ニシウラの街に淫魔が出没して、男たちの精気を吸い取る悪さをしているのだという。
精気を吸い取られた男たちは奥さんや恋人との夜の営みに無気力になってしまったため、
方々で喧嘩が絶えない有様だという。ニシウラの平和の危機だ。
事態を案じた街の領主が、淫魔退治のために勇者オレテガの息子である俺とその仲間達を呼び寄せたのは、
夏も終わろうかという頃だった。
「淫魔を退治すれば金貨100枚か。いい仕事だな」
「俺たちの実力を以ってすれば楽勝だな」
「ねえ、淫魔ってエロいこと大好きなんだよね? 倒す前に楽しもうよ」
「よせよせ。魔物のアソコに突っ込むなんてゾッとするぜ。猫耳ならともかく」
発言は順に勇者の俺、戦士のケンナイ・ジョーイ、僧侶のキモデブ、魔術師のガリオタ。
俺たちゃ見てくれこそアレだが、指先一つで魔王をボロ雑巾にするくらいのレベルだ。
適当に駄弁りながら歩くうちに、目的の建物が見えてきた。
大昔、邪宗の信徒が使っていたという廃院だ。今は淫魔の根城になっている。
「感じるよ。魔族の気配がビンビンだぁ。僕のチンコも勃ってきちゃった」
前かがみになりながらも片手にホーリーシンボルを掴んでキモデブがいう。
「よし、俺とジョーイが突っ込む。キモデブとガリオタは後からついてきて援護してくれ」
全員が頷くのを確認して、俺は剣を抜いた。ジョーイも斧を構える。
「いくぞ!」
俺の号令一下、俺たちは廃院に突撃した。