>>594 (言葉の重みを知らずに発したわけではない。なぜなら目の前にいるのは――)
(その人がこれまで歩んできた道。それは、他人の言葉を通して聞いただけでも言葉を失う)
(実際に味わえばどれ程心をすり減らすものなのか、他人には想像するべくもない)
(対する自分は、誇りと信念こそ他人に譲らないで生きてきたし、これからも変える気はない)
(…だが、自分が実際に歩んできた道はまだ短い)
お市……様。
(一度消えた笑みを再び浮かべて見せられた)
(そこに、葛藤とその葛藤をものともしない優しさを見た気がした)
(だから小さく名前を呼び返すのがやっとだったが…)
(向けてくれた笑みから目を離すことだけはしない)
(志を共にできる友の話になれば、一段と表情の和らぎは増す)
フ……義義とうるさい奴らで、初めは普通に迷惑でしたが
いつの間にか俺は、奴らを友として頼りにしている。
(目の前の人の作る間は、そこに何か大事なことを内に秘めている気がして)
(それ故に見落とさないように気を払っていたが、今の間は触れてはならない気がした)
……きっと、と言われても具体的によくわかりませんが。
当のお市様が言うのであれば…当てにできそうです。
(自分より小さな手で手がが包まれる)
(その仕草と、見つめる瞳に真剣さを感じることができた)
(ただ、普段から斜に構えているために…)
(この人から間近で視線を外さずに居続ければ、顔に熱が集まってしまう)
……お市、様。
あなたがこれまで歩んできた道は、他人が踏みいれられるものではない。
お市様自身だけが、今も語りあるいは誇りを持つ資格がある。
当然俺もそこに干渉することなどできるはずがない。
……しかし、お市様がこれから歩む道、
そこに俺に出来ることがあるのなら……
それをもって、俺はお市様に笑っていてほしい…そう、考えています。
きっと……ではなく、俺は必ず叶え―――…続けてみせる。
(自分なりに、内に隠してきた言葉を今吐き出すとともに、瞳に感情を宿すのを少しも止めようとしなかった)
【俺こそ遅くなってしまいました】
【これでは、次のお市様の文に対する俺の返事は23時を超えてしまう…】
【大見え切った挙句申し訳ありませんが、お市様の次の文を待ち俺からの置き文になりそうです】