【ただいまより、こちらをお借りします】
【……書き出しは、私から始めた方が良いだろうか。
少し待っていてほしい】
【しばらくの間、こちらを借りさせてもらうの】
【了解じゃ。書き出しを待たせてもらうの】
(60階建ての巨大女子寮は、日によって部屋の数が変わるという言い伝えがある)
(学園三大秘境の一つに数えられるここは、コンピュータによって管理されていながら
コンピュータの暴走事故が時々起こるといういい加減な空間)
(帰寮時間も門限もあるにはあったが、点呼さえ終わってしまえば後は抜け出す事は容易だった)
(ベッキィも数万人の女子生徒の一人だったし、その中にもう一人増えても、
今さら誰も、気にはしなかった)
ここまでなんとか無事に着けたようだな。
(エレベーターを上がり廊下を横切って、自分の部屋の前までやってくる)
……大げさな、とか思っていないだろうな?
エレベーターが目的の階にたどり着かないのも、廊下がひとりでに伸びるのも
ここではしょっちゅう起こるんだ。窓ガラスから自分の将来が見えるという怪奇現象も。
こんな不便で無秩序な寮から早く抜け出したいんだがな、安月給ではどうしようもない。
(鍵穴に鍵を差し込んでドアノブを捻り)
……ああ、なんというか。何を期待してるかわからないが……大したものは、何もないからな。
(畏まった様子で、自室へと秀吉を招待した)
(玄関からダイニングまでは一直線に。部屋は無機質で、機能的だった)
【お待たせした。では、よろしく頼む】
>>591 ―――いや、全然思っておらんよ。
なんというか、うん。ここはこれでも日本なんじゃな。
(ベッキィに連れられてやってきた蓬莱学園の、それはそれは広大な敷地を横切り弁天寮へ)
(かつて、彼の朝比奈純一と神酒坂兵衛が大騒動を引き起こしたその建物に来るまでの間に見てきたもの)
(それは普段聞いていた話がけっして誇張表現などではなく、むしろある程度セーブされてきたものと)
(納得させてくれるのに十分な諸々だった。蓬莱学園は夜も蓬莱学園なのである)
(騒がしい学園は、好きな女の子の部屋に初めて入るときめきに回す分だけの心臓のときめきは残してくれなかった)
(しみじみと呟いて、少しため息をつきながら部屋にお邪魔する)
………ん。お邪魔します、じゃ。
(それでも人間の体は現金なもので、玄関からダイニングに行くまでの時間で心臓は平静を取り戻し)
(鼻腔をくすぐる、他人の部屋の匂いが、いつもは元気な声を、はにかみがちのものに変えた)
【こちらこそ、宜しくの、ベス】
>592
(人に部屋を見られるのは落ち着かないものだ)
(その相手が、心憎からぬ相手ならなおさら)
(普段の自分をさらけ出すのは中々難しい。タイミングを推し量っていた)
適当な所にかけてくれ。と言っても椅子しかないがな。
いつものように炬燵もソファーもないからくつろげないか。
(マーガリンが良く落ちる絨毯の上に、二人がけのテーブルが並んでいた)
(ダイニングと繋がったキッチンにはそれなりに生活感が漂っている)
――何か入れてこよう。ゆっくりしていてくれ。
(やはり、落ち着かなかった。
秀吉をその場に残して、キッチンへと移動してしまう)
(お茶か、コーヒーか。秀吉はどちらが喜ぶだろうと考えていれば、
落ち着かない気持ちが少なくなるような気がした)
>>593 ん、ぅん。なんの。くつろぐのなら、普通の椅子で十分じゃよ。
それでは、失礼させてもらうの。
(部屋に招かれたことでまたぶり返した緊張を、軽い咳払いで追い払う)
(スカートの後ろをそっと手でお尻に当てて、引いた椅子に座らせてもらう)
(二人がけのテーブルに腰掛けながら、そっと部屋の中を見回した)
(部屋を見れば人が分かる、という言葉をどこかの本で読んだことを思い出す)
(無駄のない、実用的な佇まいのダイニングは、几帳面なベッキィの性格がよく現れていて)
(その中で生活感を漂わせているキッチンが、他人にあまり見せない、彼女の内面に思えた)
―――ベス。いつもベスが飲んでおるものと、同じものがよい。
(ほんの少し、いつものベッキィとは違った、どこか落ち着かなさを漂わせた動き)
(キッチンに向かう背中をじっと見つめながら、ほっとため息をこぼす)
(ベアトリス・香沼という人は、けっして情緒に乏しい人ではないのだから)
(緊張していない筈が、なかった。ようやく、そこまで気が回せるようになった)
砂糖たっぷりのカフェオレとか、じゃな。
>594
(スカートの後ろを直す動作を見て)
……慣れてるんだな。いや、今さら驚きはしないが……
女装に慣れてるのは今に始まったことじゃない。
その制服だって普段から見慣れている。
なのに、自分で指示したことといえ、なんかこう、違和感が……
そういえばその制服でどんな事を想像したんだ?
(さっさとキッチンに引っ込んで、あれこれとお茶の用意をする)
(わざわざ輸入した、とっておきの茶葉は切れていた)
(本場のコーヒー豆は時化って使いものにならなかった)
(呪いの言葉を吐きながら、思案していると)
………別に、いつも飲んでるわけじゃないぞ。
だがお前が飲みたいというならそうしよう。
(どこか安心した様子で、返事をする)
(湯気の立つカップを二つお盆にのせ、戻ってくる)
お待たせ。……確かに仕事中はブラックが多いのだが、
家では砂糖を入れることが多い。……なんで、わかったんだ?
(泡立つカフェオレをかきまぜながら、不思議そうに尋ねる)
>>595 さらりとこう、ワシが女装の常習犯であるかのような言い方をしておらぬか?
ワシはそんなに、頻繁に女装しておるわけではないぞ?
あ、いや、そのなんというか………ん。
(痛いところを突かれてしまい、逡巡にスカートの裾をしきりに直しながら視線を彷徨わせる)
(ただごまかしはベッキィの本領が発揮されて無駄な抵抗になるので、選択肢としては素直に白状するしかなかった)
―――「秀吉、タイが曲がっているぞ?」「あ、ベス……」のような展開をじゃな。
(前半を、やや凛々しさを増して、愛しい子猫を愛でる麗人の雰囲気を漂わせたベッキィの声で)
(後半を、やや女性らしさが増して、蟲惑的な麗人に耽美に惹かれる少女の雰囲気を漂わせた自分の声で)
(マリア様が見ている箱庭で、やや倒錯的な愛を交し合う少女二人の光景を頭に思い浮かべていたことを伝える)
その、ベスとならワシは……と、の。いや、ん。
あの、ベスがそういう趣味はないじゃろうとは思ったんじゃが……すまぬ。
(あの丘の上でキスをねだられたとき、女の子として、男の子の自分を求めてくれたことをしっかりと感じていたのに)
(そんな夢想を止められなかったことを、俯かせていた視線を上げて詫びた)
うむ。ありがとうの、ベス。ん?
ふふ、何を言っておるんじゃ。
(戻ってくるベッキィがカフェオレをかき混ぜる手元を見つめながら、おかしそうに笑った)
(二人で一本の缶コーヒーを飲んだときの、あの光景を思い出して、少し恥ずかしくなり)
(とても嬉しかったことを思い出しながら小さく小首を傾げて、微笑んだ)
あのときに、砂糖たっぷりのカフェオレも好きだ、と言ってたではないか。
>596
違うのか? だがしかし、おまえと言えば普段から
色んなコスチュームで現場にあらわれるじゃないか。
頻度からいえば頻繁と取られても仕方ないんじゃないか?
(がくん、と肩を落として)
なんだ、それは。私は服装検査などしたりしないぞ、そんな風紀委員みたいな……
強いて言えば別件逮捕の口実くらいで……
(秀吉の言わんとしていることは理解できたものの、そんな自分を想像するのが恥ずかしくなり、
話題を逸らそうとする)
何を謝ることがある。私が話せと言ったんだから。……それに、
そんな趣味がないことはないかも知れないじゃないか?
(どこからどう見ても美少女にしか見えない秀吉に向けて尋ねる)
……いや、やっぱり私には似合わない……乙女も、耽美も。
(照れ隠しにカップを上げて顔を隠しながら)
良くもそんな事を覚えていたものだ。
忘れていたぞ、今の今まで。
(あの夜の出来事が思い出される)
(星の瞬き、風の冷たさ、唇の温かさ、そして約束)
(約束は、果たされようとしている)
…………あの時おまえに貰ったぬいぐるみ、を、……見るか?
寝室にあるのだが。
(コクンと、喉が鳴った)
>>597 (言われたので思い直してみた。女装がとても多かった)
(なのでテーブルの上を指で寂しそうになぞりながら呟いた)
―――頻繁じゃね。
(否定要素のないことに落ち込んでいると、ベッキィが肩を落として)
(やや歯切れ悪く話題を逸らそうとする。こちらも咳払いをひとつ)
(転換する話題に乗ることにした。と、そこで聞こえた台詞に軽く頭を振って)
………耽美はベスの趣味ではないかもしれぬが、乙女が似合わんことはないと思う。
ワシのことでペースを乱してくれるベスは、どこからどう見ても乙女じゃもの。
(言ってもまた否定されるかもしれない、と分かっていても)
(自分が目の前の少女は、乙女らしいと伝えたかった。自分はそこに惹かれたのだから)
(ただ、恥ずかしかったので、「恋する」という枕詞をつけられなかった)
ワシはバカじゃから、勉強以外のことはよく覚えておるんじゃ。
――――大事なことじゃったら、尚更。
(こちらも、ベッキィが入れてくれたカフェオレを手にとってご馳走になる)
(カップを傾けて泡立つ液体を喉に流すと、今の甘い気持ちと同じ甘さが胸を滑り落ちた)
(しかし、そのカフェオレの味もすぐに分からなくなってしまった)
………うむ。
(飲み物を口にした筈なのに、たった一言で喉がカラカラに渇いてしまった)
(味が分からなくなってしまった、けれども美味しいと感じられたカフェオレの入った)
(そのカップをテーブルに置いて、俯きそうな視線を上げる)
(目の前に、彼女の、ベアトリス・香沼の顔があった)
………案内、して欲しい。
(先に立ち上がる。椅子が絨毯に擦れる音が、やけに大きく聞こえた)
(心臓がひとつ大きく鼓動を刻んで、左手でそのうるさい器官を制服の上から押さえる)
(先に、きっかけを作ってくれたから。迷うのは失礼だと思って、立ち上がった)
(座って、じっと翠の瞳をベッキィに注いだまま、テーブルを回り、彼女の傍へ立つ)
(そして、静かに右手を伸ばして、彼女がその手をとってくれるのを、じっと待った)
>598
やめてくれ。あんまり、言うものじゃない。
(真摯な態度でそういわれると、顔が赤らんでしまう。
それが悪いわけではなかったが、今はポーカーフェイスでいたかった)
女らしい言葉遣いとか思想とか信条とかに、そうそう浸れるはずもないんだ。
大事な事、なのか。飲み物の好みが大事な事とは到底思えないのだがな。
でも、そんな事でもお前が私を覚えてくれるのは、嬉しいな。
(偽りのない気持ちでそう思える。
そんな相手だからこそ、部屋まで来るのを許したのだった)
(女生徒の制服を着ている相手に、何故か異性を意識した)
大きな家じゃない。さっき来るまでに通ったところだから。
……そこはもっと、なんというか、……イメージを崩さないで……
いや、熊が置いてある時点で……うう、今さら悩んでもしょうがない、な。
(観念した様子で秀吉の手を引く)
(きゅうっと握りながら、寝室の扉を開ける)
(部屋の中は暗く、遮光カーテンが引かれている)
(書き物をするための机が一つ、その上には教科書と参考書と、何かの書類が積まれていて)
(反対側の小さなベッドには、今は大きなテディベアが、存在を主張していた)
(部屋の隅には彼のための大きな椅子までもが用意されていて)
どうだ、大きいだろう。部屋が余計に狭くなってしまったぞ。元々大きくはなかったのにな。
(後ろ手に扉を閉めて、電気を点ける)
(灯りに部屋の中の色んなものが、照らされた)
>>599 (自分の言葉に顔を赤くする彼女を、素直に、とても可愛いと思った)
ふふ、そうか。それはすまんかったの。以後気をつける。
いいや、ワシにとっては大事なことじゃよ。好みを覚えておれば、ベスに喜んでもらえるではないか。
ベスに喜んでもらえることが、大事でない筈もなかろう。
(ストレートに告げられる好意の証が、こちらも嬉しかった。だから)
(「どんな小さなことでも貴女が喜んでくれるなら、自分には大事なことだ」、と伝え返した)
(いつもの、自分より大きな手が、今はとても小さく思えた)
(片手では足りなかったから、両手で彼女の手を包んで、部屋に着くまでずっと握っていた)
(部屋に近づくごとに大きくなった心臓の音が耳の中で反響する)
(案内された部屋に辿り着く頃には他の物音も耳に入らないほどだったのに)
(ベッキィの声だけは、けっして聞き漏らさなかった)
ふふ。そうじゃな。まるでテディベアが部屋の主のようじゃ。
(回らないと思っていた呂律は、喋り始めると綺麗に回った)
(握ったままの手に、自分の熱い体温が伝わっていくのを感じながら、部屋をくるりと見渡した)
(事務的な部屋の中にある、アクセントの大きなくまのぬいぐるみ)
(つい先ほど、ベッキィの言っていた台詞を思い出す)
部屋の中でくらい、女の子らしいものに浸ってもよいものな。
ベスのそんな面を見れて、嬉しい。ありがとう、ベス。
(部屋を見渡し終わると、視線をすぐ傍の少女へと据えて、その顔を見上げた)
(女子用の制服を着ているので、外からは仲のいい女生徒にしか見えない)
(けれど、そんな、少女にしか見えない自分でも出来ることはある筈だと)
(両手の中のベッキィを手をもう一度、ぎゅっと握って、彼女に向き直り、微笑んだ)
…………キス、しても、よいか、ベス?
>500
(テディの毛並みは乱れている)
(時折戯れに抱きつき、温もりに包まれてそのまま眠ったから)
(テディの頭には、不恰好な毛糸の帽子があった)
(編んではみたものの、形が気に入らなかった。捨てるのが勿体無いので、
今は彼のものになっている)
(そんなテディが、二人を穏やかな笑みで出迎えた)
そうだろう? こいつときたら、持ち運びには苦労するしすぐに毛玉になるし
熱帯夜には暑苦しいしで、大変なんだ。そのくせに存在感を主張するんだ。
こんなものあったって何の役にも立たないのに、それでも私は……
(ぬいぐるみを欲しがる自分の気持ち。憧れてはいたが、どうしても手が出せなかったもの)
(ぬいぐるみだけでない、「女の子らしさ」を――求めていたそれを、
秀吉に受け止めてもらえた)
(胸が詰まって、天井を見た)
(手がしっかりと握られて、傍らの秀吉を見下ろす)
うん――そうだな。してもいい。というか――――
二人きりの時は、一々確かめなくて良い。
(口にしてしまってから、あらかじめ言われるのと不意にされるので、
どちらが衝撃度が少ないかと検討し始める)
(少なくとも今は、胸が高鳴っている。正面を向いて身構えて、唇を引き締め、待ち望んだ)
>>601 (まだ少し緊張しているので、テディベアをじっと見ることはなかった)
(けれどそのテディベアをベッキィがどれだけ大切にしているかは、部屋の内装と)
(テディベアの頭の上にちょん、と乗っかっている毛糸の帽子でよく分かった)
――――ベスに会えて、よかった。
(訥々とテディベアのことを語るベッキィの言葉のひとつひとつに頷きを返す)
(その言葉の端々からこぼれる気持ちが伝わっていることを頷きで伝え)
(彼女が天井を見上げたとき、ベスの手を自分の手の平に乗せて、手の甲側にもう片方の手を重ねて)
(両手で彼女の手の平を挟んで、その横顔を見つめながら微笑みと一緒に告げた)
(初めて恋をした女の子の、ずっと押さえていた想いを解放できたこと)
(その誇らしい偉業を成し遂げさせてくれた相手に、愛しさが止まらなかった)
――――ん。分かった。
(小さく笑いながら、手を繋いだまま、背伸びをしようとして、ふと動きが止まった)
(いつもいつも、こちらが背伸びをするキスの距離。それは、一般的な男女の役割があべこべの距離だった)
(彼女と自分は、出会いのときも、二度目のときも、ずっと一緒のキスの位置のまま)
――――ベス。ベッドに腰掛けてくれぬか?
(気がつけば、少し背伸びをして、吐息の感じられる距離に至ったところで、そんなことを言っていた)
>602
…………?
(自分の胸のあたりで固まってしまった動きを見つめて、
何かあったのだろうかと不審に思った)
(それを疑問に出すより早く、秀吉の口から可愛らしい提案が聞こえて)
このまま、あとほんの少しの距離なのに?
(どこか面白がって、唇を釣り上げる)
焦らすのが上手なんだな。……ということに、しておこうか。
(ベッドに腰を降ろして、両手はスカートの傍に控えさせたままで)
(顎を上向けて、上気する顔を秀吉に向けた)
>>603 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ
(間近で見上げるベッキィの唇が笑みの形に吊りあがって、からかわれる)
(自分でペースを運んでいたときは気にならなかった気恥ずかしさ)
(それが、たった一言で頭の上まで上ってきて、顔色を赤くしてゆく)
(いつもペースを握るときのベッキィの笑みにふと)
(自分が、無理な背伸びをしているのではないか?という疑問が脳裏に浮んで)
………ベスに、その一般的な、男女のキスを味わって欲しかったんじゃよ……
(わざわざベッキィが濁してくれたであろう言葉を、外に出してしまう)
(ベッドの上に腰掛けたことで、ベッキィの顔が自分の顔よりも下の位置に来る)
(自分で言っておいて、自分の言葉に顔から火を噴きそうになり)
(あまつさえ微かに涙目になりながら、一歩、ベッキィに近づいた)
(両手でそっとその頬に触れる。指先が金髪に当たり、さらりと髪を揺らした)
―――――――ん。
(白い肌に浮ぶ赤味を、手の平で熱として感じながら身を屈めて)
(彼女と三度目になるキスをした)
>604
今までは普通でなかった、と?
そう思われても仕方ないかもしれんが、私は一般的でなくても、良かったんだ。
お前と一緒なら。でも、わざわざそう言ってくれたということはだ。
おまえの方で、男側に立ってくれるという事なんだな?
それは……多分、とても、嬉しい。
(目に涙を溜めている。そんな顔が凄く似合う)
(羞恥心に刻まれたその顔を、良く見ていたいと思う)
(落ち着いた様子で、唇を僅かに伸ばして、そっと)
(二つの唇が重なった。目を瞑って気持ちを押し付けた)
…………ふ、は。はぁ……ん………
(受身のまま、唇を押し付けたまま、そっと目を開け秀吉の様子を伺った)
>>605 【むむむ、ベス、こんなムードのときに言い出すのは、とても無粋じゃと承知しておるのじゃが……】
【眠気の方は、大丈夫かの? もし眠ければ、無理せずに言ってくれて平気じゃよ?】
【気のせいやもしれぬが、なんとなく、かなり眠いのではないかと思えてしもうて】
>606
【む。……こんなムードだから、言い出せなかった……】
【というのは冗談なのだが、確かに少しばかり眠気がきているようだ】
【できれば意識のはっきりしてる内に……明日あたりに、続きがしたい】
>>606 【ん。分かった。明日はワシは一日空いておるので、ベスの予定に合わせられる】
【ベスの都合のいい時間で大丈夫じゃよ。それと…………その】
【大事な、ベスとの初めて、じゃから、ロールの興を削がぬように心掛けたい】
【こんなことを聞いていうのはずるいのかもしれぬが、ベスにも心から楽しんで欲しいので、尋ねたいんじゃ】
【ワシは、このままリードを取り続けて、よいのかの、ベス?】
【もしベスがリードを取りたければ、逆転してくれてもワシは平気じゃから】
【ベスの答えを、聞かせて欲しい】
>608
【では、午後十時からでどうだろうか?
その時間に避難所で待ち合わせよう】
【……ずるい、というか、言いにくい部分をずばりさらりと聞いてくる所は好きだぞ】
【実際の所、どうなってしまうかわからん。このまま翻弄というか、リードされてみたいが】
【途中で我慢できなくなって手を出してしまうかもな。……と、こんな答えだ】
【その位のほうが、私達には合っていると思うんだ。だから、気負わなくて良い】
【答えは今出さなくて構わないから】
【それじゃあ、一足先に失礼する】
【お休みなさい】
>>609 【了解じゃ。では今夜の午後十時に、避難所で】
【ん……いかん、もう「好きだ」と言われるだけで何をされてもよいと思ってしまう……】
【ベスの気持ちは分かった。ワシも、今のやりとりで自分の気持ちを確認した】
【手を出されるのが、待ち遠しい……と、だけ言っておくの】
【うむ。お休み、ベス。また今夜】
【それでは、長々とスレをお借りした。スレをお返しするの】
【ただいまより、こちらをお借りします】
【今日のリミットは、眠くなるまで――という、曖昧な境界線だな】
【本当にまずくなる前には、きちんというつもりでいるから】
【しばらくの間、こちらのスレを借りさせてもらうの】
【ん、了解じゃ。では、昨夜のようなことは言わずにおこう】
【よろしく頼むの、ベス。レスを書いたので、次から投下じゃ】
>>605 あ………ん……
(「私は、一般的でなくてよかったんだ。お前と一緒なら」)
(そんなベッキィの言葉に、頭の隅がすぅっと、クリアになっていく)
(自分は余計な気を回しすぎているのではないだろうか?)
(その疑問に、明確な答えが生まれて、胸の中へすとんと落ちた)
(緊張していたのだろう。いつも以上に、余計な気を回していた気がする)
(相手のことを慮りすぎて、かえって相手を遠ざけてしまっていた)
(彼女と一緒なら、気負わずに、いつも通りの自分で居ればいい)
(彼女と一緒なら、どんなことでも幸せに感じられるのだから)
こんな格好をしておるがの。
そう見えなくっても、心はそうあろう、とな。
ただ、余計な背伸びはやめることにする。
(目尻に溜まっていた涙を、細い指先で拭って答えて笑顔になり)
(彼女の頬に触れて、キスをした。いつもとは逆の立ち位置で見下ろす顔)
(その新鮮な光景の中で、相手の性を強く「女の子」だ、と感じられた)
(静かに目を閉じて唇を待っていてくれたベッキィの姿は、強く優しく心を掴んだ)
(可憐な女子制服のスカートをふわりと揺らしながら身を屈める)
(小さな手の平で包んだ頬に顔を寄せる。唇が近づいていく)
(翠の瞳を瞼の中に隠して、自分の唇を重ねていく)
(柔らかい唇と唇同士の触れ合いは、やはり蕩けるように甘かった)
(ベッキィが唇を押しつけてくれるのを受け止める)
(そこからは余分な力が抜けていて、つまり立ち位置が変わっただけのいつものキスで)
(相変わらず、少女にしか見えない少年が、初々しく瞼を閉じて)
(まるでそれがファーストキスであるかのように、恥じらいを忍ばせてキスを受けていた)
――――ん
(ベッキィの唇を受け止めるのに一生懸命で、唇を開いて舌を合わせようかどうか逡巡する有様で)
(まだ薄く唇を開いただけの、女の子のような男の子が、小さく吐息を漏らす)
(ややクセのある柔らかな金色の髪と、柔らかな黒髪が触れて音を立てていた)
>613
本当に、そうだな。どこからどう見ても、おまえを男に思うことなど
できそうにない。それくらいお前は完璧に、愛くるしい。
けれど、目に見えるものだけが真実でない事を、私は知っている。
お前が紳士らしくあろうと心がけているほどじゃないが、私も……
淑女らしくあってみようか。今さら伸びた身長は縮められないが。
(お喋りな口を閉じて、秀吉の接触を待った)
(なよなかな白い掌が頬に触れ、空気が動いた)
(唇がそれに追いついて、自分のと重なり合う)
(たったそれだけの接触が、ひどく重大なことのように感じる)
(瞼をそっと開ければ、恋人の顔がより間近に見える。
毛先が触れ合うほどの近さ。睫毛の揺れるのがわかるほどの近さで)
(押し付け合っている時間が過ぎていく。そのままでも良かったのだが、
体は次のステップへと進みたがっていた)
(秀吉の反応が見たくて、舌を押し出して、下唇をちょん、と突付いてみた)
(それから、僅かに開いた唇の隙間にも)
>>614 (すらりと整った高い鼻梁に、自分の鼻梁が触れているのが感じられた)
(鼻腔から抜けて体の中に満ちる、目の前の少女の甘い香り)
(唇を合わせたときに感じる甘い痺れのうちの何割かは、鼻腔をくすぐるこの香りが齎していた)
(吐息の触れ合う距離よりも、もっと近い距離でしか味わえない匂い)
(それがゆっくりと、胸の奥の愛しさに火をつけてゆく)
ん………ふ……っ、ん
(キスに時間を忘れていると、下唇に刺激を感じて声が漏れる)
(ねだるような、ベッキィの舌の動きに、意を決して唇を開いてゆく)
(少し唇を重ねる仕草に力を込めて、自分から唇を積極的に押しつけて)
(伸びてきた舌先に、伸ばした自分の舌先を、ゆっくりと触れさせていく)
……ん…!
(唾液の味が交じり合う。仄かにカフェオレの味がした。先ほどまで飲んでいた飲み物の味)
(それが他人の口の中に舌を忍ばせていることを強く感じさせ、舌を痺れさせていく)
(唇を開いていく動きで、重ねた唇も一緒に開いていきながらぐっと舌を伸ばす)
(自分とキスをしたときにベッキィはどうしていただろうか?)
(そんなことを思い出しながら、あのときされた激しいキスの動きを真似る)
(口腔に先だけもぐりこませた舌で、歯の形や並びを緩慢に探る)
(それは拙くて、恐る恐ると言った様子のまるで似ても似つかないキス)
>615
(何度目かのノックで、硬い扉が開いていった)
(その中から出てきた使者が自分を歓迎する)
(ぴりり、と体に甘い痺れが走り)
んぅ…………はぁ……っ
(唇が開いていって、自然と吐息が篭れる)
(カフェオレ味の唾液と共に、秀吉が自分の中に入ってきた)
(暗闇の中で手探りをするような、おっとりとした、落ち着かない様子で
遠慮がちにしている。くすぐったさを感じて微かに身をよじらせて)
ん、んむぅっ…………ふ、……んっ……
(口中の訪問者を歓迎しながら、これから先どう動いていくのか、
興味と期待を胸に見守る)
>>616 ……………ん……っ……
(手の中の頬が火照る。小さな喘ぎの声が聞こえる)
(耳朶を打つその甘い声は、目の前の少女からこぼれた声だ)
(鼻から抜ける吐息が肌を打ち、くすぐったい刺激を与えてくる)
(――――感じて、くれておるのか? ベス……?)
(うっすらと瞼を開いて、相手の表情を確認しようとして、視線が合う)
(身を捩じらせながら、自分を見ていたその瞳に浮ぶ感情の色)
(それはどこか胸の奥を掻き毟る切なさに溢れてながら、熱い熱を灯していた)
(自分をじっと見つめて、次に何をするのか、いや、“何をしてくれるのか”と)
(次の動きを待ってくれている感情の色が、映っていた)
(うっすらと見開かれていただけの瞳が一度、大きく丸く広がって)
(次に、細くしなっていく。興奮の色に染まって、目尻を赤くする)
(そして瞳に映るベッキィの姿に、反応に、瞳が蕩けていく)
(ベッキィの小さな反応と、それ以上を求める視線に、動きが大きくなっていく)
(伸ばした舌はきゅっと動いて、その根元近くまでをするりと口腔へ忍ばせる)
(微動だにしなかった首がしなって、右に左に、揺れ始める)
(動きをつけて唇を押しつけながら舌を強く差し込んで、歯の裏側)
(彼女の口の中の奥の形を確かめようと、ピンク色の小さな粘膜が勢いをつけて蠢いた)
(頬を包んでいた手が下がり、首筋のラインをなぞりながら、彼女の肩へ落ちる)
(華奢なその肩を小さな手にいっぱいの力で握り、キスをする)
(それは男性めいたキスであったかもしれないが、ベスの瞳に映るのは)
(その格好のせいで少女が憧れの女性に禁断の口づけをしているように見える倒錯的な光景だった)
>617
(瞼が開いて、相手の翠色の瞳が覗いた)
(宝石のような透き通った輝きと、目が合う)
……む………ん、んんっ……
(陶然とした輝きに見られれば、自分が今どんな表情を浮かべてるのかと気になり)
(鹿爪らしい表情と威厳を出そうとして、失敗する)
(どんな顔をして見せても、この紅潮は、胸の鼓動は隠せはしなかった)
………ん、……ぅ、ふぅ……あっ……
(開かれた唇からこぼれた呟きは、驚きを伝えるもの)
(不意に秀吉の動きが大胆になって、奥深くまで潜りこんでくる)
(胸の中の灯火に火がついて、皓々と燃え上がった)
(探索を続ける舌に己が舌を合わせ、先端から絡めていく)
ふぅっ……ん、ぁ……
(しなやかな指先が首筋をくすぐり、肩を捉える)
(ずっとベッドに置いたままだった手を、秀吉の背中の上において)
(片方の手で器用にリボンを緩めて、息苦しさから逃れる。
そのままシャツをずらし、肩口までを素肌に晒し)
(肌の赤味が増す中で、キスをしている男の子を誘った)
(性別は秀吉だったけれど。今は、そう見えていたから)
>>618 ………んっ、ふっ……
(一瞬だけ聞こえる驚きの声に、動きが止まりそうになる)
(しかしそれよりも先に、ベッキィの舌が絡みついてきた)
(ぎゅっと絡まり合う桃色の舌先同士は、剥き出しの感覚器である粘膜)
(それが小さく音を立てて触れ合うたびに、鋭い刺激が脳裏に走る)
(以前、自分を激しくまさぐっていた舌を今度は自分から求めている)
(そして相手から求められているという状況に、胸の炎が強く燃え上がる)
……………ベス………
(伸び上がった腕が、背に触れる。静かに唇を離して、動きを見守った)
(唇と唇をつなぐ、互いの唾液が交じり合った細い橋を目にしたとき、ドクン、と何かが昂ぶった)
(自由な方の彼女の手が、襟元に伸びて、リボンタイを解く)
(しゅるり、と微かに鳴る衣擦れの音がやけに室内に響く)
(じっと、潤みを帯びた翡翠の瞳で見守る中、細い指先によって)
(襟元とその近くのボタンが外れ、彼女の喉元と、首筋、そして細い肩までが覗いた)
(白く美しい肌の上に、自分と同じように赤味を灯している彼女の目を見て)
(“誘われている”と感じたとき、がつんと、意識を強く彼女の全てで殴られた)
―――――――少し、動くの……
(自分を抱き寄せてくれる手に断りを入れて、体を離す)
(そうして、彼女の肩に置いていた手を浮かせて、彼女の体の正面に運んだ)
(震える指先が、解かれたリボンタイにかかる。しゅるりと、それを)
(彼女の制服から、抜き落とした。指が、止まらない)
(ブレザーの下のベストのボタンに指がかかる。ぷち、ぷち、と音が響く)
(ベストのボタンが外れると、指はワイシャツのボタンにかかる)
(また、ぷち、ぷち、と音がして、ボタンが外れていく)
(スカートの中からワイシャツを抜いて、彼女の衣服の前部にあるボタン全てを、外す)
(一連の動作を、途中で跪きながら行った彼の、チェックのスカートが)
(内側から―――――鋭角な角度をつけた何かで、押し上げられていた)
―――――綺麗じゃ、ベス………ううん、可愛い……
(ボタンを外し終えた手が、ブレザーの肩口の下に潜り込み、そっと)
(彼女の肩からブレザーを浮かせ、二の腕辺りまで下ろしてしまう)
(肩口まで晒されていた素肌は、その露出の枷になる衣服を落としたことで)
(ベストとワイシャツをそっと左右に広げるだけで、その露出面積を広げていく)
(自身のスカートを、何かが持ち上げていることを自覚しながら)
(彼女の目の前に立って、ベストも、ワイシャツも、その肌の上を滑らせながら、告げた)
>619
(つるつるの先端、ざらざらの表面、内から感じさせる弾力)
(舌を構成している全ての要素を感じ取り、相手の事を深く知ろうとした)
はあっ……はぁ、んっ……
(息遣いと一緒に舌に吸い付き、小さな音を立てる)
(ねっとりした濃厚なキスを行い、そして唇を離して、銀糸を見守った)
(儚く消えるアーチの下で、手を動かして)
…………ああ………
(秀吉の意図に気付いて、体の動きを止める)
(小さな胸は高鳴っていたが、それ以外は微動だにせず、見守って)
(小さいボタンに指先がかかる。布地が動き、指先に肌が押される)
(動かずにじっと見守る。肌がゆっくりと、晒されていく。それでもただ、
脱衣されていく自分の体を見ていた)
(秀吉の変化に気付いて、小さく微笑む。聖母と呼ぶのは流石に厚かましかったが、
少なくとも女であるようには見える笑顔で)
その言葉は、おまえのものだ。私とお前が並び立てば、百人中九十九人がお前を可愛いというだろう。
私も九十九人の一人だ。でも――
(後ろ手にブレザーをくるませたまま、皺がつくのにも構わずそのままで、後の言葉を継いだ)
お前が、可愛いと言ってくれて――――ああ、いや――
(言葉を探す。シャツの隙間からライトグレーの下着が見え隠れしていた)
(すぐにその全てが、肌の前面が姿を現した。手は後ろにおいたままで、
ふうっと息をついて)
羞恥心は語彙を乏しくさせるらしい。あとに続く言葉が見当たらない。
……良かった。ともかく、私の体がお前を興奮させられるということを、確認できて。
(スカートを突き上げているものに目をやって。半裸の自分などよりも、よっぽど倒錯的なスタイルに見えた)
>>620 ――――あ……ん……
(ベッキィの視線が注がれる先を見て、つい、反射的に動いてしまう)
(風で煽られたスカートを押さえる仕草で、スカートの裾を両手で掴む)
(きゅっと、それを細い内腿の間に挟み込んで軽く足を交差させる)
(重ねた両手の上腕で、スカートを押し上げる姿が彼女の目から隠される)
(スカートを押さえたことで、それを中から押し上げていた器官がスカートに押され、擦れる)
(小さな快感が生まれて、思わず声を上げてしまい、余計に恥じ入る羽目になった)
(既にもう肌は十分に上気していたから、これ以上赤くはならなかった)
(けれど、いつもの肌の色であれば、ぽっと素早くその色が白から赤に染まるのが見れただろう)
(自分で下着姿にした女の子の視線から顔を逸らし、腰をよじって逃れる、というおかしな状況に)
(やっと、服を脱がせていたときに彼女が浮かべていた笑みの意味を理解する)
(不甲斐ない自分の姿に恥ずかしさと、少しだけ、情けない気持ちが生まれ、と拗ねる)
―――「百人中百人にならずに済んだ。ありがとう、木下」
(彼女が悪くないのは十分理解していたが、甘い恥辱に生まれた気持ちの行き場を見つけられず)
(拗ねた子供の軽い仕返しのようなものを思いついて、口にする)
(彼女の声を真似て、彼女が言いそうな台詞を考えて、彼女に告げる)
(言っていて、自分で恥ずかしくなってしまって)
(ああ、自分はつくづくバカだな、と思い知った)
……………もう好きなだけ見てくれればよい……
(「今更隠して」と、少し寂寥感の漂う決意と共に、スカートから手を離す)
(勢いよくスカートが持ち上がるほどの勢いはなく、それはスカートの中身の小ささを感じさせた)
(そのまま、彼女の下着姿を見下ろす。家で姉の下着姿を何度も見ている筈だが、まるで違って感じられた)
(あれほど精力的な人物とは思えないほどに、細い肩だった)
(責任と逆境に耐えることの出来る靭さを秘めている立派な肩で)
(その奥にささやかな願いを秘めている、女の子の華奢な肩だった)
(肩から鎖骨に続くラインに、こくりと小さく喉を鳴らして唾を飲む)
(肩の細さを強調するような細い鎖骨が、なだらかな胸元に続いている)
(ふくらみの大きさは確かにささやかなものかもしれない)
(けれども、その生のままの彼女の姿に、スカートの奥の疼きは止まらなかった)
(ブラに手をかけて、ホックを外す。肩紐を、するりと持ち上げて、肩の上に滑らせた)
――――――
(二人きりのときは、キスをするとき、いちいち断らなくていいと言われていたから)
(ブラが衣擦れの音を立てて滑り落ちた後、自然な動作で体を曲げて、その胸の中央にキスをした)
>621
…………隠せばかえって恥ずかしいぞ。
今さらどうしようもあるまい?
(秀吉の恥ずかしがる仕草を見て、立場が逆転した)
(自分だって恥ずかしい格好をしている筈なのに、さほどの羞恥心は
湧いてはいなかった)
(目の前の相手ほどには。それくらい慌てふためいて見えた)
私の気持ちを代弁してくれたのか? ありがとう、木下。
(くつくつと楽しそうに笑って)
賛辞の言葉は素直に受け取っておく事にする。……せっかくの特技も
使いどころを間違ってはな。次は違う使い方を考えてくれ。
(ひとまとめになった制服から手を引き抜いて、邪魔にならないように放り出し)
私の方では、そんな事言わないからな。間違っても。
金髪のモップは、自分の姿に自信がないんだ。
(姿とのギャップが一目でわかるほどの体の変化)
(そこに興味を惹かれるのは当然だったが、楽しみは後にとっておくことにした)
(胸当ての役目を終えたブラがベッドの上に落ちて――)
(少し高い声で呻いた後、秀吉の後頭部を抱き、髪を撫でる)
……続けて、くれ。ここから、先は……あんまり顔を見られたくない。
(このままされたら、乱れない自信がなかった)
(そのことに抵抗はなかったが、淫蕩にふける表情を見せたくはなかった)
>>622 (驚くほどすぐに、あっけなく逆転してしまう立場が心地よかった)
(弁の立つ彼女にからかわれ、言い込められてしまうと、胸がほの甘い気持ちで満たされる)
(ただ話しているだけで楽しい相手は、友人にもたくさん居た)
(けれども、こんなに穏やかな気持ちになれる相手はいなかった)
(自信がない、という彼女に何か気の利いた台詞を返したかった)
(が、弁舌では圧倒的に劣っている自分ではどうしようもないのも事実)
(小さな迷いを抱えたまま、唇が胸に触れた。やわらかく、唇を受け止める肌)
(熱く火照って火傷しそうな肌から香る彼女の芳香が、強く鼻腔と唇をくすぐった)
(それなら、と、後頭部を抱かれたときに、考える)
――――ベス。
ワシがどれだけ、お主の……体に魅力を感じておるか、感じて欲しい。
(優しく黒髪を撫でる手の感触に瞼を閉じながら、胸の上で吐息と言葉を零す)
(そのまま、唇を動かす。正直、初めての行為なので勝手は分からなかった)
(だからまず、唇で彼女の胸の形を確かめる。触れさせて、離して、また触れさせて)
(胸の上にキスの雨を降らせて、自分の唇の痕が、赤くなるのを時折目を開いて確認する)
(きしりと小さくベッドを軋ませ、両手をベッドにつく。彼女の両腰を、腕で挟む形になる)
(キスをして、キスをして、ふくらんだ乳房の、初めて味わう柔らかさに、小さく腰を震わせて)
(がむしゃらに、真剣に、優しく、丁寧に、執拗に、あの子の胸に唇を押しつけて)
(あの凛々しい声が甘く蕩ける場所を探して、そこを吸い続けた)
>623
(秀吉の言葉が耳の中に届く)
(その響きに真剣さを感じ。言葉自体が大気を震わせて、素肌に当った。
これから起きるであろうことを思うと、背筋がゾクリと奮い立った)
ん、ん………わ、かった……――――うぅ。
(接近距離で胸を観察されて、匂いすらも嗅がれていることに弱弱しさを含んだ
声をあげる。そんな戸惑いの表情が、段々と――)
う、………ぅん、……
(こそばゆさとくすぐったさ。もとより逃げるつもりはなかったが、身動きできないように
両手で腰を挟まれる。そのままキスの雨が降ってきて)
……ぅあ……ぁ……あっ……
(我慢する必要など、どこにもないのだが。
さりとて易い女に見られたくはなかった。秀吉は絶対に、そう思いはしないとわかっていたが)
ん、ん、……ぉぁあっ、ああっ、んぅ――――
(なだらかな胸のふくらみの、その突端)
(目が醒めるほどの朱色の突起に口をつけられると、こらえきれなくなって)
っはぁっ……はっ、はぁぁ…ん…っ。
(顔に手を当てて、ぎゅっと眉根を寄せながら、少しずつ声は大きくなっていった)
あぅ――
(腰が砕ける。柔らかいベッドにその身を預け、表情は両手で覆ったままで)
あ、ぁっ……ん。
>>624 (最初はくすぐったさと戸惑いを多く含んだ声ばかりが聞こえた)
(していることが間違っているのではないか?と何度も慌てそうになった)
(それでもパニックを起こさずに、繰り返し続けられたのは、ずっと、ずっと)
(自分の髪を、身から起きる震えを堪えながら撫でていてくれる手のおかげだった)
(ふくらみの間に唇を這わせて、薄く滲んできた汗をときどき舌で拭う)
(塩辛い筈のそれは、なぜか甘く感じられて、背筋がぞくりと不思議な寒気を覚えた)
(左右の丘陵に均等に赤い痕が刻まれた頃に声が変わり始めていく)
(何かを堪えるようなその声は、耳朶を抜けて胸に届き、腰奥へと抜けた)
(もっと気持ちよくなって欲しい、という想いが膨らんで、先端の周りを舌でくすぐらせた)
(その耐える姿が愛らしい、愛しいという想いが膨らんで、舌でくすぐっていた場所の中央を探らせた)
(我慢せずに、声を出して欲しい、という想いが膨らんで、敏感な突起を口に含ませた)
(聞こえる甲高い声。手が後頭部から離れて、彼女の体が後ろへ倒れていく)
(ばたりと倒れ込んでしまわないように、腰を挟んでいた手を背に添えて、そっと)
(彼女をベッドに横たえると、その姿を身を起こして見下ろした)
(胸にたくさんのキスマークをつけて、顔を覆い、吐息を荒くして乱れたベアトリス・香沼という女の子は)
(木下秀吉という男の子の中に、忘れられない記憶として、焼きつけられた)
…………ベス
………ベスの顔が、見たい
………気持ちよくなってくれた、ベスの……女の子の顔が見たい
(そっと、ベッドの上に乗る。きしりとスプリングが軋む)
(ベッドの縁に横たわった彼女の体の右側に、膝立ちで佇む)
(白い膝と腿がまぶしく覗くスカートが持ち上がっているところが彼女の視線の傍に来る)
(それを隠そうとせず、彼女の視線に晒しながら告げて、両手を、彼女の両手に重ねた)
(嫌がったり、怖がったりするようであれば、すぐに手を離すつもりで身を屈めて)
(その金色の髪にキスをして、上から顔を覗き込みながら、そっと両手で、彼女の両手の覆いを外す)
>625
はぁ、はぁ、はっ、はっ、はっ……
(天井を向いたまま、浅く息をして肩を上下させ)
(短い時間のことだったのに、胸がじんじんとしている)
……いかん。いくらおまえでも、そればっかりは……
最優先の特秘事項だ。いやまだまだこんなものじゃない、
もっと乱れたりもするんだけど、でも今はまだ理性が――あぁ?
(小さく悲鳴をあげた。秀吉のシンボルが目の前に迫っていたから――ではない。
それは確かに異様な光景だった。初めて、秀吉は女装しているだけなのだと
納得ができた瞬間だった)
(でも、相手は秀吉だった。だから、恐ろしくはない。問題なのは、
両の手が重ねられたこと。胸などよりも恥ずかしい場所に当てた手を、
ゆっくりと――――)
(それ以上力をいれずに、手は顔を離れていった。
汗に濡れた額と前髪。垂れ下がった目じりと眉毛。
だらしなくゆるんだ唇。そして艶やかな、発情した女の瞳)
(――おお、神様)
(唇がその形に動いて)
……私ばっかりでは不公平だ。平等の精神に反する。
そうは、思わないか? なあ?
(今の所自分から手を出すつもりはなかったが)
(秀吉が拒否するなら、動かざるを得ないだろう)
(自分は公安委員。秘密を暴き立てるのは、お手のものだ)
(ずっと気になっていた疑問をぶつける)
その、スカートの中なんだが。どうなってるんだか聞いても良いか?
下着的な意味で。……私はさすがに、下着までは用立てなかったからな。
>>626 ………さりげなくすごいことをさらっと言われた気がするの。ん。
(視線が、女性ではありえないスカートの突起に集中しているのが分かった)
(頬の赤味が、もう増しはしないと思っていたのに増していった)
(腰が逃げそうになったが、ここで逃げるのはずるいと思ったので逃げなかった)
(彼女が自分の手から逃げずに、自分のその姿を見て、逃げなかったからだ)
…………………あ………ぁ……
(両手が開く。彼女の表情が露になる。息を呑んで、言葉を忘れた)
(いつものきりりと引き締まった柳眉が下がり、表情を緩やかに彩り)
(蕩けた目尻からはっとするほどの色気を滲ませていた)
(微かに震えて、浅く息を吐く唇の輝きに心臓の鼓動が数瞬だけ止まり)
(濡れた碧の瞳が、光の速さで翠の瞳を貫いて、釘づけにした)
(確かに特秘事項だったのかもしれない。一目見ただけで、動けなくなった)
(呆然と、意味のない呟きと吐息だけが零れる。口許に手を当てて、震えを堪えた)
(そうしないと、目の前の少女の、露になった性的な魅力に、叫び出しそうだったから)
………え!?
あ、ん、そう、じゃが…… っ!? はっ……
(ぎゅっと瞼を閉じて、体の奥底から来るわななきを押さえていると、声が投げかけられた)
(聞こえた声に一瞬遅れて反応を返し、次に、また一瞬遅れて、その意味を理解する)
(スカートの中身を問われて、無意識に内股になって、腿にスカートの生地を挟み込む)
(彼女の顔の近くで、小ぶりな盛り上がりがぎゅっと強調されて、揺れる)
(また、中で擦れた突起の齎す快感に、腰を震わせて小さく喘ぎが零れた)
(あまりにも、万全を期すぎたせいで―――スカートの中は、女性用の下着なのだ)
(気がつけば通販で、自分に合うサイズの白のシルクの、勝負下着を買っていた辺り)
(今に至るまでの動転ぶりが、つくづく身に染みた)
>627
そういった事は聞き流すべきだぞ。
少なくとも口には出さずにおくべきだ。
……本当かどうかは、もうすぐ確認できるだろう。
……どうしたんだ? 呆けたような顔をして。
見たいと思ったんだろう? 感想を言ってくれ、木下。
(よいしょ、と小さな掛け声と共に上体を起こして)
(ベッドの上で膝立ちになると、秀吉を見下ろす)
……そうやって挟み込むのが好きなのか?
最早隠そうと思っても隠せるレベルじゃないぞ。
これでも一応男性の生理はわかっているつもりだ。
一度解放されたくはないか?
(秀吉に判断を委ねるふりをして、一つの方向に話を誘導する)
束縛されたまんまじゃ痛いだろう。それとも、痛いのが好きか?
(スカートの生地に手を這わせる。膨らみには目もくれずに違う部分を触りながら)
お前の下着は、どんなものなんだ?
蓋然性の高い一つの可能性として…………私のよりかは、派手なんだろうな……
(膝立ちのままスカートのジッパーに手をやって、それをゆっくりと降ろす)
(ホックに手をかけて力を加えると、重力に引かれてスカートは落ちていった)
(グレーの無骨なショーツが姿を見せる。機能性第一の、シンプルなもの、だった)
【まだ途中ではあるのだが、そろそろ……】
【眠くなってきた。そちらさえ良ければ、また凍結して欲しい】
>>628 あ、うむ、すまぬ……
ひゃぅ? あ、ん、うむ………
その、色っぽいすぎて……
わけもなく、叫び出しそう、じゃった……
(不意に変わった空気に、一度だけしゃっくりのような声を漏らして)
(求められるままに、感じたままの気持ちを、なんとか言葉にする)
(20年にも満たない人生の中で、女の子の表情にアレほど強い感情を覚えたことは、なかった)
や、好きというわけではなくての……
うう、でもあまり大きくはないから、頑張れば隠せるかもしれぬではないか。
いや、頑張ってどうするという話なのじゃが………っ!?
(すっかり、立場は逆転してしまっていたらしい)
(それを残念だとは思わなかった。思った方がよかったのかもしれない)
(会話の主導権を握られる。いつもより熱の帯びたベッキィの声に羞恥を煽られる)
(話題を操られたまま、その会話の流れにつられて答え、間接的な誘導に言葉が詰まる)
(その一連の流れに、へなへなと、心のどこかが腰砕けになっていく)
(端的に言って、リードを譲った安心感と、強気なベッキィの姿に)
(もう何をされてもいい、という気持ちが沸き起こり始めていた)
い、痛いのは好きでは、ない……………
(―――「と、思う」)
(あろうことか、小さな声でそんな台詞が漏れた)
(スカート生地を触る手の平に身じろぎはしても、腰は逃げない)
あ……………
(目の前で、膝立ちのベッキィの細いウエストからスカートが滑り落ちていく)
(そんなことを気にしている状況ではないというのに、つい慌てて目を逸らして)
(けれど、横目でその姿を伺ってしまう。ほっそりとした足先の上に、稜線を描く下腹部と)
(ショーツに包まれた、彼女の恥丘の姿があった。こくり、と唾を、飲む)
(先に見せられては、自分も見せないわけにはいかない。ずるい、と思った)
――――――うぅ………
(けれども、その言葉は口にしなかった。代わりに膝立ちのまま、きちんと向き合う)
(同じ要領でスカートのジッパーを下ろし、ホックに手をかけて、チェック生地を引き下ろす)
(ベッキィを唯一違うところは、その前部がある突起物に引っかかりながら落ちていった点で)
(細かな刺繍の施された、少し高級な白のシルクレースの下着に包まれ)
(下がるスカートの合わせて下を向いていた突起が、くんっと上向き、彼女の前に露になった)
(大きさは、平均より一回りか二回り、小さい。体格が小柄なことを差し引いても、小ぶりな部類だろう)
(それでもそれは、シルクレースの下着を元気よく、押し上げて、精一杯、性別を自己主張していた)
(上質の絹の生地の中では、色素の付着という概念を失ったかのような初々しい白さの、男性器が)
(桃色の先端を、きゅっと半分ほどその白い皮膚で包んで、規則正しく律動していた)
(まるで恥ずかしがる素振りもなく下着を晒すベッキィの姿に比べて)
(恥ずかしさで消え入りそうになり、小さく震えている自分の姿は、ちっぽけに見えた)
>>629 【ああ!? ……すまぬ、リロードミスじゃorz】
【うむ、了解じゃ。ワシは全然、かまわぬよ】
>631
【いや、私もタイミングを誤った。もし逆の立場でも、
私も気付かなかっただろう】
【それはそれとして、助かる。
次回の予定は、また避難所ですり合わせよう】
【近い内に予定は書いておこう。……今はちょっと、眠いんだ……】
【それでは、お先に失礼する】
【お休みなさい】
>>632 【了解じゃ。遅くまで頑張ってくれてありがとう、ベス】
【今はゆっくり休んでおくれ。それではの。おやすみ、ベス】
【長々とスレを使わせてもらって感謝する。では、スレをお返しするの】