阿部「ほら三橋、俺特性のおにぎりだぞ」

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258名無しさん@ピンキー
空気読まずに投下
阿倍×三橋 エロはまだない

三橋を呼ぶたびに息が詰まる。
三橋に触れるたびに胸が熱くなる。
今まで感じた事もないような、ひどく懐かしいような、
嬉しくて、哀しくて、言葉にできないものが胸に迫る。
三橋の名前を呼びたい。怒鳴るようないつもの声じゃなく、
怯えるアイツを安心させてやれるような、もっと穏やかな、優しい声で。
三橋の手を握りたい。あの冷たい、華奢な、
マメだらけでボロボロになった手をもっとちゃんと温めてやりたい。
三橋を抱きしめたい。あの細い肩を背中を抱きこんで、
俺の名前をまるで祈るみたいに真摯な声で呼ぶあの柔らかそうな唇に口付けたい。
呼んで、触れて、抱きしめて、口付けて、境が分からなくなるほど近くに行きたい。
ぐちゃぐちゃに解け合って、身体も心も一つになるくらいに。
もう二度と、二度と離れないように。

「阿倍くん、お、お茶…っ」
三橋が持ってきた漆塗りのお盆の上に、汗をかいたグラスが2つ。
バランスが悪いのか、レモンティーの水面が今にも零れそうに揺れている。
マウンドに立つ三橋の髪は、光が当たると時々こんな透き通った鮮やかな色になる。
「あーもーさっさと置け、つかなんでわざわざお盆に載せてくんだよ
手で掴みゃ楽だろうに」
「う、えっ…」
「ほらとっとと座れよ。数Tだろ、何ページ?」
「えっ、よっ、48、から…」
雨が降っている。今日は部はミーティングだけの日で、俺は三橋の家にいる。
別に艶っぽい理由じゃない。単なる家庭教師役だ。
今日の数学の授業で、三橋は当てられた問題を答えられなくて課題を出された。
俺はそれを手伝いにきたのだ。
三橋は、はっきり言って頭の回転が良くない。
けど、曲がりなりにも私立中の授業を受けてきたわけだし、
ちゃんと一般入試突破して入学してきたんだから破滅的に酷いわけじゃない…だろう、
多分。
三橋はきっと、物事を理解するのに人の二倍も三倍も時間の掛かるタイプなのだ。
でも、三橋は努力する事を厭わない…というか、
努力する事を苦にするそぶりがまったく無い。少なくとも野球に関しては。
でも、こういうのは気質が関係してくるものだから、基本的にそういう性質なんだと思う。
時間を掛けてじっくり丁寧に向かい合って教えれば、本当は大抵の事はできるんだろう。
俺らは野球が生活を支配しているから、なかなか成果が上がらないのだ。
田島ほど堂々としちゃいないだろうが、コイツも授業中
ウトウトしていることが多いに違いない。
船漕いでガクッとなってビクッとする様子が目に浮かぶ。
三橋のムホービな寝顔を9組の不特定多数の奴らが見てるのかと思うと…
…ちょっと、いや、大分ムカつく。
合宿所で見た眠る三橋の顔は、可愛かった。
真っ白な頬が日焼けで赤くなってるのがちょっと痛々しくて、
でも、今までの緊張が解けたみたいに穏やかな顔をしていた。
ちょっと半開きになった唇に誘われてうっかりキスしそうになったりしたけど、
指で触れそうになったところで理性を総動員して耐えた。
起こしたら可哀想だったし。