阿部「三橋、ちゃんと俺が開発してやるって」

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717俺と三橋のときめきメモリアル・1
エロトークで盛り上がり中、空気を読まない俺参上。


「おはよー、三橋」
 いつものように声を掛けると、三橋がくるりとこちらを振り返った。チョコボみたいな
黄色いふわふわの髪の毛が揺れて、朝日を浴びてキラキラと光る。
 そうしてこちらを見た三橋は、ぱちぱち、と二、三度目を瞬かせてから、
「お、はよっ」
 しゃきっと背筋を伸ばして挨拶を返してくる。おお、今日は何だか元気だ。いつもは
もうちょっとこう…自信なさげっていうかオドオドしてるっていうかそういう感じなんだけど。
「き、今日も、練習?」
「…あー、うん」
「ま、毎朝、す、ごい、ねっ」
「そんなの、三橋もだろ?」
 俺の言葉に、三橋が顔を赤らめて「うひ」と小さく笑う。ちくしょう。かわいいなあ。
 にしても、今日はホントにテンション高くないか?
「なんかいいことでもあった?」
 そう尋ねると、三橋はまた目をぱちぱちぱちと瞬かせてから、恥ずかしそうに俯いて
口を開いた。
「あ、のね…あの、昨日、練習試合…」
 そういえばそうだった。応援行きたかったんだけど、俺も部活の練習があって
見に行けなかったんだよな。で、こんだけ機嫌が良いって事は当然――
「勝ったんだよな?」
「ウ、ウン! 勝った、よ! ノ、ノーヒット、ノーラン、で」
 ノーヒットノーラン!?
「マジで!? すげーじゃん!」
 野球はあまり詳しくない俺だが、ノーヒットノーランくらいは分かる。あれだ。一本も
ヒットを打たれないってやつだよな。練習試合とはいえ、マジでそんな事やっちまうなんて
凄くねえ?
 しかし褒められた三橋はといえば、何だか恐縮しまくりって感じで縮こまった。
「す、すごいのは阿部君、と、みんな、で、オ、オレ、は…」
「んなことねーよ! お前だって凄いって! ああ、もちろん他の奴らもさ」
 と、最後にフォローを入れたのは、俺が野球部思いだったから――という訳では
もちろん無く、ここで三橋だけ褒めてもこいつはますますちっちゃくなっちまうだろうなと
思ってのことだった。どうも、三橋は褒められると嬉しさよりも申し訳無さが勝っちまう
みたいだからなあ。俺としては三橋の事だったらもう褒めて褒めて褒め殺したいくらい
なんだが、そんな事したらホントに死んじまいそうなんだもんコイツ。
 そんな俺の涙ぐましい努力が功を奏したのか、三橋は顔を赤らめながらも上目遣いで
こちらを見上げてくる。
「あ、ありが、と!」
 そう言った三橋は、花のような笑顔を浮かべていた。
 うあああああああ! ま、眩しい。眩しすぎるぜその笑顔…! 朝の太陽なんて
もう勝負にもならないくらいの目映さ。なんつーのかなあ。子供がホントに喜んでる時
みたいな純粋な笑顔っていうの? そんな感じ。ああ、お前はこんなにもキラッキラに
ピョアいやピュアだっていうのに…スマン三橋。俺はそんなお前を思い描きながら
昨夜も(以下自主規制)してしまいました。ホントにサーセン。…ってまあ、反省したところで
どうせ俺の事だから今夜もまた同じような事しちまうんだろうけど。ていうかむしろ
この笑顔のおかげで今夜は更にヒートアップみたいな。マジでサーセン。
718俺と三橋のときめきメモリアル・2
 …という、ケガレた妄想を三橋に知られる訳にはいかないので、俺は思考の方向転換を
すべく口を開いた。
「あー、見たかったなノーヒットノーラン。今度応援とか行っていい? って、練習試合に
応援とか変か…」
「そっ! んなことない、よっ!」
「うわっ!」
 その声に、というより三橋が叫んだことに対して驚いて、俺は思わず固まった。三橋は
そんな俺の様子にハッと固まってから、もじもじと俯く。
「…き、きてくれ、たら、う、れしい…」
 そして、上目遣いでこっちを見ながら、消え入りそうな声でそう言った。
 うれしい、うれしい、う れ し い…その三橋の言葉が、リフレインして俺の耳に
こだまする。ああ神様ありがとう。賽銭奮発しまくるから来年の正月は期待していてくれ。
もう俺今なら空も飛べるはず。そりゃもうマッハ5くらいで。
「ご、ごめ…、オレ、図々しいこと、言っ…」
 気がつけば、三橋がしゅーんと小さくなっていた。俺が我を忘れてぼんやりしてた所為で
何か勘違いをさせちまったらしい。
「んなことねーっぺ! じゃなくて、ねえって! 俺もその、お前の応援できたら嬉しい、し…」
 うわあ。興奮しすぎてつい方言出ちまった。しかもなんか、めちゃめちゃ恥ずかしい事
言ってないか俺。
「ほ、ホント、に?」
「ああ、ホントホント! だから、今度試合やるとき教えてくれよ。絶対見に行くからさ」
「ウ、ウン!」
 目をキラキラさせてこくこく、と頷く三橋。ああああ、可愛い。河合卓(誤変換…じゃない、
可愛すぐる。朝からこんなに幸せで良いのか俺。一生分の幸せ使ってないか俺。実は
これは夢で一秒後には金ダライが落ちてきて目が覚めるとか無いよな俺。
「そ、したら、オレ、も」
「ん?」
 三橋がまた伏し目がちになりながら小さい声で何かを言っている。俺は何気なく
聞き返しながら、一言たりとも聞き逃さないように全神経を耳に集中させた。
「オ、レも、応援、行っても…」
 お、応援? 応援って言った? マジで?
「来てくれんの!?」
「あ…う、め、めいわく、じゃ…」
「じゃないじゃない! 迷惑じゃない!」
 俺は思わず三橋の手をギュッと握りしめた。瞬間、三橋が「うぉっ」っと叫びながら硬直する。
 しまった。バカか俺は! 投手の大事な手を握ったりしちゃ駄目だろ!
「ご、ごめん三橋! 俺思わず…っ!」
 慌てて力を抜いて、三橋の右手を取りまじまじと見つめる。とりあえず見た感じは
何ともなってない、みたいだけど…ああ、くそ。俺のバカやろう。
「だ、だいじょう、ぶ」
「ホントに? 痛くないか?」
「う、うん。い、たくない、よ」
 そう言って貰えてようやく安心できた俺が顔を上げると、何故だか三橋は真っ赤になって
俯いていた。 うわ、え? 何? 何ですかその恥じらいオーラは。そんなふいんき(何故か
変換ry出されたら俺期待しちゃうよ? ていうかむしろ今がチャンス!? 今ならもしかして
肩を抱き寄せてちゅー位はオッケーな感じ? そうなのか!?
 ヤバいくらいに心臓がドカドカと鳴っている。三橋にも聞こえてんじゃないかってくらいに。

 そして俺は、三橋の肩に手を掛け

――番組の途中ですが、一部地域の皆様とは(ry