好きに使うスレ35

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569リゼット・バスクール ◆p0GHgTj0WFbv
>>568
(輪郭が確かなものにならない濡れた眸が捉えたのは、愛しい人の笑む貌だった。嗤っていたのか、微笑っていたのか、どれに当たるのかも判断し得ないが
性欲の厚い外皮に包まれた中の胞にある欲求――その人の貌に笑みを宿す事が叶い、己が満たされたように彼の欲望をもまた満たせたのだと、幸福に。
それが望めなければ獣にも堕ち切れなかっただろう。奥底で点った最も純度の高い欲望――否願いが叶って漸く、人ではないモノに成れる。そう、漸く。
けだものの碧い二つに映った表情を奥深くに仕舞い込み、露出させるのは「良し」と号令の如く下された堕落への開放に歓喜する声。喘ぎにも満たない
啼く声も、深く穿つ熱と受け入れる柔肉の奥の濡れた摩擦音、打ち合う肌の乾いた音の二つに塗り潰されていく。掠れた声は譬えるならば息絶えるのが
近い獣の最後の咆え。もう滑らかな音が喉から紡ぎ出される事は無かった。息継ぎの間に嗄れた喉奥を震わせ搾り出す、雌の啼く声。不規則な旋律。
息絶え絶えの獣の如く啼きながらも、躯が求める欲望の為に腰は揺らめく。己の意思ではなくもっと強い力を持った――彼、否。雄に)
あ、ッぅ、ンぅ……ふ、ァ、あ――…っ、ひ、ふぅンンッ、あーッ……、あーっ!く、ン、んンんんーッ……ぅ、うーッ!
(聞こえた、一瞬のその響き。自我を失っているのにその綴りだけは間違わず鼓膜が捉え、欲望の坩堝の中に堕ちても消えない、音色。その時零れた涙、
一滴は快楽の果てに落ちたものではなく、沁み込む愛しさが雫の形と成って表れたもの。唯今はどちらもそれを知る事は出来ないが。その二つの響きだけで
奥が漣にまた飲まれ、達く。容易く心も、肉体をも、取り込んで深くへと連れ去られ――来る、予感を次に感じた。のたうつ灼熱の楔が一際膨れ上がる
瞬間と、その時に齎される証。欲しい、と言いたくても詞を忘れて唯呻くのみ。白い精の波が中を染めて子宮の深くまで満たした時、一声も上げられず、
碧の双眸を開いて、駆け巡る悦楽に四肢が大きく震えた。撓る白い背も弓の形に反って返り、大地を掠めていた顎も跳ね上がって声の無い、乱れた息
だけが呆けたように唇の間から抜けていく。重ねた肌のにおいが雄の濃いそれに代わって営倉を満たし、嗚呼、それはまるで愛しい人に抱かれているようだと)
……、っ――…り、ぉ……ん――…
(満たされて初めて還る、――獣から雌へ、雌から人へと。御主人様と綴っていた声はあの頃よりもずっとか細く、弱々しくなって愛しき男の名を紡いだ。
暫くの間は肌に点った侭であろう腰に食い込んだ五指が解かれたなら、くしゃりとその体躯全て地に預けていたかもしれない。手の爪の先まで力が抜け、
長い髪が落ちた頭と共に散り広がる。汗の粒を浮かせた胸の豊かな膨らみが己の身と土に挟まれ潰れて、支える手を失った肩が、がくん、と揺れて地面
にぶつかった。肌を痛める程ではないにしろ、擦れる鈍い音が響き、後、女が漏らす音と言えば整わぬ呼吸のそれくらい。焦点を失った瞳に半ばまで瞼が
落ち――放心状態と言うその四文字がぴったりと収まる様であった。頬に触れるひんやりとした土の冷たさが火照った肌には気持ち良い位――)
……しょう、じき。――…いう……――――わたしと、おまえは、はなれちゃ、だめ、だ――――…………せいてきないみもふくめ、――…て。
(ここが己の部屋かせめて贅沢は言わない執務室の中であったら、安心して突っ伏していられたのに。演習場で整列していた軍人達の声も止み、遠くに
聞こえる鴉が刻を教えてくれている。いい加減良い時間。今頃誰もが大佐は仕事を済ませて執務室を出ているだろう、少尉はまたお守りに借り出され、
己の机に帰る事が叶わなかったんだろう、ならば合掌。と思っている、筈。実は営倉でケダモノレベルにまで堕ちきって致してましたなんて、守護天使のような
微笑みの似合うあの女性尉官ですら、想像していなかっただろう。いやされると困るが、――現実って案外有り得ない事が有り得たりするもので)
(呆としながら呟いたのは、この度心と身体の隅々まで思い知った、事実。初めての夜以上に、悪戯は控えねばと猛省レベルで思い知ったというか。
うーとか、あーとか、まだ掠れっぱなしの声を上げて何とか身体を奮い立たせようとしても、まず心が奮い立たない状態。立ち上がって行かねばならないのに、
シャワーとかシャワーとかシャワーとか。全く全然これっぽっちも動かないし、ああそれに如何しようここからの道則。注がれてそれを零さないよう内股で歩くか?
恥ずかしい染みが軍服の下に染み出してしまったら、たとえ人に合わなくとも死にたくなる。……いや今回は共同責任だ。ならばこれはリオンに頼むべきで)
…………………リオン、抱っこ。