http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1189279219/215 「あ、べくん、もびしょ濡れ、だね」
もぞもぞと三橋が動く度にオレは何度もこの場で身を捩って逃げようかと考えた。
理性を押し通す為にはそれが一番いい判断なんだろうってことはわかる。
けど、同時にあらぬ誤解も招きかねない。
それを心の中での言い訳にしながらオレは躊躇していた。
さっさと離れりゃ良かったなんて後悔する瞬間はもう目の前。
「脱がない、と、風邪引く、よ。阿部くんも」
この状況をどこか三橋は楽しんでいるような、そんな感じがした。
そういや朝にもドキドキするだとかそんなことを言ってたな。
単にガキみてえな心境でそう言ってたんだろう。
だがオレは別の意味でドキドキせざるを得ない。
ぺたり、と水に濡れた音がする。
オレにくっついたまま三橋がくるりと前に回って、首を傾げた。
返事がないからどうしたのかと思って――多分それだけの仕草なんだろうけど。
「うあっ!」
なんとか顔をあげようとして、半分手で覆い隠した瞬間、外で轟音が鳴り響いた。
部室の中が一瞬眩い閃光に包まれて、それから嫌な音がする。
ばしん、という音と共に部室の中が真っ暗になった。
「て、停電……?」
「……」
停電したのはむしろオレにとって好都合なはずだった。
視覚的な誘惑が消えるから。
水に濡れたままの服とか、さっさと脱げばいいのに三橋はそのまんまで。
……そのまんまの体勢でオレを押し倒しやがった。
いや、押し倒されたってよりも、三橋が驚いてぶつかって、一緒に倒れたってだけ。
今度は背中じゃなくて、胸同士が触れ合うような位置にある。
今日何度目かわからない柔らかい感触。
視覚的な誘惑は消えたけど、そのかわり脳が変な想像をしてしまうようになった。
三橋の白い肌、吸い付いた赤い痕、ぷっくり膨れた乳首、小さいのに弾力のある胸。
浮かんでは消えていく光景を消そうとかぶりを振ろうとしたけど、上手く動けなかった。
両頬を三橋に、なぜか押さえつけられていて。