ウォーク●ンだよ。ネットウォーク●ン。最近買ったんだ、メモリ式で、パ
ソコンとかから音楽データ入れるタイプのやつ」
それなら彼女も知っていた。
「高杉、ダメじゃん。そんなの、ガッコ持ってきてさ、先生に取り上げられる
よ」
女子の1人が指をさす。
「へん、バレるわきゃねーって。これ、イヤフォンが優れものでさ、結構いい
音すんだよ。桂、ほら、試してみ」
イヤフォンの片方を、桂に差し出す高杉。こんな男の耳に挟まっていたモノ
を、自分の耳に入れるのは少々抵抗があったものの、ここで断ればまたややこ
しい事になるかも知れなかった。嫌そうに顔をしかめつつ、彼女は差し出され
たイヤフォンを摘み、自分の耳に入れる。
瞬間、桂は硬直した。
『─────ん、大丈夫。銀時の………感じるよ、中』
『あぁ…………桂の中、すごい、気持ちいいよ──────』
「なぁ? いい音してんだろぉ?」
高杉の声が遠い。