>>20 ――そうでしたか。
凜々蝶さまも……いろいろと、闇を見ていらっしゃったのですね。
(ふと、また悲しそうな目線をする)
(それは、愛でているようで、物悲しく、慈愛に満ちた眼)
(いろいろな矛盾した感情が織り交じっているが、一方でそれが本心なのだろう、と感じさせる)
そう、ですか。
――変態、と言われると、蜻蛉さまを思い出してしまいますので、違うとだけ申し上げておきましょう。
ですが、変質的な行動も凜々蝶さまを思ってこそ、なのです。
凜々蝶さまのことが好きだから、です。
凜々蝶さまが僕に与えてくださった全てのものを、保存したいと、僕は思っています。
それが、唯一、僕の記念になるのです。
――僕も、好きです、凜々蝶さま。
愛という言葉は、僕にはわかりません。
ですが、好きという気持ちならばわかります。
その言葉の全てを、僕は凜々蝶さまに捧げましょう。
(手袋をしたままの手で、凜々蝶さまの両手を包み込む)
(薄手の白手袋は、体温が伝わるにも十分な薄さだった)
(それを感じると、心底嬉しそうに微笑み、そっと眼を閉じ――手の甲にキスをした)
勿論です、凜々蝶さま。
僕は、貴女の恋人になりましょう。
(静かに、凜々蝶さまの呼吸が整うまで、そのまま眺めていようかと)
(思わずそんなことが浮かんでしまう)
(だが、それは意地悪すぎる、と考えると、そっと抱きしめて)
凜々蝶さまを嵌めるなど、恐れ多い。
僕はそんなことを考えているわけではありません。
ですが、凜々蝶さまは意思の強い方だと、僕は知っておりますから。
(ニコニコと微笑むと、そっと、凜々蝶さまの膝裏に腕を回し、ゆっくりと抱え上げて)
――度が過ぎたやも、しれませんね。
凜々蝶さまのお部屋へ、お連れいたしましょう。
恋人になったとしたら……これで腰が抜けるようでは、立てなくなってしまいますよ?
(小さく微笑んだまま、静かに4号室へと続く廊下を静かに歩いていく)
(こつ、こつと皮靴の音が廊下に規則正しく響く)
(ふと、思いついたように凜々蝶さまの横顔を見ると、また顔を近づけ……すん、と髪の匂いを嗅ぐ)
【そういえば、時系列を確認していませんでしたね】
【3巻、4巻あたりでしょうか?】
【今日は次あたりでお暇しなければなりませんので、次回までに考えたいと思います】
【次回、如何いたしましょうか?】
【水曜、木曜の夜ならば、都合がつくのですが】