廻るピングドラム高倉晶馬を性的にペロペロするスレ
「僕は、冠葉と陽毬が一緒にいてくれたら幸せなんだ。それ以上、欲しいものなんてないよ」
晶馬は陽毬が入院している頃、あの家で俺と二人だけで過ごしているときに、いつも大きな瞳に涙を溜めながらそう呟いていた。
中学生の頃、陽毬の病気が発覚した。俺たちは、その時にやっと気がついたんだ。
俺たちが大切にして、どうしても守りたくて、無くしたくないものを、いないはずの神様はいとも簡単に奪っていくんだと。
そして、きっとそれは俺たちに科せられた罰であるということも。
「冠葉、明日は入学式だけど……もうちゃんと準備した?」
晶馬は正座をし丁寧に洗濯物を畳みながら、俺の頭を膝の上に乗せたままの姿勢で訊いてくる。
上から覗き込むものだから、異様に顔が近くなる。
「……んー…あー………まだなんもしてねぇや」
ぱっちりした大きな瞳から目を反らしつつ、俺は晶馬の腹に顔を埋めた。
ちゃんと用意しなきゃ、と少しムッとした口調で言う晶馬の言葉を尻目にそのまま華奢な腰に腕を回す。
「もー…僕の話ちゃんと聞いてる?冠葉はただでさえ朝起きるの遅いんだから、今のうちに用意してなきゃ」
膨れっ面をしているのだろうか。それとも兄にこんなことをされて、照れて真っ赤になっているのだろうか。
どちらにせよ晶馬の腹に顔を埋めている以上、表情は確認できなかった。いや、知りたくなかった。
俺は、そのままひたすらに弟の優しい匂いに酔うことしかできなかった。甘くとろけそうで、胸がチクチクして逃れたいのに逃れられない香り。
「ねぇ、冠葉ってば」
堪えかねたのか晶馬は俺の肩を揺らし、自分の腹から顔を上げさせようとする。
暫く晶馬の腰にしがみついたまま抵抗したものの、まもなくして俺は抵抗をやめ晶馬の膝の上に頭を乗せたまま顔を向けた。
「なんだ、顔赤いぞ晶馬」
ニヤリとわざとらしい笑みを浮かばせて言ってやる。たぶん次は間違いなく耳まで赤くなるはずだ。
だが、俺の予想は外れた。次の瞬間、晶馬は長い睫毛を伏せて俯いてしまった。
「晶馬?」
俺は慌てて体を起こし、晶馬の頬に手を添えて顔を上げさせる。ほぼ同時に、俺の手に生暖かい水滴がぽたぽたと落ちてきた。
「晶馬?晶馬どうした?どこか痛いのか…?」
俺の手に降り続ける涙が、少し熱くなっていた俺の体温を冷やしていく。
そのときに初めて、俺は晶馬に欲情し、体が熱くなっていたんだと気がついた。
暫くして晶馬はゆっくりと首を横に振り、微かな声で「ちがう、ちがう」と言うと涙を溜め潤んだ瞳で俺の目を見つめて返事をした。
「……冠葉、あの、さ」
しぼり出すように、それだけ言うと俺の肩に自らの額を乗せ、嗚咽を漏らしながら泣きはじめた。
俺はその泣き声を耳元で聞きながら、弟の折れてしまいそうなくらい繊細な体を抱きしめる。
それでも馬鹿みたいに欲望に忠実な俺の身体は、悔しいけれどもしっかり反応したままだった。こんな状況なのに信じられない。
俺は気付かないでくれ、と願いながらそっと弟のやわらかい髪を撫でた。
「ごめんな、晶馬。ほんとに、ごめん」
自分でも何に対して謝っているのか、よくわからないままだった。
何で晶馬が泣いているのか、必死に頭を回転させて考えてみたけれども、密着した晶馬の身体に意識を奪われてしまって何も思い浮かばなかった。
俺の身体はこんなときくらい落ち着けないのだろうか。
でも、それほどに晶馬が愛おしかった。同じ血を分けた双子の片割れ。生まれたときから現在に至るまで、いつだって一緒にいた。
性格も違うし、見た目も似ているとは言い難いけれども、間違いなく俺達は兄弟であり双子だった。そして、陽毬も合わせて三人で家族だった。
それが崩れ始めたのはいつからだろう。
「あに、き」
耳元に晶馬の微かな吐息がかかり、はっとした。こんな関係になってしまってから、晶馬は俺と二人きりのときは絶対に俺を兄と呼ばなかった。
理由は分からなかったけれども、二人で楽しくじゃれあっているときも、俺が晶馬を抱いているときも、俺は決して晶馬の兄にはならなかった。
俺自身も晶馬を弟としてではなく愛しく可愛い恋人として接するようにしていた。
だって、そうするほうが気持ちが楽じゃないか。世間一般から見て、俺達の関係は男同士というだけでも簡単に許されるものではないし、さらには双子の兄弟でありどう足掻いても認められるものじゃない。
今までそうやって目を逸らすことで、晶馬との関係を肯定してきたんだ。
晶馬も自然とそれを受け入れているものだと思っていたし、だからこそ尚更のこと今の晶馬の言葉に俺は焦っていた。
突然、晶馬は俺の肩から額を離すと俺の左手を掴み、自分の胸に押し当てた。
「しょ…晶馬……?」
シャツ一枚を隔てて、手の平から晶馬の心臓の鼓動が伝わってくる。とても速い。次第に晶馬自身の熱い体温もはっきりと伝わってきた。
「……ねぇ、聞こえる…?兄貴……」
何が、と尋ねかけて言葉にする前に気がついた。
――――罪の音だ。
この、お互いに流れる血が、気持ちを確かめ合えるはずの鼓動が、そのものが罪の証なのだ。
父と母がいなくなって、もうここには戻ってこないのだと理解すると同時に、俺は塞ぎ込んでいた晶馬の心の隙間に入り込み、それまで胸の奥深くに仕舞っていた醜い欲望を一気にぶつけた。
ずっとずっと晶馬が欲しかった。優しくて、泣き虫で、それでもいつも笑って周りを安心させて。頑張り屋で、真面目で、困ったことがあると兄である俺を頼ってきて。
晶馬が俺以外の人間を頼らないことは、俺の中で密かな一番の自慢だった。
俺は晶馬に兄として信頼されていたし、俺もそんな晶馬の気持ちに応えていたつもりだ。
物心ついたときから、晶馬のことが可愛くて仕方なかったし、幼心に晶馬を守ってやれるのは自分しかいないと思っていた。
だから、心の隙間に入ることなんて容易にできた。頼れるものは俺しかいない、信じられるものも俺しかいない。
そんな弱りきった晶馬の気持ちを、俺は利用した。父と母がいなくなったのをいいことに、晶馬の気持ちを利用したんだ。真っ白で何も知らない身体を貪るように抱いて、穢して、自分だけのものにした。
他の奴になんか絶対触らせたくなかったし、晶馬に近づく奴は男だろうと女だろうと晶馬と親しくなる前に徹底的に排除していった。
いつか晶馬が「僕はなかなか友達ができないね」と呟いたことがあった。
少し寂しそうに微笑んでいる姿を見て胸が締め付けられた。
ずるい俺は、目を合わせずそんなことないだろう、とだけ返すと顔を見られないように晶馬の頭を抱きしめて嘘を誤魔化した。
暫くした後「僕には冠葉と陽毬がいるから、それだけで充分」と顔を上げ、微笑んでくれた。
きっと、晶馬は気づいていたんだと思う。だって、同じ血を分けた双子の兄弟なのだから。
俺は晶馬に握られていた左手で、そのまま手を握り返し、そっと顔に唇を近づけて瞳に溜まった涙を舐めた。
そして、晶馬が反射的にびくっとした瞬間を狙って優しく畳の上に押し倒した。
「ちょ、どうし……っ」
言い終わらないうちに、晶馬の柔らかく涙で少し湿った唇を自らの唇で塞ぐ。いつもより、塩っぽい味がしていつの間にか切れていた唇に浸みて痛い。
隙間から舌を入れ、無理矢理に晶馬の舌と絡ませながら、口の中の敏感な部分を探っていく。
晶馬の口の中はすごく敏感で、そうしている間にも甘い喘ぎを喉から漏らしていた。
一番感じる場所を見つけて、執拗に攻めると息苦しそうに蕩けた瞳に涙を浮かべ始める。
不本意だろうが、晶馬の下半身は反応していた。当たり前だ。今まで俺が時間をかけて、晶馬をそういう反応をする身体にしてきたのだから。
反応した晶馬の下半身に手を伸ばし、そっと触れると晶馬は身体を反らせてぴくぴくと震わせた。
「あ、あっ…あに……き、明日…は……―――っ!」
晶馬が言い終える前に、ぎゅっと晶馬のものをズボンの上からそのまま掴み、親指の腹を使って優しく撫でる。
それと同時に押し殺した蜂蜜のような喘ぎ声が、先ほどのキスによって光るように濡れた唇から溢れてきた。
「入学式だろ」
俺は晶馬の言葉に続けるように言い放った。
だからどうしたというのだ。俺は晶馬が欲しいんだ。明日が何であろうと関係ないだろ?嫌がらないでくれよ。
不安で不安で仕方ないんだ。晶馬を手に入れるために犯した罪も、そのために多くの人を裏切った罪も、晶馬自身を今なお騙している罪も。
ああ、挙げたらキリがない。
きっと今頃陽毬も一人寂しく病院のベッドの上だろう。大切な妹がそんな状態でいるときに、俺は一体何をしているんだろう。
ただひたすら抑えきれない欲望の赴くがまま、実の弟をめちゃくちゃに犯したくて、貪り食べてしまいたいほどの衝動に駆られているなんて。
自分が許せない。罪まみれで罰を受けて当然の醜い感情に支配された、こんなに汚れきった自分が憎くて仕方ない。
「なんで、なんで俺は…俺達は―――」
兄弟なんだ?双子なんだ?晶馬、頼むから兄と呼ばないでくれ。
おかしいだろ、何でだよ。こんなに好きなのに、愛してるのに何でだよ!
俺は、晶馬の着ているものを引き裂くように無理矢理脱がせると、火照った身体のせいでピンク色になった肌に何度も何度も甘く噛み付いた。
「あ、あっ……う…っあ、や…っ!」
身体を捩じらせて逃げようとする晶馬を押さえつけ、つんと尖った胸の突起に舌を這わす。
最初は優しく舐め、硬くなったところできゅっ、と軽く噛む。
「…っう!……く、ぁ、あ…あっ、や…ぁ…」
俺は晶馬が痛がっていないのを確認しながら、何度も何度もそれを繰り返した。片方を口の中で転がし、もう一方は指で引っ張ったり爪で引っ掻いたりして弄ぶ。
「なぁ、晶馬。気持ちいいか?ここ…ほら、こうしたら」
「ひゃ…っ!そ、そんな……んっ、は…ぁ、あっ、う……っ…」
こうして素直に俺を感じてくれると安心する。
俺はそのまま硬くなった晶馬のものに手を添えゆっくり皮を剥いてやると、もう随分我慢していたのか白濁の液が俺の手を伝って溢れてきた。
その手についた液をわざと晶馬に見えるように舐め取ると、案の定晶馬は目を逸らせてぎゅっと目を瞑った。
俺はその手を晶馬の顔に近づけ、舐めろ、とだけ言って半ば無理矢理に指を咥えさせる。
「痛いの、嫌だろ」
晶馬の口の中で舌をそっと掴んで、こねるように指を絡ませると遂に苦しそうに顔を歪ませながら溜まっていた涙を溢れさせた。
俺はそれを一粒ずつ舐めながら、指をさらに深く晶馬の口の中に突っ込んだ。
「ん、ぐ…っ…ふぁ…っあ……ぁ」
そろそろ充分だと思い、そっと口の中から指を出してやる。晶馬の口から俺の指を繋いで溢れた糸が電気に反射してきらきらと光っていた。
糸は途中でぷつん、と切れて晶馬の唇の端を汚す。
俺はそのまま、そっと中指で晶馬の小さな蕾の入り口に触れる。すると晶馬は焦るように手を伸ばしてきて、それを阻止してきた。
「や、やっぱり…こんなの駄目だよ……っ!」
「何を今更…」
予想通りだ。さっき突然晶馬が泣き出したのも、俺に対して一見意図が読めない行動を起こしたのも、俺達が犯している罪の意識から生まれたものなのだろう。
視線を上げると棚の上に乗せた父と母、俺と晶馬と陽毬の五人で昔撮った家族写真が目に入る。その横には父と母の二人だけの写真。
俺達三人は当たり前に愛し合った男女二人から産まれ、彼らから愛されながら育てられていた。四年前のあの日までは。もう両親が戻ってくることはないと知ったあの日までは。
俺は耐え切れなくなり、手を伸ばして棚の上にある写真立てを払い落とした。ガチャン!と大きな音が部屋に響くと、晶馬はびくっと身体を縮みこませて音のした方向に目をやった。
「あ、兄貴…っ!?何して……っ!」
起き上がろうとする晶馬の肩を押さえ、黙らせるようにキスをする。それでも抵抗する晶馬の両足を力づくで開かせ、先ほど挿れ損ねた蕾に濡れた中指を深く挿した。
「――っ!っぁ…あ、うぁ……っ」
晶馬の中は柔らかくて、あたたかくて、動かすと締め付けが強くなる。その度に晶馬のものは、びくびくと痙攣し、白い液を溢れさせていた。
中を探りながら、壁を指の腹で擦ると今までとは比べものにならないくらい、甘い喘ぎ声を漏らした。顔を近づけ、その声を耳元で聞く。
周りの罪から目を逸らして、受けるべき罰から逃れるように。
暫くして、程よく晶馬の緊張がほぐれてきたところで人差し指も挿れた。傷つけないように優しく、丁寧に中をかき回す。
ねっとりとした水音と晶馬の甘い息遣いが静かな部屋に響き、さらに俺を興奮させた。
そろそろ俺も限界かもしれない。晶馬から指を抜き取ると、窮屈になっていたズボンを下ろした。
晶馬は薄く目を開けながらその様子を見て視線を逸らしてから、小さな声で何か呟いた。
俺は見て見ぬふりをして晶馬を抱き起こすと、壁に寄りかかり膝の上にほぼ全裸の晶馬を跨らせた。
できることならば、咥えさせて泣き顔でめちゃくちゃにしてやりたいところだが今の俺にはそんな余裕がなかった。
跨った晶馬をぎゅっと抱き寄せ、小さく柔らかな尻を揉みながらそっと開く。バランスを崩した晶馬は俺の首に腕を回すと諦めたように身をあずけてきた。
「どうして今更、兄扱いすんだよ……」
訊いてから、訊かなければよかったと後悔した。晶馬は、こんな関係をやめたいと思っているんじゃないだろうか。さっきも俺の愛撫を阻止して、駄目だと言っていた。
「嫌なんだろ。俺に……実の双子の兄にこんなことされるのがもう耐えられないんだろ……っ!」
「……っ……違う……っ!」
「それなら、どうし……!?」
叫びかけた瞬間、俺の唇を晶馬の少し血が滲んだ唇が塞いでいた。途端に俺は驚きで力が抜けてしまい、支えていた晶馬の身体から手を離してしまった。
だって、初めてだったから。晶馬から、キスをしてくれるのは。
晶馬からのキスはあたたかくて、優しくて、滲んだ血のせいで鉄の味がした。俺も唇をいつの間にか切っていたから、どちらの血の味かは分からなかった。
でも、二人とも同じ血が流れているのだから、きっと味も同じだろう。
「……晶馬…」
重ねただけの晶馬のキスに、先ほどまで抑えていた怒りや、やるせなさや悲しみが止め処なく溢れてきた。それは頬を伝って畳の上に染みを作っていった。
俺は泣いているのを晶馬に見られるのが恥ずかしくて、顔を背けた。
俺達は罪を犯している。罪を犯したら、罰を受けてそれを償わなければならない。それが世の中の掟で、俺はそれが恐くて、けれども罪を犯し続けることをやめられない。
「兄貴……大丈夫だよ、大丈夫……」
晶馬は俺の頭をそっと抱きしめると髪を細い指で撫でてくれた。
なんでだろう。双子できっと俺も同じ細胞で構成されているはずなのに、晶馬のそんな仕草も声も髪の毛の一本に至るまで全てが愛おしい。
「僕は、兄貴のことが好きだよ…兄貴がいれば、一緒なら…何をしても恐くない」
そう囁くと自分が泣いたときにされたのと同じように、晶馬は俺の涙を舐め取った。
「ただ、時々恐くなるんだ。僕はさ……恐がりだから」
悲しそうに微笑んで俺の目を見つめる。
俺は晶馬を愛した故に罪を犯した。だからもちろん罰を受けて当然だ。今まで晶馬は、俺のせいで巻き添えを食らって苦しんでいるのだと思っていた。
俺のせいでずっと晶馬を苦しめていたのだと思っていた。
「でも…晶馬、お前は俺のせいで……」
「本当に嫌なら、あのとき兄貴を殴ってでも僕は逃げ出したと思う」
あのとき―――四年前のあの日、俺は泣き疲れて布団に横になっていた晶馬を、悲しんで今にも折れそうで弱りきった晶馬を上手く口車に乗せて、自分のものにした。
晶馬はほとんど抵抗はしなかったし、馬鹿な俺は犯した罪の深さに信じられないほど酔っていた。
「もちろん、兄貴に対して…その……こういうことしたいとは思ってはいなかったよ」
晶馬は恥ずかしいのか、頬を赤らめて視線を泳がせている。
「…それでも、兄貴が望むのなら、そうすることで絆が確かめられるのなら…それでいいと思ったんだ」
きっと俺なんかより、晶馬のほうがよっぽど肝が据わっていて強いんだと思う。素直に恐いものを恐いと言える度胸も、助けを求める強さも俺にはない。
罪に溺れ、待ち構える罰から目を逸らし続けて、結果このザマだ。対して、晶馬は罪を受け入れて、恐いと言いながらも罰から逃げようとはしなかった。
愛から生まれた罪と、罪から生まれた愛がここにあったんだ。
「僕を愛してくれて、ありがとう……兄貴」
俺のものの先端を晶馬の蕾の入り口に少しだけ押し当てると、晶馬はぎゅっと歯を食いしばっていた。
「おい、晶馬……力抜け、力」
呆れつつも、心の中ではその様子が可愛くてたまらない。身体は素直なもので、俺のものはさらに元気になった。
「そ、そんな…こと、言われても……無理…っ!」
また涙目になって大きな瞳を潤ませている。長い睫毛が震えると、目尻から涙が溢れ出す。
そんなに泣いてばかりだと、いつか体中の水分がなくなってしまうのではないか、などど妙な心配をしてしまった。
晶馬が落ち着くように額に俺の額を軽く押し当てて、そっと目を閉じる。幼いころから、晶馬が困っていたり、悩んでいるときにはいつだってこうしてきた。
双子であるということを今まで恨んできたけれども、これで気持ちが通じるのは同じ血と細胞からつくられた双子の特権なのかもしれない。
少し安心したのか、力の抜けた瞬間を見計らってゆっくりと晶馬の中に俺のものを挿れる。それでもまだ窮屈で俺はキツさに顔をしかめた。
「あっ、ぅ…あ、あ…はっ……」
晶馬の苦しそうな息遣いが唇から漏れ出す。四年前のあのときから、何度も何度も抱いてきているはずで、さすがに慣れてもいいんじゃないかと思うのだけれども、やっぱりいつも晶馬の中は狭くてなかなか奥まで進めない。
溢れる声が恥ずかしいのか、自らの手の甲をきゅっと噛んで耐えている姿がさらに俺を熱くさせた。
中で壁に擦れる度に、びくんと大きくしなる細い身体を倒れないように支えながら俺はようやく晶馬の中に全てを挿れきった。
「……晶馬、全部…はいったぞ…」
そっと、息をかけるように耳元で囁く。ほぼ同時に晶馬の締め付けが強くなり、俺も息を殺した。
ゆっくりと晶馬の腰を少し持ち上げ、また落とす。すると、さらに深い部分まで届いて晶馬が痛さに目を見開いて大きな声をあげた。
「わ、わりぃ……痛かったか…?」
「…さ、さっき、から……ずっと痛いよっ!」
顔を真っ赤にさせて、息も絶え絶えに俺の首にすがりつくと、微かに「大丈夫」と呟く声がした。
それなら、と俺は遠慮なく晶馬を畳の上に寝かせて一旦入り口近くまで抜くと一気に奥まで貫いた。
「うぁっ!ぁ、あっ…んぁ…っ!」
その動作を繰り返し、何度も何度も奥を突く。ぐちゅ、ぐちゅ、と結合部から卑猥な音がして、俺の欲情をさらに駆り立てた。
突くたびに絡みつく内壁の感触が気持ちよくて、俺も自然と声が漏れ出た。
「な……晶馬、気持ち、いい……か?」
「う…う、ん……ふ、ぁあ…あ、あに、き……っ」
髪を乱しながら快感に身を捩る晶馬の姿を見つめながら、腰の動きを早くしていく。晶馬のものからは絶え間なく白い液が噴き出して、本人の腹を汚していた。
「い――っ!て……」
俺の背中にぴりっ、と小さな痛みが走る。晶馬が爪を立てて、無意識に背中を引っ掻いているようだった。それほどまでに俺を求めてしまう晶馬が可愛くてたまらなくて。
俺は今までで一番強く貫くと、堪らず晶馬の中に自分の欲望を注ぎ込んだ。
「うーん……?」
一時間ほどして、晶馬が目を覚ました。あの後、腰が抜けてしまって立ち上がるのもままならなかった晶馬を抱きかかえて風呂に連れて行き、一緒に入った。
意識が朦朧としていたのか、一人で何もできなかった晶馬を頭のてっぺんから足の指先まで俺が洗ってやり、風呂から出ると無防備すぎる弟は素っ裸のまま床の上で寝てしまった。
さすがにこれ以上変な気を起こしてはいけないと思い、目を逸らしてそっと毛布をかけて寝かせておいたのだ。
「おー…起きたか」
俺は先ほど晶馬が畳んでいた途中の洗濯物を、代わりに畳みながら素っ気無く返事をした。
「………兄貴、それ、畳み方……ちがう」
「え。まじかよ」
晶馬が毛布を退けて、のそりと起き上がると白い肌が露になる。俺は見ては駄目だと必死に自分に言い聞かせながら、畳んでいた途中の乾いた洗濯物を晶馬に渡した。
「な、服着てこいよ」
「いいよ、後から着る。それに、このまま服着てないほうが兄貴、嬉しそうだから」
我が弟はなんてことを言い出すんだ。表情すら誤魔化せていなかった自分が恨めしくて溜息をついた。
そんな俺を見て、晶馬はいたずらっぽく笑って俺の頬に唇を押し当ててくる。
「僕の愛も、君の罰もすべて分けあうんだ」
優しく、それでいて決心したように晶馬はそう、言った。
俺は晶馬の頭に手を乗せふわりとした髪を撫でる。きっと、二人一緒ならば恐いものなんてない。犯した罪も、受けた罰も。
神様なんていないけれども、俺には双子の片割れがいるんだ。何よりも信じることができて、愛してやまないひとが。
一人では重過ぎて持つことはできない罪も罰もすべて、二人で分け合えばきっと。
-fin-