>>183 (もっと早く、聞きたかったような。今だからこそ、受け入れられるような告白をこくこく頷きながら追う)
キタン…っ…
(もっと、聞かせろというのだろうか。裏腹な口付けで嬌声さえ呑み込まれて)
あ、ぷ…んむ…(注ぎ込まれるとんでもない熱量と優しい口付けに半分意識を飛ばしながらも舌を絡め、下唇を食んで伝える)
大好き…キタン…
(ぎゅうと握られた手の熱に。重なった昂る鼓動に感じる幸せ。ほんわりとこどものように微笑んで)
(ずるりと引き抜かれる感触に締め付けを返す)
(気をやってしまっていても喪失感にふるり震えて、ぽとりと一粒涙がこぼれた)
…ん(頬を撫でる風にふっと目が開いた)
(瞼の裏に残るひかりはモニタのものでなかった。男が出て行く影を無意識に追っていた)
(電源の落ちた機内は薄暗くまだ二人の熱がこもっていて時間の経過はさほど感じられないものの)
(着替えを頼んだのも自分のはずだが彼の存在の危うさを思い出しぞくりと背筋に冷たいものが走る)
(そんな意識を振り払おうと頭を横に振って)
(そういえば。服を頼んだがサイズを言っただろうか)
(女性店員に説明しようと腕で輪を作り胸囲だののサイズを説明しようとする男の姿が浮かんで)
(ふふっと声を漏らした)
(巻かれた毛布の端を握ってきゅうと自身を抱きしめるように強く引いて)
キタン…キタンの匂いがする…
(男の腕の代わりにはなるはずもないが、ほんの少しの繋がりを見出して息を継いだ)
(思ったよりずっと早く搭乗口が開いて。男の気配というよりもっと確かな足音が近づいて)
(杞憂だったと安心すると力が抜けた)
(顔を覗かれている、と思うと壊れ物でも扱うようにそろりと冷たいものが額に触れて)
(ぱちりと目を開けた。慈しむような男の視線と少し情けない顔)
(横になったままゆるりと首を傾げて微笑んだ、つもりだが不安が顔に出てはいなかったろうか)
おかえりなさい。・・・ありがと
(ひどく掠れた声、額のそれが水だと気づいて。ボトルと自身の唇を順番にゆびさして)
(飲ませて。とジェスチャーで伝える)