しかし問題はこれからどうするかだ。
水差も着替えもあるということは恐らく忘れられている訳では無さそうだけれど。
いきなり歩き回ってもこれだけ広いとなるとそうそう捕まえられそうにもないってものだろう。
部屋に向かう途中の廊下、白い蟠りのように座り込んだボーセが居た。
「……」
何か言いたい事がある。そんな顔つきだったが、昨日の今日である。
敢えて無視して通り過ぎ、角を曲がる。
部屋の扉が僅かに開いている。
まだ顔は見えていなかったが歩きながら呼びかけてみた。
「西野様、遅くなって申し訳ありませんでした。何かお変わりありませんか?」
>「西野様、遅くなって申し訳ありませんでした。何かお変わりありませんか?」
素晴らしいタイミングで横から涼やかな声が聞こえる。
そう、確か赤城・・冬果とかいう背の高い娘か。
ドアから顔を出す。
--しっかりしていた物腰からもう少し年上に見ていたんだけどな。
こちらを見ている彼女は、昨日の暗がりで見ていたよりもずっと健康的で若く見える。
おそらく20か・・そのくらいの年齢だろう。俺にも確かあった。そういう年が。
「やあ、おはよう。赤城さん。いや、もうこんにちはかな。昨日はありがとう。」
思った通りドアの影から西野の顔が覗く。
その顔に笑みを送りながら、西野が身につけている服に視線を巡らせて、表情を曇らせる。
「こんにち…は…」
怪我の具合が悪いのか、手製らしき包帯をしている西野に駆け寄り、そっと手を添える。
「…ごめんなさい、まだ痛みますか? ボーセにはきつく言っておきましたから」
嘘をついた。実際はボーセを叱った事なんか一度も無い。
「良かったら…医務室へご案内しましょうか?」
自分よりも身長の高い相手を見上げながら、手を添えたままで述べる。
「いやいや、大した事は無いのです。寧ろシーツを台無しにしてしまった事をお詫びさせて下さい。」
「むしろそう・・お風呂でも頂けますか?」
昨日はいっていなかったから気持ち悪くて、と肩を竦める。
そして大きく息を吸った。
「・・しかし・・・困った事になった。」
右手の親指と小指を開き、両目の端にピタリと合わせる。
2度ほど首を振り、息を吐き出す。
「私はその・・・旅をしているもので・・普段は恥ずかしながら旅先で詩などを売っているのですがね。
しかし、この怪我では・・・。今日お暇して、街の方で、当分は・・ハハ、空でも見ながら寝るとしますかね。」
肩を抑えてみる。ちらり。
大きな目を見開いて上目遣いでこちらを見ている。今にも潤みだしそうだ。
おおう、人を本気で心配している目付きだよ。
添えられた手が、すこし熱く感じた。
「イヤイヤイヤイヤあの素敵なワンちゃんに罪はないんですよ。私が悪いんだ。
どうか叱ったりしてやんないで下さい。イヤイヤイヤイ ヤ イ ヤ。」
いや本当。よくやってくれたよ。上手くいきゃあそのうち骨でもくれてやるさ。
西野が余り怒っていない様子に少しほっとする。怒られるのは苦手だった。今も昔も。
それどころか相手は困っている様子でもある。意を決して応える。
「いえ、とんでもありません。そう…もし宜しかったら当分の間、当家でお怪我が治るまで逗留して行って下さい。
御主人様には私から事情を述べておきますから、きっと大丈夫です。」
多少無茶を言っている気もしないでも無いが、これぐらいなら許して貰えるだろうと思う。
「そうそう、お風呂でしたね、只今の時間だと浴場が使えませんので
こちらのお部屋の方でご用意させて頂きますので、ちょっと失礼します。」
一礼した後に部屋に入り、お風呂の用意を始める。
―――そういえば、彼は片手を痛めている。
お風呂にお湯を張っている時に思い出し、そっと尋ねてみる。
「西野様、もしご不便でしたら、私で良ければ御入浴のお手伝いをさせて頂きますが、いかが致しますか?」
「いや、しかし。・・・いえ、じゃあ少しお言葉に甘える事に。」
よしビンゴ。
当分お腹もすかなくてすみそうだ。
それを聞くとにこりと微笑む。多少強引だったが遠慮する気はない。
彼女は部屋に併設されている風呂場に向うとざあざあとお湯を張り始めた。
>「西野様、もしご不便でしたら、私で良ければ御入浴のお手伝いをさせて頂きますが、いかが致しますか?」
「はは、僕は西野様ってがらじゃないなあ。そう、僕の事は京介と呼んで下さい。」
・・・はは、うん。西野冬果、悪くないな。語呂も良い。ってちょっと待て。
「私で良ければ御入浴のお手伝いをさせて頂きますが」
耳の奥でリフレインする。
ご入浴のお手伝い。うん。うん。そういう習慣があるんだ。
おいおいおいおいこれに対する無難な答えってなんだ。
「はは、そうだね。背中でも流してもらおうかな。」
なーんて、そういう意味じゃなかったかなあ・・・・・
とりあえず返してみる。
「はい、では京介様と呼ばせて頂きますね、こちらへどうぞ」
バスタブに張られた湯加減も丁度良くなったので、風呂場からガラス越しに見える人影に声をかけた。
春とは言えまだ寒い季節。湯気がもうもうと立っている事に今は感謝した。
メイド服を脱いでいるわけではないけど、やはり見知らぬ人の裸を見るのは少し照れくさい。
赤く染まった顔など見られたくはなかった。
「ええっと…それでは京介様…その、ですね」
言葉通り相手の背中を洗いながら尋ねる。
そういう事を承知で来られた方では無い筈なので、少々躊躇いながらも
「お望みであれば…どのような部位でもお申し付けの所をメイドの私が洗わせて頂きますので…
その…ご遠慮なくおっしゃってくださいね」
言い切ってから、自分でも顔が更に赤くなるのが分かった。
なるほどね。
彼女の目の光を見て思う。整った顔立ちから発せられる目の色と言葉には少なくとも侮蔑や見下した色は無かった。
よくわからんが、俺は客人で、この子はメイドってわけだ。
金が無かろうが、怪しかろうが彼女にとって俺は客人。それだけは変わらないんだろう。
これでも色々と苦労はしてきた。こうした場に卑屈な態度は不用な事くらいは判る。。
場に合わせた流儀なら受け入れてみせよう。
「ならあれだ。君も脱ぐといい。濡れた服は体に悪いからね。」
さすがに顔を見ながらは言えない。
「ああ、それとヘアドレスは外さなくていいよ。」
よし、俺、カッコイイ。
<「ならあれだ。君も脱ぐといい。濡れた服は体に悪いからね。」
「……」
一瞬、体の火傷を見られたくなくて躊躇するが、真っ直ぐ視線を合わせてくる西野の瞳に逆らえず
黙って頷く。
―――小さな火傷じゃない…
自分に言い聞かせてから、そっと衣服を脱いでいく。
ここのメイド服は、かなりしっかりしたデザインなのでは脱ぎにくかったが
一つ一つ脱いでは丁寧折りたたみ、脱衣所に置いていく。
最後にショーツとブラを残して脱ぐ物が無くなったところで、ヘアドレスを思い出して取ろうとするが
<「ああ、それとヘアドレスは外さなくていいよ。」
―――図らずも阻止されてしまう
仕方なく、最後の下着を取り去り、おずおずと西野の前に戻る。
ゆっくりと前を隠しながらもこちらによってきた彼女に目をやる。
今まで相手にした酒場の女たちとは違う、真っ白な裸身が目に付いた。
神様、ありがとう。多分一生懸命生きてきた俺にご褒美って奴ですね。
自分の前も隠さずに座ったまま彼女を見上げる。う、スレンダーに見えてわりにこう。
湯煙に隠れた彼女の体はとても扇情的に見えた。
久しぶりの女体とこの異常な環境にムクムクと自分自身が起き上がってくるのを感じた。
口笛でも吹きたい所だ。
「僕は肌が弱くてね。タオルで洗われると少し荒れてしまうんだ。」
勿論大嘘だ。
「手で洗ってもらえるかな。こう、泡をつけて撫でるように。」
普段自分ではそうしているんだけどね。と笑いかけた。
ああ、大嘘だ。河に入ってタワシで洗う事もある。
近づいたせいか、イヤでも相手の裸身が目に入ってしまう。
これだけ近いと湯気ももう意味をなさない、西野が自分の体を見ているのを感じる。
それだけで体と胸が熱く火照ってくる。
<「僕は肌が弱くてね。タオルで洗われると少し荒れてしまうんだ。」
<「手で洗ってもらえるかな。こう、泡をつけて撫でるように。」
「はい…それでは」
数ある中から刺激の少ない石鹸を選び、手に付けて泡立て始める。
やがて、ゆっくりと二の腕から肩、首筋、そして微かに膨らむ双丘までを泡でくるみ。
「失礼します」
そっと前から抱きつくようにして、西野の体に自らの泡で包まれた体を寄せる。
肩に回した手をそっとすくうようにして、西野の裸身を全身で洗っていく。
「……ん…」
お腹の下辺りに硬い感触を覚え、顔を下げて見ると西野の逸物が硬化して当たっているのが分かった。
「失礼します。こちらも…」
それにも手を伸ばし、包むように愛撫を始める。
手で洗って欲しいというこちらの要望に対して彼女は体中で表現してくれる。
>「失礼します。こちらも・・」
口上も男心をそそる。
ゆっくりと耳元に口を近づけた。
「:そうだな。冬果ちゃんも洗った方が良い」
硬くなっている自分のものを弄る手をそのままに、彼女の体に自由になった右手を這わせた。
柔らかく撫でさする。少し背が大きいと思っていたが、こうやって見ると彼女はとても華奢だった。
「その部分は、更に敏感なんだ。手でも荒れてしまう・・僕は少し病弱でね・・。口でしてくれないかな。」
ああ、大嘘だ。一週間前、河に入ってタワシで洗った部分、今は彼女の手の中に包まれているものを指差していう。
「ん…きょ、京介様…だめです。そんな事は……あっ」
不意の愛撫に身を離しそうなるが、密着している為離せない。
その手はゆっくりと優しく、しかし確実に自分の体を浸食していくのが分かる。
「…ん…っんん………」
その心地良さに引きずられて仕事を忘れないように、声を押し殺して抵抗する。
――体が…熱い…
<「その部分は、更に敏感なんだ。手でも荒れてしまう・・僕は少し病弱でね・・。口でしてくれないかな。」
「………」
逆上せた頭では返事もままならず、辛うじて頷き返し
手桶で彼の下腹部についた泡を流すのが精一杯だった。
京介の前にしゃがみ込むと、泡で隠れていた逸物が既に大きくそそり立っているのが見える。
一度、ちら、と上気した視線を京介に向けて、逸物への奉仕をを始めようとするが
手で掴もうとしてから京介の言葉を思い出し、思案した挙げ句、手を下げ
犬のように舌だけを使って逸物への奉仕をする。
―――……やだ…まるでボーセになったみたい…
不自由なその姿勢に、妙な恥ずかしさを覚えてしまう。
上気した顔でゆっくりと舐め上げてくる彼女の顎先から頬のラインを撫でる。
部屋中に立ち上る湯気の暖かさと彼女の柔らかい匂いに包まれた体によって、
昨日までの疲れが泡と共に落ちていくのが判った。
--泥だらけで眠りにつかなきゃならなかった昨日までとは偉い違いだ。
自然顔がにやつく。
泡を手桶で洗い流し、すぐに顔を埋めてくる仕草といい、この子は見た目の無口さと違って随分と従順だ。
上気させた顔を下腹部に埋め、くっくっと揺らせる彼女に目をやる。
ゆっくりと胸を手で弄ぶと弾力のある肌が、泡をプルッとはじいた。
両手で揉みしだきたい衝動と戦う。
左手を動かせないとしたのは失敗だったかもしれない。
--足にしとけばよかったかもな。
湯気が体中にまとわりつき、玉となって汗と混じりあう。
我慢できなくなり、彼女の耳元に口を寄せた。
「随分と従順なんだな。入浴のお手伝いの最後に上にのって腰でも振ってみせてみるか?」
自然と下卑た言葉が口をついた。
湯当たりしたように熱くなった体を誤魔化すように、奉仕に没頭し続けた。
いつの間にか伸びていた京介の手が胸を弄ぶが、先程のように身を離す事はしないで
その愛撫に身を任せて体を更に寄せる。
「…んん…ぷぁ…ああ…」
声も最早押さえられず、奉仕を続ける口から漏れるがままになってしまう。
火照った下腹部が、僅かな床とのタイルの間に糸を引くほど濡れ始めていた。
<「随分と従順なんだな。入浴のお手伝いの最後に上にのって腰でも振ってみせてみるか?」
急に荒くなった口調に微かな疑念を覚えながら、しかし、ふやけた思考はそれを止めておけずに
あっさりと頷き
「…でも…私が従順なのは…望んだ相手に…対してだけです…」
譫言のように返答する。
「っつ」
思わず息が漏れる。
先ほどから痛いほどの快感が下腹部を包む。
舌を絡めて唾を塗し込むようにしてくるかと思えば犬のように舐めさすってくる。
先ほどから痛いほどに硬く立ち上がっているものを見ては無表情とも見える目元をかすかに上気させ、満足げに揺らす。
その横顔は快楽を相手に与える事のみに集中しきっているようにも見える。
<「…でも…私が従順なのは…望んだ相手に…対してだけです…」
手練手管って奴だ。きっとそうだ。そうに違いねえ。どうせ、終わった後にはチップをねだるに違いねえんだ。
でも、そこらの安い女とは言葉の意味が違うような気がした。
--湯あたりしてるのかもしれねえ。
久しぶりにかけてもらった優しい言葉に、暖かい体を伝う湯気に、胡乱な頭が加熱していく。
湯船の縁に腰をおろすと、冬果を脇から抱え上げ唇をねだった。
「き、汚いですから、ご奉仕させて頂いた後…ですから」
抱え上げられて唇をねだられ、咄嗟に京介から顔を背ける。
本当は口づけしたかったが、身体に躾られた事がそれを許さなかった。
「それより…もうこちらの準備は出来ていますから…」
ちゃぷん、と音を立てて湯船に下り、自分の割れ目をそっと手で示す。
そして、そっと京介の身体を湯船に静めるように押し倒し、跨るように上に乗る。
「失礼します…。それでは」
湯に囲まれて緩慢な動き揺れを見せる京介の逸物を、また手を使わずに腰の動きだけで咥え込もうと
ゆっくりと自らの秘裂に宛っていく。
実際にやってみると、それはとても恥ずかしく、難しい行動だった。
「………ん…………あれ…?」
目の前で京介が見ている事に気を取られ、なかなか上手く行かない。
だが、何度か動く内に
…ずるぅ
「…っ! んっ…あ」
一気に内部へと逸物が滑り込んだ。
首まで紅く染めて必死で逃げる唇を追いかけようとして、止めた。
何を馬鹿な事を。頭を溶かして夢中になっていた自分に恥じ入る。
自分の初めてのキスはいつだっただろうか。
確か安場の体を売っていた女だったように思う。顔も覚えていない。
そう、それなりにショックだったもんだ。俺みたいな奴じゃ無理もねえ。
一人で納得し、ぼうとしていると
「…っ! んっ…あ」
と、目の前で柔らかな声が聞こえた。締め付けるような感触が下半身を包む。
先ほどまでと違い、彼女の唇は薄く開き、
表情は少し蕩けてそこから柔らかな鐘の音に似た声が漏れてくる。
ゆっくりと動き出す腰を見て、
少なくとも、目の前にいる無表情な女の子には、今この場だけでも認めてもらいたいと、そう思った。
首筋に唇を離し、垂れ落ちる汗とも湯気とも取れない液体を啜る。
ゆっくりと腰を動かし始めた。
「…っ……っ!………ん…!」
まとわりつく湯のせいで激しい動きをする事は出来なかったが、液体が常に二人にまとわりつき
合間を埋め尽くし、代わりに焦らすような、圧迫感を伴った不思議な快感が下半身を貫いていく。
「…っん? ああ…!…はっ…!はっ…あ!」
京介が首筋にキスをしたのを感じたら、それを合図にするかのように腰を振り出した。
思いもかけない動きに翻弄され、バランスを失わないように足を突っ張るのが精一杯になる。
「やぁぁ!……だめ…です…! …あっ!…ああ!」
更に突っ張った四肢を容赦なく貫かれ、喉から嬌声を上げてしまう。
びくびくと震える手足を押さえ込むように、京介にしがみついて涙混じりの声をあげる。
しがみつかれた体から体温が伝わる。
先ほど彼女の口の中で散々に塗りたくられた唾液に彼女自身が絡みつく。
驚くほど豊かだった口内の巧みさに比べると少しぎこちなく感じる腰の動きに合わせて突き上げる。
「ずいぶんと熱心に腰振るんだな。」
舌を出し、真っ白な胸元から首を経て、耳元まで舐め上げてささやく。
<「やぁぁ!……だめ…です…! …あっ!…ああ!」
そういった途端、上半身ごとぺたりと密着させるようにしがみ付かれる。
くすぐる様に髪の毛を撫でながら下から派手に腰を叩き付けた。
「くっ・・出る。」
奥まであたるように腰を当て、彼女の外見からしたら軽すぎるようにも思う体重を感じながら、放つ。
軽い虚脱感と共に彼女を抱え、湯船に横たわった。
「ひ…!…くうう…あ…く……っ!」
京介の身体に縋ったのはいいけど、返って叩き付けられる逸物の逃げ場がなくなり
まともにその突き上げを深奥で受け止めてしまう。
擦り上げられる膣壁、下腹部、そして全身へと回った灼熱感が一気に加速していく。
「……あ」
唐突に自分を貫いていた硬い物が動きを止め、一番奥に何かを放っているのが分かった。
限界に来ていた自分も、それをびくびくと膣で締め付けた後、微かな吐息を漏らす。
絶頂を迎え気が抜けたのか、最早指一本も動かせそうに無いほど脱力し
繋がったままで一緒に湯船に沈む。
―――立ち上がって…ご挨拶しない…と……
そう思うが、身体はついていかず、そして思考もそのまま意識の底に沈んで行き、気を失う。
ホカホカになった体にタオルを絡みつかせられる。
ゆっくりと叩くように背中からゆっくりと水分が吸い取られていく。
「ありが」
途中で止めた。無言のまま体中が先ほどのぬめる様な快感をくすぐる泡とは違う、
さわやかで清潔な感触に包まれる。
無言のままローブを着せてもらい、ゆっくりとベッドのほうに歩いた。
また眠れそうだ。
忘れないうちに鞄から財布を取り出す。
チップをわたしといてやらねえとな。
財布をもったまま振り返る。
「悪くなかったぜ冬・・」
振り返った先にはきちんと閉じられた浴室の扉。
何事もなかったように閉じている扉。
ふう、と溜息をついた。財布は仕舞う。
少し考えた。
ここから逃げ出す前に、2人になる機会があれば今度は手品でも見せてやろう。結構得意だから。
なんだかチップよりもそっちのほうが喜んでもらいそうな、そんな気がするから。
静まり返ったお屋敷の医務室。
ソファーに腰掛け録画していたビデオを見て、ぼそっと呟く。
「やはり、小沢さんは甘いなぁ…」
「苦しくったって〜 悲しくったって〜♪」
昨日見たドラマの唄を熱唱しながら掃除をしている。
誰も見てないと思って次第にデタラメな振り付けまで始まる。
「………」
期待していたほど面白くはなかったようで、落胆しながら、無言でビデオの電源を落とした。
「ボールがぁ〜うなぁると〜♪」
次第に箒を勇ましく振り回し始めて、最早なんの振付か分からなくなってくる。
ふと時計に目を向ける。
「こんな時間ですし、今夜はもう誰もこないでしょうね…」
溜息をひとつつき、白衣を脱ごうと手をかけた。
「だって涙が……っあ…!」
最後のキメのセリフを言おうとした所で、振り回していた箒が見事に飾ってあった置き皿に当たり下に落ちる。
が、床に落ちる寸前、素早く手を伸ばしてそれをキャッチする。
「…あ、あぶなー…」
ゆっくりと皿を元の位置に戻すも、手の中にチクっとした感触があった。
見てみると、箒にでも引っかけたのか小さな引っ掻き傷が出来ている。
「…あー ったく…もう」
仕方なく医務室に向かい。扉をノックする。
「せんせー せんせー」
もう寝よう、そう思い白衣を脱ごうとした瞬間、突然叩かれた医務室の扉。
男だったら無視して寝ようと思ったのだが、扉の向こうから聞こえる声は若い女性のものだった。
しぶしぶ脱ぎかけた白衣を再び纏い、扉に向かう。
「奥津さん…?」
ガチャリと戸を開くと入り口に立つメイドの姿を怪訝そうに見つめ、その名を呟く。
おさえている手から出血が見てとれる。
夕呼の事だ、またなにかしでかしたのだろう…
彼女の風評からそんな事をふと思う。
「どうやら、怪我をしているようですが、
こんな夜更けにいったいどこの誰と喧嘩をされたのですか?」
医務室の中に夕呼を通すと、すこし迷惑そうに問いかけた。
「…こんな時間に喧嘩する相手なんていねぇよ。」
嫌みっぽく言う三条に向かって口を尖らして反論する。
「掃除してたら箒に引っかけちゃったんだよ。」
そう言いながら、部屋の中にずかずか入っていき、三条には目もくれずに棚の絆創膏を漁り始める。
「噂通り、他の方とはすこし毛並みが違うようですね…」
勝手に部屋に入り込む噂通りの夕呼の姿に苦笑する。
「いろいろと大事なものが入っているので、あんまり引っ掻き回さないで下さいね。」
絆創膏を漁る夕呼に背後から近づくと、その手を強引に握り締める。
「けが人なら、怪我人らしくおとなしくするものですよ。
さあ、椅子に座っておとなしく待っていなさい。」
やや咎めるような口調でそう言うと、絆創膏、消毒薬等々を手早く取り出すと、
「ちょっとしみますが、我慢してくださいね…」
そう言うと、有無を言わせず消毒薬をたっぷり塗ったガーゼを意地悪く押し当てた。
後ろかいきなり手を握りしめられ、思わず振り払いそうになるが、三条の言う事がもっともだと思ってやめる。
治療を促され、大人しく椅子に座った。
<「ちょっとしみますが、我慢してくださいね…」
そう言われてガーゼを押しつけられ、想像していたよりも傷口に染みるので悲鳴を上げそうになるが
こめかみを引きつらせて我慢する。
―――痛い!痛ぇつうの! このヤブ医者!
「意外にいい表情をするんですね…」
普段の数倍の消毒薬が染み込んだガーゼを力強く押し当てながら、ふとその表情に視線をり小さくそう呟いた。
反抗的な態度、そして強い光を秘めた目で睨み返す夕呼の表情に、
一瞬背中にゾクっとした冷たいものが走る。
どんな表情をするんでしょうね…
頬を緩め淫猥な笑みが微かにこぼれる。
「手入れが行き届いた御屋敷ですが、万が一細菌に感染していると厄介です。
絆創膏を貼る前にもう少しだけ我慢してくださいね…」
手早く銀の医療用トレイに乗った注射器を手に取ると、
とある薬品を詰め、そのまま以外に細い夕呼の腕に針を差し込んだ。
<「意外にいい表情をするんですね…」
「へ、変態…」
堪えきれず、悪態が口をついて出る。
―――ワザと痛くしてやがる、こいつ
こちらを舐め回す蛇のような視線に確信を得ながらも、治療される身である故に何も出来なかった。
町医者だったら、殴ってるかもしれなかった。
「え?」
三条が素早く注射器を取り出したのを見て驚くが、時既に遅く、針が深々と腕に刺さっていた。
流石にこうなっては何も出来ず、自分の身体に侵入していく液体を不安ながらも見守るしかなかった。
先程までの不安げな表情とは一転し、やや不安げになった表情にますます気分が乗ってくる。
夕呼の様子を伺いながら、
手早く注射器の中身を全て注入すると、手馴れた手つきで針を抜く。
「そんなに心配そうな顔をしないで下さい、ただの筋肉弛緩剤ですよ…
ちょっと普通のやつよりも効果が早くでる即効性ですけどね。」
注射器を傍らにしまいながら、風邪薬の効果を説明するようにさらりと笑って口にした。
「まぁ、可憐な女性…というわけではないようなので、一応の保険ですよ。」
頬を緩ませ席を立つと、退路を断つように扉と夕呼の間に立ちふさがり、
嘗め回すような視線でその若々しい肢体を品定めする。
「あと一分…といった所ですね。
しかし意外と言っては失礼ですが素晴らしい、せっかくの週末の夜に退屈しないですみそうですよ。」
<「そんなに心配そうな顔をしないで下さい、ただの筋肉弛緩剤ですよ…
「…は? きんしかんざい? 何だソレ」
三条の言った言葉の意味が分からず、聞き返す。
が、返事が来るよりも早く、急激に身体に痺れのようなモノが走り抜ける。
―――な、なんだコレ
<「まぁ、可憐な女性…というわけではないようなので、一応の保険ですよ。」
<「あと一分…といった所ですね。
「…て、めぇ…いい度胸だ、コラ。」
三条のにやけた顔に血が沸騰し、薬の効力を無視するように椅子から立ち上がる。
信じられない動きを見せて三条に向かって殴りかかる…が
どさっ
「あうえ…? くっそ… きたなひ…ぞ、おまへ…く、くそーっ…ぜったい、ゆるさ…ね」
一気に動こうとしたせいか、返って薬の回りが速くなり、身体の自由が急速になくなり
足が縺れて転び、呂律さえおかしくなってしまう。
「…くっぅぅぅ! う、ごけ…っつうの」
それでも動こうと、床で足掻く。
「大丈夫ですよ。」
足元でもがく夕呼を見下ろし、声をかける。
「意識もしっかりありますし、声もちゃんと出ますから…ただ体が動かなくなるだけです。」
まるで小児科の医師が子供に言うように微笑むと、
もがく夕呼の肩に両手を宛がい上半身を起こすと、
背後に回りこみそのまま美しい弧を描いたふくらみを掬うように手を宛がう。
「緊張しなくてもいいですよ、。
なに、ちょっとだけの我慢です、すぐに…良くなりますからね。」
「ふざけん…な…っ い、いしゃがこんなこと…していいのかよ…!」
こちらを悠然と見下ろす三条に心底腹を立てるが、何が出来るわけでもなく
ただ怒りのままに叫ぶ。
<「意識もしっかりありますし、声もちゃんと出ますから…ただ体が動かなくなるだけです。」
「え? …ひゃっ?!」
後ろから胸に手を回され、薬で痺れたままの妙な感覚に悲鳴を上げてしまう。
<「緊張しなくてもいいですよ、。
「わぁぁぁぁぁ!? ばかやろう!なにするつもりだやめろはなせこらぁぁぁぁ!」
身体が動かせないせいか、その分これからされてしまう事が容易に想像できてしまい。
パニックを起こして喚きまくる。
わぁぁぁぁぁ!? ばかやろう!なにするつもりだやめろはなせこらぁぁぁぁ!」
「簡単に服従されるのも興ざめですからね、反抗できるうちに精々足掻いていて下さい。」
背後から夕呼の肢体を抱きかかえ、嘲弄するように耳朶に口を寄せ囁きかける。
「さすがこのお屋敷のメイドさん、柔らかさも申し分ないですね。」
胸に宛がった手を動かすと、手のひらいっぱいに量感のあるふくらみの感触が伝わってくる。
思わず感嘆の声を上げると、片方の手をさらに動かし布地越しに夕呼のふくらみを蹂躙しながら、
もう片方の手を胸元へと差し入れるると
「肌の感触も素晴らしい、普段は男勝りなようですが…
なかなかどうして、奥津さんの体は立派な女性なようですね。」
そう囁きながら、キメの細かい肌の感触を楽しみながら、指先をブラの中へと這わせていく。
「自由を奪われ、弄ばれる気分…どうですか?」
悪戯っぽく嘲弄するような言葉をかけながら、
ブラの中へと進入させた指先の動きを止め、、次の瞬間突然ふくらみの頂点にある敏感な突起を弾いてみた。
<「肌の感触も素晴らしい、普段は男勝りなようですが…
「…っん…お、おおきなおせわだ!」
胸元を蹂躙される感触に顔が赤くなるが、既に怒りで赤くなっていた為余り変化は無いかもしれない。
<「自由を奪われ、弄ばれる気分…どうですか?」
「……っ!」
敏感なさきっちょをぴんと弾かれ、その痺れとも痛みとも付かない感触にびくっと身体全体が反応する。
「へ、へんなとこさわんな…あうう…」
その後も続く微妙な責めに、反応しまいと身を強張らせるが
薬のせいもあって、段々と身体に込めた力が失せていってしまう。
「…ああう…ふ…このくそいしゃ…お、おぼえてろ…よ…」
>へ、へんなとこさわんな…あうう…
「変な所? 変な所というのはここですか…?」
夕呼の抵抗に頬を緩ませ、
胸の頂点を親指とひとさし指の2本で挟み込み、こするように刺激する。
「おや?奥津さんともあろう人がもう降参ですか?
それにしても本当にいい体ですよ、せっかくだからちゃんと見させてくださいね。」
指先と言葉の両方で、ぐったりと力なく肢体を預ける夕呼をなじると、
いったん両手を汗ばむ肢体から離し、震える奥津の両肩へと乗せるとぐっとその手に力を込め、次の瞬間上半身の服を引き裂いた。
>お、おぼえてろ…よ…
「あいにく記憶力には自身がないのです、せっかくの素晴らしい体です、
忘れないようちゃんと楽しませてもらいますよ。
まぁ、奥津さんのことですから、私程度のテクニックじゃまったく快感なんて覚えないでしょうけどね。」
いいながら、量感あるふくらみを包み隠すブラをたくしあげ、両手ですくいあげ乱暴に揉みはじめた。
<「あいにく記憶力には自身がないのです、せっかくの素晴らしい体です、
上半身の衣服を剥ぎ取られ、胸を良いように嬲られて、心底悔しさが込み上げてくる。
お屋敷での奉仕を慣れたと言えば嘘になるが、それでもまだ我慢出来ない事もなかった。
だが、身体の自由を奪われ、抵抗も出来ずに三条に嬲られるのは我慢できなかった。
そう思う間にも、強引にブラを剥ぎ取られ、露出した胸を弄ばれ
弄ばれる身体からは徐々に快楽の反応が噴き出ていってしまう。
「…くあ…んん!…やめろ…そんならんぼうに……もむな…いたい…だろ…ああん…!」
だが、口から漏れるのは痛みに対してだけでなく、陵辱に伴う肉体の反応が混ざっていた。
それを押さえられない悔しさに、自然と涙が溢れてくる。
「…ちくしょう…ゆるさねぇ…ぜったいゆるさない…から…ううっあ……」
>…くあ…んん!…やめろ…そんならんぼうに……もむな…いたい…だろ…ああん…!
「泣いた顔も可愛いですね…」
背後から覗き込むようにして、笑いかける。
「それにしてもたしか86、いや87だったはずですが…
奥津さんの胸は数字以上に大きく感じますね、お客様に揉まれて大きくなったんじゃないですか。」
揉みこむ度に柔らかく形を歪める夕呼のふくらみに目を移すと、
いやらしく形をかえるふくらみに思わず感嘆の言葉が口をつく。
>ちくしょう…ゆるさねぇ…ぜったいゆるさない…から…ううっあ……
「ええ、許されるとは思ってませんけどね、
こんなに魅力的な体をしてるんです、
健康的な男性ならこうしたいと思うのは当然だと思いませんか?」
気丈に悔しさを押し殺してなお反抗する姿に内心舌を巻く。
「流れる涙も綺麗ですよ…もっともあふれてるのは涙だけじゃないはずですけどね…」
突然、2つの胸を蹂躙する手の動きを止めると、
次の瞬間、背中を押して夕呼の体を床に突き倒し、スカートの裾を捲くりあげると、
「まさか奥津さんは感じたりなんかしてないですよね?」
夕呼の反応を楽しむようにその下着に手をかけた。
<「それにしてもたしか86、いや87だったはずですが…
「……っ」
実際にこのお屋敷に来てからブラのカップサイズは変わっている。
それは事実だが、今ここで指摘されると制御出来ないほどの羞恥が湧き上がってくるのが
はっきりと理解出来た。
胸が熱くなり、顔が更に朱に染まる。だが何も言い返せず、唇を噛んで下を向いた。
<「まさか奥津さんは感じたりなんかしてないですよね?」
―――!
分かっていたもののスカートを捲り上げられ、外気に晒されると
人知れずして愛液を湛え、秘所がひんやりとした感触に濡れているのが分かった。
それは絶望にも等しい感触。
自分の血の気が引くのが分かった。
「…へんたいやろう! そこにさわるなぁぁぁ!!!」
医務室に、最後の抵抗にも等しい怒声を響かせるが、既にそれは泣き声混じりのように迫力にかけていた。
「そこ?そこってどこでしょう?」
嘯きながら、躊躇なく下着に両手をかけると、そのまま一気に膝まで引き下げた。
「そこって…ここですか?」
伺うように意地悪くそういいながら、すうっと指先で秘裂を一撫するとそのままその指を滑らせる。
「それとも…ここ?」
そう言って夕呼のもっとも敏感な肉芽にそのまま指を宛がった。
「奥津さん、ちゃんと言ってくれないと、わかりませんよ。
それに、変態に触られてこんなのなってる貴女も変態なんじゃないですか?」
指に絡んだ夕呼の粘液を淫猥な瞳で見つめ、そうなじる。