1 :
名無しさん@ピンキー:
三界を落胆させたあの衝撃の引退宣言に遡ること数ヶ月。
彼女に引退を決意させたものとは――。
お相手は?
ずっとみんなを裏切っていたの?
ファンならずとも気になる疑問が明かされるBeforeエピソード。
ネオ・ヴェネツィアの白き妖精アリシア・フローレンスの長編官能ストーリー『愛撫』。
新たにハードコア版としてここに再登場……。
2 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 22:43:05 ID:4boazRV1
「あ、あの、何を……してるんですか?!」
どこからとり出してきたのか乳先に生クリームをのせられて、アリシアはやさしい眉に憂いの翳をつくるとすっかり戸惑い顔になって尋いた。
「動かないで下さい、デコレーションしているんですから……」
彼――は「ボクのすることにはおかまいなく」という雰囲気を漂わせながら、さらにもう一方の女の頂にもホイップした生クリームをチューブの先から搾り出した。
その冷たさに目覚めかけていた尖りはたちまち身を竦め、初桜色の広めの乳暈の中に半身を埋めてしまった。
「だって今夜はクリスマス・イブでしょ……」
アリシアの当惑をよそに屈託なく微笑む。
でもこれが曲者、用心用心――。
こういうときの彼は、彼女の覚悟のずっと先を行って、いつでもひとりぼっちにとり残されてしまう。
今もそう。
お湯に浸かる前のささやかなリクエスト、戯れのはずがいきなり変なことをし始める。求められるままにアリシアは平べったい隠れ石――今は潮位が下がっているために
湯面からわずかに顔をのぞかせている――の上に仰向けに身を長らえていた。タオルで体を隠すことを許されずに。
3 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/19(火) 22:43:54 ID:4boazRV1
午後の日差しの下、異性の視線にすっかり裸身をさらすというのはとても抵抗感のあること。それでも応じたのは、今日が特別の日――と、そう思うから。
「寒くはないですか?」
傍らで自分だけ半身浴でくつろぎながら、アリシアの柔らかいお腹の上に片手をのせ、ご機嫌伺いをするようにを優しくさすりながら訊く。
アリシアは小さくかぶりをふった。とりようによっては、イヤ――と、言っているようにもみえる曖昧な、もの問いたげな顔で。
まだ日は高いとはいえ、そこは冬のアクアである。外気は冷え込むという以上に冷えきっている、はず。が、海に続く露天風呂、囲繞する豊かな暖気と、
背にした置き石が温かくちょうど岩盤浴をしている形になっていて、寒さを意識することはなかった。気がかりは、ときおり空気が動いて肌に冷たくあたることよりも、
彼が何をしようとしているのか、わからないこと……。
そう思ってから、アリシアは不安に揺れる目を瞑った。自分を偽っているのがわかって。
本当のところ、いま乳先にクリームを載せられた瞬間に、もうはっきり判ったのだった。何を求められるかということを。
でも……。
お腹の上に居た手がつつっと這い下りていく。温かい手、やさしい手、そして……いじわるな憎らしい手。
提 供
ダ イ ハ ツ
5 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 00:40:24 ID:ax/5Cenn
今度は、お臍――。
中に冷たいものが入れられる感覚に、きゃっ、と小さく悲鳴をあげて半身を起こしてしまう。見るとお臍の中に樹脂製のしぼり器の口金が寄せられていて、愛くるしい羞恥のくぼみがクリームシェルできれいに蓋い隠されていた。
「ほら、だめですよ動いちゃ、せっかくのデコレーションが台無しになっちゃう」
まるで幼稚園の保父さんが子供をたしなめるように言う。
動いた拍子に両の乳房がゆっさり垂れて、その拍子に頂きにのせた白いキスチョコのひとつが崩れてツノの先が丸まってしまったのだ。
「つ、つめたいわ……」
「仕方ないですね」
またやりなおしです――とばかりに、彼は屈みこむと崩れた方のキスチョコを舐めとりはじめた。肌が覚えている舌の感触が甘く、くすぐったい。
クリームがあとかたもなく舐りとられても、デコレーションの土台を固めるからと、舌と唇で丁寧に整地をはじめる。敏感なところを舌で嬲られ、?られて、アリシアの頭のなかにたちまちピンクの靄がたちこめてきた。
6 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 00:41:06 ID:ax/5Cenn
今度の口づけは本気モード、官能を目覚めさせようというときのやり方。唇を丸めてしっかりとらえると、舌先で感じやすい先端をペロペロされる。
ちゅくっ――。
(あぁン……ッ)
無事でいた方もお口の中にふくまれて、抑えきれずに鼻を鳴らしてしまった。
幾度も交互に往復して、結局どちらもかたく、くっきりと目覚めさせられてしまう。といってもアリシアのそれは背伸びしてもせいぜい大豆よりも少し大きいくらい。
量感たっぷりの肉房にふさわしい官能的なひろがり方の乳暈にくらべると、尖りの方はとても控えめ。まだ愛されることを知ったばかりで恋人のキスを受けとめるのが精一杯の肉の蕾だった。
「アリシアさん、オッパイが巨きいから、ちょっと動くとすぐにクリームが垂れちゃう……じっとしていてくれないと……」
言いながらアリシアは両手を頭の上に導かれ、そこで動けないようにふくめられてしまう。通りすがりに唇への挨拶のキスも忘れずにされると、アリシアはもう嫌とは言えなくなってしまうのだった。
7 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 00:41:59 ID:ax/5Cenn
こうして有無を言わせずにボディデコレーションは勝手に進められていく。
かわいい乳首を中心にロゼットの飾りを象るという意匠変更、唇の上にはキスチョコのデコレーションがされてバニラが濃厚に香っている。添加物が何も加えられていないのか甘味は感じなかった。ピュアな生クリームの味。
そして腋の下の半月のくぼみには、絞り器の代わりにペイントナイフで厚く盛りつけられてしまう。パンにチーズクリームを塗りつけるようにして。
その間アリシアは大人しくされるままになっているしかなかった。
イケナイこと、と思いながら。
食べ物でおイタをするのはとても罰あたりなこと。その上いけないことをするのはもっともっとイケナイ、わるいこと。
けれどもそんなふうに考えると、よけいに気持ちがあやしくなってくる。
脇腹にチョンチョンと啄むように軽くボディキスをされて、アリシアの心と体にまたひとつ、小さな紅の火が点った。それは白磁の肌を内側から照らし、まっ白な体を薄桃色に色づけていく。
8 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 00:59:33 ID:ax/5Cenn
六ヶ所に置かれた白薔薇や貝殻が、なめらかな肌のキャンバスの上でいつしかすっかり萌えるようになっていた。それが体温であたためられて溶けだすと、芽吹いて色づきを増した肉の胸飾りの上においしそうな雪化粧をしていった。
白とピンクと初桜色のこの上なくやさしげなオブジェ。いろどりの柔らかさはチェリーをのせたミルクプリンやストロベリーパフェといった子供が大好きなデザートを思わせる。
子供の大好きなもの――を。
彼は作品のできばえを確かめるように視線をアリシアの体の上で走らせた。芸術家にもどって思案顔。ふー、とため息をひとつ。
「あと、一カ所……ここは、やっぱりアリシアさんに協力してもらわないと……」
困り果てたようにそう言う。けれどもそう言われて困惑するのはアリシアの方。ここ、という部分を指先でコチョコチョと梳くようにしてくすぐられている。ふんわりと秘所を覆う下生え、ゆるくウエーブしていてキラキラと輝くヘアを。
そこにもクリームを盛りつけるという。
予期してはいてもアリシアはやはり、さすがにそれは、と思った。
けれど唇にはクリームがのっていて言葉を封じられている。アリシアは目だけで思いをうったえることしかできない。
「脚を広げてほしいんです……」
9 :
名無しさん@ピンキー:2010/01/20(水) 01:00:07 ID:ax/5Cenn
そう言って立ち上がるとアリシアの足下へ移動する。お湯の中から現れた、もの、にアリシアの目が惹きつけられた。高々と屹立したこわばり。
彼は彼女の視線を意識したように片手で握ると、ひと擦りしてみせた。
「ちゃんと飾りつけしたいから……」
自身をなだめながら、ちょっと苦しそうに続ける。頬に繊細な申し訳なさそうなしわが浮き、せつない顔をしてもちかけるのだ。
そんなふうに言われるとアリシアには拒みきれなくなってしまう。
それ、が、また自分の中に挿入ってくるのを想うと、怖いというのと期待する気持ちとの間で心が揺れてしまう。
アリシアは視線をそらせると瞼を閉じた。無言の同意。それでもやはり、実際に脚をひろげようとすると恥ずかしさにひるんでしまうのだった。
暗い寝室でも躊躇いのあることを、こんなにも明るいところで……。
なぜ――? と、恨みがましく思ってしまう。
もじもじとしていつまでも煮え切らない容子に痺れをきらしたのか、不意に膝の裏に腕が差し入れられた。と、次の瞬間、下半身を持ち上げられたアリシアは、たじろぐ間もなく、石の上にあがってきた彼に逆さ向きに抱き取られてしまった。
?!――。
一瞬、どうなったのか分からなかった。が、下腹部の飾り毛の向こうにうれしそうな微笑みが見えた途端、アリシアは仰天して取り乱しそうになった。自分があまりにもひどい姿になっているとわかって。
だめぇっ――!
続きはまだか
アリシアーっ
永遠の
なぞめいた
つづきはー
悲しいな
悲しいね
続きを
頼む
21 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/09(火) 00:18:16 ID:jAdgQ6X7
クリームまみれの口で悲鳴をあげる容子は、普通ならみっともなく泡を噴いている図――と、なるところが、アリシアのようなとびきりのレディがすると、シェービングクリームで悪戯しているのを見つかって
ばつの悪そうにする無類に愛くるしい女の子にも見えてくる。端然としたスノーホワイトの時とはあきらかに違う、彼女のもうひとつの素顔、動揺ぶりで、慌てて両手を股間に伸ばすといじらしく秘所をかばった。
目のまわりを羞恥のために朱をさしたように赤くしている。
「ダメですよ、手は頭の上にって言ったハズでしょう? ホラ、せっかく塗ったワキの下のクリームがめちゃくちゃになっちゃったじゃないですか」
いいながら自分はしっかり胴に腕をまわしてきて貝の臍飾りを台無しにしている。そのうえアリシアの腰に手をそえると骨盤を裏がえそうと力をいれてくる。
やめてっ! と、あらがう間もなく両膝が肩につくくらいまで屈曲させられてしまった。窮屈でも彼の膝が腰のくびれにはまりこみ、腰骨をしっかり掴まえられていては体を伸ばすことも返すこともかなわない。
そればかりかこの形になると人の体の構造上、否応もなく自然に脚が大きく開かれてしまう。赤ちゃんがおしめを取り替えるときの格好、大人の女がひとに見せてはならない姿に。
「あぁ……こういうのは……イヤ……イヤです……」
股に手をあてがったしどけない姿で、せつない声になってうったえた。
「憶えていますか? この体位のこと、マングリ返しっていうんですけど……」
涼しい顔で訊かれてもアリシアには知る由もない。いま取らされている姿がそんなイヤらしい響きの呼び方をされるものであることなど。けれども以前に彼から見せられた性愛図譜の中にその絵柄があって、
ひどく驚いたのをどこか投げやりな諦めにも似た気持ちの中で思い返していた。
22 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/10(水) 23:34:27 ID:wZ4AhVHx
その時にはそんなそら恐ろしいことがわが身に起きようとは想いもしなかったが。
いま実際に演じて思い知らされるのは、それがイラストから受けた印象以上に女にとっては堪えがたいはずかしめであること。この格好をすると脚ばかりか、もっと微妙なゾーンまでいやがうえにも展いてしまう。
どこもかしこも緩んだ締まりのなくなった感じでだらしなくほころんでしまいそうだった。
見せたくないところ、たとえ身も心も許した人にでも隠し抜きたい女のプライバシーが相手の顔前にことごとくさらけ出されてしまう。
いつ誰に目撃されるとも知れない白日の下で――。
悩ましげに息づく密やかな合わせ目を護っているのは両手だけ。長く整った指先の白い繊手が届く限りの部分を被い、好奇心いっぱいの視線から遮っている。
その手を無情にも退けるようにと言う。頭の上に置いて、何もかも全て――彼はそのひとつひとつをはっきりと口にした。求められる側の女にとっては耳を塞ぎたくなるような具体的、
直接的な言いまわしで――を見せるようにと命じられてアリシアは泣きたくなった。
「……ああ、なんてひどい……あなたに、そんなみじめな姿……見られたくない……」
「みじめだなんて、ボク、こんなにステキなアリシアさんを見るの、はじめてなのに……」
彼の顔にも情欲の赤みが差していた。
「おねがいよ、聞き分けて……」
献身的でありたいと思う健気な恋人としての気持ちと、それだけは避けたいという本能との間で板挟みのアリシアは、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。
端正な小鼻をしくしくさせて女の思考を巡らすのだった。
いつもは一緒にお湯に浸かってお話するだけなのに、身を寄せ合っているだけでとても幸せなのに……。
どうしてそれではいけないの――?
23 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/11(木) 23:18:17 ID:XGJYPoKJ
二人がここでデートをするのは初めてではなかった。
湯宿は鄙びた外観の印象以上に内部は広く、暗いうえに廊下がまるで迷路のようになっていて、棟続きとなる女湯の側からでもこの入り江に面した離れにまでたどり着くのは難しい。
男湯からはさらに険しい難所があるそうで、容易なことではここに足を踏み入れることはできないという。そのため他の利用者が迷い込むことなど滅多になくてひっそりと逢うにはとても都合が良かったのだ。
そもそも離島まで足を伸ばす者などそんなに居るはずもなく、本島で周囲の視線を意識しながら隠れるように逢瀬を重ねるよりも、ずっと危険が少ないのだった。
二人だけの、秘密のデートスポット。
ここでお気に入りの置石に並んで腰をおろし、潮騒に耳を傾けながら時に口づけをかわして逢えずにいた間のことを語りあう。
仕事のこと、課題のこと、身のまわりの他愛もない出来事の交換、たとえば今放送されている連続ドラマや、最近読んだ本の感想、気になる通販商品のこと、
それと……チバシティ・ブロードキャストの明け方の人気番組、ブルーモーメントの大澤サエカは選曲もステキだけど語りの方はもっと良くて、いつだってサイコーにクールだっていう、
おきまりの彼のお国自慢……それから……大切なお友達のこと……。
そして時がくればそれぞれの世界に還り、見知らぬ他人のふりをする。つかの間の逢瀬、身も心もあたたかな安らぎに満ちたひととき。
禁欲を守り通しているのは、初めて深く愛し合った後に結んだ取り決めがあったから。神さまのお許しがあるまでは清らな関係でいようという。
彼が提案してアリシアが望んだ、永遠への祈りがこめられた二人の愛のかたち。
24 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/13(土) 23:26:20 ID:zHviye/2
肉の歓びはあまりにも甘く、太陽のように眩しすぎるから。
その前では満天を彩る星辰のまたたき、星たちの囁きのようなたくさんの、好き――という気持ちもはかなくかき消されてしまう。
恋という織物は燃えやすくて傷みやすいもの。だから互いの思いのひとつひとつを丹念に縒り合わせて愛情という絆に紡いでいく。たとえどんなに遠く離れていても心はつながっているようにと願って。
ただ、タオルの下は全裸ということもあって、時には越境してしまうことも無いわけではなかった。軽い口づけのつもりがいつのまにか濃厚なネッキングになってしまっていたり、浅瀬でじかに肌を接してきつく抱き合ったり……。
けれどもたいていの場合どちらか一方が思いとどまった。多くはアリシアの方だったが、二人とも欲求充足には慎重で多くを望まずにいたのだった。
アリシアが本当の意味で抱かれたのはこの半年近く――マンホームの暦にしたがえば十ヶ月あまり――の間でも片手にさえ余る。それはほとんどアクシデントと言ってもいいような偶然の故。
まるで小さな波が集まって船を砕くような大波を生みだすことがあるように、いくつもの予期せぬ出来事と二人の思いが重なりあったとき、熱にうかされたように規を越えてしまう。
それでも湯治場のような公衆の場面で、二人だけの寝室で密やかにゆるしあうことを、求めることも求められることもなく過ごしてきた。
それなのに……。
25 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/14(日) 23:35:37 ID:Eb3tyISu
いまはおふとんの中でも経験したことのないハードな要求をつきつけられている。
ふだんは他人を尊重して折り目ただしい言葉つかいをする彼が、おそろしい猥褻な言葉を平然と口にして追い詰めてくる。
(……どうして……そんなことを……)
アリシアの胸の裡は屈折した。
今日のデートはいつもとは違って、会う前からいくつかリクエスト――髪を結わずにストレートにしているのもそのひとつ――をされていたこともあり、きっと愛されることになる、と、うすうす感じてはいたけれど。
そのときには彼の気持ちを受け容れようと覚悟していたつもりだったけれど……。
それでも豹変した彼の容赦のなさには戸惑うばかりだった。和んだ親しみのかわりに疑心と畏怖の念がわいてくる。
何も言わずにただ黙ってこちらが従うのを待っている相手に、アリシアは自分から思いを口にした。こうした時に女にできるたったひとつのことを。
その言葉に応じたのか不意に背中にあたっていた膝のつっかえが取りのぞかれた。股関節も柔らかく、きれいに折り返されていた体が再び自由を取り戻した。が、放免されて安堵する間もなく脚の間に割り込んだ彼が動いた。
肌に塗られたクリームのヌルリと妖しい肌触りで自分の上を這いのぼってくる。
まるで大きな舌で全身をひと舐りされたような奇妙な感覚。それまでのエロティックなじゃれあいに目覚めていた体は、ささくれかけた心を置き去りにして、待ちかまえていたように真あらしい刺戟にとびついた。
意思とは別に両腕を伸ばして彼の体を求めた。かいなにたぐりよせようと。
26 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/17(水) 00:35:42 ID:+5YH8OaL
目を開くとやさしい頬笑みが見おろしていた。困ったような、ちょっと心配そうな容子で。抑制のきいた利発な面差し。彼のスケッチブックを背中からそっと覗き見しているのに気づいて、こちらを振り返ったときの表情。
大好きな彼――の、いつもの顔。
「イヤ……」
自分でもしなをつくっているとわかる甘えた声音が自然に口をついてでてきた。恋のかけひきではいろいろなNOを使い分けることを、アリシアは既にいくつかの経験を通して学んでいた。
今度のイヤ――は、限りなく同意に近い否定。
顔が寄せられて唇の周りのクリームが丁寧に舐めとられる……キス。はにかんだ笑みの中で交わされる初々しい口づけ。
けれども、ごめんなさい――の、接吻は長続きしない。すぐにディープキスになってしまう。
ん……。
元気な舌が奥まで差しこまれ、しかたなく、口を、ひらいた。
大きく――。
親鳥が子に餌を口うつしするように、彼の欲するままに……と。
そのアリシアの感傷的な思いは、すぐにかすかな悔いへとおきかわる。
んん……うふぅ……?
巧みに動き回る舌がわがもの顔に歯の裏、唇の裏側にも探りを入れてきて、ひとつひとつをなぞっていた。歯並びを確かめるようにして、丹念に。
息つく間もなく、貪欲な舌に口腔を舐めまわされてアリシアはたちまちくぐもった喘ぎ声をもらすようになった。押し入ってきたならず者は、おびえて奥で身をすくめている舌を見つけるや強引に身をもぐらせて逃げ場を奪うと、
唇ではさみつけて吸い出そうとする。ぢゅっと、しどけない音をたててあふれた唾液をすすりあげた。
キスというよりも食べられている、という感じのする接吻。実際、アリシアの舌はただ玩ばれるばかり。けれども舌と舌とを絡めていると、ソフトに唇を重ねているときとは別の気持ちの高まりを感じてしまう。
もう友人同士の親愛のキスでも、うぶな恋人たちのためらいがちのキスでもなかった。
情欲の口吸い――。
彼が自分をセックスの対象とすると決めたときの濃厚なベーゼ、親密な関係にある男と女の大人のキス。
それはそっくりそのまま、より淫靡な性戯のデモンストレーションになっていた。
27 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/18(木) 23:24:02 ID:D6Mm6BrE
ボクはキミにこんなことをするよ、もっとひどいことだって平気だよ、という言葉以上に雄弁な意思表示。
彼の舌と唇による詮索からようやく解きはなたれたアリシアは、ハァハァと乱れた息を整えながら、私をどうするの――? と聞くように恋人の名を呼んだ。黒い瞳がぴたりとすえられる。情熱に燃えたひたむきなまなざし。
思いののった見つめあいから先に目を伏せてしまったのは、やっぱりここでもアリシアの方。
一旦は譲歩したようにみせて、その実、彼には少しも容赦するつもりのないのがわかって。
いい子いい子するように、前髪のほつれを撫でつけてくれる手の動きに、その思いやりのこもったやさしさに胸が熱くときめく。けれどもだからといって何もしないというワケではないのをアリシアは知っていた。
彼がひとたび自分をこのようにする、と決めたらどうすることもできないことを。
横に置かれたビニールチューブの中には恨めしいほどクリームがまだたっぷり残っていた。日はまだ傾いたばかり。
「かわいいひと……キミが……好きだよ……」
耳元でささやきながら、背中にまわしていたアリシアの腕を拒んで彼女にバンザイをさせるように両腕を押さえつけた。いくぶん荒々しいやり方で。
「きれいな、体……」
アリシアの全身、上下に目をやりながら、ため息まじりに言う。
すんなり長い二の腕の、普段あまりひと目にふれることのない内側のなめらかな肌が今は表になっている。腋の下や乳首、乳暈のところどころにクリームが残っているのがかえって淫らっぽく、凄艶にみえている。
非のうちどころのない裸身がなま身であることの証であるように。
「こんなにきれいな女のひと……どこにもいない……マンホームにだって……」
顔が近づいてきてアリシアは目を閉じた。おとがいをあげて従順に唇をさしだす。ルージュを結んでいない清楚な口許を。けれども口づけが落ちてきたのは別のところ。開いた腋の下に顔がよせられて、不意打ちされたアリシアは驚きに息をのんだ。
28 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/20(土) 00:55:57 ID:UJ23gsGC
「あぁ……だめ……いけない……」
「どうして、いけないのですか……?」
無邪気さをよそおった問が返ってくる。
「だって……こういうことは……」
ストレートに訊かれたアリシアは口ごもった。理由は自分の口ではとても言いにくいこと。
デリケートな肌を舌と唇とでなぞられるのは初めてではなくても、やっぱり恥ずかしかった。乳房を口にふくまれるよりもずっと、タブーを犯している気がして。
腋の下の密やかな香りを知られてしまうのは女にとって抵抗のあること。それ以上にこの奇妙な口づけが淫らな愛撫の前戯であるのを意識してしまう。
身も心もとろけてしまいそうな、あの恥ずかしい接吻の。
それをもし、このまま求められたりしたら……。
アリシアは不安になった。
だめだわ――。
それだけはだめ……聞き入れてもらわないと……。
彼が好んだことから二人の間で(も)未経験というのではなかった。屋外でも一度、強く求められて仕方なく応えてしまったことがあったけれど、いまもアリシアは、たとえ寝室でもできればそれを避けてとおりたかった。
彼には言えずにいる、或る理由――も、あって。
それに……。
たまらなく恥ずかしい、男と女のとりわけ密やかな秘めごと、睦みごとを、このような明るく開けたところでどうして応じられよう……。
容赦なく身に降り注ぐ太陽の下で、彼にひっそりとした女の素肌をすべてさらしてしまうのが怖かった。
もし誰かに恥ずかしい声を聞かれてしまったら……。
聞きつけた人に、淫らな行為を見つかってしまったら……。
理由はそれだけではない。
体を清めていないこと、なによりもそれが今の彼女を悩ませている……。
ここに来るまではなるべく体を濡らさずにいるよう命じられていたから。言われるままアリシアは、他の客の目を避けるようにしてまっすぐやってきていた。
だから――。
29 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 23:32:53 ID:0QLjFCE2
「あっ――!」
舌先を尖らせて腋の下から二の腕までをながく、ツーッと辿られて、アリシアは見知らぬ感覚に身をもがかせた。
「待ってッ!……それ、だめぇっ……」
けれども上から抑えつけられていては腕を閉じたくても閉じられない。くすぐったいという以上のゾクゾクするような妖しい快美感は拷問といってもいいほど。
開いた腋に顔を伏せ、なめらかな肌を探る舌はとてもイヤらしい動き方をしている。レロレロと悩ましく蠢めかせていたかと思うと、ペロッと舐めあげてしゃぶりつく。密やかな肌にういた繊細な皺を広げるようにして、
しつこく舌をのばしてくる。
彼らしいとも、らしくないともいえる女の肌への執着ぶり。すこし年寄り臭く感じる、やりかた。
まるで――と、想って、アリシアはすぐにひらきかけた記憶の扉を閉ざした。
「やめて……ねぇ、もういいでしょう……おねがい……」
塗りつけていたクリームがすっかりなくなっても、彼の舌は剥きだしになった二の腕のつけ根の敏感なトライアングルゾーンをしきりに動きまわっている。
スノーホワイトという通り名に恥じない雪白の身体にあって、とりわけ蒼白く薄い秘密の肌を。
「どうして……」
アリシアはせつなげに視線を流しながらつぶやいた。
少し前からキスがおかしな感じで、チュッ、と落ちてくるたびに、そこにビリっと微弱な電気がはしるような気がする。錯覚かもしれない。けれど、ただくすぐったい、というのとは違う不思議な感覚。
「……どうして……そんなこと……するんですか……?」
「そんなの、きまってるじゃないですか……アリシアさんだからです……」
彼はくつろいだ雰囲気の顔をあげた。
「わたしが……?」
「ええ……」
そのまま答えにならずに、また摂理に背を向けたような不自然な愛撫に戻ってしまう。右がすむと今度はまだクリームがべっとりとついたままの左の腋へ。
ペロペロ、ねぶりねぶり……。
あいまに彼が奇妙な節まわしの詩を口づさみはじめた。
30 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/22(月) 23:48:05 ID:0QLjFCE2
私はこのまち(ネオ・ヴェネツィア)いちばんの
おいしいおいしいケーキ屋さん
名前はアリシア・フローレンス
甘酸っぱくて芳醇な
ワインの香りのサヴァランは
ボクにはちょっと早いかな
かわいい坊やのあなたには
ミルクプディングをあげましょう
チェリーの飾りも忘れずに
おとくいさまにはお好みの
わたしのスペシャルいかがです?
秘密の蜜がたっぷりと
しっとり生地にしみこんだ
チーズケーキはあとわずか
まだまだ、おすすめありますよ
マロニエの香りも濃厚な
一口サイズのシュークリーム
ビターな風味が大人向き
ムースはマーブルチョコレート
私はまちで、いちばんの
おいしいおいしいケーキ屋さん
さあさあ、どうぞめしあがれ
本日開店アリシアです
一日限りのお店です
31 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/25(木) 00:38:40 ID:3uhZsMAh
詞は自分をモチーフにしているらしい。が、ねばっこい舌と唇の動きが気になってアリシアにはそれにこだわる余裕もなかった。
巧みな舌技で磨かれ、唾液の下塗りが済んだ腋の下は、サワっと指で軽くなぞられただけで全身が痺れるような感じやすい肌につくり変えられていた。乳房の先にしかなかった甘くせつない感覚が、二の腕の方までいっぱい散りばめられたように。
両腋を指でコソコソと探られながら乳首を舌の上で転がされ、アリシアは身をのけぞらせて喘いだ。
「あ、それっ……それ、いやぁっ……ん……んん……」
まるで体に配置されていた隠しボタンが探り当てられてしまったよう。
おっとり和やかな美貌からはゆとりのある表情はすっかり消えていた。悩ましげに寄せられた眉、罠にとらえられた獣のような哀しい諦めのまなざし。歓びにたゆたうというよりも情欲にのみこまれそうになるのを何とか踏み堪えている状態。
なにより困惑するのは、自分の体が主の意思をいとも簡単に裏切ってしまうこと、男の愛撫になびいてしまうこと。
用心しなければならなかったのは彼のふるまいよりも、自分の体の方なのかもしれなかった。それに気づいた時にはもう全身あちこちに火がつけられた後だった。
なしくずし的にはじまったボディキスはすでに後戻りのきかないペッティング、濃厚な前戯になっている。
彼の顔がアリシアの体の上を忙しく行き来しはじめた。くまなく接吻でおおいつくそうというように。
首筋から腋の下、乳房、脇腹、そして下腹部……。
感じやすい場所を中心に丹念に手と口を使われて刺戟される。
生クリームをボディローションにして広くマッサージをされるようにしっかりと肌にぬりこまれると、ヌルヌル感がいたずらするのかもう自分が何をされているのか、どこをどのように責められているのかわからなくなってくるのだった。
つかまれて重々しくもりあがる肉房、目覚めさせられた乳先は吸いつかれ頬ばられて幾度も舌と唇の検分にさらされている。全身におちてくるキスの五月雨は激しく、情熱的で女のウィークポイントを的確に突いてくる。
アリシアはキスの一撃、指で肌をひと探りされるごとに、あん、と喘ぎながら身をよじって逃れようとしていた。体の柔媚さもあらわに白い豊満な肉をうちふるわせて。
せわしなく乱れた甘い吐息。華奢な鎖骨の線もくっきりと、胸をせつなく上下させている。汗ばんだ広い額に前髪が貼りつく。
色味を深めた乳暈はぼてっとした感じになって厚みを増し、中の尖りはみごとに色づいてポッチリかなしく膨らんでいる。発情のサインも露わに肉体の感動をかくしようもなく伝えている。
アリシアの体は端正な顔と同様に、それ以上に、表情豊かに時々の愛撫に応じて違った、それでいてとても彼女らしい反応を見せるようになっていた。水の妖精とたたえられるおとなしい彼女が、恋人だけにみせる媚態、
たとえ本人が意識しなくても、異性の目を惹きつけ喜ばせずにはおかない清潔なセックスアピール、愛くるしい姿を。
男にとって申し分なく完璧な、愛し甲斐のある感じやすい体、甘い香りをはなつ旨い肉。
「すごい……アリシアさんの、からだ……」
>三界を
まで読んだ
33 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/27(土) 03:08:15 ID:pgJ+/m8V
午後5時少し前――。
サン・マルコ広場近くにあるI・J・Tネオ・ヴェネツィア支店には、昼間はそこそこ入りのあった客足もすっかりはけて、カウンター奥の事務所ではアルバイトスタッフのアナベラ・モーズリーが一人閉店作業にあたっていた。
町の空気を乱さないように音量を落として流していた宣伝BGMのスイッチを落とすと、店内は俄かにひっそりとなった。
若い店長も正規従業員もみんな、今夜はクリスマス・イヴ――というので午後も早々に切り上げてしまったのだ。アナは近隣在住ということもあって居残りを任されることになったのだが、外が暗くなってくるとさすがにちょっと心細くなってくる。
市場で買い物をしたいが、まだ間に合うだろうか、と。
七面鳥だけは調理済みのものを取り置くように店にあらかじめ電話を入れておいたが、せっかくの冬のクリスマスに安物のポルトワインとメインディッシュだけではさすがにキッチンをあずかる主婦としては肩身が狭い。
それに、息子にはプレゼントも用意しないと――。
どうせロクでなし揃いの男どもは、子供のことなどすっかり忘れて今日は浮かれて昼間から呑んだくれているに違いなかった。
(まったく、あのゴクつぶしどもときたひには……)
壁の時計を見ながら書類の束をトントンとデスクに揃え、バッグの中からミラーを取り出してそそくさと身繕いを始める。
あと十分……。
ちょっと早いけど面のカーテン閉めちゃおうかしら、と席を立ちかけたとき、
ガランガラン――。
入口に下げたドアベルが来店を告げて、アナは小さく舌打ちした。
(なぁに、こんな時間にお客? 忙しいんだからさっさと追い返さなきゃ。チップはケチるくせに、文句だけはしつっこい××××人じゃないといいんだけど……)
黒ぶちの丸眼鏡をきゅっと整え、口角をあげて営業スマイルをつくると、丁寧なお断りの文句を諳んじながらアナはブラインドカーテンを払った。
「もうしわけございませんが……」
が、カウンターの前に立つ人物が目に入ったとたん、彼女の作り笑いは驚きに変わり、それはすぐに彼女本来の素の笑顔になった。
「スノーホワイト……」
相好をくずしたまま絶句する。
「うそでしょ!」
小さく叫びながらカウンターに駆け寄り、予期せぬ訪問者と対峙する。感激を禁じえない、そんな顔をして。
わずか数十センチのカウンターを挟んで相対するうら若き女性は、同性であっても惹きつけられずにはいられない眩しいオーラを発散している。
(まったくなんてこと! サンタのかわりに町のお姫さまがご登場とは……今夜ウチに帰って話したら、アントニオもバカ弟のアルベルトもジダンダ踏んで悔しがるわね……)
彼女のまんじりとした視線にアリシアははにかむように長い睫を伏せ、アナはますます彼女のことが好きになった。
(ホントになんて綺麗な子かしら、リアルにこんな女の子がいるなんて……それに、とってもすなおそう……アイドルなんて間近にすれば印象が変わるものと思ってたけど、どうやら違うみたいね……)
「良かった、間に合って……」
アリシアはこぼれるような笑顔をみせた。すこし息をはずませている。うっすら汗を浮かせているのか、前髪が数本、ひろい額にかかっている。ファウンデーションをのせていないせいで端正な鼻のあたまを光らせている。
人間味を感じる素顔のアリシアには、とっつきにくいどころか親しみさえ感じる。
34 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 03:09:49 ID:ti8JoFFO
(よっぽど急いでいたのね……汗かいて、頬をほんのり赤くして……かわいいわ……)
対峙して感じるのは、こんなに華奢だったんだ、と思う体つきの細さ。冬物の制服をキリッと着こなして大人っぽく見せているが、首などせいぜい自分の腕の太さほどにしかみえない。
これでどうやって大勢のせたゴンドラを操るのだろうかと不思議なくらい、はかなげな風情。それにスタイルがいいせいか遠目の時よりもずっと小柄な印象だった。ヒールを履いている分ファイブセブンのアナの方が、やや見おろす感じになっている。
(たしか最近二十歳になったって聞いたけど……でも、まだまだ女の子女の子した感じだわ……)
人と接する機会の多い仕事ではあっても、刹那にこんなにもさまざまな感興を誘う相手と会うのもアナは久しぶりだった。
大きなしぐさもなく、ひっそりと落ち着いた雰囲気。それなのに、わずかな眉の動き、瞳の配りだけで美しい顔に豊かな表情の変化をそえる。
なんて愛くるしい……。
「どうなさったんですか、私どものようなところにじきじきにお運びになるなんて……」
自分よりもずっと年下の子に対してではあるが、少しも抵抗を感じずに自然に敬語が口をついて出た。
ネオ・ヴェネツィアにとってプリマ・ウンディーネはアイドルであるばかりか貴重な観光資源、町の生ける文化財。その中の現役トップのアリシア・フローレンスはまさに貴人、真のレディともいうべき存在だと聞く。
そのアリシアが、華やかな祭りを控えて浮き足だつイヴの宵に、一介の旅行業者の店先に一人ぽつりと登場するなどということは、少なくともアナ・モーズリーの想像の中ではありえないことだった。
普通、こんな時間ギリギリの飛び込みは、ホテルが決まらないぃ、とか、予約がダブってましたぁ、とか、どこそこへ行く道がわかりませんっ、の類の、たすけてコール、ばっかり。電話して、アポとって、コンファームして。
もう、ウンザリ――。
でも、今夜はクリスマス・イブ。居残りの私へのサンタクロースからのささやかなプレゼント!?
35 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 03:10:54 ID:ti8JoFFO
「あの……」
アリシアは言いよどんだ。
「閉店間際のところ、お忙しいのに申しわけありませんが……」
用向きはアナが拍子抜けするような他愛もないことだった。
客の忘れ物を届けに来たのだという、ただそれだけのこと。へりくだるアリシアにかえってアナの方が恐縮するくらい。
もっともスジから言えば、本来は水先案内業こそ観光業の風下であるはずだった。しかしここネオ・ヴェネツィアでは完全に逆転している。どの旅行業者も代理店も、いかにプリマ・ウンディーネを自分たちの供するサービスに取り込めるかでしのぎを削っていた。
格安チケットが売りの、後発にして弱小旅行事業者であるI. J. T. は、もとより地元の観光協会とのパイプも頼りなく、人気のゴンドラ遊覧についてはいつもキャンセル待ちのおこぼれで何とか客の対面を保っている状態。そこへ現れたのだ。
彼女の方から――。
アリアカンパニーのアリシア・フローレンスは社にすれば万人の客にも優る、お客さま。
そうした俗な事情がなかったにしても、アナはアリシアに対してある種の厳かな印象を抱かずにはいられなかった。恵まれているのが容姿だけにとどまらないことを予期せぬ邂逅で彼女は感じたのだった。
多く与えられたものは、より多くの責を持つ――。
それに倣えば、彼女もまた大きな物を担わされているのではないかしら?
自分たちのような凡人たちとは違う重い運命のようなものを……。
36 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 03:13:08 ID:ti8JoFFO
「あ……そうですね、まちがいありません、ウチのタグです……」
ためらいがちにアリシアが差し出した男物の黒っぽいポシェットには、ストラップのところに見馴れたネームタグがぶら下がっていて、アナはひと目見るなりそう返答した。確かめるまでもなくビニール製の粗末なタグには、
はっきりとI・J・Tと緑色のシンボルロゴがプリントされている。
「名前は……」
タグを反して面に記されたアルファベットの手書きを読む。
「……エーカイトー・ハイイールーギィ……少々お待ちくださいね、いま台帳をあたってみますので……お客さまの宿泊場所が分かればそこに電話して、明日にでも取りに来てもらえば……ウチは明日も営業日なんですよ、まったく本クリだっていうのに……」
エーカイトー・ハイイールーギィ……エーカイトー・ハイイールーギィ……。
呟きながら、ファイルをめくっていく。
その間、アリシアがちょっと困ったような顔のたおやかな微笑みをたたえているのを、舌先で指を湿しながらページを繰るアナは気づくわけもなかった。
「……あ、やっぱりありました、ウチのお客さんです……あー大変、このお客さん今夜お発ちだわ……マルコ・ポーロ発、えー、九時ィ?! 困ったわねぇ、ここに取りに来てもらうわけにもいかないし……えーと……中味はお分かりになりますか?」
アリシアは申しわけなさそうに首を振る。
「ですよねぇ、何が入ってるのかしら……軽いけど……もしパスだったりすると不味いんだけど……でもコンビネーションキーつきっていうことは、貴重品ってことよねぇ……なんだろ……」
ひとりごちながら、アナは二十センチ角ほどの平べったいモケット地の小物入れを、外からパフパフ手探りをして中味を確かめようとする。するとアリシアは急にあわてた容子になって、それを制した。
「あ、あのっ、お客さまの持ち物を、そんなふうにしてはっ」
目許をほんのり赤く染めてうったえる。
「いけなくは、ありませんか……?」
「あ、そうですよね、イッケナイ、あたしとしたことが。でも角張ったものは無いみたいだから、とりあえず財布や旅券の類は入ってなさそうですよ……急ぎでなければ、もしも渡らなくてもサイアク郵送することもできるし……
でも、やっぱり届けた方がいいかしら……電話して確かめてからでも……」
後の方を一人ぶつぶつ言いながら時計を見やる。肩をすくめ、
「いいわっ、私が帰りに寄って届けます。エイキットさんのレジデンスは……うん、ちょっと遠回りになるけど、ここなら車でなら五分とかからないし……」
「ありがとうございます、すみません、本当にご迷惑をおかけして……」
申し訳なさそうにアリシアが頭を深く垂れて、逆にアナの方があわてる始末だった。いい訳がましい言葉をいくつか返して取り繕う。これで給料を貰っているのだから、とかなんとか、ついでにクリスマスの話題をひとくさり。
さりげなくアリシアの今夜に話をふって、イヴの夜はお仲間たちと過ごすというとっておきの情報をつかんだ。きっとみんな……とりわけ男どもに聞かせたら大喜びするだろうビッグニュース。にこやかに友人を語るアリシアの愛らしいこと。
三大妖精がプライベートでも大の仲良しっていうのも、ちょっと驚き。会社も違うし、互いに張り合ってる部分もあるんじゃないかっておもっていたんだけど……。
世間話に興じながら、アナの頭にひらめきの光が射した。
37 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 03:14:23 ID:ti8JoFFO
「あのぉ……」
と、申し出てみる。
「サインを、いただけませんか……?」
「ええ、受け取りですね?」
「いえ、あの……息子にサインを……ウチの子、アリシアさんの大ファンで……」
アリシアは快く申し出に応じた。アナがカウンターの下から取り出した四角い厚紙の色紙に、手慣れたようすでスラスラとサインを書き込む。軽く身を屈め、長いサラサラのブロンドを耳にかけて白い横顔を面にして。長い睫は濃くて、
伏し目になるとメランコリックな翳がおちる。白くきれいな手がスラスラと。所作も手並みもはっとするほど美しい。
(これほどの子になると、何やってもサマになるのねぇ……)
アナは感心するばかり。
「よかったわ、最高のクリスマスプレゼントです。きっとあの子、大喜び」
「息子さんのお名前は……なんとお書きすれば?」
「アントニオ……あの子、大きくなったら絶対にアリシアさんをお嫁さんにするって言ってきかないんですよ、ホントに身のほど知らずで」
「まぁ嬉しい……うふふ……」
頬笑みながらアリシアはアントニオくんへ、と書き添える。アリアカンパニーのロゴと、アリア社長の似顔絵もさらりと色紙のコーナーに置く。
「でも、小さいので勘弁してやってくださいね」
「お幾つなんですか?」
「もうじき六つ、来年、第一学年に上がるんですけど、やっと手がはなれるかなって……」
「まぁ、では早く帰ってあげないと、お母さまがお家にいなくてきっと寂しがってますよ」
「さびしいだなんて……」
母親の顔になったアナは受け取った色紙を眺め、感心したようすで顎をくいっとひとひねりさせる。ちょっと男っぽいしぐさにアリシアは目を細めた。
「あの、もう一枚、お願いできませんか?」
アナは申し訳なさそうに切り出した。
「かまいませんが……」
38 :
名無しさん@ピンキー:2010/02/28(日) 03:15:31 ID:ti8JoFFO
「じつはもう一人、居るんですよ。アリシアさんのファンが。おバカな弟なんですけど……今、こっちに帰ってきていて……」
アリシアは話に小さく頷きながら、別の色紙に器用に同じものを描き始めた。
「……大学院なんてとこに行って社会逃避していて、もう三十近いっていうのに、ダラダラして、グータラもいいところ……」
「ステキじゃないですか、何かを一所懸命に研究されているって……」
すこしもお追従に聞こえないのはこの子の人徳かしら、とアナは思った。
「だといいんだけど、昼間は息子とゲームのコントローラーのとりあい、夜は亭主と酒瓶の奪い合い、ホントに役立たず……でも、いくつになっても弟は弟でね……やっぱり……」
「アナベラさんは、いいお姉さまでもあるんですね……弟さんのお名前を……」
「アルベルトです……ああすばらしいわ、きっとみんな大喜びよ、本当にありがとう……わたしも今日からあなたの大ファンになってもいいかしら」
「そんな、ファンだなんて……おともだちで……」
アリシアが言うと、アナは少しだけ複雑な顔になって首をふった。
「アリシアさん、あなたとは……お友達にはなれないわ……棲む世界が違いすぎるから。でもとても嬉しいわ、あなたからそう言われて……本当よ」
「アナベラさん……」
「わかるの……わかったの、今夜あなたとお話しできて……この町の人たちがどんなにあなたを、あなたたちウンディーネを愛しているのか、大切にしているのか、そのワケが……遠くから憧れをこめて見まもっている。
みんな心からそうしたいと思っているから、そうしているんだって……」
「……わたしには……」
アリシアの表情に愁いが兆していた。
「マンホームからこっちに移住ってきてまだ半年、あっちとは全然ちがうから、それなりにいろいろあったんだけど……でもそうしたのが正しかったって、良かったって、心から思うわ。ありがとう……アリシアさん」
39 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 00:33:07 ID:wfFUjRBP
アリシアは戸口のところでこちらを振り返り、丁寧に腰を折って一礼する。その時、外から吹き込んできた冷たい風に長い金髪がなぶられて、ちょっと驚いたように頭をおさえた。ワンピースの前をかばうしぐさも初々しく。
その容子がとても新鮮に映って、どうしてかしら? と考えて、アリシアが普段は髪を結っていることを思い出した。それが今日は珍しくゆったりストレートにしていて、そんなささやかなことでも何だか得をした気分になるのだった。
白い制服の後ろ姿を、またお話しする機会、あるかしら――と、アナはちょっと名残惜しく見送った。
(とてもお忙しいそうだから……)
アリシアが去って、華やかな香りに満たされたようだった店内に日常が戻ってくる。高揚した気分がおさまると、視線の先、カウンターの隅にそれまで全く気にならなかった茶色いラッピングが目にとまった。
五センチ角くらいのその小さな箱を手にとってしげしげと眺める。一粒入りの高級チョコレートの類だろうか、きれいに包装されたうえに、ご丁寧にもクロスにリボンがかけられている。
はて、なんだったかしら――?
にわかに忘れものをしていたような気分で記憶をさかのぼったアナは、はたと思い出したのだ。アリシア宛の託けがあったことを。
「いっけない! あの子との約束っ!」
あわてて小箱をつかむと制服のブレザースーツのポケットにつっこみ、店の外へと飛びだした。通りの左右を窺う。
が、ネオ・ヴェネツィアは、たとえ人影はまばらでも折れ曲がった狭い途は見通しがきかず、あまつさえ宵闇がせまっている。
もうアリシアの姿は見えなかった。
(どっち? 広場の方? ちがうわ……いちばん近くの舟寄せって……?)
当たりをつけてか細い辻を小走りになる。このところ体重が増えがちなことから、たとえパンプスでなくてもヒールにはあまり体重がのらないようにして。
カッカッカッカッ……。
石畳にハデに跫音が響いた。
外套を羽織らずに出てきたために、ジャケットだとたちまち冷気が身にしみるようになる。この寒さをスマートなウンディーネたちは、ケープにワンピという軽装で水の上に出ていることにあらためて驚かされた。
アリシアの着ていた冬物の制服は、裾が風にひらめくくらい思いのほか薄手だった。スリットからタイツが覗けたが、防寒着というにはあまりにもたよりないもの。
屋外で体を使う仕事と屋内の事務仕事の違いはあっても、自分たちがいかに普段、ぬるま湯に漬かるような日々を送っているのか思い知らされる発見。
(年が明けたら、あたしも何か体を動かそうかしら……)
果たされることのない決心をしながら低いアーケードをくぐりぬけた。
(たしか、この先にあったと思ったけど……あそこを曲がると……ホント、この町って迷路よね……当たってるかしら? おねがいっ!)
角から通りの先を見やる。
ビンゴっ――!
40 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 00:37:11 ID:wfFUjRBP
後ろ姿が目に入った。自分と違って体の重みを少しも感じさせない軽やかな足運びの。
待ってっ――!
と、呼びかける前に、せわしない跫音に気づいたのかアリシアが振り返った。アナだとわかって足を止める。何事かしら、と不思議そうに小首をかしげて。
追いついたアナは、
「あたしっ……うっかり、忘れてて……あんまり、びっくりだった、ものだからっ……(こんなことくらいで息切れするなんて、ホントなさけないっ……あたしまだ三十五よっ! そりゃウンディーネにはなれっこないけどっ)」
ハァハァと息をととのえながら言った。
「あの、コレっ」
と、件の小箱を差しだした。
「なんですか?」
「アリシアさんへのことづけ、プレゼントみたいですよっ、お若いお客さまからのっ」
「私に……?」
「ええ、まちがいありません、あたしが受けたので」
怪訝そうな顔をして小箱を受け取ったアリシアだったが、何か思いついたように小さく恥ずかしげな笑みをのぞかせた。控えめな頬笑みを。
「二、三日前だったかしら、店に男の子が来たんですよ。その子がアリシアさんに渡して欲しいって言って……でも名前も言わずに行ってしまったから……」
小箱には何も書かれていなかった。メッセージはおろか、宛名も差出人の名前すら添えられていない。
「お心当たりはおありですか?」
アリシアはかぶりをふった。
「十二、三くらいの、ちょっとかわいい感じの子でしたよ。黒い髪、黒い目のぱっちりした、このくらいの背丈の……」
アナは自分の上顎のあたりに手をかざした。
「ウチなんかに、あなたのようなトップウンディーネが来るはずないからって言っても聞いてくれなくて。でも渡せなければそれでもかまいませんからって言うので、仕方なくお預かりしていたんですけど……」
「そうですか……」
アリシアは小箱を胸もとに、両手で包むようにしている。
41 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/03(水) 00:43:41 ID:wfFUjRBP
「まさかアリシアさんが本当にお見えになるなんて思ってもいなかったので……」
「……私のことで、またお手間をとらせてしまって本当に申し訳ありません……」
目の前で恭しくお辞儀をする。空気が動いてアリシアの体臭が運ばれてきた。
(いいにおい……いったい何の香り……?)
アリシアの纏う匂いは甘くやさしい……少しバニラの香りにも似ているかもしれない。
(おかしいわ、なんだかこの子のそばにいるとドキドキしてくる……)
アナは少女のような恥じらいをのぞかせているアリシアを、ぎゅっと抱きしめたい、という誘惑と闘わなければならなくなった。
(女の私でもこうなんだから、もしも男の子だったらいったいどうなっちゃうのかしら?)
そう思ったアナは、ふと、胸に落ちたように深く頷くのだった。
「そうか……そういうことだったんだ……じゃなきゃ、アリシアさんがウチに来るはずないし……」
すっかり合点がいったという顔つきになっている。
「そうだわ、そうにちがいないっ」
ひとり納得のアナを、目の前のアリシアはちょっと不安そうな面持ちで見まもっている。
「きっとその男の子ですよ、あのポシェットの持ち主は。さっきリストで年齢を確かめておけばよかったンですけど、なにしろいきなりアリシアさんが現れたもので……」
アナが言うには、件の男の子がアリシアに渡しそびれたプレゼントを自分に託したというのだ。そのためにわざとポシェットの忘れ物を残してアリシアを店に誘導したに違いないと。
「シャイな坊やにはきれいなウンディーネさんがあんまり眩しすぎて、プレゼントを渡したくても恥ずかしくて言い出せなかったんですよ」
アナの推理をアリシアは曖昧な頬笑みのまま、頷くでもなく否定するでもなく聞いていた。碧く澄んだ瞳にわずかに安堵の色をにじませて。
「そのおかげでこうしてお近づきになれたんですから、アーカート君だったかしら? あの子には忘れ物を届ける時に、直接会ってありがとうってお礼を言わないと。それとアリシアさんにプレゼント、ちゃんと渡しましたよって言って、
安心させてあげなくちゃ。きっと気にしてると思うから」
「あの、そこまでされなくてもっ」
「え、あら、どうして?」
「それは……」
アナの疑問に特に大きな含意などなかったが、アリシアはとっさに返答に詰まった感じになった。が、すぐに、
「私に関係することで……これ以上、お時間をとれせてしまうのが申し訳なくて……だって、今夜はクリスマス・イヴじゃないですか。ご家族がお待ちなのに……」
ここが一応BBSだと言う認識がないようだな
43 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 00:58:14 ID:/GKdD1OU
誰もいないと思っていたので、ごめんなさい。
二つだけ、進めておきますけれど、よろしければお召し上がりになって下さい。
44 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 01:00:11 ID:/GKdD1OU
「ついでよ、ついで。だってあたし、これから今夜の買い物するつもりだったのよ。ウチは夜が遅いの。毎度の事よ。それにアリシアさんからのとっておきのクリスマス・プレゼントがあるから、
そっち系の買い物ははしょることができるし。隠し玉にしてサゲといてから、その後どっかーんっ! てね、今からあの子たちがびっくりする顔をみるのが楽しみよっ」
先方と会うつもりと聞いて、はじめいくぶん当惑気味だったアリシアもアナの嬉しそうな顔に表情を明るくした。
「それでは、わたしの言づて、お願いしてもいいですか? もし会えたらですけれど……その……男の子に……」
「もちろんです。で、なんて言えば?」
「クリスマス・プレゼント、ありがとうございます、どうか旅がご無事でありますように、と」
「畏まりました……」
アナは恭しく片足を後ろに引き、軽く腰を折ってお澄ましした礼をする。貴婦人に対するように。その姿を見たアリシアがクスッと、笑んだ。旅行会社のグリーンジャケットを着た体格のいい女性が、
柄にもなくクラシックなお辞儀をしてみせたので、その落差がとてもユーモラスなのだった。だからアリシアもお返しに同じポーズを真似してみせた。
今度はアナがふきだす番。
アリシアの方はさまになっていたが、近寄りがたく思っていた相手が自分のおふざけにつきあってくれて、親近感を覚えたから。
女性ならではのトーンの高い軽やかな笑い声が通りにこだまする。
この笑顔――。
初めて見る晴れやかなアリシアの笑顔。それまで見せていた、やや陰影を感じる頬笑みとは別の。白い歯並みがきれいにのぞく。
これがこの子の本当の素顔なんだわ、とアナは思った。
周りの雰囲気を明るくして、接する者の誰をも幸せにする天使の笑み、幸せそうなスノー・ホワイトの笑顔。
「やっぱりアリシアさんには、その笑顔がいちばん似合うわね……ドキドキしちゃう」
アナは、つと一歩踏み出し、アリシアとの間合いを詰めた。
「我慢してたけど、もうだめ……限界……」
言いつつ、アリシアの背中に腕を伸ばして抱き寄せる。なんて軽くてしなやかな……とため息がつくくらい驚きながら。
「アナ、ベラさん……?!」
ぎゅっと抱きしめながら言う。
「メリー・クリスマス、アリシアさん……あなたの幸せを祈っているわ……」
強く抱かれてアリシアは驚きに見開いた目をしばたたかせた。が、あらがわずに年上の婦人の腕に身をゆだねると、柔らかな表情をいっそう穏やかにして、祈りの言葉を返すのだった。
「……メリー・クリスマス……アナベラさんも……ご家族の皆さまも、どうかお幸せでありますように……」
45 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/04(木) 01:01:21 ID:/GKdD1OU
こちらを振り返り振り返りしながら、アナが通りを去っていく。赤みがかった巻髪を実用的にひっつめにした職業婦人の後ろ姿。地についた者のしっかりとした足取り、たくましい生活者である母親の歩みで。
遠ざかっていくアナに小さく手を振って笑顔でこたえながら、アリシアは罪の意識に胸が疼くのを感じていた。
アナは初めて会ったにもかかわらず、どこまでも誠実に接してくれていた。
それに対して自分は――。
いったい、いくつ嘘を重ねただろう……。
それは大切にしてきた友人たちについても言えることだった。偽ったり秘密を持つようになったり……。
恋を知ってからの大きな変化。
ただ、後悔はしていなかった。
もう何も知らずにいた頃とは違うから。
いちばん大切に思うことが、自分の中で少しだけ変わってしまったのをはっきり感じる。
アリシアは包み紙を見てすぐに気づいたのだった。贈り手が誰であるかを。
無地の茶色い包装紙は、彼が時々使っているのを見たことのあるスケッチ用のカラーペーパー。
そもそもポシェットは忘れ物などではなかった。みんな彼にリクエストされてのこと。
男物の鍵付きのポシェットは、今日、スパで逢う前に持ってくるように言われていたもののひとつ。彼が鍵つきにこだわった理由は、もちろんアリシア自身を守るため。
(本当に……いけない子なんだから……)
アリシアは手の中の小箱に視線を落とした。
彼からのお返しの、クリスマス・プレゼント――。
「これも……あなたのたくらみのウチなの……ご褒美かしら?」
建物の外壁のアルコープに身をあずけて手の中の包みを解いた。現れたのは白くて四角い紙の箱。チョコレートのブランド名が読み取れた。
紙箱の蓋を開けると中には二つ折りされたメッセージカードが入っている。が、そのカードを取り出して中に目をやったとたん、アリシアは、はっとして息をのみこんだ。
カードに隠れて、その下にとてもチョコレートケースとは思えないものがおさまっていたからだった。
「……これ……まさか……」
ふるえる手でメッセージカードを開いた。
こういうのはエロパロ板とかでやればいいんじゃね?
そうだよね
アリシアさん可愛いよね
自演乙
アリシア?
51 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 01:01:19 ID:wRr+Hb+O
『いまキミがこのカードを手にしているということは、ミッションが無事完了したっていうことですね。おつかれさま、そしてありがとう。それから……ごめんなさい……。
きっと今日のボクはキミにイケナイこと、いっぱいしていると思うから……キミを啼かせるようなヒドイことばかり、しているはずだから……。
読み進んだところでアリシアの目のまわりと頬はたちまち真っ赤になった。まわりに目をやって、ひと気のないことを確かめずにはいられない。幸い水路には人影も行き交うゴンドラもなく、
寒気を避けて家々の窓も固く閉ざされ、あたりはひっそりと静まりかえっている。
……でも、どうかボクのこと、嫌いにならないで……ボクはキミが、好き……誰よりも……。
箱の中味は、聡明なキミのことだから確かめなくても判ると思うけど、ご想像通りのものです。来年、またボクがこの惑星に戻って来たときには、キミがそれを嵌めてくれることを心から希っています。
サイズは少しゆるいかも知れませんが五号にしておきました。これはすぐに投げ捨てられるように、というのではなくて、ずっとずっと身につけていて欲しいから。いくらキミでも五十年もすれば関節が固くなったり、
太くなったりするハズでしょ(ゴメンねっ!)?
本当はプラチナにしたかったんだけど、それが叶わなくてちょっと残念。でも今のボクにはそれが精一杯です。だから、煤まないように磨き続けないと……お互いに。それがGOLDに変わる日まで……。
じゃあ、メリー・クリスマス。またね。
ボクの永遠の白き妖精、最愛のアリシア・フローレンスさま A. H. より 』
52 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 01:03:03 ID:wRr+Hb+O
思いがけずプロポーズの言葉が添えられていた。
(……さっきまで一緒に居たのに……そんなことおくびにも出さなかったのに……)
胸に熱いものがこみあげてくる。
「なまいき……言って……」
カードの上にぽとり、と、ひとしずく。インクが滲みかけて、アリシアはポケットからハンカチーフをとりだすとカードを汚さないように丁寧に吸わせた。目の周りと頬についたドロップも。けれどもどうしたことか、
ぬぐってもすぐに視界の方が滲んで文字が読めなくなってしまう。
鼻をしくしくさせて、誰もいないのに、ひとりばつの悪そうな顔をしてみた。
「ウンディーネがはなをすすっているところなんて見られたら、人にわらわれてしまうわ……」
笑顔をつくろうとしても、また目頭が熱くなる。
濡れた指先を何どもぬぐって、きちんと手を清めてから、汚さないように箱からリングケースを取り出した。開けて中を確かめる。
アリシアのちょっと赤くなった目に、カードにあったとおりの銀のリングの輝きが眩しく映った。地味なスリムストレートリング。自分であれば手に入れるのはさほど難しくはないもの。
でも、彼がそれを手に入れるためには、いったいどれほどの時間と労力とが必要だったことだろう……。
十五歳の美術奨学生の男の子には――。
「無理をして……」
学校の授業と課題をこなす合間に、自身の制作を進めながらのアルバイト。さぞや大変だったろうと思う。タイトなスケジュールを組んでいたことはアリシアもよく知っていた。そうでなければすれ違いはもっと少なくてすんだはずだった。
「……!?」
よく見ると、リングの内側にはレターまでが彫られているらしい。ケースをかたむけて、リングを留めたままで、くるくる一回りさせて文字を読み取ってみた。
AKITO TO ALICIA, LOVE
53 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 01:05:08 ID:wRr+Hb+O
まぎれもなく、エンゲージリング。
放置すれば黒く錆びついてしまう、シンプルな銀のリング。
「……磨きつづけないと……ええ、そうね……そう……でも、ずるいわ、こういうの……お返事、できないじゃないですか……」
自分の声がふるえていて、それが呼び水となってアリシアはふたたび強い感情におそわれた。今度はたえきれずに嗚咽してその場に蹲まってしまう。
リングケースを両手で胸に抱きしめ、熱い思いに身をゆだねた。
「……アキトさん……」
声を忍ばせ、あふれる涙もそのままにアリシアは薄い肩をふるわせる。
「……あいたい……もう一度……」
やさしくされた肌の記憶がよみがえると、恋しさにアリシアの胸はまたかきみだされた。
別れはすませたはずなのに、目覚めた女の感情はままならない。アキトの居るドミトリーへ向かうようにしきりにせきたてる。
歩いても三十分とかからない、出発までには十分に間に合うから、と。
(……だめ……そんなことをしたら……)
思いに応えてあげなくて、いいの――?
(………)
彼なら、きっと歓んで迎えてくれるわ――。
(………)
抱いてくれるわ、可愛がってくれる、さっきみたいに――。
(………)
今の彼なら、欲しいものをみんな、あなたにあたえてくれるわ――。
「だめっ!」
どうして――?
「できないわ……もう、お別れは、したんだから……」
ひとしきり感情との押し問答を繰り返すうちに、気持ちがすこし軽くなってくる。アリシアは断固として、誘惑をはねのけた。
「また、会えるから……夏までには……会えるから……」
言い聞かせるようにつぶやいた。
そっとリングケースを閉じた。メッセージカードも元通りにする。と、折り返しの裏に、まだ何か書かれてあるのが目に留まった。
54 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 01:06:38 ID:wRr+Hb+O
追伸
ボクもキミからのクリスマス・プレゼント、とてもとても楽しみにしています。長旅とマンホームでの退屈な生活をささえてくれるにちがいありませんから。
「バカ……」
“とても” という副詞を重ねて、さらにそのまわりをハートマークで飾り立てている。
それを見たアリシアの泣き顔に長姉の笑みさえ浮いていた。弟をたしなめるときのような。
「ほんとうに……へんな子……あんなものを欲しがるなんて……」
目を閉じた。
別れの口づけがよみがえる。最後のキス。
思い出すと女の身が、きゅん、と疼く。
ほんの一時間ほど前には、彼に全てをゆだねていた。互いの体がもうそれぞれ自分だけのものではないことを、たしかめあっていた……。
でも、今は違う。もう、それぞれの道を歩き始めたのだから。
熱いため息をひとつ。
アリシアは女から、白き妖精にもどる方を選んだ。
今は――。
ゴンドラの小さな置き時計を見ると、針が5時半をまわったところを示している。
(会社に戻らないと……あの子たちが帰ってくる前に……)
あわてて宿を出てきたため、髪は解いた状態で自然に乾かしたままになっている。
灯里には『藍華ちゃんたちとクリスマスのお買い物をするから遅くなります』とは言われていたものの、今日、この夜、6時をまわって開いている店はそうはないはず。みんなじきにもどってくる。
その前に身繕いは済ませておかないと……。
ひとりで小説垂れ流したいんならしたらばでも借りるかエロパロ行けよ
ここが一応BBSだと気付け、と言う指摘にもまったく耳を貸さず
と言うか理解できずに
>>43の様な見当外れの弁解をする
57 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/05(金) 23:26:11 ID:pmxeRxkz
わたくしの筆致の至らなさ故に不快感を与えてしまったことをお詫びします。
読み手も需要もないことがよくわかりました。
これをもって打ち切りとさせていただきます。ご迷惑をおかけしました。
筆致が至らないとか需要がどうとかいう前に板違いとかは考えなかったのか?
責任もって削除依頼出せよ
文章の出来以前にここはそう言うのを書き込む場所じゃない
やはり根本的なところをわかってなかったな
アリシアのSSいいぞ〜どっかにモリガンのSSあったし良いと思うぞ
61 :
ROM専乙:2010/03/06(土) 02:06:23 ID:???
なんで一晩たつとこうなってんの。あのね、俺は2chは引退してもっぱら
ROM専になってんだけどね、スレ主が投げ出すという流れには正直ムッとして
る。だからまげてカキコするけど、なんでそうなるんだよ、それがわかって
ねぇっていってんの。BBSはコミュニケーションをとる場なのね。そこわかっ
て。このスレは、主が常に不在ってにおいがぷんぷんするの。いっつもポー
ンと投げ込んで知らんぷり、呼びかけても返事がないってなると、もし俺が
ROM専じゃなかったとしても書き込まねぇよ。だからレスがつかないの。でも
さ、けなげにあんたに呼びかけてるやつ、いるじゃん、連続投稿してるのが。
こたえてやれよぉ。あんた、誰もいないまっしろな壁と話してて面白いか?
それが面白いんなら、明日医者行け。で、さんざこき下ろしてからなんだけ
ど、マジレスすっと俺、あんたのこの話、結構気に入ってる。いままで見て
きたアリシアがらみのエロパロの中では、もしかするといちばんいいかもっ
て。エッチしてケバくならないアリシアは多分はじめてだろ。だから先が見
たい。アリシアがショタで結婚相手がエロガキってのもケッコウイイ萌えポ
イントだったりするしな。だから削除なんかスンナ。ここは小説もオッケー
だから。ただ、投げ入れは厳禁。もっとお話しようぜってこと。オリエンテ
ーションとかしてくれると読む方は助かるし、今後の見込みとか、決ってる
ところについて話せることを話しておいてくれると、いんじゃね。とりあえ
ず練習、俺の疑問にひとつ答えてくれ。ハードコアとあるんだけど、最初の
ホットパートははっきり言って成人向きになってない。伊丹十三の たんぽ
ぽ でもあのくらいのシーン、あったろ。一般映画だぜ、見たことねぇか?
ハードコアってのをほんとに描く気があんのかどうか、そこんとこ、とりあ
えず確認させてくれ。ただもうあんたが投げ出すっていうなら、追っかけよ
うもないし諦めるけど、とりあえずそのあたりのところ、聞かせろよ。って
上から目線か。読ませてもらうんだから せんせ、たのんまっせ。
どこを縦読み?
63 :
ROM専乙:2010/03/06(土) 02:20:31 ID:???
え、ふつうに嫁やいいだけだろ。
ああ斜め読みか
65 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:06:13 ID:RPQmclvf
>>61の方のご質問にお答えする前に、わたくしのここでのマナーが問題となっていたことを、お詫びいたします。申し訳ありませんでした。また、これまでおつき合いいただいた方には、謹んで感謝を申し上げます。
>>10〜20, 32
こちらの方(方々?)にはお読みいただいたこと、またレスまでつけていただき、どうもありがとうございます。遅くなりましたが、御礼申し上げます。
一言だけ弁解をさせてください。無視していたのではなく、まさかレスがつくとは思っていなかったので気づかず放置していました。リスタートするときにこの点、ご挨拶をするべきだったのですが、
その時には書く側はあまり面に出るべきではないと誤解していたもので、失礼をいたしました。たいへん鈍感であったと反省しております。
>>46〜50
同じく、失礼いたしました。
>>46, 55
この見出しの板の初出はエロパロ板で、管理人さんから単独キャラは、こちらへと誘導されたので……申し訳ないのですが……。
66 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:07:20 ID:RPQmclvf
>>42, 56, 61
BBSについて、全く誤解をしておりました。とくに61の方から具体的にご指摘を戴くまで。皆さまにはご案内にお時間を割いていただき、ご面倒をおかけしました。ありがとうございます。
>>60 ありがとうございます。お読みいただいた方からの励ましほど、嬉しいもの、奮い立つものはありません。感謝いたします。
>>58, 59, 60, 61
上の案内板の小説可、という意味をそのまま受け取れば、60, 61の方々の言われる通りだと思うのですが、ざっと他の板を見回したところ、本スレのような利用のされ方をしている板は見あたらなかったように思います。
その点で、58, 59の方々のご指摘もごもっともです。
それらをふまえて、今後、この板をどのようにしていくか……
>>57で、あたくしは早々に打ち切りを宣言してしまったのですが、読む側の方が一人でもおられる以上は、存続も含めて考えなおしたいとおもいます。
ただ、これまでのように長尺ものを垂れ流す、というのはご指摘にあるように掲示板の趣旨に添わないと感じています。今回の一件を通じて判った、こうした猥文を好まない方も居られることにも配慮して、
またアリシア・フローレンスというキャラクターの性格から言っても、ハードコア描写を掲示板という不特定の人々の目に触れる場にさらすということには、いっそう慎重であるべきだという印象を持つに至りました。
そこでいま考えているのは、本編専用のブログを立ち上げ、一握りの(おそらく今、居られるのは1〜3名といったところでしょうか?)希望者だけに限って公開をする、というものです。一方、この板では、
本編以外のもっと短いものを時に投じようか、と考えています。加えて彼女の魅力について至近の意見交換する場として利用するのもよいのではないでしょうか。彼女のスレが全て落ちてしまった今、たとえ細々とでも、
ファンが集う場となれば存続の意味はあると思うのですが。
書く側の都合からすると、どうしても後になってまちがいに気づいたり加減したいアラが見えてくるもので、この点でも長尺と掲示板との相性は良くないと感じ、そんなふうにできたら、と思っています。
67 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:08:15 ID:RPQmclvf
>>61 いろいろご案内、ありがとございました。お応えが最後になってしまいましたが、ご容赦下さい。いくつかについては、既に上でも述べたとおりで、話が違う、とおっしゃられれば、そのとおりでした、と頭を下げる他ありません。
HC描写は最初のHPでする予定だったのですが、読む人が居る、と判った段階で、相手役のイメージを提供しないままに進めることの不親切感から、時間をとばして夕方のシーンへと繋いだのですが、
もともと24月24日という一日のなかで時間を前後させながら、彼女の性描写と彼女に関わる人々の人間模様を描いてみよう、というのが目標だったので、この後も折に触れ、何度も浴場でのシーンは描こうと思っています。
>>54以降、
予定では後輩三人組のアリシアへの距離感、それぞれの立ち位置を描き、その後に件のポシェットの中味に繋がるスパでのシーンに繋ぎます。おおざっぱですが、方向性と言われたので、ご紹介いたしました。
以上、こちらが勝手に提案をしているもので、皆さまのご意見は謹んで承ります。スレ主。
スレの閉鎖的使用ってやつじゃない?なりきりでもないし萌スレでもないし
69 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:12:01 ID:RPQmclvf
よくわかりません……?
だからさネタスレでもないしスレ主がひたすらSS落とすだけじゃん
それって板的にありなんかなって思うんだけど
71 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:29:55 ID:RPQmclvf
いままでは、そうでした。
72 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 01:39:33 ID:RPQmclvf
もう、瞼が落ちそうなので、これで失礼いたします。質問しっぱなしで申し訳ありませんが……。
明日から二週間ほどアクセスが難しくなります。スレにおいで戴いた方への対応が遅れること、ご容赦下さい。では。
>この見出しの板の初出はエロパロ板で、管理人さんから単独キャラは、こちらへと誘導されたので……申し訳ないのですが……。
それならエロパロ板のこれを披露していいようなスレに投下する、とかじゃダメだったのか?
なぜ単独スレ立てにこだわった
自分が主役でいたいならば自分でブログやってそこに置くとか
え?スレ主?ここ個スレなんだ?
エロパロ板に管理人っていたっけ?え??
凄い久し振りにこのセリフを言う時が来た
「半年ROMれ」
>>75 正直すまんかった
賠償はできんが謝罪はしておく
77 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/08(月) 02:02:22 ID:OKoTaqIS
>>76 いやお前じゃなくてID:RPQmclvfに言ったんだ
どうも彼は掲示板のあり方を誤解していたようだから
誘導されてきたというよりエロパロを追い出されて来たんじゃね?
こんだけ自分語り激しいと嫌われるかと思うし。つか自分でサイトとか立ち上げて好きなだけやればいいよな
べつに拘らんでもいいじゃね?
ここでエロSS読みたいぞ
同意
82 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/28(日) 00:42:46 ID:S1i0OPnP
結局都合、約三週間も開けてしまったのでもう落ちてるかもしれないと
この板に来るまではちょっとドキドキしてました。
定期的にブースターをかけていらっしゃる方が……お一方でしょうか……?
おみえになるようなので、そちらの方には御礼申し上げます。
予定より遅くなりましたが、構成をいじって、
4/1に専用のブログを開こうと思っています……
が……。
がんばれー
84 :
名無しさん@ピンキー:2010/03/29(月) 00:10:50 ID:6h6d2hGk
>>83 さっそくの励ましのレス、ありがとうございます。
刺激的なものであふれる中まどろっこしいテキストファイルを辛抱強くお読みいただき、またおつき合いいただいていることに驚きつつ感謝しています。
お口に合うかわかりませんができるかぎり手をかけてお届けするようにいたします。
ご賞味下さい。
またもしシチュエーション等でお好みがありましたら反映できるかはわかりませんが、参考までにご紹介いただけたらと思います。
では。
今さらもう来るな、とかこのスレつぶせとは言わない、
だがせめて下げよう。
メール欄に半角小文字で[sage]って入れるだけだから。
おおきたか
もうこないかと思ってたぞ
つづけてくれっ
88 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/01(木) 01:03:09 ID:/6lYFD2h
こういうことだったのですね。
>>85 ありがとうございます。
一応、ブログ、開きました。
ご連絡まで。
ID:/6lYFD2h
乙
sage
?
期待