【妖魔】現代退魔戦記 第九章【退魔】

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938戸田瑞希 ◆3gLUZ2c4N.
「あら、ご主人様?」

『ご主人…様……?』

不意に姿を現したご主人様に対しても、誘うような流し目を送ってみせる。
その間も、手は男の股間を撫で擦り続けていて。

「ふふ……もうこれで宜しいのですか?
 せっかくこれからこの男を射精のことしか考えられない獣にして
 野に放とうと考えていましたのに……」

『ぐぎゃあぁあぁぁぁぁあぁっっ!』

「ああん、勿体無い……んふっ、血と精液のいい匂い。
 そうですね、発情…しているのかもしれません。
 まだ繁華街までは距離がありますけど……」

即座に態度を切り替えられるわけでもない。
支配者にして奴隷の中途半端な状態で話すのは、本当に久しぶり。
ご主人様の笑みに対しても、比較的余裕のある態度で応えることができた。
――もっとも、欲情に潤んだ瞳で説得力があるかといわれれば怪しいのだが。

ぶくぶくと泡を吹いて転がっている男を一瞥すると、ご主人様の方へと擦り寄り身体を預けた。