好きに使うスレ 17

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119シェリル・ノーム ◆8fsp2BJd9E
>>118
(いつまでも続きそうな言い合いを溜息一つで区切る。――これもスキンシップの内なのだと互いが理解しているからこその仕草で)
(視線を投げかけていると、気付かれたのか偶然か……微笑まれて心臓が跳ねた)
(それまでの意気はどこへやら、思わず頬を赤らめてそれに見合う表情を浮かべてしまう――星明りだけでは、赤らめた頬ばかりは気付かれなかった事を祈り)
一般的なたとえ話なだけでしょ、そんな所に突っかからなくていいの。……で?
(言い回しに動揺した素振りを見せる彼に小さく笑い、先を促して)
……写真、見たわ。とても奇麗な人。私も会ってみたかった……アルトのお母様に。
そういえば前に三つ編みしたの、覚えてる? あの髪型のアルトはそっくりね。
(アルトの肩に顔を埋めたまま、ちらりと開いた障子の隙間から見える室内の方に視線を投げる)
(明かりを付けていない室内は暗く、写真までは当然見えないが、写真立ての置かれた位置へと)
(幼い頃肉親に愛しまれた記憶のない自分にも、憧れを呼び起こされるような優しい面影を持った人を脳裏に描き呟いた)
(そうしていると頬に彼の手が添えられ、揺れ動いた蒼い瞳は愛しさを溢れさせるように蕩けてしまう)
(それを覆い隠そうと瞳を閉じて、温かな掌へと白い頬を委ねるが……)
ちょっと、何よその嫌な予感っていうのは……!
私だってできるんだからね、こら、聞きなさいアルト!
(聞き捨てならない台詞にぱちりと目を開き抗議する)
(負けず嫌いで努力家な上プライドの高い性格が刺激され、彼の言うまま大人しくしている事はできそうにない)
(そして――この日から空き時間には料理本を手にする娘の姿が見られるようになる……らしい)

唄うのには気持ちが必要……その気持ちはいつだって誰かから貰うものなのね。
ファンの皆だったり……誰かさんだったり。……ね?
(唄う勇気をくれるのは彼。プライドと自分の誇りだけを頼りに唄ってきた自分には、それがとても新鮮だった)
(拠り所は歌であっても、その歌を唄うためには自分ひとりでは駄目なのだと、それに気付いたから今の方が好きだと言ってくれる人がいる)
(そういう事なのだろうと感じていた。確かめるようにアルトを見上げてにこりと笑い)
はいはい、別に家の事に口を出したりしないわよ。
まったく……ホントに失礼な男ね、そんな朴念仁のアルトなんか女と間違えられて襲われちゃえばいいんだわ。
(駆けつけてあげると言ったのとは真逆の台詞を不満げに放る間も、抱き合う姿勢は変わらない)
(腕の力を緩める相手とは逆に、腹いせのように彼の腹の辺りをきつく抱き締めて)
世話人の人が変な勘繰りし始めてるみたいだし……これ以上迷惑はかけられないもの。
身体の方も一区切りついた感じだし、近い内にそうなると思うわ。……鍵、欲しい?
(薬を飲むのを止めたためにその副作用であった頭痛や眩暈が少なくなった――削られる命と引き換えに)
(その事を彼には告げず、新居の鍵の必要の有無を悪戯っぽい顔で尋ねる)
そうよ、見張ってなさい……アルト。
……ん……寒くなってきたわね、中に入りましょう?
(息をするのも苦しくなる位、抱き締められただけで幸せになる)
(身体に巻きつけていた腕を上らせて見た目よりも逞しく感じられる彼の首に回すと、連れて行ってとばかりに身を預けた)
(アルトが自分に安らぎを与えてくれるように、自分も何か返したい……そう思う気持ちはあるのに、何をしていいか分からなくて)
(浴衣の袖口から伸ばした手で少しなりとも表そうと、優しく彼の頭を撫でた)
(彼の母が、幼い頃の彼にしていたように――)

【あれだけの手付きで野菜を刻めるくらいにはなるんだもの、素質はあるのよ、素質は】
【後は経験だけ……ええ、愉しみにしてて頂戴?】
【それで、今夜は此処で凍結ね。時間、大丈夫かしら】
【次の予定、決まっているなら聞かせて?】