>>59 三橋はリビング、キッチン、風呂場、トイレ全ての鍵をチェックした。
リビングは1箇所あいていた。キッチンの小窓も1つあいている。閉め忘れがないように三橋は入念に家の中を回る。
閉め忘れたところは本当にないだろうか?落ち着かない。
明日は、家から絶対出ない。誰か着ても外には行かない。早く月曜日になってほしい。
三橋は机の上でもう一度手紙を見た。「0」としか書かれていないようだ。
裏を見ても透かしてみても0だけ。前のような暗号分ではない。
ふ、と封筒に目をやると。何か小さく隅に書かれている事に気付く。
本当にひっそりと書かれたそれは、明日の日付だった。
明日の日付だと認識した瞬間鳥肌が立った。
明日、絶対に来る。どうしよう。
誰か、助けてくれる人。事情を知ってる人はいなかっただろうかと考えふと思い出した。
沖君。
俺を助けてくれた後、一体彼はどうなったんだろうか。
なんで俺を助けてくれたんだろう。いつから知ってたんだろう。
…なんで教えてくれなかったの。
ここまで考えて、自分が酷く自己中心的な事を考えていることに気付いた。
沖は助けてくれたじゃないか。結果はどうであれ、彼はあまり自己を主張するタイプではないと思う。俺が言うのもなんだけれど。
その彼が勇気を出して助けてくれた。
…沖なら、助けてくれるだろうか。
三橋はぎゅっと携帯を握った。
その晩、三橋は眠ることが出来なかった。
小さな物音、木の葉が揺れる音。全てが恐ろしくて、目をつむることができない。
誰かに、頼ればよかった。家にいなければよかった。今夜も明日もあさっても両親はいない。
沖へは「今日の事、教えてほしいんだけど」とメールを送ったのだ。
しかし帰ってきたメールは「えっ、何かあった?」と信じられないものだった。
もうだめだ。
逃げられない。閉じ込められた。