(――真夜中。とはいえ、大都会であるこの街は、眠らずの街というべきか、
不気味な程に彩られたネオンに照らされて、まるで真昼間かのような明るさが街を支配していた)
――やれやれ、僕らの住みにくい世界になっちゃったね。
ニンゲンってば弱いくせに、どんどん僕らの世界を蝕んでくれるね。
脆弱で儚いと言うのに、こうも狡猾で残忍な生物は、他に類を見ないだろうね―――
(そんなネオン街を行き交う人々の群れを、呆れと寂寥の眼差しで眺める金髪の少年は、苦笑する。
齢13、4歳程だろうか。一見少女にも見間違いそうになるほどの少年は背が低い割には、手足が長細い。
カジュアルなブラックのジャケットとジーンズに身を纏った彼は、キュッとスニーカーを鳴らして踵を返す)
とは、いえ――だ。キミは例外だと思うよ。
……毎度毎度僕のことを付け狙っては、追い払われてるっていうのに、よく飽きないものだ。
そのタフさと愚直さをもう少し他のニンゲンに分け与えて挙げるべきじゃないかな?
(踵を返して数歩、歩くだけで、世界はがらりと変わる。一つ建物の裏路地に入ってしまえば、そこは、
完全な闇の世界。普通の人間ならば、歩くことさえ躊躇うような闇、闇、闇。)
(吸血鬼―少年―が故郷とするその世界。彼らにとって見れば、ホームグラウンドであり、恰好の狩場でもある。
そう、本来ならば少年らが跳梁跋扈できる世界なのである)
(だが―――、それを食い止めようとする存在は、いつの時代も必ずいるわけで)
お姉さん?いい加減諦めてくれないかなぁ?
これだけ痛い手打ちをされていて、まだ懲りてないっていうのは、ある意味褒めてあげるけど、
僕もそろそろ手加減出来なくなってきてるんだよね。ほら、お姉さんってば、毎回毎回負けて帰るたびに、
実力をつけて帰ってくるわけだし。
(溜息を付いて振り向く。そこにはもはや腐れ縁となってしまった、宿敵の彼女がそこに立ち阻んでいた)
【と、このような感じでいかがでしょうか?】