好きに使うスレ 裏 2

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277リゼット・バスクール ◆p0GHgTj0WFbv
(何時もなら軽い冗談を飛ばして優しい言葉を掛けつつ隙を見せたところで踏み込む。――それ何って、そりゃ可愛い娘を見付けた時の捕捉法其の壱。
だが口から出たのは見目麗しくそして規則正しい敬礼を見せてくれる美人へ向けてではなく、己の犬の方への、嫌味なんだから第一段階で失敗だ。露骨過ぎる。
現在の絵に大変不満があります、と言っているようなものだ。まぁ分かるのは一人のみだが、一番分かって欲しいというか、分かって欲しくないと言うか、複雑な
心境を如何するべきか。――隣に椅子を勧めてくれたのなら迷わず腰掛けて、鋼が仕込まれた軍靴の踵で足を踏みつけてやったのに、非常に残念だ。等と
可愛気のない話題逸らしを誰に語るでなく自分自身に対して胸の中で呟いて、可哀想な女性少尉には軽く視線を遣り、顎を引いて「良し」と返し、噎せ返っている
何処かの誰かの部下には、バーカと大人気ない一言と冷めた――ように見せかけて嫉妬で焼けた石みたいな眼差しをくれてやる)

けど彼女等を扇動しているのはお前だろう。ヒットの数が減ったとはいえお前のナンパの非成功率には未だ及ばんが。なら雇った弁護士ごと食ってやる。
法廷に持ち込むと時間が掛かる。手前の部下ならそんな面倒せずに書類で殺す事を選ぶな、私なら。この先三日三晩は眠れないと思え?
ああ、成る程。……それで納得した。悪評の高さなら私に及ばずとも劣らんお前が、美人と話し込める理由に。ほう?面白そうな話だなそれは。
是非当人にも聞かせて欲しい、今後の対処に対する対処の参考にさせて貰う。……何を言われたのかは知らんが、悪鬼の類ではないので安心してくれ。
(口調が、声が、自然とハスキーになるのは改まっている証拠だ。部下の連中が聞いたら声気張ってますよ、なんて言われそうな。何時もはもっと軽く気安い
調子で、口だけ笑って目の奥が一切笑っていないとかいう状態はない。流石にそこまで露骨な一面を見せる事はしてない。約一名の前を除いては。刺々しさ
満載、サボテンだって針鼠だってもっと大人しいです的な、嫌味と軽口で交わされる上官と部下の遣り取りを見て、新任の少佐が何を思うかまで、気が回らない)
(畏まった侭の態度の彼女の姿に気付いたのも、わんこの補佐があって漸くの事。形ばかりな溜息をついて微笑み、宥めるように彼女の腕に軽く掌を触れさせ
――この程度のスキンシップで済ませるのが惜しい相手だったけれども、ここはぐっと我慢。そう硬くなる必要はないと、腰掛ける前に宥める。畏まる必要は
何一つない、気にするなと言っても気にしないのは己の部下だけ――だが、一応伝えておく。微妙に距離を置かれて寄越された席、避けてやがると取りました。
自分の部下には礼一つ言わずに浅く腰掛けて、其方もと落ち着かないだろう彼女へ席につくよう促し、隣はほっといても座るんだから別にいいや)
気をつけた方がいい、こいつ人当たり良さそうに見えて禄な男じゃない。ナンパの成功回数が物語ってる。……気をつけた方がいい。
無害そうな男程一皮捲れば狼だ。なぁ――そうだろう?アルファーズ少尉。あんまりフラフラ愛想振り撒き続けてると、出来た恋人にも頬打たれるぞ。
(酔った一晩にやらかした時のこいつの顔を見せてやりた――くない。あれは自分だけが知ればいい、他の誰かに見せていい顔ではない、が。皮肉の一つや
二つや三つや百や千で足りるかどうかは定かでないけども、言ってやらなければ気がすまない。病弱な祖母の振りした狼め。テーブルに頬杖をつき、組合わせた
手指の上に顎を置いて視線を隣二つの少尉殿へ。優しく彼女へ語り掛けるように見せ掛けて、砲口の向きは一箇所を睨んだままだ。ナンパでないのは認める。
だがしかしだ、恋人を放っておいて楽しく他の美人と歓談する事が許されていいものか――答えはノーとかいいえとか否とか。さり気なく恋人持ちである事を新任
少尉に伝えて牽制している辺り、我ながら大人気ないが素人娘ほど後々厄介な者はないと分かっているから、そういう意識が彼女になくとも、敢えて言ってみる)
(そして序で――じゃない。寧ろこっちが本命。距離を置く少し隣の馬鹿犬に、覚えとけ貴様と。飼い主様は大変ご機嫌斜めでありますが、恋人と主張する程に
余裕がない事を吐露してしまった事実に、気付いていない。最も己と対等に舌戦を繰り広げられる相手に対し、余裕がないということは余りに不利。更にその事に
自ら察せられていないということは――防具を持たぬまま敵陣に乗り込むようなものだ。この時気付いていれば、『彼女』を出さずに済んだものを)