「はぁっ!あぁ……」
今までとは違う、中からの刺激に桂が切ない声をあげた。
坂本もこれまで経験したことがないほどの強い締めつけに歯を喰いしばって耐える。
「……苛めて悪かったの、ヅラ」
桂が落ち着くまで少し時間をおこうと坂本は髪を優しく梳きながら声をかけた。
「おんしの噂を聞く度、心配でたまらんかった。おんしは自分の身を顧みなさすぎやき。
いち早く抜けたわしに、口を出す権利はないのはわかっちょったが」
現政府に反旗を翻す攘夷志士として、桂の名は全国に広まった。
桂たちを捕らえるための対テロ武力組織結成の話が出ているとも聞く。
それに何より桂自身の精神が心配だった。
元はあれだけ堅物であった桂が、こういった行為に慣れていると口にするなど信じられなかった。
「……」
うつむいていた桂が顔をあげ、坂本と目を合わせる。何か言おうとしていたが、言葉にならないようだった。