阿部「三橋、オレは…三年間お前に大根おろす!」

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542ゴキブリの子

デート、阿部視点
※ゴキブリ注意


見た目なんて関係ねえ!俺が好きなのは三橋だ。
そう意気込んで、ゴキブリになった三橋に勢いで告白したはいいものの、俺はやっぱりまだ覚悟をきめられずにいた。
帰り道、隣で手を絡ませられたときのあの不快感は今でも忘れねえ。
いや、コイツは何も悪くないんだけど・・でも昆虫(しかも多分ワースト1位)と手を繋ぐ感触って、マジできもちわるいぞ。
セックスなんて考えられねえし、キスなんてものも考えられない。
一緒にいるだけでマジで不快になる。
でも、そのエグイビジュアルに耐えかねて目をつぶれば、いつもの三橋の声と雰囲気だけが残って、
ああ、やっぱり一緒にいたいって思ってしまう。一緒にいたいけどいたくない。すげえジレンマ。
そんなある日、三橋が土曜日に遊ぼう、って言ってきた。
ずっと、片思いだったヤツからデートのお誘いだ。しかも相手はあの三橋だぞ?
あの三橋が、オレのために勇気を出して誘ってくれたんだぞ?
でも、全然嬉しくねえ!
俺は、今度こそボロが出るんじゃないかとヒヤヒヤしながらも、誘いを断りきれずOKしてしまった。
でも、あとから考えてみたら、ここは何が何でも断っておくべきだったと思う。
中途半端な覚悟は相手を酷く傷つけることになるから。

そして土曜日当日。
三橋を待ちつつ、街角でもらったホットペッパーを眺めていると、
ドンッと誰かがぶつかってきた。
あっぶねえな!と思ってそいつをみてみると、俺の胸元にはでっけえグロテスクな茶羽ゴキブリが!・・・・と思ったら三橋だった。
不意打ちに思わず叫んでしまった。
なんて怖い彼女だろう。
でも、心配そうに「ごめん、ね!」って謝ってくる姿は、変わり果てた姿とは言え、やっぱり三橋っぽくてなんか泣けた。