阿部「ほら三橋、俺特性のおにぎりだぞ」

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946潔癖症
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(空白)

学校を休む。お腹が痛くて、だるくて、頭の中がほわほわした。お母さんが仕事を休んで看病してくれる。
携帯が鳴る。メールが届く。きっと野球部のともだちから。
分かっていたけれど、差出人をろくに確認もせず消去。一斉消去。ちらっと、「田」の字が見えた。もう消してしまった。受信フォルダの中はからっぽになった。
夕飯前になって誰か来る。阿部君だった。野球部の誰一人もメールの返事がなかったから、心配してくれたみたいだ。阿部君は優しい。阿部君は優しい人なんだ。
部屋に入るなり、阿部君。
「こんな汚ェ部屋で寝るから病気すんだよ!」
部屋を片付け始める。ふわっと埃が舞う。窓を開けて、換気。埃がきらきら光って見えて綺麗。
粗方片付け終ってから、阿部君。
「……悪ィ。病気で寝てんのに余計なことした」
阿部君は優しい人だ。悪気があってやった訳じゃない。何気無い優しさ、気遣いが心にしんみり拡がっていく。
ありがとう阿部君、明日はダイジョウブ。
そのまま、阿部君にはうちでご飯を食べてもらう。阿部君は遠慮していたけれど、お母さんと二人っきりで食べる時より楽しく食べれた。
玄関までお見送り。阿部君が帰った後、バケツを用意する。中には水。掃除用具入れから漂泊剤を持ってきて、半分くらいバケツに入れた。プールの臭いがする。清潔そうな感じがするので、この臭いは好きだ。
漂泊剤と水を混ぜた液体で雑巾を洗う。その雑巾で部屋中を拭く。阿部君が触っていたところは、特に念入りに。何度も何度も拭く。
気が付くと手が真っ赤になっていた。
少し、かゆい。