阿部「三橋、オレは…三年間お前に大根おろす!」

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223シュガシュガ☆れーん
☆前回までのあらすじ
魔法使いレンレンは大事なものを盗んでいきました…それは、キモデブの欲望です。

三橋が初めてのハートを取ってからまた数日のこと。
百聞は一見にしかずとはこのことで、おぼつかないながらも
やっと三橋にもちょこちょこハートが取れ始めていた。

(…えっと、中村くん、は 取っても取って も、次の日 に、は またオレンジ出てる!
調子のっ て、毎日毎日取ってた ら、入院しちゃった…気をつ け、なきゃ
今日は、石油王さんに、出会い頭か ら赤いのが、取れました。アッターミがど う、とか…
よく、わかんな かったので、すぐ、取っちゃっ た、赤。ウヒッ。)
自分なりにどうすればハートを取れるかを考えるために三橋は日記をつけていた。
出会った人や、ハートが出た場合それはどんな時であったか。
ようやく、人間界での過ごし方が理解でき始めていた。性格は相変わらずであったが。
(あ…あ、べくんは、いつもウゼェっ、て顔してくる…正直、コワイ)
同じクラスの阿部は、偶然にも何度か鉢合わせるがその度に睨まれる。
多分うざいと思われているんだろうな、と三橋はぼんやりと思った。
しかし、ハートが出てくる、つまり自分を嫌わない人間もいる、そのことがとても嬉しかった。
(で、も、俺まだ、自分、じゃ、紫と、オレンジしか と、れて…ナイ)
その人間の気持ちの誠実さからか、強大な力を持つ赤やそれに次ぐピンクは、
未だに三橋にとっては手の届かぬものだった。今日偶然手にした赤は全くの偶然である。
叶はいくつか、既にピンクを手にしていた。
風の噂で、何度も女子生徒に告白されていることを聞いた。
それは三橋と違い彼が人気がある、ということを言わずとも示していた。

(…やっぱ、修ちゃん は、スゴイ、ん だ)
ふう、とため息をついて出窓から夜空を見上げる。きれいな満月だ。
その時不意に、外から声がした。ここは二階だ。こんなこと、人間に出来るはずはない。