田島「三橋ー!イこうな!天国」

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729名無しさん@ピンキー
>>725 

田島がさらに力をこめようとしたそのときだった。
「いてっ!」
田島がうめき、水谷から突然手を離す。
「ぐっ・・げほっげほっ・・」
息が大量に気管支に入り、激しく咳き込んだ。
激しい自分の咳の音の合間に、バシッと肉をたたく音が耳に入った。
「・・噛み付きやがったな・・。」
三橋が倒れている。
バシッという音は三橋をたたいた音だったのだろう。
田島は憎しみに満ちた目で三橋を見つめた。
「ご、ごめんなさ・・」
水谷は、田島が三橋の方を向いている隙に、手にしたバットを振りかざした。
(今度こそ・・)
水谷のバットは今度こそ狙い通り、田島の後頭部に直撃した。
「ぐっ・・」
田島が床に崩れ落ちる。
(もう一度・・!)
もう一度振り上げようとしたとき、床に倒れている三橋と目があった。
ひどく、悲しそうな顔をしてこっちを見ている。
(なんなんだよ・・?)
水谷はバットを頭には振り下ろさず、かわりに強く田島の鳩尾を蹴った。
腹を押さえてうずくまる田島の横を通りすぎ、三橋の元に近づく。
そして、ブルブルと震える三橋に、いまいましげにバットを振り上げた。
ヒッ、という声を上げて、三橋は目をつぶり、身を縮める。
しかし、水谷はまたもバットを振り下ろさず、床に投げた。
カランッ・・という音を立てて転がる音がする。
三橋はゆっくり目を開き、水谷を見上げた。
「・・・み、ずたに・・くん?」
「逃げないの?」
「・・・・・・・・」
「逃げられないのか。」
そう言うと、水谷は三橋の腹を蹴った。
「うっ・・」
「目障りだよお前。何してんの?
俺はもうお前の味方じゃないって言ったじゃん・・。」
三橋は何も答えない。
ひたすら怯えた顔をして、水谷を見上げる。
「ほらその目、俺のこと怖いんでしょ?なんで助けてんの?」
「・・・・・・・・・・」
そのとき、背後で何かが動く気配がした。
水谷は咄嗟に三橋の腕を掴み、ドアの外へ突き飛ばした。
「えっ・・!?水谷くん・・」
「目障りだからさ、さっさと俺の目の前から消えろよ、淫乱。」
そう言って視聴覚室のドアをピシャッ閉める。
慌てて振り返ると、そこにはバットを手にした阿部が笑いながら立っていた。
「阿部・・・・。」
「水谷・・今度は俺がお返しするよ。」
そう言って、阿部はバットを振り下ろした。何度も、何度も。
頭や肩、腹など全身に鈍痛が走る。
水谷は激痛で薄れ行く意識の中、未だ逃げずに、外からドアをたたいているバカな友人のために、
視聴覚室の鍵を閉め、ゆっくりと意識を手放した。