『も もしもし…?』
「俺だよ、俺俺。」
電話越しの声は高くもなく低くもない若い男の声だった。
失敗だ。ターゲットはやはり老人に限る。
『俺 くん…?』
電話を切ろうとした俺の耳に少年の声が続いた。
俺くん?って言われても俺には答えるすべがない。
早く切ろう。そう思ったはずなのに俺はいつもの習慣からかその質問に答えていた。
「そう、俺。」
『どうし たの?俺 くんから、電話 なんて 珍しい ねっ。』
電話越しの少年は嬉しそうに言った。
それにしても‘俺’なんて名前の奴がいるなんて驚きだ。
『ク クラスの、用事?』
どうやら少年は俺をクラスメートの‘俺くん’と間違えているようだ。
いつもならこの勘違いを喜ぶべきなのだが、相手が相手だ。全く嬉しくない。
早く次のターゲットへと切り替えよう。そう思って受話器を置こうとした。
『お 俺 くん・・・?』
のに俺はそれができなかった。受話器越しの少年の声は俺の心を掴んでしまったようだ。
少したどだとしいその口調と声音が俺の下半身に何かを訴えている。
『息 が 荒い けど、だ だいじょ ぶ…?』
「あ、あぁ…。」
どうやら俺は興奮して鼻息を荒くしていたようだ。
言っておくが俺にそんな趣味はない。俺は女の子が大好きだ。
大好きだったはずなのに…。
俺のチンポは見事に声の主に反応していた。
『ほんと に 平気?』
心配そうな少年の声。聞くからに純情で大人しそうな感じだ。
そこで俺はいい事を思い付いた。
「い、いや、実は俺病気なんだ。」
『えぇっ!?』
「今も苦しくて苦しくて。はぁはぁ…。」
『きゅっ、救急車!お おれ、すぐに 電話する よ!」
「いや、平気だ。今からお前が俺の言った通りにしてくれさえすれば。」
『ほんと に?おっおれ、何でも、する から、何でも 言って!』
かかった。俺の顔にはいつものように獲物を釣り上げたときの笑みが浮かんでいたことだろう。