好きに使うスレ 6

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789一ノ瀬トキヤ ◆OvN2TAGc4GKL
>>788
(―――レコーディングルームにて歌を歌う。理詰めではなく、自らの焦燥感を拭うためにひたすら歌う)
(今まで様々な歌を歌い、多少は満足のいく歌もあった。しかし、それは教師は認められるものではなく)
(どんなに歌っても、表現方法を変えても、時には編曲までしたとしても、その評価が一向に変わることはなかった)
(自分はここまでだと認めることができず、今では自分の理想とは離れていくばかりのHAYATOとして生きていく事も許容することができない)
(その不安を解消するために、自分の意に反した歌を歌う。しかし、その行為にも苛立ちは募っていくばかりで――)
(一定のリズムを刻むためのヘッドホンの音が逆に自分を乱しているように感じてしまって)
(荒々しくヘッドホンを剥ぎ、思わず叩きつけてしまうような衝動を自らの腕に爪を立てることで耐え)
(もう片方の手で掴んだマイクスタンドを強く握りしめ、深く呼吸をすることで気持ちを落ち着かせた)

(そんな矢先、防音の部屋の扉がノックもなく開かれる)
(いくら突き放しても立ち直ってくる彼女に感じるのは妬ましさなのか、そんな不穏な感情を感じる自分にもウンザリして)
……君ですか。 ありがとうございます。見せて下さい。
(丁重に楽譜を受け取るとデスクまでフラフラと歩く相手を目で追い)
(またすぐに楽譜へと視線を戻して、五選譜に丁寧に描かれたオタマジャクシにツラツラと目を這わせる)

(――――数分間、何度か見返した後に楽譜を最初のページに戻して揃えるとデスクまで歩み寄り)
(どこか不機嫌そうな表情で突き返すように楽譜を彼女の前に差出し――)
曲が単調すぎます。Cメロもこのままでは入れる意味がありません。転調の箇所も遅いです。
(確実に良くなっている曲。確実に完成に近づいている曲。初心者にしては上出来。傍から見れば十分にまかり通る)
(――が、もっと良いものはできる。もっと――そんな気持ちと焦りから言葉は辛辣になり)
(受け取るまでに置かれたノートの上に楽譜を重ねてしまうと、背を向けて再びマイクスタンドの前へと歩き出し)

【そうですか。貴女が良い休みだと言っているのだから良い休みだったのでしょう】
【私も十分に休養が出来ました。今日も貴女のお蔭でゆっくりできましたから】
【その節はありがとうございます。このお詫びもいつかしなければいけませんね…】

【ええ、構わないでしょう。使われてしまえば別ですが…】
【では、先程申し上げた通りでよろしくお願いします】
【出だしはこのような形にしましたが、やりやすいように改変して頂いても構いません】

【それでは、よろしくおねがいします】