――目覚めよ優希、我が主よ・・・・
黒い鳥が啼いた。
深夜、佐々木優希の自室である。
黒い髪を腰まで垂らした痩躯の青年が、ベッドに腰掛けている。
青年といっても、その纏った雰囲気は普通の生き物が纏えるものではなく、
何百年となく確固として存在し続けてきた存在だけが纏えるものである。
猛禽のように鋭い双眸が、現在の主を見つめ、目覚めを待っている。
「・・・・・・疾く、目覚めよといっておる」
案外短気なのか、ぺちりと額を叩いて強制的に覚醒を促す。
頬に刺激が起こり、私の睡眠は妨げられた。
自慢じゃないが、私の寝起きは酷く悪い。それが妖魔を退治したあととなれば。
心身ともに疲れきっているというのに、満足に休眠も与えてくれないのか。
不機嫌になりつつも、仕方がなく、ベッドから身を起こした。
「……レディの寝込みを襲うとは、不道徳ですよ。闇烏」
彼が姿を人間に化かしているのには驚かなかった。
これが初めてというわけではない。過去にも何度かこういうことがあった。
カラスの姿に変えているときもあれば、凛々しい乙女の姿にも変えてきた。
だが、特にそこあたりにこだわりはない。なにせ、彼、と言って良いのだろうか、彼は性を超越した存在なのだから。
「……で、何か用事ですか。私の睡眠を妨げたということはそれなりの理由があるのでしょう?」
「淑女と呼ぶには、汝は些か慎みやその他諸々が欠けている気がするのだがな」
皮肉気に闇鳥が言う。
彼――或いは彼女というべきか、――は時に優しく、時に厳しく、時に軽薄に、
彼女に語りかける。長い時代、様々な人間の手を渡り歩いてきた闇鳥は、その時の
主の人格の影響を受ける。もとより性別は超越している存在である。
今の主が望むなら、男にも女にも成れるのだ。
「用事か。何、少々主が行き詰っているのを感じたのでな、少し語り合う必要を感じたまでだ」
そこまでいってから、首を傾げ、
「ふむ、現代風の言葉使いに挑戦してみようと思うのだが、よいかな?」
「―――むっ。紳士じゃありませんね、闇烏。紳士ならば女性すべてを丁重に扱わないと」
慣れた口調で、文句を返す。
こんなのはただの挨拶が過ぎない。彼はいちいち本題に入るまでが長いのだ。
冗長というべきか、それとも洒落が利くというのか。
まあ、そんなことはどうでもいい。
今の私の機嫌は大暴落中。ストップすることなく、底辺へと突き進んでいく。
明日も学校があるというのに、さっさと話を終らせてもらいたいものだ。
「……行き詰まり、ですか」
心当たりがないことはない。
ただ、心当たりが在り過ぎて、それのどれかが分からないというだけだ。
しかし、彼に心配されるほどの心当たりもないというのも事実だ。一体何を語ろうというのか。
「とりあえず、座ってください。話はそれからです。
そんなところに立っていられたら、まるで寝込みに襲いに来た強姦魔みたいですよ」
ばふばふとベッドを叩き自分の隣に座るよう促す。
「今のままでも充分だと思いますが。出来るならやってみたらいかがです?」
―――本当に本題に入るまでが長いのだ、こいつは。
彼女に言われたとおりに、寝台へ腰掛ける。軋む音はしない。
羽毛のような動きである。剣である闇鳥は、同時に武術の達人でもある。
かつての使い手達の動きを彼自身が模倣しているからだ。
時には、その真髄を夢で、今の主に伝授することもある。
しかし、今の優希では、それを使いこなすだけの器が出来上がってはいない。
「では――優希よ、お前の求める強さについては理解しているつもりだ。
だが、それは退魔の者なら一度は夢見て、しかし到達できた者は極僅かだ」
静かに語る。
その言葉の重厚さは、言葉使いを変えても変化がない。
「万民の盾を名乗る者達ですら、志半ばで刃を折る。
俺はそれを目の当りにしてきた。あの鬼切りの刃ですらそうなのだ。
果たしてお前に、それを超えて大切な者を守りきるだけの力を得られるか」
嘆息する。確かに彼女は未熟だが、その分伸びしろはある。
可能性だけなら、歴代でも最高峰といってもいいだけの期待感はある。
だが、その力を開花させるまで、生き延びることができるか?
「では、簡潔に答えましょう」
答えは既に決まっている。そして彼もそれを知っているはずだ。
なのに、今更訊ねて来るということは、それほど今の状況は芳しくないということなのだろう。
けれど、迷いは既に捨ててある。そう、ぽちゃんとどぶ川に。
「『到達できた者は極僅か』―――そう言いましたね?
前例があるということは、可能性は零ではありません。ならば、やってみせます。
それが出来なければ、私は誓いを忘れその肉を喰われるだけです。
……出来るか出来ないかの問題ではありません。やってみせるんです」
だから、そのためにはいかにしても生き延び続けなければならない。
いつどれだけ凶悪な妖魔が現れても、おかしくはない。
街で起こる怪奇事件が増発していることが、その何よりの証拠となる。
私はそのなかに身を置いているのだ。いつ死が訪れてもおかしくはない。そう、闇烏は伝えているのだろう。
「それぐらいのことはあなたも知っているでしょう?
……さっさと本件を伝えなさい。私にどうさせたいのですか」
精神論だけを語りに来たのではないのだろう。
そんなもの、誓いを立てたときからとうに承知している。彼が伝えたいことは、いかにどうやって私を強くするか、ということだろう。
「ふむ、聞くだけ無駄であったか。では本題に移ろう」
わかり切っていたことではある。
彼が主に選ぶのは、大抵このような気性の持ち主であるからだ。
「俺の真名を知り、解放する術を知ったとは言え、お前はまだ補助輪付の
自転車を漕いでいるようなものだ。いずれそれを外せる時も来るだろうが、
この街は、この俺ですら見たことのないような魔の巣窟だ」
この街に漂う妖気は只事ではない。
日夜、数多の妖魔と数多の退魔士が鬩ぎ合い、命を削っている。
そう遠くない日、今の主が死んでも決して不思議ではない。
だが。
「俺とて、今の主を簡単に死なせるつもりはない。だが現状はかなり不味い。
じっくりと力を育てている暇もないほどにな。そこで提案だ。俺と契れ、優希。
現代風に言うとセックスをすれば、俺の力をもう少しだけ引き出せるようになる」
それは、かつての主たちともして来た行為。
だから、口に出すのに躊躇いはない。
この腐れガラスはいきなり何を言うのだろうか。
……いや、言っていることはわかる。私もその理論はどこかで聞いた覚えがある。
眉唾物だと思っていたが、まさか本当に実在していたとは。しかも、体験を持って知らされそうになるとは。
「……あのですね、闇烏。私がそう簡単に、『はい、そうですか。ならそうしましょう』とでも言うと思いますか?
だいたい、私が性交を疎んでいるのは知っているでしょう?」
友人が亡くなった際、この私も犯され純潔を失った。
あまりの出来事に一ヶ月ほどは塞ぎ込んでいた覚えがある。
もちろん、トラウマではあったが、今となっては吹っ切れたのも事実である。
だが、こうも直球で要求してくるとは思わなかった。
「………はぁ。でも、そうでもしないと、この街は危険だということなんですね?
そして私自身の命も。 ……背に腹は変えられません。好きになさって下さい」
彼がやましい下心なく、提案しているのは分かる。
出なければ、今頃張っ倒しているところだ。それだけ私のことを心配してくれているということだろうか。
ともあれ、私のことを考えて提案していることには間違いない。無下にも出来ないだろう。
「気持ちは多少理解できるが、抱かれる時に嫌そうな顔をするな。
こちらの誠意も少しは理解してもらいたいものだ。この姿を取ると、
それだけで力を消耗するのだからな。お前自身の力が増せば話は別だが」
優希の腰に腕を回して引き寄せる。
羽毛のように軽い、そんな口付け。
その間に、この部屋の結界を張る。
「声を出しても構わん。存分に啼け、というか啼かすから覚悟しろ」
押し倒し、寝巻きを剥ぎ取って裸体を晒させる。
ほどよく実った乳房を揉んで、頂点のそれを舐める。
「仕方が無いでしょう? それぐらい印象が悪いってことですよ、性交というものは。
……ま、貴方のことは嫌いじゃないですけどね」
強引ですけど。
その言葉を紡ぐ前に私の口付けされてしまう。
強引なくせに、こんなに優しいキスをするなんて。
……やはり、敵わないなと思ってしまう。いいだろう、こうなったらとことんやってやる。
「いつもとは立場が逆みたいですね。…やれやれ。
どうせなら、骨の髄まで犯してもらいましょうか。……んっ…」
このまま流されるのも悔しいので軽口の一口ぐらいは叩いておく。
私は押し倒され、無理矢理に乳房を露出される。
やはり、こうされてしまうと流石に羞恥心も沸いて隠そうとするが、それより早く彼が私の頂きを啄ばむ。
「ん、は…っ。 カラスというのは、こんなものまで啄ばむのですか…?
案外、カラスもいやらしい動物なのですね」
そんな強情とは裏腹に、彼の愛撫は優しく丁寧でどう抗っても興奮し、反応してしまう。
もっとも顕著に現れるのは、胸の頂き。淫靡なほどまでに固く勃起している。
……敢えてそれをみないようにした。自分でも恥かしいから。
「優希、お前のためにも言っておくが、お前のされた仕打ちとこれとは別物だと言っておく。
愛し合い、睦みあうことこそが、人の原動力なのだからな」
愛している。愛されたい。
それはもっと人生を楽しみたいという言葉。
楽しむという感情。それも愛。
少なくとも、憎しみが生み出す力よりは前向きで生産的だろう。
乳房を寄せると谷間ができる。
なかなかに発育している。それに、まだ発育する可能性も秘めている。
それを開花させる相手がいれば、の話だが。
乳首を舐めて、吸う。
単純にしてディープ。
身体のそこかしこを舐め回して湿らせる。
ショーツをずらして、足首まで下ろす。
脚を開くように指示する。
「……分かってますよ、あなたのいうことは」
頭の中では。
要するに、私が割り切れてないだけなのだろう。
でも、もしかしたら、私もそう思えるような相手が現れたりするのだろうか。
……そんなロマンチックなことを考えたのは一瞬だった。
「あふぅぅっ! だめぇ…! 乳首、吸っちゃダメぇ…!」
意識しないように、と考えていたのに淫靡な刺激が胸の頂から走り、私の頭はそれだけで蕩けそうになってしまう。
乳房はやわらかく彼の指を受け入れて、歪に形を崩す。
彼の一挙一動に私は反応してしまい、声を裏返らせてしまう。
「ひゃうっ! は、はずかしいのにっ…! ぃ…あ…、くすぐったい…っ」
てらてらと彼によってコーティングされた唾液が、闇夜のなかでも月の光を受けて光っているように見えた。
それがより一層淫靡なものに見えて、私はますますいやらしい気持ちに落とされていく。
そして、文句を言う暇もなくずり下げられたショーツ。
脚を開けという要求に赤面してしまうが、ここでごねても仕方が無い。素直にその言葉に従った。
「わ、わかりました……。こう、ですか…?」
申し訳ない程度に生えた陰毛と、愛液で濡れる秘所が彼の目に曝け出され、
私はどうしようもなく恥かしさを覚えた。
割りきりが足りない。彼はそう思った。
しかし、この問題ばかりは半身である自分にも、決定的な解消法はない。
誰か――誰かは定かでないが――彼女を自分とは違う意味合いで支えてくれる
者が現れれば。しかし、当分そういう者が現れることはないかも知れない。
どうにも、自分の主は男運がない。
例えば、例の金髪の少年とか。
例えば、例の赤茶髪の青年とか。
例えば、例の半妖の青年とか。
開かれた脚の奥にある花弁。
それに口をつけて、再び舌を活躍させる。
時折吸い、そして舐める。
蕾を開花させ、蜜を垂らすという行為は何度となく行ってきた。
繊細に、時に大胆に。
数百年の間に培った技巧が少女の身体を蕩けさせる。
「ちょ…、ちょっと待って…! ひぅ、あひっ…!! らめぇっ…」
手馴れているとは思ったが、認識が甘かった。
手馴れているどころではない。これではどんな淑女であろうとも身体を開かずにはいられないだろう。
まるで天地がひっくり返るような感覚さえ覚えてしまい、正しい認識が出来そうにもなかった。
余りの快感に、口の端から垂れ落ちる唾液にも構えず、ただなされるがままに行為を受けていた。
快感はどんどん高められ、愛液は留まることを知らず、尿を漏らしてしまったかのようにベッドのシーツに拡がる。
「あはっ…! だめぇ…っ、おかしく、なるぅ…!! ひぃんっ…気持ち、いいよぉ…!」
まるで自分の殻を壊されていくような感じを受ける。
ヒクヒクと秘裂は動き、クリトリスは完全に勃起してしまっている。
このような淫獄に耐え切れるはずがない。私はいつしか彼の頭を手で引っ張り寄せて自分から求めていた。
「もっとっ、もっと、舐めてぇっ…! もっとぐちょぐちょにしてぇぇっ…!」
「そうだ、もっと啼け。精神を解放しろ。享楽に耽るのは人として正しいのだ」
泣き喚く主。よがり狂う主。
その反応が演技ではない証に、花弁が次々と蜜を吐いている。
技巧と経験では、天と地の差があるのだから。
自分の主が先天的な淫乱だとは思いたくない。
どういうわけだか、感度はよいのだ、我が主は。
貪欲に快楽を貪り、更なる快楽を求める。
花弁に押し付けられた唇が、新たなる動きを示す。
花弁に舌を差込み、内側を丹念に舐めまわす。
流れ出る新たなる蜜を啜って、音を立てる。
「なんというか、やはり彼氏は必要だと思うぞ」
日々の生活の中で、欲求が溜まっていたのだろうか
色々な意味合いで、やはり連れ添う相手が必要だと思う。
そう簡単に具象化もできないし、そもそも自分に依存されても困る。
「そろそろ頃合だな、準備はいいか?」
「うぅ…馬鹿ッ! こ、こういうときにそういう話題持ち出しますかっ…!
私がこんなに乱れているのは、あ、あなたが上手だからですっ!」
これでは私がまるで常時欲求不満であるかのように聞こえるではないか。
もしかしたら、少しは私にマゾの気があるのかもしれないが、それにしても、彼の腕は尋常ではない。
秘所をこれだけ舐られて、貞淑でいられる女なんてそうはいないだろう。
「か、彼氏なんて……そんな必要じゃありませんっ!
……イイ人が現れたら話は別ですけどね」
残念なことに、今まで出会ったなかではそんなにぴんとくる人はいない。
本当に男運がない。こうなったら女性にも手を出してしまうか。
…考えていて虚しくなってしまった。どうしてこうも、雰囲気をぶち壊すのか、このおんぼろソードは。
「…え、ええ。 ……どうぞ、やっちゃってください」
もうおどけることでしか虚勢を張ることが出来なくなってしまった。
自分から脚を開いて、指を添えてまであそこを広げているし。
………ええい、もう考えるのはよそう。
「だからと言って、女性に走るのは何というか・・・・
いや、今までの主には例外なく大切な者がいたからな」
守るべき者。守りたい者。
それがあるから人は強くなれる。
それがあるから、人は強くなろうと願う。
そんな者達の願いに応える為、彼は存在している。
人を守るための漆黒の翼にして刃。それが闇鳥の存在理由。
「もう少しマシな強請り方を覚えた方がいいな・・・・」
怒張した男根を模した物を、股間に出現させる。
濡れた花弁にソレをあてて、ゆっくりと挿入する。
「勝手に人の思考を読み取らないで下さいっ!
……大切な者、ですか」
大切な人。
それは既に失くしてしまっている。
守るべき人なんていない。でも、私は誓った。
もう、同じような悲しみを味わう人をひとりでも出さないようにすること。
誰かが痛みを覚えて、誰かが悲しみを覚えて、誰かが苦しみを覚えるこの世の中で、
私の大切な人だった友人のためにも、私は戦い続けたいと願う。
―――――それが、私の戦う理由。
「強請り方って…どういうねだり方ですか…。……んっ…、は…!」
みちみちと秘裂を押し広げる感覚が股間にじわじわと広がる。
痛みはするものの、少しはそこが濡れているためか、確実に挿入されていく。
「んんっ…くっ…、ぁっ…! は…、奥まで、入り、ました…っ」
ごつごつと彼のものが奥に当たっているのがよく分かる。
それだけでも眩暈を起こしそうになったが、ぎゅっと彼の身体を抱きしめて快感を堪える。
――勝手に流れ込んできたんだから、責められてもな。
そもそも、悔恨や復讐の念で刃を取る者は早死にする。
――忘れるな優希。俺は闇の果てにある光。
お前の戦いも、闇の中で光を齎すものでなくてはならない。
――それは仲間に限らず、お前に敵対する者にすらそうでなくてはならない。
そうでなくてはお前の理想には届かない。
言葉にするのもなんなので、直接精神にメッセージを送り込む。
「つまり、もっと色気があるやり方をだな・・・・まあいい。
相手がいないなら俺が仕込んでやる。これから毎晩」
冗談のようなことを言いながら、膣に挿入する。
ゆっくりと、動かす。痛みを感じさせないやり方もあるが、
ここは普通にするべきだろう。
時間をかけながら、膣を擦って刺激を与える。
―――それを口にするのもどうなんですか。
仕方がなく、溜息をついて許してやった。
心得ている。ただ単に戦うだけではいけないことを。
本当に、妖魔と人間の共存を願うのなら、殺し合いなんて持っての他である。
だが、今の状況はそれを許してくれない。その状況の中で、敵にも光を、というのは難義な業である。
それをこなす為にも、やはり強さは必要であるということは分かった。
「…まっ、待ってください! そ、そんな毎日やられたら、本当におかしくなってしまいます!!」
こいつなら本当にやりかねない。冗談が冗談に聞こえないから性質が悪い。
なんだかんだ、言いながら、私も彼の動きに合わせるように腰を動かす。
最初は痛みが強かったが、だんだんすべりがよくなってくる。
「んっ…ふっ…! は、ぁ、ふあぁっ…!! ひっ、くっ…ああああっ…! すご、いっ…!」
まともに言葉を漏らすことすらできないほど、私はその行為に没頭していた。
快楽が波を寄せて襲ってきて、このまま押し流されてしまうのではないだろうか、と思うほどだ。
気持ちが高ぶるとともに、快感も強くなり、絶頂へと導かれていく―――。
呼吸を合わせ、動きを合わせ、視線を合わせる。
こんなことをするまでもなく、相手のことはよくわかっている。
理想と信念を持つ佐々木優希。
彼女に足りないのは、それを貫くための強さ。
そして、もう少し心を開いて周囲に頼るということ。
せめて、後者は近日中になんとかならないものか。
そうでないと、強くなる前に本当に死んでしまうのだから。
彼女の痙攣が激しくなる。
それに合わせて彼も動く。
そのままその流れに身を委ねろと、心に語りかける。
「はっ…、っぁあ!! ら、め、ぇっ…!! あふぁっ、ふぁ、…ひんっ!
もう、お、おかしく…なる…! 気持ち、い、い…のっ…! あくぁあっ!!
もう、イクッ…いっちゃう! あ―――、ふぁ、ぁぁぁぁぁあっ!」
びくんっと大きく身体を跳ねさせると、そのまま私は彼の身体に枝垂れかかる。
そして、彼の胸に顔を埋めた。たぶん今の私の顔は快楽の余韻で、ひどくはしたないものになっているだろう。
それがたとえ相手が闇烏だとしても、そんな顔は見られたくなかった。
「は、ぁ、はぁぁ……。もう、だめ……。
もう、明日はサボってしまいましょうか、学校……」
声が震えているのが自分でも分かる。
よほど気持ちよかったのだろう。足腰が震えて立てなくなってしまっていた。
恥かしいと思うと同時に、少しはすっきりしたような気がする。
「休むのは勝手だが、それなら俺が色々と仕込むぞ。
教えねばならないことは山ほどあるんでな」
無論、冗談だが。
そろそろ活動限界を迎える次時間てある。
身体を離して、彼女の隣に寝転がる。
自分の身体が汗ばんでいるのがわかる。
これも人と交わるために、創造の時に与えられた機能である。
人の心を理解し、そして人の力を引き出すための機能。
所詮は成す為の機能だが、それでも主と認めた者に役に立てるのは誇らしい。
「で、少しは気が晴れたか?」
「誰が、私の睡眠を妨げたと思ってるんですか…まったく」
気だるそうに文句を返しながらうつ伏せに寝転がる。
もう、動けそうも無い。…やはり、明日はサボるしかないか。
「ええ。取り敢えずは…やはり戦い続けていたら、心も荒むものですね。
そういう意味では、少しは発散できたと思います…」
誰かに頼るということが、これほど心地いいものとは思わなかった。
彼は、ひとりで無理をするな、と言いたかったんだろうか?
……確かに、今のところ頼れそうな人間はそれほどいない。
けれど、いつか、私の想いに共鳴してくれる人たちが現れたなら。
そのときは、少しだけ身体を寄りかからせてもらおう。
【そろそろ締めましょうか】
「少し、か。まあいい。
残りの憂さも今のうちに取り払っておくべきか」
そう言って、彼は再び優希を組み敷く。
「どうせ休むなら、今夜はとことん付き合ってやろう。
俺とて辛いが、これも俺の役割だ。遠慮は無用」
再び舌が優希の肌を這う。
【了解です】
【レス速度重視なので内容がいまいちだったと思いますが】
【お付き合い感謝してますノシ】