阿部「三橋、オレは…三年間お前に大根おろす!」

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76名無しさん@ピンキー
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ショックは多分、彼女ができたという話を聞いた時より酷かった。
しかも、また人伝なのか、ということがさらにオレの中で湧き上がった感情を膨らませていく。
なんて呼べばいいのかわからない、位置付けの難しいもやもやしたそれを抱えたまま放課後の部活に向かう。
三橋の話を聞いたのは昼休みのことだったから、気分的にもだいぶ落ち着いたつもりだったんだけど。
部活が終わって、改めて三橋の顔を見てみたらまたむかむかしたものが湧き上がってきた。
こんなふにゃふにゃの顔をした奴が女を抱いたって?
どんな女を彼女にしてんのか知らねえけど、パッと見はその辺の女なんかよりもよっぽど女くさいこいつが?
三橋がなんつうか、なよなよしてるっていうか、女みてえなのはどっちかっていうと外見だけで、中身が意外と男らしいやつなことはオレも知っている。
夏大の公式戦とか、それだけじゃない。
色んなところでこいつのそういう強さみたいのものに助けられてきたオレが、一番よくそのことを知っている。
なのに、最近の三橋にはオレの知らない部分が増えてきた。
つうか、それに合わせて男のプライドみたいなものがオレのもやもやをさらに膨らせているような気がする。
今は野球の方を大事にしたいし、三橋みたいに彼女を作る気はオレにはない。
だから、まあオレは童貞のまんまなのに三橋はもう童貞じゃない。
頭の中でそれらの単語を並べてみると、半端ないイライラがオレを身を包み込んだ。
今日は鍵当番だったから、着替えの遅い三橋を待っていて、そうでなくても普段からイライラさせられるような状況。
でも三橋相手には我慢強くあろうと決めているオレはその感情を押し込めたままじっと三橋の着替えを眺めていた。
ユニフォームの下はそりゃ日焼けしなくて当たり前なんだけど、それでも剥き出しになってる部分とかもあまり焼けてない、白い肌。
やっぱその辺の女なんかよりも綺麗なんじゃねーの、とか。
そんなことを思いながらぼんやり見てた。
「あ」
「え?」
突如オレがあげた声に三橋が気付いて振り向いた。
ちょうどアンダーシャツを脱ぎ捨てたままの体勢で。
うっかりオレが気付いてしまった、うなじに程近い首筋のあたりにあった赤い痕はもう見えないけど、オレの目にははっきりと焼き映った。