知識を習得した
ただ‥尻尾を隠せなかった
そして少年の寿命が尽きた
ひっそりと寝たまま息を引き取った
ミーコは悲しみ‥少年を埋めた上から動かなかった。
子猫は母親まで死なせたく無いからせっせと魚や果実をミーコに運んだ
何もしようとしない母親の面倒を見続けてる間に人の世は何度も戦争をした
山奥からでも沢山の人が死ぬのが分かった
「あの人の子供達は生き延びれてるのかしら」
「私の異母兄弟達なら‥とうに寿命で死んだでしょう。」
「もし子孫が居るなら助けないと‥人の世は酷い有様だわ」
「行きましょう母様‥」大戦がミーコに生きる気力を取り戻した
親娘で山を降りて‥そして色々な人と出会い
日本が平和になるとミーコは安心して山に‥少年の墓に戻った
娘は宏美と名乗り、ウロウロしてる
そう、あなたの読者の隣人かもしれない。
【名前】有栖川 礼(ありすがわ れい)
【性別】男
【年齢】20才
【身長】172cm
【体重】70kg
【外見】長髪の黒眼鏡
【備考】超能力者
【経歴】高校を卒業後、親から離れたくて派遣会社に登録して独り暮らしを始める。
真面目に働かず、見知らぬ土地で超能力を使った盗み繰り返してた。
金が溜まると放浪の旅に出て、行く先々で盗みをして旅費を稼いだ。
この街に来た時に宏美に見つかり捕まる