阿部「三橋、オレは…三年間お前に大根おろす!」

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182一つ屋根の下の・・
>>148

今度はどこ探してもパンツは見つからなかった。
オレ、確かにちゃんと洗濯籠に入れたの確認したのに。変なの。
それからも、パンツがなくなってしまうことが何度か起きた。
パンツだけじゃない、靴下や、ランニングシャツも何枚かなくなっている。
その度にお母さんに怒られて、オレはちょっと悲しくなってきた。
どうして、なくなっちゃうんだろう。

それから数日たったある日、その日の部活の練習がハードでクタクタだったから、ふかふかのベッドの上に倒れこみたくなって、
リビングに寄らずに真っ先に自分の部屋に入った。
部屋の中は真っ暗なのに、ドアノブを捻ると、中でガタッという物音がした。
な、なんだろう・・?怖い。
慎重に、ゆっくりドアを開く。暗い部屋の中に廊下の明かりがちょっとずつ差し込んだ。
その明かりに照らしだされたのは、弟だった。
オレはびっくりしてうひゃっ、と変な声をあげてしまった。だってまさか部屋に人がいるなんて思わなかったから。
「あ、お帰りお兄ちゃん。」
「ど、どうし・・オ、オレの部屋・・っ」
「ごめんね、ハサミ借りたくて勝手に入っちゃったんだ。居候のくせに、ずうずうしいよね・・。」
弟はしゅん、って顔をしてそう言った。
あ、余計な気を回させちゃったかな・・。居候なんて思わなくていいのに。
オレはとりあえず急いでハサミを道具箱から取り出して、弟に手渡した。
弟はにっこり笑ってありがとう。って言った。
「お兄ちゃんも、借りたいものがあったら遠慮なく俺に言ってね。」
そう、優しい顔で言って、自分の部屋に帰っていった。い、いい子だ!