阿部「ほら三橋、俺特性のおにぎりだぞ」

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562「片恋」
※鬱注意 

エロ風味がチョッと残ったので深夜投下
週明け投下宣言と終了が多くて俺涙目

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オレは少し距離を取る事にした。

鏡を見ると、首筋の跡はとても目立つ。
コレに大きな絆創膏なんて如何にもだけど、貼らないよりはずっとましだろう。
なるべく見ないでいたい。見れば、あの時の感覚全てを思い出してしまう。
皮膚に受けた感触と焦燥と恐怖と体の奥で疼く何か。
帰りのバスの時間迄、オレは
病院のトイレの中で、上がった息を整えながら硬くなったものを1人で処理をした。

阿部くんは昔の記憶こそ無いけれど、戻り始めたばかりだ、混乱しているんだ、
そう思い込む事でオレは自分を落ち着かせる。
誰かに相談できる? 出来ない、今のオレにはとても出来ない。

オレは翌日行くかどうか大いに迷った。
結構、長期に入院していたので荷物が多くて
翌日の退院に向けて片付けたいんだけれど、
おじさんが得意先の接待旅行の最終日で日曜日は来られないから、
男手が一つでも多いと助かるって、おばさんにそう言われて、
一度はOKの返事をしてしまっていた。
・・・・用事が入ったからなんて断ったら不味いよね。
オレひとりじゃないもんな、オレは自分にそう言い聞かせて手伝いに行く事にした。

オレが病室に着いた時、
おばさんと阿部くんの弟くんが片付けるのに何が必要かを話し合っていた。
オレは軽く会釈する。
おばさんと弟くんも合わせて会釈してくれたが直ぐに話に戻っていった。
阿部くんがオレを見ている。
オレは目を外しておばさんと弟くんとの話しに入ろうとする。
阿部くんがつぃと歩み寄り、オレの左手を掴もうとする。
オレは左手を振り上げ言った。
「いけない よ、 もう、外じゃ誰も手を掴んでいたり しない よ」
思いのほか大きな声が出てしまった。おばさんと弟くんがギョッとした。
阿部くんはキュッと唇を噛んで、今迄していた作業に戻っていった。
オレもおばさん達の話に入っていった。
その日はそのまま片づけをして
阿部くんとは一度も口をきかずに家に帰った。