>>712 【そっちがこっちのことを知っているっていうのも面白いかもな。
知覚者を探してるなら、それなりの情報は持っているだろうし】
【ま、オーケー。そっちがそれでいいなら、それに答えるさ。
んじゃ、早速行くぜ。よろしくっ!】
……ちッ、情報が足りなさ過ぎるんだよ。
(小型のコンピュータを呼び出し、ディスプレイに表示される文字の羅列と
いくつかの写真が表示される。それに毒づきながら、草むらから怪しげなふたりを眺める)
今回の依頼は……あのふたりの撃退…か。
遺跡ってのはエレメントが豊富に溢れてるパワースポットらしいし、あいつらの狙いもそれかな…?
それにしちゃ、用意がなってねぇ…っていうか、あいつら二人だけなのか?
(双眼鏡からターゲットであるふたりの顔を見比べて)
兎に角、小手調べに仕掛けて見ますか―――ッ!
(転がるように草むらから飛び出すと、真っ先に『リーダーらしい男』の方へと向けて突撃する)
悪いな、兄ちゃん! ここから帰ってもらうぜ!!
さぁ…、俺に力を貸せ! 『欠刃』…ッ!
(鞘から剣を抜くと同時に、ふた振りしかまいたちを男へと鋭く放つ)
…襲撃。
下がって下さい、プロフェッサー。
(草一郎の放ったエレメントのカマイタチ。)
(それが放たれる瞬間に、水蓮がそちらに向き直り、軌道上に動いた。)
(瞬時に、その髪留めが薄く輝き、伸び上がった髪が広がる。)
…威力、減衰します。
(水のエレメントの膜と化した髪が彼女の前面に展開され、不可視の刃を防ぐ。)
(元が固体ではないもの同士。だが、空気の圧力で出来る刃は、水の膜を大きく撓ませ、横へと逸れた。)
(弾けた水が粒となって、空中に飛散する。)
…風の刃…風のエレメント知覚者ですか?
この辺りを根城にしている人がいるとは聞いていませんが…。
水蓮、とりあえず応戦を許可します。
(プロフェッサーがそう言って、遺跡の傍に止めていたトレーラーの中へと退避する。)
…さて…前回の忍さんの時のこともありますから、一応アレ、用意しておきますか。
(言いながら、トレーラーの中で何かを操作し始めるプロフェッサー。)
【では、宜しくお願いします。】
>>714 ――っと!? なんだっ?
(その様は大昔から伝わる『妖怪』の様でもある。
突如として自由自在に変化する髪の毛に戸惑いながら、目標をその女へと変える)
それにしても、姉ちゃんが相手だとやりにくいことこの上ないな……。
(元来、女だとか子供だとか、そういう類の相手は苦手としていた。
傷つけることに抵抗感を覚え、そのために危機に陥ることも多々とあった)
とはいえ、手加減出来るような相手でもなさそうだしな……どうしたもんだか。
(軽くため息をつきながら、水蓮を中心点として弧を描くように走り、様子を伺う)
あんたたちには悪いんだが、俺の依頼主が遺跡を荒らされるのを嫌っててね。
他のところを当たってくれねぇかな?
(言いつつも、足のバネをよく使って、地に生える雑草を踏みしめて跳躍する。
太陽を背中に、くるりと一回転するとそこに『空気の壁』があるかのように空中を蹴り飛ばし水蓮に向けて剣を振り下ろす)
…。
(水蓮は、構えもせずに草一郎の方に向け、立っている。)
(ゆらゆら、と水のように陽光に輝く髪だけが無重力の中のように動いた。)
(草一郎が動いているのに合わせ、足掏りだけで身体の向きを変え、常に彼を正面から捉えられるようにしつつ。)
…プロフェッサーの判断なしには、出来ない相談です。
(ゆら、と髪が動いた。)
(同時に、草一郎が振り下ろした斬撃が、掠れるような音を立てて横に逸らされる。)
(髪ではない。舞う髪の影に隠れるようにして、いつの間にか彼女の手に握られていた黒いナイフが、その一撃をいなしたのだ。)
(振り下ろされる刃を目前にしてすら、その静かな表情は変わる事はなかった。)
(恐怖心がないのか、それとも恐ろしく戦いに熟達しているのか。)
(それを伺い知る事すら、その表情からは読み取る事が出来ない。)
>716
へぇ…お前さんはあの兄ちゃんのことを『プロフェッサー』って呼んでるのか。
まっ、これも貴重な情報のひとつっていうわけだ。
(そうおどけながらも、弾けられた剣を持ち直し返し刃を放つ)
……お前。
(人間ならば、危機を直面したとき、必ず何かしらの動きを顔に見せる。
それが無い。つまりは、これが日常なのか、それとも元々そういう『欠陥』を持っているのか。
それをその一瞬では推し量ることはできなかったが、油断なら無い相手ということは認識できた)
姉ちゃん、あんたの名前は?
…俺は刃守草一郎。便利屋をやってる。
さて、俺が聞きたいのは、なんであんたたちがここを狙ってるかってことだ。
確かにこういった遺跡にはエレメントの源泉になってるってことは多い。
……ここで問題なのが、エレメントの源泉…つまり遺跡を狙うのはだいたい金目的のヤツらばかりということだ。
だが、あんたたちはそうは見えねえ……。何が目的だ?
(斬、斬、斬。鋭い一閃を次から次へと放ち、まずは水蓮の動きを止めることを狙う)
…。
(草一郎の言葉に、水蓮は答えない。)
(ただ、的確にその手にした黒い刃で彼の斬撃をいなす。)
(反撃するでもなく、その勢いを逸らすように。)
…その問いに答える事は出来ません。
私の仕事ではありません。
(問いにも、短くそれだけが返ってきただけであった。)
(息もつかせぬ連続攻撃を、最低限の動きだけで捌いていく。)
(まるで、機械が目の前の動作に対応するかのような精確さ。)
(身体をまともに捉えない斬撃には、刃を当てる事すらせず、足捌きだけで身体をずらして回避する。)
私達は、調査でここに来ているだけです。
盗掘屋の類ではありませんよ!
(黙して語らぬ彼女の代わりに、トレーラーからプロフェッサーが声を出して返答した。)
…刃守?
何処かで聞いた名ですね。
貴方、刃守一族の人間ですか?
(プロフェッサーがそう言葉を紡ぐ。)
(刃守一族。裏社会で名を馳せるその一族の名は、彼も知るところであった。)
>718
………へぇ、アンタもプロってわけか。
(鋭く目を細めて、剣を払っていく。
一見攻勢だが、徐々に反応がズレてしまう。それだけ彼女は的確にこちらの刃を反らす。
だが、それを表情を浮かべるわけにはいかない)
…兄ちゃん、調査目的ならちゃんと手続きを取ってくれよ。
ただでさえ、このご時勢治安はよろしくねーんだからよ。それとも何か?
他人にバレちまったらいけないようなことでも調べてるのかよ。
(言葉を呟きながら、意識は剣の先へ。
少しでも根元へ突き刺そうと、集中する。一瞬でも彼女より疾く。
僅かでも彼女の捌きより多く手数を増やし。秒単位を頭の中ではっきりと意識できるほど、集中力は研ぎ澄まされる)
……ああ。そうだな。『一応』は。
今となっちゃ『失格者』、つまり破門状態のようなもんだけどな。
それがどうかしたか? ……あぁ、俺をネタにヤツらとコネを作ろうとしても無駄だぜ?
それだけ俺はあいつらから見下されてるからな。
はっきり言いましょう。
調査しようとしても、させてくれないのですよ。
むしろ、私としては後ろ暗いところがあるのは、そちらの依頼者なのではと思うのですけれどね?
(そう言いながら、プロフェッサーが何かを端末に入力し終えた。あとは、これを使う事がなるべくない事を思うだけだが。)
…。
(草一郎の手数が増強されたのを感じ、水蓮の髪が動いた。)
(リン…と僅かな刃音を残し、空いていたもう一方の手にいつの間にか黒い刃がもう一つ現れる。)
(双対の黒刃が、草一郎の斬撃に対応する輪踊のように舞う。)
(刃の擦れ合う音と鉄の散らす火花が二人の間を踊り、己の位置を確かなものにする足捌きが、土煙を起こす。)
(会話という気逸らしがない分、水蓮のいなしは的確さを損なわない。)
(反撃がないのが、草一郎にとっては救いだった。)
コネですって?
私みたいな一介の考古学者が何故、あんな人達にそんなもの作る必要があるんですか。
(嘆息し、肩を大袈裟に竦めるプロフェッサー。)
私が必要なのは武力じゃない。
こっちですよ。
(そう言って、とんとん、と額を己の指で叩いた。)
……俺も胡散臭いとは思ったけどな。
だからと言って、あんたがここを無断に調べてもいいという理由にはならないだろ?
ま、それに今月の俺の生活費もピンチでね。ここで稼いでおかないと、飢え死にしちまう。
最近また物価が高くなっちまったしな……。
(それにしても、彼は何をしているのだろう。自分の身を守るために彼女を楯にした、というわけでもなさそうだ。
そちらについても気を配っておくかと、頭に入れて、今は目先のことに集中する)
………くそっ。
完全に遊ばれてるなぁ……でも。
(彼女を叩きのめすのなら、その今だ。本気を出しているのかいないのか、
それは兎も角として、反撃を行わないというのはこちらのアドバンテージとなる)
ふぅん……、いや?
ま、それは兎も角として、だ。今ならお互いに怪我をせずに済むと思うんだが。
アンタがここで退いてくれりゃ俺は報酬金を貰えるわけだし、あんたはその後でここの調査をすればいい。
………さて、どうする?
(と言いつつも、外在するエレメントを意識し、それを自分の周りに集めようとする。
少しずつ、刃を打ち合う二人の間につむじ風が吹き)
…ふむ。
私としても、怪我をしたりするのが好きなわけではありません。
そもそも、戦いが好きなわけでもありませんしね。
(提案に乗るか、そう考えた矢先、水蓮と草一郎の間につむじ風が巻き起こる。)
…っと。
まぁ、いいでしょう。
しかし、去る後ろから撃たれても気持ちのいいものではありませんのでね。
水蓮!≪モード・ピアノ≫を許可します!
(その言葉と共に、水蓮の髪がざわり、と蠢いた。)
(同時に、トレーラーの後部からボン、と何かが射出される。)
(それが、大量の水だと気付くまで、僅か数秒の事。)
(うねる水流が、水蓮と草一郎の間に雪崩れ込み、激しく彼を押し流す。)
(量にしては大した事はなかったのだが、局所的に水圧をぶつけたため、それは予想以上の押し流す力となった。)
【そろそろ〆に入りますね。】
>722
――――なにっ!?
(圧倒的な水流に体躯は、激しく吹き飛ばされてしまう。
気づいたときには遅く、近くの木の幹に叩きつけられる)
く、そ………。あの野郎…!!
こほっ、こほっ……鼻に水が入っちまったじゃねーか…服もびしょびしょ…。
クリーニング代、出せよォォ!!
(叫んでも遅く、既にふたりはトレーラーと共に姿を消し、どこかへと去ってしまったあとだった)
…ま、兎に角、依頼完了っと。
何にせよ、あのままやりあってたら、俺の方がやれてたな…。
無事だっただけでも儲けもんってところか…。
(剣を鞘に収めると、ため息をついてその場をあとにした)
【それじゃあこっちはこんな感じで締めっ。
付き合ってくれてありがとさん。また機会があれば付き合ってくれよノシ】
刃守君ですか…今度会う時は、戦うような状況でない事を祈りたいですね。
(ずぶ濡れになった草一郎を残し、走り去るトレーラー。)
(その上に、髪を駆使して飛び乗った水蓮。)
(エレメントの能力を戻し、艶やかに戻った黒髪が、風の中なびいた。)
…刃守 草一郎。
(砂煙の中に今は見えなくなった、小柄な少年の姿を追うように、僅かに顔を後ろに向け、呟く。)
(手にした特殊硬質ナイフは無数の刃欠けが生じ、その連続斬撃の凄まじさを物語っていた。)
(エレメント能力なしの状態でならば、水蓮に分があったのは確か。)
(だが、それにエレメント能力が加わればどうか…?だが、それ以上に。)
…甘い男。
(殺意の篭っていなかった刃。)
(それ故に、反撃をしなかった。もしかすると、刃を逸らさなくても、彼ならば刃先を止めたかもしれない。)
(それは、彼女にとってプロフェッショナルとしてあるまじき行動だった。)
【それでは、こちらも〆で。】
【もしよろしければ、いずれエロールの方もよろしくですよw】