阿部「三橋、腰振る投手は、大嫌いなんだ…!」

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167名無しさん@ピンキー
その2。今日はここまでです。


誘拐2


何度も体当たりして、ぶつけた体がジンジン痛んだ。
疲れて、怖くて、へたりこんで泣いていると、ガチャッという鍵の開く音と、
誰かが家の中に入ってくる音が聞こえた。
「あっ・・」
怖い。もう、出来れば二度と思い出したくない。でも顔を見たら嫌でも思い出してしまう。
三橋は辺りを見渡した。なんとか、見つからないように隠れられないか?
しかし、部屋に隠れるような場所はなかった。
三橋は仕方なく、急いでベッドの上に乗り、布団をガバッと被って精一杯身を縮めて震えていた。
キィッ・・と板が軋む音がして、中に誰かが入ってくる。
「廉、廉・・起きてるの?」
(やっぱりそうだ。あの人の声だ・・!どうしようどうしよう怖い怖い怖い)
体はもうどうしようもなく震えていた。
荒い息遣いが、あの時のことをよりいっそうリアルに思い出させた。
「廉?いつまでも寝てちゃダメだよ。」
ググッと布団が強い力で引っ張られる。三橋はなんとか端を内側から掴んで、引きはがされるまいと耐えた。
(だって顔・・顔を見ちゃったら・・)
しかし、少しの攻防ののち、突然ものすごい力を加えられ、布団が引き剥がされた。
冷たい外気がスーッと青ざめた顔に触れる。
「あ・・・っ」
(見たくない見たくない!)
三橋は男に背を向けたまま、部屋の隅まで這った。
「廉?久しぶりに会えたのに。恥ずかしがってるの?」
ギシッ、ギシッ、巨体によって床が軋む。
(こないで・・)
そんな悲痛な思いは届かず、三橋はグイッと肩をつかまれ、無理やり後ろを向かされた。
視界に入ってきた男の顔は、やはりあの時とまったく変わっていなかった。
「廉、会いたかったよ・・。」
「ひっ・・・あ・・あ・・」
そのとき、水がチョロチョロと流れる音とともに、内ももにジワッという生暖かい感触が伝わった。
独特の匂いを放つ液体が太ももを通り、スカートに黒い染みが浮かび上がる。
しかしそんなことも、今の三橋には気にならなかった。