【パンプキン】オーランド伍長萌えスレ【シザーズ】

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1名無しさん@ピンキー
サー!伍長萌えッサー! 必要なのは伍長への愛だけだ!
戦災復興目指して健気にがんばる大型犬、伍長を愛でよ!

相手が、女でも、男でも、獣、戦車、薬物、拘束具、拷問具でも可
ほのぼのネタ、おっぱいネタ、妊娠・搾乳ネタ、
被験体ネタのグロ陵辱など鬼畜ネタまで幅広く
萌えを語り、SSを投下せよ。

アニメ公式サイト
http://rikujyo3ka.com/
2名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:10:30 ID:???
どれほど萌えが多様化しカテゴリが細分化されても
どうしてもどこにも分類されないボーダー上の萌えがあるわけで、
思い切って立てさせてもらった。
お気に召したら保守よろ。
3名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:12:39 ID:???
まさか2m越えの兄ちゃんに萌える日が来るとはね…
4名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:15:59 ID:???
1乙!ありがとう
5名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:16:51 ID:???
これまた、少尉ともいいコンビなんだよなあ
少尉は典型的なツンデレで、本当は伍長に思いを寄せてるし
自分でその気持ちに気づかないだけなんだよね
6名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:22:58 ID:lGeWXOWA
>>1
スレ立て乙!本当にありがとう!!
これからどんなSSが投下されるのか…
ハァハァしながら全裸で待ってる!!
7名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:23:37 ID:???
ごめん…いきなりageちゃった…orz
もちつけ、俺…
8名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:24:09 ID:???
ごめん…いきなりageちゃった…orz
もちつけ、俺…
9名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:26:59 ID:???
本当にもちつけw

元々上から五番目にあったものを上げただけだし、
大丈夫だと思う
107-8:2006/11/10(金) 20:32:16 ID:???
うん、あわくって連投までしちゃった…。
本当にごめん…w
ところで、
数字板の伍長萌えの姐さん達も、ここに誘導したほうがいい?
前に男×伍長のSSを読みたいって人が何人か居たし。
11名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:37:00 ID:???
数字板こそ男×男の本拠地だし、「誘導」っていうとちょっと変かな?
宣伝というか、こんなスレできましたって報告するのは良いことだと思うな
12名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:40:29 ID:???
「報告」も変か…「お知らせ」とか…うーん
このスレにぎわうといいね
13名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:52:38 ID:???
>>11
数字板では男×男なら、受が伍長じゃなくてもいい雰囲気。
いわゆるオレルド×マーチス派とかも共存してる。
だからオレルド×伍長とか、マーチス×伍長とか
むしろ伍長総受で思いっきりハァハァしたい数字板の姐さん達にとって
ここはパラダイスになるんじゃないかと思うんだ。
14名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:53:29 ID:???
ここは誰か×伍長、もしくは伍長×誰かにハァハァというよりは伍長単体に萌える感じ?
15名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 20:58:37 ID:???
数字板からは、向こうでも行き場を失っていたっぽい
少尉男体化派の人が来てくれるかも?
ちょっと楽しみ。
16名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 21:01:44 ID:???
少尉男体化orフタナリ化も、ここではおk?
171:2006/11/10(金) 21:04:04 ID:???
せっかく立てたのだからなんでもアリにしたい。
ルールはだんだんとできていくだろう。
事前に注意書きすればどんなSSでも投下できるような
懐の深いスレになってくれれば嬉しい。
18名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 21:04:20 ID:???
この板来るの初めてだから、私もノリとかルールとかよくわからない。
周りを見るとけっこうカオスみたいだし、好きにしていいんじゃないの?

ダメな点気をつける点あったらどなたか指摘してくださいお願いします。
1918:2006/11/10(金) 21:05:13 ID:???
おおっと
1さん失礼しました
20名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 21:10:06 ID:???
>>1乙!
この板初めてなんで、ちょっと他の男キャラ萌えスレ覗いてみたがスゲーwww
萌え方がハゲシスwwwwwwww
21名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 21:25:56 ID:???
これでおっぱいネタも存分に語れるぜ
つか、OPの伍長からして感度よさそう
22名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 22:05:24 ID:???
とりあえず、様子見でSS投下してみます。
様子見…でいきなり、何なのですが…。

『男体化少尉×伍長』

です。嫌いな方は注意して下さい。
少尉の言葉遣いはまんまなので、あんまり違和感なかったり…w
ただ、少尉が馬鹿っぽいのは勘弁して下さい…orz
書いてる本人があんまり軍隊に詳しくないので、カコイイ少尉が書けません。
23男体化少尉×伍長1:2006/11/10(金) 22:06:26 ID:???
 私の名はアリス・L・マルヴィン。女のような名前だが、列記とした男子である。
 帝国陸軍情報部第三課“パンプキン・シザーズ”の隊長で、階級は少尉だ。
 今日も一日、帝国の戦災復興のために働いた。大した事件もなく、滞りなく任務は遂行でき
たと言えよう。
 ハンクス大尉、オレルド、マーチスの准尉二名、ステッキン曹長、オーランド伍長の帰宅と、
マーキュリー号の犬舎への移動を見送り、私は今一人、執務室に残り、今日の任務の報告書を書いている。
 停戦から三年も経つと言うのに、この国が犯されている“戦災”という名の疫病の猛威は少
しも衰えることはなかった。市井(しせい)の者たちは職もなく飢えている。野党と化した元兵
隊どもが起こす騒ぎが絶える日はない。物資も滞り法外な値段で闇市で売買される。
 強盗、殺人、麻薬売買、誘拐、強姦……、数え上げればきりがない。とにかく今この国は、
世の中のありとあらゆる悪と呼べる所業が蔓延しているのだ。
 誰もが平等で豊かで、不条理な悲しみに泣くこともない、命が尊厳される国――そんな素晴
らしい帝国にすべく、私はまだまだ頑張らなくてはならなかった。
「よし、こんなものか」
 報告書を書き上げた私はペンを置き、帰り支度を始めた。書き上げた報告書をハンクス大尉
の机の上に置いて、荷物をまとめて執務室を出ることにした。
 うむ、今日も一日我ながらよく働いた。多少の力不足は否めなずに口惜しい思いもするが、
日々を大切に邁進していこう。
 いつも通りの一日が終わり、明日もいつも通りの一日が始まるのだから、焦りは禁物だ――。


          *

 執務室を出た私は制服から私服に着替えるためにロッカールームへと向かった。
「ん?」
 室内へ入ると伍長のロッカーがわずかだが開いていることに気づいた。
 そう言えば、あのロッカーは扉が閉まりにくいのだったな。ちゃんと修理してやらなければ。

 そんなことを思いながらちゃんと扉を閉めようとしたとき、ロッカーの中に伍長の私服がか
かっているのが見えた。
「うん? 伍長はまだ残っていたのか?」
 しかし伍長は帰ったはずだ。執務室を出て行く伍長を私は確かに見ていた。
 とは言うものの、報告書を書き上げてしまうのに夢中で、伍長が帰宅したという確証はない
のだが……。
「執務室の明かりはもう消してしまったな。戻って来たら伍長が寂しがるだろうか……」
 そんなことを考えながら伍長の私服を見ているうちに、私の胸の内にいけない考えが湧き始
めていた。
 駄目だ――でも、ちょっとだけなら……。
 私は誰もいないロッカールームを見回した。ドアが開く気配もないし、廊下を誰かが歩いて
いる気配もなかった。
 伍長のロッカーの中に手を差し入れる。彼がいつも着ているハイネックセーターの袖口をそ
っと掴んだ。柔らかい感触が掌を包んでくる。
 胸が高鳴る……。
 私はハンガーからセーターを外し、肩口を手で持って自分の顔の前に広げてみた。
「うわ、こうして見ると、やはり大きいな……」
 名前が女のようなら、体つきも華奢で顔も女顔の私。
 そのことを士官学校で仲間たちにからかわれていた私から見れば、伍長は私が羨むものを全
て持っているような気がする。
 天を衝くほどの長身、柔和だが男らしい顔立ち、筋肉に包まれた逞しい肉体……。
 胸がときめいて、わけの分からない高揚感に満たされて行く。
 着古したセーターだった。ところどころ色も褪せている。軍隊から給料は出ているはずなの
に、伍長が新しい服を着ているのを私は見たことがない。
(故郷の家族に仕送りでもしているのだろうか……――)
24男体化少尉×伍長2:2006/11/10(金) 22:07:19 ID:???
 私は伍長のことを何も知らない。知っているのは伍長が戦時中“901ATT”という特殊部隊
に所属していたということ、そして今は橋の下でホームレス生活をしているということ、それ
から肉が食べられないということだけだ。
 伍長がどこで生まれ、どこで育ち、どんな子供時代を過ごしてきたのか、私は何も知らない。
私は伍長のことを、もっと知りたいと思う。その欲求は日々強くなっていく……。
 目の前に垂れ下がる大きなセーター。伍長の広い背中、逞しい胸……。あの太い腕の中に女
を抱いたことがあるのだろうか。愛しい人はいるのだろうか……――。
 伍長が他の女と歩いているところを想像したら、急に切なさがこみあげてきた。
 我ながら不甲斐ない……。
 思わず泣きそうになって、伍長のセーターを胸にかき抱き、顔を埋めた。
(私は男色ではなかったはずなのに……)
 洗い立てだったのだろう、石鹸の香りがする。それに混じり微かに漂う、伍長自身の匂いが
私の鼻腔をくすぐった。着古して柔らかくなった繊維が、頬に心地良かった。
 体は誰よりも屈強だが、本当は臆病な伍長。誰よりも心根は優しく繊細で、誰よりも傷つき
やすい。それなのに、伍長は私の背中を守るために満身創痍になって戦っている。
 私の背中を、守るために……――。
 そこに特別な感情はあるのだろうか。あくまでも伍長は任務を滞り無く遂行させるため、部
下として上官を守っているだけなのだろうか……。
 いかに私が女に見間違われる容姿をしていようと、私は立派に男であり、伍長もまた男。
 同じ男同士で、上官と部下以外の感情があろうはずもない。
 少なくとも伍長にしてみれば……。
「伍長……、ランデル……」
 伍長の匂いに顔を埋め、彼の本名を囁いたとき、私の股間がズキッと疼いた。
 ああ……私は……、私は……。
 股間に手をやると、私のそこはすでに硬く張りつめていた。
 伍長の匂いが私を狂わせる。股間が猛り、下着の中で窮屈そうに頭をもたげていくのが感じ
取れた。
 ――駄目だ……!
 理性がそう叫んでいる。こんなのは間違っている。こんな行為は、伍長を辱めることに他な
らない。上官としてそんな行為は許されるものではない。
 だがしかし、私の欲望は確実に理性を押し退けて行く。
 伍長の肌はどんな感触なのだろう。伍長の匂いはどんな匂いなのだろう。
 汚い欲望に支配されていく私の脳裏に、伍長の笑顔が甦った。あの少し寂しげで、それでい
て人懐っこい笑顔が。純粋で澄み切った綺麗な笑顔が……。
“少尉”
 伍長が私を呼ぶ声。まるで親が子を慕うような、嬉しそうで安心しきったあの声。
「……伍長」
 私は我知らず、自分の股間を制服の上からさすっていた。息が荒くなる。顔が熱く火照って
くる。
 私の正体を知ったら、伍長はどう思うだろう。男同士でありながら、部下としてではなく特
別な目で見ていることを知ったら、彼は私のことを軽蔑するだろうか。
 私は服の上から触っていることだけに我慢できず、ファスナーを下ろした。
 下着の布地に締めつけられて苦しかったそれを引きずり出した。
 私のペニスはすでに硬く張りつめ、天を向いてそそり勃っていた。先からはすでに透明な液
の雫が糸を引いて垂れていた。
 私はついに欲望に逆らえずに、己の陰茎に手を伸ばした。
「…はっ、伍長……、んんっ……」
 どんどん昂っていく熱に冒される脳裏に、伍長の声が甦る。のんびりとした暖かみに溢れた
声。声質は大人なのに、話し方や雰囲気の中に、どこかしら不安げな幼さと純潔さを保った、
あの低いハスキーボイス。
“俺が会ったのは――パンプキン・シザーズの『少尉』だから”
 私は伍長を抱きたい。気違いじみた感情だということは重々承知している。だが、これが私
の本当の気持ちなのだ。
“だから……、少尉を守りたい”
25男体化少尉×伍長3:2006/11/10(金) 22:08:22 ID:???
 あの岩のような巨躯を抱きしめ、傷だらけの背中に腕をまわし、広い胸に顔をうずめて胸の
突起を口に含んだら、伍長はどんな反応をするだろう。敏感なのだろうか、それともやはり伍
長らしくちょっと鈍いのか。
“だって俺はパンプキン・シザーズの『伍長』だから”
 お前はどんな顔をして乱れるのだろう。どんな顔をして悦ぶのだろう。
「…っ、ごちょ……ぅ、伍長……」
“はい……、少尉!”
 切なさで胸が張り裂けそうだ。伍長はあんなにも純粋に私を慕ってくれているというのに、
私はこんなにも醜い欲望を伍長に抱いている。
「んっァ、伍長……っ、はぁッ……」
 私はセーターを胸に抱きしめ、媚薬にも似た伍長の匂いを胸いっぱいに吸い込みながら、片
手で欲望を絶頂へと導いて行く。
 駄目だと頭の片隅で理性が叫んでいたが、もう止まらなかった。
「伍ちょ……、あっ、あ、ラ…ラン……デル……っ、……ッあ、イク……っ、イクぅッ!」
 昂りが絶頂へ達し、私は自身の手のなかに自らの熱い精を解き放った。
「ひ……! あっ……ん! んんッ……!」
 ドクッドクッとそこが脈打ち、私は腰をひくつかせながら数回に渡り射精した。
 どろりとした白い液体が自身の左手を汚しているのを見た途端、私の中に叫び出したいほど
の罪悪感がドッと襲ってきた。
「はぁっ……、はぁ…、あ……私は……なんてことを……――」
 凄まじい快感に頭がぼぅっとしていた。視界が霞んでいた。
 だから私は今まで気づかなかった。
 私は目を疑った。体の熱が一気に冷め、私は凍りついた。
 ロッカールームの戸口に、伍長が立っていた……――。
 誰かに嘘だと言って欲しかった。これは夢だと言ってほしかった。
 だがそこに立っていたのは紛れも無い伍長。伍長は驚愕に目を見開いていた。凍りついたよ
うに立ち尽くし、手淫に耽る私を見ていたのだ。
「伍ちょ……――」
 私が呆然と彼を呼ぶと、青ざめていた伍長の顔が一転して真っ赤に染まった。
「伍長……違うんだ、これは……っ」
 この期に及んで、私は無様に言い訳しようとした。どうしたって言い逃れできる状態ではな
いのに。私は一物を露出させ片手を精液で汚し、伍長のセーターを胸に抱いているという、そ
んな最悪な現場を見られてしまったのに。
 私が手を伸ばすと、伍長がビクン! と全身を揺らした。脅えているのが一目でわかった。
「違うんだ、私は……」
 私はお前を傷つけたいわけじゃない。汚したいわけじゃない。
 そう言いたかったが、私がやったことは伍長を傷つけ、汚してしまった以外の何ものでもな
かった。
 伍長が今にも泣きそうな顔で、じりじりと後ずさり始めた。膝がガクガク震えているのが見
えた。
「待ってくれ、伍長、話を聞いてくれ……!」
 伍長は踵を返した。膝が笑って言うことを利かなかったのか、走り出してすぐに転びかけた
がなんとか体勢を立て直し、伍長は暗い廊下を駆け去って行った。
 遠ざかる伍長の重い足音を聞きながら、私は全ての力を失って、その場に座り込んだ。
 伍長のセーターの裾に、私自身が放った精液がわずかに飛んでいたことに気づいた。その途
端、猛烈な嫌悪感が襲ってきた。
 ――汚らわしい!!
 私は自身の愚かさに臍を噛む思いだった。
 ――私は何をやっているんだ! 汚らわしい!! 最低だ、私は!!
 伍長を傷つけてしまった。裏切ってしまった。
 私は自らの手で、守りたいと思ったあの笑顔を汚し、陵辱してしまったのだ。

 いつも通りの一日が終わり、いつも通りの一日が明日もやって来る。伍長の笑顔を見れる明
日が。そう思っていたが、私はそれを自らの手で壊してしまったのだ――。
2622:2006/11/10(金) 22:09:17 ID:???
とりあえず、ここで一旦切っときます。
まだまだ導入部でセクースシーンにまで行き着いてませんが、
あくまでも様子見ってことで、反対意見がなかったら続きも投下します。

SS投下なんて初めてなもので、至らない所があったらすみません。
27名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 22:10:40 ID:???
早速GJ!
少尉の男体化には本当に違和感ないし、伍長がヒロインチックでいい感じ
続きを期待してます!
28名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 22:20:16 ID:???
GJ!この先どうなるのかwktk
30到達前にSS投下とは幸先の良いスタートだね
29名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 23:33:25 ID:???
乙。
ただ、もうちょっと、テンプレをちゃんとやって欲しかった。
数字とエロパロの方のスレを貼るとか、
(まぁ、自然とそういう流れになるだろうけど)猟奇系とかは、先に内容を知らせる旨を書くとか・・・・
30名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 01:17:23 ID:???
>>22
イイヨイイヨー(゚∀゚)
続きが楽しみだ
少尉の男体化ってはじめて見たけど
違和感無さ過ぎる・・・
31名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 01:19:07 ID:???
GJ!!導入部で既に伍長ハァハァ
>29まあ、まだ始まりだしさ
3222:2006/11/11(土) 01:19:30 ID:???
レスくれた人、d!
初めてのSS投下な上に、男体化だったのでかなりドキドキしてましたが
こんな懐の深いスレを立ててくれた>>1さんに感謝です…!。・゚・(ノД`)・゚・。
後半部分は今書いてます。
もうちょっとかかりそうなので、気長にお待ち下さい。
他の方もどんどんSS投下してくれると嬉しいな〜。
3322:2006/11/11(土) 04:00:43 ID:???
>>23-25の続きです。

**************
『男体化少尉×伍長』です。
嫌いな方は注意して下さい。
**************

思いの他、早く書き上がったので
人のいないご迷惑にならないこの時間帯に
一気に投下しちゃいます。
出来る限り推敲したつもりですが、
誤字脱字、表現のおかしなところがあったらすみません。

簡潔に文章をまとめられる才能が欲しい…orz
やたら長い上にベタな展開、すみません……;
こんなもんでも楽しんで頂ければ幸いです。
34『男体化少尉×伍長4』:2006/11/11(土) 04:02:09 ID:???
 もう死んでしまいたいと思った。
 伍長が思う以上に、私自身が守りたいと思っていた伍長にあんな場面を見られた私は、皇帝印
を戴いた宝刀で首を掻き切りたいという衝動に駆られた。
(いや……死ぬ前にやることがあるではないか)
 そう、死ぬ気になればなんでもできるのだ。
 私は最初こそ伍長に見られたくない姿を見られてしまったショックで立ち直れそうになかった
が、時が経つに連れて持ち前の前向きさを取り戻していた。
 死ぬ気になって伍長に会って、話をしよう。言い訳だろうが、開き直りだろうが、謝罪だろう
が、この際なんでもいい。私は伍長に会って、話をしたいと心の底から思った。
 このまま逃げ帰り、うやむやにしてしまうのは私の信条に反する。伍長が迷惑だとか気持ち悪
いとか思っているのなら、はっきりとそう言わせたい。その上で私は何もなかったように、これ
からも伍長に接して行こうと心に決めた。
 ただの上官として……――つらいけれど、これ以上、伍長を傷つけるのは嫌だから。

          *

 私は未だに残る嫌悪感と罪悪感に苛まれながらも、自ら放ったものの後始末を素早く済ませ、
私服に着替えた。
 念のために執務室に戻ってみたが、明かりはついておらず、伍長の姿もなかった。
 まさか制服のままで帰ったのだろうか……。
(私のせいだな……)
 ズシンと肩が重くなる。
 あんな現場を見てしまったら、今日のところはロッカールームへは近寄れないだろう。それに
伍長のセーターは……私が汚してしまった……。
(セーター……買って返そう……。いくら洗濯しても、あんなもので汚れてしまったセーターは
二度と着る気にはなるまい)
 私は伍長の家を訪ねようとして、ふと気づいた。
 そう言えば、私は伍長の家を知らなかった。
 書類棚へ駆け寄り、隊員たちの名簿を調べて見た。
 ……あった。
 ランデル・オーランド。現住所……――○○通り……橋の下。
「…………橋の下?」
 はて、橋の下などという住まいがあるのだろうか。そのような街の名前は聞いたことがない。
それに番地も何もないのはどういうことだろう。
 私は何度も頭をひねって考えたが、そこがどうやら下町らしいというのまでは推理できたが、
それ以上のこととなるとサッパリだった。
 こういうときオレルドがいれば重宝するのだが……。
 しかしもうオレルドは帰宅してしまっているし、とにかく○○通りとやらに行ってみよう。
 私は伍長の住所をしっかり頭に記憶させ……いや、記憶しようと意識しなくても、あまりのイ
ンパクトに一発で憶えてしまったが……、名簿を元通りにしまうと執務室を後にした。

          *

「今日は寄る所がある。すまないが先に帰っていてくれないか」
 送迎馬車の御者に私がそう伝えると、御者は目を丸くした。
「何を……若様! もう遅うございます。第一、どうやって帰ってこられるのですか?」
「案ずるな、馬車なら他にも……――」
 言いかけて、私はふと口をつぐんだ。
「若様……?」
「いや、もしかしたら今日は帰らぬかもしれん。父上にはご心配召されぬよう伝えておいてくれ」
「え、ちょっと若様! 若様?!」
 そう、私の決意は固いのだ。たとえ徹夜になろうと、伍長の本心を聞き出してみせる。
 多少自虐的になっているかもしれないが、このままお互い心にモヤモヤしたものを抱えたまま
では、これからの任務にも支障をきたしかねんからな。
35『男体化少尉×伍長5』:2006/11/11(土) 04:03:11 ID:???
 私は戸惑いをあらわに引き止めようとする御者の声を無視し、夜の街へと歩き出した。
 とりあえず汚してしまったセーターの詫びだ。
 近くに目についた衣料品店へ入り、伍長のサイズに合いそうなセーターを探した。サイズがサ
イズだけに何軒かの服屋を渡り歩く事にはなったが、なんとか伍長に合うサイズを見つけること
が出来た。
 伍長の家があるらしい“橋の下”と言う妙な番地のある通りは、庁舎から歩いて十五分ほどの
場所にあった。たった十五分ほどの距離だというのに、この辺りには庁舎周辺では見かけないホ
ームレスの姿が目立った。
(伍長はこんなところで暮らしているのか……)
 今更ながらに伍長と自分の身分の違い、環境の違いが身に染みてくる。不意に体の芯から寒さ
に襲われた気がして、私はブルッと肩を震わせるとコートの衿を立てて再び歩き出した。
 しばらく歩くと右手に運河が見えた。
 前方に橋があった。橋の上で二人の浮浪者が炊き出しを行っていた。両手でブリキのカップを
包んで持ち、冷えた体を温めるようにして背中を丸めてカップに入った何かを啜っていた。
(橋があるのだから、“橋の下”という番地もこのあたりだろうか)
 私は二人の浮浪者に歩みよった。
「すまぬ、ちょっと訊ねたいのだが」
 私服姿ではあったが、私に対し、浮浪者たちはいかにも“場違いだな”と言うように不審気な
眼差しを向けてきた。
「この辺りに“橋の下”という番地はないか?」
 浮浪者たちが怪訝そうに顔を見合わせた。
 そしてそのうちの一人、ニット帽を被り顔に無精髭を生やしたいかつい顔の男が目をすがめて
私を見た。
「あんた何だ?」
「人を捜しているのだ。背が高く、顔に傷がある男だ。黒髪で瞳は蒼い」
 無精髭の男が警戒心をあらわにした顔で、ちらりと橋の下を見やった。そしてもう一人の、首
からタオルを下げた痩せた男と目を合わせ、私を一瞥してから目を逸らして言った。
「さあ、そんな奴ぁ知らねえな」
 嘘だとわかった。先のこの男の視線が、私に答えを教えていた。
 橋の下を見ると、欄干の下にちょうど人が生活できるぐらいの歩道らしき物が見えた。その影
に大きな人影がうずくまっているのが見えた。
「なるほど……橋の下というのは番地の名前ではなく、そのままだったのだな」
「あっ、おい、あんた!」
「そっちにゃあんたの探してる男なんていねぇよ!」
 血相を変えて浮浪者の二人が私に駆け寄ってきた。階段を降りようとした私の前に立ちはだか
り、行く手を阻んだ。私は一気に頭に血が昇るのを感じた。
「退け!!」
 私は男たちを一喝した。男たちが怯んだ隙を見計らい、乱暴に間をすり抜けて階段を駆け下り
て行く。
「伍長! ここにいるのだろう!?」
 橋の下の人影がビクリと全身を揺らし、慌てて立ち上がった。
 私が下へ到達するのと、伍長が橋の下から出てきたのは、ほぼ同時だった。
「しょ……少尉……」
 泣きそうな伍長の顔が、私の胸を刺した。私が伍長を傷つけたというのに、まるで伍長が私を
傷つけでもしたような顔だった。
 私は真っすぐに伍長を見据えた。私は覚悟してここまで来たのだ。お前ももう逃げられんし、
逃がすつもりもない――そう決意を込めて。
「おい、あんちゃん大丈夫か!」
 先ほどの浮浪者が私の後を追って来た。伍長はどうやら“あんちゃん”と呼ばれ親しまれてい
るらしい。それがなんだか妙に癪に障った。
「何かひでぇことされたんじゃねぇか!?」
「あ……いえ、そんなことは……」
36『男体化少尉×伍長6』:2006/11/11(土) 04:04:10 ID:???
 浮浪者二人に思いっきり心配されてしどろもどろになっている伍長を見て、私は腹が立った。
 なんだまるで姫扱いじゃないか。気持ちがわからんでもないが……しかし!
 伍長を守っていいのは私だけだ!!
「――伍長!!」
「はっ、はいッ!!」
 条件反射なのだろうか、私が一喝すると伍長はピンと背筋を伸ばして気をつけの姿勢を取った。
「この者どもに言ってやれ! 私はお前の上司だと! 私はお前の少尉で、お前は私の伍長であ
ると! お前を守り気遣っていいのは、この私だけだとな!! 鬱陶しい、何があんちゃんだ! 
馴れ馴れしくするなと言ってやれ!!」
 あたりを静けさが圧し包んだ。
 伍長が呆気に取られたような顔で私を凝視している。
 私は伍長の鈍い反応に苛立ち、思わず怒鳴った。
「なんだ!」
「あの……少尉……」
「私が言ったことを早くこいつらに言わんかッ!」
「いえ……あの……聞こえてると……思います……」
 伍長の言葉のとおり二人の浮浪者は「バカバカしい」「ただの痴話喧嘩かよ」などと呆れた顔
で階段を上って行っていた……。

          *

「本当に橋の下に住んでいたのだな……」
 私は伍長の“家”に初めて招待され――と言うか私が乗り込んだのだが――、お茶をご馳走に
なっていた。紅茶でもないコーヒーでもない、それはホットミルクだった。
「そう書いてたはずですが」
「うん、でも私はてっきり番地の名前かと思ってな……」
「少尉らしいですね」
 焚き火を挟んだ向こうにいる伍長が、静かに声を立てて笑った。
 胸がキュンとなった。
 あんな恥ずかしい場面を見られたというのに、伍長にとってはこれ以上はないほどおぞましい
現場を目撃しただろうに、伍長は何事もなかったかのように接してくれる。もしかしたら、あれ
は夢だったのではないかと錯覚さえしそうなほど自然に。
 だけどあれが夢でなかったことは、未だに制服のままの伍長の姿が物語っていた。
「少尉、寒くないですか? もう少し火の傍に寄って下さい」
「うん……。隣に……行くぞ」
 私は伍長の答えを待たず焚き火を迂回し、隣に座った。
 伍長がわずかに緊張を漲らせて身を引いた。だが伍長は逃げなかった。
 本当は逃げ出したいだろうに、それが伍長の優しさであり、また残酷なところだと私は思った。
 声もなく、交わす言葉もなく、私と伍長はただ黙って目の前で赤々と燃え盛る焚き火を見つめ
ていた。そんな私たちを遠巻きに野良猫たちが見ていた。
「もしかして……あれはお前の家族か?」
 私が訊くと、伍長は目をぱちくりさせた。そして私が指差す猫たちを見て「ええ」と微笑んだ。
「寒い日は一緒に寝てます。暖かいですよ」
 キレイな笑顔で伍長は言った。
 どきんと心臓が高鳴って、私は耐え切れずに視線を逸らした。
「すまなかった……」
 あれだけ勇んでここまでやってきたのに、私が言えたのはたったそれだけだった。
 伍長からの返事は無い。
 横目でちらりと伍長のほうを見ると、伍長は顔をうつむけたまま唇を噛み締めていた。
 ええい……玉砕覚悟でここまでやって来たのだ。今更怖がってどうする!
 私は自分を奮い立たせるようにうなずくと、ここまで持って来た荷物をたぐり寄せた。
「お前の服、持って来たぞ。制服のままで寝るわけにはいかぬだろう」
「……すみません」
37『男体化少尉×伍長7』:2006/11/11(土) 04:05:02 ID:???
「うん……、それからな、お前のセーター……汚してしまったからな……。その……新しいセー
ターも買って来た。気に入ってくれるといいのだが」
 瞬間、伍長の顔が月明かりでもわかるほどにカァッと真っ赤に染まった。
「あっ……う……、その……っ、そ……んな、気を使ってもらわなくても……」
 なんだろう……。伍長が焦れば焦るほど、不思議と私は冷静になっていく。
 だが冷めていくのとは違って、動揺や困惑や罪悪感が薄れ、代わりに愛おしいと思う暖かい気
持ちが強くなっていく。
「お前を傷つけてしまったな……、すまなかった伍長」
 伍長がハッとしたように顔を上げた。私の顔の上で視線が泳ぎ、伍長はあえぐように口を開く。
「いえ、少尉……! 俺……何も見てませんから……! 何も……!」
「残酷な嘘をつくな、伍長。お前は私の無様で愚かな姿を見ていた。お前の名を呼び、お前のこ
とを想いながら、手淫に耽る姿を――」
「やめて下さいッ!」
「やめぬ! お前にどう思われようが、構わん! この際だからはっきり言おう!」
「ダメです、やめて下さい!」
 聞きたくないと言うように伍長は耳を塞いで、嫌々をするように顔を横に振った。
 私は思わずカッとなって、伍長の両手首を掴んだ。無理やり手を耳から引き剥がし、私は鼻先
も触れ合うほどの距離まで伍長に顔を近づけた。
「嫌ならばこの手を振り払え! 私を押し退けろ! それぐらいのことお前になら容易かろう!
だから聞け伍長! 私は……私はお前が好きなんだ!」
「ダメです少尉! それ以上は――」
「聞けと言っているだろう!! これは上官が部下を想う気持ちなどではない、友情でもない。
 私はお前のことを抱きたいと思っている、お前が愛しい……」
 伍長がハッとしたように目を見開いた。直後、伍長の顔が泣き顔に歪んでいく。
「愛おしくて胸が張り裂けそうで……たまらないんだ。お前への想いは私を愚かにする……。
だからあんな無様な醜態を晒してしまったのだ……。すまない……すまなかった伍長……」
「少尉……っ」
 伍長が声を潤ませていた。頬の上を涙が零れ落ちていく。
「聞きたく……なかった……」
 伍長が涙に咽びながらつぶやいた言葉に、私の胸は切り裂かれたように痛んだ。
「そうだろうな……。うん、そうだろう……。こんな愚かで醜い、私の本心など――」
「聞かなかったら……俺も気づかない振りしていられたのに……」
 そうだな、お前だって私への気持ちに気づかない振りをしていられ……――
「えっ?」
 それじゃ何か……? 伍長も私のことを……――?
 私は呆然として声を殺して泣きじゃくる伍長の顔を見つめていた。
「伍長……お前……」
「すみません、ごめんなさい少尉……、俺……俺は……汚い……」
「な、何を言ってるんだ! お前が汚いなら私はどうなる!」
「いいえ、いいえ少尉、部下として少尉の背中を守るなんて言って……俺は……少尉にいけない
気持ちを抱いていたんです……! ごめんなさい……、ごめんなさいっ…!」
「バカ……お前、それは……――」
 私にとっては何にも代え難い歓びだぞ!!
 ぐすぐす泣きじゃくる伍長が可愛くてたまらない。さっきまでは玉砕覚悟で、この世の終わり
だとさえ思っていた状況は私の中ではすでにはるか彼方の過去のことになっていた。我ながら現
金だと思うが、今のこの嬉しいという浮き立つような気持ちに歯止めをかけることは不可能だ。
 私は伍長の両手首を握りしめたまま、そっと伍長に口づけた。
 伍長がビクンと肩を揺らした。私の手を振り払おうとしたのを感じ、私はさらに握る手に力を
込めた。伍長の動きが止まった。代わりに唇が少しだけ震えていた。
 伍長の唇は思った以上に柔らかかった。筋肉におおわれた鋼のような肉体の中で、ここだけが
まるで別の生き物のようだ。甘美な感触にくらくらする。頭と下半身の一点に一気に血液が集中
していくようだ。
 優しくしよう。そう思っていたはずなのに、私は堪え切れずに舌先で伍長の唇を割った。
38『男体化少尉×伍長8』:2006/11/11(土) 04:06:10 ID:???
「ふッ…ん……!」
 伍長がビクリと体を揺らした。
 下唇を吸い、上唇を舐め、舌先で伍長のそれを絡めとる。次第に息が荒くなっていく。私も伍
長も。伍長も私と同じ熱さを感じているのだろうか。
 そう思うと嬉しくなって、私はどんどん貪欲になって行った。
「しょ……ぃ……、苦し……」
 顔を背けようとする伍長の顎をつかんで引き戻し、また無理やり唇を奪う。すでに掴んでいた
伍長の手首からは手を離し、私は自由になった両手で伍長の体をなで回した。
「んんッ……、ん……」
 分厚い生地で作られた制服の上からでもわかる、伍長の肉体の線。私の手が体に触れるごとに、
伍長は小さく声を漏らし、ピクンピクンと体を震わせた。
 私はいつしか伍長の太腿の上に跨がっていた。貴族であることも忘れ、隊長であることも忘れ、
上官であることも忘れ、私はただの雄になり果てて行く。伍長の詰め襟のホックを外し、上着の
前を開けた。あらわになった首筋に私は吸いつく。
「あっ…う!」
 伍長が喉を反らせ、また声を漏らした。伍長は耳まで真っ赤になり、目には涙を潤ませている。
 驚いた。伍長はなんて感じやすい体質なんだろう。鈍いどころかこんなに敏感だなんて…!
 私はもうたまらなくなっていた。股間のものはすでにズボンの中でいきり勃っている。伍長の
もそうなっていた。私の太腿に伍長のものが当たるのが感じる。
 私は伍長の首筋に吸いつき、伍長の反応を楽しみながら、一方で早く伍長の素肌に触れたくて
たまらなかった。コートの中に着ていたシャツをたくしあげ、ずっと触れてみたかった伍長の胸
の突起に触れようとしたとき、伍長が慌てて私の手を押さえつけて来た。
「まっ…待って……! 待って…下さい……!」
「ここまで来て、それはないぞ伍長……。お前も男ならわかるだろう?」
 耳元で囁き耳朶を軽く噛んで、股間の猛りを伍長の太腿に擦り付けると、伍長が「はぁっ」と
熱い吐息を漏らした。
「少尉……俺……」
「なんだ?」
「俺……初めて……なんです……」
「うむ。私だって男同士でやるのは初めてだ。だが案ずるな、やり方はわかっている」
「いえ……あの……そうじゃなくて……」
 その瞬間、私は我が耳を疑って全ての愛撫の手を止めて、伍長の顔をまじまじと凝視した。
 私と目があって、伍長が赤い顔をさらに赤くして涙目になってうつむいた。
「……女の経験もないのか?」
 私の問いかけに、伍長は震えながらうなずいた。そして、蚊の鳴くような声でつぶやいた。
「……だから、俺……怖くて……、ごめんなさい……」
「ああああ〜〜〜伍長ぉぉぉぉーーーーーーー!!!!」
「うぶっ!!??」
 私は怒濤のように押し寄せて来た伍長への愛しさを堪え切れず、我ながら妙な奇声を発して伍
長の頭を胸にかき抱いていた。
「お前はなんて可愛いんだ!! 犯罪級だぞ! お前の可愛さはもう罪だぞ!」
 私よりも遥かに大きくてゴツくて年上なのに、伍長が愛おしくてたまらない!
「しょっ…少尉……! く、苦しいです……!」
「あっ、ああ、すまん、つい」
 もがもがともがく伍長に我に返り、私は慌てて伍長の頭を放した。そして自身を落ち着かせる
ようにひとつ大きく深呼吸をしてから、再び私は伍長の頬を両手でつつむ。伍長を怖がらせない
ように、そっと口づけた。
「少尉……」
「案ずるな。怖がるな。私が与える快楽に身を任せるんだ。私はありのままのお前を見たい」
 その瞬間、脅えていた伍長の瞳に変化が生じた。まるで眩しげに目が細められたかと思うと、
伍長は絶対の信頼を寄せるあの微笑を私に向けて来たのだ。
「はい、少尉」
 私は伍長の体を覆っていた制服の上着を脱がせると、ゆっくりと横たえた。伍長自身が所持し
ている寝袋の上に。シャツをたくし上げて、夢にまでみた伍長の肌を我が目に焼き付けた。
39『男体化少尉×伍長9』:2006/11/11(土) 04:07:00 ID:???
 逞しい筋肉と無数の傷に覆われた腹筋を撫でると、伍長がぞくぞくと体を震わせる。
「私の手、冷たいか?」
「いえ……あたたかいです……」
「うむ、伍長の肌もあたたかいな」
 伍長の豊満な――という言い方も語弊があるかもしれないが、実際豊満だから仕方がない――
胸に頬を寄せ、鼻を擦り付け、伍長の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「夢を見ているようだ……」
「少尉? あっ!?」
 淡い色の乳首を唇に含んだとき、伍長が強い反応を示した。赤子が母親の乳房に吸いつくよう
に伍長のそれを吸い、舌先で転がした。
「ッあ! しょ、しょう……、あぅッ…!」
「ここ……いいか?」
「ダ…ダメです…っ、あッ、ん…! へ、変な声が……でます……、ひっぁ!」
「変なものか、可愛いぞ……伍長」
 チュッと音を立てて吸い、もう片方の手で乳首を摘み捏ねまわすと、伍長の反応はますます強
くなって行った。
「や…ぁッ……、ダ……ダメです……、そこばっかり……、やッ……んぅゥ!」
 伍長の体はこれからまだまだ開発の余地があり、なおかつ楽しめそうだ。
「ここばかり責められるのは嫌か?」
「ぅッ……、ふうッ……、な、なんだか……頭がボーッとして……」
「伍長は感じやすいな。じゃあ、ここはどうだ?」
「えっ……?」
 私は伍長のズボンに手をかけ、一気に膝下まで引き下ろした。伍長がビクンと上体を跳ね上げ
て悲鳴を上げた。
「わっ! わぁっ!!」
 顔を真っ赤にして伍長はあらわになった下半身を両手で覆い隠した。
「おい、隠すな伍長! せっかく……」
 私が唇を尖らせて拗ねたふりをすると、伍長は涙の滲んだ両目をギュッと瞑り嫌々をした。
「伍長……お前の全てを見せてくれ。見たいんだ」
「は……恥ずかしいです……」
 消え入りそうな声で言う伍長。伍長のうぶな反応に、私の腰にぞくぞくとした歓びが弾けた。
 私は伍長の頬に優しくキスをして、耳元で囁いた。
「私はお前の全てを見たいんだ……ランデル」
 名前を呼ぶと、伍長がぞくっと背筋を震わせた。
「少尉……」
 熱に浮かされたような眼差しで私を見上げる。私はもう一度、唇にキスをした。
「見せてくれるか? 恥ずかしいなら横になって目を閉じてればいい」
「でも……っ」
「私を信じろ」
 私のこの言葉は、伍長にとっての魔法の呪文なのだろうか。私がそう言うと伍長は全ての不安
を忘れ去ったかのように安堵しきった顔を見せる。
「はい……少尉」
 伍長は少しだけ震えている手を、そろそろと退けて行った。伍長のものは目を見張るほどに大
きかった。そう言えばオレルドが「デカブツのヤツ、LLサイズの尿瓶を壊しちゃったんだそうで
すよ」というのを聞いたことがあった。あのときはただの冗談かと思っていたが、こうやって実
物を前にすると、あれは本当だったのだなと実感せざるを得ない。
「すごいな……立派だな伍長…!」
「あ……あんまり見ないで下さい……」
 伍長のそれは形こそ立派すぎるほど立派だったが、色も淡く、まだ純粋さを保っていた。
「ここに触れるのは……私が初めてか?」
 私は伍長のものを見つめながら聞いた。伍長の先からはすでに先走りの液が滴っている。
「はい……少尉……」
40『男体化少尉×伍長10』:2006/11/11(土) 04:07:47 ID:???
「そうか……嬉しいな」
 私は自然に伍長のものを口に含んでいた。
「うあッ!?」
 伍長がビクンと腰を跳ね上げた。
「少尉……! やっ…やめて下さい! アッ……ぁ、き、汚い……ですよ……ッん!」
「汚くなんかあるものか。お前のだぞ」
 伍長のものを全て口に含むのは、さすがに無理だった。だから私は亀頭の先を舐め、カリの部
分を舌先でくじり、竿全体を派手に音を立てながらジュパジュパと舐め上げた。
「やッあ…! 少尉……! あぁッあ! うぁ…うぅっん!」
 私の愛撫に応え伍長が嬌声を上げる。伍長の竿先からはどんどん透明な液が溢れてくる。
 それが嬉しくてたまらない。
(私にはもともと男色の気があったのだろうか。それとも伍長だからこんなに嬉しいのか……)
 私の愛撫に素直な反応を示す伍長を目で楽しみ、伍長の声を耳で楽しみ、私は我を忘れて伍長
を攻め立てた。
「ひッ…! あ…はぁッ! しょ、少尉……! お、俺……もっ……あ……!」
「いいぞイッても。私の口の中に出せ」
「だッダメです……! そんな……っくぅん! くち……放し……」
 伍長の陰茎がビクビクと震えだした。絶頂が近いことを読み取った私は、伍長の精液を一滴も
零さぬよう亀頭の先を口に含み、太い竿を両手でしごいた。
「あ…ーッ! あ、で……出ます………! 少尉……ッあ!」
 伍長が腰をガクガクと痙攣させた瞬間、私の中に大量の精液がドッと放出された。零さぬよう
にしっかりくわえていたつもりだったが、それでも口の端から漏れてしまう。
 伍長は何度となく体を痙攣させ、数回に渡って私の中に精を吐き出した。
 勢いよく飛び出す精液に喉を突かれ私は何度かむせ返りそうになったが、なんとか堪えた。少
しだけ飲んでしまったが、その大方は口の中に含んだままだった。
 顔を上げて見ると、伍長は朦朧とした無防備な姿で、逞しい胸を激しく上下させながら、まだ
少し体を震わせていた。
 私の体内には凄まじい愛情が溢れ、爆発寸前だった。
 口に含んだ伍長の精液を掌に吐き出した。そして私はそれを伍長自身のアナルに塗り付けた。
「は…ぁッ?」
 伍長がピクンと体を震わせた。
「しょ…少尉、何を……」
 そんなところを弄られるとは思ってもいなかったのだろう。驚きと不安がその声音に如実に現
れていた。
 ぬるつく指先でアナルをほぐすように押していき、人差し指を中に挿れた。
「あぅッ!」
 伍長がビクンと体を仰け反らせた。
 キツい。やはり女のそことは比べ物にならない。
「あ…あぁっ、少尉……少尉……や、やめて下さ……ぁあ……っ」
 快楽とは違う、恐れの混じった震える声を伍長が漏らす。全身がまた小刻みに震え出していた。
「すまぬ、伍長……。少し我慢してくれ。なるべく痛くないようにしてやりたいのだ」
「そんなとこ…っ、な、何するんですか……ッ、や……嫌です……少尉……! あぁぅ!」
 もしかして伍長は、男同士のセックスがどうやるかを知らずに、私に全てを委ねたのだろうか。
 まるでだまし討ちをした気分だった。何も知らない純粋な伍長を、私はこれから汚そうとして
いるのだ……。罪悪感がじわりとこみ上げて来た。
「嫌です……ッ、少尉……、お願い……、あっあ……」
「大丈夫だ、伍長。大丈夫だから……」
 伍長の泣き言にも耳を貸さず、私はただひたすら安っぽい慰めの言葉をかけ続けた。
 やがて伍長の内部で動かしていた指が、ある一点を突くと、伍長の反応に違いが出てくるのに
私は気づいた。
「ここか」
 私は内心でホッとした。
41『男体化少尉×伍長11』:2006/11/11(土) 04:08:21 ID:???
 伍長の反応をよく観察し、その一点を重点的に攻めてやっていると、伍長の萎えた一物が再び
息を吹き返し始めた。伍長の嗚咽にも、ようやく甘い響きが混じり出した。
「伍長、いいか? ここに意識を集中しておけ」
「はぁッ…! 少尉……、んあッ…! あ……!」
 私はいそいそと自分のはち切れんばかりの一物を引きずり出した。私のそれも伍長のものと同
じように先から雫を滴らせていた。一刻も早く、伍長の中に入りたいと訴えていた。
 私は片手で根元を支え、未だ指を出し入れし続けている伍長のアナルに先をあてがった。
「伍長、そのまま力を抜いていろよ。いいな?」
 果たして私の忠告が伍長の耳に届いたかどうかはわからない。性の快楽に対して耐性のない伍
長は体も心も翻弄されている。すでにまともに受け答えできる状態ではないことは、虚ろに見開
かれた目を見ればわかった。
 私は指を引き抜くと同時に、己の欲望を伍長の中に一気に突き立てた。
「――…………!!」
 伍長がカッと目を見開いて、顎を反らした。声にならない悲鳴が放たれた。
 ギリギリと絞め上げてくる伍長のそこに、私のペニスにも激痛と凄まじい快感が同時に襲って
来た。
「く…あっ! キツ……っ」
「あっあ……! うあっああああーーーーッ!!」
 目の前に白い光が弾けるほどの快感に私は我を忘れかけた。だが、伍長が堪え切れずに放った
悲鳴に、橋の上の浮浪者たちが動き出す気配を感じ、私は我に返った。
「い、痛い……! 少尉……、嫌だ……!! あっ、あぐぅッ…!」
「すまない……伍長ッ!」
 私は必死で謝りながらも橋の上に意識を向け、とっさに脱ぎ捨てた伍長の制服のコートを引っ
掴むと、袖口を伍長の口の中に押し込んだ。
「ううッむ! んんーーーーッ!!」
 伍長が苦痛に顔を歪め、涙を振り飛ばしながら嫌々と顔を横に振る。
「すまない……、本当にすまない……、お前を傷つける気などないのに……」
 私は自身に対して言い訳がましくそう繰り返しながら、伍長の体をギュッと抱きしめた。
 伍長の悲鳴が不意に止んだ。伍長は歯を食いしばり袖を噛み締め、必死で声を殺していた。
「ん……! ふッ…! んぐッ……ぅ!」
「伍長……すまない……」
 泣きたくなった。己の欲望に忠実になれば、伍長を傷つけてしまう。傷つけたくないと思った
のに、守りたいと誓ったのに、私の自分勝手なエゴのせいで、伍長を……――。
 そのときだった。伍長の胸に顔を埋めるようにしていた私の頭を、伍長の太い腕がそっと包ん
で来たのは。
 ハッとして顔を上げた私が見たものは、涙に濡れた伍長の顔。そして愛おしげに目を細めた、
あの優しい微笑だった。
「伍長……」
 伍長は涙を零しながら、ときおりつらそうに眉をしかめながらも「いいのです」と言うように、
全てを許すような慈愛の笑みを私に向けていた。
「伍長……私は…っ」
 泣きそうになっていた私に、伍長はうなずいた。
「すまない……」
 伍長が、いいのだと言うように顔を横に振った。
「いいのか、伍長。私をお前の中に迎えてくれるのか?」
 もう一度、伍長はうなずいた。
「伍長……!」
 たまらない愛情と情熱に突き動かされ、私は伍長を抱きしめたまま強く腰を打ちつけた。
「ふぅ…ぐッ! んんッ! んぅー……ッ!」
 伍長が再び苦痛の声を漏らした。だがもう、私は動きを止めることが出来なかった。
 苦痛のただ中にある伍長へのせめてもの詫びに、私は伍長のペニスに手を伸ばし、自分の律動
に合わせてしごいてやった。それが果たして、伍長への慰めになったのかどうか、私にはわから
ない。
42『男体化少尉×伍長12』(終):2006/11/11(土) 04:09:12 ID:???
 私とて、全くと言っていいほどに余裕がなかった。伍長とひとつになれた幸福を噛み締めるゆ
とりもなく、ただひたすら己の証を伍長の中に注ぎ込むことだけに突き動かされていた。
 やがて私に絶頂のときが訪れた。伍長のキツい締め付けに擦られ、目蓋の裏に白い光が明滅し
始めた。
 伍長の涙に濡れた顔を見つめながら、私は凄まじい快感にめまいを覚える。そして頭の片隅で
この男を一生守り抜いて行こうと誓いながら、私は伍長の中に欲望を解き放った――。

          *

 事後、私たちは伍長の寝袋の中に入りこんで抱き合っていた。本当は私が伍長を胸に抱いて、
腕枕をしてやりたかったのだが、身長差のせいでそれは叶わず。逆に私が伍長の胸の中に抱かれ
るような格好になっていた。
「大丈夫か、伍長?」
「平気です……」
 私が見上げて気遣うと、伍長は下がった眉毛をさらに下げ「エヘヘ」と笑った。その顔はどこ
からどう見ても大丈夫そうではない。伍長が初めてだとわかっていながら、私は己の欲望に負け、
相当な無理を強いてしまったのだから……。
「すまない……」
 いたたまれなくなって伍長の胸に顔を埋めると、伍長がギュッと抱きしめて来た。
「謝らないで下さい。俺……嬉しかったです」
「まことか? 相当に痛い思いをさせたと思うのだが……」
「でもそれだけ……少尉が夢中になってくれてたということです」
 顔が熱くなるのを感じた。まったくもってその通りだ。不甲斐ないが……。
「だから俺、嬉しかったですよ」
 顔を上げて伍長の顔を見る。伍長が私を見下ろして、にっこりと微笑んだ。
「うん……、私も嬉しくて、つい夢中になってしまった」
 私は伍長の背中に腕を回し、ギュッと抱きしめ返した。
「今度はもう少しゆとりをもって頑張ってみよう、うん。お前も気持ち良くさせられるようにな」
 言った途端、伍長が今までの微笑を凍りつかせ、顔を真っ赤にした。
 そして視線を彷徨わせ、あげくに私から目を逸らすと、伍長は消え入りそうな声で言った。
「俺も……頑張ります……。少尉に、良くなってもらうように……」
 心に熱いものがこみ上げる。これほどまでに満たされた気分になったのは、おそらく生まれて
からこれが最初だと言える。
 私は言葉では言い尽くせないほどの幸福に満たされていた。
 赤面する伍長を力一杯抱きしめ、私は顔面が崩壊するのではないかと思えるぐらいの満面の笑
みを堪え切れないでいた。
「そうだな。二人で頑張ろう……!」
 私は満ち足りた気分で伍長の逞しい胸に顔を預けた。
 逞しい胸板を通して伍長の命の鼓動が聴こえてくる。
 今までは遠巻きに私たちを見ていた猫たちが、ゴソゴソと傍に寄って来た。それぞれが思い思
いの場所で寝袋の上に丸まり、やがて眠り出した。
 伍長の静かな寝息が聴こえてくる。深い呼吸に胸がゆっくりと規則正しく上下する。
 やがて私も眠りに落ちて行く。
 閉じかけた目蓋の裏に、ブルースチールのランタンが目に入った。
 幸福に満たされていた心に、ひやりとしたものが走った。
 だが、次の瞬間、私は己に誓う心の強さで、それを振り払った。
 この鼓動を守って行こう。この腕を、この体を、そして心を、全てを守って行こう。
 何が起きても、これから先どんな試練が待ち受けていようとも、私は絶対に伍長を離さない。


          【END】
4322:2006/11/11(土) 04:10:37 ID:???
長くなりすぎてしまって、すみませんでした!
今度は話を短くまとめられるように精進したいです(´д`;)
長いだけのこんなグダグダな話を、最後まで読んで下さった方、
ありがとうございました。
44名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 04:51:17 ID:???
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ
萌え伍長ゴチです
告りながら謝る伍長テラモエス…カワイス(*´Д`*)
45名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 07:06:10 ID:sXmVYBw2
GJ!!としか言い様の無い
最高でした
46名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 07:07:25 ID:???
す、すんませ…ageてしまった…
47名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 09:26:08 ID:???
GJ!!!!!
48名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 13:43:18 ID:???
エロが!キャラが!最高すぎる!
超GJ!
49名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 14:33:52 ID:???
男同士なのにこれはやべぇ、GJ過ぎる!
新たな扉を開いちまったようだ……
5022:2006/11/11(土) 20:48:47 ID:???
おおっ…、皆さんありがとうございます。
また何か書いたら投下しますね。
51名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 21:44:29 ID:???
待ってる。全裸で。漏れが風邪引かないうちに投下キボン。

伍長の乳を揉みしだきたい。乳首つまんでキュウンとさせたい。
涙を目にいっぱい溜めて声出さないよう我慢する伍長を堪能したい。
52名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 21:48:50 ID:???
伍長ならおっぱいいじられただけでイケるよ!

                 ハ_ハ  
               ('(゚∀゚∩ イケるよ!
                ヽ  〈 
                 ヽヽ_)

53名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 22:16:27 ID:???
これはまったくエロいな


GJ
54名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 22:50:28 ID:???
>>43
もうGJとし言いようが無い
秀逸で、読み応えのあるものを読ませてもらいました
少尉は男体化しても、違和感が無さ過ぎるのが凄い
55名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 04:24:36 ID:???
殺人表記注意(原作無視の捏造設定



舞踏会で少尉敗北、男達は殺され女達は興奮した平民達に集団レイープ(姉たちも当然ぶっ掛けの餌食
准尉たちも倒れ少尉を惨殺され伍長はランタンとのシンクロ率400%で暴走、燃える屋敷。

という断片を置いていきますね。誰か頼む。
56名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 07:08:09 ID:???
あうあう言ってる伍長も好きだが
ランタン時も好きなんだよなあ・・
とりあえず伍長はエロい
57名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 10:56:27 ID:???
あんあん言ってる伍長
に見えたジャマイカ
58名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 11:39:55 ID:???
伍長の場合、「あんあん」も「あうあう」も似たようなもんだな
59名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 13:14:17 ID:???
寧ろランタン伍長をアンアン言わせたい
60名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 16:21:47 ID:???
  ハ:.:.:.:.:.:.:.:. :.:.:. :.:  /y 大:. i: ̄`:| :.  :  /:|: i ̄`:ヘ ハ :.:.: :.:.:.:.:.:. :.|
   |:.:r- v: :.:.:   i |メ人k=ヘト、  i /:! /|:/ .:|/才=∨、:.| :.:  :.:.:.:.:.:. i∨
   |:./:.:./  :.:  //く  (・)  え、:.::.ノ/:.:〈く:之. (・)  V i  :.:.: :. i
   i/:.//   :.: i: | ミ`三ニ彡:.:.:.:./´:.:.:.:.:  :.:.:ミ三彡ノ:|イ: ィ :.:.  |
    {:(:. |ハ:.  |∨   :.:._:.:.;, f, ー彡三ミヾト、_ fi    //:.| :. イ:i
   人:.';:.:.:.i:∧ |     /,.イ ̄iT´ :.:.:.:.:.: ` i r-、ニ-!L / :.:.:|:/: /
   /:.:.:\:.、:.:ヘ\|    ´  |!  '    :.:.:.:.:   !|  i|  iト`、 :.:.i/: ハ
 _ /:.:.:.:.:.:.ヾ  ヘ:.:.  ,.ィ       /  :.:.:.:. i      '   :.:/ /:.:.:.:.ヘ        <アンアン
´:./:.:.:  :.:.:.ハ、_ヘ:.:. //       { _ :.:.:.:.: ,_}        :./-´:.: :.:.:.:.\_
:./:.:.:  :.:./イ:/ i:.:v /        ` ヽ_,ノ         :.:/ハi:.:.:  :.:.:.:.:.:.ヽ`
/:.:.    :.:.:.|:i:.:.:.:ヘ: |           .:.         .:./:  :.:.:   :.:.:.:.:.:ヘ
:.:.:.:.    :.:.: ヘ:.: ゝ:.        _ 二ー二 _     .:.イ:.:  :.:.:    :.:.:.:.:.:.
:.:.:.:    :.:  i:.:  \:.    ´-   - ―-  -`   .:/ i:.:  :.:.:      :.:
61名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 17:46:58 ID:???
痛み感じないのにアンアン言うような感覚が残ってるのだろうか
62名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 18:20:25 ID:???
「伍長、ウソでもいいから気持ちよさそうな声をあげてくれないか?」
「いいですよ、へるものじゃなし」
「それっそれっ」
ぐいぐい
「あんあん」

という、『えの素』のひとコマを思い出した。
63名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 19:02:41 ID:???
>62
元ネタは知らんが、なんか和んだw
あんあん言ってあげる伍長ヤサシスモエスw
64名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 22:27:23 ID:???
>>62
ワロスwww
65名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 20:18:41 ID:???
保守ついでに伍長のケツマンコ掘っておく
66名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 20:48:20 ID:???
じゃあ俺は、伍長の大胸筋の間にチンポ挟んでパイ擦りする
67名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 21:34:54 ID:???
じゃあ伍長の大臀筋は俺のもの
68名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 22:06:35 ID:???
じゃあ俺は上腕二頭筋にほおずりさせてもらう
69名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 22:32:54 ID:???
伍長の体に気をとられている合間に
唇を奪います
70名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 22:45:39 ID:???
じゃあ、伍長が唇を奪われて呆然としている隙にランタンを奪って
心許なさに涙目であうあうする様をじっくり堪能させていただきます
71名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 23:00:07 ID:???
ランタン無しじゃ…何もできない…
72名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 00:37:30 ID:???
「あ…やめっ・・・俺胸ないですよ…!
ってお尻撫でないでください…!
あの・・・腕・・・くすぐったいです・・・
あっ!んん!?…むぅ・・・はぁはぁ・・・
あぁ・・・ランタン返してください・・・それないと・・・俺・・・」
>>66-70を短文にしてみた。反省はしていない
73名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 00:51:16 ID:???
スリスリ ナデナデ スリスリ
 ナデナデ  クチュクチュ
    ∧_∧
.∧_∧( ・ω・)∧_∧
( ・ω・)U)) .(・ω・ )
 ⊃)) (;´Д`)((⊂
.∧_∧∩)) ↑ランデル・オーランド伍長
(   )  
ナデナデ スリスリ ナデナデ
74名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 01:15:14 ID:???
>>65-73
もう愛しいとしか言いようがない
75名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 03:50:58 ID:???
>>51さんと>>52さん、それから>>65-73の流れに触発されて書いてみますた。
特に>>72さんの短文に萌えました!GJであります!

では、伍長おっぱいネタ、これから投下します。
伍長視点で書いてます…難しかった……;
『少尉×伍長』です。
少尉は女のままでも男体化でもどっちでもおk。
お好きなほうで妄想して下さいw

内容薄いくせに無駄に長いです…orz
ごめんなさい。
76『伍長おっぱい』1:2006/11/15(水) 03:52:34 ID:???
「まったく、なんだこれは! 足の踏み場もないではないか!」
 三課物置に足を踏み入れるなり、少尉が俺の隣で不機嫌全開な怒声を放った。
 少尉の怒声に思わず俺はビクッとなった。少尉が怒ると俺はすごく不安になってしまう。
 だけどさすがに、俺もこの物置の有様を目の当たりにし、途方に暮れてしまっていた。
「はあ……、この間のファイル探しで、またさらに散らかってしまいましたから……」
 物置とはその名の通り、当面は使わないと見なされた物を置いておく場所。だけどこの“当面”
と言うのが問題で、それはある日突然必要になったりするから始末が悪い。
 数週間前もこの“当面”が“緊急”になり、必要なファイルを探すために三課全員で丸一日潰し
て物置の大捜索となってしまった。
 このせいで、ただでさえ滞りまくりの任務が、さらに滞るというハメに陥り、少尉はその間ずっ
とイライラしてたみたいだった。
 そんなこんなでハンクス大尉からの命令が下った。
 曰く――“またこんなことが起きねぇように、暇なときにでも物置の整理をしといてくれや”。
 だけど三課は忙しい。とは言っても、一課や他の課に比べれば派手でやりがいのある任務はない
し、書類整理や出張査察や食料配給支援などの任務はまだ派手なほうだ。要するに三課は“市民の
ための何でも屋”的な任務に追われて多忙なのだった。
 俺はこういう三課の仕事が好きなんだけど……。
 だけど任務内容はどうあれ、三課のみんなが忙殺されているのは確かだ。そんな俺たちに“暇”
と呼べるものはなく、従って大尉命令の物置整理も放置されっぱなしの状態が続いていた。
 ところが珍しく、今日は少尉と俺に時間ができた。
 オレルド准尉とマーチス准尉は街の巡回に出掛け、ハンクス大尉もステッキン曹長も留守。普段
なら大尉か曹長が執務室にいるのだけど、二人とも定例会議に出席するために出掛けていた。マー
キュリー号は、またしても矯正施設入り……。
 執務室をもぬけの殻にするわけには行かず、書類整理をしていた少尉と俺が留守番を仰せつかっ
たというわけだ。
 そして書類整理が一段落ついた頃、少尉が突然、物置のことを言い出したのだった。
「たかがファイル一冊探すのに、この間あれだけ苦労したというのに。空いた時間に少しずつ片付
けると言う気の利いた隊員はここにはおらぬのか!」
 少尉の不機嫌全開の声に、俺はまたビクッとしてしまった。
 確かに少尉の言う通りだ……。忙しい忙しいとは言っても、曹長が焼いたクッキーで、みんなで
お茶をするぐらいの時間はあったのだし、一番下っ端の俺が物置の整理をするのは当然だ。怠慢だ
と言われても仕方がない。
 ああ……俺ってダメだな。いつになったら少尉に満足してもらえる隊員になれるんだろう。
「すみません……、気になってはいたんですが……」
 俺がいたたまれない気分になって体を縮めたとき、少尉がハッとした顔で俺を見上げて来た。そ
して慌てた様子で、顔の前でブンブンと手を振って言った。
「い、いや、別に伍長を責めているわけではないぞ! マーチスはともかくオレルドは仕事をサボ
って女を口説く暇があるのだから、奴こそ物置整理ぐらいしても罰は当たらん! だから伍長一人
のせいではないぞ、シュンとするな!」
 あ、逆に気を使わせてしまったのかな……。
「すみません……」
「ま、まぁいい。時間はいくらあっても足りないのだ。さっさと始めよう」
 うん、これ以上少尉に迷惑をかけるわけにはいかない。物置をきれいにして、少尉に気持ち良く
任務にあたってもらおう。俺は気を引き締めると、少尉に向かって敬礼した。
「はい、少尉!」
「よし、やるぞ!」
 そんなわけで、俺たちは竜巻一過のような物置で、しばらく過ごすことになったのだった。

          *

「少尉、上のほうは俺がやりますよ」
 安定の悪い脚立の上に立ち、ファイルを上の棚に並べていた少尉に、俺はもう心配で我慢できな
くなって声をかけた。
77『伍長おっぱい』2:2006/11/15(水) 03:53:13 ID:???
 俺なら手を伸ばせば天井に届く。天井近くまで高さのあるファイル棚の一番上にも、余裕で手が
届くんだから、少尉が脚立にまでのぼってやる必要はないし。
 脚立は古いらしく、小柄な少尉が乗っただけでもギシギシ言っている。歪んでもいるようで、少
尉が体を動かすたびにグラグラ揺れるものだから、危なっかしいことこの上ない。
 だけど少尉は頑として、脚立の上から降りようとはしなかった。
「いや、私が上のほうをやる。伍長はその辺にぶちまけてある資料を段ボールに積めてくれ。ちゃ
んとファイルの番号順に並べていれるのだぞ」
「は、はい。でも……危ないですよ。その脚立、安定悪いですし……」
「案ずるな! 乗馬で慣らした私のバランス感覚は伊達ではないぞ」
 いや、そういう意味じゃなくてですね……。頑固なんだから、もう……。
「いいから、伍長は段ボールだ! 時間はいくらあっても足りんのだぞ」
「わかりました……、気をつけて下さいね?」
 俺は往生際悪く少尉に念を押し、渋々ながらに背中を向けた。
 足の踏み場もないほどばらまかれ積み上げられたファイルたちを見て、俺はやっぱりちょっとだ
け途方に暮れてしまう。どこから手をつければいいんだろう……。
「伍長!」
「はッ、はいッ!」
 少尉の強い口調に、俺は我に返ってビクッとして慌てて振り向いた。
「ちょっと来い」
 手招かれるまま、俺は少尉に歩み寄った。
 脚立の上で仁王立ちになった少尉が、俺の顔をまじまじと見つめてくる。
 な、なんだろう……。何か気に障ることでもしたのかな。あ……さっきボケッとしてたのがいけ
なかったんだろうか。
 少尉に叱られると思ってビクビクしてたそのとき、少尉が可愛い顔に満足げな笑みを咲かせた。
「お前と同じ目線になることなんて、あまりないから新鮮だな」
「え……」
 少尉の言葉に俺はぽかんとした。
 そう言えば……俺の目の前には今、少尉の顔がある。一メートル近くも身長差のある俺と少尉。
二人とも普通に立っているだけでは、まず同じ目線の高さになることはないから。
「うん、いいな、こういうの」
 少尉はすごく上機嫌だ。俺と同じ目線になるのが、そんなに嬉しいんだろうか……。
 自分で言うのもなんだが、これだけデカイと不便なことが圧倒的に多いのに。気をつけていない
と頭はしょっちゅうぶつけるし、服だって合うものはそう簡単には見つからない。ガラの悪い人た
ちに絡まれてしまったことだって、何度もあるし……。
 返す言葉もないままポカンとして少尉の顔を見ていたら、少尉が何かを思いついたように斜め上
に目線を上げて「ふむ」と顎をつまんだ。
 そしてポケットから懐中時計を出して、時間を確認した。
「時間はまだあるな」
 俺は少尉が何を考えているか、ますますわからなくなって首を傾げた。
「伍長、後ろを向け」
「……え?」
「回れ右ィッ!」
 少尉がよく通る声を張り上げた瞬間、俺は条件反射で背筋を伸ばして後ろを向いていた。
 背後でガタガタと脚立の鳴る音がする。
 ……少尉、何をやってるんだ?
 不安になって少尉のほうを振り返ろうとしたとき、少尉がいきなり俺に抱きついて来た。
「しょッ……――!」
「同じ目線は便利だな」
 少尉が俺の肩に顎を乗せ、ニヤリと笑った。少尉の手は俺の脇の下からまわされて、ちょうど胸
の位置にきている。
 訳がわからずパニ食った瞬間、少尉が両手を動かして、やんわりと俺の胸を揉んで来た。
「……ッ!!!!」
 制服ごと胸を鷲掴みにされ、俺は息を呑んで硬直した。
「お前が座っていない限り、普段はこういうことはできないものな」
78『伍長おっぱい』3:2006/11/15(水) 03:54:03 ID:???
 可愛い顔に似合わない悪巧みのニヤニヤ笑いを浮かべた少尉は、さらにモミモミと……。
 少尉に胸を揉まれていることを、俺の鈍い頭がやっと認識した瞬間、俺は顔が熱くなった。ぞく
っとした感覚が背筋を這い上がってくる。
「や……やめて下さいッ!」
 俺はつい反射的に体をひねった。
 その瞬間、背後でガシャンと脚立が揺れる音がして、少尉が「うわっ!」と悲鳴を上げた。
 ――しまった!
 慌てて振り返り少尉を抱きとめようとしたが、反対に俺のほうが少尉に抱きとめられ……いや、
俺の腕ごと背中に少尉がしがみついてきた。
「おおっ……今のは危なかったぞ、伍長」
「少尉、大丈夫ですかっ?」
 心配になって首を後ろにひねって少尉の様子を見ようとしたけど、少尉は俺の背中におでこを
くっつけていて顔を見ることはできなかった。
「あまり大丈夫ではないな」
「えっ? どこかケガを?!」
「ケガはないが、脚立のほうの安定がかなり悪いのが、これで証明された」
「だから言ったじゃないですか……」
「うむ。だからな伍長――」
 少尉が顔を上げた。その顔には、悪魔の笑みが浮かんでいた。
「動くなよ♪」
「え……? ちょ――」
 抗う間もなく、少尉の手がまた俺の胸を揉んで来た。
「はぅ……ッ!」
 ぞくぞくとした感覚が少尉の触れる部分から腰へと駆け抜け、俺は思わず声を漏らしていた。
 ダメだ……たとえ服の上からだと言っても、少尉に触られるともう……。
「少尉……ダ、ダメです……」
 少尉の手が、俺の胸を両側から真ん中に寄せるように揉みしだいてくる。
 なんだ、これ……これじゃまるで……。
「伍長はボインだな」
 少尉のフフッと笑う息が首筋にかかり、俺はぞくぞくして顎を引いた。顔も体も、少尉に触れら
れる部分からどんどん熱くなって、呼吸が苦しくなってくる。
「ボ……ボイ……――って、俺は女じゃない…ですよ……っ」
 俺は、往生際悪くせめてもの抵抗を見せたけれど、少尉は全然悪びれない。
「だったらなんと表現するんだ、これは? 大きいし……それに存外柔らかいのだぞ、伍長のここ
は。知っていたか?」
 そんなの知るわけない。他の人のを触って比べたこともないんだから。
「し…知りません……」
「だったら知っておけ」
「ひゃッ……ぁ!」
 少尉がことさら揉む力を手にこめてきた。俺はぞくぞくした感覚に耐え切れず、思わず声を漏ら
してしまった。
「ほら、女の胸のようにとまではゆかぬが、伍長のここも私の指を吸い込み、跳ね返してくる。
な? 柔らかいだろ?」
 な?……と言われても……。
 でも確かに、俺の胸は少尉の指に込められる力に合わせて、わずかにへこんだりして微妙に形を
変えていた。
 でもそんなことより、少尉に女の人みたいに胸を揉まれて感じてる自分が恥ずかしくてたまらな
かった。
「しょ……少尉……、も……やめて下さい……」
 本当に、これ以上されるとまずい……――。
 今のこの状態ですでに下着の中のモノが硬くなり始めてるのがわかる。
「お前はここが感じるみたいだから、もっと感じるようになれば気持ちいいぞ」
「そ、そんな……! そんなことで気持ち良くならなくてもいいです!」
「ふむ、そうだな。この場合は伍長がと言うより、私の心が気持ち良くなるんだがな」
79『伍長おっぱい』4:2006/11/15(水) 03:54:42 ID:???
 少尉の言ってる意味がわからない。
 ああ、そんなことはこの際どうでもいい。もう本当にやめて欲しい。でないと、とんでもないこ
とになりそうな気がする。会議が長引くだろう大尉と曹長はともかく、准尉たちは一時間ほどで巡
回から帰って来るんだから……――。
「少尉……もう本当にやめて下さい……。准尉たちがもうすぐ帰って来ますよ……! こんなとこ
ろを見られたら……」
「うん? 私は別に見られても構わないぞ?」
 構う! こっちは構います!!
「案ずるな、用がない限り誰もここには近づきもしない。その証拠に、この散らかりようだ」
「でも……」
 壁一枚を隔てた向こうは、人の往来が激しい廊下なんだ。真っ昼間から、しかも職場でこんなこ
とをしてるのを見られたら、どんな悪評がたつかわからない。俺はともかく、少尉が影で悪く言わ
れるのだけは、絶対に嫌だ。
「声が……聴こえるかも……」
 俺が一番心配してるのはそのことだった。
 だって俺……本当に情けないけど、少尉に触られると声を抑え切れなくなるんだから……。
 少尉の手がぴたりと止まった。
「ふむ、それもそうか」
 よかった、わかってくれた……!
 俺は心からホッとした。だけど、それも束の間だった。
「ならば伍長。声はできるだけ堪えておけ」
「えぇっ!?」
 嘘だろ!
 耳を疑った直後、少尉の言葉が聞き間違いでないことを俺は知った。
 少尉の指先が、俺が一番触れられるのを怖れていた部分、胸の突起に触れて来たのだ。
「あぅッ……!」
 体が勝手にビクリと動いて、触れられたところから腰に向かってぞくんとした強い疼きが走った。
 少尉の指がそこを強く押したままこね回したり摘んだりする。そうされると服の繊維に擦られて
刺激を受け、俺の背中も腰も勝手にピクピクと動き出してしまう。
「あっ…! も……、やめ……ッん!」
「感じているな、伍長。可愛いな……」
「ひっ……」
 少尉に耳元で囁かれ熱い吐息がかかると、また別のぞくぞくが襲ってくる。少尉は片手で俺の胸
を弄びながら、もう片方の手で制服のホックを外して行く。
「やッ……、ダメ……、ダメです……」
「動くな。動くと私は脚立から落ちてしまうぞ」
 たまらず少尉の手を払い退けようとした俺だけど、少尉が囁いたその言葉に動けなくなってしま
った。
 少尉に何かあったら……、少尉がケガしたりしたら、嫌だ……。
 だから俺は少尉の手を除けることも出来ないまま、俺の胸の上で淫らに蠢く少尉の小さい手に、
自分の手を重ねるので精一杯だった。
「可愛いぞ、伍長……」
「はッ……ぁ、しょ…い、ダメ……です……、んあ…っ」
 少尉に囁かれ、首の後ろに舌を這わされ、俺の顔も体もどんどん熱くなって行く。
 ついに少尉の手が俺の制服のホックを全部外し、前を開けた。中に着ていたシャツをたくしあげ
られて、少尉の手が直に腹筋に触れて来た。
 またぞくんとする。股間のモノがどんどん硬くなって行くのがわかる。
 少尉のもう片方の手は相変わらず服の上から乳首を弄っていた。衣服の繊維に擦られる感覚と、
直に触れられる感覚がごちゃ混ぜになって、俺はもう何がなんだかわからなくなっていく……。
 少尉の指が脇腹にある大きくえぐれた傷痕を触った。
「うッ…! んぅ……」
 痛いわけじゃない。傷痕を触られる感触というのは、皮膚を通さずに直にその内部の神経に触れ
られているような感覚を受けてしまう。
「傷痕というのは敏感なんだそうだな」
80『伍長おっぱい』5:2006/11/15(水) 03:55:21 ID:???
 少尉がそう囁きながら、なおも指先でそこをなぞってきた。
「う…あ、あ……ッ」
 俺は襲ってくるぞくぞくに耐え切れず、嫌々と顔を振った。少尉に手を止めてほしいから。傷痕
が本当にそうだなんて認めたら、さらにそこを攻められるのがわかっていたから。でもそんなこと
ももう、無駄な抵抗というやつで……。
「傷痕が敏感ならば、伍長の体は性感帯だらけということだな♪」
 やっぱりそう来ますよね……。
「少尉、もう本当に、これ以上はまずいです……。ダメです、俺……」
「何がダメなんだ? 私には伍長が嫌がっているようには見えないのだが」
「うっ……」
 嫌だけど、嫌じゃないから自分でも困ってるんです……っ!
 少尉が俺に触れてくれるのは嫌じゃなくて、むしろ望んでいることだ。嫌なのは、男なのに女み
たいに感じて善がってしまう自分自身のほうなんだ。少尉には、情けない姿や恥ずかしい姿を見せ
たくないのに……。
「さて、では傷痕とコッチと、どちらが感じるか試してみようか」
「……え?」
 少尉は言うなり、服の上から乳首を弄っていた手をシャツの中に滑り込ませて来た。
「ちょっ……!」
 止める間もなかった。
「あっ! あぁッ……!」
 少尉の指が直に乳首に触れて来た。腰から突き上げるような快感が背筋を走り抜けた。俺は反射
的に背中を丸めて握りしめた拳を胸に引きつけた。
 そうしたことによって、ますます少尉の手を胸に押しつけることになってしまい、逆に少尉を悦
ばせることになってしまった。
「うん? もっとやって欲しいのか」
「ち…ちがっ……、はッく……! んぅっ…!」
「やはりコッチのほうが敏感だな♪」
 傷痕を弄っていた右手までくわえて、少尉は俺の乳首を弄ぶ。
「ひっ…、い……いや………あ、あっ……!」
 少尉が指を動かすごとに、つまんだりさすったりこね回してくるごとに、絶え間なくぞくぞくが
襲ってくる。頭の中がドロドロに溶けたようになって、全身が熱く火照ってくる。
 ダメだ……俺もう、声我慢できない……。外に聴こえてしまう……!
 俺は朦朧とし始めた意識の中、とっさに自分の手を口に持って行った。そして手の甲に思いっき
り噛みついた。分厚い手袋をしていたことを感謝したのは、このときが初めてだ。
「ん……! んぐッ…! う……んッ!」
「伍長……、伍長……」
 少尉が何度も俺のことを呼びながら、俺の首の後ろに吸いついてくる。
 俺の股間のモノは今や下着の中で、完全に勃ちあがっていた。だけどズボンと下着に押さえつけ
られているので苦しい。見えなかったけど、それでも、先走りがどんどん溢れてくるのがわかる。
 足がガクガクし始めた。もう立っていられない……。
 そのとき、少尉が不意に手を止めた。
 終わった……?
 俺は安堵するとともに、宙ぶらりんにされた快感に戸惑った。
 すると少尉が後ろから肩に手をかけてきて言った。
「こっちに来い、伍長。立っていられないのだろう? ほら、脚立と棚の間に立って、棚に寄りか
かれ」
 俺は少尉に手を引かれるまま、もつれそうになる足を必死に動かしヨロヨロしながら、そこに立
った。ほとんど無意識に、棚に背中を預けて寄りかかると正面に少尉の顔があった。
 しまった、これじゃ少尉に顔を見られてしまうじゃないか!
 慌てて後ろに向き直そうとした俺だったけど、少尉が素早く腕を掴んで阻止して来た。
「動くな。前を向いて、しっかり立っていろ」
 少尉の目が俺の目をまっすぐに見つめてくる。少尉の目は、いつもの凛とした清廉さに満ちた力
強い瞳ではなく、貪欲な興奮に潤んで光っていた。
「私が何をしているか、お前のどこをどうやっているのか、しっかり見ておけ」
81『伍長おっぱい』6:2006/11/15(水) 03:56:14 ID:???
「そ、そんな……」
 俺は急に怖くなって逃げたい気分になった。だけど少尉は依然として脚立の上に立ったまま。俺
の胸に手を置いて、こっちに少し寄りかかってくるような安定の悪い姿勢。俺が今動けば、少尉が
脚立ごと倒れてしまうかもしれない。
 少尉が俺の目を見据えたまま、ゆっくりと顔を近づけてくる。
 チュッと音を立てて、少尉の唇がそこを包んで来た。
「んぅッ…!」
 切なさとぞくぞくがこみ上げて来て、俺はまた手の甲に歯を立てた。
 少尉のぬるつく舌が絡みつき、ふっくらとした肉厚の柔らかい唇が吸ってくる。吸いながら先端
を舐められると、そこから強烈な快感が突き上げて来た。
「……ッ! は……ぐッ、ん…ぐっ……!」
 少尉が俺の乳首を赤ちゃんみたいに吸ってる。でも、そこには赤ちゃんみたいな純粋さなんかな
くて、少尉の顔も目も口も手も、全てが欲情に満ちていた。
 俺はもう、見ていられなくなって目を逸らした。だけどそのとき、少尉が目を逸らすことを許さ
ないと言うように、乳首に軽く歯を立てて来た。
「んうぅッ!」
 ビリッと電流を流したような快感が腰で弾けて、俺はまた下着の中を先走りで汚してしまった。
 乳首だけを攻められているのに、たったそれだけで感じてしまっている自分が恥ずかしくてたま
らない。ああ、こんな情けない姿を少尉に見られてるなんて……。
 そう思ったら体中に充満している切なさが、涙になって目から零れ落ちた。
「んんー……、ふ…うッ! んぐ……!」
「気持ちいいようだな、伍長。お前が気持ち良くなっているのを見ると、私も嬉しいぞ……」
 ああ、少尉……少尉。
 俺、こんなに情けなくて、図体ばかりでかい能無しなのに、それでも俺のこと、そんな風に思っ
てくれるんですか……?
「伍長、もっと見せてくれ、お前が善がっている姿を。私が触れたら素直に反応してくれるのを見
ると、私はとても満たされた気分になるんだ」
 少尉は望んでるんだ。俺は自分のこんな情けない姿を少尉に見せたくないことばかりに囚われて
いたけど、少尉はそんな姿を情けないとか無様だとか思ったりしないんだ……。
「……しょ……い、俺……、我慢しなくても……いいんですか?」
 荒い息をしながら言う俺を少尉が見て、キレイな顔でニッコリ笑った。
「されると悲しいな」
「少尉……」
 ああ、ごめんなさい、ごめんなさい少尉。俺は自分のことしか考えてなかった。少尉は俺を悦ば
せようとしてくれてるのに、俺は自分の格好悪い姿を見せたくないことばっかり考えてた。
「ごめんなさい……少尉。俺……頭のほうはやっぱり鈍いですね……」
 思わず自嘲の笑みが漏れて、涙がボロボロ零れ落ちた。俺やっぱりバカだ……。
 そしたら少尉がまた微笑んで、指先で乳首をキュッと摘んで来た。
「あッ!」
「体のほうがこれだけ敏感ならば、問題はなかろう」
 おかしそうにクスクス笑いながら少尉がまたそこに顔を近づけてくる。
 熱い吐息がかかっただけで、俺はぞくぞくした。
 狭い物置の中に、俺の荒い息使いと、少尉が乳首を吸っている卑猥な音と、薄い壁を通して外の
喧噪が聴こえてくる。
 みんな真面目に仕事してるのに、俺と少尉はこんなとこで、こんなことを……。
 そんな罪悪感がわいてくる。でもダメだダメだと思えば思うほど、少尉の愛撫に体のほうが敏感
になって行って……。自由に声を上げられないもどかしさが、余計に集中力を養うことにもなって、
少尉が与えてくれる気持ち良さに意識が集中してしまう。
 俺もしかして……マゾなのかな……。
 腰がひとりでに勝手に動いてしまう。足がガクガクしてくる。
 全身が快感に浸されて、俺は必死で声を殺してあえぐしか術がなかった。
「ん……?! う……ふっぅ……!」
 あ、あれ……? ちょっと待て、これって……。
82『伍長おっぱい』7:2006/11/15(水) 03:57:25 ID:???
 少尉は俺の下半身には触れていない。にも拘らず、前立腺のあたりがムズムズして、そこが勝手
にピクピクと動き出した。いつも少尉に指を挿れられてそこを弄られてるときと同じ、あの強烈な
感覚がじわじわと襲いかかって来た。
「んんッ! んーー……ッ!」
 嘘だ……、こんなこと……。俺、胸だけしか触られてないのに……!
「はッあ……! 少尉、少尉! やめて……下さいっ! あ、あぁッあ……!」
 俺は声を堪えることも忘れ、思わず少尉の肩をつかんでいた。でもどこかに理性の欠片が残って
いて、少尉を押し退けることはできなくて。少尉が痛がらないように、細い肩に手を添えることし
か出来なかった。
「ろうひら、ごひょう?」
「ひッ! ら……めぇ……!」
 口に含んだまましゃべらないで下さい!
 そう抗議しようとしたけど、俺はもう、まともに話すことすら出来なくなってた。
 下半身のムズムズが強くなっていく。前立腺が勝手に蠢いて、先走りをどんどん押し出して行く
のが分かる。下着の中はもうドロドロになっていた。
 俺の反応がさらに激しくなったのに少尉が気づかないわけがなかった。
 少尉はますます俺を煽るように激しく吸いつき、舐め上げて、もう片方の手で反対側をこね回して、軽く引っ張ったりしてきた。
「ふ…あッ……! あッ、あぁッ……! い……――」
 腰の奥底からアレがやって来た。爆風に吹き飛ばされ、天に突き上げられてバラバラになってし
まいそうな、息が詰まるあの怖い感覚が。
 その瞬間、俺は達していた。体が激しく痙攣し、腰が勝手にビクビクと動いた。
「……――ぁッ! あ、あ、あ……!」
 何度か痙攣を繰り返したあとに襲ってくるのは、全てを出し切ったあの虚脱感。
 俺は頭が真っ白になって、その場にヘナヘナと腰を落としてしまった。
「伍長?」
 朦朧とした顔で荒く息をついていた俺を、少尉がちょっと驚いた顔で見下ろしていた。
「……ご……ごめんなさい……」
 俺は無意識に謝っていた。
 少尉がそろそろと脚立から降りてきて、俺の傍に跪いた。そして左手で俺の前髪を掻きあげて、
顔を覗き込んでくる。その少尉の顔が、なんだか嬉しそうに見えた。
「伍長、もしかしてイッてしまったのか?」
 少尉のその言葉に、宙にフワフワ浮いていた意識が戻ってきた。その途端、恥ずかしいやら、情
けないやら、乳首だけでイッてしまった自分の体がショックやらで、俺はボロボロ泣き出してしまった。
「うっ……えっ……」
「お、おい、泣くな伍長……!」
 少尉がオロオロしながら俺の頭を胸にかき抱いた。
「私が悪かった。ちょっと悪戯が過ぎてしまったようだ……。謝るから泣き止んでくれ。な?」
 優しくされて余計に涙が溢れ出した。
「本当にすまぬ……」
 少尉が心底申し訳なさそうに言った。
 俺こそ少尉にそんな気を使わせてしまうこと自体、申し訳なくて。涙を止めなくちゃ止めなく
ちゃと思えば思うほど、少尉の優しさが身に染みて、余計に涙が零れてしまう。
 俺が必死で涙を止めようと苦労していると、少尉が突然何かを思い立ったように立ち上がった。
「ちょっと待っていろ! すぐに戻ってくるから動くなよ、ここにいろよ!」
 ぽかんとした俺に少尉は指差して念押しすると、バタバタと物置を出て行った。
「少尉……ぐすっ……」
 動きたくても動けません……。下着の中はヌルヌルで、お漏らししたみたいで気持ち悪い。
 きっとパンツの中は悲惨なことになっているに違いない……。今日はもう、一日ノーパンで過ご
すしかなさそうだ。あ…また泣けて来た……。
 少尉がいなくなった物置に一人残されて、途端に心細くなった。腰のランタンに手を伸ばして、
金属の感触を指で確かめたら少し落ち着いた。
83『伍長おっぱい』8(終):2006/11/15(水) 04:02:49 ID:???
 俺の体……、いったいどうしちゃったんだろう。俺ってインランだったのかな……。
 それとも、相手が少尉だからこんなになっちゃうのかな……。
 数分後、少尉が息せき切って戻って来た。
「買って来たぞ! LLサイズ!」
 どこかで聞いたような台詞に、俺は固まった。
 嬉々として俺の目の前に突き出された少尉の手に握られている物、それはパンツだった。
 しょ……少尉に気を使ってもらったあげく、パンツまで買わせてしまった……!!
 顔から火がでる思いをすると同時に、俺はとってもいたたまれなくなって、少尉に礼を述べるこ
とすら忘れていた。
 あうあうする俺を尻目に、少尉がパンツを振り回しながら俺の前に跪いた。
「さあ、伍長! これに履き替えろ!」
 言うが早いか、少尉はパニ食っている俺のコートの裾をガバッとめくりあげ、ズボンのベルトに
手をかけてきた。俺は慌ててベルトを掴んだ。
「わぁッ! ダッ、ダメです! ダメーーーー!!」
「今更何を恥ずかしがっておるのだ。パンツの中がヌルヌルのドロドロで気持ち悪かろう」
「う……」
 顔が熱くなる。恥ずかしくて死にそうだ……。
 そのヌルヌルのドロドロだからこそ、少尉の目の前で脱ぎたくなんかないんです。わかってもら
えませんでしょうか、この乙女心……。
「す……すみません、少尉……シャワー浴びさせて下さい……。気持ち悪くて……洗いたいんです」
 俺の言葉に少尉が動きを止めた。目を見開いて俺を見たあと、またすまなそうな顔で笑った。
「ああ、そうか。迂闊だったな。うん、行って来ていいぞ。伍長が戻ってくるまで、ここは私一人
でやっておくから」
 少尉はそう言って俺の手に、新しいパンツを握らせた……。

          *

 シャワー室までの地獄の道のりを歩いたあと、室内に誰もいないのを確認して俺は中へ入った。
 制服を脱いで下着を脱いだら……、白いものが糸を引いて顔が引き攣った……。
「ううっ……もう……」
 また涙が滲んできたが拳で拭い取った。
 盛大な汚れっぷりに、一瞬このパンツを捨ててしまおうかと考えたけど、衣類は貴重だ。あんま
り気は進まなかったけど、洗えば済む物を捨ててしまっては勿体ないお化けがでるかもしれない。
 そんなわけで、俺は汚れたパンツを手にして一番奥の個室に入った。
 体を洗う前にパンツを洗い、そしてやっと体についた気持ち悪いヌルヌルを洗い落とすことがで
きた。
 ホッとしてあったかいシャワーの雨に打たれていたとき、誰かがシャワー室へ入ってくる物音が
した。
 ……あれ? 今、鍵をかけた音がしたような?
 カツンカツンと床を踏みしめる音が、こっちに近づいてくる。足音に混じり、金属が擦れ合う小
さい音が聴こえた。
 この音には聞き覚えがある。短剣を下げた金具が擦れる音だ……。
 ま、まさか……。
 青くなって背後のスイングドアを凝視していると、ギギギィ〜と不穏な音を出しながら、それが
ゆっくりと開いた。
「ここで続きをやるのも悪くないと思わないか、伍長?」
 湯けむりにけぶる向こう側で、少尉が悪魔の笑みを浮かべていた――。

          【The End】
8475:2006/11/15(水) 04:03:27 ID:???
仕事しろよ、お前ら、って感じですね。
少尉、さかり過ぎ。絶倫マー君も真っ青?
お粗末様でした。
こんなもんでも楽しんで貰えたら幸いです。
85名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 04:20:32 ID:???
萌え尽きた…
伍長のおぱーいチュパチュパ少尉GJ
86名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 05:06:42 ID:???
萌えた…。
伍長も少尉もカワユスGJ!!

らめぇ禿ワロタwwwww
87名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 08:19:11 ID:???
もの凄い勢いでGJ!!
伍長の乙女心って何の違和感もなく読んでたww

同じく>>65-73の流れに萌えた者の成果物。
エロでもSSでもなくて申し訳ない。
ttp://www.uploda.org/uporg580143.jpg.html
Passはorz
88名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 10:08:45 ID:???
GJGJGJおっしゃー!
伍長可愛かったー!少尉GJ!>>87さんもGJ!
89名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 13:08:17 ID:???
>>75
GJ!
もったいないお化けてw
伍長の悶えっぷりと少尉の小悪魔っぷりがたまりません
>>87
こちらもGJ!
別にエロいわけではないのに
伍長だとなぜかエロく感じてしまうから不思議
9075:2006/11/15(水) 16:33:36 ID:???
>>85-89
皆さん、ありがとうございます。
「らめぇ」は書いてた自分も笑ってしまいましたw
乙女心…伍長本人に言わせていいものかどうか迷いましたが
他に表現のしようがなかったもので…ww

今度はオレルド×伍長ネタを引っさげて、また投下しに参ります。
次回もきっとこの調子で無駄に長いと思いますが…orz
多少の読み辛さ等はなにとぞお目こぼし下さいませ…。

て言うかSS投下してんの私だけですか…?(泣)
自給自足にも限界があるんで、どなたか次弾を…!(切実)
ぶっちゃけ次のオレルド×伍長ネタで弾は尽きてますw

>>87
GJ!!
涙目になってる伍長がテラカワユス…(*´д`*)
光の速さで保存させて頂きました!

誰か漏れが投下したSSの一場面をイラスト化してくれ
と我が儘を言ってみるw
91名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 18:07:29 ID:???
表現のしようか……乙漢心(おとこごごろ)とか?
92名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 19:53:51 ID:58+iCJGW
>>91
あ、そうか。
普通に“男心”でよかったんだ;
傍目から見れば乙女心でも、伍長にしてみりゃ男心と言い張りたいでしょうしw
男心って単語をど忘れしてたよ。
思い出させてくれてd!
9375:2006/11/15(水) 19:56:20 ID:???
しまった、ageてしもた…orz
ごめんなさい。
94名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 20:52:08 ID:???
「らめぇ」俺は萌えたぞ!!
95名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 22:12:05 ID:???
>>90
GJ!
オレルド×伍長楽しみに待ってる!
自分もSS考えてはいるんだが、伍長が絡むとどうしても
青い春系プラトニック話にしかならんのだ・・・orz
96名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 22:25:26 ID:???
>>95
マジか!?
青い青春でも泥臭い青春でも何でも来い
思い切ってやっちゃえ!
97名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 23:32:44 ID:???
(*´ω`*)久々の良スレ
応援してるよ
9890:2006/11/16(木) 05:57:43 ID:???
>>94
「らめぇ」は自分的には萎えワードなんだけど
これが不思議と伍長の場合は萌えるんだw

>>95
ありがとう。オレルド×伍長も頑張るよ。
いい加減に自分以外の人のSSも読みたくてたまらんので
なんでもいいからやっちゃいなよ!w
ここのスレの人たちはエロなんかなくても
伍長が出てれば、多分それだけで満足だと思うから。
つか、漏れがそうだしw
だからガンガレ!
9990:2006/11/16(木) 08:04:25 ID:???
連投でごめんなさい;
『オレルド×伍長』のSS、これから投下します。

また長くなりそうだったので、前に途中まで書いてたものを
先に前編として投下しますね。
オレルド視点で書いてます。
今回はこの時点で、まだエロまで行き着いてません;
あと、この伍長は少尉×伍長版の未経験伍長とは違うので
別物としてお考え下さい。
特に盛り上がりのない前編なので、つまんないかも…。
ごめんなさい……(;´д`)

では、どぞー。
100『オレルド×伍長:前編』1:2006/11/16(木) 08:05:18 ID:???
 いつだったか、俺の“ささやかな理想”ってヤツをマーチスに話したことがあった。
 それは『本当に好きな女と愛し合った翌日、二人でモーニングコーヒーを飲む』というものだ。
 そしたらこの幼なじみは眼鏡の奥のでっかい目をさらにでかくした数秒後、
 “オレルドにしては、なんというか……その、いや、ちょっと意外”
 引き攣る笑顔でそんなことを言いやがった。
 やっぱり言わなきゃよかったと後悔して、俺は「なんちゃって! 冗談じょうだ〜ん!」といつ
ものように軽い男を演じながら、ちょっとした恨みをこめて、幼なじみの背中を力を込めて叩いて
やった。
 俺のイメージってのは、軟派とか軽いとか不真面目とか女好きとか、まぁ……あまりありがたく
ないもので構成されているらしい。
 それは、うん……自分でも自覚してる部分がある。
 彼女こそ俺の運命の人だ!――そう思って口説き落として一夜を過ごし、肌を重ねて熱い体温を
分かちあっても、情熱を彼女の中に注いでしまうと、俺は嘘のように冷めてしまう。
 満足げに胸に頭を預けてくる女の顔を見て、なぜあそこまで熱くなってこの女を口説き落とした
のか、そのことすら分からなくなる。こいつと一緒にコーヒーを飲みたいなんて、全く思わない。
 体の熱を放出してしまえば、心は冷めきる。
 それがまぁ、男の生理っちゃー生理なんだが。
 それでもアフターフォローは完璧に女を夢見心地にさせたまま、やんわりと部屋から追い出す。
 望まない相手がいなくなったベッドは俺に安らぎを与える。
 それと同時に誰もいない空間の虚しさが、しんしんと胸に沁みてくる。
 何かが欠けているこの物足りなさを埋めてくれる女に、俺はまだ出会えない。
 陳腐で子供じみた理想だ。我ながら頭の出来を疑っちまう。
 朝目が醒めたとき、一緒に暖かいコーヒーを飲みたいと思う相手なんか、きっとどこにもいやし
ない――。

          *

「このシチュー、すごく美味しいです、准尉」
 目の前で俺の手料理を食べる部下が、大きな傷のある顔で笑って言った。
「そうか。こんなモンでもよけりゃ腹いっぱい食ってけ」
「はい、ありがとうございます」
 一目見れば誰もがギョッとするほどの巨体とスカーフェイスのこの部下の名前は、ランデル・オ
ーランド。階級は伍長。つまり准尉の俺より下っ端ってわけで、俺はこいつのことを“デカブツ”
と呼んでいる。デカブツはその外見に不似合いなほど、人懐っこい大型犬のような可愛い笑顔を見
せる。
 ミレイユちゃんとのデートの約束を断って、レストランの予約も取り消して、こいつを自分の部
屋へ誘い、手料理なんか食わせてやってる。
 おっと、こいつが図体に似合わず肉を食えないってのも調査済みなので、ぬかりはない。メニュ
ーはパンとトマトサラダ。それから野菜がたっぷり入ったシチューだ。
 おいおい……、俺はいったい何をやってるんだ?
 いやいや、こいつは俺の可愛い部下。家もなく橋の下に寝泊まりしていると聞けば、不憫に思わ
ないわけがないだろ。こんだけデカイ図体してやがんだ。配給される食料だけじゃ足りねぇだろう。
 いくらこいつがデカブツでも、この寒空に寝袋一丁で橋の下で寝て、風邪を引かないわけがない。
こいつが休むと、我らが吶喊少尉が心配し過ぎてヒステリー起こすんだ。そんで、俺やマーチスに
その皺寄せが来ちまうんだからよ。
 そう、こいつは俺が初めて持った可愛い部下! 部下の体調管理も上官の務めってな!
 ――……多分。
「准尉は料理が上手なんですね。そう言えば、食料配給支援任務のときもジャガイモの剥き方、す
ごく上手でした。俺、不器用だから、あれ見て、ちょっと感動してました」
 そう、こいつは可愛い部下だ……。可愛い……――ちくしょう、可愛過ぎる……。
「准尉? どうしたんですか……?」
 相当な間抜け面を晒してデカブツを見ていたのだろう。デカブツが心配そうに首を傾げて呼ぶ声
に、俺は我に返った。俺はドギマギしながら、必死で冷静を装う。
「バ、バカかお前は。たかがジャガイモだろうが、大したことねぇよ」
101『オレルド×伍長:前編』2:2006/11/16(木) 08:05:56 ID:???
「そう……でしょうか。俺は、感動しました」
 だからデカイ図体して、その愛玩動物のような仕草と眼差しはやめろ!!
 こんなに心臓に悪い食事なんて、生まれて初めてだぜ。
 ……って、なんで俺はデカブツなんかにドキドキしてんだ?
 そのとき俺はデカブツがスプーンを置いたことに気づいた。シチューもトマトサラダもパンもま
だ半分以上は残っているというのに。
「なんだ、遠慮しないで全部食っていいんだぜ」
「いえ……もう、お腹いっぱいです」
 下がった眉毛をさらに下げて、デカブツはあのどこか寂しそうな、それでいて人懐っこい微笑を
向けてきた。
「はぁ? そんなデカイ図体して、それだけで足りるわけねぇだろ」
 顔を歪めて俺が言うと、デカブツは困ったように微笑してうつむいた。
「いえ、もう本当に……。俺、少しの量でも大丈夫なように……なってるんです」
 デカブツの物言いに俺は、“食糧難のこのご時世、少しの量しか食べられずに胃が小さくなって
少食になった”と言う意外のニュアンスを感じ取った。
 そう言えばこいつは軍の食堂でも俺たちと同じ量か、それ以下の量しか食っていなかったことを
思い出した。
 そして脳裏に浮かんだのは、カウプラン機関の名前、それからデカブツが所属していた“不可視
の9番”と言われている存在しなかったことになっている部隊のこと。デカブツの異常なほどの戦
闘能力、そして常人を遥かに凌駕するほどの生命力の強さと、傷の回復力――。
 俺が知らないことは、まだまだたくさんある。
 いや、俺はなにひとつデカブツのことを知らない……。
 そう思った途端、腹の底に例えようのない不快感が湧いてきた。知らないことが多過ぎる、その
ことが俺を無性にイラつかせた。
「あの……准尉。残ったもの、持って帰って……猫にあげてもいいですか?」
 デカブツが申し訳なさそうに言った。
 そう言えば、こいつは橋の下で野良猫と共同生活してるんだったか。
 だけど俺にとっちゃ、猫のことなんざ、どうだっていい。
「……腹が減らないわけじゃねぇんだろ」
「はい……?」
「それっぽっちの量で栄養は足りるとしても……お前の体がそういう風になってるとしても、お前
の欲求的にはどうなんだ。物足りなくねぇのかよ」
「……でも、まだまだ満足に食べられない人もたくさんいますから。俺は、必要な分を食べられる
だけでも、幸せだと思います……」
 イラッとした。俺は手元のワインを一気に喉に流し込んだ。
 デカイ図体してるくせに臆病で、優しくて繊細で、本当は戦えもしないくせに満身創痍になって
生身のままで戦車に立ち向かい血を流してまでも、戦災復興を目指して頑張るコイツ。
 かたや、女と見れば口説き倒し、デートだプレゼントだと精を出し、軍人の特権はフルに利用、
お気楽小隊の名前にあぐらをかいて命のやりとりをすることはおろか汗水垂らすことさえも避けて、
腹いっぱいメシも食ってる俺。
 釣り合わない――そう思った。
 そして自分を犠牲にしてまで他人のために命を投げ出そうとするデカブツが、無性に俺をイラつ
かせた。
 マーチスに意外だと呆れられても、ささやかな理想を叶えられる相手を探して女から女を渡り歩
いても、軍人の特権フル活用で小狡いことをしたとしても、毎日パンを食えたとしても、それのど
こが悪い。
 だってこれが俺なんだ。デカブツみてぇな聖人君主になろうとも、なりたいとも思わねえ。
「あの……っ、准尉……。怒ってます……?」
 デカブツが顔色をうかがってきた。飼い主に叱られた犬が、キュ〜ンと鼻を鳴らしてすり寄って
くるような顔で。
「怒ってねぇよ」
 俺は仏頂面で応えて、二杯目のワインを煽った。
「怒ってるじゃないですか……」
102『オレルド×伍長:前編』3:2006/11/16(木) 08:06:30 ID:???
 ションボリと肩を落とし、デカイ図体を小さく縮めるデカブツ。伸び放題の前髪から覗く臆病で
優しい瞳が、心配をあらわに俺に向けられた。
 俺は三杯目のワインをグラスに注ぎ、それを口に持って行こうとしてやめた。グラスをテーブル
の上に置き、俺はきつい眼差しでデカブツを睨みつけた。
「出された物は全部食え。パンのひと欠片も残すな」
 デカブツの顔が泣きそうに歪んだ。俺に助けを求めるような目を向け、それから皿の上に乗った
料理を見て、それからまた俺を見る。
 俺は一歩も引かない決意をこめて、黙ってデカブツを睨みつけたままだ。
 やがて、デカブツはフォークを手に取ってサラダを食べ始めた。
 そのとき、グッドタイミングと言うべきか、それともバッドタイミングと言うべきか、窓の外で
近所の野良猫が鳴いた。
 デカブツがハッとしたように手を止めて、背後にある窓を振り返った。それからまた顔を戻し、
悲しげな顔でシチューとパンを見つめた。
 その様子を見て、俺は何をムキになってるんだと自分に対してげんなりした。デカブツに対する
罪悪感にじわじわと責められて、俺は溜息を吐いて言った。
「心配すんな。お前が相当食うだろうと思ってたからよ、まだあと二人分は余裕がある。猫に持っ
て帰ってやれる分はあるから、安心してそれは全部食え」
「准尉……」
 デカブツの顔に嬉しそうな笑みが広がった。
 ああ……だからよせって、その愛玩動物のような可愛い笑顔はよ……。
「あ、ありがとうございます、准尉」
「いーから、食えって」
 煩わしそうに言った俺に、デカブツは無邪気に笑いかけた。
「はい……! いただきます!」
 残っていたシチューを食べパンを完食する。それでも量的には俺と同じぐらいだ。それからサラ
ダを平らげたとき、デカブツが口をモグモグさせながら俺に向かってサラダの皿を差し出してきて言った。
「准尉、おかわり、下さいっ」
 その笑顔を見て、俺の中でコイツに対しての愛しさがドッとこみ上げてきた。しかしそれと同時
に、体の芯が別の熱さに支配されたのも感じた。
 そのときになり俺はようやく、デカブツに対して自分が何を求めているのかに気づいた――。

          *

「なあ、デカブツ」
「はい、なんでしょう、准尉」
 食後、二人で後片付けを済ませた俺たちは、再びテーブルに戻って食後のコーヒーを飲んでいた。
「お前さ、女抱いたことあるか」
 俺の質問に、デカブツは口に含んだコーヒーを盛大に噴き出した。
 予想はついていた反応だ。俺はデカブツの正面に座っていたが、上半身をサッと横に傾けたので、
デカブツが噴いた熱いコーヒーの飛沫を浴びることは免れた。
「なっ…、な……、す、すみま……」
 デカブツは耳まで真っ赤にしてダラダラと汗を垂らし始めた。
(うぶなヤツ……)
 俺はコーヒーをすすりながら、片手でテーブルを拭いて、さらになに食わぬ顔で訊く。
「お前のアレ、LLサイズの尿瓶をぶち割っちまうほどの大きさなんだろ」
「えっ…! あ、いや……その……、あ……」
 デカブツはますます顔を赤くしてうつむき、居心地の悪そうに下を向いてしまった。
「そんなんでちゃんとセックスできんのか?」
 もはや言葉も失い、デカブツは無言のままさらに下を向いて、猫背をさらに丸めてしまう。テー
ブルに隠れて見えないが、膝に置かれたその手がズボンの布地をギュッと握りしめていることも容
易に察しがついた。
 俺が黙ってコーヒーを飲んでいると、デカブツはやがて意を決したように、だが蚊の鳴くような
声でポツリ、ポツリと話し始めた。
103『オレルド×伍長:前編』4:2006/11/16(木) 08:07:13 ID:???
「……無理、だったんです……。何度か……そういうチャンスは……あったんです……けど……」
 そのあとは声にならなかった。恥ずかしさのあまり、唇をようやく動かすだけで精一杯のようで、
声に出せなくなってしまったようだ。
「ふぅん」
 俺はデカブツを傷つけないように、素っ気なく返す。
「女のほうが痛がったり怖がったりして、最後まで及べなかったってわけか」
 デカブツが小さく消え入るように「はい」と応える。
「……可哀相で……」
 涙目になってるのが、前髪の陰から見えた。
 こいつらしい、と俺は思った。
 誰よりも立派なブツを所有しておきながら、立派すぎるあまり使い道がないときた。気の毒だと
思う反面、こいつの子供のような純粋さが色濃く残っている理由もなんとなく納得できた。
「ま、そう気に病むこたぁねぇよ。女のサイズも色々だからな。深いのやら広いのやら色々いるか
らよ。そのうちお前のサイズに合う女が見つかるさ」
 心にも無いことを言う俺。下手過ぎる慰めだ。デカブツのサイズを受け入れられる女が、これか
ら先に現れるかどうかなんて、本当、どうでもいい。
「………………はぃ」
 俺の本心を知るよしもなく、デカブツはテーブルにひたいを擦りつけそうなほど縮こまり、小さ
くうなずいた。
 でも俺が本当に訊きたかったのは、こんなことじゃない。これから俺がデカブツにする質問は、
俺がこれからやろうとしていることに対して、どうしても訊いておかなくちゃいけないことだった。
 俺はしばらく黙ったままコーヒーを飲んだ。
 シンと静まり返った部屋に時計の音だけがコチコチと響く。女と一緒にいるときは、間無ししゃ
べっていなくては落ち着かない俺だったが、デカブツといるこの空間では静寂さえも心地良く感じ
た。
 デカブツが恐る恐る顔を上げ、視線を泳がせているのが視界の端に映る。急に黙りこくってし
まった俺に気まずさを感じているのだろうか。落ち着きの無い目の動きが、必死で話題を探してい
ることを物語っていた。
「えと……あの、准尉」
「なんだ」
「准尉は本当は……物静かな人だったんですね」
「あん?」
 片眉を上げて見ると、デカブツはニコッと笑った。
「三課では、その……ムードメーカーって言うか……」
「おしゃべりだってか?」
「羨ましいです。俺……口べただから。准尉がいるだけで、こう……周りがパッと明るくなる……
っていうか。いいなぁ……って」
「あのなデカブツ。もうひとつ訊きたいことがあんだ」
「は……?」
「お前、戦場に出てたときな、男のほうの経験はあったのか?」
 デカブツがギクリと肩を揺らして顔を上げた。その目が大きく見開かれている。
 女の経験があるかどうかを訊いたときとは、まるで違った反応だった。
 デカブツの顔から血の気が失せている。唇がわなわなと震えたかと思うと、デカブツはそれを
グッと噛み締めて、またうつむいた。
 そしてデカブツは小さくうなずいて、ポツリと言った。
「役に……立ちたくて……」
「どういう意味だ」
「みんな疲れてました……。毎日、仲間が死なない日なんて、ありませんでした……。みんな……
脅えてました。明日は自分が……戦車の砲撃で、ばらばらに……吹き飛ばされるんじゃないか……
って。だから……俺……――」
 デカブツの肩が小さく震えている。
 俺は黙って、デカブツの話を聞いた。
「俺……人を殺すだけしか……能がないから……――」
 デカブツの声が潤み始めた。頬を伝う涙が見えた。
104『オレルド×伍長:前編』5:2006/11/16(木) 08:07:49 ID:???
「大切な……仲間だったから……っ、だから……俺……、役に立ちたかったんです……」
 デカブツがグスッと鼻をすすりあげ、分厚い手袋をしたままの掌で目元を拭った。
「必要とされてたのか……?」
 俺が訊くと、デカブツはうなずいた。そしてまた今度は反対側の目を拭った。
 俺にはそれで全てが分かった。
 戦場の女日照りで、兵隊同士がお互いの性欲を発散し合うなんて話は、当たり前のように転がっ
ているんだ。
 明日死ぬかもしれない兵隊たちは、死への恐怖から逃れるために人の肌を求め合う。それほど彼
らは極限の状況に追い込まれる。一時だけでも恐怖を忘れたい一心で、これで最後になるかもしれ
ない人肌の暖かさを求め、同性同士で肉体関係を持つことを、誰が責められるだろう。
 本来なら線の細い、少しでも女に近い男を相手に選ぶだろう。デカブツのような屈強な野郎なら
“兄貴側”に回るんだろうが、生憎こいつには変な魅力がある。守ってやりたい、可愛がってやり
たいという保護欲をかき立てられちまう。同時に、純粋なものを穢したいという嗜虐心までをも。
 そのことは、今俺が身をもって感じていること。
 おそらくこいつのブツのサイズからして、女のものより狭いケツ穴にぶち込むなんて殺人行為だ。
よほどのマゾか“真性”でも無い限り、こいつのブツを挿れたがる野郎なんていない。
 だからこいつは多分“女役”専門だったんだろう……。
 同じ男としてデカブツのことを哀れだと、心から思った。同情した。
 だけどそれは良心と言う名の建前の感情だった。本心で俺は、心の内で快哉を叫んでいた。
 最低なヤツだ……俺は。
 コチコチと時計の音だけが響く静かな部屋に、デカブツの声を押し殺した嗚咽が加わった。
 俺は静かにコーヒーカップをテーブルへ戻し、椅子を引いて立ち上がった。
 デカブツの傍へ歩み寄り、背後に立った。俺は窓のほうを向いて、デカブツに背を向ける。そし
て震える肩に手を置いて、俺は言った。
「シャワー浴びて来い」
 震える肩がギクリと強張った。デカブツが息を呑んだのが掌に伝わってきた。
 ――どうしてですか。
 そう訊いてくれ。
 ――最低です、准尉。
 そう罵ってくれてもいい。
 何も言わずに立ち上がって、そのまま部屋を出て行ってくれてもいい。
 そうしたら俺は明日の朝、三課でデカブツと顔を合わせたときヘラヘラ笑いながら、こう言える。
 ――昨日はすまん! 冗談が過ぎたよな。反省してる。いや、ホントに。ちょっと図に乗り過ぎ
ちまった。
 俺は……お前を傷つけたくない。冗談で済ませられるなら、そのほうがいい。
 でも、そう思う一方で拒絶されることを、ひどく怖がっている俺もいた。
 デカブツがゆっくりと立ち上がった。俺は肩から手を退けて、目だけでデカブツを見た。
 猫背の広い背中が目の前にある。俺の背中よりも、ずっとずっと広い背中が。だけどそれは、俺
なんかより、ずっとずっと脆く小さく見えた。
 デカブツがテーブルと椅子の狭い空間から出てくる。足元に置いてあった荷物を持つと、すすけ
たフローリングの上を歩き出した。軍用ブーツの厚い靴底がゴツン、ゴツンと重く鈍い音を立てて
遠ざかって行く……。
 俺は目を閉じた。自然と笑みが漏れた。自嘲の笑みだ。それでいて、これでよかったんだと安心
する、安堵の笑みでもあった。
 俺はデカブツの靴音を背中で聞きながら、窓の外に目を向けた。暗い空に浮いた月が、俺を嘲っ
ているように見えた。
 なんて、感傷的すぎるか……ちぃとな。
「准尉」
 デカブツの声に、俺は振り向いた。その顔は怒っているようにも見えないし、絶望しているよう
にも見えない。相変わらず、あのちょっと寂しげで人懐っこい笑みを浮かべているだけだ。
 ああ、分かってる。それがお前の優しさだよな。俺が明日フォローするまでもなく、お前は今の
俺の台詞を聞かなかったことにしてくれた、そういうことだ。
「いいですよ、俺でよければ」
「……な――」
105『オレルド×伍長:前編』6:2006/11/16(木) 08:09:53 ID:???
 俺は我が目と我が耳を疑った。
 デカブツはサラダをおかわりしたときのように無垢な笑顔で言う。
「俺、慣れてるから、大丈夫です」
 何を言ってるんだ、こいつは?
 俺は自分でデカブツを誘っておきながら、デカブツの反応に思いっきり戸惑った。いや、戸惑っ
たというよりも驚愕した。
 俺はお前に書類整理を頼んだわけでもないし、荷物運びを言いつけたわけじゃないんだぞ。わか
ってんのか? 俺が……俺が言ったことは……――。
「シャワー……それから、便所も借ります」
 デカブツは荷物運びを頼んだときと同じように、ほがらかに、だが少しだけ恥ずかしそうに微笑
んで、荷物を持ったままバスルームへ向かって歩き出した。
「デ……デカブツ!」
「はい?」
 思わず呼び止めてしまった俺を振り返り、デカブツはニコッと微笑みかける。
「……タオルは、左の棚にあるから」
「わかりました。お借りします」
 思わずいつもの癖で女にかける台詞を口走ってしまった俺……。
 デカブツはバスルームのドアを開け、頭をぶつけないように少し屈んで中へ入って行った。
 しばらくして、シャワーの水音が聞こえてきた。
 俺は呆然としたまま部屋の隅に置いてあるベッドへフラフラと歩み寄った。途端に体から力が抜
けて、俺は腰を抜かすようにしてベッドの上に腰掛けた。
 無意識に手が伸びて、ベッドサイドに置いてあるラジオのスイッチをひねる。煩くもない静かす
ぎもしないちょうどいい音量で、ムーディーなスローテンポのジャズが流れてきた。
 これもいつもの癖だった。女がシャワーを浴びている間に、俺はムード作りに余念がない。
 だけど……だけどわかってんのか、おいオレルド。相手は可愛い女の子じゃねぇ、俺よりもデカくてゴツい男なんだぞ。身長は二メートル半、顔にでっかいサンマ傷のある、どっからどう見ても華奢で柔らかい女の子からは程遠い生き物なんだぞ。
 しかも……俺の部下だ……――。

          【つづく】
106名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 08:10:44 ID:???
後編はこれから書くので、しばらくかかると思います。
気長にお待ち下さい。
続きにしたまま放置なんて、他の方がSS投下しにくい状況を
作ってしまったかな……。ごめんなさい…(;´д`)
言わずもがなですが、続き投下まで待ってなくてもいいので
SSネタのある人は先にどんどん投下しちゃって下さいね、
お願いします!
107名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 09:20:50 ID:???
>>106
(*´д`*)gJ!!
後編期待してるよ!!
108名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 11:09:09 ID:???
>>106
GJ!
今までこの二人のは読んだことがないので新鮮
続きを楽しみにしてる
109名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 11:49:03 ID:???
GJ
伍長かわいいよ伍長…
110名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 15:10:41 ID:???
GJ!!
続き楽しみにしてます
111名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:15:38 ID:???
俺もSS投下したくなってきた
112名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:27:05 ID:???
伍長「あの、よかったら>>111さんの話、聞かせてください。
俺、楽しみに待ってますから」
113名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:58:55 ID:???
>111
して下さいして下さい!!
楽しみにしながら全裸で待ってます!!
114名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:08:19 ID:???
全裸で待たれても困るw
まだ完成してないし、他の職人の投下を前に下手なもん出せないから、
次の機会にさせてくだちい。
115名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:14:38 ID:???
>>114
下手なもんとか、そんなこと考える必要はないと思いますよ?
多少ネタが被ってても気にしなくていいと思います。
書き手に伍長が好きだっていう気持ちさえあれば、読み手のほうは喜んで読みますよw
全裸では風邪引きそうなのでパンツだけは穿いて待ってることにしますw
完成まで頑張って下さいね。
116名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:18:00 ID:???
プレッシャーかかってしまった
(;´Д`)デモガンガリマツ
117名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:25:17 ID:???
全裸で正座して待つ伍長を思い浮かべた
118名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:30:48 ID:???
「あのぅ…少尉…いつまでこうしていれば…」
「私に恥をかかせた罰だ!今日一日はそのままだと思え!」
とかいうのを想像してしまった。
119名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 21:33:33 ID:???
そ…その全裸で待つ伍長の首には
ぜひ大型犬用の首輪を……ハァハァ(*´д`*)
120名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 00:56:43 ID:???
その首輪からのびる
鎖の先を握っているのは、レオ様であってほしい!
それでネチネチ伍長を追いつめてほしい・・・っ!!
121名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 02:23:03 ID:???
伍長ってお手って言われたらしそうだよね。
122名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 04:20:09 ID:???
しかも絶倫ファイアーです
123名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 05:14:43 ID:???
>>100-105の『オレルド×伍長:前編』の後編、これから投下します。
なんだか次弾を投下しにくい状況を作ってしまったようなので
休み一日潰して超特急で書き上げました;
表現のおかしい所、誤字脱字等があったらすみません。
一人でスレを占領してしまった感じになって、
まことに申し訳ありませんでした;

では、どぞー。
124『オレルド×伍長:後編』1:2006/11/17(金) 05:15:32 ID:???


 あれからどれぐらい経ったんだろう。
 五分ぐらいしか経ってないような気もするし、三十分は経ったみたいな気もする。ラジオから流
れるジャズのスローバラードに混じり、バスルームからシャワーの音が小さく響き続けていた。
 あいつは……デカブツは今いったいどんな気持ちでシャワーを浴びているんだろうか。
 俺のことを軽蔑してるんだろうか。
 それとも、こんなことは戦場で女役を経験してきたあいつにとってはごく当たり前のことで、仕
方のないこととして受け入れたんだろうか。
 ……ていうか、俺は本気でこれからデカブツとセックスするつもりなのか? 俺は男色じゃねぇ。
デカブツ相手にちゃんと勃つのか? 自分から誘っておきながら勃ちませんでした、なんてことに
なったら目も当てられねぇぞ。
「准尉」
「…………!」
 急に傍でデカブツの声がして、俺は飛び上がるほどに驚いた。
 ハッとして顔をあげると、いつの間にかデカブツがそこにいた。デカブツは腰にタオルだけを巻
いて、腕に着ていた服をかけ、荷物を持っている。濡れた髪から落ちる雫が肌に落ち、傷だらけの
体の上を流れていた。
「すみません、待たせちゃいましたね」
「いや……」
 俺は手を伸ばし、デカブツの手をそっと掴んだ。瞬間、デカブツがビクッと体をすくませた。が、
すぐに落ち着きを取り戻したようで、腕にかけていた衣服と荷物を床に置いた。
 俺に手を引かれるままに、デカブツが俺の前に立つ。
 デカブツの裸を見るのはこれが初めてじゃない。一緒に着替えたり、こいつがよくケガをするの
で包帯やガーゼの貼り替えを手伝ってやったこともある。
 だから見慣れた野郎の裸を見た所で、何も感じるものはないと思ってたんだが……。
 濡れた髪、雫が流れ落ちる傷だらけだが滑らかな肌、細身の体をおおう引き締まった筋肉、そし
て穢れを知らぬかのような淡い色の乳首……。
 ごくり、と俺の喉が飢えた音を立てた。
 俺は静かにデカブツの腰の後ろに腕をまわし、デカブツを引き寄せてベッドに座らせた。
 そして俺は立ち上がりながらデカブツの肩を押し、ベッドに横たえさせる。
 横になっていきなり不安が襲って来たんだろうか。今までの余裕がデカブツの顔から消えた。不
安げに眉を下げ、握りしめた拳を胸の上に置いている。
「どうした」
 俺がデカブツの顔を上から覗き込みながら訊くと、デカブツは視線を合わせないように目を逸ら
して小さく言った。
「明かり……消さなくてもいいんですか?」
「消したほうがいいか?」
「いえ……それは……准尉の好きなように……」
「お前はどうしたいんだ」
「俺は……どっちでも。ただ……明るいと相手の顔や姿が、よく見えますよ?」
 デカブツの言っている意味がわからなかった。
「それと……あの、声は……出さないほうが、いいですか?」
「……お前」
 その言葉に、俺は全てを理解した。
 暗がりでやってりゃ相手が男でも、女を抱いているつもりになれる。声も同様に、我慢させてお
けば女とやってる錯覚に陥れるのかもしれない。要は“挿れる穴はどっちでも同じ”ってわけだ。
 女の経験もないまま戦場で女役にされたデカブツは、男たちの趣味や趣向を自然と覚え、それに
応えられるように調教されてきたんだろう。
 だからデカブツにとって男から体を要求され、差し出すことはごく当たり前のことなんだ。
 そのときの相手の好みに応じることも、自然と覚えさせられた……ってわけだ。
 そのことに気づいて、胸がむかついた。ヘドが出そうになった。
「戦場では……そんな奴らばっかだったのか?」
 俺は怒りを押し殺して訊いた。
 デカブツが俺を見た。一瞬きょとんとした、あの無垢ないつものデカブツの顔になる。
125『オレルド×伍長:後編』2:2006/11/17(金) 05:16:14 ID:???
 だけどその顔に再び哀しげな微笑が浮かんだ。全ての苦しみと痛みと悲しみを経験して来た、見
てるこっちが胸を締めつけられるような笑顔だった。
「いえ……。中にはそんな人もいましたけど……ほとんどの人たちが優しくしてくれました」
「そうか……」
 デカブツはつらい思いばかりしてたわけじゃない。そのことを知って俺はホッとした。
 だけど同時に、大勢の男がこいつを抱いたという事実を突きつけられて、頭に血が昇ってこめか
みがズキッと痛んだ。
 間違いなく、俺はこの瞬間、顔も知らない奴ら……しかもとっくに死んじまってる奴らに嫉妬し
ちまったんだ。
「俺は女の代わりにお前を誘ったわけじゃねぇぞ」
 俺は言った。デカブツの目を正面から見つめて。
「明かりは消さねぇ。声は、お前が感じてるなら出せ。感じてないのに無理して出さなくてもいい」
 デカブツがちょっと驚いたように目を見開いた。少し混乱しているように、視線が俺の顔の上を
不安げに泳いでいる。
 俺はデカブツの顔に少しずつ、自分の顔を近づけて行った。
 俺の唇がデカブツのそれに触れそうになった瞬間、デカブツが慌てて顔を逸らした。
「ダ……ダメです准尉……!」
「おい……ここまで来て今更なにを……」
「キスは……本当に好きな人としか、しちゃいけません……」
 まだ、わかってねぇのか、この……
「……バカがっ!」
「准……うっ!? んんっ…!」
 俺は怒りに任せてデカブツの髪を乱暴に引っ掴み、食いつくように唇を奪った。
 デカブツがビクンと身を震わせた。俺を押し退けるように胸に手を当ててきたが、そこで動きは
止まった。代わりにデカブツは歯を食いしばっていた。
「口……開けろよ……」
 唇を少しだけ話して俺は囁いた。デカブツは唇をギュッと引き結んだまま、小さく嫌々と顔を横
に振る。デカブツの目に涙が滲んでいた。その目はただひたすらに悲しみをたたえていた。
 それは自分が嫌悪しているからではなく、むしろ俺のほうを守ろうとしている風に見えた。
 なんだ、そりゃ……。ちくしょう……!
 そうかよ、そっちがその気なら口を開かずにはいられないようにしてやらぁ。
 デカブツが顔を背けられないように片手でがっちりと濡れた髪を掴んで、もう一度デカブツの唇
に食いついた。それはもう、キスなんて呼べる甘いものなんかじゃない。俺は女に、これほどまで
に乱暴なキスをしたことがない。
 もう片方の手で傷だらけの体に指を這わせた。左肩の大きくえぐれた傷痕に触れると、デカブツ
がビクンと体を震わせ、声を漏らした。
「んっ…!」
 一瞬、デカブツが痛がっているのかと思ったが、もう一度そこをなぞって確かめたデカブツの反
応に、痛みとは真逆にある感覚を感じていることを、俺は知った。
「んむぅ…! んッ…!」
 なるほどな。傷痕ってやつぁ敏感らしい。ってことは、無数の傷におおわれたこいつの体は感じ
所がいっぱいってわけだ。
 俺はデカブツの傷痕をひとつひとつ、丁寧にじっくりと愛撫した。刀傷、銃傷、爆傷、刺傷……
この世にある“傷”を表す言葉の全てが、デカブツの体に存在しているように思えた。
 やがて傷を辿って行った指先が、デカブツの逞しい胸の頂点に達したとき、
「…っあ! あぁ…!」
 デカブツが堪え切れずに声を放った。
 俺はその隙を逃さなかった。歯の隙間から舌をねじこんで、デカブツの舌を絡めとった。
「んぅっ…! んー……っ!」
 俺の胸に当てられていたデカブツの手が拳を作り、シャツを握りしめた。
 俺はデカブツの舌を吸い、唇を吸った。きれいに整った歯に舌を這わせ、デカブツが飲み込めな
くなって溢れてくる唾液を吸った。獣のように。
 何時間でもこうしてられるような気がした。
 だがデカブツがずっと息を止めていたことに気づいた俺は、慌てて唇を離した。
126『オレルド×伍長:後編』3:2006/11/17(金) 05:17:00 ID:???
「……ッは! はぁっ…! はぁっ……!」
 デカブツがあえぐように息をする。赤く染まった頬に涙が零れ落ちる。潤んでとろんとした瞳が、
俺に向けられていた。
 ぞくぞくした。勃たなかったらどうしようと悩んでいたのが嘘みたいだった。今ではもう、俺の
股間のモノはズボンの前を大きく盛り上げていた。
「息しろよ、デカブツ……」
 俺は思わず苦笑を漏らした。
「すみませ……」
 デカブツが胸を大きく上下させながら、小さく言った。
 何人もの男をくわえこんだ割には、こいつの純情さは全く失われることはなかったんだな。
 そう思ったら、口では言い表せないほどの愛情が、胸にこみ上げてきた。優しくしてやりたいと、
心底から、そう思えた。
 キスは本当に好きな人としか……か。
 デカブツが言った言葉は、まんざら間違いでもないと思う。これほどキスしたいと思った相手は、
今の今までいなかったんだから。
 俺にとってのキスは、女の心の門を開くための鍵のようなもんだった。女を落とすためのテク
ニックの一環ってだけだった。キスで女を蕩けさせ、心も体も開かせたら、今度は手を使っての次
のテクニックに移っていただけだ。
 本能を揺さぶり、体の奥底から湧き上がる愛情に突き動かされてしたキスなんて、本当にこれが
初めてだった。それを考えたら、今までのセックスなんてただの性欲処理にしか過ぎなかったこと
を痛感した。だからどの女とも長続きしなかったんだ。
 たかがキス、されどキス。
 デカブツとのキスひとつで、こんなにも色んなことが見えてくるなんてな……。
 俺はまた口づけた。今度は優しく、軽く唇に触れる程度だったが、デカブツが怯えたように小さ
く震えた。俺はデカブツの首に腕をまわし、抱きしめた。
「怖がるな……優しくする……」
「准尉……」
 俺の肩口に顔を埋めた格好になっていたデカブツが、おそるおそる、腕を動かした。デカブツの
太い腕が、まるで壊れ物を扱うみたいに慎重に、俺の背中に回される。
 デカブツは俺に抱きつき、肩に顔を埋めて、そして小さくうなずいた。
 俺はデカブツの首にまわしていた腕を解き、体を起こした。デカブツの腹の上に馬乗りになった
格好でシャツを脱ぎ捨てた。
 そしてベッドから降りてズボンに手をかけたとき、デカブツの手が俺の手に重なって来た。
「デカブツ……?」
「じっとしてて下さい……」
 デカブツが俺のベルトを緩め、ズボンのホックを外しチャックを下ろして行く。ズボンと一緒に
下着を引きずり下ろされ、すでにはち切れんばかりになった俺の息子がのびのびと体を伸ばした。
 デカブツが潤んだ目で俺のモノを凝視している。
「准尉……おっきいですね……」
 そりゃまぁ、これで泣かなかった女はいねぇからな。
「お前のよりは小せぇけどな」
 俺がそう言って笑うと、デカブツは困ったような上目遣いで俺を見上げた。
 そしてデカブツは俺のモノに手を伸ばして来た。デカブツがゆっくりと顔を近づけてくる。
 ――おい、まさか……。
 そのまさかだった。デカブツは俺のモノを口に含んで来た。
「う…わっ……」
 ぞくぞくとした強烈な快感が背筋を駆け抜ける。舌先で亀頭の先をくじられ、カリをつつかれ、
竿に吸いつかれ、全体をしゃぶりあげられる。
 ――すげぇ…! こいつ、上手ぇ……!!
「く…あっ、デカブツ……っ」
 フェラごときでこの俺がここまで感じさせられるなんて……。
 そうか、こいつは男の相手ばっかしてて、自分も男だから感じ所ってのがわかんだな……。
「ん……っ、ん…」
 デカブツは小さく声を漏らしながら、俺のモノを夢中でしゃぶっていた。
127『オレルド×伍長:後編』4:2006/11/17(金) 05:17:36 ID:???
 先端を深くくわえ込まれ、先がデカブツの喉に当たるのが分かる。デカブツが声を上げるたびに
喉が震えて、えも言われぬ快感が腰で暴れ回った。
「くっ……、デ…デカブツ……」
 信じられねぇ思いでいっぱいだったが、自分でも止められないぐらい先っぽから我慢汁が噴き出
してんのがわかった。
「んっ……、んむ……っ」
「く……くち、放せ……、も……出る……!」
 だがデカブツは夢中になっていて俺の声が聴こえないのか、それともあえて放さないのか、俺の
モノを懸命にしゃぶり続けている。
 ――あぁ、ちくしょう……! もうダメだ……!
 俺はとっさにデカブツの頭を手で押した。
 だが一瞬遅く、俺の愚息が爆発し、あろうことかデカブツの顔に白いものをぶちまけちまった。
「しまった……、す……すまねぇ……」
 俺は口なんかで、しかもこんな短時間でイかされたという軽い敗北に苛まれた。だけど同時に、
今まで経験したことのないような深く濃い快感に全身が満たされているのがわかった。一度出し
たってのに、俺のソコは全く萎える気配もなく、未だに先っぽからザーメンを吐き出してやがる。
 デカブツが俺のザーメンまみれになった顔で、うっとりと俺を見上げて来た。
「いいんです……。まだこんなに出てますよ……准尉……」
「んむっ……!」
 デカブツの舌先が先端から流れ出るザーメンを舐めとって行く。
 バカでのろまで幼稚さを残した普段のこいつからは、想像もつかなかった姿だった。これが“調
教”の結果にしろ、こいつがもとから持ってたものだったにしろ、その普段とのギャップがさらに
俺を興奮させていくことは否めなかった。
 デカブツは一向に萎える気配を見せない俺の愚息を、丹念に舐め回している。きれいにしようと
してくれているらしいが、先っぽからは再び我慢汁がにじみ出ている。
 このままじゃ二度目もフェラでイかされちまいそうだ……!
「おい、もういい。お前フェラだけで済まそうとしてんじゃないだろうな?」
 俺がデカブツの頭を押しやると、デカブツはとろんとした顔で俺を見上げて来た。
「……挿れたいですか?」
 ぞくっとした。こいつ、なんて色っぽい顔しやがる……!
 こいつの隠された一面を見たような気がして、俺は一瞬だけ気圧された。
 だが次の瞬間、俺の中に湧いたのは明らかな闘争心だ。このままいいように、デカブツにいい思
いさせてもらうばっかにゃいかねぇ!
「ああ……挿れてぇ……」
 俺はデカブツをベッドに押し倒した。二人分の男の体重を支え、しかも一人が二人分はあるんだ
から安物のベッドのスプリングがギシッと悲鳴を上げた。
 俺はデカブツの上に覆い被さった。乳首を吸うと、デカブツがビクンと腰を跳ね上げた。
「ふ…っん……! く……あっ……ぅ」
 デカブツは顔を真っ赤にして涙目になりながらあえいだ。その顔や仕草が可愛くてたまんねぇ。
「あぁ……、あっ……、ん……っ!」
 俺は口でデカブツの乳首を吸い、舌先で先端を転がし、軽く歯を立てたりした。左手でもう片方
の乳首を弄る。デカブツの反応が徐々に大きくなって行く。
 そうしながら空いた手を下半身にやり、腰にまかれたタオルを剥ぎ取った。
「……ッ!」
 デカブツが一瞬、ハッと息を呑んだ。赤い顔がさらに赤くなった。そして乳首を貪っている俺の
頭に手をやってきた。
「准尉……やっぱり……明かり、消して下さい……」
 真っ赤な顔で涙目で懇願してくる。
 フェラまでしておきながら、自分のモノを見られるのを恥じらうってのか。
 お前いったいどこまで……可愛いんだよ、ちくしょう! そんなお前を暗闇に隠すなんて、
もったいねぇ。
「明かりは消さねぇと最初に言っただろ」
「で……でも……」
 俺はデカブツの股間に目をやった。
128『オレルド×伍長:後編』5:2006/11/17(金) 05:19:15 ID:???
 でけぇ……。俺の三倍はあるかな……。
 確かにこんなモン挿れられた日にゃ、男も女も再起不能だぜ。
 俺は一瞬、デカブツのモノもちゃんと大きくなっているのか不安だった。デカブツが本当は俺に
抱かれることを嫌悪していて、俺を受け入れた振りをしてくれてるだけだったら……って。
 確かに“尻を貸してもらうだけ”なら、デカブツが気をやってるかどうかなんて、どうだってい
いんだろうが……。
 だけど、デカブツの一物を見て、俺は安堵すると同時に嬉しくなった。それは今にもはち切れん
ばかりに天を衝いて勃っていた。先端はすでに、先走りで濡れ光っているのが見て取れた。
 試しに手で握ってみる。
「んぅっ……!」
 デカブツの腰がビクンと跳ねた。唇を噛み締めて、あえぎ声を呑み込む。
 それは俺の手でも握り切れなかった。
 俺は体を下へずらしてデカブツの先端を口に含んだ。その瞬間、デカブツがギョッとしたように
上半身を起こした。
「准尉! ダメです……! 准尉はそんなことしなくても……」
「うるせぇ、黙れ」
 俺はデカブツの言葉などハナから聞く気なんかなかった。俺のモットーはギブ・アンド・テイク
なんだ。
 デカブツの先っぽすら俺の口には入りきらなかった。だから俺は先端とカリの部分を重点的に攻
めた。舌で指で、使えるところは全部使った。
「うぅっ、ん……! あ…ぅっ、じゅ……ぃ……、っあ!」
 デカブツの乱れる様を目で楽しみながら、俺はデカブツの蕾に指で触れた。デカブツが小さく身
をすくませた。
 やっぱいくら慣れてるとは言っても、男の身で男のモノをココに受け入れるのはつらいよなぁ…
…。肉体的にも、精神的にも。男の体なんて受け身になるようにゃ出来てねぇんだから。
 だったら俺はなんだ。そのつらいことを今からデカブツに強いろうとしてるじゃねぇか。
 ここは戦場じゃねぇ。戦争で兵士が山ほど死んだ今では、女の人口のほうが多いぐらいだ。女な
らよりどりみどりだってのに、なんで俺は好きこのんでデカブツなんかに……。
 その瞬間、俺は気づいた。
 ――あぁ……俺は……デカブツのこと……。
 俺がこいつをベッドに誘ったのは、決して興味本位からじゃない。
 最初はなんでかわからなかったが、つまりそういうことだったんだ。
 デカブツにつらい思いを強いることになろうが、よりどりみどりの可愛い女の子たちに背を向け
ることになろうが、俺はこいつのことを……――。
 そう自覚したら、もう迷いはなかった。
 俺はこいつと、ひとつになりたい。こいつの中で果てたい。俺の全てをこいつに注ぎこんで、デ
カブツの中を俺で満たしたい。
 俺はデカブツ自身の先走りと、俺の唾液で濡れそぼった蕾に舌を這わせた。
「ひっ!?」
 デカブツがビクンと体を起こす。
「じゅ……准尉! やめて…やめて下さい……! そんなこと……!」
 今更なに言ってやがる。お前は商売女のつもりか、えぇ? 俺は金払ってお前を抱いてるわけ
じゃねぇんだぞ!
 俺はデカブツの訴えなんか無視して、執拗にそこを攻めた。指で尻を割り開いて、少しだけ口を
開けた蕾に舌を挿しいれた。
「あぅッ! ひ……ぁ、准尉……や、やめ……て……」
 デカブツに痛い思いをさせないように、たっぷりと唾液を蕾の外にも中にも塗りつけて行った。
 ほどよく濡れたのを確認して、今度は拡張させるために指を挿れる。
「く…あっ……! んんっ……!」
 デカブツがギュッと目を閉じて、握った拳を胸に引き寄せてるのが見えた。その手も足もぶるぶ
ると震えているのは、快感のせいか、それとも思い出したくない過去と必死で戦っているのか、俺
にはわからない。
 だた俺は、今デカブツがいるここは戦場じゃなく、俺がデカブツを何かの代わりにしているん
じゃないってことに気づいて欲しい――その一心だった。
129『オレルド×伍長:後編』6:2006/11/17(金) 05:19:59 ID:???
 俺がたっぷり濡らしたおかげか、それともそこはそういう風になるもんなのか、俺の指は意外な
ほど滑らかに出し入れできていた。
 もしかしたらデカブツが下準備をすでに済ませていたのかもしれない。シャワーを浴びるときに
荷物まで一緒に持って入ったことが何よりの証拠だ。あのバッグの中に、そのための道具が入って
いるとしても別におかしいことじゃない。こいつは戦時中に使っていたものを、三年経った今でも
大事に持っているような奴なんだから。
 だがいくら思った以上に滑らかだったと言っても、たかが指一本を挿れただけだ。女のそこに比
べれば、段違いにきついことには変わりない。二本目を挿入したら、蕾の締めつけの凄さがなおさ
ら実感できた。
「あぅ……、んっ、く……、はぁ…」
 涙を零しながらぶるぶる震えるデカブツに、俺は訊いた。
「おい、俺は男とやるのは初めてだからよ……、お前の感じる所、教えてくれねぇか」
「そ……そんなこと……気にしなくていい……です……、っん!」
「穴に突っ込んで、フィニッシュまでズコズコ勝手に、ハイどうぞってか」
「…………はい」
「舐めんなバァカ。俺は気持ちのいいセックスが好きなんだよ。俺も相手も気持ち良くならねぇと
意味がねぇんだよ。ここは戦場じゃねぇし、俺だって女に不自由してるわけじゃねぇ。わかるか、
これはお互い……じゃねぇかもしれねぇけどよ、合意の上でこうなったんだ」
「准尉……」
 デカブツの目から涙が零れ落ちた。淡い笑顔が汗まみれの顔に浮いた。
 ドキッとした。震えが来るほど、こいつのことを愛しいと思った。
「もう少し……奥です……」
 デカブツが恥ずかしそうに小さく囁いた。
 俺は掌を上に向けて、指を第二関節のあたりまでゆっくり挿れた。
「く…はっ……」
 デカブツがぶるぶると震えた。
「ここか?」
「ん……ぅ、そこ……、上のほう……です……」
 指を少し曲げたあたりに、コリッとした器官があるのに気づいた。そこに触れた瞬間、デカブツ
がビクンと腰を大きく跳ね上げた。
「う…あッ!」
「ここだな」
「はっ……はぃ……、んっ、あっ!」
 よし、ここがデカブツのGスポットってやつか。それさえわかりゃ、充分だ。
 デカブツの“泣き所”を見つけた俺は、重点的にそこを責め立てた。そうしながら空いたほうの
手は、デカブツの玉を揉み、口ではどんどん溢れてくる先走りを舐め取っていった。
「あぁ! ひ…あッ! や……ぁっ! あッ!」
 デカブツが乱れ悦ぶ姿を見れば見るほど、俺は嬉しくなる。俺のモノもさっき出したばかりだと
言うのに、もう我慢できなくなっていた。
 俺は指を引き抜くと、デカブツの上に覆い被さった。
「いいか……?」
「准……尉……、挿れて……、挿れて下さい……」
 俺の下でデカブツが最高に色っぽい顔で囁いた。俺はもうそれだけでイッちまいそうだった。
 いそいそとデカブツの脚の間に跪き、自分の竿の根元を持って、蕾にあてがう。
「ふ……ぅっ」
 デカブツはそれだけでも感じるのか、ぶるっと小さく震えた。
「いくぜ。力抜いてろよ……」
 指で蕾を割り開き、先端を押し込むようにして中へ入れて行く。
「はっ……、ぅ……くっ」
 デカブツが少し苦しそうな声を上げた。ギュッと閉じた目蓋から涙が零れ落ち、デカブツは歯を
食いしばった。
 ゆっくりやったんじゃ、無駄に痛みを長引かせるだけだな。
 そう思った俺は、一気に根元まで挿しこんだ。
「ううぅぅぅーーーー……ッ!」
130『オレルド×伍長:後編』7:2006/11/17(金) 05:20:38 ID:???
「痛ぇか……?」
 苦痛の声を漏らしたデカブツを気遣って俺が声をかけると、デカブツは小さく顔を横に振って、
弱々しく微笑んだ。
「もう根元まで入ったから大丈夫だぜ。穴が馴染むまで、しばらく動かないでいてやるからな」
「准尉……ありがとう……ございます」
 デカブツが苦しげな息の下で、嬉しそうな笑顔を見せた。
 胸がキュンとする。切なさに耐え切れず、俺はデカブツを抱きしめた。
「バカ野郎……礼なんか言うな。あと、謝んのも無しだぜ」
「はい……――」
 俺たちはしばらく抱き合ったまま、動かずにいた。だけどもう我慢も限界だった。
「ゆっくり動くぞ……いいか?」
「はい……俺なら大丈夫ですから……、准尉の好きなようにして下さい……」
「手荒になっちまったら、すまねぇな……」
 まったく余裕のない俺に、デカブツがそっと抱きついて来た。そうされると、妙に安心した。
 俺はゆっくり腰を動かし始めた。さっき見つけたデカブツの泣き所に当たるように。
「う…あッ! ん……ッ! あ……、ふ……太いです……、准尉……ッ」
「大丈夫か?」
「んんッ……! お…俺……、き……気持ちいいです……、ふ…あッ!」
 デカブツの反応に俺はぞくぞくした。それだけじゃない。デカブツのそこは、入口は強烈に締め
つけてきて、中は絡みついて吸いついてくるようなたまらない感触だった。
「す…げぇ……、はッ……」
 優しく動こうと思ったくせに、俺はすぐにその甘美な感触の虜になっていた。これに比べたら、
今まで抱いて来た女のモンなんか比べ物にならねぇ。こりゃ名器ってやつなのか?
 俺はデカブツの太腿を両脇に抱え、思いっきり腰を打ちつけていた。
「んんあッ! あーーッ! あっ! 准尉……!」
「はッ…! はッ……! デカブツ……!」
「やぁ…ッ! あぁ…! 准尉……じゅん……! いいッ……!」
 こんなにデカくてゴツくて、傷だらけで、どっからどう見ても屈強な野郎なのに。
「あッ! あッあ…! いいぃ…! 准尉……准尉……ッ!」
 全身を真っ赤に染めて、涙を流しながら善がり狂うこいつを心底可愛いと思える。
 汗でぬめる皮膚と皮膚がピッタリくっついて、お互いが溶け合ったようだった。
 今までに感じたことのない、これが“ひとつになる一体感”ってやつだったんだな……。
 これに比べたら今までのセックスなんて、穴に竿をつっこんでただけの、ただの粘膜の擦り合い
だったんだと思えた。俺が得られていたのは、肉体の快感だけだった。
 だけど今は違う。
 セックスってのは肉体の快感よりも、心の快感のほうがより気持ち良くなれるんだって気づいた。
 ――俺って、ある意味、今まで童貞だったんだなぁ……。
「ラン…デル……、ランデル……ッ」
 名前を呼ぶと、さらに俺の中を快感が満たして行った。
 デカブツがギュッと俺にしがみついてくる。
「はぁ……! あぅ…ん……、准尉……、うっうぅン……!」
「バカ……准尉はよせよ。マーチスのこと呼んでるんだと思っちまうだろ……。オレルドだ。オレ
ルドって呼べよ……」
 言って、俺はデカブツの唇にキスをした。よく考えると俺のチンコしゃぶったり、ザーメンまみ
れになってんだけど、そんなことは気にならなかった。俺の体液にまみれた顔で善がり狂う姿も、
最高だと思っちまう。
「ふ……ぅんッ! んむ……ッぅ!」
「ほら、呼べ……オレルドって」
「あ……オ……レルド……、オレルド……あっあ…! ダ…メ…っあ! いいッ……!」
「イきそうか?」
「あァッ……ン! イ……イきます……ッ、俺……もうダ……メ……っあ!」
「俺もイくぞ……」
 俺はフィニッシュに向けて、腰のピストンを早めた。
「あッ! うあ……ッ! イく……、イく…ぅッ! あうぅぅぅんッ!」
131『オレルド×伍長:後編』8(終):2006/11/17(金) 05:21:41 ID:???
 デカブツが全身をビクビクと大きく痙攣させた。俺の腹とデカブツの腹の間に挟まれていたデカ
ブツのモノは勢いよく射精し、デカブツの顔にかかった。
 外の締めつけがまるで俺のモノを食いちぎらんばかりに一段とキツくなった。中が絡みついて、
デカブツが痙攣するごとに俺のモノを搾り取るように蠢いた。
「う…あっ、すげ……ッ! くぅッ……!!」
 頭が真っ白になるほどの快感に、俺もデカブツの中に精を放った。
「ひあッ……ン、で…出てる……ッ、あ……」
 俺の精液が奥を打っただけでも感じるのか、デカブツは小刻みに体を震わせていた。
 それが可愛くて可愛くて……。
 全ての熱を出し切ったというのに、俺の心の熱は未だ冷めないでいた。
 心地良い疲労感と倦怠感に包まれる。俺は荒く息を吐きながら、朦朧とした顔で肩で息をするデ
カブツに口づけた。

 数え切れないぐらい女を渡り歩いて来たこの俺が、ようやく行き着いた相手ってのは……。
 男で、しかも身長二メートル半、顔にでっかいサンマ傷のある、俺の部下。
 ランデル・オーランド伍長だった――。

          *

 スズメの声と目蓋を透かして移る陽の光で、俺は目を醒ました。
 ――朝か……。
 あれからいったい何回デカブツとやったのかわからない。
 俺はまるで生まれて初めてセックスを知ったガキみたいに、一晩中デカブツの体を求め続けてい
た。あげく、俺はついにデカブツを失神させてしまった。
 俺のほうも最後には半分失神するように、ぐったりしたデカブツの上に倒れ込んで、そのまま
眠ったんだ。
 こんなことは初めてだった。
 いくら出しても出しても物足りないなんて、今までの俺にはありえねぇ。
 他人の評判はどうあれ、俺自身は自分のことをけっこう淡白なほうだとさえ思っていたんだが、
とんでもない。実は俺ってば、絶倫ファイアーだったんだな。
 うん、今ならマーキュリー号にだって勝てそうな気がする。ただし相手はデカブツ限定だがな。
 俺は満ち足りた気分で、隣で眠っているデカブツに手を伸ばした。
 だけど、俺の手が触れたのは冷たいシーツの感触だけだった。
「……? デカブツ……?」
 陽の光に目を細めながらこじ開けて隣を見た。
 デカブツは、いなかった。
 代わりに、デカブツが寝ていた場所に一枚のメモが置いてあった。

《猫に餌をやらなくてはいけないので、起こさずに先に帰ります。
 昨夜は、美味しい夕飯をごちそうさまでした。
 ありがとうございました。》

 メモにはそう書かれてあった。
「……んだよ、そりゃ」
 さっきまでの満たされた気持ちが急に冷めて行くのを感じた。
 昨夜愛し合ったことには一言も触れていない。
 デカブツの中で、あのことはなかったことになってるんだろうか……。
「くそッ……! なんだよそりゃ! ふざけんなよ!!」
 俺はメモを握り潰し、ぐしゃぐしゃに丸めて力任せに部屋の中に向かって投げつけた。
 夜に愛し合った女が次の日の朝いないのは、いつもと同じ。
 だけど、俺の心だけがいつもとは違う。
 それに女を追い出すのは自分の意志だったが、デカブツは勝手に出て行っちまいやがった。
「ふざけんなよな……。コーヒーぐらい、飲んで行けよ……ちくしょう」
 胸が痛い。一人が寂しいと、これほど思ったことは、今までになかった――。

          【The End】
132名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 05:22:34 ID:???
これ書いてるときに、これの続編らしきものと
男体化少尉×伍長の続編らしきもののネタが
浮かんで来ちゃいましたw
打ち止めだと思ってたのに、伍長への愛の力はすごいなぁw

でも、これからしばらくは読み手側にまわって、
wktkしながら他の職人さんのSS投下をまったり待ってます〜。
私の無駄に長いだけのSSを読んで、GJのお言葉をかけて下さった皆様、
本当にありがとうございました。
133名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 07:32:58 ID:???
>>132
すげえ…朝からいいもの拝ませてもらった。
いいものすぎて切なくなってきた。GJにも程がある。
オレルド×伍長も男体化少尉×伍長も続編まったり待ってるよ。全裸で。

早起きするといいことって本当にあるんですね。
134名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 07:43:37 ID:???
これはGJとしか言いようがない
>>132
あなたが神か?
135名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 08:24:41 ID:???
GJ
伍長健気だよ伍長(;´Д`)ハァハァ
絶倫ファイヤーふいたww
136名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 08:51:32 ID:???
伍長かわいいよ伍長
なんだろうこの沸き上がり溢れ出るような伍長への萌は…すげぇよ
新たな道が開けたwww

朝からいいもの読ませていただきました
GJでした!
137名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 10:05:16 ID:???
GJ! GJ!! GJ!!!
伍長が可愛いやら、切ないやらで、たまらんね・・・(*´д`*)ハァハァ
138名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 10:09:23 ID:???
右に同じ…ありがとう、ありがとう神職人
オレルドの男前さに全俺が泣いた
ぬこに餌をやるためにそっとベッドを抜け出す伍長を想像して更に泣いた
139名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 17:01:46 ID:???
>>132
GJ!
濡れたw
始終涙を堪えている伍長が可愛かった
笹船本手で攻めるとはオレルドもテクニシャンですなw
140名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 17:20:06 ID:???
>>132
GJGJ!!
132の作品を読んだら鬼束ちひろの「私とワルツを」が
オレルドと伍長の歌にしか聞こえなくなったw
切なくて泣ける・・・(´;ω;)
141名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 18:40:38 ID:???
>>132
エロい伍長がタマラナイ。
過去ゴチョを想像しては咽び泣いた。切ない。
とにかくGJ!!!!!!ありがとう!ありがとう!
>>140
そうとしか聴こえなくなってしまった。orz
泣ける。
142名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 22:08:55 ID:???
 や ば い
132GJ杉…心理描写とか…あ〜せつねぇ〜みたいな
正直伍長はノーマルカプ目当てだったんだけどオレルド×伍長いいな

っていうか文才ある人ウラヤマシス
143132:2006/11/18(土) 04:56:40 ID:???
徹夜で仕事行って帰って来たらそのままバタンキューで
お礼に伺うのが遅れてしまいました、すみません。
なんだかもう、勿体ないほどのお言葉の数々ありがとうございます…。・゚・(ノД`)・゚・。
鬼束ちひろの「私とワルツ」を、改めて聴き直してみたら確かに…w
オレ伍の次回作書くときは、この曲ループして気分を盛り上げて書いてみますw
しかし改めて読み返してみると、誤字がたくさんあって恥ずかしい…。・゚・(ノД`)・゚・。
とりあえず、まだネタはあるけれど、私ばかりSS投下してスレを占領するのもなんですし、
一応サイトも持ってますから、このへんでSS投下は自粛しておきます。
だったら最初からサイトでやれって話ですが…すみません;
では、どなたか次弾をお願いします!
144名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 10:52:28 ID:M/UdYajd
ttp://musicmovie.blog48.fc2.com/blog-entry-1014.html
私とワルツを・・・オレルド×伍長にしか聞こえないな。
145名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 12:21:38 ID:???
やばい泣けてきた。(´;ω;) ぶわ
146名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 21:59:05 ID:???
風に吹かれるままやってきたんですが
ここは桃源郷ですか?

こんなにツボSSだらけのスレハジメテダー
147名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 00:31:49 ID:???
>>143
そんなに気にする必要ないと思いますよ。
伍長さんの萌え萌えなSSを読みたいのはこのスレ全員が望んでいることだし。
というか続編期待してます…。
148143:2006/11/20(月) 04:58:36 ID:???
>>147
ありがとうございます。
今ちょっと忙しいので書く暇がないんですが、
続編書けたらまたここに投下させて頂きますね。

他の職人さんのSS、楽しみにしてます!
本当にもう自分以外の人が書いたSSが読みたいです。
SS読んで伍長に萌えまくって悶えまくりたいです!w
149名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 23:47:05 ID:???
かそったなぁ〜。
143読んで感化されてss作りたいと思ったんだが文字に起こすってすげえ難しいな。
頭の中では書きたいことが出来てるのにどうも出来ない。
普段はラクガキ絵師で漫画ばっかり読んでるからだろうか。
150名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 00:04:32 ID:???
>>149
きっとみんな書いたり描いたりしてる途中なんだよ!
かく言う自分も感化された挙げ句、もうちょいで話ひとつ完成するところまできてしまってるw

「書く」って、文章におこして自分が納得するまでが本当に長いし辛い。でも何故かやめられないんだよな。
151143:2006/11/21(火) 02:19:26 ID:???
長文、すみません。

>>149
私も普段は絵ばっかり描いてます。
しかも↓こんな絵ばっかりw(すぐ消します)

http://fileupjpn.sakura.ne.jp/up1/src/fuj0007.jpg.html
DLキーは「901」
※エロいです。絵柄的にかなりガチムチなバラ系なので
嫌いな人は注意です。

文章のほうを本格的にやり出したのは、ここ3年ぐらい。
小説なんか一年に5〜6冊読めばいいほうで、漫画ばっかり読んでる。
だから頭に浮かんだものを文章にすることの難しさは
嫌と言うほどわかるよ〜。
そんな私がアドバイスなんておこがましいけど、
今ここを見てて>>149さんと同じ悩みを抱えてる人に
少しでも参考になればいいなと思って書かせてもらいますね。

大なり小なり作品を完成させるコツは、ひとえに萌えパワーでw
とにかく自分が書きたいシーンから先に書いちゃう。
そんでそこに繋がるシーンを書き足して行く。
各シーンも最初は脚本調で書き進めて行く。
こんな感じで↓
 伍長「あの……俺、もう帰ります」
 オレルド「ちょっと待てよ」
  オレルド、伍長の手を握る。
  伍長、戸惑った表情。
で、これに小説らしく文章として肉付けして行くのです。
 「あの……俺、もう帰ります」
 「ちょっと待てよ」
  オレルドはとっさに伍長の手を握り、彼を引き止めた。
  伍長が戸惑いをあらわにした顔で、オレルドを見た。
  その顔は怯えているようでもあり、また、痛みを堪えているようにも見えた。
152143:2006/11/21(火) 02:20:27 ID:???
>>151の続き
最初から文章として完成させようとしても、適切な単語を選ぼうとして
1つの文に何分もかかってしまうことがあります。
で、辞書と首っ引きになって悩んだあげく、
一番最初に選んだ単語が一番適切だったってパターンが多いです。
一番大切なのは小難しい単語を使う必要はなく、
自分が知っている言葉で書くこと、が大切なんではないかと思います。
納得のいく文章を書くことは大事だけど、それは最終的な推敲時まで
置いておいて、とにかく最初は勢いだけで最後まで書いてみること。

一つの場面を取ってみても、表情、動作、心理を
丁寧に描写するように心がけることが基本(おそらく^^;)。
心理描写を上手く表現できない場合は、キャラクターの表情や仕草の描写に
重点を置いて、あとは読み手の受け取り方任せってのもあります。
私はこれをやるからダラダラと長い文章しか書けないんですよ…orz
本当に文才のある人なら、適切な言葉を使ってシンプルに短い文章で
書いちゃってますからね。
『丁寧に描写すること』
『。で終われる文章をダラダラ続けない↓』
 オレルドがとっさに伍長の手を握り、彼を引き止めると、
 伍長が戸惑いをあらわにした顔で、オレルドを見たが、
 その顔は怯えているようでもあり…(ry)って感じに。
それさえ心がければ、いいんじゃないかなと思ってみますw
いやもう、本当に生意気にアドバイスなんかしちゃって
長文さらしてウザくてごめんなさいでした;

>>150
wktkしながら全裸で待ってる!!
153名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 04:56:31 ID:???
>>151
イラスト拝見!
これはまたけっこうなエロ伍長で・・・!
154名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 10:24:21 ID:???
>>143
続編も楽しみにしてる
ガンバ!

>>149
そうそう、自分も頭ではイメージが悶々と沸くんだけど
それを文にするとなると全くダメ
ss楽しみにしてます

>>150
自分を含め色んな人を感化させてしまう143は凄い
あと少しガンバれ
155名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 10:31:22 ID:???
ミスによる連続投稿失礼
>>151
凄くGJ!
伍長がエロ過ぎるw
自分はどっちもダメだから、文章と絵描きの両方できる人は凄いと思う
もしssに挑戦してみようと思ったら、その描写方法を参考にさせていただきます
156名無しさん@ピンキー:2006/11/22(水) 13:44:28 ID:???
>>151
エロ伍長GJ!!!!!

アドバイス参考になったよ、ありがとう。例文に萌えた・・・w
自分もいつか書いてみようかな。
157143:2006/11/22(水) 22:09:06 ID:???
すいません、また懲りずに投下しに来ました。
しかも男体化少尉&オレルド×伍長の続編を書く前に、
こんなネタが浮かんで来てしまい……。

***************
『若獅子×伍長』でございます。
若獅子性格捏造。
伍長人格崩壊。
バッドエンドまっしぐら。
***************

ラブラブ話やノーマルカプを期待されている方には本当に申し訳ない;
しかも実は“男体化少尉×伍長”の流れを組んだものなので、
レオ様が少尉の親友という設定になっております。
なんかもうほとんどパラレル設定ですが、
こんなもんでも楽しんで…もらえないかな、やっぱり……(;´д`)
今まで2回に分けて投下していたものを一気に投下しますので
規制を食らうんじゃないかとビクビクしつつ…
では、どぞー。
158『若獅子×伍長』1:2006/11/22(水) 22:10:08 ID:???
 ここは闇しかない。
 ああ、またあの夢かと思ったけど、そこは俺が今まで殺して来た人たちの血と怨嗟で創られた世
界じゃなかった。
 そこには何もない。あるのは果てしない暗黒だけ。一切の光も通さないヘドロのように分厚い闇。
 水面からゆっくりと浮上していくように、俺は自分が目を醒ましつつあるのを感じた。
 悪夢の世界からの自力の脱出じゃなく、少尉と言う名の光によって闇が打ち砕かれたわけでもな
い。自然でありながら、不自然な目覚め。
 闇の中で溺れ死ぬのを怖れて、本能が意識を引きずり上げて、必死で目覚めようとする。
 悪夢を見ない眠りなんて、ここ数年なかった。
 だけど、この眠りはひたすらに気持ちが悪い……。

 重い目蓋をこじ開けて視界に映ったものは、見慣れない白い天井だった。
 薄汚れた橋の下じゃない。目を開けると真っ先に顔を覗き込んでくる猫たちの顔もない。
 白い天井……、病院……? 俺またケガした……?
 いや、違う。ここは病院の天井じゃない。
 汚れひとつない、繊細な細工の施された純白の天井なんだから、どこかの貴族の屋敷――?
 少尉の家? 違う……。
 ……ここは、どこだ?
 自分がいる場所が、まったく把握できない。
 頭が重い。まだ頭が半分以上眠っているみたいだ。まるで脳味噌をグツグツ煮詰められたようで、
気持ちが悪い……。
 俺は起き上がろうとして、体が動かないことに気づいた。
 いや体は動く。動かないのは、腕だ。
 ――な……に……?
 重い頭をようやく動かして、自分の頭の上に伸ばされた腕の先を見た。
 ベッドの頭の、金色に光る真鍮性のポールに、手首が鎖で腕が括られている……!?
「なっ……、なんだ……これ?」
 必死で腕を動かしたけど鎖は太く、人の力でちぎれるようなものでは到底なかった。
 そしてそのときになって俺は改めて気づいた。自分が今、全裸であることに。
 ゾッとした。俺また、あそこに戻って来たのか?
“お帰り、被験体(マルタ)――”
 人の命の重さを全然知らない、知ろうともしない狂った目の女の声が頭の中に甦った。
 ――違う! ここは……違う場所だ!
 俺は自分を落ち着かせようと、必死で自分に言い聞かせる。
 ここはカウプランの研究室じゃない。わけの分からない医療機器なんて置いてないし、体からた
くさんのコードが伸びているわけでもない。
 ――何もされてない……落ち着け……! もう何もされるわけがないだろ……!? 戦争は終わ
った……終わったんだ……!!
 それでも俺は怖くてたまらなかった。必死になって腕を引っ張った。だけど意味なく鎖をガチャ
ガチャ騒がせるだけになってしまった。
 そのとき部屋のドアが開く音が聴こえた。
 ハッとして足元に目を向けると、一人の男が入って来たのが見えた。
「やあ、目が醒めたんだね」
 そう言って、男は無邪気な笑顔を向けて来た。
 細身で背の高い、スマートな物腰の男だった。仕立ての良いスーツはもとより、少尉みたいにた
だ立っているだけでも高貴な雰囲気がにじみ出ていて、育ちの良さが分かる。
 キレイな顔の男だ。キレイだけど……どこか冷たくて怖い。
 男はニッコリと微笑みながら、俺に歩み寄って来た。
「気分はどうだい? ランデル・オーランド伍長」
 頭の重さが全然取れなくて、この人を知っているはずなのにすぐには思い出せない。
 そんな俺の様子を見下ろしながら、男は外見に似合わない子供のような笑みを浮かべた。
 ――あれ? 俺、この人のこと本当に知ってるのか? 雰囲気が全然……違う……。
「薬の量が多すぎちゃったかな。ごめんよ、キミがあんまり大きいから、正しい分量がわからな
かったんだ」
159『若獅子×伍長』2:2006/11/22(水) 22:10:46 ID:???
「――くすり……?」
 ドロドロに溶けたようになっていた頭が少しずつ動き始めた。
 そうだ……この人は少尉の親友で……名前は確か……レオニール・テイラー――。
 俺はこの人に話があるって………少尉に危険が迫ってるって言われて……。
 三課での仕事を終わらせ、住み慣れた橋の下へ帰って行く途中、俺はレオニールさんに会ったこ
とを、ようやく思い出した。
 レオニールさんは俺が猫缶を買ってるときに、後ろに停まった黒い馬車の中から話しかけてきた。
“パンプキン・シザーズのランデル・オーランド伍長ですね。実は私の親友のアリス少尉のことで、
少々お話があります。彼に危険が近づいているんです。これはあなたにしか話せない。彼を守るた
めに、私とともに来てくれませんか”
 確かに、そう言われた。
 少尉の身に危険が迫っているって言われて、俺は迷わず馬車に乗ったんだ。
 だけど……――
 この人の屋敷に連れて来られて話を聞かされるどころか、俺は逆に質問攻めにあった。
 少尉のことやパンプキン・シザーズのことを訊かれた記憶もあったけど、その大半は俺自身に対
する質問だった。生まれはどこだとか、家族構成や生死に関してとか、そして前にいた部隊のこと
も訊かれた。
 しかも目の前には今までに見たこともないような豪華で贅沢な夕飯が用意された。
 周りには何人ものメイドさんがいた。
 さっさと本題に入って少尉の身に迫っている危険が何かを聞き出して、こんな窮屈なところから
は一刻も早く逃げ帰りたかった。
 だから俺は肉を食えないと言うのを口実に、食事をやんわりと断ろうとしたんだけど、レオニー
ルさんは嫌な顔ひとつ見せず惜しげもなく目の前のステーキを下げさせた。そしてものの数分で野
菜をメインに使った料理が用意されるという徹底したもてなしぶりだった。
 気品があるだけじゃなく、気遣いも優しさも兼ね備えた立派な人だと思った。
 そんな人だから、メイドさんたちがいる前ではあえて本題に入ろうとしないのだろうと察した。
 それに自ら招いた客人に対して、食事もさせずにさっさと用件だけ伝えて追い返すなんてことは
無礼千万だとさえ思っているのかもしれない。立派な人だから。
 だって彼は、あの少尉が認めた親友だし立派じゃないわけがない……――。
 だから俺は緊張して味なんかほとんど分からない中で、料理を無理やり胃袋に詰め込んだ。
 そこまでは憶えている。
 食べている最中からなんだか急に眠気が襲って来て、そして……。
 気づいたら、ここにいた――。
「心配しなくても大丈夫だよ。薬と言っても、ただの睡眠薬だから」
 レオニールさんが無邪気に微笑んで、俺の前髪に触れて来た。
 彼の指が頬に触れたとき、背筋に得体の知れない寒気が走った。レオニールさんの手が冷たいわ
けじゃないのに、まるで氷をあてられたみたいに、体の芯が凍えるのが分かった。
 それに睡眠薬って……どういうことだ?
「あの……レオニールさん……これはいったい……?」
「今に分かるよ」
 レオニールさんがベッドの縁に腰掛けた。
 俺は自分が全裸なのを思い出して、急に恥ずかしくなった。とっさに手で隠そうとしたけど、頭
の上で鎖がジャラッと怒ったような音を立てて、手首に痛みが走った。
「あっ…あの、何か着るものを下さい。あと……これ、外して下さい……」
「ダ〜メ」
 レオニールさんがクスクス笑って言った。
 そうだ、さっきこの人のことをなかなか思い出せなかったのは、このせいだ。
 馬車に乗せられたときと、今のこの人では、話し方も雰囲気も全然違ってて。最初に会ったとき
は紳士な貴族って感じだった。威厳たっぷりで、でも物腰が柔らかくて優しくて嫌な威圧感を与え
る人じゃなかった。
 けど今は、すごく子供っぽい。無邪気に話して無邪気に笑いかけてくる。
 だけどそれはただ少年ぽいと言うよりも、子供特有の残酷さをそのまま残して大人になったって
感じがする。生きたトンボの羽根を平気で毟るような……そんな残虐さ。
 怖い、すごく怖い……。
160『若獅子×伍長』3:2006/11/22(水) 22:11:30 ID:???
「ど、どうしてですか? 俺……何か気に触るようなことでもしましたか……?」
 本当は泣きたいほど怖かったけど、彼が少尉の親友で、俺は少尉の部下で、だから部下の失態で
少尉に恥をかかせることだけはしたくないと思った。だから俺はできるだけ冷静に、この人と話し
合って、この人の目的を知ろうとした。
「少尉の身に迫っている危険って、なんなんですか? 教えて下さい、お願いします」
「ああ、あれかい? 嘘だよ」
「……え? 嘘……?」
 じゃあ俺はいったい何のためにここへ?
「そう、嘘だよ。キミをここへ連れてくるための嘘だったんだ」
 レオニールさんは、全く悪びれない笑顔を見せた。
 ゾッとした。わけが分からない。この人に対する怖さが、どんどん膨らんで行く。
「お願いです……家に帰して下さい……。何か失礼なことをしたのなら謝ります。だから――」
「家? 橋の下が家なのかい?」
「そうです……」
「橋の下より、ここのほうがよくない? 暖かいし、食べ物だってたくさんある。猫がいなくて寂
しいなら、橋の下の猫たちを全部連れて来てあげる」
 な……何を言ってるんだ、この人は?
「キミ、アリスの恋人なんだよね?」
 レオニールさんの唐突な言葉に俺はギクッとした。
「ち、違います……」
 心臓が潰れそうなぐらいドキドキしながら、俺は必死で嘘をついた。
 だって少尉は貴族で、俺は庶民で、上官と部下という関係で、しかも男同士……。こんな関係が
いけないってことぐらい、俺にも分かってる。
 だから、少尉に迷惑をかけないためにも、俺は嘘をつかなくちゃいけないんだ。
 たとえ少尉がどう言ってくれていたとしても……。
 だけど俺の嘘なんかすぐにバレてしまったのか、それともそんなことぐらいとっくに調べはつい
ていたのか、レオニールさんは眉間をクイッと上げて嗤った。
「アリスはキミに優しくしてくれてるかい?」
「や……優しいです。でも上官としてです……それだけです」
「嘘をつくのが下手だね、伍長さん?」
 そうか……この人はきっと俺に怒ってるんだ。だからこんなことするんだ。
 彼は少尉の親友だから、少尉のことを心配してるんだ。男の俺なんかにうつつを抜かして、結婚
もしないから正式な当主として認めてもらえない少尉のことを……。
 そう言えば少尉はこう言っていた。
“まだ五歳だが、私には弟がいるのだ。私は伍長といるためなら、次期当主の座を弟に明け渡すこ
とぐらい、なんとも思わないぞ。そもそも父上は私よりもアレンを溺愛しているしな……”
 だけど、少尉を知っている人から見たら、マルヴィン家の後継ぎに相応しいのが少尉だってこと
は、誰もが認めてると思う。レオニールさんだって、そのうちの一人なんだろう。
 だから俺を動けなくして、たっぷり脅して、少尉と別れるように俺に約束させる気でいるんだ。
 そんなの……そんなの嫌だ……!
 だけど……でも、少尉のためにはやっぱり、そうしたほうがいいに決まってる……。
 こんな関係は間違ってるから……――。
 そう思った途端、涙が溢れて来た。
 ああ、くそっ。俺どうしてこう涙腺が弱いんだろう……。
 俺はレオニールさんにだけは泣いた顔なんか見せたくなくて、歯を食いしばってそっぽを向いた。
 レオニールさんがクスクス嗤う声が聴こえてくる。
「可愛いね。アリスがキミに夢中になるわけだ」
「違います……、少尉と俺はそんな関係じゃありません……ッ」
 俺は往生際悪く、また嘘をつく。
 少尉とずっと一緒にいられるなんて、俺だって思ってない。
 だからその時が来たら、二人で話し合って納得して、別れを迎えたい。
 こんな……他人から強制されて別れさせられるなんて納得いかない。それに、俺がここでこの人
の要求を呑むほうが、今の少尉を傷つけることになる。だから俺は絶対に言わない。
 たとえどんな痛い目に遭わされたとしても、少尉を裏切ることだけはしたくない。
161『若獅子×伍長』4:2006/11/22(水) 22:12:08 ID:???
 そのとき、胸に冷たいものが触れて来て、俺は思わず全身をすくませた。ハッとして見ると、レ
オニールさんが俺の左胸に右手を置いていた。
 そのまま俺の上に覆い被さって、鼻先が触れ合う距離まで彼の顔が近づいて来た。
 たとえ何を言われても、負けるもんか……!
 俺は精一杯の勇気を振り絞り、彼の氷のように透き通った蒼い目を睨みつけた。
「いい目をするね。子犬みたいに怯えてるキミも可愛いけど、そうやって闘争心を剥き出しにして
くる兵士の目のほうが、ずっといい」
「……――!!」
 レオニールさんが俺にキスをしてきて……ギョッとした。慌てて顔を逸らして唇をもぎ離した。
「なっ……何を――うッんんッ――!」
 だけど顎を掴まれて、また口づけされて、俺の頭は爆発しそうなほど混乱した。
 舌がスルッと入ってくる。体温は人と同じなのに、なぜか冷たいと感じる舌だった。
「うぅー……ッ! んぅ……ッ」
 頬をがっちりと押さえつけられて、歯を食いしばることすらままならない。
 口の中でレオニールさんの舌がヘビみたいに蠢いた。彼の舌が俺の舌に触れるたび、背筋に悪寒
が走り抜けた。吐き気がする……!
 ――やめて! 嫌だ、やめてくれ!!
 このまま永久にこれが続くんじゃないかと思っていた矢先、レオニールさんがやっと口を離して
くれた。息を止めていた俺は、ようやく解放されて思いっきり空気を吸い込んだ。
「伍長さん、キミ、何か勘違いしてるね?」
 レオニールさんが冷たい笑みを顔に貼りつけて、肩で息をする俺に言った。
「僕がキミとアリスの仲を裂こうとしてると思ってるんじゃないかい? だからキミをここへ連れ
て来て、脅して別れさせようとしてるって思ってない?」
「……え?」
 違うのか……? じゃあ目的はなんだ……?
「フフッ、やっぱりね。そうじゃないかと思ってた」
 俺はますます混乱した。
 レオニールさんは戸惑う俺の前髪を掻き上げて撫でてきた。そうしながらもう片方の手の指先で、
唾液で濡れた俺の下唇をなぞってくる。
「僕はね、男も女も強い者が好きなんだ。僕と思いっきりじゃれ合える強い相手が欲しいんだよ。
僕が手加減無しでじゃれついても壊れない人間がね」
 ……今、この人“壊れない人間”って言った? 
 人間を、そんな……オモチャみたいに……。
「アリスは最高の友人だよ。彼は強い。真っすぐでとても強い。心も強いけれど、剣の腕もね。だ
から僕は彼を友人に選んだんだ。アリスはいつだって戦う相手を求めていた。自分と互角に戦える
相手をね。彼はまさしく抜き身の剣のように、触れると切れそうなぐらいピンと張りつめていた。
けどね……」
 レオニールさんが急に髪を強く握って来た。皮膚ごと髪を引っこ抜かれるような痛みが走り、俺
は歯を食いしばって、とっさに漏れそうになった悲鳴を堪えた。
「キミがアリスを壊しちゃった……」
 無表情の、氷のような蒼い目が俺を見つめてくる。
 大切な友人をとられて嫉妬してるとかなら、まだ可愛い。だけどその目には、人としての感情な
んか一切感じられなかった。
「キミのせいでアリスは腑抜けになっちゃったよ。戦う相手じゃなく、愛する相手を見つけちゃっ
たからね。アリスは剣ではなく、キミを喜ばせる優しさを手に取るようになっちゃった」
 全身の血が凍りつきそうな感覚に襲われて、俺は震え上がった。
 強く髪をつかむ力が緩んだ。それと同時に、レオニールさんがまたあの子供っぽい笑みを見せた。
 まるで猫を可愛がるみたいに指先で俺の頭を撫でてくる。
 少尉にされれば気持ちのいいことでも、この人からされる全てのことに俺は恐怖しか感じられな
かった。
「だからね――僕は」
 レオニールさんが俺の頭を撫でながら、なんでもないことのように言う。
「キミを壊そうと決めたんだ」
「……――!!」
162『若獅子×伍長』5:2006/11/22(水) 22:12:50 ID:???
 叫び出したいぐらいの恐怖心が一気に襲って来た。
 俺はもう声も上げられないぐらいすくみ上がり、出来ることなら鎖をひきちぎって逃げ出した
かったのに、体が凍りついたように指一本動かすことができない。
「でもね、ただ壊すだけじゃつまらない。キミのことを色々調べて、キミにはたくさんの利用価値
があるって分かったからね」
 そう言ってレオニールさんが俺の目の前に差し出して来た物に、俺は目を見張った。
 それは見慣れた、ブルースチールのランタン……――。
「キミはもともと人形だったんだ、そうだろう? 蒼い光に導かれるままに殺戮を繰り返す人形だ。
最高だよ……! だからね、キミを僕だけの人形にしてあげる。僕だけの言うことを聞いて、僕だ
けを求める人形にね。アリスのことなんか、すぐに思い出さなくなるよ」
 その時になって、俺はやっと気がついた。俺がこの人のことを怖いと感じた理由。
 それは、この人の凍りつくような蒼い瞳が、同じ色をしているからだって。
 俺を地獄に引きずり落としながら、決して手放すことの出来ないランタンの光と同じ色をしてい
たからだって……――。
「い……や、です……」
 その一言を言うだけでも、俺の歯がカチカチ鳴った。全身が小刻みに震え出していた。
 寒い……とても寒くて、凍りつきそうだ。
 暖かい光に満ちた少尉のぬくもりが恋しくなった。
 いや、恋しいなんてものじゃない。俺は切望していた。今すぐここから逃げ出して、少尉に会い
に行きたいと思った。
「帰して下さい……ッ」
 俺はガタガタ震えながら懇願した。涙がボロボロ零れたけど、もう我慢することなんか出来な
かった。帰りたいのは家じゃなく、少尉のところだった……。
「お願いです……、もう帰して下さい……」
 だけどレオニールさんは、俺が泣けば泣くほど、怯えれば怯えるほど楽しくなってきているよう
に見えた。
「もう帰れないよ」
 残酷で冷酷なことを、この人は何気なく言ってのける。その無慈悲さに俺は打ちのめされかけて
しまう。だけどその度、俺は少尉のことを思い出すように努力した。少尉の顔を頭に思い描いて、
きっとまた少尉に会えるって、必死に信じた。
 そんな俺を無様に思ったのか、レオニールさんがクスッと小さく嗤った。
 そして彼は俺の両脚を大きく開かせて、片足を上へ持ち上げた。
 少尉にしか見せたことのない部分があらわになって、恥ずかしくて死にそうになった。
「い、嫌だ! やめて下さいッ!!」
 俺は必死になって脚をばたつかせようとしたけど、その時になって彼が料理に仕込んだ睡眠薬が
体の奥底に残っているのを思い知った。彼の腕を振り払えない……!
 冷たい指が尻のそこに触れて来た。体がすくみ上がった。怖くてたまらない。子供みたいに大声
で泣き出してしまいそうだった。
「ねえ、キミのここをアリスは気持ち良くしてくれてるんだよね」
「お願いです……やめて下さい……! それだけはやめて下さい……! 他のことなら何でもしま
すから……だから……!」
「他のことなんかに興味はないなぁ。僕が今したいのはキミを犯すこと。アリスが大事にしてるキ
ミを穢すこと。それを知ったらアリスはどんな顔をするかな? きっと忘れていた心を思い出すよ」
「嫌です! やめて下さい、お願いです……お願いします……!!」
 俺は泣きじゃくりながらレオニールさんに懇願した。
 だけど、彼は全然聞き入れる気配なんか見せなかった。
「アリスとキミ、どっちが強いかなぁ? キミならアリスを殺せるだろうけど、アリスはキミを殺
せるかな? まぁどっちでもいいんだけどね。情に負けたほうが死ぬ、それだけさ。生き残ったほ
うが最後に僕を楽しませてくれればいいや」
 俺は自分がトンボにでもなったような気がした。この人から生きたまま羽根を毟られるトンボだ。
 俺の声はこの人には全然届かない。俺の苦しみはこの人の楽しみなんだ。必死で許しを乞い願っ
ても、この人には全然聞く気がないんだって、今更ながらに痛感した。
「い…いや……、お願いします……、嫌だッ…、やめて下さい……ッ」
 少尉……、助けて下さい、少尉……――!!
163『若獅子×伍長』6:2006/11/22(水) 22:13:42 ID:???
「伍長さん、僕を見て」
 レオニールさんが、顔を背けて嫌々と頭を振っていた俺の頬に触れて来た。無理やり顔を向けさ
せられて、彼の蒼い瞳が俺の心を恐怖で縛りつけてくる。
「やめて下さいッ…お願いですから……」
「今から僕がキミに与えるのは、凄絶な痛みと快楽だ。これからは僕がキミのご主人様になるんだ。
キミはもうランタンなんか必要なくなる。ランタンにではなく、キミはこれから僕に導かれる人形
になるんだ。だからこの最初の痛みをよぉく憶えておくんだよ、いいね?」
 彼が何を言っているのか分からなかった。
 だけどその一瞬後、後ろにあてがわれた熱くて硬い感触に、俺は全てを理解した。
「やめ…――!!」
 直後、今まで経験した痛みの中のどれよりも痛い激痛が全身を貫いた。
「うわあああぁぁぁぁッ!!」
 拡張もされていない乾いたままのそこに、レオニールさんが自分のモノを無理やり挿れてきたの
が分かった。
 恐怖も悲しみも絶望も一気に消し去るほどの、体が粉々に砕け散ってしまいそうな痛みだった。
「がッ……あぁッ! うぐぅぅッ!!」
 レオニールさんは容赦なく突き上げて来た。赤くなるまで熱した太い槍を突っ込まれているよう
だった。引き抜かれる時は内臓ごとえぐり取られるような、決して忘れ去ることなんか出来ない痛
みだった。
「痛いかい? 痛いに決まってるよね、だって痛いようにしてるんだから」
 この人は……狂ってる……!
「がはぁッ! あッう! やッやめ……あがぁぁッ!」
「痛いなら思いっきり叫んでいいよ。ここには叫び声を聞きつけて、キミを助けに来てくれる人間
なんていやしないんだからね」
「ひ…! ぐ……ッ! あぐゥ!!」
 痛み一色に彩られた頭の中、俺は尻に伝う生暖かい液体の感触を感じた。
 これは……血の匂いだ……。
 少尉……! 少尉……!! 少尉……――!!
 俺は痛みと恐怖から逃れるようにきつく目を閉じて、少尉のことを思い出した。もの凄い痛さに
少尉の顔はすぐに消えてしまいそうになったけど、それでも少尉のことを思い出すと、少しだけ心
が楽になって、同時に胸が切り裂かれそうなつらさが襲って来た。
 俺は今、少尉じゃない人に抱かれているんだ。そのことがすごくつらくて、悲しかった。
 その時、閉じた目蓋の裏側に映る光があった。
 蒼い……凍えそうなほどの蒼い光……――。
 俺はその光に導かれるように目蓋を開けた。
 レオニールさんが片手にランタンを持っていた。ランタンの光が灯っている。リィィィンと低い
音を響かせて、ランタンの蒼い光が俺を照らしていた。
「……ひッ、あ……」
 痛みが消えて行く。
 何も感じなくなって行く。
 遠くから、地の底から、声が響いてくる。

 Toten sie……――セ――Toten sie……――ロセ――Toten sie……――殺セ――

「う……あっあ……」
 どれだけ抗っても抗えない、本能も意識も食い尽くして行く蒼い鬼火……
 頭の中を支配して行く強烈な衝動と、声、声、声……
 蒼い鬼火に導かれ、俺は目の前の男に手を伸ばす。その首の骨をへし折るために。
 ガシャンと音がして腕が引っ張られた。

 殺セ……殺セ……殺セ……

「ぐぅ……ッうぅう……」
 腕を伸ばす。音がして腕が止まる。喉笛を噛み切ろうとしても、届かない。
164『若獅子×伍長』7:2006/11/22(水) 22:14:32 ID:???
 ドスンと重い打撃が内臓にくわえられる。内側からえぐるように。
 痛みが消え去った代わりに、そこに別のものが弾けた。
「ん…ッ! ぐ…あッ! あ……ッぁ!」
 ひとつの意志とひとつの衝動とひとつの声しか与えなかった鬼火の光が揺らいでくる。

 殺セ………――きみは――……コロ……――ぼくの――……セ……――にんぎょうだよ

 バリンと音がして、蒼い光が目の前で砕け散った。
 一本のナイフがランタンのガラスに突き立てられていた。
 鬼火が消えて行く。
 俺を導く蒼い光が、闇の中に消えて行く。
 代わりにふたつの蒼い鬼火が目の前で揺れていた。
「ランタンはもう必要ない」
 鬼火の瞳を持ったレオニールが嗤っているのが見えた。
「キミに必要なのは、この僕だ……――」

          *

 あれから何日経ったのか分からない。
 たった一日のような気もするし、三日か、一週間か、一ヶ月のような気もする。
 だけどどれだけ日数が経ってたとしても、俺の状況はなにひとつ変わってなかった。
 俺はまだ白い部屋にいる。
 ベッドに括りつけられたままで、動けるのは食事と便所と風呂の時だけだった。それでも一切の
着衣を許されず、両手両脚は鎖のついた革ベルトで硬く拘束されたままだった。
 動けなくしなくても……もう俺には逃げる気力さえ残ってないのに……。
 自分の意志で灯せたランタンの光とは違って、俺が望まなくてもあのふたつの小さな鬼火は常に
灯されている。彼が生きている限り、あの鬼火の瞳が俺の心を食い尽くして行くから。
 俺の世話はレオニール本人がしてくれていたが、たまにメイドがやってきた。
 だけどこのメイドたちも俺と同じなんだって分かった。
 一切の感情を切り離したような無表情の顔で、メイドたちは淡々と機械的に言いつけられた用事
を済ませて部屋を出て行くだけ。彼女たちも、あの鬼火に逆らえないんだ――。
 部屋の片隅にランタンが置かれたままになっていた。
 レオニールに壊されて、二度と蒼い光を灯すことのなくなったランタン……。
 そしてもう、あの声は聴こえない。悪夢も見なくなった。
 俺の奥底にあって俺を支配するのは……もうランタンの光じゃない。
「やあ、良い子にしてたかい?」
 部屋のドアが開いて、レオニールが入って来た。
 彼の顔を見ただけで、俺は飢えた犬のように口の端から涎を垂らして、彼を求める。
「う……あ、ぁ……」
「ほらほら、そんなに暴れちゃダメだって。今、鎖を外してあげるからね」
 彼はこれから一番のお気に入りのオモチャで遊ぶように、無邪気で愉しげに笑いながら、鎖を留
めていた錠前を鍵で外した。
 俺は自由になった両手で彼に抱きついて、彼の唇を貪る。
「これはもう必要なくなったかな?」
 彼は俺に唇を貪られるままに笑いながら、手にした鎖を絨毯の上に放り捨てた。
 俺の股間のモノはとっくにいきり勃っているのに、彼はわざと意地悪をするように俺に触れよう
としなかった。それがもどかしくて切なくて、俺はすすり泣きながら彼の腰にすがりついた。
「なんだい? どうして欲しいか言ってご覧」
 彼が悠然と笑いながら俺を見下ろしてくる。
「して……下さい……。欲しいんです……」
「いいよ。じゃあいつも通りにやってみてよ」
「はい……」
 俺ははやる気持ちを必死で堪え、彼のズボンのファスナーを下ろし、彼のモノをそこから引きず
りだした。萎えたままのそれに舌を這わせ、夢中でしゃぶりつく。
165『若獅子×伍長』8:2006/11/22(水) 22:15:15 ID:???
 口の中で彼のものが次第に硬く大きくなっていくと、俺の尻は彼が与えてくれる快感を期待して
疼き出した。
「もういいよ。だいぶ上手になったね」
 彼がわずかに頬を上気させた顔で、優しく俺の頭を押して口を離させた。
「うつ伏せになってお尻を高く持ち上げて」
 俺は言われた通りにした。自ら尻を割り開き、彼の到来を待った。
「早く……ッ、俺……もう……」
「そうあせらないでおくれよ。時間はたっぷりあるんだから、楽しもうよ」
 彼はわざと焦らすように、穴の襞を指でなぞっていく。
 それだけでも俺はゾクゾクとした切なさに全身を震わせた。
「ん…っく、っあ、お願いします……挿れて下さい……ッ」
「しようのない子だねぇ。もうすっかり淫乱になっちゃったね」
 クスクスと愉しげに笑いながら、彼が亀頭をそこにあてがった。
 熱く硬いものがそこを押し拡げ、中に入ってくる。
「あ……、あっ……」
 俺のそこはすでに彼の大きさに拡張され、彼のものを難なく呑み込めるようになっていた。
 待ち望んでいたものが内部を満たして行く。擦られる感触に、俺は背中を仰け反らせながら堪え
切れない声を漏らしていた。
「あっ、あーーッ…! いい……いいぃ…! ふあ…ッン! んんぅっあ!」
「キミの体もだいぶエッチになったよね」
 レオニールが腰を突き上げながら、俺の背中に覆い被さって来た。後ろから手を回し、乳首をつ
まみこねまわしてくると、さらなる快感が腰で弾けて俺はますます善がり泣いた。
「ひッン! あぁーッ、そこ、いい……ッ! いッ、あ! あぁっ、ン!」
「ここだけじゃないだろう? どうして欲しいか言ってご覧。言えるだろう?」
「ッあ! もっと……奥……! 突いて…! もっと突いて……!」
「良い子だね、ランデル」
 一番感じる部分を強烈に突き上げられて、俺はもう善がり泣くことしかできなかった。
「ああーーッ! あッぐ…! うぁ…っあ! いい……ッ、そこッ……っあっあ!」
「ランデル、明日三課に戻してあげるよ。だけど、分かってるよね? 僕がキミに望んでること」
「は……はい……、っん! あなたの……仰せのままに……、くッあ!」
「もうキミにはランタンは必要ない」
 そう……俺の中にはもう消えない鬼火が燃えているから……。
 二つの小さな鬼火が俺を導くから……。

          *

「わぁ、伍長さん! 一週間ぶりですねぇ〜! もう元気になったんですか! よかったぁ」
 執務室に入って来た俺に、曹長が真っ先に駆け寄って来て言った。嬉しそうな笑顔で顔をいっぱ
いにした曹長が、キラキラと輝く大きな瞳で俺を見上げて来た。
 オレルド准尉とマーチス准尉も嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「デカブツ〜お前なぁ、入院すんならするで一言言えよな! いきなり休みやがって、届けがきた
のは休んでから三日後って、どういうこった! その三日間、隊長が大変だったんだぞ! ったく
俺たちゃいいとばっちりだったぜ!」
「まぁまぁオレルド。こうやって元気になってまた顔を見せてくれたんだからいいじゃないか。ね
え、伍長、それで検査の結果はどうだったの?」
 どうやら俺が三課を離れていたのは一週間ほどで、その間、俺は病院に検査入院していたことに
なっていたらしい。多分彼がそう手を回してくれていたのだろう。
 あれほど見たいと望んでいたはずの懐かしいみんなの顔を見れたのに。こうやって戻って来た俺
を歓迎してくれて嬉しいはずなのに、俺は何も感じなかった。
 俺の目の奥では、蒼い鬼火が消えることなく燃えている。だから何も感じない……。
「ええ、もう大丈夫です。検査の結果も、異常なしでした」
 俺は当たり障りなくそう言った。
 またみんなが嬉しそうな顔で何かを言って来たけど、頭の奥で大きくなって行く声に掻き消され
て行く。
166『若獅子×伍長』9:2006/11/22(水) 22:17:07 ID:???
“分かってるかい? 僕の望みが”
 ――ええ、分かってます。あなたの望みは……。
 俺はその人の到来を確信して、何かを言ってくるみんなから顔を逸らしてドアのほうを見た。
 そのとき、ドアが開いた。
 黄色の隊服を身に着けた、会いたくてたまらなかったはずの人が顔を見せた。
「……伍長!!」
 少尉が驚いた顔をしたのは一瞬で、すぐに心の底から安心した顔で俺に笑いかけて来た。
「よかった、無事だったのだな! 心配したのだぞ! 入院するならするで、ちゃんと入院先の病
院を告げぬか! 私がどれだけ病院巡りをしたと思っているのだ!?」
「すみません」
 恋しくて、会いたくてたまらなかったはずの少尉なのに、何も感じなかった。
 頭の中に響くのは、ただひとつの声。

“分かっているかい? 僕の望みが”

 ええ、分かっています。あなたの望みは、少尉に本当の自分を取り戻させること。
 そして、俺と戦わせること……。
 目の奥で蒼い鬼火が燃え盛る。俺はひとつの意志に従うだけの人形になる。
「伍長? どうしたんだ、まだ具合がよくないのではないか?」
 心配げな少尉の顔が、鬼火の向こうでかすんで見える。
 俺は胸元に手を入れて、握り慣れた鉄の塊に手を伸ばした。
 少尉の顔がハッと凍りついた。
 俺はドアノッカーを握った腕を、真横に伸ばした。
 その場の空気が凍りついたのが分かった。
 けどもう、俺は何も感じなかった。
 ゴツンと硬い感触が銃口の先を通して腕に伝わった。
 目を動かすと、銃口の先をひたいに押しつけられて凍りついたマーチス准尉の顔が見えた。

“キミは僕の人形。さあ行っておいで。アリスに本来の自分を取り戻させに”

 俺は引き金に指を掛けたまま、ゆっくりと少尉に顔を向けた。
 少尉が金切り声で何かを叫んだ。
 誰かが悲鳴を上げた。
 誰かが怒鳴った。

 もう俺には、ランタンなんて必要ない……。
 だって俺の頭の中には、蒼いふたつの鬼火がいつだって灯っているから。
 ランタンなんてもういらない。
 あの蒼い鬼火があれば、それでいい――。

「少尉……」
 俺は顔を凍りつかせて何かを叫んでいる少尉を見た。
 頬に暖かいものが流れ落ちたのが分かった。
 なんだろう……なんで涙が溢れてるんだろう……。
 銃を手にした腕が、ゆっくりと動くのが分かった。
 またあの声が、頭の中に響いてくる。

 きみは……――ie――ぼく……――en sie――にん……――Toten sei――

 鬼火が俺を導く。死沼へ誘う蒼い鬼火が。
 ああ、そうか。これは俺を救うための鬼火だったんだ……。
「少尉……ごめんなさい……」
 俺は自分が何を言っているのか分からなかった。だけどひどく懐かしい気持ちを思い出していた。
 悪夢を打ち砕く光をまとった愛しい人の存在と、その笑顔を見ていたときの、暖かい気持ちを。
167『若獅子×伍長』10(終):2006/11/22(水) 22:18:23 ID:???
「もう俺……ランタンなんか要りません。蒼い鬼火ももう消える……」
 俺は、自分が今、ひどく安心しきっていることを知った。
 これで全てが終わるんだって言う、奇妙な達成感と安堵感に満たされていた。
「やめろ伍長!! 銃を下ろせ、下ろすんだ!!」
「ごごご伍長さん、ああああぶあぶないですよぅ!」
「デカブツ! よせぇ!!」
「伍長、ダメだよ! 伍長ぉぉ!!」
 みんなの懐かしい声が聴こえる。
 俺はすごく幸せな気持ちになっていた。
 よかった、俺、戻って来れたんだ……。少尉のところに、三課に戻って来れた……。
 悪夢も、もう見ない……。
 これで終わる……。

 こめかみに当たる銃口の冷たい感触をしっかり確かめて、俺は……――。
 
【The end】
168158-167:2006/11/22(水) 22:20:05 ID:???
こ れ は ひ ど い … !
本当にごめんなさい…!
結末はちょっとでも救いが残るように、
伍長が引き金を引いたのかどうかはあえて書きませんでした;
伍長が脳味噌ぶちまける結末が嫌な人は(嫌に決まってますよね)、
引き金を引く寸前に少尉と三課のメンバーが伍長に殺到して
間一髪で取り押さえたとかで自分を納得させて下さい;
自分的には↑の結末でいいかと思ってます。
ていうか寧ろそっちのほうを期待してますw
つ…次は必ずラブラブなSSをお届けします。
不快になられた方は、すみませんでした;

>>154
続編じゃないし、こんなのになってすみません;
続編は今度、必ず…!
私の未熟な描写法が参考になるかどうか分かりませんが
お役に立てれば幸いです。
>>156
参考にして下さってありがとうございます。
SS、是非今度書いてみて下さいね!
楽しみに待ってます。
169名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 00:18:17 ID:???
>>143
今までに無い凄い鬱展開GJ!
文中の伍長に同じく、読んでるこっちもビクビクしながら読みました
怖いもの見たさってやつでw
救いようが無さ過ぎて泣ける
170名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 00:36:29 ID:???
伍長うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ

しかしGJ!>>168
笑ってる伍長もいいが、そんな伍長の抱える鬱要素もひっくるめて好きなんだ
171名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 00:42:04 ID:???
>>143
GJ!
パンプキンでこういう鬱なSSあまりなくて新鮮でしたね
目も当てられないくらい伍長がかわいそうで…
次は伍長が幸せになれるようなSS期待してます!
172名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 00:57:08 ID:???
確かにここまで徹底して鬱なのは初めてだ。しかも若獅子相手。泣ける…
でもきちんとお断りを入れてもらったし、その高い文章力にGJ!

もう日々追うごとに伍長への萌えがつのっていくー
173名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 01:07:31 ID:???
>>168
感動した!
鬱展開も死ネタも大好物な自分にはご馳走としかいいようがない文だった!

超GJ!!
174名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:35:25 ID:???
橋の下
今日もランデル・オーランドはここで眠ろうとしていた。

大きな体に似合わず寝袋に入っている姿はどこかおかしく感じてしまう。

不意に目を開けたかと思うと低く小さな声で呟いた。

「・・・眠れない」

今日も三課での仕事は充実していた。

書類整理は毎日の仕事だし
今日は出張査察で出向いた村の子供たちと一緒に遊んであげたりもした。

他の部から見ればお遊び部隊、お気楽部隊に見えるかもしれないが
客観的な想像と主観的な体験では感じ方は大きく異なる。

何も戦うだけが軍のやることではない。

だって戦争はもう終わったのだから。

「眠れない・・・」

それを気づかせてくれたのはアリス・L・マルヴィン少尉
俺がいる部隊「パンプキン・シザーズ」の隊長だ。

戦争が締結して三年 俺は浮浪者の様に彷徨っていた。
あの時少尉に出会ってなければ今だって俺は昔のままだったかもしれない。

皮肉なものだ。
俺が嫌っている戦争が俺の生きる理由目的になっていたなんて。

それがなくなったとたんに脆く朽ち果てたなんて

「どうして…眠れないんだろう…」

いつもならもう寝ているのに、今日は余計なことばかり考えてしまう。

気分転換にと寝袋から抜け出し橋の下から外に出てみる。

「今日は…月が綺麗だなぁ」

空に煌煌と輝く満月 雲ひとつない

満月は理屈無しに気持ちを高ぶらせる。
伍長とて例外ではない

例外なんて ない
175名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:36:32 ID:???
「少尉…」

愛する者の名を呟く
決して気づいてはいけない感情
今は誰にも聞かれない。

「少尉…俺…頑張りますから・・・」

自分の決心を空に投げかける
返事は返ってこない
見ているのは満月だけ

どうしてだろう
普段は目をつぶれば少尉の笑顔や頑張っている姿が目に浮かぶのに
今日はなぜだか違う。
浮かぶのは少尉のあらわな姿 淫らな格好 妖艶な腰つき
すべて邪な妄想でしかない。

「少尉ぃ…」

自分でも気づかない内に股間をいじってしまう。
してはいけない妄想だと自覚をすればするほど余計に興奮してしまう。

「俺…俺…」

我慢できなくなり下半身の衣類を脱ぎ取る。
雄臭さがむんと鼻につく。
今はその臭いでさえ媚薬のように感じてしまう。

「あぁ・・・っん・・・」

とめどなくあふれ出てくる我慢汁がくちゅくちゅと扱く度に卑猥な音を出している。
頭の中では俺のを咥えて精一杯奉仕してくれている少尉がいる。
それがたまらなく愛しい。

「んぅ・・・はぁ・・・っ」

声を極力出さないように気をつける。
本当は誰かが見ているのかもしれない。
そんな背徳感が自身を昂らせていく

「あ・・・っ・・・もうっ・・・」

汚れた俺が穢している 
守りたい人を 信頼してくれている人を
実現しない夢だからこそ淫らになってしまう。

「う…っ・・・あぁ・・・少尉・・・少尉・・・っ!」

夢だけならいいんだ
現実では守りきるんだから
そう自分に言い聞かせながら俺は劣情を吐き出した。


今夜は 月が キレイ だ
176名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:37:19 ID:???
――――――――――――――――――――――――

興奮も収まり後始末をしていると、
さっきとは打って変わった様な穏やかな気持ちになるのがわかる。

「これで眠れそうだ・・・」

明日も三課で働く 明日も少尉に会える
その幸福を再確認できたいい日だったのかもしれない。
笑みを浮かべながら再び寝袋に入る。

「寒くなってきたな・・・
 おーいお前たちなんでそんなところに固まっているんだよ」

何かおかしい。
いつもはお腹や頭の方に集まってくる猫たちが下半身のしかも股間のほうに集中している。
別に問題はないのだがなんとなく気恥ずかしい。
少し考えてみると意外とあっさりと結論にたどり着いてしまう。

「そっか・・・俺・・・イカの臭い・・・するもんな」

こんなことは今日限りで止めよう・・・
心の中でそっと誓う

今夜は月が綺麗だ
貴女もみてますか 少尉
                       
                                      終
177名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:38:04 ID:???
これにて終了です。
伍長萌えの方では初めて投下させていただくのですが
普段と違う感じに書いてみようと思ったらすごく疲れてしまいエロが薄くなってしまいました・・・
なのでオチだけでも普段どおりにしようかなと思ったら・・・なんでしょうねコレ。
本当にスイマセン!!
また書かせていただくこともあるかもしれませんがそのときはまたよろしくお願いします!
では!
178名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:41:51 ID:???
>>177
GJ!
ほのぼのとした感じで楽しませていただきました。
179名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 03:34:27 ID:5EPhCfRz
>>177
ちょwwwオチがwww
ストーリー的にもスレの流れ的にもそう来ると思ってなかったので、
意表を突かれてよけい噴いた。
GJですた。
180名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 03:44:46 ID:???
>>177
GJ!月の描写綺麗でほのぼの一人上手伍長かと思ったら…オチワロス。

このスレ良職人多いなあ。どれも読み応えがあるよ。
181名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 06:05:42 ID:???
伍長のおちんちんはでかすぎて、少尉には挿入できません><
182名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 08:36:53 ID:???
ならば少尉が伍長に挿入すればいいw
183名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 10:04:46 ID:???
伍長のを見慣れた(というか伍長のが初めて)の少尉が
他の男のを見て「・・・小さいな」という展開はありえますか。
184名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 10:15:19 ID:???
>>177
イカの臭いワロタw
妙に眠れない夜の伍長の気持ちがよくわかる
こういう時は出すもの出しちゃった方が良く寝られるんだよね
185名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 13:29:08 ID:???
>>183

少尉、レオ様に向かって「小さいな」発言→レオ様ショック
→レオ様「君が噂の伍長さんかな?」→ごちょ「あうあう;」

レオ様「みつけた、僕がじゃれついても壊れない玩具v」

本当にありがとうござ(ry
186名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 23:57:23 ID:???
>>90のお言葉に甘えて描いてみた。
それぞれイメージあると思うんで、閲覧は自己責任でよろ。
とにかく萌えたってことが伝わってくれれば本望っす…。
パスはsection3
ttp://kasamatu.o0o0.jp/pochi/src/hajime5935.jpg.html
187名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 01:49:37 ID:???
>>186
おおGJ!エロいな
しかしよく考えると普通は構図が逆なんだよな…
188名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 01:50:49 ID:???

が、しかし見れんのは俺だけか
189名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 02:43:17 ID:???
>>186
GJ!伍長色っぺーな・・・(*´д`*)ハァハァ

>>188
分かりづらくなってるけど、「ダウンロード」の字をクリック
19090:2006/11/25(土) 02:59:06 ID:???
>>186
うわああぁぁぁ!上手い!!
ありがとうありがとうありがとう!!
光の速さで保存しました!
伍長が色っぽ過ぎるは、じ〜っと見つめてる少尉が小悪魔だはで
もうタマリマセン!
最高です、ありがとう!!
191名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 03:01:27 ID:???
伍長のおてぃんてぃんは太さ何センチ?
192名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 03:04:37 ID:???
>>186
GJGJ!
伍長のエロ顔イイヨイイヨー
なんかエロいだけじゃなく幸せそうな感じなのがこれまた良いものですなぁ。
193名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 03:17:24 ID:???
>>191
さぁ?
ロゼッタちゃんが原作で「いきなり本気出す事ないじゃない」みたいな
愚痴をこぼしてたので、尿瓶を割ったのは勃っちゃったからwだと
思うけどな。平時のままならLLサイズで収まってたんだろうと推測。
まぁそんな感じの太さって事で。

その後再び尿瓶を持って伍長に迫る彼女は猛者w
迫られた伍長の顔がたまらんwwアニメだと多分13話辺りに来るはず。
194名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 11:01:13 ID:???
>>186
凄くGJ!
文字書きと、絵描きの存在はスレではとても貴重
>>90に限らず
もし気が向いたら、他のssの絵も是非描いて下さい!
195名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 17:05:23 ID:???
お待たせしました。
>>100-105、および>>124-131
続編でございます。

*****************
『オレルド×伍長』です。
伍長のランタン秘話捏造w
途中やってることは鬼畜っぽいですが
最後はラブラブ目指してます。
*****************
今回も糞長いですが、お楽しみ頂けると幸いです。
いつにもまして長いです…orz
投稿途中で規制食らってしまったら
ほとぼりが冷めた頃にまた投下しにきます(;^^)

では、どぞー。
196『オレルド×伍長2』01/13:2006/11/25(土) 17:07:16 ID:???
「あれぇ、オレルドさん早いですねぇ!」
 俺が三課の執務室に入るなり、チビッコ曹長が目を丸くして大袈裟にそんなことを言いやがった。
「オレルドさんが遅刻しないなんて珍しいですね。今日は嵐になぁあいたたたたたた!!」
 軽く受け流す余裕も手玉に取ってからかってやる気力もなく、俺は無言でチビッコのこめかみに
拳をめり込ませてグリグリしてやった。
 ふん、運が悪かったなチビッコ。今の俺は虫の居所がすごぶる悪いんだよ。
「ひどいです! いきなり何するんですかぁ! 暴力反対ですよぅ!」
「あー、うっせ、うっせ」
 涙を振り飛ばしながら抗議してくるチビッコをあしらい、俺は自分の席に座った。
 視線は自然とデカブツの席へ向かう。そこはまだ空席だった。
 思い出すのは昨夜の熱い情事。
 そして朝のそっけないメモ。
 あのメモのことを思い出すと、俺自身でさえも昨夜の情事は夢だったんじゃねぇかと思っちまう。
 けどあいつを抱いた感触が、まだこの腕にありありと残っている。あいつの声が耳に、涙を流す
火照った顔が目に、重ねた肌の感触が体中に。
 そして俺の心が、気づいちまったあいつへの想いを忘れてくれねぇ。
「おはよう、オレルド」
 声をかけられてふと視線をあげた先には、気遣うような笑みを見せたマーチスがいた。
「どうしたの、機嫌悪そうだね」
 悪いなんてもんじゃねぇ。最悪だ。
「女の子とケンカでもしたのかい?」
「ケンカか……――」
 それ以前の問題だな。そもそも俺を今、不幸のどん底に叩き落としてんのは可愛い女の子なんか
じゃねぇ。
「ふん……、女とのケンカのほうが、まだよかったな……」
 重い溜め息とともに吐き出した言葉に、マーチスは眉根を寄せた。
 そう、女とのケンカなら俺はいくらでも対処法を知っている。
 けど、こういう場合はどうしたらいい? あいつに花束を贈ればいいのか。それとも服か。指輪
か。化粧品か。眺めのいいレストランでの食事か。どんな言葉を使って心を開かせればいい?
 女が喜ぶような贈り物も優しい言葉も、どれも多分、あいつは喜ばない。
 こういう事態は今までにないんだから培ってきたマニュアルなんか役には立たない。
 そもそも俺とあいつはケンカしたわけでもない。そう、ケンカだったらまだよかった。感情を爆
発させて、お互いの不満を言いたい放題ぶちまけあって、お互いが納得のいくまで話し合って本音
をさらけ出し合えば親密度がより一層深まるのに。
 だけどあいつは、俺にそれすらも許さずに勝手に出て行っちまいやがった。凍える夜にやっと暖
かい居場所を見つけたと思った俺に、眼前でドアを閉ざし鍵を掛けた――そんなふうにな。
「諸君、おは――おおっ、珍しいなオレルド! お前が私よりも先に来ているとは!」
 物思いにどっぷり耽っているところに、我らが隊長がお出ましだ。
 俺はますます疲れた気分になっちまう。
「おはようございます、アリスさん!」
「おはようございます、隊長」
「うむ、おはよう諸君。オレルドもようやく改心したらしいし、良い一日になりそうだ!」
 俺の気持ちなんか知るよしもなく、隊長は相変わらずのテンションで靴音も高らかに、颯爽と執
務室の中を横断して行く。
 やれやれ、この小さい体のどこにあんな元気があんのかねぇ。少しぐらい分けて欲しいぜ。
「うん? 伍長はまだなのか?」
 隊長の言葉に、俺は意味もなくドキッとした。
「そういえば……今日はオレルドさんが珍しく早く来たと思ったら、伍長さんがまだですねぇ」
「うん、いつもはもう来てる時間なのに、おかしいな」
「お前たち伍長が欠席する旨を聞いているか?」
 あいつを連想させる言葉を聞くと、俺の心臓はますます煽ってきた。なんだかもの凄くばつが悪
い気分になるのはなんでだ。
 いや、そりゃ……昨夜俺たちが肉体関係を持っちまったなんて、こいつらにバレたら、とんだ騒
ぎになっちまうだろうし、隊長にも殺されかねねぇ……。
197『オレルド×伍長2』02/13:2006/11/25(土) 17:08:12 ID:???
 日頃の俺の行いから、こいつらはきっと俺をこう言って責め立てるだろう。
 “オレルド貴様、立場上伍長が逆らえないのをいいことに、一方的に強姦したんだな! えぇい
この恥知らずめが! そこへ直れ! 我が剣の錆びにしてくれる!!”
 “最低です、オレルドさん! 伍長さんが可哀相です〜〜〜〜!!”
 “きみのこと節操がないと常々思ってたけど、まさかこれほどまでとは……。見損なったよ”
 そんな光景が嫌と言うほどありありと浮かんできて、俺は背筋を凍らせた。
「オレルド、お前は伍長が休む旨を聞いているか?」
 いきなり隊長にそんなことを聞かれた俺は肝を冷やした。
「や……いえ、いや、俺が知るわけないじゃないっすか……」
 やべぇ……こめかみを冷たい汗が流れるのが分かる。
 隊長が緑の目をすがめて俺を睨んだ。『あやしい』その目はそう言っている。
 この吶喊少尉はだいたいが世間一般の常識からは遥かに逸脱した言動を取りがちだが、恐ろしい
ほど勘が鋭いときてる。隊長のこの霊感の域に達するほど鋭い勘のおかげで、俺たちは何度も窮地
から救われてきた。
 だが今の俺にとって隊長が勘を発揮させることは、命取りになるのが目に見えて分かる。
「オレルド」
「ハッ、ハイ!」
「お前何か知っているのではないか。なぜそのように汗をかいているのだ?」
 南無三――。心の中で十字を切った、その時だった。
「すっ、すみません、遅くなりました……!」
 慌ただしくドアが開き、ようやくデカブツが姿を現した。
 デカブツは走って来たのか、はぁはぁと肩で息をしてドアに寄りかかるようにして立っている。
薄く汗ばんで少しだけ赤くなった顔が昨夜の姿にかぶり、俺の体の芯がずくんと疼いた。
「おお、伍長、来たか」
「大丈夫ですよ、伍長さん。まだ遅刻じゃありませんから〜」
「ずいぶん急いで来たみたいだね。走って来たの?」
 隊長と他の奴らの意識がデカブツに注がれ、俺は内心で安堵の溜息をついた。
 デカブツと目が合った。顔がさらに赤く染まって、デカブツは慌てて目を逸らした。
 それを見て、やっぱり昨夜のことは夢じゃなかったんだと俺は確信した。
「伍長? いつまでそこに突っ立っている気だ?」
 ドアにへばりついたままのデカブツに、隊長が言った。
「今日は珍しくオレルドさんも遅刻しなかったことだし、お仕事前に皆さんでお茶しましょう!」
 チビッコが余計なことを言いながら、いそいそとコーヒーの準備を始めやがる。
「は……はい……」
 デカブツはなんだかおそるおそると言った感じで、寄りかかっていたドアから手を離した。
 だが、なんとなく歩き方が変だ。
 その異変にはもちろん隊長も気づいているようだった。
「伍長、足をどうかしたのか?」
「えっ?!」
 大袈裟なほどにデカブツはビクンと肩を揺らして隊長を見下ろした。
「歩き方がなんだかおかしいぞ?」
「そっ、そんなこと……ないです」
 デカブツは引き攣った笑顔で応え、隊長の視線から逃れるように自分の席へ向かう。
 隊長が怪訝に思ったのも無理はない。あきらかにデカブツはひょこっ、ひょこっと、まるでびっ
こを引くように足を引きずり気味に歩いてる。
 確か昨日までは、なんともなかったはずだが……。
 デカブツは普段の倍の時間をかけて、ようやく席にたどり着いた。椅子を引いて座ろうとした時、
ちょうどコーヒーを持ってきたチビッコがデカブツの顔の前に湯気のたつカップを差し出した。
「はい、伍長さん! 煎れたて熱々のコーヒーですよ! 火傷しないで下さいね〜」
「えっ!? うっ…わ!」
 どこにそんなに驚く要素があったのか俺には分からなかったが、デカブツはビクンと背中を反ら
してバランスを崩した。脚がもつれ、デカブツの巨体がグラリと後ろに傾ぐ。
 ――やべぇ、倒れる!
198『オレルド×伍長2』03/13:2006/11/25(土) 17:09:21 ID:???
 俺はとっさに立ち上がってデカブツの背中に手を伸ばした。だがそれより一瞬早く、金色の風が
目の前を吹き抜けた。
「あぶないッ伍長!」
 隊長は自分の三倍はあろうかと言うデカブツの巨体を、無謀にも支えようとしたんだ。
 おいおい、脊髄反射かあんたは!
 デカブツがハッとした顔で後ろに視線をやった。が、逆に隊長を庇う行動に移ろうとするには遅
すぎた。そもそも体が全然動いてないように見えた。
「伍……――ふぎゃ!!」
 ドシーンという轟音とともに、哀れ隊長はデカブツの下敷きに……。
「たッ……隊長!!」
「キャー! アリスさん〜!!」
 マーチスとチビッコが顔面を蒼白にして金切り声で叫んだ。
「しょ……少尉! 大丈夫ですか、少尉!!」
 デカブツが弾かれたように体を起こし、泣きそうな顔で平たくなった隊長を抱き起こした。
 だが、さすがと言うかやっぱりと言うか、あの巨体から圧し潰されたにも拘らず、隊長は無事
だった。鼻が少し赤くなっている程度で、脳震盪を起こしているようにも見えない。
 隊長は抱き起こされたデカブツの腕を支えに、自力で体を起こして床に座った。
 丈夫だなぁ……オイ。
「ふぐぐ……だ、大事ない。やはり私では伍長を支え切れんな……」
「すみません、本当にごめんなさい、少尉……!」
 涙目になってオロオロするデカブツに、隊長は鼻の赤くなった顔で凛々しい笑顔を見せた。
「案ずるな。それより心配する立場が逆だ。やはり伍長、お前は脚をどうかしているようだな。ケ
ガをしているのなら包み隠さず申せ」
「い……いえ、ケガは……してません。ただちょっと……こ、腰が……」
「腰?」
 デカブツの顔がまた赤くなった。そして隊長の真っすぐな視線に耐え切れなくなったのか、正座
を崩したような格好で床に両手を着いたまま、顔をうつむけた。
 ……ああ、なるほどな。
 そりゃまぁそうだろうなぁ。一晩中俺に突っ込まれてたんだ。足腰立たなくなって当然だ。
 俺は全然平気だけどな。そう言う意味じゃ鍛えてるからよ。
「腰を痛めたのか! それはいかん! 今すぐ医務室に行って診てもらえ!」
「いや……あの……ぁぅ……」
「どうした、立てぬほどに痛めているのか!?」
 あーあ、ダメだこりゃ。未成年な上に大人の関係にはとんと鈍感な隊長じゃ、デカブツが腰を痛
めている色っぽい理由になんか永久にたどり着きそうもねぇ。
「あー、隊長、隊長」
 俺はたまりかねて助け舟を出した。
「なんだオレルド。今はお前の相手をしている場合では――」
「医務室、俺が連れて行きますから」
「なに、お前が?」
 おいおい、なんだよ、その“伍長を口実にしてサボる気ではなかろうな?”と言いたげな目は。
「サボったりしませんよ。すぐに戻ってきますから。ほら、そろそろボスが来ますよ」
「う……うむ。そうか、では伍長のことを……頼むぞ」
「了〜解っ」
 思いっきり渋面で恨めしげに睨みつける隊長に敬礼をし、俺はデカブツに肩を貸して執務室を出
た。

          *

「あの准尉……も、もう大丈夫ですから……」
 医務室に行く途中、肩を貸していたデカブツが立ち止まった。
 遠慮がちにおそるおそる俺の肩から離そうとした手を、俺は有無を言わさず握りしめて制した。
「無理すんじゃねぇよ。脚ガクガクなんだろうが」
 俺が言うと、デカブツがカァァッと顔を赤くした。
199『オレルド×伍長2』04/13:2006/11/25(土) 17:10:15 ID:???
 可愛いなぁ……ちくしょう……。
「湿布ぐらい貼ってもらったって罰は当たんねぇよ。だいたい何もせずに戻って、隊長になんて言
い訳すんだ。腰が痛いのは昨晩オレルド准尉とエッチしまくったからです〜とでも言うか?」
「じゅっ……准尉!!」
「言えねぇだろ、んなこと。言ったら隊長から殺されるぜ……俺がな」
「え……、な、なぜです?」
「日頃の行いの違いってことだ」
 キョトンと首を傾げるデカブツの手首を握りしめ、俺は無理やり引きずるようにして歩きだす。
「おら、とっとと来い!」
「は、はい……っ」
 言葉の上では急かしたが、その実、俺はデカブツを労ってゆっくり歩いた。
 デカブツの手首を握った手が、デカブツの腰にまわした腕が、妙に粟立つ。嫌な感じじゃねぇ。
むしろ……服の上から触れ合っていると思うそれだけでも心地良かった。
 こんな気分はもうずっと忘れていた。手を握るだけでドキドキした初恋の時を思い出しちまう。
 医務室がもっとずっと遠ければいいなとさえ思っちまう。
 けど、どれだけゆっくり歩いても、そう遠くない医務室にはすぐに着いちまった。
 中に入ったが軍医はどうやら留守のようで、誰もいない。朝のこの時間だから会議にでも出席し
ているのかもしれない。
 まぁいい、どうせ湿布を貼るだけだしな。
 俺はデカブツをベッドに腰掛けさせ、服を脱いで待ってろと指示を出した。デカブツに背を向け
て、薬品棚をあさると湿布薬はすぐに見つかった。
「あったあった。さっさと貼って戻ろうぜ。隊長がうる――」
 振り返った俺は息を呑んだ。
 上半身裸になったデカブツの首筋から隆起した胸板のなだらかなラインにかけて点々と、赤い花
びらのような痣が無数にあった。
 それは俺がつけたしるしだ。デカブツを自分だけのものにしたいと強く願って刻み込んだ刻印だ。
 明るい陽の光の差し込む中で見ると、それはとてつもなく扇情的だった。
「あ……あんまり、見ないで下さい……」
 デカブツが恥ずかしそうに小さく言って顔を逸らし、胸の前で腕を交差させて痣を隠した。
 急に喉の渇きを感じて、俺は無意識に唾を呑み込んだ。
 欲望を払い除けるように頭を振って気を取り直し、デカブツの背後に回る。ベッドの上に膝をつ
き、デカブツの腰に湿布を貼りつけた。
 湿布薬の冷たさにデカブツが小さく声を上げて、背筋を震わせた。
 デカブツはこっちを見ようしない。一言も話さない。
 そう言えば……、昨夜愛し合ってるとき、こいつは俺のことを見ただろうかとふと思った。
 俺の行為を受け入れ、俺の求めに応じてはいたが、感極まっている最中にこいつは一度でも俺の
ことを見ていただろうか……。
 俺は食い入るように、目に焼き付けるように、こいつの姿を見ていた。
 だが、こいつは……――?
 俺の名を呼んだのも、最初に一緒に果てた時だけじゃなかったか? しかもそれは、俺が呼べと、
そう命じたときだけだ。
 そのあと、何度も何度も求めて達して……その間、こいつは俺の名を呼んだか?
 “准尉……、じゅん…い……!”
 そうだ、こいつはずっと俺のことを“准尉”と呼んでいた。呼び続けていた。
 俺は無意識にデカブツに手を伸ばしていた。
 うなじに指先が触れると、デカブツがビクリと肩を揺らした。
 指先で下から上になぞりあげ、襟足の髪を掻き分けて、俺はそこに口づけた。
 デカブツの体が小さく震え出す。
 俺はデカブツが逃げるんじゃないかと思って急に怖くなった。デカブツを抱きしめた。
「准尉……!」
 上ずった声を上げたデカブツのうなじに、俺は強く吸いつく。またひとつ、新しい花びらが浮か
んでくる。
 俺はデカブツの脇の下から腕をまわし、胸の突起に触れた。
 デカブツが息を呑んで、ビクンと背筋を反らせた。
200『オレルド×伍長2』05/13:2006/11/25(土) 17:11:18 ID:???
 指の中で乳首を軽くつまみ転がすと、それはみるみるうちに硬くしこってきた。俺の股間のもの
も硬くなる。デカブツの息づかいが荒くなる、俺の体も熱を持ち始める。
 やっぱり昨日のことは夢じゃなかった。俺の手も体も、そしてデカブツの体も、ちゃんと憶えて
るんだと俺は確信した。
 けど……デカブツは本当に俺のことを見ていたのか。それだけが無性に不安だった。
 俺はデカブツをベッドに押し倒した。
「ダ……――」
 ダメだと言おうとしたデカブツの口を唇で塞ぎ、俺は荒々しく舌を突っ込んだ。
「ん……ッ、んぅ……」
 デカブツが俺の肩をギュッと掴んできた。俺が痛くない力加減だ。デカブツの手が震えていた。
 俺がデカブツの舌を舌で絡めとると、デカブツもそれに応えるように俺の舌にそれを絡ませる。
 デカブツの手が肩から離れ、俺の頬に触れてきた。
「ダメです……、こんなところで……」
 一瞬だけ唇を離したらデカブツが震える声でそう言った。
 俺は応えず、またデカブツに口づける。そうするとデカブツのほうから俺の舌を吸い、唇に吸い
ついてくる。口では拒否していても、体のほうは俺を求めている。
 強烈な麻薬をたっぷりぶち込まれたみたいに頭がクラクラする。体が燃えるように熱かった。
「軍医が戻ってくるまでに、さっさと済まそうぜ……」
「ダメ――んッぅ……」
 俺は飢えたようにまたすぐにデカブツの唇を舌を貪った。
 そうしながら余裕のない手つきでデカブツのズボンのベルトを外し出す。
 デカブツは逃げない。それどころか俺の手にそこを擦り付けるように、自ら腰を蠢かせていた。
 俺たちは一時も離れるのを惜しむように、激しい口づけを交わし続けていた。
 陽の光に満ちた医務室には、俺とデカブツがお互いの唇を貪り合う荒い吐息と淫靡な水音が響い
ていた。
 閉じられた窓の外から鳥がさえずる声が小さく聴こえてくる。訓練をしているのだろう威勢のい
い掛け声が遠くから響いてきていた。
 だけど俺の五感の全てはデカブツに注がれている。デカブツの息づかい、熱に浮かされたような
とろんと潤んだ目で俺を見てくる顔、触れ合う肌の滑らかな感触……。
 デカブツの全部が、愛しいと思った。
 けれど愛しいと思えば思うほど、その分だけ不安も募った。
 デカブツの瞳が俺に向けられても、その視線の先には俺はいないような気がした。
 俺はそんな不安を掻き消すように、デカブツの首に吸いついた。片手で胸の突起をいじり、耳朶
を軽く噛んでやると、デカブツが昨日と同じ反応を示した。
「あっ……、あ……、准尉……准尉…っ」
 濡れた声で“俺”を呼ぶ。確かに、それは俺なんだ。
 そう思いたかった。
 その時、ガシャンと派手な音が医務室内に響き渡った。
 ビクンとして俺とデカブツは音のほうを同時に見た。
 一瞬、軍医が戻って来たのかと思ったのだが、そうじゃないことはすぐに分かった。
 床の上を、デカブツのランタンがコロコロと転がっていた。
 ベッドの上に隊服と一緒に置いてあったランタンが、俺たちが動いていた弾みで下に落ちただけ
だったんだ。
「なんだよ……驚かせやがって……」
 俺はホッとして続きを開始しようとした。
 だが、デカブツがランタンを見ていることに気づいた。その顔には今までの熱は微塵も残ってい
なかった。零れ落ちそうなほどに大きく見開かれた目は、ランタンの一つ目に釘付けになっていた。
 こいつがランタンの光を灯すと尋常じゃなくなることは知っているが、今ランタンの光は灯って
はいない。だけど、デカブツの様子は明らかに変だった。
「おい、どうした?」
 俺が訊いた途端、デカブツがハッとしたような顔で俺を見た。視線が俺の顔の上で素早く泳ぎ、
唇がわなわなと震え出した。赤く染まっていた顔が、みるみるうちに熱を失って白くなっていくの
が分かった。
「どうしたんだよ、おい?」
201『オレルド×伍長2』06/13:2006/11/25(土) 17:12:21 ID:???
 もう一度訊いた時、デカブツが突然泣き顔に顔を歪めて自分の口を両手で塞いだ。刹那、デカブ
ツの目から大粒の涙が溢れ始めた。
「おっ……おい?」
 わけが分からず俺は混乱した。
「あっ……あぁ、ごめ……、ごめんなさい……ごめんなさいッ!」
 今まで求め合っていたのが嘘のように、デカブツは俺を突き放した。俺はあっさりとベッドの上
に尻餅をついてしまった。本気を出したデカブツの力に敵うわけがねぇ。
「お、おい、デカブツ!」
 止める暇もなかった。
 デカブツは逃げるようにベッドから降りると、真っ先に床に転がっていたランタンを拾い上げ、
大事そうに胸に掻き抱いた。それからやっと思い出したように脱ぎ捨てた隊服をかき集め、医務室
から飛び出した。
 なんだありゃ……わけが分かんねぇよ――
「くそったれ!」
 昂った体のまま放置された俺は、怒りに任せてベッドを蹴りつけた。
 生も意思もない、ただの無機物――薄汚れたちっぽけな、ただのランタンにデカブツを奪い取ら
れたような気がした。

          *

 医務室から三課のオフィスに戻る途中の廊下に、デカブツはいた。壁に背中を預け、膝を抱えて
座り込んでいた。
 煽るだけ煽っておいて、あげくの果てに拒絶して勝手に出て行っちまったこいつに腹が立たない
と言えば嘘になった。けど俺は無視することもできずに、デカブツの前で足を止めた。
「なにやってんだよ……お前」
「すみません……。俺一人で戻ると、准尉が少尉に叱られるんじゃないか……って」
 デカブツは膝に顔を埋めたまま、小さく言った。
「だからわざわざこうして待ってたのかよ」
「……すみません」
 俺の目は自然とデカブツの腰に行った。そこにはいつものようにランタンがぶら下がっていた。
 ランタンの目玉に陽の光が反射して、俺を嗤っているように見えた。
 ムカつく……たたき壊してやりてぇ。
「お前は謝ってばっかりだな」
 溜め息混じりに皮肉った俺に、デカブツは無言だった。
 イラッときた。
「謝れば全部許されると思ってんのか。謝りさえすれば、それ以上触れられたくない部分に触れら
れずに済むと、そう思ってんのか」
 デカブツがゆっくりと顔を上げて、俺を見た。頬に涙の痕が見えた。
「准尉は……俺のこと、代わりにしてるんじゃないって……言ってくれましたよね……」
「ああ、それがどうした」
「俺は……代わりにしてたんです」
 なんだと――?
 心臓に冷たい杭を突き立てられたような気がした。
「俺は……准尉のこと……代わりにしてた……。さっきも……しようとした……」
 デカブツの顔が泣き顔に歪んだ。大粒の涙がボロボロと零れ落ちた。
 また膝に顔を埋めて声を殺して嗚咽するデカブツに、俺は掛ける言葉が見つからなかった。
 こいつは……俺をいったい誰の代わりにしていたんだ?
 昨夜、俺とこいつが寝たのは、デカブツが俺を好いているから体を許してくれたなんて思ってな
かった。
 けど……けどよ、ほんの少しの可能性ってもんに期待しなかったと言ったら嘘になる。
 だってこいつはあれほど俺を求めて、俺を呼んで……――。
 デカブツが鼻をすすって顔を上げた。腰のランタンに手を伸ばし、ベルトから外すと、それを俺
に差し出してきた。
「これは……彼がくれました。俺のと交換したんです」
202『オレルド×伍長2』07/13:2006/11/25(土) 17:13:55 ID:???
 デカブツはランタンを差し出したまま、遠い目で話し続ける。
「新型の戦車が投入されて、仲間が大勢死んで行きました……。最後の夜……彼が俺のランタンと
交換しようって言いました。お守りにするから……って。生きて帰れたら……一緒に暮らそうって」
 デカブツの顔がまた泣き顔に歪み、涙が零れた。ランタンを胸に抱き寄せて、デカブツはうつむ
いて涙に咽びながら続けた。
「でも……目が醒めたら……テントの中には俺ひとりでした……。外に出ても、部隊の仲間は一人
もいなくて……俺だけが取り残されてました……。眠る前に、彼がくれた薬のこと思い出しました
……あれは睡眠薬だったんだって、気づきました。
 遠くで爆音が聴こえました……。急いで駆けつけたけど……もう…誰も生きてなかった……。新
型の戦車も壊滅状態だったけど……、その代わり……仲間も……。みんな誰が誰だが分からないぐ
らい、バラバラになってました……。必死で彼を探して、肉片を掻き分けて……探して……探しま
わって……腰から上しか残ってない彼を見つけました……。俺のランタンもどっかに行ってて……
でも彼は幸せそうに笑ってて……――っう、うっ……ううっ……」
「そいつの階級は……?」
「准尉……でした」
 血の気が引いて行った。疑いが確信に変わった。
 デカブツが顔を上げて俺を見た。未だに涙が流れ続けるその顔に、すまなそうな淡い笑みが浮い
ていた。
「もう……やめましょう。俺は……准尉を代わりにすることしか……できないんです」
「……それでもいい」
「よくないです……。俺は准尉……オレルドさんのこと傷つけたくない、利用したくない……。俺
に居場所をくれた、かけがえのない大事な……同僚だから……」
 “同僚”……その言葉に、俺の胸は切り裂かれるように痛んだ。
「傷つけられても……利用されてたとしても、それでもいい……」
 息が詰まった。握りしめた拳がぶるぶる震えて、鼻と目の奥に熱いものがこみ上げてきた。
「ダメです……俺……彼のこと……忘れられないんです……――」
 その瞬間、俺の中で何かが爆発した。目の前が真っ赤に染まった。
 気づいたら、俺はデカブツのランタンを奪い取っていた。
「やめ……――!」
 デカブツが止めに入るより早く、俺は廊下の窓を開け放って、ランタンを外に投げ捨てた。
 中庭の遠くの茂みの中に落ちるガシャンという小さい音が聴こえた。
 デカブツが必死の形相で窓に駆け寄った。窓から出ようとするデカブツの腕を掴んだ。
「忘れちまえ!!」
 俺は怒鳴った。
「忘れられないんです!」
 デカブツが泣き声でわめいた。
「忘れようとしても忘れられないんです! 俺の全部が憶えてるんです! 彼じゃなきゃダメなん
です!」
 俺は自分を止められなかった。デカブツの頬を思いっきり、力任せに引っ叩いていた。
「いつまでも亡霊を追いかけてんじゃねぇ! そいつはもう死んじまったんだろうが! 下半身吹
き飛ばされて、はらわたぶちまけて死んじまったんだろうがよ!」
「やめて……! やめて下さい……!」
 デカブツは聞きたくないと言うように耳を塞いで、顔を嫌々と振った。
 だけど俺はデカブツの手首を握って乱暴に耳から引き剥がした。そして鼻先も触れ合う距離まで
顔を近づけて、怒鳴った。
「そいつは死んだんだ! お前のランタンもろとも、吹っ飛ばされて死んじまったんだよ!」
「やめて下さい!!」
「だけど俺は生きてる! いいか、よく聞け!」
「嫌だ! いや……――ッ!」
 泣きじゃくってダダをこねるように顔を振るデカブツの頬をもう一発引っ叩いた。
「聞けっつってんだろ!」
 デカブツが俺を見た。
「俺は生きてんだ! 俺は生きて、今お前の目の前に存在してんだよ!!」
 デカブツの目が俺の顔の上で泳いだ。まるでそこで初めて、俺の存在に気づいたように。
203『オレルド×伍長2』08/13:2006/11/25(土) 17:14:52 ID:???
「来い!」
 俺はデカブツの腕をきつく掴んで、早足で歩き出した。
 まともに歩けないデカブツが脚をもつれさせながらも、必死で後ろからついてくる。
 俺は近くにあった便所にデカブツを連れて入った。中には誰もいない。
 一番奥の個室の前に来ると、俺はデカブツの尻を思いっきり蹴りつけた。デカブツが便座の上に
倒れ込み、その後を追って俺も中へ入ると鍵を掛けた。
「准尉!」
 俺は無言で、怯えるデカブツのコートからベルトを引き抜いた。デカブツの腕を後ろ手に、それ
で縛り上げた。
「准尉! やめて下さい、准尉!」
「うるせぇよ」
 もう俺は自分が正気なのか、そうじゃないのかすら分からなかった。頭の中にあったのはただひ
とつ、俺の存在をこいつの体と心に知らしめること。
 俺は狭い個室の中でデカブツのズボンと下着を一気に引き下ろした。
「やめて……!」
 引き攣った悲鳴じみた声で訴えてくるデカブツを無視し、俺は自分の唾で湿した指をデカブツの
蕾に突き入れた。
「あぅッ!」
 デカブツがビクンと背筋を仰け反らせた。
 蕾は昨晩、俺とつながった余韻をまだ残していて、大した抵抗もなく俺の指を呑み込んで行く。
さっき医務室で分かち合おうとした体の熱もまた、そこに残っていた。
 俺が何度か指を出し入れしただけで、そこはすぐに熱く濡れてきた。
「あっ…あぁ…、や……、嫌……ぁ……」
 デカブツが体をくねらせながら、赤く染まって行く顔を嫌々と振る。
 俺は蕾の中を刺激しながら、もう片方の手を前にまわした。デカブツの萎えたままの竿を握り、
後ろの指の動きに合わせてしごいてやると、それはすぐに硬く張りつめてきた。
「あっぁ…、やめて……下さい……、あっく……い、嫌だぁ…っ」
「亡霊がこんなことをしてくれるか?」
 俺は言いながら自分の竿をズボンから引っ張り出し、デカブツのそこに突っ込んだ。
「うわッ…う!」
 デカブツが小さく悲鳴を上げたが、俺は構わずに乱暴に腰を動かした。
 愛おしくてたまらないのに、傷つけたくてたまらない。そんな矛盾が頭の中でごちゃ混ぜになる。
「あうッ! あ…ッやめて……くださ……! ううっん!」
 デカブツは俺に貫かれるままに体を揺さぶられ、涙を流して懇願した。
 だけど俺が握っているデカブツの竿は萎えることなく、先を握れば先走りの液で俺の手はすぐに
ぬるぬるになった。
「感じてんじゃねぇかよ。死んじまった野郎が、お前をこんな風にしてくれるか? 体の熱をこう
やって分かち合ってくれるのかよ、えぇ!?」
「あぁーッ! やぁ…ッ、准尉……ッ、あっあ! 准尉ぃ……!」
「俺を見ろ! とっくに死んじまった“准尉”じゃなくて俺を見ろ! 俺はここに居るだろうが!」
「嫌……嫌だ……ッ! あっ、あ…っく! 嫌です……ッ!」
 目を固く閉じたまま泣きじゃくって顔を横に振るデカブツのそこから引き抜き、俺はデカブツの
胸ぐらを引っ掴んで力任せに引き上げた。火事場のなんとかってやつなのか、俺はデカブツの体を
抱え上げて、便座の上に腹を乗せていた格好から、今度は便座の上に腰掛けさせた。
「やっ……、イヤ、い……、あうぅ……ッ!」
 デカブツの腰を抱え込み、俺はまた容赦なく欲望をデカブツの蕾に突き入れた。
「俺を……見ろ!」
「んんぅ! 嫌です……ッ! あっあー…ッあ!」
 俺はデカブツの髪を乱暴に引っ掴んだ。そして唇に食いついた。暴力としか呼べないようなキス
で、俺は自分の怒りを発散させるようにデカブツの唇と舌を貪った。
「俺はここに居るんだ……! お前の目の前に存在して、ちゃんと生きてんだよ……!」
 唾液と涙まみれになったデカブツが、朦朧とした顔で俺を見つめた。
 そしてデカブツは苦しげな息をつきながら、うわごとのようにポツリと言った。
「永遠なんて……ないんです……」
204『オレルド×伍長2』09/13:2006/11/25(土) 17:15:56 ID:???
「なんだって……?」
 俺は動きを止めて、デカブツの涙に濡れた頬に手を添えた。
「彼も……ずっと一緒にいようって言ってました……。だけど……」
 デカブツの目からまた涙が零れ落ちた。
「俺もう……ッ、失うのは嫌なんです……。だから……だったら最初から……ひとりのほうがいい
……ッ。ひとりだったら……誰も傷つけずに済むし、俺も傷つかずに済むから……ッ、うっく……」
「お前……――」
 その瞬間、俺の中の怒りが掻き消えた。代わりにドッと溢れてきたのは、こいつに対する愛しさ
と泣きたくなるほどの切なさだった。
 “誰かを失っても他を探せばいい。女は星の数ほどいる”――と、昔の俺だったら、きっと平然
とそう言ってのけただろう。
 だけど今は違う。デカブツの気持ちが、痛いほど分かっちまうようになったから。
 俺自身、デカブツを失うことを考えると、ガキみたいに泣きわめいてダダをこねたくなる。
 俺はデカブツの腕を縛っていたベルトを解いた。そうしてデカブツの手首を掴んで、俺自身の肩
に引き寄せた。
「俺はどこへも行かねぇ。ずっとお前と一緒にいる。約束する……」
 だけど、デカブツはつらそうに唇を噛み締めて、ただ顔を横に振った。
 永遠なんてどこにもない。約束なんてはかないものだと、デカブツの痛切な悲しみに満ちた顔は、
そう言っていた。
 そうだ、口だけなら簡単だ。これから先、どうなるかなんて神様でなきゃ分からねぇ。
 もしまた戦争が始まったらどうなる? こいつが前の部隊に呼び戻されたら? 俺が戦地へ送ら
れたら?
 人間はいつかは死ぬ。寿命だって人それぞれだ。俺がいくらデカブツと一緒にいたいと乞い願っ
ても、最初から定められた運命ってやつに人は逆らえない。
 そのことをデカブツは知ってるんだ。身をもって経験してきたから――。
 だから信じたくても信じ切れないでいる。おそらくそれが正しい。
 だけど……だけどよ……――
「願うぐらいはいいんじゃねぇか?」
 涙こそ必死で堪えきったが、俺の声は無様に震えていた。
「ずっと一緒にいたい……ってよ。願うぐらいなら、いいんじゃねぇのか?」
「准尉……」
「もう俺……お前じゃねぇとダメみたいなんだわ」
 冗談めかしてと笑い飛ばそうとしたが、“ははっ…”と気の抜けた弱々しい声しか出なかった。
 肩に添えたデカブツの手が、ギュッと俺の肩をつかんできた。
「でも……俺、まだ……――」
「それでもいいよ。俺はお前が欲しい、お前のこと……死ぬほど好きになっちまったんだ。なんで
だろうなぁ……可愛い女なら選り取りみどりだってのによ……なんでお前なんかになぁ……」
「……ごめんなさい」
 心底申し訳なさそうなデカブツの顔を見て、俺は不思議な笑いがこみあげてきた。
 もうなんだ、俺めちゃくちゃだな。
「謝んな、バーカ」
 俺は笑いながらデカブツの鼻先を軽くつねった。
 顔をしかめるデカブツの頬を手で包み込んで、俺はデカブツのひたいに自分のそれを押しつけた。
「お前が“准尉”のことを忘れられないんなら、それでいい。無理に忘れろなんて言わねぇ。俺は
お前のその気持ちごと、お前を愛したいんだ……。
 永遠が信じられないのなら、それでいい。俺だってお前とずっと一緒にいられるかどうかなんて
分からねぇよ。だから祈るよ、俺は。お前とずっと一緒に居られますように……ってな。それしか
できねぇけどな……」
「オレルドさん……」
「やっと俺のこと、呼んでくれたな……」
 自然と笑みが零れた時、デカブツの唇が俺の唇に触れてきた。
「デカブツ……」
「俺……まだ分かりません……。オレルドさんのこと、ちゃんと見れるかどうか……まだ。だから
……もう少し待っててもらえますか?」
205『オレルド×伍長2』10/13:2006/11/25(土) 17:17:02 ID:???
 可能性が芽生えたんだ……。そのことに気づいて、俺の胸に熱いもんがこみ上げてきた。
「ああ、それでもいい。俺は待ってるよ、お前が俺のことちゃんと見られるようになるまで。だか
らな、お前も“准尉”のことを“思い出”にできるように努力しろ。そいつのことが恋しくなった
ら、俺を見ろ。俺のところに来い」
「はい……そうします」
 デカブツが泣き顔のまま、フワッと笑った。
 泣きたくなるぐらいの切なさと愛しさが溢れてきて、俺はデカブツを抱きしめた。
 デカブツの中で俺のものがドクドクと拍動している。もう我慢も限界だ。
「動くぞ、いいか?」
「えっ? あ、まっ…待って! ま……――あッぁうぅ!」
 デカブツがきつく俺に抱きついてきた。
「やッ…あっあ! ダ…ダメ……ぇ、んあッ! あっ…!」
「ダメ? 気持ちいいんだろ?」
 俺にすがりついて涙を流して、耳元で放たれるデカブツの甘い声を聴きながら、俺は夢中になっ
て腰を突き上げた。
「ッあ! あっ! ダメぇ……! いいっ、オレルド…さんッ…! あぅっ、ん!」
 ゾクゾクした。デカブツが俺を呼んでくれていることが、例えようもなく嬉しかった。
「もっと呼べ……」
「うッン! オレルドさんっ、あっ! いいッ……いいっ、オレルドさんッ……!」
 デカブツの入口が食いちぎるように強く締めつけてきた。そして内部が俺のものを絞り取るよう
に淫らに蠢いている。
 たまんねぇ……! 頭がとろけちまいそうだ。
「ッあ……デカブツっ、そんなに締めつけると、俺もうイッちまいそうだ……」
「出し……て、俺の……なかに……、出して下さい……っ」
 色っぽい顔と声で囁きやがってこいつ!
 俺はまるで眼前にニンジンぶら下げられた馬みたいに、欲望に突き動かされるままに腰を前後さ
せた。ただひたすら、頂点へと向かって。
 デカブツが俺にすがりついてくる。涙を振り飛ばしながら、デカブツが善がり泣く。
「あーーッ! あっ、い……イク……! イヤぁ……! あっ、イクぅッ…!」
「うッあ、デカブツ……っ!」
 デカブツのそこが一層俺の竿を締めつけてきた刹那、俺はデカブツとほぼ同時に、デカブツの中
に熱いものを放っていた。

          *

「大丈夫か、立てるか?」
「は……はい、なんとか……」
 狭い個室でゴソゴソもそもそと二人でやりあって後始末を済ませた俺は、デカブツの手を握って
ようやく窮屈な空間から出た。
 その瞬間、俺は凍りついた。が、俺の背後でデカブツも俺以上に固まったのが、握った手を通し
て伝わってきた。
 個室の外には五、六人の男どもが呆気にとられた顔で俺たちを見ていた。
 やべぇ……ここが庁舎の便所だってこと、すっかり忘れてた……。
 しかもこいつら、一課の……“ダブル・ショーテル”だ……!
 デカブツに声を抑えさせることもせず、俺は俺で物音が立つのも構わずガンガン腰を動かして、
あげくの果ては二人して個室から出てきたとあっちゃぁ……もう俺たちが個室でナニしてたかは誰
もが知る事実ってやつだろう。あの糞バカ・ラーンの野郎がいなかったことが唯一の救いだったが、
早かれ遅かれあいつの耳にも絶対に入るだろうな……。
 思わず背後のデカブツに目をやると、デカブツは茹で蛸も顔負けなほど顔面を真っ赤に染め、涙
目になってあわあわしている。
 俺は顔を青くして必死で言い訳を考えようとしたが、男どもの顔がわずかに赤くなってデカブツ
を見上げていること、それからそいつらの股間の前が膨らんでいることに気づいて、ムカっときた。
「なに見てんだオラァ! 邪魔だ、どけ!」
206『オレルド×伍長2』11/13:2006/11/25(土) 17:18:08 ID:???
 俺は怒鳴り散らしながら近くにいた男を乱暴に押し退け、デカブツの腕を引っ張って便所から退
散した。
 しかし三課に戻った俺を待っていたのは、さらなる悪夢だった――。
 オフィスに入るなり、俺は隊長のこれ以上はないぐらいの怒声と、剣の一振りに歓迎された。
「オレルド貴様この恥知らずがーーーー!!!!」
「うわぁッ! い、いきなり何すんすかぁ!」
 とっさにデカブツの後ろに隠れる俺。
 普段なら隊長が剣を抜くとマーチスが必ず止めに入るのだが、当の本人はデスクに座ったままシ
ラッとした冷たい視線を向けてくるばかり。
 チビッコはチビッコでやはりデスクに座ったまま、俺とデカブツのほうをチラチラ見て、あげく
に赤面してうつむいてやがる。
 おい、まさか……――。
 こめかみに冷たい汗が流れた時、ボスが冷めた目で書類を見ながらポツリと言った。
「も少ぉし……場所をわきまえたほうがよかったなぁ……」
 た……たはは……、いやぁ情報が流れるのが早いねぇ……さすが情報部……。
「あの、少尉、いったいどうしたんですか、何が……?」
 ただ一人、未だに現状を理解していないのはデカブツだけだ。剣を振りかざす隊長を必死で制し
ながら、オロオロしている。
「伍長! もういいのだ、庇ったりしなくてもいいのだ! さあ、オレルドを引き渡せ! この痴
れ者には私が直々に制裁を与えてやるからな!」
「え……制裁って……どうしてですか? 准尉は何も悪いことは――」
「とぼけなくてもいい! 無理やりだったのは分かっている! お前は立場上オレルドに逆らえな
かったのだろう、そうだろう、ああきっとそうだ、そうに決まっている!!」
 真っ赤な顔をして怒る隊長の目に涙がじんわり滲み始めた。デカブツの向こうにいる俺に向けら
れた剣の切っ先がブルブルと震えている。
 俺と目が合うと、隊長がギリギリと歯を噛み慣らした。
「貴様……よくも伍長を……よくも……よくも……――」
 俺は人がここまで怒りをあらわにした顔ってぇのを、今までに見たことがなかった。
 正直言って、すげぇ怖いな……。
「今すぐこの場で、その素っ首叩き落としてくれるーーーー!!」
 怒りに駆られた隊長が剣を振り上げて、突進してきた。
「ギャー!」
「うわぁっ!」
 俺とデカブツは同時に悲鳴を上げた。しかしありがたいことに、デカブツがはっしと隊長の腕を
掴んでついでに猫の子にやるように襟の後ろを掴んで止めてくれた。
「ええい、放せ! 放すのだ伍長ぉぉぉ!」
「お、落ち着いて下さい少尉、いったい何があったんですか?」
 空中で脚をジタバタさせる隊長に、デカブツはオロオロと訊いている。
 もうあれだ。これだけ知れ渡ってんなら、デカブツが理解するのも時間の問題ってやつだよな。
デカブツが尊敬してやまない隊長の口から聞かされるよりは……な。
「あー……デカブツ」
「はい?」
「俺たちどうやら“公認の仲”ってやつになっちまったみてぇだなぁ」
「……は?」
 デカブツの目が点になる。
「便所でのこと、バレちまったってことだ」
「……!」
 その瞬間、隊長がボテッと床に落とされた。
「ふぎゃ…! きゅ…急に放すな伍長! ご……――」
 デカブツを振り返って抗議しようとした隊長が固まった。
「ごごっ伍長さん……!」
「伍長…!」
 チビッコとマーチスが動揺あらわに席から立ち上がった。
 それも無理はねぇ。
207『オレルド×伍長2』12/13:2006/11/25(土) 17:19:34 ID:???
 デカブツは呆然と立ち尽くし、顔を真っ赤にすると手で口元を覆い隠し、涙をボロボロと零し始
めたからだ。
 うわぁ、なんだこりゃ、可愛過ぎるな……まったく。
「な、泣くな伍長! 泣くんじゃない! お前の気持ちはよぉく分かるぞ! みんなが理解してい
るぞ! つらいだろうが、勇気を出して立ち向かうしかないのだ!」
「そうですよ、伍長さん! 私たち全員伍長さんの味方ですからねぇぇぇ!」
「伍長……本当にごめんよ。幼馴染として僕も恥ずかしいよ……」
 ああ、やっぱりこうなった……。こうなりゃもう逃げるしかねぇかなぁ……。
 最後の頼みの綱としてボスを見たが、ボスはチラリと俺を一瞥しただけで、すぐにまた書類に目
を通し始めた。“てめぇのケツは、てめぇで拭え”と、そういうことですね、ハイ……。
 とりあえず、逃げる覚悟を決めたその時だった、
「違います! 無理やりなんかじゃありませんッ!!」
 デカブツが顔を真っ赤にしてボロボロ泣きながら、そう叫んだのは。
「庇い立てする必要はないのだぞ、伍長!」と隊長。
「庇ってるんじゃありません……! 俺と准尉は……お互い納得し合って、こうなったんです!」
 ガクガクと震えながらも強い眼差しで隊長を見て、デカブツははっきりとそう言った。
 俺は凄まじく感動した。思わず目がウルウルしちまった。
「デカブツ……」
「准尉……すみません……」
 デカブツの愛しさにたまらず駆け寄って抱きしめようとした時、隊長が「う〜ん」とうめいて
バッタリと倒れ込んだ……。
 その後、医務室で息を吹き返した隊長の手によって、俺だけが一方的にボコられたことを付け加
えておく。
          *

 その日の夕方、なんとか仕事を終わらせた俺はまたデカブツを自分の部屋に誘った。
「大丈夫ですか……?」
「ああ、平気平気。これぐらいなんてこたねぇよ」
 青痣だらけの顔になった俺にデカブツが心配をあらわに声をかけてきた。
 俺は無理やり笑って虚勢を張った。
 実際は見事に急所ばかりを狙ってくる隊長の猛攻に死にそうになったが、まぁ……こうやって生
きてるんだから、よしとしよう。
 とっとと食事を済ませた俺は、“公認”になった喜びに満たされながら、デカブツをベッドへ押
し倒した。
「准尉……あの、准尉の体が心配です……。今夜は大人しく寝ましょう?」
「心配すんなって。どのみち俺もお前も三日の謹慎処分食らっちまったんだし、多少無理したって
仕事するわけじゃねぇからいいだろ。あとな二人っきりの時はオレルドって呼べ」
「オレルド……っん」
 キスするとデカブツの目がすぐに潤み始めた。
 そんなところももう可愛くて可愛くてしょうがねぇ。
 俺ははやる気持ちを抑えながら、これだけはやっておかなきゃならないことを思い出した。
「これ返しとくよ」
 俺はそう言って、デカブツの手にランタンを握らせた。それは、俺が怒りに任せて窓から投げ捨
てたランタンだった。隊長が気絶して医務室へ運ばれたとき、隊長に付き添っているデカブツの目
を盗んで探しに行ったんだ。
 これがデカブツの忘れられない男の形見だとしても、デカブツにとってかけがえのない大切なも
んだってことには代わりねぇ。
「オレルドさん……」
 デカブツが潤んだ目でランタンを見て、俺を見つめてきた。
「悪かったな……。そいつごとお前を愛するって約束したからよ。持ってていいぜ」
 デカブツが寂しそうな目でランタンを見つめた。
 やっぱまだ、俺は“准尉”には勝てねぇんだな……。
 でもま、焦りは禁物だ――打ちのめされそうになる心に、俺は必死で言い聞かせた。
 今はまだデカブツと“准尉”の思い出に、俺は勝てない。
208『オレルド×伍長2』13/13:2006/11/25(土) 17:21:19 ID:???
 だけどデカブツの“准尉”はもう、この世にはいない。デカブツとこれから思い出を作ることは
出来ない。
 だけど俺にはそれができる。だって俺は生きてるんだ。生きて、デカブツの笑顔を守ることが出
来る。思い出だって、作って行ける。
 デカブツは感慨深げにランタンを見つめている。
 だが、やがて手にしたランタンをサイドボードの上に静かに置いた。
 そしてデカブツは俺の首に腕を絡めて、キスしてきた。
「デカブツ……?」
「俺も約束しましたから……オレルドさんを見るって……」
 やべぇ、俺、泣きそうだ……。
 体の内から溢れ出そうなほどの愛しさに突き動かされ、俺はその夜もデカブツを抱いた。
 デカブツに俺の存在を知らしめるように、デカブツの中の“准尉”を俺という生きた証で掻き消
して行くように、何度も何度も――。

          *

 翌朝、俺は目を醒ました。
 手が無意識に隣で眠るデカブツを探し求めて動いた。
 だが、俺が掴んだのはデカブツの体ではなく、冷たいシーツの感触だった……。
 ……ああ、またか。
 堪え切れない重い溜め息が漏れた。
「切ねぇな……くそ……」
 気怠い体を無理やり起こし、俺はひたいに手をやった。
 その時、バスルームのドアが開いた。俺はハッとして顔を上げた。
 タオルで顔を拭きながら、デカブツがバスルームから出てきた。
 デカブツは俺が起きていることに気づいて、こちらを見てニッコリと微笑んだ。
「おはようございます、オレルドさん」
 俺はほうけた顔でデカブツを見ることしか出来なかった。これは夢か……?
 そんな俺にデカブツが歩み寄ってきて、労るような微笑を見せて、ベッドに腰を下ろした。
「体、大丈夫ですか? 顔の腫れ、まだ酷いですね。薬、買ってきますね」
 そう言って立ち上がろうとしたデカブツの腕を、俺はとっさに掴んだ。
 デカブツがキョトンとした顔で俺を見てくる。
 朝日に照らされたデカブツの顔、掴んだ腕の感触が、これは現実だって俺に教えてくれた。
 俺のささやかな理想ってやつ……それは“本当に好きな女と愛し合った翌日、二人でモーニング
コーヒーを飲む”というものだった。
 そんな俺の理想の見知らぬ女は、いつしかデカブツに変わっていた。
「なんでだろうなぁ……」
 俺は思わず苦笑を漏らし、デカブツの頬を撫でた。
 デカブツがくすぐったそうに肩をすくめ、そして不思議そうな顔で俺を見てくる。
 ――なんでデカブツなんだろうなぁ。身長2メートル半の大男で、顔にでっかいサンマ傷のある、
どっからどう見ても華奢で柔らかい女の子からは程遠い生き物で、しかも俺の部下なんだろうなぁ。
 けど、なんだろうな、この胸に込み上げてくるあったかいもんは。
 一人でクスクス笑う俺に、デカブツが心配そうに顔を覗き込んできた。
「あの……オレルドさん? どこか痛みますか?」
「いや、大丈夫だ」
「薬、買ってきますよ。朝食の準備もしなくちゃいけませんし……買い物行ってきますから」
 俺が掴んだままの手を、デカブツがモジモジと動かした。
「買い物なら一緒に行こうぜ。だけどその前に……一緒にコーヒーでも飲まねぇか」
 俺が言うと、デカブツは一瞬キョトンとした顔を見せたが、すぐにうなずいた。
「そうですね。いただきます」
 デカブツが朝日の中で、俺の目の前でフワッと微笑んだ。
 その時、俺は気づいた。胸を満たしてくる、このあったかさの正体を。
 そうか、これが“幸せ”ってやつなんだな、きっと……――。

【The end】
209195-208:2006/11/25(土) 17:22:51 ID:???
読んで下さってありがとうございました。
アニメの次回予告のオレルドと伍長の2ショットに
パワーを頂き、一日で書き上げちゃいましたw
GONZO…私を萌え殺す気か……。
210名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 18:25:23 ID:???
ゴンゾだけじゃなく
>>209も自分を萌え殺す気か!
次回予告のパワー凄すぎw
凄くGJ!!
211名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 18:30:48 ID:???
自分はあなたに萌え殺されそうです…
超GJです!
この長文を一日書くなんてすごすぎます!
伍長の乙女っぷりに拍車がかかっていますねw
ここでSS投下したときも思ったのですが
自分もこれぐらい長文書いてみたいですよ…
図々しいですが、次回も期待させてください!
212名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 18:40:25 ID:???
GJ!GJ!GJ!GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!
213名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 18:58:17 ID:???
めちゃくちゃ萌えた!
超GJ!
214名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 20:15:29 ID:???
>>209
伍長に萌えてあうあうしながら読みましたw
その文才に脱帽です。超GJです!
215名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 21:14:07 ID:???
>>209
>普段なら隊長が剣を抜くとマーチスが必ず止めに入るのだが、当の本人はデスクに座ったままシ
ラッとした冷たい視線を向けてくるばかり。
>チビッコはチビッコでやはりデスクに座ったまま、俺とデカブツのほうをチラチラ見て、あげく
に赤面してうつむいてやがる。

まさにこれだ!
http://gazoubbs.com/2ji/img/1160309455/122.gif
216名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 21:31:49 ID:???
>>209
GJGJ!描写が上手すぎて画面の前で何度悶えたことか。
次回予告だけでこんな良大作が生まれるなら
ゴンゾもまだまだ捨てたもんじゃないなあ。
217名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 23:33:24 ID:uBXkGLlo
http://toshi-2chan.ddo.jp/b6/src/1164459008154.jpg
こんな伍長見たらもれなく押し倒しますよ
218名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 00:51:44 ID:???
>>217
耳まで赤くしているのがとてもナイス
219名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 01:40:17 ID:???
>>217
押し倒すだけじゃあ済まないね
220209:2006/11/26(日) 02:29:07 ID:???
ありがとうございます。
皆さんの言葉がすごく励みになってて
次回作の創作意欲にも繋がります。

>>211
イカの方ですか?(違ってたら失礼)
ええもう、伍長の乙女度にガンガン拍車がかかって
どうしようもありませんw
逆に自分は短く簡潔にまとまった文章を書ける方に
すごく憧れてます。
ご覧の通りダラダラ長いモノしか書けないので。
こちらこそ次回作に期待させて下さい!
>>215
そう、実はまさにそれでしたw
>>216
アニメは賛否両論ですが、自分は毎週アニメのほうも
楽しんで見てます。
伍長が動いて喋って、原作にはない伍長が見れる
それだけで満足ですから〜。
ここに出すまでもない小さいネタなら
アニメ見てて毎回妄想してますよwww
>>217
作った人GJ!伍長かわいいよ伍長…!
またひとつネタが浮かびましたw
221名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 20:37:42 ID:???
>209
伍長とオレルドもよかったけど、怒り心頭の少尉もかわいくてGJ!
ボコってる姿を想像して笑った。次回作も楽しみにしてます。
222名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 21:30:30 ID:???
今更な質問でゴメソ
男体化少尉×伍長とオレルド×伍長シリーズを書いた職人さんは
もしかして同一神物ですか?
つまり一人の人が書いてるのかな・・・と
223名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 22:26:39 ID:???
イカのやつ以外は全部同じ人が書いていますよ
224222:2006/11/26(日) 22:43:43 ID:???
やっぱりそうでしたか
すごいなあ・・・
マジで尊敬
男体の人もイカの人の作品も、これからも楽しみにしてます!
このスレに出会えてよかったです!
225名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 01:23:37 ID:???
感化されて前書いてたのが戦争中時代の話で
>>195-208さんのとちょっと繋がりそうだったからやっちゃった…

しかも伍長でてこねぇし。
195-208さんごめんなさい。先に謝っとく
SSなんて初めて書いたから色々恥ずかしいんだけど
これから精進します…
226名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 01:26:23 ID:???
「この戦争が終わって生きて帰れたら…その…俺と…一緒に暮らさないか?」

たったそれだけの約束だったのに
約束破って…すまねぇな。

でも分かってくれ。
全部お前を守るため…本当にお前のことを…愛していたから。ついた嘘だということを

他のやつらも俺の頼みをきいてくれたよ
「俺らは『命を無視された兵隊』最初から、死ぬのは戦場でと覚悟してたんだ。
でもアイツみたいな戦闘の度に死んでいってた仲間や敵国の兵士にまで泣いてやってた聖人様はこんなところで死ぬべきじゃないよな」
だってさ
本当、お前は皆に愛されてたよな。

ランタン交換してくれてありがとうな
冥土の土産にもってくよ
きっとこの先戦争が終わってランタンが必要なくなったとしても
お前はきっと持ち続けてくれるんだろうな
最後に酷なお願いしちまったよな
俺はたくさんの人間を殺してきたから地獄行きだろうが
お前のそばに俺の半身があるなら恐れはない
安らかに逝けるよ。
ありがとう   ありがとう

お前に睡眠薬飲ませてまで置いてけぼりにした俺たちを
お前はいったいどう思うだろうな?
出来ることなら俺たちを恨んで、すぐ忘れて幸せになってもらいたいんだが
優しいお前のことだからな。きっと…忘れてくれないんだろな

ランデル・オーランド伍長
短い間だったけど今まで本当にありがとうな
俺なんかの事愛してくれて
俺もお前のことを心から愛しているよ
ありがとう   ありがとう

――――――――願わくば、お前のこの先の人生に幸多からん事を
227名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 01:28:10 ID:???
ぎゃああああああす



スレ汚し済みません(´・ω:;.:...
228名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 01:45:07 ID:???
>>227
置手紙を見て涙する伍長が浮かびました(ノд;)
229男体の人:2006/11/27(月) 02:48:20 ID:???
面倒臭いので>>224さんが命名してくれた
コテハン名乗っておきますw

>>225
ぎゃあああああ!ありがとう、ありがとう〜!
両手いっぱいのGJ!をあなたに…!
私がイメージしてたそのまんまですよ〜。
読んでて涙出ました…切な過ぎる…。・゚・(ノД`)・゚・。
本当にありがとうございます!
喜びのあまり保存しますた!
230名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 14:13:50 ID:???
>227
GGGGGJJJJJ!!!!
マジ泣きしちゃいますた(つД`。)
優しそうな准尉と901隊員の伍長を想う気持ちが切ねぇ〜!
SS初めてとは思えません
これからの作品も楽しみにしてます!
231名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 17:03:18 ID:???
GJ!です!
男体の人さんのSSにぴったりに感じました!
これからもSS頑張ってください!

>>220
イカの方です!お互いにいいところを吸収し合えるといいですね!
(自分にいいところがあるかわかりませんが)

それで図々しいようなのですが、自分もイカの人と名乗ってもよろしいでしょうか?
232名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 19:35:06 ID:???
よぅ、イカの人w
233名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 20:03:46 ID:???
>>225
GJ!切ねェ!切ねェよう!
兎に角GJ!!!!これからも是非。
アー 早く願い通りに伍長がイチャイチャぬるぬるの幸せ者になればイイ

サー!男体の人さんイカの人さんも次回作楽しみにしてますサー!
234225-227:2006/11/27(月) 22:16:09 ID:???
サー!今まで怖くてスレ覗けませんでしたサー!

いやー…ね?
こんな萌えもエロもない安っぽいSSで感動してくれてありがとうございます…。
このスレの住人優しすぎる…!
本当は伍長をかばって瀕死の准尉に「愛してるぜ…」って言わせたかったんですが
想像以上に臭すぎて…

>>男体の人さん
イメージ崩してないかびくびくしながら書いてました…
保存は1000まで埋まってからのほうがいいですよ!笑
また乗っからせてもらうかもしれませんがよろしくお願いします…(図々しい
235名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 00:22:23 ID:???
>>234
なんのなんの。ここはなんでもありスレですからw

自分もなんか文で書いてみたいと思ったけど難しかったorz
つうか絵のほうが得意なんで、そのうちそっちで投下しようと思います。
職人さんもっと増えるといいですねえ…
236名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 03:06:39 ID:???
今週のアニメ、橋の下での伍長とオレルドのシーンはなかなか良かったなぁ
男体の人さんのSSともマッチしそうで…
237名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 16:10:22 ID:???
あのシーンはガチ
相手が娼婦じゃなくて、伍長だったら
戦死した彼を思うという役どころでは凄くマッチしていた
238名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 16:40:37 ID:???
例のシーンで「一緒に食べませんか?」
と、微笑みながらオレルドに猫缶を勧める伍長が可愛かった!

オレルドが熱い眼差しで「こんなものよりお前を食べたい・・」
とかいう展開を妄想してしまったw

>>235
絵楽しみにしてます!
239名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 22:12:46 ID:???
サンテレな自分は今夜放送ハァハァ(;´Д`)楽しみでしょうがないよ
アニメから伍長萌えになったんだけど1週間が長すぎる…
240名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 22:34:21 ID:???
>>239
同士
一週間を伍長の為に生きていると言っても、過言ではない
241男体の人:2006/11/29(水) 04:16:12 ID:???
サー!また懲りずに長文駄文を投下しに参りました、サー!

****************
『オレルド×伍長 その3』
アニメ8話“雪原に燃えて”から。
言わずもがなですが、フォモ注意報発令。
*****************
延々とヤッてるだけの話ですので、
物語的には期待しないで下さいね。
って、それはいつものことか…orz

そしてアニメ9話。
またオレルド×伍長ネタが一本出来ました。
本当にありが(ry
こっちはネタバレを避けて、週末に投下しますw

では、8話の妄想SS、どぞー。
242『オレルド×伍長3』01/12:2006/11/29(水) 04:17:40 ID:???
 窓の外を、容赦なくブリザードが吹き荒れていた。ったく忌々しいったらない。
 何が悲しくてこんな極寒の地、質素な小屋で一夜を明かさにゃならんのだ。
 エッサンの麓の村まで血清を届ける任務の途中、俺たち陸情三課の面々は山賊の奇襲に遭った。
軍用トラックを襲撃され、装備と積み荷もろとも崖下に転落しちまった。
 ガソリンに引火するのが目に見えて分かっていたから、装備も積み荷も取る暇もなかった。任務
達成のための血清を持って逃げるだけで、精一杯だった。
 山賊の追撃にビビりながらも、這々の体でこの山小屋に逃げ込こんだって訳だ。マーチスはケガ
を負ったが、あの高さから落ちて、しかもトラックは爆発炎上したと言うのに、それだけで済んだ
のは奇跡としか言いようがねぇ。
 ああ、それにしても寒い……。寒過ぎるぜ。
 質素な小屋の中を、申し訳程度の焚き火の炎が暖かい色で照らし出している。炎の色は確かに暖
かい。だが、この極寒を追い払ってくれる力は、この小さな火には到底なかった。
 せめて体の中ぐらいは暖まりたい。そう思った俺は床に置いたままになっていたウイスキー
スキットルを持ち上げ、一口飲んだ。
「オレルド准尉。マーチス准尉の熱、少し下がってきてます」
 背後からかけられたデカブツの声に、俺は振り返った。
「おう、ご苦労さん。うるさいのも寝てくれたしよ、一緒にやろうぜ」
 ニヤリと笑ってスキットルを差し出すと、デカブツはバツが悪そうに「いえ……もう」と小さく
言って背後を見やった。
 そこには毛布に包まれて眠っているマーチスと、その隣で眠っている隊長の姿があった。
「少尉は……大丈夫でしょうか?」
「大丈夫に決まってんだろ。その証拠に、グースカ寝てんじゃねぇか」
 俺はほんの数分前に起きた出来事を思い出し、おかしくて笑いを噴き出しそうになった。
 この山小屋に逃げ込んだはいいが、俺たちは早速さまざまな問題に直面していた。
 ひとつ、ここは山賊たちにとっては格好の狩り場であり、相手はおそらく二十人強。雪深い地上
でも自由に動き回れる装備に、充実した武器を持っていること。それに比べてこっちは慣れない雪
山、人数はたった四人。しかもマーチスは負傷している。装備だって心もとねぇ。
 ひとつ、さらにその上で、血清を届けなければいけないタイムリミットは、刻々と近づいてやが
ること。夜が明けたら、すぐにエッサンの村を目指さなくちゃなんねぇ。山賊の襲撃から逃れなが
らの道のりは、かなりの強行軍を強いられることになるのは間違いない。
 さらにもうひとつ、当面はこっちのほうが問題だった。それは圧倒的な寒さと、食料不足。
 隊長の指示で、俺たちはとりあえず携帯していた食料を分け合った。だけどそれは、食料……な
んて呼べるような大層なもんじゃなく、せいぜいが遠足のおやつ程度のもんでしかなかった。
 その中の一つは、なんと猫缶だぜ……。俺が持っていたのは軍の官給品をくすねたもんだったた
め、当然隊長の怒りを買い、この猫缶は俺が食うことになったんだがな。
 こんな物を持ってきてやがったデカブツ……、憶えてろよ……。
 遠足おやつ程度のもんだったとは言え、何もないよりはマシだった。そう、猫缶でもマシだ。満
腹とは言えないまでも、とりあえず空腹を満たすことができたら、今度の問題は寒さになった。
 で、俺は提案したんだ。
 “皆でヒツジのように身を寄せ合って眠るか、コイツ――酒――で体の中から暖まるか”ってな。
 だが少尉は女だ。しかも未成年。野郎どもと身を寄せ合って一夜を過ごすなんざ、不安でしょう
がないだろう。
 だけど背に腹は代えられねぇ。ってことで、俺は最初にヒツジ案を提案した。
 まぁ、以下はそのやりとりの再現だ。

「わっ、私がお前たちと身を寄せ合って……眠ると言うのか!?」
 俺の予想通り、隊長は茹でダコ顔負けなほど顔を真っ赤にして、目を吊り上げた。
「まぁ、信用してもらうしかないんですけどねぇ、ええ……」
「マーチスと伍長はともかく、お前が一番信用ならん!!」
 こめかみにピキッと血管が浮くのを感じたが、なんとか抑える俺。
 相手は女で、未成年で、しかも隊長だ。俺は未成年には興味ねぇし、上官に手を出してマズい立
場になるほどのバカでもねぇ。
 いや……同僚で、部下で、しかも男に手を出してしまって別な意味でマズい立場にはなってるが。
 だからこそだ。ハッキリ言って今の所は女にも用はない。たまに遊んだりはするけどな……。
243『オレルド×伍長3』02/12:2006/11/29(水) 04:18:51 ID:???
 まぁ、俺なりに反論の余地は山ほどあったが、煽るような真似はしたくねぇ。
 そういうわけで、俺は大人な対応を心がけつつ、隊長にこう言った。
「まぁ……俺のことが信用できないってんなら、それでもいいっすよ。いやいや、それも仕方ない
っす。だったらこうしませんか、隊長はマーチスと寝て、俺はデカブツと寝――」
「そっちのほうがよっぽど危険ではないかーーーーッ!!」
 隊長の大声に、外の樹に降り積もった雪が、どさりと落ちた。
「え? いやぁ〜マーチスは紳士ですよ。俺なんかと違って」
「貴様などと一緒に寝ると伍長の身が危険だと言っているのだ!!」
 ここでデカブツが顔を赤くしたのは言うまでもねぇ。
 可愛いなぁ……なんて見とれちまったが、そんな場合じゃない。
 あの便所での“公認”事件以来、隊長の俺への信頼度はすっかり地に落ちちまったようだ。
 でもな、仲間の前で、仮にも任務中にデカブツに欲情するほど俺は飢えちゃいない。
 しかし隊長が嫌だってんなら俺がマーチスと寝て、隊長がデカブツと……。
 ――いや、なんかそれはそれで危険な気がするぞ?
 俺が嫌な予感に背筋を寒くした時、隊長が顔を赤らめつつ咳払いをした。
「ゴホン! し……、仕方がないな、そ、それじゃあ……私が伍長と――」
「そうですね。この案、無しにしましょう」
 隊長が最後まで言い終わる隙も与えず、俺は即座に次の手に乗り換えた。
「なぜだ、貴様ーーーー!!」
「やっぱ少尉は女性ですし、未成年ですし、何より魅力的ですからして! 野郎と一緒に一夜を共
にして万が一間違いがあっちゃいけません。デカブツと言えど男ですからして、危険です! そん
なわけでヒツジ案は無しってことで」
「ご…伍長をお前などと一緒にするな! 伍長が危険なわけがなかろうがッ!」
 違う。危険なのはあんただ、あんた。
「まぁ、いいじゃないですか。最初から隊長は乗り気じゃなかったんだし。やっぱここは健康的に
コレで――」
 と言って、俺は隊長にウイスキースキットルをちらつかせた。
「――体の中からあったまりましょう」
「わ、私は酒など飲まぬぞ! 軍人たるものが任務中に飲酒など、恥ずべき行為ではないか!」
「凍死するよかマシでしょ〜」
「お前さっきは私が未成年だからと言う理由で、伍長と眠ることを却下したそのくせに酒は勧める
のか!?」
「酒は間違いは犯しませんからね」
「だからお前と違って間違いを犯す確率の一番低い伍長とヒツジのように身を寄せ合って眠ると
言っているではないかッ!!」
 俺たちが醜い争奪戦を繰り広げていると、デカブツが申し訳なさそうに口を挟んできた。
「あ、あの〜……、俺……ちょっと、外に出てきます……」
「何を言っているのだ、伍長! 外は吹雪なのだぞ! 気でも狂ったか?!」
 いや、多分この場の雰囲気にいたたまれなくなったんだと思う……。
 するとデカブツは熱に浮かされているマーチスのほうを見て、はにかんだような笑みを見せた。
「雪をとってくるだけです。マーチス准尉の頭を冷やして熱を下げてやらなくちゃ……」
 あ、そういうことか。
 猫背をさらに丸めて逃げるように外に出るデカブツを、俺と隊長は無言で見送った。
 しかし、隊長がデカブツに気を取られている隙を俺は見逃さなかった。
「あーッ! 隊長!!」
 俺が上げた大声に、隊長はビクッとしてこちらを振り返った。
「な、何事だ!」
 そのあんぐり開いた口に、俺はスキットルの口を突っ込んだ。
「ふぐっぐ!!」
 ジタバタ暴れる隊長の細い首を後ろからガッチリ掴み、俺は隊長の口の中にウイスキーを流し込
んだ。
「知ってますか、山岳救助犬が首につけてる樽。あれには酒が入ってて、体の冷えきった遭難者を
発見したら飲ませるんす」
「むぐっぐぐッ……!」
244『オレルド×伍長3』03/12:2006/11/29(水) 04:20:05 ID:???
「酒は命の水〜ってね。ほら、体があったまってきたでしょ」
 隊長も酒の効能とありがたみを身をもって実感すれば、二、三発殴られるぐらいで済むかもしれ
ない。そう思ってとっさにとった強攻策だった。
 だが、俺がスキットルを隊長の口から離して数秒もたたないうちに、隊長は俺を一発も殴ること
なく、目を回してぶっ倒れちまった……。

 そして、今に至る――。
 隊長はマーチスの隣で幸せそうな顔で眠っていた。
「酒を嫌がってた理由は、弱かったからだったんだな〜。にしても、あれほどまでに弱いとは思わ
なかったぜ。なんだかんだ言っても、まだまだお子ちゃまだな」
 鬼の首をとったように笑う俺に、デカブツが心配そうに言った。
「でも……少尉が目を醒ましたら……、准尉が……大丈夫でしょうか?」
 その瞬間、背筋が凍って、ついでに笑いも凍った。
「……ハ、ハハハ、まぁ、そんときゃ、そんときだな」
 あの“公認”事件以来、隊長は俺のことを目の仇にしてるしな。目が醒めたら、今度こそ殺され
るかもしれねぇなぁ……。
「その時は……俺も一緒に謝りますから……」
 デカブツが真剣な顔でそう言った。だがまぁ、隊長の怖さはデカブツも嫌と言うほど知ってるせ
いか、今イチ威勢に欠けちゃいたが。
「あー気にすんな、気にすんな。いくら隊長つっても、まさか部下を殺しゃしねぇだろう」
 デカブツに心配をさせないよう俺は言った。その言葉は確信じゃなくて、希望的観測だ。
「あ〜、それにしても寒いなぁ」
 少しでも暖を取るために、暖炉の前に座り込み、毛布に包まった。
 酒は体を温めてはくれたが、それでもこの寒さを追い払うまでには至らなかった。隊長みたいに
ほんの少しの量で泥酔して夢の中に行けりゃ、そっちのほうが幸せだ。酒に強い自分の身が恨めし
いと、ここに来て初めて思った。
 さて、問題はまだまだ山積みだ。
 夜が明けるまで吹雪が止もうが止むまいが、俺たちはこの軽装備で麓の村を目指さなくちゃいけ
ない。それにくわえて、山賊たちも狙って来るだろう。
 マーチスはケガをしてて満足に動ける状態じゃねぇし無理はさせられねぇ。隊長は山賊たちと刃
を交えてでも任務を果たそうと言う無茶もやりかねねぇ。
 無茶って言う点に置いては、デカブツも一緒だ。俺はデカブツの腰に下がったランタンをチラリ
と見て、またすぐに目を逸らした。
 ――考えろ、俺。どうやったら一人の死傷者も出さず、この難関を乗り切る方法を。
 特にデカブツにランタンを使わせない方法を。
 と、その時、俺の体を、もう一枚の毛布がふんわりと包み込んできた。
「大丈夫ですか、准尉」
 デカブツが毛布を俺の背中にかけて、気遣わしげに顔を覗き込んでいた。
「あ……? 大丈夫って何がだ」
「いえ……、准尉がなんだか一人で背負い込もうとしてるんじゃないかって……。心配しないで下
さい、いざとなったら俺が――」
「お前は何もしなくていいんだ」
 俺はムッとする気持ちを堪えきれずに、デカブツを睨みつけた。
 デカブツがたじろいだように俺の肩から手を離した。
 俺は暖炉の中で弱々しく燃える炎に顔を戻し、胸に込み上げてきた怒りを静かに吐き出した。
「お前は自分が犠牲になることしか考えてねぇのか。お前が犠牲になって、俺や隊長が喜ぶと思っ
てやがんのかよ。お前が傷ついたり死んじまったりした時の俺の気持ち、ちったぁ考えろ」
 背後でデカブツがシュンと肩を落とす気配が伝わってきた。
「すみません……、俺そんなつもりじゃ……――」
 デカブツの言葉を遮って、俺は強い口調で言い放つ。
「もう寝ろ。寝て、体力を温存しとけ」
「……准尉は?」
「俺は……もう少しコイツであったまってから寝る」
 デカブツのほうを見もせずに、スキットルを軽く振って見せて俺は言った。
245『オレルド×伍長3』04/12:2006/11/29(水) 04:21:05 ID:???
 だけどその言葉とは裏腹に、地の底から這いよる寒さに俺はブルッと体を震わせた。
「うぅ……さみぃ……」
 その時、デカブツが背後で動く気配がした。何気なく見た俺は、デカブツの行動に驚いた。
 なんとデカブツは着ていた防寒コートを脱いでしまったんだ。
「おい、デカブツ、お前何を……」
 支給されたこのコートは、重いばかりでまったく寒さを防いでくれはしないが、それでもこの寒
さの中で脱ぐというのは正気の沙汰じゃねぇ。
「じっとしてて下さい」
 優しく諭すようにデカブツはそう言うと、俺を包み込んでいた毛布の上から、さらに自分のコー
トを掛けてきた。脚の間に挟むような格好で俺の後ろに腰を下ろす。そして毛布とコートに包まれ
た俺を、ギュッと抱きしめてきた。
「おっ……おい……――」
 心臓が急にバクバクと脈打ち出した。
「これで少しは暖かいです……よね?」
 デカブツの優しい笑顔が酒のせいで、ほんのりと赤く染まっていた。
 俺はまたドキンとして、慌ててデカブツの笑顔から顔を背けた。
「ばっ、バカか、お前は。これじゃ、お前のほうが寒いじゃねぇかよ」
「准尉はさっきから飲んでるのに、寒い寒いって言ってます。体が全然暖まらないんでしょう? 
准尉はお酒に強いですから……」
 図星だった。うっ、と言葉に詰まった俺に、デカブツはニッコリ微笑む。
「俺は大丈夫です。酒のおかげで体、ぽかぽかします。それに俺、寒さには強いですから。伊達に
真冬に橋の下で寝袋一丁で寝てませんよ」
「橋の下の気温と一緒にすんなよ」
「あたたかく……ないですか?」
 デカブツが不安げな顔で、俺を抱きしめる腕に少しだけ力を込めた。
 ……あったけぇ。デカブツが密着している背中と腕のあたる部分がぽかぽかしやがる。
「あったかいけどよ……」
 やべぇ……なんだか妙に照れくさい。
 この真っすぐで純粋なデカブツの優しさに、体のあちこちがこそばゆくなっちまう。さっきより
体が熱くなっているのは、デカブツが与えてくれた毛布とコートのおかげだろうか……。
「オレルドさん……」
「な、なんだ?」
 い、いきなり名前で呼ぶんじゃねぇよ。ドキッとすんだろ……。
「一人で背負わないで下さい……。俺、あなたと約束しましたよね。“准尉”じゃなくて、あなた
を見るって。だから……オレルドさんも俺を見て、頼って下さい。一人で頑張らないで下さい」
 デカブツの腕にまたちょっとだけ力がこもった。
 俺は振り返ってデカブツを見た。デカブツはどこか寂しげな淡い微笑を俺に向けてきた。
 胸がキュンと締めつけられた。心臓がドキドキして、体の芯がむずむずしてきた。
 やべぇだろ……これは。あぁ、俺はこんなときに何を考えてるんだ……! こら、とりあえず落
ち着け俺の愚息! 今は任務中なんだぞ、マーチスだって隊長だっているんだぞ!
 だがマーチスは熱で意識不明、隊長は泥酔して意識不明……。気づきゃしねぇ……。
 って、違うだろ!!
 その時、不意に俺の左肩が重くなった。
 見ると、デカブツが俺の肩に頬を乗せて、深い寝息を立てていた。
 酒のせいで仄かに赤く染まったデカブツの無防備な寝顔が、俺の中の疼きを強めて行く。
 ――意外と睫毛が長いんだな……。
 少しだけ開かれた唇から、酒の甘い匂いが仄かに漂ってくる。
 いくら飲んでも酔えなかったくせに、その吐息だけで俺は酔ったような気分になった。全身が熱
くなってきて、頭がフワフワする。
 俺はまるで花の蜜に吸い寄せられるミツバチのように、デカブツの頭にそっと手を添えると、首
を後ろにねじってデカブツの右の頬にある大きな傷に唇を押しつけた。
 デカブツがビクンと肩を揺らして起きた。
「あ……俺、寝ちゃっ……――」
 俺は顔を上げようとしたデカブツの頭を、腕でグッと押さえつけた。
246『オレルド×伍長3』05/12:2006/11/29(水) 04:22:04 ID:???
「じゅ、准尉?」
 ――どっちの准尉だ?
 そう思った途端、俺はもう自分を抑えることが出来ずに、デカブツを押し倒しながら唇に食いつ
いていた。
「うッ…! ……ん、っう」
 デカブツのふっくらした唇に吸いつき、歯列を舌でなぞり、舌に舌を絡めながら、俺はデカブツ
と自分の間に挟まれている毛布とコートを引き抜いた。
 目を白黒させているデカブツから唇を離す。そして素早く、重ねた毛布とコートをマントのよう
に背中に羽織り、そのままデカブツの上にのしかかった。
「じゅっ、准尉……な、なに……」
「俺ひとりで暖を取んのは心苦しいからよ、一緒に暖まろうぜ」
「え? えぇっ?」
 事態が呑み込めないデカブツがオロオロしている隙に、俺はデカブツの隊服の前を開き、シャツ
をたくし上げた。我ながらもの凄い早業だと思う。手慣れたもんだ。
「ぁ……っく!」
 デカブツの胸の突起に吸いつくと、可愛い声を上げてビクンと肩を震わす。気温が低いからか、
それとも酒で体が火照っているのか、いつもよりデカブツの乳首が熱く、そして甘く感じた。
「や……、な、何してるんですか…っ、准尉ッ、……ぁッ」
 デカブツの乳首を吸うたびに、舌先で転がすたびに、デカブツは体をピクン、ピクンと揺らして
反応した。俺の肩を掴んできたが、遠慮しているのか気を使っているのか、デカブツは決して俺を
乱暴に突き放したりはしない。
 隊服と分厚いコート越しにも、デカブツ自身のそれが俺のモノと同じようになっていくのが、す
でに熱を孕み硬くなった俺の愚息に伝わってきた。
 片方の乳首を吸いながら、もう片方のそれも手で弄った。
「ッん…!」
 デカブツがビクンと大きく腰を揺らす。俺のそこにデカブツの太いモノが当たる。
「デカブツ……お前のどこもかしこも熱くて……気持ちいいな」
 俺は夢中になってデカブツの乳首を貪った。
「ダメ……、ダメです、准尉……、やめ……て」
 デカブツはすでに顔を真っ赤にし、涙目になっていた。俺が与える刺激に呑み込まれるように、
目がとろんと閉じかける。だが、まだ残っている理性に正気に引き戻されるのか、ハッと目を開け
て、すぐ傍で眠っているマーチスと隊長のほうを見やった。
 だけど俺のほうと来たら、理性なんかすでに星の彼方だった。欲望に突き動かされ、もう止まら
ない。デカブツの口から“准尉”の言葉を奪い去って、俺の名を呼ばせたかった。
 マーチスと隊長に見られようが構うものかとさえ思っていた。どうせ俺たちは“公認”だ。
 だが、その時、デカブツが思いがけず強い力で俺の肩を押してきた。思いっきり吸いついていた
俺の唇がチュポンと音を立ててデカブツの乳首から引き離された。
「准尉……! 本当にもう……、お、怒りますよ!?」
 首だけを起こして俺を睨みつけるデカブツ。
 だが乱れた吐息、赤い顔、涙目、気弱さを如実にあらわした眉、震える唇は、迫力なんか皆無だ。
 それどころか、小動物が怯えるようなデカブツの姿が、ますます俺の劣情に火をつけちまう。
「挿れたりしねぇからよ……。それなら、いいだろ?」
 俺はズキズキとはち切れそうな股間に痛みを堪えながら、自分のコートと隊服ごと前を開いた。
「なっ、なにを言って……――ッあ!」
 勃起して膨らんだ股間を、デカブツのそれに擦りつけると、デカブツが顎を上げて声を漏らした。
 ゴリッとした硬い感触と、衣服越しに擦られる快感が俺の腰から背筋にかけてぞわぞわと這い上
がった。それはデカブツも同じなのだろう。俺が竿を擦り合わせるにつれ、デカブツの手から力が
抜けて行った。
「…ぃ、あ……、ダメ……、ッはぁ…」
「本当にダメか? お前のここ、大きくなってるじゃねぇか」
「ダメ……、ダメ……ぇ……」
 デカブツの息はますます荒くなっていた。すでに目はとろんとして、目尻からは涙が零れ落ちそ
うだ。俺の肩を押し退ける力もどこかへ行っている。手はまだ肩に置かれてはいたが、押し退けよ
うとするよりも快楽に翻弄されるのに抗うかのようにギュッと布地を握りしめてくるだけ。
247『オレルド×伍長3』06/12:2006/11/29(水) 04:23:26 ID:???
 デカブツがもともと感じやすい体質であることは知っているが、いつもより感じているようだ。
 酒のせいなのか、それともこの異質な空間で、いつ仲間に見られるかも分からないスリルが興奮
と快感を高めているんだろうか。
 それを言うなら、俺も同じだ。確かに、スリルがある。それが余計に興奮を高めていくのは否め
なかった。俺はなおも自分の股間をデカブツのそれと擦り合わせながら、また胸の突起を貪った。
「ひ…っ、あ……、は…、あッ……あ! んー……ッぅ!」
 嬌声が高まり出した途端、デカブツが自分の口を手で押さえた。盛り上がった胸板が激しく上下
している。俺の舌と指の動きに合わせて、デカブツの体がピクピクと小さく揺れる。
 俺はマーチスと隊長をチラリと見た。二人ともよく眠っていた。
 ますます俺は大胆になって行った。
「お前のせいだぜ……」
 上ずった声で密かに笑いながら言うと、デカブツは涙目で俺を見た。
「お前がよ、こんなに可愛くて、暖かいから……俺はお前を欲しくてたまらなくなるんだ……」
「んんぅ……――」
 デカブツがフルフルと顔を横に振る。赤く染まった頬を涙が伝い落ちていく。
 乳首だけでなくデカブツの体を覆う傷痕までをも愛撫しながら、俺は自分の股間へ手をやった。
ズボンの前を開き、いきり勃ったモノを引きずり出した。それからデカブツのズボンのベルトを外
すと、尻の半分ほどまで下着ごとズボンを引きずり下ろした。
 俺とデカブツの間を隔てる布がなくなり、俺は竿を直にデカブツのそれに擦りつけた。
「うッ、ふぅッ! んぅ……ッ!」
 デカブツがビクンと大きく腰を浮かせた。呼吸はますます荒く熱を帯びてくる。必死で押さえる
手の指の間からも、フッ、フッと堪え切れない吐息が漏れていた。
「すげぇ……硬くて、熱いな……」
 俺の体もどんどん熱くなって行った。硬く張りつめ血管の浮き出た竿の部分が擦れ合い、えも言
われぬ快感にどんどん夢中になっちまう。
 俺とデカブツの先走りが絡み、お互いのペニスはすぐにぬるぬるになった。その潤滑液に助けら
れ、よりスムーズに、さらに激しく俺は腰を前後させた。
「ふ! んぅッ…! う…っ、う…!」
 デカブツが空いたほうの手で、俺の腕を握ってきた。潤んだ目を見開いて、助けを乞うように俺
を見た。デカブツの体がビクビクと激しく震え出す。俺を見たまま顔を激しく横に振る。
 俺はデカブツがすでに達そうとしていることを勘づいていたが、腰の動きを止めなかった。イケ
とも言わず、イクなとも言わず、俺はただデカブツの乱れる姿に酔い痴れながら腰を動かし続けた。
「うぅッ…! ふぅッ! んッ! ……ぐッ! うッぅぅッ!」
 デカブツが顔を真っ赤にしてギュッと目をつぶる。目尻から涙がボロボロ零れ落ちる。
 俺の腕をさらに握ってきた刹那、デカブツは息を詰まらせながら体を激しく痙攣させた。
 デカブツが吐き出す熱い精が、上になった俺の竿の下腹を打った。
 射精が終わり、デカブツの全身から力が抜けて行く。俺の腕を握っていた手も、自分の口を塞い
でいた手も、ダラリと力なく絨毯の上に投げ出された。
 未だに絶頂の余韻の波にたゆたっているデカブツは、荒い息をつきながら朦朧とした目で天井を
見上げていた。
 俺はイッたばかりで敏感になっているであろうデカブツのペニスからそっと腰を浮かせた。ネチ
ャッと粘液が絡み合い糸を引いて落ちて行くのが、見なくても分かった。
 果てたばかりの無防備なデカブツの姿が愛しすぎる。
「先にイッちまいやがって……」
 俺がクスクス笑いながらデカブツの頬に触れると、デカブツはハッとしたように視線を彷徨わせ、
ようやく俺の顔を捉えてきた。俺と目が合った途端、デカブツはカアァァッと頬を染めた。
「あ……、す、すみません……俺……、ごめんなさい……ッ」
 やべぇ、ゾクゾクする。愛しいのにイジメたいって思う感情に、逆らうことができそうにねぇ。
「お前が悪いんだぜ……」
 ――可愛過ぎるから、悪いんだ。俺をこんなにメロメロにしやがってよ…!
「准尉……ご、ごめんなさい……ッ」
 俺は顔のニヤけを必死で抑えながら、なるべく怖い顔をするように努力した。
「ダメだ、許さねぇ」
 言った途端、デカブツの顔が泣き顔に歪んだ。
248『オレルド×伍長3』07/12:2006/11/29(水) 04:24:21 ID:???
「す、すみません……本当に。あの、お、怒らないで下さい……」
 ううっ……、可愛過ぎる!! 俺ってけっこう、サドだったんだな……。
「ダメだ。自分ばかり先にイッちまいやがって、俺はどうなんだよ?」
 デカブツがますます泣きそうな顔に……いや、もうすでに泣いている。
「お……俺も……准尉をイかせられるように……頑張りますから……」
「へえ……どうやって。手や口で済ませられんのなんてゴメンだぜ?」
 わざと意地悪を言うと、デカブツはグッと唇を噛み締めて涙をボロボロ零した。
「俺……頑張るから…なんでもしますから……、だから機嫌、なおして下さい…っ」
 ううっ、どうしてくれよう、この可愛さ愛おしさ――!!
 声を殺して泣きじゃくるデカブツに見とれながら、再び眠っている二人を盗み見た。
 うん……マーチスは熱のせいで少し寝苦しそうだが、隊長と一緒によく眠ってる。
 再びデカブツに目を戻す。
 デカブツの引き締まって割れた腹筋は、デカブツ自身が放った精液で汚れていた。
「こんなに汚してよぉ、先にイッちまいやがって、俺はガッカリだぜ」
「うッ……ひっく、ご、めん……なさい……、えっ…く、すみませ……ん」
 ああ、可愛い! 可愛過ぎる! なんだこのドデカいくせに可愛い生き物は!!
 俺は荒くなりそうな鼻息を必死で堪え、厳しい顔をした。
 そして俺はデカブツのズボンをさらに引きずり下ろす。膝下まで引き下ろしたズボンと、デカブ
ツの股間のあいだに四つん這いになった。
 デカブツの太腿の裏に内側から手を差し込み持ち上げようとした時、デカブツがギョッとしたよ
うに脚を閉じた。俺の腕ごと、腰の両側からホールドされちまう。
「おいデカブツ、脚、上げろよ。M字型に大きく開け」
 デカブツがビクッと身を竦ませた。そして震えながら嫌々と顔を振る。
「い……挿れない……って、言ったじゃないですか……っ」
「指ぐらい、いいだろ? それにさっきお前、何でもするって言ったじゃねぇか、あれは嘘か?」
「う……」
 顔を歪ませ涙を零しながら、デカブツはおそるおそると脚を広げ始めた。
 デカブツの蕾が、俺の目の前であらわになる。戦場にいた頃は数多くの兵士たちが味わってきた
蕾。だけど今は俺だけの場所だ。今ここは俺だけが触れることを許されてるんだ。
 そう思うと、デカブツのそこが愛しくてたまらなくなる。いやもう、何もかもが愛しいんだが。
 俺は指先でそっとそこを割り開くと、唾液をたっぷりと乗せた舌を蕾にあてがった。
「ひ……ッ!」
 デカブツが息を呑んで、背中を仰け反らせた。
 周りの襞をほぐすように指先で押しながら、舌先をそこに押しこむ。ピチャピチャと音を立てな
がら、俺はデカブツの内部に舌を出し入れした。俺はデカブツの胸から下を覆った毛布とコートの
中に潜り込んでいるので、その水音が妙に大きく、より卑猥に耳に届く。
「ぃ……あ…、や……やだ……、准尉……っあ……」
 デカブツは時おり高くなりそうになる嬌声を懸命に堪えながら、全身を小刻みに震わせていた。
俺の頭に手を伸ばしてきたが、俺の怒りを買うのを怖れているのか、押し退けようとはしてこない。
 外にも内にもたっぷり唾液を塗りつけたのを確認し、俺はデカブツの蕾に指を挿れた。
「う……あ……っ、あぁっ……」
 デカブツが俺の髪をギュッと掴んでくる。
 痛くないので、俺はそのまま続ける。指を深く挿し入れ、デカブツのそこを探った。栗の実ほど
の大きさの器官――前立腺を探ると、それはすぐに見つかった。指先が柔らかい腸壁の向こうにあ
るコリコリしたものを探り当てたとき、デカブツがヒクンと腰を浮かせた。
「ひ…あッ……! いゃ……だ、そこ……ダメ…です……っ、ダメ…ッあ、あ……」
 デカブツのあえぎが徐々に高まって行く。それでも、囁くような声だ。マーチスと隊長が目を醒
まさないように気をつけているんだろう。
 二本目の指を挿入する。
「あぅ…! んぅっ…、んっ……! うぐ……っん!」
 デカブツが握りしめた拳を口に当てて、歯を食いしばった。その拳も脚も腰も、ヒクヒクと小刻
みに震えている。きつく閉じた目から涙が零れ落ちていた。
 俺は二本の指をそこに出し入れしながら上体を起こして、デカブツの艶やかな姿を目で楽しんだ。
「気持ちいいか?」
249『オレルド×伍長3』08/12:2006/11/29(水) 04:25:14 ID:???
 囁くと、デカブツが薄目を開けて俺を見た。デカブツは素直に、小さくうなずく。体重を支えた
俺の腕を、すがるように握ってくる。
「っあ……はァッ…! でも…俺……、そこは……ふぅっ、く…!」
「やめて欲しいなら今すぐやめるぞ?」
 俺が意地悪を言ってニヤリとすると、デカブツは心底困り果てたような泣き顔で唇を噛んだ。
 そして俺の袖をギュッと握ってきて、すがるような眼差しでデカブツは言った。
「や……めないで……下さい……」
 ゾクゾクとした快感を背筋に感じながら、俺は分かりきったことを問うた。
「続けていいんだな?」
「……い、意地悪……言わないで下さい……っ」
 デカブツは顔を真っ赤にして涙をボロボロ流した。
 俺は歓びに満たされて、指をもう一本増やした。
「はぅッく!」
 デカブツの腰がビクンと跳ね上がり、つま先立ちになる。締めつけのきつさを感じたが、そこは
充分にほぐれているようで、デカブツが痛みを訴えることはなかった。
「は…っ! あ…、准尉……っ、あぁっ、ん……、准尉ぃ……」
 三本の指で前立腺をゆるく突き上げると、デカブツの内部が俺の指を絡めとるように蠕動をし始
める。俺が湿した唾液じゃない、デカブツ自身の愛液が滲み出し、形の良い尻の割れ目に伝った。
 これを愛液と言うには語弊があるだろうが、とにかく女のあそこのように、男のここも濡れると
言う知識が増えたのはデカブツのおかげだ。デカブツにとってはありがたくない知識だろうが……。
「すげぇ濡れてるぞ。ほら、聴こえるか、この音? 手首まで入りそうだな」
「やっ…ぅ、い、言わな……はっぁ、下さ……、はッ、はァッ……!」
 後ろだけじゃなく、デカブツの前もはち切れそうなほどだった。先端からは透明な先走りがとめ
どなく漏れている。
「あぅっ、あ…! じゅ……ぃ、じゅん……っ、ハァッ! あっ…ぁ、オレルドさん……っ」
 デカブツが俺の名を呼んだ。ゾクリとした快感が背筋を這い上がった。
 俺の指の突き上げにデカブツはどんどん理性を手放して行く。自らも腰を蠢かせ、淫らに乱れ、
かろうじて声を抑えて善がり泣いた。デカブツは首を上げて俺の肩をつかみ、そして腰に脚を絡ま
せてきた。
「いっ…あっぁ……、ダメ……、オレルドさんっ…俺また……イッちゃ……あ、あっ、あ……」
 ――もう……ダメだ。限界だ……!
 これから自分が及ぼうとする行為に、俺の心に罪悪感が湧き上がる。
 しかし、そんなもんは狂おしい欲望の前にあっさり吹き飛ばれちまった。
 俺はデカブツの蕾から指を引き抜いた。
「くぅっ…ん……」
 デカブツが物足りなさげな鼻にかかった声を漏らした。
「ごめんな、デカブツ……」
 俺が猛り狂う愚息に手を添え、その先端をデカブツの蕾にあてがった時、デカブツが怯えたよう
に腰を引いた。信じられない、そう言いたげに見開かれた眼差しが俺に向けられた。
「オ…オレルドさん……、や……やめ……――」
「すまねぇ……、俺やっぱりお前とひとつになりてぇんだ」
 グッと力を入れて先端を押し当てると、きつい蕾の中に亀頭が少しだけ呑み込まれた。
 デカブツがぶるぶると震え出す。見開かれた目が、俺のものと繋がろうとしている自分の下半身
を凝視していた。
「ま…待っ……、う、うそ……、イヤ……っ――」
 俺は堪え切れず、一気に腰を入れた。デカブツの濡れた蕾の中に、俺の半分以上が埋め込まれた。
「ひィ…ッ………――!」
 背中を仰け反らせて肩を竦ませると同時に、デカブツが自分の口を手でガバッと塞いだ。分厚い
手袋をした手の中で、細い悲鳴が小さくくぐもった。見開かれた目から涙が零れた。
 デカブツのきつく締めつけてくる蕾と、押し戻される弾力のある内部に逆らい、俺は少々の無理
を承知で根元まで挿れていく。
「うッ…! う……――」
 デカブツが目を見開いたまま、体を引き攣らせてうめき声を上げた。
「デカブツ……、大丈夫か?」
250『オレルド×伍長3』09/12:2006/11/29(水) 04:26:22 ID:???
 俺は根元まで入った感触を確かめ、まばたきひとつせずに宙を凝視するデカブツの顔を覗き込ん
だ。デカブツの拒否に耳も貸さずに、無理やりここまでやった俺が言えた台詞じゃねぇし、もしこ
こでデカブツが大丈夫じゃないと訴えても、後戻りできないところまで来ちまってんだが……。
「ふぅ…ッ、う……、ぅう……ッ」
 だがデカブツは応えない。もはや、肩で息をするだけで精一杯と言った感じだった。
 俺は手を伸ばし、デカブツのひたいの髪を優しく掻き上げた。
「ごめんな……、なるべく早く済ませるからな……」
 デカブツにしてみりゃ『何を今更』って感じだろうな。声を堪えるのに集中しているようで、応
えてくれないので分からないが。
 そろりと引き抜き、ゆっくりと挿入する。俺の先端がデカブツの前立腺に当たると、デカブツは
ビクンと腰を揺らし、細く甲高いうめき声を指の間から漏らした。口を塞ぐ指が深く頬に食い込む
のが見て取れた。
「ふッぅ…! うッぅ……! んぅー…ッ」
 比較的ゆっくりと腰を律動させるうち、デカブツの顔に悦びの色が滲んで行くのが分かる。
 竿を締めつける蕾の輪もいっそうキツくなり、内部も奥へ奥へと誘うように絡みついて来ていた。
 やがて口を押さえるデカブツの手がぶるぶると震え出した。指を震わせながら拳を握りしめ、今
度は手の甲を口に押しつけると、真っ赤な顔でそれをきつく噛んだ。
「ひッ…! …ッ! ふッ! はァッ! …ん、ぃッ…!」
 デカブツはもう片方の開いた手で、俺の腕にすがりついて来る。
 それが可愛くて、可愛くて……俺の欲望がどんどん煽られて行くのが自分でも分かる。
「はッ…、デカブツ……、ランデル……、くっ、すげぇ……ッ」
 俺は全身を色濃い悦びに満たされながら、徐々に腰の動きを早めて行った。
 袖を握りしめるデカブツの手が、腰が、背中がガクガク震え出す。デカブツはまた目を見開き、
掌で口を押さえ込んでいた。
「うぅッふ! んッぅ! んうッぅ!」
「っあ、ランデル……っ、あ、はぁッ、ランデル……ッ!」
 全身が燃え上がりそうに熱かった。俺はもう全身ペニスになったように、そこを擦られる感触が
体中を駆け巡っていた。
 デカブツが両手で、ガバッと俺を抱き寄せた。体を大きく“く”の字に折り曲げ、俺の肩に顔を
埋める。
「あ……ッ! い…あッ…! オレルド……さ…! はァッ、ハァッ…! ん……い、ぃい…!」
 極限まで声を抑えたデカブツの掠れたあえぎ声。熱い息が俺の首筋を熱し、頭がクラクラする。
「ランデルッ…、ランデル……ッ」
「いいっ、いッあ…! オレルドさん……ッ、オレルドさん……ッ」
 俺を呼ぶデカブツの声、俺を熱く締めつけて来るデカブツのそこ。
 ――もうダメだ、たまんねぇ……! ああ、イク……!
「う……ん、伍長……?」
 まったく予期してなかった隊長の声がして、俺は全身総毛立った。
 絶頂手前にも拘らず、隊長の声が耳に届いたのは天の助けだった。隊長がごそごそと起き上がる
気配を察知し、俺はとっさに体を上にずらし、デカブツの口をガバッと押さえつけた。同時に毛布
をデカブツの顎のところまで引き上げていた。
 俺が体を上にずらしたため、より深く奥を貫いてしまった。そのせいでデカブツはビクンと大き
く全身を痙攣させ、顎を上げてくぐもった悲鳴を上げた。
「ん"ーーーーッ……!!」
「シィッ…! シィーッ!」
 俺は毛布の中に潜り込んだまま、デカブツの体の上で平べったくなった。そして必死で口を押さ
えつけた。
「伍長……? うなされているのか……?」
 隊長が目を半分開けてこちらを見ている。何度も目をこすりながら、目を細めているところを見
れば、まだ寝ぼけていてよく見えないらしい。目がかすむのは酒のせいもあるのだろう。
「大丈夫か、伍長……?」
 むにゃむにゃと寝ぼけ声で、隊長がまた目をこする。
 俺は毛布の隙間から隊長を観察し、そしてデカブツを見た。顔を隊長から背ける方向に向け、き
つく目を閉じて乱れそうになる息を必死に止めていた。
251『オレルド×伍長3』10/12:2006/11/29(水) 04:27:17 ID:???
 しばらく隊長はデカブツを寝ぼけ眼で見つめていたが、デカブツが何も言わず動きもしなかった
ので眠っていると思ったのか、
「オレルドはどこへ行ったぁ〜……? あの馬鹿者ぉ……むにゃ」
 トドメに俺への文句をちゃっかり言って、糸が切れたように再び横になった。
 そしてややあって、また深い寝息が聴こえてきた。
 俺は恐る恐る毛布の中から顔を出した。隊長はマーチスと一緒に再び夢の中に舞い戻ったらしい。
「あ…っぶねぇ〜……。おい、大丈夫か、デカブツ?」
 声をかけた瞬間、呼吸を止めていたデカブツがあえぐように息を吸い込んだ。
「も……っ、や……っうっく、うぅ……」
 ただでさえ快感で理性がぶっ飛んでるところに、隊長に目撃されそうになったショックだろうか。
呼吸が整うにつれ、デカブツはますます涙を零して、ひっくひっくとしゃくりあげ出した。ボロボ
ロ涙流して、でっかい拳でガキみてぇに目を拭うデカブツを見て、俺の中に今更ながらの罪悪感が
こみ上げてきた。
 だけどやっぱりそんなデカブツを見て、愛情と言う名のムラムラが、わずかな良心をボコって平
たく伸しちまった。バカか、俺は……。ああ、そうだ、大バカ野郎だぜ。
「すまん、デカブツ……」
 俺はデカブツの頭を胸に抱え込んだ。我慢できずに思いっきり腰を突き入れた。
「うッ! うぅーーーーッ!」
 デカブツがとっさに俺の背中にすがりつき、胸に顔を押しつけると、嗚咽とも悲鳴ともつかない
声を放った。
 デカブツの熱くて濡れた内部を擦る感触。食いちぎるように締めつけてくる蕾の輪。絡みついて
来る熱い襞。デカブツの声、すがりついてくる腕、流れる涙、吐息……。何もかもが俺を絶頂の高
みへと導いて行く。
「はッ…! ハァッ…! デカブツ……すまねぇ……っ。やべぇ、腰が止まんねぇ……!」
「うッ、うッぐ…! んんッ、んぅーッ…!」
 デカブツが俺にしがみつき、嫌々と頭を激しく振った。俺の腰に絡められた脚がガクガク震え出
している。
 竿を締めつける輪がさらにきつく締まり、内部が俺のものを搾り取るように蠕動し出した。
 デカブツは顔を埋めていた俺の肩口に思いっきり噛みついてきた。俺は分厚いコートを羽織った
ままだったので、痛くはなかった。
「ッ……――――!!」
 その瞬間、デカブツは声にならない悲鳴を上げて全身を痙攣させた。
「くッ…!」
 直後、俺もたまらずデカブツの中に出しちまった。尿道口を通って吐き出されるザーメンの快感
に腰をひくつかせる。俺のザーメンがデカブツの中に注がれるたび、デカブツが小さく声を漏らし
て体を震わせた。
 俺たちはしばらく荒い息を吐きながら抱き合ったままだった。
 今までまったく聴こえなかった焚き火のパチパチと爆ぜる音と、外を吹き荒れるブリザードの風
声が、ようやく耳に届いてきだした。
 欲望を吐き出して体の熱が冷めるに連れ、俺の中にまた理性が舞い戻ってきた。
 ――ああ、ヤッちまったよ、任務中に……。
 デカブツはもう噛みついてはいなかったが、まだ俺にすがりついたままだ。俺の肩口に顔を埋め
て、小さく小刻みに震えていた。
「おい、大丈夫か、デカブツ……?」
 くすん、くすんと鼻をすする音が嫌でも聴こえて来る。泣かしちまった……。
「……っく、ひっく……、オレルド…さん……」
「なんだ?」
「どうしよう……、汚れちゃいました……、うっく」
 俺はデカブツが何を言ってるか一瞬分からなかった。デカブツがそっと体を離したその時になっ
て、俺は初めて事態の深刻さを認識した。
 デカブツの下半身はもちろん、剥き出しになった腹から上を覆う隊服、それから俺自身の隊服と
コートに、デカブツが出した白いものが……。
「うっはぁ……派手に出したな、お前」
「ああ、どうしよう……、ごめんなさいっ、すみません……っ」
252『オレルド×伍長3』11/12:2006/11/29(水) 04:28:09 ID:???
 デカブツは顔を真っ赤にして拳を口に当てている。見ていられないぐらい恥ずかしいのだろう、
目をギュッと閉じてうつむき、ぶるぶる震えていた。
 いや、どう考えても悪いのは、俺のほうだよな……。
「気にすんな、こんなもん拭くか洗うかすりゃいいだけだろ。あー泣くな、泣くな」
 俺はデカブツ可愛さに思いっきり顔を緩ませ、デカブツの頭を撫でまくる。
「でも……、ここには水がありません……。シャワーもない……です」
「う、うーん……」
 何事も勢いでやっちまった後は、往々にして後悔って奴が押し寄せて来るもんだ。
 だが、もう済んじまったことを悩んでても仕方ねぇ。
 この後始末をどうやってつけたもんか軽く悩みながら、俺はとりあえず傍にあったリュックを引
き寄せた。中からトイレットペーパーを取り出し、それでデカブツの体を拭いてやった。尻を拭い
てやろうとしたとき、デカブツがビクンとして慌てて脚を閉じた。
「も、もういいです、あとは自分でやりますから……っ」
「悪いな……」
 まぁ、拭けばとりあえずは綺麗になるが、問題はこのイカ臭さだよな。隊長はこの匂いがザーメ
ン臭だなんて気づきゃしねぇだろうが、マーチスにはバレバレだろうし。
「やっぱお湯で体拭かないとダメか……」
 一人ごちて何気なく視線を巡らせたとき、マーチスの傍に置いてあった鍋の存在に気づいた。
 それはデカブツがマーチスの頭を冷やすために持ってきた雪が入っていた。雪はすでに溶け、水
になっている。
「ちょっと待ってろ」
 俺はマーチスの枕元にあった鍋を手にして、外に出た。
 うげ、さみぃ! つーか、痛ぇ!
 せっかくデカブツとセックスして暖まったってのによ……って、いや自業自得か。
 相変わらず、肌を切るような極寒だったが、それでも吹雪が少し止み出しているような気がした。
 よし、このまま明け方までには止んでくれよ……。
 俺はそんなことを思いながら、鍋に入っていた水を捨て、せっせと雪を掻き集めた。これを暖炉
にくべて溶かして沸かせばお湯になるってわけだ。
「よし、こんなもんか」
 鍋に山盛りになった雪を見て、小屋の中に戻ろうとした時、俺は気づいた。さっき捨てた水が、
もう凍り出してる。そうか、この気温だから外気にさらされた水はすぐに凍っちまうんだな……。
 その時、俺の脳裏に閃くものがあった。思い出したのはガキの頃の冬の遊び。橇だ。
「これだ……!」
 希望の光が差してきて、俺は上機嫌で小屋の中に戻った。
 んが、その瞬間、俺はガシャンと鍋を落としてしまった。
 いつの間に起きたんだろう、隊長がデカブツの前に仁王立ちになっていた……。
 デカブツは恐怖に顔を引き攣らせ、あうあう言いながら隊長を見上げている。デカブツは半裸状
態、ザーメンまみれ、しかも泣き腫らした顔……。
 どっからどう見てもこの状況は、デカブツが無理やり犯されたようにしか見えない。
 隊長がゆっくりと俺を振り返った。これ以上はないぐらい座った目が俺をギロリと睨みつける。
「あ、あはー……、隊長、目が醒めましたか……」
「何やらイカの臭いがすると思って起きてみれば……」
 隊長が地の底から響いて来るような低い声で言った。チャキッと腰の剣が引き抜かれた。
「貴様、どこまで……――」
 隊長の目以上にギラギラと危険な光を放つ切っ先が俺に向けられた。
「ちょ……ま、待って下さい隊長、誤解! そう、誤解です!!」
 デカブツと愛し合った暖かさなんか百億光年の彼方にぶっ飛んでいっちまった。
 俺は全身から冷たい汗を噴き出しながら、必死で隊長に向かって手を振った。
 隊長が一歩、こちらに向かって脚を踏み出してきた。その時、隊長の口から「ヒック」としゃっ
くりが漏れた。よく見れば、まだ顔が赤い。
 ――シラフじゃねぇ……!
 腰が抜けそうなほどの恐怖が俺を襲ってきた。
「人として恥を知りぇーーーーーッ!!!!」
「ちょ…! ギャーーーーーーっ!!」
253『オレルド×伍長3』12/12:2006/11/29(水) 04:29:12 ID:???
「少尉! 落ち着いて下さい、少尉ぃぃぃッ!!」
 猛烈な勢いで剣を振り回す酔っぱらい隊長。
 必死で逃げる俺。
 泣きながら隊長を引き止めようとするデカブツ。
 この騒ぎの中、マーチスだけが熱にうなされながらも眠り続けていた。
 もしかしたら、関わりたくないと思って狸寝入りしていたのかもしれないが……。

 やがて、決死の思いのデカブツに剣を取り上げられた隊長が、素手で俺をボコボコにしてくれた
頃、ようやく吹雪が止み、白一色の雪原に夜明け前の静けさが訪れたのだった――。

【The End】

――――――――――――――――――――――――

なんでただヤッてるだけなのに、こんなに長くなるんだ…orz
少尉の扱いがなんだか可哀相なので
少尉ファンの方には大変申し訳なく……;

>>イカの人さん
コテハンおめでとうございますw
私もイカの人さんのSSでお勉強させて頂く部分は
たくさんありますよ。
私なんかでよろしかったら、これからもお互い切磋琢磨しあって
伍長をアンアン言わせて行きましょうw
>>234
瀕死の901准尉が「愛してるぜ…」…いいですねぇ!ハァハァ(*´д`*)
もう自分は伍長が愛されてさえいれば、なんでも喜びますですw
こんな私のSSでよろしければ、またどうぞ乗っかってきて下さい。
全裸で待ってますw
>>235
おおっ、絵、楽しみにしておりますー!
本当に職人さん、もっと増えるといいですね。
字書きさんでも、絵描きさんでもどっちも。
254名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 09:38:23 ID:???
>>253
評判の悪かった8話のネタを使ってここまで魅力的に仕上げてくるとは…
かなりGJです!
伍長の仕草が可愛いですね。9話ネタも楽しみにしてます!
255名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 14:33:17 ID:???
>>253
もう凄い、ていうかヤバイ
萌えすぎて言葉にできないぐらい、途中で何度も息がつまるかと思った
凄いものを読ませてもらいました
GJ!
9話ネタも超楽しみしてます
256名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 16:56:43 ID:???
使えそうなシーンをより合せて詰めてみました
>>男体の人さんのSSと9話のオレルドと伍長に触発
http://toshi-2chan.ddo.jp/b6/src/1164786951532.jpg
257名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 18:57:37 ID:???
http://up.2chan.net/d/src/1164647226980.jpg
>245あたりを読んで思い出してしまったw伍長にしか見えんクマー
258名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 19:05:31 ID:???
>>257
なんだこれ!!!!!(*´Д`)ハァハァ
なんで白クマー伍長、犬にこんな懐いてんだw
259名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 19:39:35 ID:???
>>257
伍長クマー!!!!!ウザ可愛いwwwwwwww
>245あたりだと考えるとオレルド犬とのやりとりがまたワロスwwww
260名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 21:48:09 ID:???
261名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 22:21:55 ID:???
>260
4がとてもいい。
262名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 22:27:54 ID:???
>260
あうあう言ってる伍長イイ!5のまったり具合もいいなあ。
263名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 22:28:32 ID:???
>>256
ちょww

やべえwどの画像もやばすぎるww
白クマー、犬好きすぎやw
264名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 17:25:33 ID:???
そのワンちゃん大好きっ子ななクマは何なのだ〜〜〜
265名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 01:30:42 ID:???
今までも伍長カワイイなぁと思ってましたが
本日このスレでエロ方面に開眼しました
萌えのままにザクザク描いた伍長一コ置いていきます(口内写生とか注意)
ttp://deaikei.biz/up/up/3561.jpg.html
pass 901801
神&職人の皆様頑張って下さい!(*・∀・*)
266名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 01:50:57 ID:???
>>265
GJ!
無理やりってのがこりゃまたエロイな!
深くて広いエロの世界へようこそw

男体の人さんの
週末に投稿されるSSも楽しみだ
267名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 02:22:35 ID:???
エロイ(*´Д`)ハァハァ
夜中にええもん見さしてもらいました…
268名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 02:28:31 ID:???
>265
乙です!伍長エロース!
相手が気になってしまうハァハァ
269名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 03:48:03 ID:???
>>265
ウホッGJ!(*´д`)
270男体の人:2006/12/01(金) 05:08:38 ID:???
ラジオを聴いててオレルドと伍長の中の人が
酒飲み仲間、しかも二人とも酒豪だと知って、
ちょっと以上萌えてましたw
もうなんでもかんでもオレ伍に変換してしまう…orz

さて、お約束のブツw、投下しに参りました。
と言っても予想以上に長くなってしまったので続き物です。
しかも今回エロ無し……ご、ごめ…………;

********************
『オレルド×伍長 その4-1』
アニメ9話「朝霧の女」のパロでございます。
相変わらずフォモ注意警報発令中。
********************

では、どぞー。
271『オレルド×伍長4-1』01/11:2006/12/01(金) 05:10:20 ID:???
 俺は度々、悪夢にうなされるデカブツの苦しそうな声で目を醒ますことがあった。
 たっぷり愛し合った後、幸せな気持ちで眠りについた俺たちを嘲笑うように、デカブツは悪夢に
襲われた。苦痛と苦悶を顔に浮かべ、頭を右に左に振りたくる。溺れているかのような苦しげなう
めき声と息づかい。どこかから必死で這い上がろうとしているかのように手足が時おりビクン、ビ
クンと動いた。
 そんな時いつも、俺は慌ててデカブツを揺り起こした。ハッと目を開けるデカブツの顔は、ここ
がどこで、今がいつなのか分からない、混乱のただ中にいる顔だった。まるで、目を醒ましたこっ
ち側の世界が夢なのではないかと言いたげな顔で。
 正気を失いかけたデカブツに声をかけ、抱きしめ、頭を撫で、キスを繰り返してやる。そうする
とデカブツは少しずつ落ち着いて行く。目には正気の光が戻り、こっち側が現実であることを理解
する安らぎを得ると同時に、怯臆の色がデカブツの顔を満たして行くのが分かっちまう。
「もう大丈夫……、大丈夫だ……。俺がここに居るぞ……」
 小刻みに震え続けるデカブツの体を抱きしめ、俺はずっとそう囁き続ける。
 やがて体の震えが少しずつ止まって行くと、デカブツはまた深い寝息を立て始める。俺の背中に
腕をまわして、抱きついたまま。
 そうして、デカブツは今度こそ安らかな眠りにつき、数時間の後、朝がやって来る。

 この日もそうだった。
 デカブツのうなされる声に、俺は深い眠りの底から一気に水面に浮上するように目を醒ました。
 縫いつけられたみたいに重い目蓋をこじ開けて、隣を見る。
 デカブツは胎児のように体を丸めて、頭を朦朧と左右に振りたくっていた。
「おい、しっかりしろ……」
 デカブツの震える肩に手をかけて、軽く揺すった。だけどその時、デカブツの様子がいつもと違
うことに気づいた。
 いつもならその顔に浮かぶのは恐怖か苦痛の表情。だけど今は、デカブツの顔は痛切な悲しみに
満たされていて、頬は涙で濡れていた。そしていつもの悪夢なら決して話したりしないデカブツが、
この時だけははっきりと声に出して何かを喋っていた。
「……かないで、……行かない…で……ッ」
 デカブツは体をガタガタ震わせて、眠りながら泣いていた。
「嫌だ……、行かないで……、行かないで下さい……准尉……――」
 眠気に重くのしかかられていた俺の頭は、それで一気に醒めた。
「准尉……ッ、准尉……、嫌だ……、俺を一人にしないで…下さい……――」
 胸が、鋭く痛んだ。デカブツが俺のことを呼んでいるんじゃないことは嫌でも分かった。
 分かっていながら、俺はどうしてやることも出来ずに、ただデカブツを抱きしめた。そしていつ
ものようにデカブツの髪を撫で、背中をさすり、耳元で繰り返し囁き続けた。
「大丈夫だ……、俺は、ここに居るから……、ランデル……」
 デカブツは握りしめた拳を、もう片方の手でさらにきつく握りしめた。震えるその手を口元にや
り、まるでひざまずいて祈るような格好ですすり泣いていた。
「ランデル……俺はここに居るぞ……、ランデル……俺は、お前の傍に居る……」
 くそ……、心臓が圧し潰されそうなぐらい痛ぇ……。
 やがて、抱きしめられる暖かさに落ち着いたのか、デカブツは再び静かな寝息を立て始めた。俺
にすがりつくように、ぴったりと身を寄せて。
 お前はこの腕を誰のもんだと思ってんだろうな……。ちゃんと俺だと分かってんのか? それと
も……“准尉”か……?

          *

 翌朝、俺はいつものようにデカブツに起こされた。
「オレルドさん、起きて下さい。オレルドさん」
「ん〜……」
 目蓋につき刺さってくるような朝日の眩しさに薄目を開けると、そこには朝日の中で微笑んでい
るデカブツの顔があった。
「おはようございます。顔、洗ってきて下さい。朝ご飯、食べましょう」
 俺はでっかいあくびをして、ノロノロと体を起こし、伸びをした。
272『オレルド×伍長4-1』02/11:2006/12/01(金) 05:11:38 ID:???
 デカブツがクスッと笑ってベッドから離れて行く。台所から煎れたてのコーヒーを二人分運んで
テーブルに置いた。テーブルの上にはデカブツが用意した朝飯が乗っていた。サラダとトーストと
コーヒーだけ。質素だが、今のご時世パンを食えるだけでも贅沢だ。それにデカブツと食える食卓
に乗っている料理なら、俺にとっちゃ何でもご馳走に思えた。
「コーヒー、冷めちゃいますよ?」
 デカブツがこちらを見て小首を傾げて微笑んだ。
 可愛いなぁ……と、朝っぱらから俺の鼻の下は伸びきっちまいそうになる。
 だけど、デカブツが明るい陽の光の中で、幸せそうな微笑みを見せれば見せるほど、俺は昨夜の
ことを思い出さずにはいられなかった。
 “その笑顔は、俺への気遣いなのか……?“
 つい、そんなことを思っちまうんだ……。
 朝食が済み後片付けを済ませると、デカブツが先に出る準備を始める。
 俺は一緒に庁舎へ行っても構わないんだが、デカブツにしてみりゃどうにも照れくさいらしい。
 それにデカブツ曰く『猫に餌をやってから行かないと……』だ。確かにまぁ、デカブツと一緒に
出るには、ちょっとばかり早過ぎるしな。
 俺はまだパジャマを着たまま、コーヒーを啜りながら新聞を読み、デカブツの姿を見るともなし
に見ていた。
 デカブツがコートを羽織った時、裾があたって小さく響いてきた“カロン”と言う軽い音に、俺
は目を引き寄せられた。それは、ブルースチールのランタンだった。
 “行かないで……准尉――、俺を一人にしないで…下さい……――”
 俺の胸ですすり泣いていたデカブツの声と涙が、脳裏に甦った。
「じゃあ、俺、先に出ますね。オレルドさんも、遅刻しないで下さいね」
「ああ……」
 ぼんやりと応える俺を寝ぼけていると思ったのか、デカブツは小さく笑いかける。そして荷物を
背負い、部屋のドアを開けた。
「デカブツ」
 無意識で呼んだ俺の声に、デカブツは足を止めて振り返った。
「はい?」
「お前、昨夜もうなされてたな」
「そうなんですか……? 起こしちゃったんですね……すみません……」
 申し訳なさそうに淡く微笑む。
 デカブツがうなされる夢の内容を、俺は前に一度聞いたことがあった。それはデカブツが前に所
属していた部隊の時の夢だったと言う。詳しいことは話さなかったが、それを聞いただけで、俺な
んかには到底想像もつかないぐらい、ひでぇ悪夢だってのは用意に推察できた。ランタンを灯した
時のデカブツの狂気じみた戦い方を知っているだけにな。
 だけど、昨日の夢は明らかにそれとは違う。
「お前、昨日見た夢のこと、覚えてるか?」
 デカブツの肩がギクリと小さく動くのを、俺は見逃さなかった。
「いえ、覚えてません……」
 デカブツは微笑みながら言ったが、俺と視線を合わせようとはせず、そのまま部屋を出て行った。

          *

「なんだか伍長さんの様子、ヘンじゃありませんか?」
 その日の昼休み、食堂でメシを食っていた俺に、隣に座っていたチビッコが訊いてきた。
「うん、確かにおかしいよね。なんだか元気がないっていうか、ふさぎ込んでるっていうか」
 テーブルを挟んで前に座るマーチスも、身を乗り出してそんなことを言ってきやがる。
 当のデカブツは俺たちと一緒に食堂へ来るには来たが、いつもの半分も食べずに残した。そして、
やりかけている仕事があるからと、先にオフィスへ戻って行ってしまった。普段は絶対に、こんな
付き合いの悪いことはしねぇのに。
「やっぱり、マーチスさんもそう思いますっ?」
「うんうん、思うよ〜」
 マーチスは腕組みをして深く何度もうなずいたあと、怖い目で俺を睨みつけたきた。
「で、何したの、オレルド?」
273『オレルド×伍長4-1』03/11:2006/12/01(金) 05:12:36 ID:???
 おいおい、有無を言わさず俺のせいかよ!
 幼馴染のあまりの言葉に絶句して口をあんぐり開けた途端、チビッコが顔を真っ赤にして目を白
黒させながら猛烈な勢いで立ち上がった。
「オ、オレルドさん、またいけないことしたんですねッ! 浮気ですか? それとも……ああッ、
また無理やりッ!? 最低です、オレルドさんは最低です〜!」
 ドッと疲れが押し寄せてきた。俺はもう反論するのも面倒になって、痛むこめかみを指で押さえ
て、でっかい溜め息を吐いた。
「愛があるんだから、いいんだよ。何しようが俺たちの勝手だろうが」
「無理やりはよくないよ! 優しくしてあげなきゃダメじゃないか! 伍長は繊細で傷つきやすい
んだよ。オレルドみたいな図太い節操無しと一緒に考えちゃダメだよ!」
「マ…マーチス、お前な……」
「そうです! マーチスさんの言う通りです!」
「あ〜もう、お前もう帰れよ」
「愛があるなら、やはりその愛をアピールしてこそ二人の仲はより近づき、さらに深く……!」
 人の話なんか聞いちゃいねーな……。チビッコの奴、目をウルウルさせながら妄想の海に旅立っ
てやがる。
「おぉ〜♪ 麗しの〜きぃみよぉ〜♪ 愛の心が〜♪ 僕の心を〜強くぅ〜すぅる〜♪」
 歌までうたいだしちまったよ、どうするよ、これ……。しかも音程、外れてっぞ。
 と思ったら今度は涙目になって、俺の手をガッシと握りしめてきた。
「オレルドさんっ! 私、最初こそオレルドさんと伍長さんの仲を反対していました! だけど今
は違います! 愛はどんな障害でも乗り越えるんだって、二人を見てて分かったからです! 男同
士でも上官と部下でも、熱く燃え盛る愛の炎の前に、障害なんて焼け落ちてしまうものだと! だ
から私っ、お二人には本当に幸せになって欲しいんですぅ〜!」
 でかい…声でけぇからお前……。興奮しすぎだっつーの。
 周りでメシ食ってた奴らが、何事かと俺たちに注目し始める。
「なんだ、また三課かぁ?」
「おい、あいつ。あの金髪だよ、例の……」
「ああ、あのでっかい奴と……だろ?」
「つーか、どっちが……女役なんだ? あの金髪のほうか?」
「いや、それがな、一課の奴の話じゃ……」
「マジかよ!?」
「俺もお願いしちゃおうかな〜」
「プッ! クッククク……!」
 好奇の視線と興味本位の中傷に、腹が立たねぇわけがねぇ。だけど、ここで騒ぎを起こしても何
の得にもなりゃしねぇ。騒ぎの原因をデカブツが知ったら、あいつはきっと悲しむだろう。俺のた
めにな。“公認”になってからは、心ない誹謗中傷を言って来る奴がいるってのは覚悟していたこ
とだ。世間の白い目ってやつに、いちいち目くじら立てても仕方ねぇ。
 けど……それも、一人じゃ太刀打ちできねぇ……そのことをお前は知ってんのか、デカブツ。お
前と二人なら、突き刺さるような視線にも冷たい風にも耐えられる。けどよ……――
「オレルドさんっ聞いてます? だから伍長さんには優しくしてあげないとダメなんです! その
うち愛想尽かされちゃいますよ!?」
 耳にキンキン響くチビッコの声に、俺はカッとなって立ち上がった。思わず怒鳴りそうになった
が、歯を食いしばってなんとか堪えきった。
「ごっそさん。先に戻ってるからな」
 俺はぶっきらぼうにそれだけ言って、食堂を出て行った。
 オフィスの前までやって来て、ドアを開けようとした時、扉が少し開いているのに気づいた。何
気なく視線を上げて中を見ると、デカブツがひとり、ぽつんと席に座っているのが見えた。
 声を掛けようとした時、俺は気づいた。机の上に置いてあったランタンに。デカブツはランタン
を、じっと見つめていた。その顔が、ものすごく……寂しそうだった。
 膝の上に置いていた右手を持ち上げ、デカブツがそっとランタンに触れた。涙こそ出なかったが、
デカブツの顔は泣き顔に歪んだ。ランタンを胸に掻き抱くデカブツの肩が、小さく震えていた。
 俺は、どん底へ叩き落とされた気分になった。
「オレルド、こんな所に何を突っ立っているのだ?」
 突然背後から響いたよく通る透き通った声に、俺はギクリとした。
274『オレルド×伍長4-1』04/11:2006/12/01(金) 05:13:59 ID:???
 振り返ると、隊長がこちらへ向かって大股で歩いてきている。
 俺はとっさにオフィスの中を見た。隊長の声に気づいたデカブツがハッと顔を上げて、拳で目元
を拭うのが見えた。胸に抱いていたランタンを、慌てて腰のベルトへ戻した。
「昼食はもう済んだのか? 午後からまた戦災復興のために働くぞ!」
 隊長が威勢良くドアを開けてオフィスへ入った。
 デカブツが立ち上がって隊長に敬礼をする。
 そしてまだオフィスに入れないでいる俺を見て、デカブツは優しく、そしてまるで詫びるように
悲しげな微笑を見せた。
 隊長が何かデカブツに話しかけていた。デカブツが笑顔で応えている。
 だけど、俺の目に映るのはデカブツの腰に下がっているランタンと、耳に届くのは昨夜“准尉”
恋しさに泣いていたデカブツの声だった。
 生きてるこっちの勝ちだと信じたかったが、死んだ奴の思い出にはやっぱり勝てないのか。
 俺じゃダメなのか……? お前の“准尉”の代わりにも、俺はなれねぇのか……?

          *

「今日も来るか?」
 仕事が終わり帰宅時間になった時、ロッカールームで着替えていたデカブツに俺は訊いた。
 俺の家に来るかと、そう訊いたんだ。
 デカブツは俺の顔を見て、申し訳なさそうな笑みを見せて、顔を小さく横に振った。
「いえ……、今日は……」
 デカブツが遠慮するのはいつものことで、いつもならそんなデカブツの遠慮なんか蹴り飛ばして、
強引に部屋へ連れて行く俺だったが、今日の俺はそんな元気すらなかった。
「そっか……。じゃ、また明日な」
 俺はそれだけを言ってロッカールームから出ようとした。
「あの……オレルドさん」
 デカブツが急に呼び止めてきて、俺は足を止めて振り返った。
 呼び止めたはいいが言葉を口に出すのを迷っている、そんな感じでうつむいて視線を泳がせ、デ
カブツはもじもじしていた。不安になった時にランタンを触るのは、無意識の癖なんだろうか。
「なんだよ」
「あ……」
 デカブツが意を決したように顔を上げて俺を見た。だけど俺と目が合うと、途端に迷いに負けた
ように目を逸らした。
「いえ……やっぱりいいです。すみません……」
 ランタンをギュッと握りしめる。
 俺が顔も知らない“准尉”がデカブツの横に立ち、デカブツの肩を抱いているような幻覚がハッ
キリと見えたような気がした。想像上の“准尉”の顔が冷ややかに俺を見下ろし、勝ち誇ったよう
に笑っている。
 “お前がこいつを幸せにするだって? 笑わせんな、お前にそんな力があると思ってんのか? 
俺はこいつのために命を捧げた。こいつは俺のことを忘れられない。今だってほら……こいつは
きっとお前に別れを告げようとしてるぜ”
 俺は突然怖くなって、まるで負け犬のようにデカブツの前から逃げ出した――。

          *

 誰もいない一人の部屋。俺はベッドに寝転がり、明かりもつけないで暗い天井を見上げていた。
 頭に浮かんでくるのはデカブツの顔ばかり。隊長のパワーに押されてあうあう言ってる顔。いつ
も誰かを気遣っている心配そうな顔。何を考えているのか分からない、ぼんやりした顔。
 そして俺を見て笑いかけてくる顔。申し訳なさそうな、どことなく憂いを秘めた笑顔だ。
 あいつは心の底から俺に笑いかけてくれてるんだろうか……。
 モヤモヤして寝返りを打った。横を向くと、いつもそこで眠っているデカブツの不在が、なおさ
ら身に染みてきた。シーツの上に手をやる。デカブツの暖かさは、とうに消え失せていた。
「ランデル……」
 俺の口から自然とあいつの名前が漏れた。
275『オレルド×伍長4-1』05/11:2006/12/01(金) 05:14:50 ID:???
 “オレルドさん”
 優しく寂しげな笑顔で俺に向けられるデカブツの声が耳に甦る。
 “あッ、あ…! オレルドさんッ…あっ、オレルド…さんッ……――”
 顔を真っ赤にして俺にすがりつき、涙を流しながら善がり泣くデカブツの姿。
 腰にゾクリとした疼きが這い回り、息苦しさを覚えた。
 ああ、やっぱり……無理をしてでも連れて来るべきだったと今更ながらに後悔した。もういっと
きだって離れていたくねぇ。離れてると不安になる。離れてると“准尉”があいつを連れてっちま
いそうな気がする。
 俺と離れている間、あいつは何をしてるんだろう。何を考えてるんだろう。また“准尉”のこと
を想って、ランタンを抱きしめて一人で泣いてるんじゃないだろうか。やっぱり“准尉”じゃない
とダメだって考えちまってるんじゃないだろうか。
 もしそうなら……俺、デカブツなしで生きて行けるのか……?
 “今だってほら……こいつはきっとお前に別れを告げようとしてるぜ”
 俺の想像上の“准尉”がデカブツを抱きしめながら、俺に向かって冷たく嗤う。
 薄汚れたテントの中、二人の男が抱き合っている光景がまざまざと浮かんできた。デカブツが善
がり泣きながら“准尉”にすがりつく。自ら腰を振り、脚を絡め、頭を鷲掴みにして“准尉”の唇
を夢中で貪る淫靡な姿で。
 “准尉……ッ、あッあ…いいッ、准尉……准尉……もっと、俺の中に……”
 “ランデル……戦争が終わったら、一緒に暮らそう……。約束だ……”
 “准尉……ずっと、俺と一緒にいて下さい……。俺もう准尉でないと……――”
 “ああ、ずっと一緒だ。ずっとな……俺が死んでも、お前は永遠に俺のものだ”
「――やめろォ!! くそ、やめろやめろ!! しつこいんだよ、てめぇ!!」
 俺は怖くてたまらず、妄想を追い払うように怒鳴り、ガバッと身を起こした。
 自分の妄想に怯えるなんて馬鹿げてる。デカブツには亡霊を追いかけるなと言ったくせに、今は
俺のほうが“准尉”の亡霊に脅かされてるなんて、本当に馬鹿げてやがる。
 こんな状態で長い夜を一人で過ごすなんてごめんだ。
 人のぬくもりが無性に欲しかった。こんな馬鹿げた妄想を忘れさせてくれるぬくもりが。
 デカブツの顔が浮かんだが、その途端、俺はまた怖くなった。今デカブツに会いに行って、ロッ
カールームでの話の続きを聞かされたら? その話が俺にとって一番聞きたくない内容のものだっ
たら?
 いや、俺がただ考え過ぎてるだけかもしれない。絶対そっちのほうだ、多分。デカブツはきっと、
なんでもないことを俺に言いたかっただけかもしれない。決死の覚悟で聞いたら、聞いたあとはあ
まりの下らなさに肩すかしを食らったような気になるぐらいの。
 だけど、そう思い込もうとすればするほど、オフィスで一人、ランタンを抱きしめて泣いていた
デカブツの姿が“お前は全部自分の都合のいいように考えてるだけだ”って諌めてきやがる。
「くそ……」
 いっときでもいい。こんなどうしようもない不安を忘れさせてくれるぬくもりが欲しかった。
「久しぶりに……行くか」
 俺は溜め息を吐くとベッドから降りて、サロンへと向かった。

          *

「オレルド、久しぶりぃ〜!」
「あぁん、いったいどこで何してたのぉ? 待ってたのにぃ」
 サロンへ入るなり、俺のお気に入りのキャシーとマリーが抱きついてきた。
 やっぱ女はいいな。柔らかくて小さくて可愛くてよ。
「いやぁ〜ごめんごめん。最近仕事が忙しくてよぉ、遊ぶ体力も残ってなくてな」
 俺はヘラヘラ笑いながらマリーとキャシーを抱き寄せた。
 すると、二人は顔を見合わせてクスリと笑い、肩をすくめた。マリーが意地悪く目を細めて、俺
の胸を指先でつついて来る。
「あぁら? 真面目にお仕事してたのね。私たちてっきり、あなたが趣向変えしたのかと」
 今度はキャシーがクスクス笑いながら、俺の腰を抱き寄せた。
「こんな所に来ていいのぉ? 彼氏が怒らないかしら? 確か……伍長さんだっけ?」
「お……おいおい、勘弁してくれよ」
276『オレルド×伍長4-1』06/11:2006/12/01(金) 05:16:14 ID:???
 俺は引き攣る笑顔で応えた。マリーとキャシーが顔を見合わせてキャッキャと笑う。
 こんな所まで情報が回ってんのかよ……。
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。俺はホモじゃねぇの。女の子のほうが大好きなの〜!」
 うん、それは紛れもない事実だ。デカブツと寝るようになってからも、デカブツ以外の男になん
ざ興味はねぇし、女のほうが好きだってのは相変わらずだ。
 だからこそ、タチが悪いんだよな。あいつでなきゃダメだってのがよ……。
「ねえ、オレルド。伍長さんとの話、聞かせてくれない?」
「私も聞きたい。あなたが特定の人を作るなんて、すっごく興味あるもの」
 マリーとキャシーが目を輝かせながら俺に詰め寄ってきた。好奇心丸出しの顔だったが、不思議
と嫌な気はしねぇ。なんだろう、軍の奴らが影でコソコソ言ってるのとは違って、こいつらの場合
は竹を割ったようにあけすけな純粋さってのがあるからかな。男同士でそうなることを神への冒涜
とか汚いこととか変態とか、そんな風には思ってない。やってる仕事は世間から白い目で見られる
ようなことだが、それでも心は純粋なままのこいつらが、俺は大好きなんだ。
 俺は笑いながら二人の鼻先をつまんで、言った。
「おらおら、スケベな顔してんじゃねぇ」
「きゃっ」
「いやーん」
 それから俺はまた二人を抱き寄せる。
「今日はお前らと過ごすために来たんだ。酒飲んでカードでもやって楽しもうぜ」
 こうして、俺はデカブツのことをあえて思い出さないようにして、サロンの女と酒を飲み、客た
ちとポーカーをして一夜を過ごした。享楽的な時間はあっと言う間に過ぎて、町が朝もやにけぶり
出した頃、俺はサロンを後にした。
 そして俺は、通りかかった橋の上で、彼女――ハンナ――を見つけた。
 フードのついた黒いマントを頭からすっぽりと被っていた彼女の寂しげな横顔を見た時、その姿
が一瞬デカブツと重なった。
 ランタンを胸に抱き、もうこの世にはいない男のことを想って泣くデカブツの姿と――。

          *

 その日の三課の任務は、市民への物資配給任務だった。こう書くと聞こえはいいが、なんのこと
はねぇ、ただの毛布の配給だ。
 一晩中遊びまくった身には、ちぃと重過ぎる労働ではあったが、オフィスで書類整理よか遥かに
気持ち的には楽だった。
 デカブツの顔を見ると、どうしても腰のランタンに目が行っちまう。そうすると、俺はまた馬鹿
げた妄想に圧し潰されそうになる。だから俺は、あえてデカブツと離れて仕事をした。勝手に『女
性専用コーナー』を設けて、自分なりに楽しんで気を紛らわせながら真面目に仕事したぜ。
 途中でマーチスに見つかっちまったが、別にいいだろ。女だけだろうが、これも立派な配給任務
だしな。サボってるわけじゃねぇ。
 女ばかりが並んだ列の中、俺は朝方見かけた黒いフードの女を見てギクッとした。だが、顔を見
たら別人だった。なんだか妙にガッカリするやら、ホッとするやら……。
 その時、俺の視界の端にデカブツの姿が映った。隊長と一緒に毛布を配っていたはずのデカブツ
が、なぜか数人の男たちとどこかへ向かっている。
「おい、マーチス。ありゃなんだ?」
「え?」
 マーチスは俺が見る方向を見て、「ああ」と言ってまた俺に目を戻す。
「配給品に欠陥があったって言って来てたんだ。別の毛布と取り替えてくれって。伍長がそれを運
んであげてるんだよ」
 確かに男たちは手ぶらで、毛布はデカブツが抱えている。しかし毛布に欠陥って、なんだよ
そりゃ。少しぐらい破れてたり汚れてたりしても、毛布は毛布だろうが。
 男たちはデカブツを取り囲むようにして歩いている。そしてどんどん人気のない場所へ向かって
行っている。
 俺の脳裏に、キャシーとマリーの顔が浮かんだ。俺たちの関係を知っていた二人。きっと軍の奴
らが話したことが噂になって伝わったんだろうが、あいつらが知ってるってことは他に誰かが知っ
てても不思議な話じゃねぇ。噂には尾ひれがつくのがつきもんだ。……嫌な予感がする。
277『オレルド×伍長4-1』07/11:2006/12/01(金) 05:17:11 ID:???
「マーチス、すまん、ちょっとここ頼む」
「えっ? どこ行くの、オレルド!」
「便所だよ、便所!」
「ちょっとオレルド! またサボる気じゃないだろうね! 隊長から殺されるよ!?」
 必死の形相で引き止めようとするマーチスの声を無視し、俺は慌ててデカブツの後を追った。
 だが、人混みを掻き分けて進んで行っているうちに、俺はデカブツの姿を見失っていた。大通り
を外れれば、そこには無数の路地が存在して、ちょっとした迷路になっている。
「くそ、どこだ、どこに……?」
 その時だった、遠くからデカブツの声が聴こえてきた気がしたのは。俺はその声を頼りに、狭い
路地から路地を駆け回った。そうしてたどり着いた路地のさらに奥で繰り広げられていた光景を見
て、俺は自分の予感が的中したことを実感した。
「……めて……、やめて下さい!」
「うるせぇ、暴れるんじゃねぇ! おい、しっかり押さえとけよ!」
「こいつの仲間が来ると面倒だ! 早く犯っちまえ!」
 そこには、五人の男たちに襲われているデカブツがいた。男たちは四人でそれぞれ、うつぶせた
デカブツの手足を押さえつけ、残った一人がデカブツの服を脱がしにかかっている。
「嫌だっ…! お願いですから、やめて下さい!! 放して下さい……ッ!」
 デカブツが泣きながら懇願しても、男たちは耳を貸さなかった。
「うるせぇ、黙れよ! 仕事もねぇ金もねぇとあっちゃぁ女も抱けねぇんだ。なあ軍人さんよ、こ
れも立派な復興任務だぜ。あんたら三課は市民のための復興部隊だろ? 尻を貸すのぐらいなんて
ことねぇだろうが、あぁ?」
「お前、男が好きなんだろ? そのでっかいケツにチンポ突っ込まれんのが好きなんだろうが」
「ち……違います……! そんなことありません、違います…!!」
「軍人には変態が多いって言うが、本当だなぁ」
「今からお前が大好きなチンポ突っ込んでやるからよ。ありがたく思って素直に腰振れよ」
「何モタモタやってんだ! 下だけ脱がせて早く突っ込んじまえよ!」
「いッ……嫌だ!! やめて下さい! お願い……やめて……!!」
 あまりにも自分勝手な悪意に満ちた光景に、俺は動くのも忘れて立ち尽くしちまった。
 だがズボンを引きずり下ろされたデカブツが放った絶望的な悲鳴に、俺は我に返った。
「何やってやがんだ、てめぇら!!」
 俺が怒鳴ると、男たちはハッとして振り返った。
「やべぇ……!」
「に、逃げろ!」
 下ろしかけたズボンを慌てて引き上げ、男たちは蜘蛛の子を散らすように、少し奥にあった横道
から逃げてった。それでもちゃっかり毛布を持ってっちまった逞しさと図太さには呆れちまう。
「大丈夫か、おい、デカブツ!」
 俺はデカブツに駆け寄った。デカブツは壁に背中をぴったりくっつけて、自分で自分の腕を抱え
込んでガタガタ震えていた。
 肩に触れると、デカブツがビクンと体を揺らし、俺の手を振り払った。四つん這いで這いながら
必死で逃げようとする。
「デカブツ、俺だ! 俺だよ!」
「嫌……ッ! 嫌だぁ! 放して……放して下さい……! 嫌だぁぁぁッ!!」
 這いずって逃げようとするデカブツの上に、俺はのしかかった。デカブツを渾身の力で押さえ込
む。デカブツが顔面蒼白の顔を恐怖に引き攣らせ、涙を零しながら悲鳴を上げてもがいた。
「嫌だ! 触るな……! 嫌だぁッ!」
「落ち着けデカブツ! 俺だ! オレルドだ! オレルドだよ!!」
 耳元で怒鳴った時、デカブツがビクンと体を揺らして、動きを止めた。震えながら肩越しを振り
返ったデカブツの目が、俺の目と合った。
「……准尉」
 俺は上から降り、デカブツの体を起こして、壁にもたれさせた。
「もう大丈夫……大丈夫だ。あいつらはいなくなった。大丈夫だ」
「准尉……っ、准…尉……、准尉……うっ…うっ……」
 デカブツは震えながら涙を零してむせび泣いた。“准尉”と呼び続けながら……。
 俺はたまらず、デカブツを抱き寄せた。
278『オレルド×伍長4-1』08/11:2006/12/01(金) 05:18:56 ID:???
 だが、俺の腕に抱かれた時、デカブツが体を強張らせた。俺の胸を強く押して、体を引き離した。
「す……みません……、俺もう……大丈夫ですから……、もう、戻って下さい……」
「デカブツ……」
 俺の胸に置かれた手、真っすぐに伸ばされた腕が、拒絶を表しているように思えた。またデカブ
ツのランタンが目に入った。
 デカブツを抱きしめたかった。デカブツを捕えて放さない夜な夜な襲って来る悪夢からも、部隊
の慰み者になっていた過去からも、そして亡霊からも奪い去るように、きつく抱きしめたかった。
 だけど、デカブツに伸ばしかけた腕は途中で止まった。デカブツに触れることも出来ずに、腕は
力を失って体の横にダランと垂れた。
「一人で……大丈夫か?」
 俺が訊くと、デカブツはうつむいたまま、小さくうなずいた。
「はい……、すぐに戻ります……すみません」
「分かった……。隊長には黙っててやるから、安心しとけ」
「はい……ありがとう、ございます……。もう、行って下さい……」
 デカブツの傍から離れたくない。
 なのに今は、デカブツの傍にいることがつらかった。
 どう頑張っても、どうあがいても、デカブツの心から“准尉”を追い出すことが出来そうにない。
 忌々しいランタンなら叩き壊せる。けれどデカブツの心までは、どうしようもねぇ。
 いつまでもいつまでも死んだ男のことを忘れ切れないデカブツに腹が立つ。とっくに死んじまっ
た奴を想い続けて、何の得があるってんだ。
 普段なら、こいつは確かに俺を見ている。気弱そうな笑みを向けて来る。
 だけど一番の本音が出る時、こいつは未だに“准尉”しか見ていない。
 もう、俺には分からねぇ。これ以上、どうすればいいんだ。
 最初から不利だったんだ。こいつと“准尉”は戦場で出会い、明日死ぬかもしれない死と隣り合
わせの凄絶な空間で愛し合った。上官と部下として、そして人間として強い気持ちと絆で結ばれち
まった。しかも“准尉”は、とっくに死んじまってる。想い出は美化されやすい。
 ――死人にゃ勝てねぇよ……。

          *

 その日の夜、俺はまたサロンへと出掛けた。デカブツのことを忘れるように女たちとハメを外し
て騒ぎまくった。
 そこで俺はまた、彼女に出会った。俺が買ってきたソーセージに群がる女たちの輪にも近寄るこ
となく、俺が勧めても見向きもせず、暗い顔で仕事を終わらせ帰って行った。
 このサロンで働いてたのか……?
「あんなコ、いたっけ……」
「ハンナのことかい。前から居るけど?」
 俺が訊くと、ママが呆れ顔で応えた。
 前からこのサロンにはよく来ていたが、今の今まで彼女の存在に俺は気づきもしなかった。それ
がなぜ今頃になって、妙に気にかかるようになっちまったのか……。
 橋の上に立つ彼女の横顔が、俺は忘れられなかった。

          *

 翌日の三課の仕事は、書類整理だった。デカブツとはあれからあまり話してない。
 デカブツも話しかけて来ようとはしない。他の奴の意識が自分に向いている時こそ普段通りの笑
顔で対応していたが、昨日のレイプ未遂事件で昔のことを思い出しちまったのか、誰も見ていない
と思って気を抜いている時は、暗く重い顔をしていた。ランタンに触れる頻度が多くなっているよ
うに、俺には見えた。
「――ルド、オレルド!」
「はっ、ハイッ!?」
 突如、頭上で響いた隊長の声にハッとする。
 隊長は腰に手をあてて仁王立ちになり、眉間にシワを寄せた厳しい顔で俺を見下ろしていた。
「さっきから呼んでいるのに、何をボケッとしているのだ! 私の話を聞いていたか?」
279『オレルド×伍長4-1』09/11:2006/12/01(金) 05:20:29 ID:???
「は……あの……」
 無意識にデカブツのほうに目が行った。デカブツも物思いに耽っているのか、背後の席で隊長に
怒鳴られている俺に気づいてもいない様子で振り向きもせず、黙ってうつむいている。
「すいません……聞いてませんでした」
「まったくお前と言う奴は! 私と大尉はこれから会議に出席せねばならん。だから残ったお前た
ちで、これをしっかり整理して欲しい、そう言ったのだ」
「これ……?」
 隊長が手を乗せている箱を見る俺。一抱えほどの箱が机の上に、いつの間にか乗せられていた。
「なんすか、これ」
「最前線で戦っていた兵士たちの名簿と、戦死者記録だ」
「名簿?」
「戦乱のゴタゴタで今まで紛失していたのだが、最近になってようやく見つかったらしい。だが戦
死者記録のほうが曖昧なままでな。要するに誰が死んで誰が生きているのか分からない状態なのだ。
名簿のほうには兵士たちの出身地の情報も載っているが、記録のほうには部隊名と名前だけしか
載っていない。ゆえに、戦死者記録とこの名簿を照らし合わせ明確にし、遺族に連絡をしろとそう
いうことだ」
 またそんな仕事かよ。本当に三課ってのは、ていのいい便利屋程度にしか思われてねぇんだな。
 見れば他の連中の机の上にも、同じような箱が乗せられていた。
 今日は一日デスクワークか。俺が一番嫌いな仕事だぜ。
 『サボるんじゃないぞ!』と俺に釘を刺しまくり、隊長はボスと一緒に会議へ出席しに、オフィ
スを出て行った。
「あーあ、なにこれ、ひどいな。杜撰にも程があるよ」
 俺の後ろの席でマーチスがぼやいた。
「本当ですね。遺族の人たち今でも待ってるんじゃないかなぁ……」
 俺の前でチビッコがつらそうに顔を伏せて、自分の前にある記録と名簿を見つめた。
 確かにな……。戦後から三年、戦死通知が来ないままの遺族は、もしかしたら自分の家族がどこ
かで生きてるんじゃないかと、そんな期待を糧に日々を暮らしているやつだっているだろう。
 三年も経った今更『あなたの家族は死んでました』なんて、紙切れ一枚で過酷な現実を伝えるた
めの片棒を担ぐなんて汚れ仕事をさせやがって……。
「やってらんねぇぜ〜」
 俺が頭の後ろで手を組んで、背もたれに体を預けた時、デカブツがぽつりと言った。
「でも……死んだと言う記録があるということは、生きていた記録でも、あるんです。俺たちがこ
のことを知らせることによって……救われる人だって、きっと居ると思います」
 マーチスがデカブツを見て、ハッとした顔で俺を見やった。
 そうか、デカブツが所属していたのは“帝都の暗部”であった特殊部隊。所属していた隊員たち
は戦死者記録どころか、出兵した記録にすら名前が残されてるかどうかあやしい。戦死したという
記録が残されていれば戦没者墓地にだって名前が残される。こいつは生きてましたって証も残され
るが……。
「あなたの家族は死んでますよ〜って伝えることが、ですか?」
 チビッコが怪訝そうに訊いた。
 デカブツがゆっくりとうなずいた。
「はい……。家族が亡くなったという事実は悲しいです。けれど、これでもう、待たなくていいん
だって、ホッとする人もいると思います。事実を認められれば、遺族の人たちもやっと前に進むこ
とができると……俺は思います」
 チビッコが『ほえ〜』と気の抜けた声を出し、目を輝かせた。
「そうですね、これも立派な戦災復興ですね! よぅし、頑張るぞ!」
 確かにデカブツの言うことは一理ある。
 けど、お前はどうなんだ? お前は愛する者の骸をその腕に抱いたはずだ。冷たくなった死体を、
体半分吹き飛ばされた、もの言わぬ“准尉”の姿を目の当たりにしても、お前は全然前へ進めてな
いんじゃないのか……?
 だからこそ、なんだろうか。目の当たりにした現実があまりにも衝撃的で、深く心の奥底にまで
焼きついちまって忘れられないんだろうか。
 紙切れ一枚で通達されたほうが、ただの情報としてすんなり受け入れられるんだろうか。
280『オレルド×伍長4-1』10/11:2006/12/01(金) 05:21:46 ID:???
 あまり気の進まない仕事ではあったが、任務は任務だ。家族が死んだと認められれば、軍のほう
からも弔慰金が支払われる。雀の涙ほどの金だろうが、それで助かる遺族だっているはずだ。
 そんなわけで俺たちは無駄話をして気を紛らわせつつ、部隊名と名前と命日だけが書かれたお粗
末な記録を、ファイルにされた名簿にひとつひとつ照らし合わせて行った。一致すれば赤で線を引
く。嫌な作業な上に、退屈極まりない作業だ。
 昨夜また朝方まで遊んでいて睡眠不足な俺には、けっこう堪える。
 その時だった、俺の眠気を一発で吹き飛ばすような物音が背後でしたのは。
 椅子が倒れるガターンという騒音に、俺はもちろん、作業に集中していたマーチスもチビッコも
飛び上がるほどに驚いた。
 見れば、デカブツが立ち上がっていた。机の上に手をつき、ガタガタ震えている。
「ど、どうしたの、伍……――」
 デカブツを気遣ったマーチスが顔を強張らせた。俺の座っている席からは、デカブツの後ろ姿し
か見えない。マーチスが動揺を隠せない面持ちで俺を見やった。
 俺は立ち上がり、デカブツへ歩み寄った。
 マーチスが驚いたのも無理はねぇ。デカブツはここがオフィスであることも忘れているのか、右
手で口を押さえ、ボロボロと泣いていた……。
「おい、どうし……」
 俺が声をかけた瞬間、デカブツはハッと我に返った。直後、開いたままになっていた名簿に記録
用紙を挟み、慌ててファイルを閉じた。
「いっ、いえ……な、何でもありません……」
「なんでもねぇことないだろ……」
「す……すみません、俺……ちょっと……、すみません……!」
 涙に震える声でデカブツはそう言うと、逃げるようにオフィスを飛び出して行った。
 チビッコとマーチスが呆気に取られたように、今デカブツが出て行ったばかりのドアを、ぽかん
と口を開けて見ていた。
「な、何があったんですか? 伍長さん、どうしたんですか? 泣いてましたよぅ!?」
 チビッコがオロオロし出した。マーチスも動揺を隠せず、首を傾げるばかりだ。
 いったい何が……だって? 俺が訊きたいぐらいだぜ。
 俺はデカブツの机の上にあった名簿を手に取った。パラパラとめくっていくと、記録用紙が挟
まったページに行き着いた。記録用紙のほうにはチェック済みの名前に赤ペンで線が引いてあった。
延々と連ねられた戦死者の名前の中、おそらくデカブツがそこまでチェックしたんだろう最後の人
物の名前に、俺は異変を感じた。
 用紙には、部隊名、没日、名前、それから階級が簡素に記されているだけだった。チェック済み
の線が引かれた名前が並ぶ中、たった一人、部隊名の最初の部分にまでしか線が引かれていない奴
を見つけた。
 部隊名は特におかしなところはない、名前だってどこにでもあるようなものだった。
 だが、俺はこいつが死んだ日付に嫌な予感を覚えた。それはデカブツが“准尉”の夢を見て泣い
ていた、あの日だった。記録と名簿を照らし合わせ、俺は確信した。
 名簿のほうには、その男の出身地や、誕生日、どこから出兵したのかまで詳細に記されている。
しかも、その男の階級は――“准尉”だった。
 そうか、こいつか……。
 部隊名が“901ATT”じゃなかったのは、おそらく隠されているんだろう。不可視ではなく、暗
部ではないちゃんと存在したことになっている部隊に所属していたことにされているんだ。
「くそ……――」
 俺は歯を食いしばって、用紙を握り潰した。
 今になって……いや、未だにあんたはデカブツを放してくれないのか? 三年経った今でも亡霊
みたいにつきまといやがって、いい加減にしろよ……!

 その日、デカブツは早退した。
 会議から戻って来た隊長とボスが、デカブツのあまりの顔色の悪さを心配して早く帰らせたんだ。
 俺はその日も、デカブツを家に呼ばなかった。あいつが橋の下で暮らしていることは知っている
が、見舞いに行くこともしなかった。
 今の俺じゃ、デカブツを救うことなんか到底無理だと思ったからだ。行ったとしても、拒絶され
そうで恐ろしかった――。
281『オレルド×伍長4-1』11/11:2006/12/01(金) 05:22:52 ID:???
 そして俺はまた、逃げるように、その日もサロンへと向かった。だがその日は俺のお気に入りの
キャシーとマリーは休みだった。
 ママに憎まれ口を叩きながら、フロアへ目を向けた時、彼女――ハンナ――を見つけた。
 スケベそうな顔の、いけ好かないキザな中年オヤジに肩を抱かれ、ハンナは暗い顔をしていた。
「ハンナがどうかしたかい」
 ママが酒をグラスに注ぎながら、俺に訊いてきた。
「あ、いや、本当に居るんだなと思ってな」
 そうだ、彼女の存在なんか今の今まで気にならなかったどころか、気づきもしなかったのに、な
んで今頃になって、これほどまでに彼女が気になるんだろう。
 なんだか放っとけない感じなんだよな……。
 キザな中年オヤジに時おり見せる笑顔も、心の底から笑っていないように見えた。
 そのことを言うと、ママはハンナの身の上を俺に話して聞かせてくれた。
 両親が死んでからここのオーナーに拾われて、十七の頃から働いているんだと。
 そして四年前の戦争へ行って帰って来ない男のことを、未だに待っているんだと――。
 ――だからか……。
 ハンナの暗い顔は、デカブツの隠し切れない心の悲しみを見せる時のそれとよく似ているんだ。
 だから、彼女のことがこんなにも気にかかるんだと、俺は気づいた――。

【つづく】


――――――――――――――――――――――――――――――――

続きは書け次第、投下します。
でもこんなにフォモばっかりで、いいのかなぁ…。
興味ない人、ノーマルがいい人、他のカプ読みたい人、マジスマヌ…
リクいただけたら他のカプにも挑戦してみますよ?
私のこのダラ長い駄文でよかったら…ですが。
ただしフォモしか書けません(ダメじゃん
>>256
噴いたwww
ありがとうw
そうか、そのキスマークをつけたのは伍長だったのかw
>>260
か、可愛い!4がいいな〜。
白クマーが伍長にしか見えなくなった!しかもひたすら尽くすタイプw
ツンデレっぽいオレルド犬もあなどりがたしw
>>265
絵職人キターーーー(*´д`*)モエス!!
激しくGJ!!
深くくわえ過ぎちゃって涙目になったり、
飲み損ねてむせちゃってゲホゴホ言ったり、
そんなドジっ子伍長が大好きです。
282名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 05:59:26 ID:???
何度目か既にわかりませんが力の限りGJ!
続きも楽しみにしてます。全裸で。
283名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 06:19:48 ID:???
激しくGJ!
いつもありがとうございます!

遅刻しそうなのに読みふけってしまった…
284名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 06:31:02 ID:???
待ってました乙です!9話とのシンクロ率がまたスゴス!!!!
マリーとキャシーがかわいくてなごみました。
続きが激しく気になりますー。全力でお待ちしてます!

しかし寝ようと思ってPC消して布団に入ったのに
眠れなくてもう一度起動させて投下に立ち会った自分にワロスw
285名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 07:23:11 ID:???
        _ -‐ニ二 ‐-、 _
      //二 _  `n- _ヽ
     /./´_ =、 ` / .| __ ヾr-、
    / / / r::::c` ノ ノ _ ヽ ';', ヽ
   _ i:/   弋_ソ    r::::cヽ 'i.}  i 勇気あるファッキン男体の人二等兵
  / rY  ヽヽ    ・  弋_ソノ /i    いい出来なのは感心だ 気に入った
  {  i    / ̄ - 、    ´/./     三課に来て伍長をファックしていいぞ
   ゝ、_i    i     i ` ` ./く
 /  .人   ',    ./   / ソノ
く__/  \  ` ー ´   /_/
      /  ヽ      イ ̄ヽ
286名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 12:04:29 ID:???
>>281
いつもGJです!男体の人さんのSSはキャラの心理や
周辺の状況がしっかりと書かれていて読み応えありますね〜。
後編も楽しみにしてます!
287名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 03:57:10 ID:???
超GJ!!
これは意表を突かれた
9話と物語が絶妙に絡み合っていて凄い
二人の仲を応援する捨禁が可愛いw
続きを楽しみに待ってます!


>>283>>284
念レス成功
朝の続きを思い出し、夜中に読みに来たわけですw
288名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 06:29:44 ID:???
オレルドのチンコが


























































折れるど
289名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 11:14:28 ID:???
>288
おまいの気持ちはわからなくもない
290名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 11:23:43 ID:???
>>288
誰にでも言ってみたい言葉というものがある。
お前はそれだったというだけのことだ。
291名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 12:03:46 ID:J2VwH2ms
あー伍長かわいいよ伍長
292名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 13:46:23 ID:???
乱出・オーランド
293イカの人:2006/12/02(土) 21:15:58 ID:???
お久しぶりです!
せっかくコテハンもらっておいて1つしか投下してないという事に気づき
これからSS投下したいと思います。
そしてエロが少な目orz

ネタが被らないように[マーチス×伍長]でいきたいと思いますサー
性格崩壊は多めに見てください・゚・(ノ∀`)・゚・

+++++++++++++++++++++
こんばんわランデルオーランドです。
今日も仕事が終わり橋の下に帰ってきました。
最近ようやく三課の仕事にも慣れてきたところです。
夜も遅くなり猫に餌をあげ終え寝ようと思っていたら、遠くから声が聞こえてきました
「伍長ーごーちょう〜どこにいるんだーい?」
なんかだ間延びした声で俺を呼んでいる。
口調は違うけどこの声ってまさか…
俺は慌てて階段を上って道路に出た。
するとそこにはおぼつかない足取りで歩いている見慣れた人物が
「准尉…どうしたんですかこんなところで」
「あ、おーい伍長」

俺に向かってヒラヒラと手を振ってきたのは他でもない俺の上司マーチス准尉だった。
しかしいつものようなキッチリとした感じではなく顔は赤く目がトロンとしている。

「いやぁさっきまでオレルドと飲んでいたんだけどね今日はもう遅いからデカブツのとこ
泊まれっていうもんだから来ちゃった〜」
へらへらと笑いながら俺に体をすり寄せてくる。
プンと酒のにおいがした。
これは…どうやら准尉に准尉を押しつけられてしまったみたいですね。
とりあえずそのままにしておくわけにもいかないので橋の下に連れていくことに
「わかりました准尉…俺の後ついてきてください」
「え?ついてきてだなんて伍長に襲われちゃうよ〜」
アハハと笑いながら背中をバンバン叩いてくる。
…准尉って酒癖悪かったんだなぁ…
いつも見ている上司の性格と百八十度ちがう姿を見ているとなぜだか申し訳ない気持ちになってしまう
オレルド准尉ひどすぎます…
もう書類整理手伝ってあげませんからね…
そう心に誓う伍長であったり。

さて、大声を出したり座り込んだりする准尉をやっとのこと橋の下まで持ってきた俺は
次にどうすればいいか悩んでしまいました。
このままにしておくわけにもいかないしなぁ…
とか考えていると准尉がいつの間にか猫が集まっている場所に移動していました。
「わ〜猫が沢山いる〜これ伍長が飼ってるの〜?」
「ええまぁ…餌やってるだけなんですが」
「うんうん食材を確保しているのはいいことだよね」
あ、ヤバい
食べるところ想像して涙でできぢゃっだ
「そんなんじゃありません!」
つい大声を出してしまう。
「あはは冗談冗談!可愛いね〜伍長は」
本当にタチ悪いかも…誰か助けてください…!
294名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 21:16:31 ID:???
考えた結果これ以上いてもらうと准尉のためにもならないだろうし何より俺が辛いので帰ってもらうことに
「准尉家どこですか?俺送りますよ」
「ん〜僕の家〜?んーとね…ちょっと耳かして〜」
チョイチョイと手を動かして近寄るように俺に言う。
なんだろうそんなに秘密にすることなのかな?
俺は不思議に思いながら耳を准尉に近づける
あれ、フフとか聞こえてくるんだけど
「えーとね………あむっ」
その瞬間体がゾクゾクッと震える。
最初何をされたかわからなかったがすぐに自分のされたことを理解した。

噛んだ!この人耳たぶ噛んだよ!
俺は一気に飛び退き耳を押さえた。
「ななななにするんですか准尉ぃ!」
「あはは!本当に面白いや〜!
全く悪びれた様子も無く准尉は俺を見て笑っている。 
「今日は伍長の家に泊まるってオレルドと約束しちゃったもんだから家には帰りませ〜ん」

………よし明日オレルド准尉にドア・ノッカー突きつけよう。

それにしても准尉がこんなに酒癖が悪かったなんて…
帰る気ないみたいだし泊まるんだったらこれ以上起きていても、ろくなことないだろうな…
そう考えた俺はさっさと寝ることにしました。
准尉には丁度寝袋があるのでそれを使ってもらうことに
「准尉もう遅いから寝ましょう。これ使ってください」
「お!さすが伍長!準備いいね〜」
何かと訪問者が多いもので…
「それじゃあ、おやすみなさい准尉」
俺はそそくさと毛布にくるまった
ちょっと態度冷たかったかもしれないけど大丈夫だよな
俺は近寄ってくる猫と共に深い眠りに入る…


はずなんだけどなぁ…


「…何しているんですか准尉」
「いやまだ眠くなくてさ〜!あはははは!」
なぜだか准尉が俺の上に乗っかって馬乗り状態で座っている。

「明日も三課の仕事ありますし寝たほうがいいですよ…」
「大丈夫!大丈夫!どうせお気楽部隊だもの!仕事もてけとーでいいのさ〜」
「…軍も人も生まれ方は選べない…大事なのはどう生きるかって言ってくれたのは准尉
 じゃないですか…!」
酔っ払ってるのはわかっているのに会話が成立しないのもわかっているのに
ついムキになって言ってしまう。
この言葉が三課で初めて教えてもらったことだから
准尉が初めて教えてくれたことだから
295名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 21:18:28 ID:???
「あれ〜?そうだっけ〜?思い出せないな〜あはは!」
「あの…俺もう寝たいのですが…」
俺は早く会話を終わらせようと終了を切り出した。
感情的になったせいか少し目が潤んでいる。

「あ、うんごめんごめん!あはは…は…」
急に笑い調子だった顔に変化が生じた
目はすわっているままなのだがぼーっとした顔でじっとこっちを見ている。
今までのテンションとの不気味な程の落差に俺はどうしたらいいかわからなくなってしまった。
「あの…准尉…?」
「…可愛いな〜」
頭の上にハテナマークが浮かぶ
可愛い?猫のこと?なんで今?
准尉の謎の発言に混乱していると准尉はそのまま顔を近づけて

―倒れ込むように俺に口づけをした。

突然のことにわけもわからず固まっているとそのまま舌が入ってくる。
とっさの判断で舌を押し戻そうとしたが結果的には相手が舌をからませやすくだけにすぎなかった。
「んー!んんー!」
俺は必死に抵抗をしようとしたが混乱してしまい相手を引き離すという方法を思いつかなかった。


普段から色事とは縁遠い俺はこんなことへの耐性がない。
ディープキスなんて初めてかもしれない。
酒の香りがより濃く感じられる。
やばい頭がぼーっとしてきた…
その内に丹念に俺の口内を舐めまわした准尉は一旦顔を離した。
そこで俺はようやく自分が息を止めていたことに気づいた。
「ぷはぁっ!いきなりなにするんですか准尉!」
「うむ、粗野にして美味である!」
言っている意味はわからないがまだ酔っ払っているのは確かなようだ。
俺は今のうちに准尉をどかそうと肩に手をかける。しかし
「うひゃあ!」
准尉は出した俺の指を口に含んで舐めはじめた。

まるでおしゃぶりのようにしゃぶる様はいつもの准尉との差からか官能的に見えてしまう。
俺はとっさに手を引いたが准尉はそのまま顔を接近させ首の辺りを舐めていく。
「ひゃ…!准尉くすぐったいです」
感触は気持ち悪いが舌の独特の感触にどこか感じてしまう。
頑張って首を振って逃げようとするが無駄な抵抗だった。
それを見た准尉は更に大胆な行動に出てくる。
「じゅ、准尉何を…」
准尉が俺の服をまくっていく。
結果として俺は上半身を准尉に見せる形となってしまう。
すすすっと滑るように肌をなぞっていく
俺はそのくすぐったさに耐えることしかできない。
抜け出すチャンスはここしかないのに、耐える方を選んでしまう。
遠慮なのかそれとも…

「伍長の体ごつごつしてるね…でも」
視線が一点で止まる。
「ここだけ柔らかい」
そう言って准尉は俺の乳首を口に含む。
「!!」
突然の出来事に声を出すのも忘れてしまう。
その間にも准尉は片方の乳首だけを弄ぶ。
俺はだんだん呼吸が荒くなっていく
296名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 21:19:28 ID:???
「准尉ぃ…ふぁ…」
「伍長もう辛いんじゃない?」
そう言って准尉がパンパンになったモノをズボン越しに触ってくる。
突然の強烈な刺激に腰が跳ねる。
我慢汁が溢れるのを感じる。
ぐりぐりと撫で回される快感に俺は抵抗する気力を無くしつつあった。

「准尉…そこはダメです…やめてください…」
「今止めたら辛いのは伍長でしょ?」
とても意地悪そうな笑顔。違うこんなの准尉じゃない。
「大丈夫伍長は何もしなくていいんだよ」
そう言って准尉はズボンを剥ぎ取ろうとする。
俺は抵抗しようとしたが力が入らない。
その間に准尉は手早にズボンを脱がし俺の愚息が解放された。
脱がした時の反動でベニスが跳ね我慢汁を辺りに飛ばしてしまう。
外気に触れた感覚で今更ながら羞恥心がこみ上げてくる。
「み、見ないでください!」
俺は手で隠そうとしたが大きくなったソレを隠すには大分足りなかった。
「伍長の大きいね〜予想以上だよ」
何故だか嬉しそうに准尉は言う。
一方俺は赤面した顔を見られまいと横を向いていた。
「准尉…俺恥ずかしいです」
「恥ずかしくなんかないよこんな立派なモノなんだから」
そういうと准尉は俺のを口に含んで亀頭を舌で舐め始めた。
「ふぅ…ん!」
声が出てしまう。我慢汁がとめどなく溢れて口の中を満たしそうとする。
そんなのお構いなしと言わんばかりに准尉は動きを激しくしてゆく。
「あっ…!んん!じ、准尉ぃ!」
「らーにごひょう?」
ジュプジュプと音をたてながら口をスライドさせていく。

どうしてこんなに上手なんだろう…
薄れゆく理性の中少しでも気を紛らわせようと他の事を考える。

…なんて器用なことができるわけがなく
頭の中では准尉が他の男の下の世話をする場面を思い浮かべてしまっていた。
あらぬ妄想で射精感が一気に強まってしまい限界が来たのを感じる。

俺はあわてて准尉を引き剥がそうとする。
「准尉…口離してください…!」
「ごひょういきほうなの?」

トロンとした目で俺を見る。その表情はどこか嬉しそうだ。
だがそんな観察をしている場合じゃない
早くしないと准尉の口に…!
必死にどかそうとするが全く離れてくれない。
そうこうしている内に我慢の限界が来てしまった。
「んぐ…伍長…出して…」
「あっ…!准尉…いやだぁ…!離して…んぁ!ああっ…うっ…!!」

精液を尿道を通っていくのを感じる。
刺激が強かったらしく勢いが衰えないまま十回近く脈動し精を吐き続ける。
その間准尉はずっと口を離さないまま精液を喉を鳴らして飲み込んでいく。
しばらくすると放出が終わったらしく准尉は口を離して袖で拭いていた。
俺は脱力感からズボンを上げるとそのまま大の字になって動かなかった。
297名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 21:20:33 ID:???
だが准尉は乗っかったまま俺を見ている。
まさかまだ満足していないとか言う気なんじゃ…
それはマズイと思った俺はどくように言おうとした時相手から口を開いてきた。
「伍長さぁ…」
不意打ちのセリフに半ば警戒しながら返事をする。
「…なんでしょうか准尉」
「定期的に性処理をお勧めするよ」
「へ?」
いつもの雰囲気に戻ったかと思ったら俺へのアドバイス・・・しかも生理の
そして俺が言葉を返そうとした時准尉がそのまま倒れてきた。
俺は慌てて支えたが動かそうにも動かせる状態ではないためメガネだけはずしてそのまま
俺の上で寝かせることにした。

「はぁ…」
どうしてこんなことになったんだろうな…
俺の頭には一人の金髪でニヤニヤと笑っている上司が思い浮かんだ。
少尉に密告してもいいかもしれない。
半分本気で考えてみる。

大分自分も落ち着いてくると上にのっかている存在を意識し始めてしまう。
准尉の体温が感じられる。
なんでだろう心臓の鼓動が早くなってしまう。
今起きたことが強烈すぎて頭の中で何度も繰り返さてしまう。。
このままだとせっかく落ち着いてきたのにまた自身が大きくなりかねないので
深呼吸を数回繰り返し眠ることにした。
すると意外にも煩悩は俺から遠ざかりそのまま深い眠りに落ちていった。
298名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 21:21:47 ID:???
朝になる。
俺が目を開けると寝ぼけなまこの准尉と目が合う。
どうやら同時に起きたようだ。
准尉は五秒ほど停止した後さっと飛び退いた。
「ごごご伍長!ここはどこ!?なんで僕はここにいるの!?」

やっぱり何も覚えていないんだ…
「実はですね」
俺は昨日の出来事を准尉に話した。
もちろん情事は抜きで。
ある程度話すと准尉はため息をついて頭を片手で支えるポーズをとる。
「オレルドの奴ー…自分から進めておいて…」
准尉がずっとぶつぶつ言っている。
「あのー准尉…?」
「へ?ああごめんごめん昨日のこと全然覚えていなくてさ。」
よかったいつもの准尉だ…
当たり前のことだけれどもなぜだかすごく安心する。

「僕、伍長に迷惑かけなかった?」
俺はまた昨日の事を思い出す。
あの後夢の中では更に進んだ行為が…
「い、いえ!全く!」
俺は赤くなりながらもブンブンと首を振って否定する。
「そう、ならよかった。それじゃあ僕は帰るね。 荷物取ってこないといけないし」
上着を羽織るとそそくさと帰り支度を始める。
「それじゃ、また三課で」
「はい准尉」
朝日を浴びる背中を見送る。

やっぱり元の准尉の方がいいな…でも…って俺は何を考えているんだ!
髪の毛を掻き毟りながら自己嫌悪に陥っていく。
こんなんでちゃんと仕事できるのかなぁ・・・
今日は悩める一日になりそうだ。
だけどそれも悪くない、なんて思える自分がいたりする。

とりあえず猫に餌をあげて仕度をしなくちゃ。
寝具を片付けて皿にミルクを注ぐ
床に撒かれている同じような白い物を発見して赤くなったりしながら着替えを済ます

さてそろそろ時間だし行こうかな
皆がいる三課へ

                             終
299名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 21:25:04 ID:???
以上で終了です!
どうしてだかいつもシチュが橋の下になっちゃうんですよね。
中身が薄いSSですいません…
叱咤指摘などがあったらいくらでも受けるつもりです
それと男体の方毎回上質なSSありがとうございます!
これからも頑張ってください!
それでは!
300男体の人:2006/12/02(土) 21:55:46 ID:???
>>イカの人さん
おおおっ、イカの人さんのSSだぁ〜!
力の限りGJ!!!!
しかも読みたいと思っていたマー伍!
酔っぱらいマーチス、タチ悪っ!www
中身が薄いなんてとんでもない、色んな意味で濃かったですよw
最初から最後まで笑い転げてたけど「粗野にして〜」に爆笑しましたw
イカの人さんのSSの雰囲気が大好きで、実はあちらのスレから
テキストに保存させて頂いてました。
是非、今度は伍長の夢が現実になるべく、最後まで…w
これからも楽しみにしてますー!
301名無しさん@ピンキー:2006/12/02(土) 22:04:35 ID:???
イカの人GJ!
マー伍をあまり見たことなかった自分には新鮮だった
この調子だと橋の下がイカ臭くなりますねw

読んでいる途中で誤字があったので指摘させていただきます
伍長のブツがイタリアの都市の名前に(ベニス)
302男体の人:2006/12/03(日) 18:38:49 ID:???
>>271-281の続きです。
9話のほうと、だんだんシンクロ率が落ちてしまい、もはや別物に。
期待していた人には、申し訳ないっス……。

********************
『オレルド×伍長 その4-2(後編)』
アニメ9話「朝霧の女」のパロでございます。
フォモ警戒警報発令。
********************

見事に尻すぼみになってしまってますが、
よろしかったら、どぞー…(;´д`)つ
303『オレルド×伍長4-2』01/14:2006/12/03(日) 18:40:08 ID:???
 翌朝、デカブツはいつもと変わらない様子でオフィスへきた。
 心配するチビッコとマーチスに心底申し訳なさそうな笑みを向け、早退して迷惑をかけたことを
詫び続けていた。
 チビッコとマーチスは、デカブツがなぜ昨日突然泣き出したのか、その理由を訊こうとはしない。
奴らなりに、そこは自分たちが踏み込んではいけない部分なんだと、理解しているようだった。
 隊長はデカブツの体の具合を心配してはいたが、泣き出した場面は見ていないし、俺たちもいち
いち報告なんてしなかった。だからデカブツが『もう大丈夫です』と言う笑顔を見て、隊長なりに
納得したようだ。
 ボスは言わずもがな。この人はお節介な人じゃねぇ。一見、部下に対して無関心なように見える
が、どんと構えてるってだけだ。何があったんだとか、どうしたんだとか、根掘り葉掘り聞き出し
て相手の傷口をえぐるような真似をしないというだけ。『話したくなったら向こうから話すだろ』
って、そんなスタンスなんだな。俺にもこれぐらい余裕がありゃぁな……。
「おはようございます、准尉」
 デカブツが俺に向かって、はにかむような笑みを見せた。少し、目が赤い。
 その顔が、ハンナの心から笑っていない顔と重なっちまう。
 死んだ奴、帰って来ない奴を待ち続けるって、いったいどんな気持ちなんだろうか。
 不毛だと思う。帰って来ない奴なら、もしかしたらいつか帰って来る可能性だってあるだろうが、
死んだ奴はどれだけ待っても二度と帰って来ることはないってのによ……――。
「オレルド、どうしたの? なんだか元気ないね」
 マーチスが俺に話しかけてきた。
「元気か……」
 はぁ〜……と、でっかい溜息が漏れちまう。確かに元気なんて、ねぇな。ついでに性欲もねぇ。
 俺ってこんなんだったかな。俺は自分のことを、恋愛沙汰に関してはもっとアグレッシブな奴だ
と思ってたんだが、最近の――特にデカブツとこうなってからは、どんどん臆病になっているよう
に思えた。
 自分の言葉が、行動が、相手を傷つけてしまうんじゃないかとビクついてる。デカブツの傷をえ
ぐっちまって嫌われるんじゃないかって、無性に怖がってる。
 配給任務の時のレイプ未遂事件、そして“准尉”の命日と、思いがけない“再会”に、デカブツ
は今すごく動揺して弱くなっているはずだ。昔の俺なら、これを絶好のチャンスだと思って、どん
どん自分をアピールしてったろう。
 だけど、出来ない。話しかけることはおろか、触れることさえ出来ないんだ。怖くてよ。
 食堂でいきなり歌い出したチビッコの“愛の歌”が、脳裏に甦った。
 “愛の心が、僕の心を強くする”……か。
 違うな。愛の心は……
「……人の心を弱くするんだよな――」
 はぁぁ〜……と、またでっかい溜め息を漏らした俺に、マーチスが顔を引き攣らせた。そしてデ
カブツのほうをコソリと盗み見て、デカブツがこっちを向いていないのを確認すると、俺に耳打ち
してくる。
「伍長と、何かあったのかい? ケンカでもした?」
「なんもねぇ……、はぁぁぁ〜……」
 何もねぇから進展もねぇんだよ。進展どころか、命日と再会のせいで後退しちまってるような状
態なんだからよ。
「あの、マーチス准尉」
 その時、デカブツが話しかけてきた。マーチスがビクッとして、慌てて俺から離れる。
「なっ、なんだい、伍長?」
「あの……昨日、俺が途中まで作業してた戦没者記録のファイル……まだありますか?」
「あ、うん、あるよ。ちょっと待っててね……」
 マーチスが机の上に山積みになったファイルから、数冊を取り出してデカブツに渡した。
「はい、これが伍長がやってた分だよ。あれから全然手をつけてないんだ。自分の分さえ一日で終
わらなかったし」
「いえ、それはいいんです……すみません。じゃあ、すぐに続きをやりますね」
 デカブツが申し訳なさそうに微笑して、マーチスからファイルを受け取った。そしてしばらく動
かず、デカブツは手に持ったファイルを見つめていた。
「あの……マーチス准尉……」
304『オレルド×伍長4-2』02/14:2006/12/03(日) 18:41:31 ID:???
「うん? どうしたの?」
「これで死亡が確認された人は、戦没者墓地に名前が刻まれることに……なるんですよね?」
「うん、そうなると思うよ」
「生きてた……って証が残されるんですね……」
 デカブツの目が潤んだ。嬉しそうに、それでいて心底寂しそうにデカブツは微笑んだ――。

          *
 その日の夜、俺はまたサロンへ向かい、ハンナをアウトに指名した。
 行きつけのレストランへ連れて行き、食事をした。
 俺は彼女に笑って欲しくて、必死で喋りまくった。だけど、やっぱりハンナは心ここにあらずで
暗い顔をうつむけているだけで、時おり愛想笑いを見せる程度だった。
 俺、なんで彼女をアウトしたんだろう。どうせ食事をするなら、楽しく食べたいのによ。いつも
通りマリーとキャシーを誘えばよかったと少しだけ後悔する。あいつらと一緒なら、デカブツのこ
とをいっときは忘れられるぐらいに楽しい時間が過ごせたってのに……。
 レストランを出て、湖のほとりの公園を彼女と二人で散歩した。
 暗い顔でうつむいたままのハンナに、俺は訊いた。
「俺といても……楽しくないか?」
 ハンナはハッと顔を上げ、慌てて俺のほうを見ると「そんなことないです」と、淡い笑みを向け
て来る。だけど、すぐに俺から目を逸らした彼女の顔に、また暗い影が落ちてしまった。
 彼女の目は、目の前にいる男なんか見ていない。四年前に戦争へ行ったまま帰って来ない恋人の
面影だけをひたすらに追っているのが、嫌でも分かった。
 ――不毛だ……。デカブツもハンナも、どうして……。
 ハンナをサロンへ送り届ける間、ハンナが俺と一緒に居て笑ってくれることは、一度もなかった。
 彼女がサロンの中へ姿を消した途端、俺の口からは溜め息しか漏れなかった。
 自分が無力だってのを、ひしひしと痛感しちまう……。
 ――デカブツに、会いてぇ……。
 体の底から恋しさがどっと押し寄せてきた。
 帰路へ着いた俺の足は、自然とデカブツが住んでいる橋の下へと向いていた。

          *
「ほーら、今日は配給品の残りだぞ」
 橋の上にたどり着いた俺の耳に、デカブツの優しい声と、猫たちが餌をねだる声が届いた。
 石段を下りて行くと、橋の欄干の下でデカブツの前に三匹の猫たちが丸まって、皿の中のキャッ
トフードを一心不乱に貪り食っているのが見えた。デカブツが優しい眼差しで猫たちを見ている。
 少しだけ寂しさを忘れたその横顔を見た時、俺の中の不安も少しだけ消えた。
「よぉ」
 軽く手を挙げて少し笑う俺を見て、デカブツが驚いた顔で立ち上がった。
「オレルドさん! どうしたんですか、こんなところに……――」
 そう言えば、俺がここに来るのは初めてだったな。
「ちょっとな」
 久しぶりにデカブツと自然と話すことができて、俺の中に愛しさと嬉しさが同時にこみ上げた。
俺が笑ってそう言うと、デカブツはハッとした顔を見せて、足元を慌ててキョロキョロ見回した。
「あっ、あの! え……っと」
 デカブツは足元の猫缶を二つ引っ掴み、困った笑顔と一緒にそれを俺に差し出した。
「一緒に食べますか……?」
「へ?」
 おいおい、俺をもてなそうとしてくれる気持ちは嬉しいが、猫缶って……。確かにまぁ俺は雪山
で猫缶を食ったが、あれは非常事態だったし、さすがに猫と一緒に食う気はねぇなぁ。
「あぁ、俺は何も要らねぇから気にすんな」
 俺とデカブツは横に並んで座り、デカブツの足元でメシを食っている三匹の猫を眺めていた。
 しばらく、無言の時間が流れた。
「……生きてないんだよな」
 デカブツの傍にいるとハンナのことを思い出した俺は、そんなことを呟いた。
305『オレルド×伍長4-2』03/14:2006/12/03(日) 18:42:41 ID:???
 ハンナが待ち続けている恋人のことだ。四年も音沙汰なしなんじゃ、生きてる確率は限りなくゼ
ロに近いだろう。
「え……」
 デカブツが俺のほうに顔を向けた。
 だが自分の“准尉”のことを言われていると思ったのだろう。デカブツは俺から顔を背けて、悲
しい目で猫たちを見つめた。いや、その目が見ているのは猫なんかじゃない。デカブツは自分の記
憶の中の“准尉”の姿を見ているんだ。
 そのことを感じ取った俺の胸を、苛立ちと切なさが襲ってきた。
「生きてないんだよ、分かってるのか?」
 今度はハッキリとデカブツに向かって、そう言った。
 デカブツが小さく呟いた。
「分かってます……」
 だけど、忘れられない――そうなんだろう? そして未だに待ち続けるのか。もうとっくに死ん
じまった奴を。どんなに願っても、もう二度と会うことも触れることも出来ない奴を。
 なあ、気づけよデカブツ。こっちを見ろよ。
 俺は生きてるんだぞ。お前に触れられるんだぞ。お前に声を聴かせてやれるんだぞ。
 デカブツの肩にそっと触れた。デカブツがピクンと体を揺らして、俺を見た。その顔は今にも泣
きそうで……。
 俺は身を乗り出し、デカブツの頬に手を当てて、そっと口づけた。
 デカブツが自ら俺を誘うように、少し唇を開ける。その隙間から舌を挿し入れ、デカブツの舌に
触れると、デカブツが小さく肩を震わせた。
「ふっ…、ん……」
 デカブツの手が俺の肩にそっと置かれた。
 上唇を吸い、下唇を甘く噛み、舌を絡ませ合う。お互いの唇を貪る水音と、徐々に荒く熱くなっ
てくるデカブツの吐息が、俺の芯を熱くして行く。
 デカブツも俺の唇を吸って、舐め、舌を絡ませてくる。俺の肩に置かれた手が、いつしか俺の首
にすがりつくような格好になっていた。
 やべぇぐらい愛しいと思う。デカブツを想う自分の気持ちに翻弄されちまう。泣きたくなるほど
切なくて、デカブツのことなんか考える余裕もなくして、我が儘に自分の衝動を叩きつけたくなる。
 口づけを繰り返しながら、俺は体を移動させ、デカブツの足の間に跪いた。デカブツの体を押し
倒し、背中を壁に凭れさせ、セーターをたくし上げて胸の突起に触れる。
「あ…っ、ぅ……っん」
 デカブツが小さく声を上げ、唇を離し、俺の肩口に顔を埋めた。デカブツの耳たぶを軽く噛みな
がら乳首を愛撫し、すでにスラックスの中で熱を持ち始めた愚息をデカブツのそこに擦りつけるよ
うに、腰を動かした。
「っふ…! んッぁ……、はぁっ……」
 デカブツが俺の首筋に熱い吐息を零しながら、自分も腰を動かし始める。
 早くデカブツのそこと直に触れ合いたくて、乳首を弄っていた手を腰へ下ろした時、俺の手が何
かに当たり、それが“カロン”と軽い音を立てた。
 デカブツがギクッと体を強張らせた。
 瞬間、俺は『しまった』と思った。俺の手が何に当たったか、見なくても分かった。デカブツの
目が、いつもランタンを下げた位置に向いていたからだ。
 ――くそッ……! 見るんじゃねぇ! 過去の亡霊なんか見るんじゃねぇ! 俺を見ろ!!
 もう一度口づけようとした時、デカブツが素早く俺の首から肩へ手を置いて、逆に押し返してき
た。ひとつに溶け合おうとしていた二人の熱が一気に冷め、俺たちの間に見えない壁が出来たよう
に思えた。
 デカブツは俺から顔を背けた。ギュッと唇を噛み締め、堅く閉じられた目蓋に光るものがあった。
 ――いつまで亡霊を追いかけてやがる! お前は俺を見ると約束したじゃねぇか!
 激しい怒りと、身を焼き焦がすような苛立ちが俺を襲う。デカブツの髪を引っ掴んで俺のほうを
向かせ、デカブツが泣こうが喚こうが構わずに押し倒し、乱暴に犯してやりたいと思った。俺の存
在を嫌と言うほど体に覚えさせたいと思った。
 だけど……――
「命日……だったんだよな?」
 俺の口から漏れたのは、今にも泣きそうなか細い、そんな言葉だった。
306『オレルド×伍長4-2』04/14:2006/12/03(日) 18:43:48 ID:???
 デカブツがわずかに肩を揺らし、俺のほうを見た。
 震えそうになる手を必死で制し、デカブツの髪を撫でてやった。
「よかったな……。お前の“准尉”が生きてたってことが証明されてよ……」
 その瞬間、デカブツの双眸からブワッと大粒の涙が零れ出た。とっさに口を塞いで嗚咽を呑み込
む。だが、それでも堪え切れない泣き声が、分厚い手袋の間から漏れてきた。
「抱きしめても……いいか?」
 優しく微笑んでやったつもりが、自分でも頬が引き攣るのが分かった。震える声でそう言ったら、
デカブツは自ら俺の背中に腕をまわし、首筋に顔を埋めてきた。
「……め……さい……、うっく、ごめん……なさいっ……、今だけ……今だけ…ですから……っ」
 デカブツはむせび泣きながら、俺に謝り続けた。
 胸が締めつけられたように痛かった。切なさに圧し潰されそうで、目と鼻の奥が熱くなった。
「い……いいんだよ。俺は……お前の“准尉”への想いごと、お前を愛するって約束したろ?」
「オレルドさん…っ、ごめ……うっぅ…ごめんなさい……、す…すみませ……っ」
「いいんだよ……気が済むまで泣け……。我慢なんてしなくていいからよ」
 胸の痛みを堪え、俺はデカブツをきつく抱きしめた。
 デカブツの嗚咽がだんだんと大きくなって行く。そしてとうとう、デカブツは今までの悲しみを
全部吐き出すように、俺の胸に顔を埋め、子供のように大きく声を上げて泣きじゃくった。
「准尉……ッ! 准尉……、准尉……ぃ……!」
 すがりついてくるデカブツの腕のきつさと、胸を濡らす涙の熱さを感じ、身を切られるほどの悲
しみを宿した泣き声を聴きながら、デカブツやハンナの気持ちが少しだけ分かったような気がした。
 ああ、これが、愛した者が決して自分の元へと来ない者の寂しさなんだな……と。
 未だに帰って来ない恋人を待ち続けるハンナ。
 とっくに死んじまった“准尉”のことを、未だに忘れられないデカブツ。
 そして、デカブツの全てを自分のものにしたいのに、振り向いてもらえない俺。
 そこにあるのは前に進めない孤独さだ。
 不毛だと頭では理解していても、心が納得しない。頭では現実を受け入れられても、心がいつま
でもいつまでも愛する者を呼んでいるんだ。それは理性や上っ面の感情ではどうにも出来ない、狂
おしく純粋なまでの“想い”なんだ……。


          *

 俺がハンナのことが気になって仕方ない理由が、やっとハッキリした気がした。
 ハンナがデカブツと重なるから、俺はハンナを助けたいと思ったんだ。ハンナを心から笑わせる
ことが出来れば、デカブツのこともきっと救うことができるって。俺にはその力があるって、自分
を信じたかったんだ。
 だが、どうしたらいいんだ……? 
 万が一、ハンナの恋人が捕虜になってたとしても手紙ぐらいは出せるはずだ。それがないってこ
とは、やっぱりもう生きてないんだろうな。それを知った時、ハンナはどうなるんだろう。
 あえて知らせたほうがいいんだろうか。でもそうすると、第二のデカブツになっちまうだけなん
じゃねぇのか?
 そんなことを悶々と考えながら、連日のサロン通いで金欠になりマーチスに金の無心をしながら
も、俺はハンナを夜のドライブに誘ったりした。サイドカー付きのオートバイだ。実は軍用バイク
で、無断で拝借したんだけどな。
 街中をバイクでぶっ飛ばし、爽快さを味わわせても、やっぱりハンナは笑わなかった。
 こりゃ相当、重症だぜ……。
 またひしひしと自分の無力感が襲ってきちまう。
 こうなりゃもう、この手しかねぇと、日を改めてハンナを連れてきたのは、このあたりで一番高
い建物の屋上だった。そこは夜景の特等席だ。
 嫌なことがあるとガキの頃からここに来て、宝石みたいにキラキラ光る街の明かりを何時間でも
眺めて過ごした、想い出の場所だった。いつかデカブツにも見せてやりたいと思っていたんだが、
男同士ってこともあって、どうにも照れが先走っちまって、未だにその目的は果たせてない。
 ハンナの一件が片付いたら、ここにデカブツを連れて来ようか……。
 俺はそんなことを思いながら、これまた軍から拝借したシャンパンを開けた。
307『オレルド×伍長4-2』05/14:2006/12/03(日) 18:44:34 ID:???
「帝都を見ながら、乾杯だ」
 グラスを渡そうとした時、ハンナが少し表情を硬くして俺を見上げて言った。
「どうして私にそこまでしてくれるんですか?」
「え……、どうしてって……。ハンナ、マインツ橋にいたろ? とても悲しそうな顔してた」
「あ……」
 ハンナが肩をピクンと揺らした。そしてつらそうに唇を噛み締め、俺から顔を背けた。
「忘れちまえよ、戦争に行った男のことなんて。帰って来ない男のことなんか考えても仕方ないだ
ろ。そりゃ信じたい気持ちは分かるけど……」
 我ながら安っぽい、説得力のない台詞だと思う。だけどやっぱり事実を受け入れさせるしかない
んだって、考えに考えて出した結論だった。
「戦争が終わってもう三年。生きてりゃとっくに帰って来て――」
 だが、俺の言葉を遮って、ハンナが声を荒げた。
「フランクは帰って来る!」
「え……」
「フランクは帰ってくる……! 約束したんですもの」
 俺の顔を見ようともせず、街の灯りを見ようともせず、ハンナは自分の中の男をひたすら見つめ、
頑なまでにそう言い切った。
 その言葉の虚しさを一番知っているのは、多分ハンナ本人じゃないかって、なんとなく感じた。
「そりゃそうかもしれないけど……このままじゃハンナが……」
「私のことは放っておいて下さい」
 ハンナはそう言い放つと、踵を返し、一人で歩き去って行った。
 俺はこの時初めて、ハンナとデカブツの違いってのに気がついた。
 ハンナは“生きているかもしれない男”の帰りを待ち続けている。
 デカブツは“とっくに死んじまった男”に未だ心を捕われている。
 どっちが厄介かって……そりゃデカブツのほうだ。

          *

 自分の無力さに肩を落とし、アパートへ戻った俺は驚いた。
 部屋の前に、デカブツが居たからだ。ドアの前に座り込み、抱えた膝に顔を埋めていた。
「デ……デカブツ?」
 今までに一度だって自分のほうから俺の部屋へ来たことなんか、なかったのに。
 だけど俺の声に気づいてデカブツが顔を上げた時、そのこと以上に俺は驚いた。
「オレルドさん……」
 こめかみから流れる血、涙に濡れた頬、よく見れば服は泥だらけで、しかも白いものがあちこち
に付着してやがる……。
 愕然とした。
 まさか……――。
 震えそうになる足を心の中で必死で叱咤し、俺はデカブツに歩み寄った。デカブツが俺を見上げ
て、泣きそうな顔で笑いかけてきた。
「ごめんなさい……、俺……一人で、いたくなくて……」
 膝を抱えた手が小さく震えているのが見えた。
「怖くて……、ここしか……来るとこ思いつかなくて……、すみません……」
 デカブツは泣き笑いに顔を歪ませ、声を詰まらせた。ボロボロ涙を零しながら、また膝に顔を埋
めた。肩を震わせて、声を殺してすすり泣いた。
 デカブツの身に何が起きたか、分かりたくねぇが分かっちまった。
「あいつらか……?」
 俺は怒りで震えそうになる拳をギュッと握りしめ、怒鳴りそうになる声を必死で抑えた。
「こないだの……配給任務の時のあいつらか?」
「……分かりません。暗かったし……、俺……頭殴られて、ぼんやりしてたから……」
 ――ちくしょう、なんでだよ! なんでこいつばっかり、こんなつらい目に……!!
「すまねぇ……!」
 俺はデカブツを思いっきり抱きしめた。デカブツの体からは、男たちが吐き出した精の臭いがき
つく漂ってきて、俺の頭は怒りと後悔でズキズキ痛んだ。
308『オレルド×伍長4-2』06/14:2006/12/03(日) 18:45:55 ID:???

          *

 足元のおぼつかないデカブツに肩を貸し、バスルームへ連れて行った。泥だらけの服を脱がせ、
明るいランプの下で見たデカブツの体にショックを受けた。
 殴られた上に暴れないように縛られたのか、体のあちこちに痣が出来ていた。手首には縄の痕が
ミミズ腫れになり、薄く血がにじんでいた。それだけじゃなく、体と言わず顔と言わず、そこら
じゅうにもうすでに乾いている精液がこびりついていた。太腿の内側も同じだ。しかも薄く血が流
れた跡まで見える。レイプされた上に、かなり乱暴を受けたのが嫌でも分かっちまった。
 デカブツは湯船に腰掛け、ぼんやりしている。普段なら裸を見られるのを恥じらうのに、全裸に
されて俺に見られていても、隠すようなことはしなかった。
 こめかみの傷を確かめる。少し切れてはいたが、そこまで深くないし、もうすでに血も止まって
た。縫う必要はなさそうだ。
 だけど、無理やりねじ込まれて裂けちまった部分は、どんな状態なのか分からねぇ。
「明日、軍医に見てもらおう……。嫌だろうけどよ……」
 俺が言うと、デカブツはゆっくり顔を横に振った。
「大丈夫です……。慣れてますから……」
「慣れてるってお前……」
「初めての時も、そうでしたから……。夜、眠ってたらテントに五人か……六人か……よく、憶え
てないんですけど……いきなり――」
「もういいっ」
「その日からずっと……三ヶ月ぐらい……。毎日、夜が来るのが怖くて……」
「よせよ……」
 なぜデカブツがこんな話を始めたのか、俺には分からなかった。
 デカブツが顔を上げた。朦朧とした眼で物憂げに、俺を見上げる。
「ある日……准尉が配属されてきました。俺が……毎晩どういう目に遭っているのか知ってから、
助けてくれました……」
「よせって……」
 准尉、准尉、もうまっぴらだ。お前がレイプされた時“准尉”は、お前を助けてくれた。だけど
俺はハンナと一緒に居た。デカブツはそんなこと知ってるわけないのに、俺はそのことを責められ
ているように感じた。
「准尉は……すごくいい人でした……。一緒に寝ても……他の人たちみたいに、俺が嫌がることな
んか、絶対しませんでした……。大事にしてくれて……守ってくれました……」
 なんだと――? “准尉”はデカブツに手を出さなかったってのか? じゃあ……。
 デカブツが泣きながら笑った。その笑みは、俺が今まで見たこともない、自分を蔑む歪んだもの
だった。
「俺のほうから……准尉を誘ったんです」
「……――!」
「一人で居るのが怖くて……守ってくれる人が欲しくて……、だから俺……准尉のこと利用したん
です……」
 デカブツが大粒の涙を流した。顔を手で覆って嗚咽した。
「俺は卑怯だ……! 准尉を利用したのに……、准尉は俺のこと、守ってくれて……愛してくれて、
そして……死んでしまった……! 俺を守るために……! 俺が……准尉を殺したんだッ!」
「デカブツ……」
 そうか……こいつが“准尉”を未だに忘れられない理由が分かった。それは罪悪感だったんだ。
 もちろんそこには確かに愛もあったんだろうが、優し過ぎるコイツにとって、自分の身を守るた
めに犯した小さな罪が、まるで大罪のように責め苛んでくるんだ。
 俺は決してデカブツが“准尉”を殺しただなんて思っちゃいない。“准尉”自らが、デカブツを
守るために死を選んだんだ。だからデカブツに罪はない。そうだよな……?
 俺は泣きじゃくるデカブツの前に跪き、顔を覆う手をそっと握った。デカブツの顔から手を離し、
俺は言った。
「“准尉”は確かにお前のことを愛してた。お前はどうだったんだ?」
309『オレルド×伍長4-2』07/14:2006/12/03(日) 18:47:26 ID:???
 答えを聞くのは怖い。けれど、そこから目を逸らしてちゃ、こいつは一生自分の罪悪感に捕われ
たまま、“准尉”を想い出にすることから逃げるだろう。自分を責め苦にかけるように、わざと
“准尉”の面影にしがみつき続けるんだろう。
「お前だって、“准尉”のこと、愛してたんだろ?」
 無表情で俺を見ていたデカブツの顔に、濃い悲しみの色が広がった。
「俺は……卑怯です……っ。今もまた……オレルドさんのこと……利用しようとしてる……。准尉
のこと……忘れられないのに……、オレルドさんのこと、ちゃんと見るって約束したのに……、俺
……ひとりが怖くて……、頼れる人がオレルドさんしかいなくて……だから……」
「利用されたっていいって言っただろうが。利用でいいんだよ、最初のきっかけはなんだっていい
んだ。大事なのは、その後だろ? 利用したいって気持ちが愛情に変わることがないとは言えねぇ
じゃねぇか。そうだろ? もう一度訊くぜ。お前は“准尉”のこと、どう思ってた? ただ利用し
てただけか? そこに愛はなかったのか?」
 デカブツが歯を食いしばって嗚咽を呑み込んだ。泣き顔に顔が歪み、きつく閉じた目から、また
大粒の涙が溢れ落ちる。ブルブル震えながら、デカブツは声を震わせてうめくように呟いた。
「……愛してました」
 胸にズキッとした鈍い痛みが走った。
「愛して……ました……、今でも……愛してるんです……、ごめんなさい……っ、ごめ……――」
 デカブツは何度も何度も繰り返し、泣きながらそう零し続けた。
 体をキレイに洗った後、俺はデカブツをベッドへ誘った。デカブツと抱き合うようにして横にな
る。胸に顔を埋めたデカブツの髪を撫で続ける俺に、デカブツが泣き腫らした顔で見上げてきた。
「……しなくて、いいんですか?」
「バァカ。ケガ人を襲うほど飢えちゃいねぇよ」
「すみません……」
 デカブツが申し訳なさそうに、でも少し安堵したように小さく言った。それから俺の胸に顔を埋
めると、シャツの布をギュッと握りしめた。すぐにデカブツの深い寝息が聴こえてきた。
 俺はその安らかな寝息を聴くともなしに聴きながら、暗い天井を見つめていた。
 俺は今までに一度だって、神に祈ったことなんてなかった。だけど今この時だけは、祈らずには
いられなかった。
 ――なぁ、神さまよ。俺に力をくれよ。こいつを救う力をよ……。それが無理なら、こいつを
救ってやってくれよ……。もう、充分だろ……?

          *

 翌日、俺は大事を取ってデカブツを休ませた。
 よほど疲れていたんだろう。いつもなら絶対に俺よりも早く起きるこいつが、この日だけは泥の
ように眠り込んでいたからだ。
 いつもの悪夢も、“准尉”の夢も見なかったらしい。そのことに関しては、俺は喜んだ。
 ここ最近、こいつは気が休まることなんてなかっただろう。命日が来て“准尉”のことを思い出
し、戦死者記録での予期せぬ再会に、レイプ未遂に、とうとうレイプ事件だ。しかも複数の男たち
に輪姦されちまったんだ。
 ショックで疲れ果てないわけがねぇ。
 俺はデカブツを起こさないように、そっとベッドを出て、静かに身支度を済ませた。テーブルの
上には『今日は休め。隊長には上手いこと言っておく。鍵は郵便受けに』と書いたメモを残し、俺
は仕事へ出掛けた。

 夕方、仕事を終わらせて部屋へ戻ってみたが、デカブツの姿はなかった。そのことは部屋に入る
前から分かっていた。郵便受けに鍵が入れられてたからな。
 朝、俺が残したメモがまだテーブルの上に乗っていた。手に取ってみると、俺が書いた字の下に、
デカブツの書いた言葉が残されていた。

 《お帰りなさい、お疲れ様でした。
  昨日は、本当にすみませんでした。
  でも、すごくよく眠れました。オレルドさんのおかげです。
  ありがとうございました。》
310『オレルド×伍長4-2』08/14:2006/12/03(日) 18:48:17 ID:???

 自然と笑みが漏れた。自嘲とも言えないが、嬉しさからくる笑みでもない。寂しさとやるせなさ
が混ざり合った笑みだった。
 最初に俺たちが体を重ねた日の翌朝、デカブツが残してったメモよりは、遥かに進歩してる。
 俺は自分にそう言い聞かせると、そのメモを丸めてゴミ箱へ投げ入れた。

 そして俺は、その夜もサロンへ向かった。
 だけどハンナにはとっくに客がついてて、彼女を指名することは出来なかった。
 客はいつぞやのキザったらしい中年オヤジだ。必要以上にハンナにベタベタしている。ハンナの
顔には堪え切れない嫌悪の色が表れていた。
「ったく、いけ好かねぇ野郎だな……」
 無性にイライラした。ただでさえ俺はハンナとデカブツを重ね合わせて見ている。デカブツのレ
イプ事件の昨日の今日だ。望まない相手にも体を与えることが彼女の仕事とは言え、俺は冷静でい
ることが出来そうになかった。
 その時、キザ野郎がハンナの腰を抱いて、席を立った。二人してホールを出て、二階の階段に向
かって歩いて行く。俺の我慢も限界だった。
 俺は席を立ち、怒りを抑えることが出来ずに二人の後を追った。
 階段を上って行くキザ野郎の腕を乱暴に引っ掴んだ。
「なんだ君は!」
「悪いがハンナの客は、この俺だ」
「なにぃ?」
「ちょっとオレルド!」
 そこへ騒ぎを聞きつけたママがやって来て、俺を咎めた。
 だが俺の名前を聞いた途端、キザ野郎がただでさえ憎たらしいスケベ顔に、小馬鹿にしたような
いけ好かねぇニヤニヤ笑いを浮かべやがった。
「そうか、君が噂の」
 ――噂? 噂ってなんだよ。俺がホモ野郎ってことか? それともハンナに付きまとってる迷惑
な客だってことか?
 キザ野郎は、俺を見下ろして鼻で嗤った。
「心配ない。あとは私が引き受けた。ハンナは、私がたっぷりと面倒を見てやろう」
 決してこちらを振り返ろうとはせず背中を向けたままのハンナの頬に、キザ野郎がいやらしく指
を這わせた。ハンナが嫌そうにピクッと肩を揺らすのを見た時、俺の中で何かがブツッと音を立て
て切れた。
「ゲス野郎!!」
 俺はキザ野郎を力一杯殴り飛ばした。何度も何度も。デカブツが一番助けを欲していた時、駆け
つけて助けてやれなかった自分の不甲斐なさと悔しさを、キザ野郎にぶつけた。相手の気持ちや痛
みなんか考えねぇ、てめぇの欲望だけを押しつけてくる奴なんか、くたばっちまえばいいと思った。
 ハンナが小さく悲鳴を上げて、手で口を覆った。ホール内が騒然となった。
「誰か! 誰か来て!!」
 ママの一声で、デカブツほどの大きさのある屈強な用心棒が三人も現れやがった。どでかい手で
俺の手首を締め上げてきやがった。
 今度は俺が殴られる番だった。いかに俺がケンカ慣れしているとは言え、それは路地裏の卑怯喧
嘩の場合だ。こんなデカブツ級の大男三人と真っ向勝負して勝てるわけがねぇ……。
 俺はあっという間にのされて、店の外に放り出されちまった。
 ボロ切れのようにされた俺を、ママが呆れ果てた顔で見下ろした。そして俺に、なぜこんな騒ぎ
を起こしたのかを訊いてきた。
「俺ぁ……ただハンナに笑って欲しかっただけさ。心から……笑ってもらいたくて……」
「うぬぼれんじゃないよ。ハンナを笑わせたい? あんたにそんなこと出来るのかい。そんな力あ
んのかい? 笑っちゃうね。できっこないよ」
「……!」
 ママの言葉に俺は打ちのめされた。まるでデカブツのことを言われているような気がした。
 この上さらに打ちのめされるような言葉を、ママは俺に言った。
 それは、ハンナが未だに待ち続けている恋人が、とっくに死んでいると言うことだった。
311『オレルド×伍長4-2』09/14:2006/12/03(日) 18:49:06 ID:???
「一通の手紙で、あんたの彼氏は死にましたなんて知らされたって、誰が認める? 認められない
だろ、えぇっ?」
「戦死してたのか……」
 なんてこった……、ハンナもデカブツと同じだったのかよ――。
「分かったらそっとしといてやんな。それが優しさってもんだよ」
 寂しそうな苦笑を漏らし、ママは店の中へと戻って行った。
 自分の無力さが、自分のちっぽけさが身に染みた。殴られた傷よりも、心のほうが痛んだ。

          *

 用心棒にボコられて、あちこち痛む体を引きずるようにして歩いた。
 気づいたら、俺はまたデカブツが住んでいる橋の下へやって来ていた。
 自分が無力でちっぽけで、何の力もない不甲斐ない野郎だってのは痛いほど分かってる。こんな
お粗末な野郎がデカブツの前に顔を出せるもんじゃねぇってことも。
 だけど、無性にデカブツに会いたくてたまらなかった。本当に情けないが、正直言って、デカブ
ツに泣きつきたかった。
 橋の欄干の下に、デカブツは居た。すでに餌をもらって腹いっぱいになっていたのか、猫たちは
デカブツの周りに寄り添い、丸くなって眠っていた。デカブツは壁に背中を預け、膝の上で眠って
いる猫の体をそっと撫で続けていた。顔はぼんやりとして、目は虚ろだった。ひどく疲れ果ててい
るように見えて、半分、生きたまま亡霊になりかけているように見えた。
 俺が近づく気配を感じたのか、デカブツがぼんやりとした顔をこちらに向けた。
「よぉ、大丈夫か」
 俺の姿を見た途端、デカブツの目に生気が戻った。デカブツが慌てて立ち上がる。周りで眠って
いた猫たちが驚いて飛び起きて逃げ出した。
「オレルドさん! どうしたんですか!」
 顔を青くしてデカブツは俺に駆け寄って来る。
「あ〜ちょっとな。店で騒ぎ起こしちまって、用心棒にボコられてこのザマだ」
 俺は腫れ上がった頬の痛みに顔をしかめて笑った。
「こっちへ……」
 デカブツが俺以上に泣きそうな顔をして、俺の手を引いて欄干の下に連れて行って、座らせた。
いつも持っているバッグから湿布を出して、俺の頬にそれを貼りつけた。
「こんなものしか持ってなくて……すみません」
「いや、充分だ、ありがとな。それにしても……くそっ、思いっきりやりやがって……いてて」
「あんまり無茶をしないで下さい……」
 デカブツが泣きそうな顔で、そっと頬に触れてきた。その手の温かさが、急に俺の心の弱気の虫
を活性化させちまった。俺は我慢できずに、デカブツに抱きついていた。
「オ……オレルドさん……?」
「もう……無理なのか……?」
 震えそうになる声を必死で抑えつけ、我慢できなかった弱音を吐いた。
「もう俺にはお前を救えないのか? 代わりになることすら出来ないのか? 死人にゃ勝てねぇの
かよ……。俺には……そんな力なんて、ないんだ……」
 デカブツは何も言わなかった。それでも俺は、デカブツの腹に顔を押しつけて、がっちりと腰に
抱きついたままだった。
 何も言わなくていい。何もしてくれなくていい。ただ黙って俺の傍に居て欲しい。今だけは。
 するとその時、俺の肩にデカブツの手が優しく乗せられた。
「代わり……なんかじゃ、ありません……」
 デカブツの優しく深い声に、俺は顔を上げた。月明かりに照らされたデカブツの顔に、慈愛の微
笑が浮いていた。この上なく優しく、この上なく寂しい笑顔だった。
「オレルドさんは……准尉の代わりなんかじゃ、ないですよ。だから……俺、つらいんです」
「デカブツ……」
 ほうけて見上げる俺に優しく笑いかけ、デカブツはゆっくりと腰を落とした。俺の頬に手を添え
て、デカブツが顔を近づけて来る。殴られて腫れ上がった俺の唇に、デカブツのそれが触れた。
 ただ重ね合わせるだけのキスだった。それだけで、俺の体の熱が一気に上がるのが分かった。
 デカブツが静かに唇を離した。潤んだ目で俺を見つめてくる。
312『オレルド×伍長4-2』10/14:2006/12/03(日) 18:51:26 ID:???
「俺……最初にオレルドさんと……こうなる時に、言いましたよね? キスは本当に好きな人とし
か、しちゃダメだって……。オレルドさんのこと……ただの代わりなんて思ってたら、こんなこと、
しませんよ……?」
「だけど……お前、まだ“准尉”のこと……愛してんだろ?」
「愛してます……。でも……最近は、准尉のことを思い出す時……必ずオレルドさんの顔が思い浮
かぶんです……。俺は……准尉のことを利用して、准尉のこと……殺しちゃったのに……オレルド
さんの顔が浮かぶんです。オレルドさんの笑ってる顔とか、少尉に叱られてる時の困ったように笑
う顔とか、マーチス准尉と話してる時の楽しそうな顔とか、曹長のことからかってる顔とか……
怒った顔とか、俺のこと、好きだって言ってくれてる時の顔が……」
 デカブツがまた俺に口づけた。俺の下唇をそっと舐めて来る。俺が唇を少し開くと、デカブツは
待ちかねていたように舌を挿し入れ、俺の舌にそれを絡ませてきた。
 頭が熱くなる。俺の息もデカブツの息も、だんだんと荒くなる。
 たまらずデカブツの背中を抱き寄せた。デカブツが俺の脚の上にまたがるような格好になった。
 いつしか俺のほうがデカブツの唇を貪っていた。逃げるデカブツの舌を追い、逃がすまいと吸い
つき、唇を甘く噛んだ。デカブツの熱い吐息が、ますます俺を夢中にさせる。
 デカブツは自ら、俺の脚にそこを擦りつけるように艶かしく腰を前後に動かしていた。唇を引き
離し、それでも追いすがろうとした俺の頬に手を添えて、止めた。鼻先を触れ合わせ、デカブツが
潤んだ目で、荒い吐息の下から涙に潤む声で言葉を綴る。
「俺……最低な奴です……。准尉のこと……少しずつ忘れて行ってる……。准尉のこと、忘れちゃ
いけないって分かってるのに……オレルドさんのこと考える時間、長くなって……」
 ――バカ野郎! それでいいんだよ!
 俺は顔を振ってデカブツの手を振り払い、強引にデカブツに口づけた。少々乱暴なのは承知の上
で、デカブツの体に全体重をかけるようにして押し倒した。
「ふ…! は……っ! ……ルドさ……ッん!」
 何か言いたげに顔を振って、デカブツは俺の唇から逃れようとする。だけど俺は飢えたケダモノ
みたいにしつこくデカブツの唇をねだった。前戯すらももどかしく、俺はデカブツのズボンのベル
トを外しにかかった。だけど焦っちまってるのか、うまく外せない。
 するとデカブツが自らベルトを外し出した。完全に外れると素早くファスナーを下ろし、腰を少
し浮かせると自分でズボンと下着を引き下ろした。
 尻の少し下あたりまでずり下げられたズボンを、今度は俺が膝下まで引き下ろし、あとは足で一
気に足首まで蹴り下げた。
 そうしていた間にも、デカブツは今度は俺のベルトを外した。下着とスラックスを一緒に少しず
り下げると、デカブツの手が俺の愚息を引っ張り出した。
 はち切れんばかりに膨張し、屹立した俺の竿の感触を確かめるように、デカブツはそれを軽く
握って来る。深く荒いキスを繰り返していたデカブツの口から、ねだるような吐息が漏れた。
「………てっ、……挿れて……――」
 赤く染まった顔に、この上なくエロい表情を浮かべ、俺の首に腕をまわして囁いてくる。
 俺の理性はどんどん欲望に呑み込まれて行く。指で拡張してやらなきゃとか、レイプされて受け
た傷のこととか、そんなことがチラッと頭の隅をかすめた。だけど俺にはもう、そんな思いやりを
発揮する余裕なんかなかった。
 俺は急いでジャケットとシャツを脱ぎ捨てた。剥き出しになった腹に、すでに射精しちまったん
じゃないかと思えるほどの先走りでヌルヌルになったデカブツのそれが当たった。
 少し体をずり下げ、俺は焦り丸出しの手つきで自分の息子の根元を支え、先端をあてがった。
 蕾は、デカブツ自身が零した先走りのぬめりで濡れていた。俺が先端をあてがうと、そこは自ら
口を開いて吸いついてきた。まだ挿れてもいないのに、イキそうになるぐらいの興奮と快感が俺の
腰を跳ね回った。
313『オレルド×伍長4-2』11/14:2006/12/03(日) 18:53:51 ID:???
 グッと腰を進ませる。先端が括約筋に押し戻されるような、わずかな抵抗を感じた。
「う……っ、く……」
 やっぱり痛いのかデカブツが顔を歪ませた。だが抵抗する素振りすら見せず、反対にデカブツは
自分の尻を掴み、なかなか俺のものを受け入れようとしない蕾を自ら広げた。
 俺も少しでも挿入をスムーズにしようと、俺自身とデカブツの先走りを手でこそぎ取り、それを
自分の竿に塗りつけた。
 少し口を開けたデカブツの蕾に、たっぷりと潤滑油を塗りつけた俺の竿の先端が、ズズッと一気
に呑み込まれた。デカブツがビクンと背中を反らせて、声を上げた。
「ひ…! あっ……!」
「デカブツ……っ」
 デカブツの中は熱くて、トロトロに濡れていた。前戯もろくにしていないと言うのに、デカブツ
が俺を欲してこうなってくれたんだと思ったら、すげぇ嬉しくなってますます頭が熱くなった。
 一番太いカリの部分が通っちまえば、あとはスムーズだった。大した抵抗もなく、俺は一気に根
元まで突き入れた。
「あぁっ……、すご……ィッ、ん……」」
 苦痛じゃない甘い声を漏らし、デカブツがブルブルと体を震わせて俺にしがみついてくる。
 俺は欲望に突き動かされるまま、腰を前後させた。濡れそぼった蕾に、竿が出し入れされるたび、
淫靡な水音が大きくなって行く。
「んっ…あ! いいッ……! あっ…! ひ…あっ!」
「くッ…! お前の中……絡みついて……たまんね……ッは…!」
「オレルド…さんッ、も…ぁ、もっと……! 俺の中……に、ああッ、あ!」
 デカブツが俺の首にすがりつき、脚を腰に絡ませる。
 夢中になって腰を振っている時、デカブツが熱い吐息の下、切れ切れに俺に囁いてきた。
「も……と、自分の……こと、信じて……下さ……」
「デカブツ……?」
「俺……、オレルド…さんに……、救われ……まし……た、ッく…!」
「本当に……? 本当に、そうか……?」
 そんな自分への懐疑心に包まれる俺に向かって、デカブツはニッコリと微笑んできた。
 デカブツへの愛しさと喜びに全身が満たされた。同時に、ありがてぇって気持ちにもなった。
「ランデル……!」
「あぁッ! オ、オレルドさ……! あっうぅ…! あぁ、いいっ…いッ…!」
「ランデル……愛してる……」
 今までは照れくさくて、それと同時に、まだ言っちゃいけないんだと歯止めをかけていた言葉が、
デカブツへの溢れ出るような愛情に促され、自然に俺の口からまろび出た。
「俺、お前のこと愛してんだ……、死ぬほど愛してるんだ……! お前じゃねぇと、もうダメだ!」
 デカブツが快楽に冒された朦朧とした顔で俺を見た。真っ赤な顔が、泣き笑いのそれになる。俺
に突き上げられるまま、デカブツは俺の頬に手を添えて、涙を零して微笑んだ。
「きっと……多分、俺も……です、オレルドさん……」
 その笑顔は、きっと心からのものだったと、俺には思えたんだ――。

          *

 後始末を済ませて服を着た俺たちは、火照った身体を冷やすため河のほとりに腰を下ろした。
 さらさらと静かに流れる河の、月の光を浴びて輝く水面を見つめているデカブツの隣で、俺は仰
向けになってハンナのことを考えた。
 デカブツと同じ傷を抱えたハンナ。そしてデカブツと同じく亡霊を待ち続けている。
「待ち続ける女か」
「え……」
 呟いた俺に、デカブツが顔を向けてきた。
「女がさ、今でも戦争行ったまま帰って来ない男を待ってんのよ。そいつ戦死してんだけどな。な
んでそこまで戦死した男のことなんか……。まるで抜け殻みたいになっちまっててさぁ……」
 デカブツが何か言いたげに俺を見つめていたが、少し暗い表情でまた水面を見つめた。
 俺は体を起こし、デカブツを見た。
314『オレルド×伍長4-2』12/14:2006/12/03(日) 18:56:11 ID:???
「でも放っておけないんだよな。何ができるわけでもないくせにさ」
「まだ……終わってないんだと思います」
「ん?」
「まだ戦争が終わってない。だから前へ進めない。俺もそうでした。どうしても戦争が終わったこ
と実感出来なくて」
 デカブツはまるで昔のことを思い出すように、ゆっくりと静かに話し続ける。
「でも最近ようやく実感できるようになってきました。少しずつですけど……三課に入ってから。
だから……、その人も……」
「まだ終わってない……か」
 その時、俺の脳裏にママが言った言葉が甦ってきた。
“一通の手紙で、あんたの彼氏は死にましたなんて知らされたって、誰が認める?”
 そうか、確かにそうだよな……。
「なあ……デカブツ」
「はい?」
「俺に……彼女を救う力があると思うか?」
 デカブツは黙って俺を見つめた。やがて、思いがけない優しい笑顔をよこしてきた。
「もちろんですよ。オレルドさんは俺を救ってくれたじゃないですか」
 嬉しくてゾワゾワと鳥肌が立った。顔がニヤけそうになっちまう。
「だけど、お前まだ俺と“准尉”の二股状態じゃねぇかよ」
 照れ隠しに意地悪を言うと、デカブツは顔を赤くしてあわあわし出した。
「そっ……そんな…! それは……あの……っ」
「プッ! 冗談だよ、冗談!」
 笑いながらデカブツの頭を抱き寄せた。
「二股でもな、いいよ。“多分きっと”でも今はいい。お前の中の想いが全部俺に向く日まで、俺
は待ってるからよ」
「オレルドさん……」
 泣きそうな顔になったデカブツが、ふと思い立ったようにコートのポケットをゴソゴソし出した。
デカブツがそこから何かを取り出して、俺に見せてきた。
 それは端もすり切れ、ぼろぼろになった一枚の写真だった。そこには戦闘服姿の一人の男が写っ
ていた。がっしりした体格の大柄な男だった。角張った顔に零れんばかりの笑みを浮かべていた。
「これが、准尉です……」
 ドキッとした。だけど、動揺はしなかった。自然と受け入れられた。
 俺が想像していた“准尉”とは全然違っていて、むしろそのことにホッとしたぐらいだ。
 デカブツは俺の肩に頭を乗せたまま、“准尉”の写真を懐かしそうに眺めていた。
「オレルドさんのおかげです……」
「え……?」
「准尉の写真、やっと見れるようになりました。今までは見ると泣いてしまって……全然見れな
かったんです。でも、今はこうやって見ても、泣かなくなりました」
 そうか……デカブツの中で“准尉”は確実に、想い出に変わってるんだ。少しずつだけど、少し
ずつでもいい。
 俺はデカブツの手から写真を取り、もっとよく見えるように、それを月明かりに照らした。
「いい男だな。優しそうで誠実そうだ。お前が好きになったのも分かる気がするぜ」
 お世辞でもなんでもない。写真に写る男の笑顔から受ける素直な感想だった。
 デカブツが水面を見つめたまま、俺に抱きつくように腰に腕をまわしてきた。寂しそうな表情
だったが、悲しみはなかった。
「准尉のこと……想い出にしても……いいんですよね?」
 デカブツが不安げに呟いて、すがるように俺に身を寄せてくる。
 ――そんなの当たり前だろ。
 そう言おうとしてやめた。俺は写真をデカブツの顔の前にやった。
315『オレルド×伍長4-2』13/14:2006/12/03(日) 18:58:38 ID:???
「お前の“准尉”は、なんて言ってると思う。忘れたら許さねぇと言ってるか? お前は“准尉”
のこと愛してたんだろ。今でも愛してんだよな? お前は“准尉”のことをよく知ってる。“准尉”
なら、こういう時なんて言うと思う?」
 写真の“准尉”が、優しい笑顔でデカブツを見つめている。
 デカブツも黙って見つめていた。
 やがて俺の腰にまわした手にギュッと力を込め、デカブツは涙に震える声で言った。
「“ランデル……この、大バカ野郎……。お前は…相変わらずトロいなぁ。し……死んじまった俺
のことなんか、とっとと忘れて幸せに……なれよ”」
 デカブツは涙を零して、俺の肩口に顔を埋めた。声を殺して泣くデカブツの頭に手をやり、震え
る体を抱きしめた。
「それでいいんだ……。俺もそう言ってると思うぜ」
 俺が言うと、デカブツは何度も小さくうなずいた。
 もう一度、“准尉”の写真に目をやった。
 写真の中の“准尉”の声が、俺にも聴こえたような気がした。

 ――そいつのこと、よろしく頼むぜ。どうかどうか、幸せにしてやってくれよ。

          *

 俺自身がデカブツに救われ、デカブツの言葉にヒントを貰い、自信をも貰った。
 デカブツが少しずつでも前に進めるようになった理由は、やはり“准尉”の死を目の当たりにし
たからだ。紙切れ一枚の通達ではなく、愛する者がもの言わぬ骸になったのを見たからだろう。
 だったら、やることはひとつだ。
 俺はデカブツを残し、庁舎の図書館へ向かった。そこで調べたのは、四年前のノイゲリッツ戦線
の事細かな記録だった。
 図書館を出た頃に雨が降り出した。
 マインツ橋へ向かうと、黒いローブを着て未だに帰らぬ恋人を待ち続けるハンナがいた。
 やるべきことは、ひとつ。
 ハンナに真実を受け入れさせること。目を背けていた過酷な現実を受け入れさせ、ハンナに前に
歩き出させる力を与えること――。

          *

 その数日後、晴れ渡った空の下、街でハンナを見かけた。
 ハンナが俺に気づいて、笑いかけてきた。吹っ切れた、明るい笑顔だった。
 俺はハンナに近寄らず、その場に立ち止まってただ笑って返した。
 ハンナも俺に軽く会釈をしただけで、花屋で買った花を持って歩き去って行った。
 軽やかな足取りのハンナの後ろ姿を見て、彼女はもう大丈夫だと、俺は確信した。

「オレルド准尉、今度の休みにつき合って欲しいところがあるんですが……」
「んあ?」
 任務先へ向かうジープに揺られている時、隣に座っていたデカブツが話しかけてきた。
「どこにだ?」
「郊外のハウゼンという村です。少し遠くて……汽車で五時間ぐらいかかりますが」
「ふーん。いいぜぇ、お前とならどこへでも、だな。デートだ、デート〜!」
 上機嫌な俺がうっかりそう言うとデカブツが顔を真っ赤にして、ハッとした顔で前を見て今度は
顔を青くした。
 バックミラーに写った隊長が、ミラー越しに俺を睨みつけているのが見えた。
 俺は愛想笑いをして返し、少し声を潜めてデカブツに訊いた。
「何があんだ、そこ」
「お別れに行くんです」
316『オレルド×伍長4-2』14/14:2006/12/03(日) 18:59:31 ID:???
「お別れ?」
 俺が目をすがめると、デカブツが少し寂しそうに、だけど吹っ切れた微笑でうなずいた。
「准尉の故郷なんです。今はもう廃村になっているんですが。そこに大きな楡の木があって、子供
の頃、その木に登って遊んでいたと、そこから一望できる風景が好きだったって、よく話して聞か
せてくれてました。だから俺……その木の根元に、准尉の遺品を埋めて来ようかと思うんです」
「……俺が一緒に行ってもいいのか?」
「もちろんですよ。この間……ロッカーで着替えてる時にも言おうと思ったんですが、往復で休み
丸一日潰れちゃいますし、ご迷惑なんじゃないかと思って、言い出せなくて……」
 照れくさそうにうつむいて、デカブツは頬を掻いた。
 ほらな……やっぱり聞いたあとで肩すかしを食らっちまうようなことだった。
 あの時ビクビクしていた自分のことを思い出し、おかしくなっちまった。同時に、やっと俺のこ
とを見て“准尉”のことを想い出にするべく前へ進み出してくれたデカブツに、堪え切れないぐら
いの愛情が湧き上がった。
「このバカ! お前は可愛いなぁ! なんでそんなに可愛いんだよ、こんにゃろぉ! お前の頼み
を俺が断れるわけねぇじゃねぇかよぉ!」
 辛抱たまらずデカブツの頭をガバッと抱き寄せ、ぎゅうぎゅう締めつける。
 運転しているマーチスがわざとらしい咳払いをしたように思ったが、気のせいか?
「じゅっ准尉! や、やめて下さい、こんな……と……こで!」
 真っ赤になってもがくデカブツに構わず、俺はデカブツの頭に頬ずりする。
「俺もお前を連れて行きたいとこがあんだよ! 夜にはそこに行こうぜ、な!」
 マーチスがゲッホンゴッホンと大きく咳払いをした瞬間、
「いい加減にせんかこのバカップルどもがーーーー!!」
 堪忍袋の緒を切らした隊長が助手席でガバーッと立ち上がり、剣を振り上げた。
「おおっ!?」
「うわあっ! しょ、少尉! す、すみません、ごめんなさいッ!!」
「後ろの席で任務中にイチャイチャイチャイチャするんじゃないーーッ!!」
「たた隊長、危ない! 危ないですから、座って下さ……あわわわっ!」
 ハンドルを取られ激しく蛇行するジープの上で、またしても俺は隊長にボコられることになるの
だった――。

【The end】
317男体の人:2006/12/03(日) 19:00:18 ID:???
思った以上に難産ですた…orz
もう途中で自分が何を書いているのか分からなくなってきた……。
エロシーンも強引すぎるし、心理描写も上手くできなかったし
本当に反省点だらけですorz
すみません、ごめんなさい。
一部を拝借するパロならともかく、
もう全編拝借するパロは二度とやらないと誓った。
自分の文章力では、まだまだ無謀ですた…(;´д`)

>>282
こんな続きになってしまいましたが
お楽しみ頂けると幸いです〜;
>>283
遅刻しませんでしたか?w
いつも変な時間に投下しちゃってすみません。
>>284
あわわ、投下に立ち会われたのですか!
な、なんか恥ずかしいな…w
>>285
サー!ありがとうございます、サー!!
伍長をファックできる許可を曹長から頂けるなんて…
これ以上の幸せはありません!www
>>286
身に余るほどのお褒めの言葉、ありがとうございます!
後編も楽しんで頂けるといいのですが…。
>>287
後編はシンクロ率が散々なぐらい落ちてしまいますたorz
オレルド視点で書いているために、
捨禁の活躍っぷりをあまり書けずに無念です。
>>288
オレルドのチンコが折れるほどに
伍長とヌルヌルいちゃいちゃガッチュンして欲しい
ものですなw
318名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 19:36:07 ID:???
うっかり感動して泣きました…
萌えと感動をありがとう男体の人!!
319イカの人:2006/12/03(日) 20:12:52 ID:???
うおー!最高です!
アニメとのシンクロ率も高く心の限りGJを送りたいです!
次書くときには本…番…入れたいです…w
テキスト保存だなんてとんでもないです!
ハンスとかエリスとか黒歴史ですからorz
これからもずっとwktkしてます!
>>301
オーウ本当だこれじゃあベネツィアですね…
マー伍これから書いていけるといいなぁとか思っております。
感想ありがとうございました!
320名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 21:33:12 ID:???
GJ
321sage:2006/12/03(日) 21:42:43 ID:6ZRs28Xm
男体の人GJ!
すごい萌えも有り、切ない心理描写には涙腺弱まった。
ハッピーエンドで良かったよー。

宣伝みたいで申し訳ないんだが、ここのスレ知らなくて数字板でSS投下してしまった。
こっちのほうがいっぱいおっぱい言えそうなので、今度出来たらコッチに投下したいノシ
322名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 21:43:57 ID:???
ごめん。間違えたorz
323名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 21:54:01 ID:rNBjWjcN
GJ!!男体の人!!!

話は変わるが某雑誌の作者インタビューで
「伍長は最初オレルドみたいなキャラ設定で少尉が凄い真面目なのでそれを茶化すようなキャラ。
一見お気楽なんだけど中が実は凄く冷たい」って言ってたよ。
その設定で描かれてたらどうなってた事か・・・。想像つかん!! 」
324名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 22:27:02 ID:???
>>317
団体の人GJ!
一気に読むのが勿体無くて、じっくり読ませてもらいました
もう、涙腺がやばい!
9話がいい感じに織り込まれていて凄く読み応えがありました

>>323
某雑誌てアレかw
そんな伍長だったらハードなセックスしそう
ていうか、オレルドとキャラ被るやん!
325名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 23:41:25 ID:???
ここは神のおわすスレ…(*´д`*)
男体の人もイカの人もGJ過ぎます!!
もはや伍長に萌え死ねる!
こんなにも伍長好きになるとは思わなかった…!!

アリス、オレルド、マーチス、レオニールと全てに超萌えたので
こんなんもアリかと試しに描いた伍長をそっと置いていきます
ttp://deaikei.biz/up/up/3646.jpg.html (人として閲覧注意)
pass 901801
……すいませんorz
326名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 23:46:46 ID:???
>>325もGJ!
絶倫ファイアー!
モララーのビデオ棚の315を彷彿とさせられましたw
327イカの人:2006/12/03(日) 23:50:46 ID:???
>>325
うおお!寝ようと思ってスレを開いてみればすばらしい絵が!
超超GJです!
これでいつかSS書いてみたいですねぇ…
328名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 00:19:01 ID:???
>>317さんも>>325さんもGJ!
伍長がこんなに可愛くなるなんて…
このスレは神に愛されていますね
329名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 00:56:05 ID:???
男体の人もイカの人も獣姦の人もいいなぁ
GJGJ!
俺も2作目の構想は出来てるんだが筆が進まない…orz
細かい表現をどっちにしようかと悩む…



まぁまたぶちぶち書いて深夜にでも投下させて貰いますっさー!
330名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 01:06:37 ID:???
>>328
きっと伍長が神達に愛されている、が正解w

男体の人、イカの人、獣カンの人GJ!
そして>>329の人も楽しみにしている、ガンガレ!
331男体の人:2006/12/04(月) 18:17:51 ID:???
レス下さったかた、ありがとうございます。
かなり自信のないSSだったので、
GJのお言葉を頂けて心底ホッとしました。

>>イカの人さん
そんな、あれを黒歴史とおっしゃるなら
自分も今まさに黒歴史製造中でありますよw
こちらこそ、これからのイカの人さんのSSに
wktkしながら全裸で待ってます。
マー君×伍長、楽しみに待ってますw
>>321
モララーのほうですね!拝読しました!
禿げた…ハァハァ(*´д`*)
獣姦の人といい、時代は今、マー君×伍長か?w
今度はこちらでSSを読めるのを楽しみにしてます。
いっぱいおっぱい言って下さいw
>>325
GJ!!!!!
なんてエロい伍長なんだ…
う〜ん、自分もマー君×伍長
書きたくなってきましたw
>>329
2作目楽しみにしてる!
ガンガレ!!
332獣姦の人:2006/12/05(火) 00:51:37 ID:???
名を頂いたので試しに名乗ってみましたw
ありがとうございます>>329
この名に恥じぬように頑張りますサーw
前回含めレス下さった方マジ感謝です。・゚・(ノД`)・゚・。

ビデオ棚の存在知らなくて、今ググって>>321さんの読んできました!
伍長の可愛らしさに禿萌え!超GJです!!(*´д`*)ハアハア
何か変にネタ被ってすいませんorz
全ての神々の次回作激しくワクテカしております(0゜・∀・)
マー(犬)×伍きたらマジ禿げる…w
333名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 06:00:23 ID:???
単行本を今日2巻まで買って伍長にメロメロになったものです。
こんな素晴らしい神スレを発見できて幸せ…!

あまりの悶えっぷりに、>>90の方の絵を描かせていただいちゃいました。

伍長ムキムキすぎかも…。
前にも描いた方いらっしゃいますね、かぶってたらすいません。orz

ttp://www.uploda.org/uporg605375.jpg.html
pass:5cho

うおーすぐに残りの単行本を買うぜ!伍長待ってろ!
334名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 06:11:25 ID:???
>>333
かっ…かわいいかわいいいいいい悶え伍長!!!!!
も、もちろん少尉も!伍長はこれぐらいムキムキでいいと思いますよ!
でも胸は敏感(*´Д`)ハァン
単行本3巻収録の9話がおすすめです。
335名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 12:22:27 ID:???
>>>333
キャワイイ!
336男体の人:2006/12/05(火) 18:10:30 ID:???
と言うわけで、我慢が出来ずに書いてみました。
ドン引きされるのは覚悟の上で。
半分以上ギャグのつもりで書いてますので
真面目に読まないで下さいねwww

********************
      『マー君×伍長』
      獣 姦 警戒警報発令。
********************

>>325さんの絵と、獣姦の人さんのSSに触発され…。
昨夜寝る前に、勢いのまま2〜3時間で書き上げちゃったものなので
出来は期待せずに、お遊び半分で読んで下さい(;^^)
今現在マー君×伍長のSS書いているかた、
いらっしゃいましたら、ネタかぶりごめんなさい;

では、どぞー。
337『マー君×伍長』01/07:2006/12/05(火) 18:11:51 ID:???
 俺――ランデル・オーランド――は、動物が大好きです。
 動物はこっちが愛情を注いでやればやるだけ、向こうも返してくれます。
 体を目一杯擦り寄せてきたり、手や顔をぺろぺろ舐めてくれたり。言葉は話せないけど、その分、
彼らは小さい体を一生懸命使って精一杯の愛情表現をしてくれます。
 そういう純粋な優しさが、たまらなくいいなぁと思います。
 特に犬と猫は、身近な動物だけあって愛着もひとしおです。
 『犬派? 猫派?』って訊かれたら、『どっちも同じぐらい大好き』としか答えられません。
 いえ……答えられません“でした”、今までは……――。

          *

「伍長さん、本当にすみません! 大丈夫ですか、大丈夫ですか!?」
 俺の目の前で小さい曹長が、俺以上に顔を赤くしてぺこぺこと頭を下げていた。
「大丈夫ですよ、気にしないで下さい。こんなの……洗えば済むことですから……ハハ」
 曹長に気を使わせないように、なんでもないことのように笑いたかったけど。
 隊服のコートにべっとりついた液体を見ると、どんなに頑張っても顔が引き攣る。
 正直、泣き出したい気分だった。
 曹長が大きな目に涙を溜めてうるうると俺を見上げてきた。
「本当に……本当にごめんなさい、伍長さん。マー君たら、今でも降格されたこと恨んで……」
 恨んでるのかなぁ、あれは……。
 恨みとか意地悪とか仕返しとか、動物にそんな感情があるのかな。
 そもそも、いつも俺を甘噛みしてくるマーキュリー号の顔は、どっちかと言えば嬉々としている
ような気もするんだけど……。
 だから俺は、マーキュリー号はきっと俺に遊んでもらいたくて、いつも追いかけ回してくるんだ
と思ってた。マーキュリー号みたいな大型犬が力いっぱい飛びついても大丈夫な人間なんて、そう
いないと思うし。
 俺を追いかけ回すのが私怨からのものなら、俺の脚にがっしり組みついて、俺があわあわしてる
間に腰を擦りつけて、あげくの果てにフィニッシュまでイッちゃうだろうか……。
 でもなんか、曹長の今にも泣きそうな顔を見てると、恨みってことにしておこうと思う。
「気にしないで下さい、曹長。軍人……いや、軍用犬にとっても降格は最大の屈辱です。恨まれて
も仕方ないです」
「でもっ、いくらなんでもオシッコかけるなんて、ひどいですよぅ!」
 …………オシッコ?
 ああ、そうか。
 うん、そうなんだ……。
 曹長は、これがなんなのか分かってないんだ。
「そ……そうですね……、でも洗えば済みますから……はい」
「それはそうですけど……やっぱりでも! このままじゃいけないと思うんです! 伍長さんだっ
てマー君だってパンプキン・シザーズの仲間なんです! 降格されたことをいつまでも根に持って、
いがみ合ってちゃいけないと思うんです!」
 いがみ合い……なのかなぁ?
 曹長は顔を真っ赤にして、決意をこめた眼差しで、キッと俺を見上げてきた。
「わたしっ! マー君と話し合ってきます! そして伍長さんにオシッコかけたこと、謝らせます
から! 絶対に謝らせますから!! マー君が逆らうようなら、お尻ペンペンも辞さないです! い
くら友達でも、わっ…私のほうが上官なんですから、ガツンと言ってきます!」
「いや、あ……――」
「こらーっ、マー君どこにいるのぉー! 伍長さんに謝りなさーーいッ!!」
 俺が止める隙もなく、曹長は腕を振り回しながら駆け去って行った……。
 マーキュリー号はどうやら今、発情期のようだった。
 あれ? でも俺、こないだも脚にしがみつかれて同じことやられたよな……?
 犬って、そんなに発情期の周期が短いんだろうか?
 それとも……マーキュリー号だけが、そんな感じなんだろうか?
 そう言えば、オレルド准尉が『あいつは絶倫ファイヤーだからな〜』って言ってたっけ。
 それはそれで、マーキュリー号も大変なんだろうなぁ……。
338『マー君×伍長』02/07:2006/12/05(火) 18:12:43 ID:???

          *

 マーキュリー号に汚されたコートを洗面所で洗って、オフィスに戻って来ると、そこには誰もい
なかった。
「あれ……?」
 曹長はマーキュリー号を探しに飛び出して行ったから居ないのは納得できる。
 少尉と大尉は……会議かな?
 准尉二人は開発班のラボでウェブナー中尉と話してるのかもしれない。
 コートを洗った理由をいちいち説明しなくてもいいから、ちょうどよかった。
 とりあえずロッカールームへ入り、裾の濡れたコートをハンガーに掛けて乾かすことにした。
 オレルド准尉に、またからかわれちゃうかな……。
 ロッカーの外にかかったコートを見て、そんなことを思った時だった。
「ワフン!」
 気の抜けた紙風船みたいな鳴き声に、俺はハッとして振り返った。
 少し開いたドアの隙間から、スルッとマーキュリー号が入ってくる。
 条件反射で身構えてしまう俺。
「マ……マーキュリー号……、曹長が探してたぞ……」
 なんで犬一匹にこんなに脅えなくちゃいけないんだろう……。
 自分が情けなくなるけど、すぐに俺のこと追いかけ回すし、頭だろうが顔だろうが腕だろうがガ
ブガブ噛んでくるし……甘噛みだから痛くないけど……、何より俺の脚で性欲発散するし……、怖
くなっても仕方ないと思う。うん。
「ワフン! ワフン!」
 マーキュリー号が尻尾をパタパタ振りながら、俺に近寄ってきた。
 俺はビクッとなって慌てて後ずさる。けど、すぐ後ろに壁があって、俺はあっという間に追いつ
められてしまった。
「ダッ、ダメ! 近寄るな! こっちに来るな! 着替えないんだからダメだ!」
 手を前に突き出すと、マーキュリー号がピタッと立ち止まった。
 しばらく俺のことを不思議そうに見つめて、やがてその場でストンと腰を下ろした。
 あれ……俺の言うこと、聞いてる?
 マーキュリー号はその場におすわりして、尻尾をパタパタ振りながら黙って俺を見上げている。
 そのつぶらな目は、俺と遊べる純粋な期待を宿しているようにキラキラと輝いてて……。
 ああ、やっぱりマーキュリー号は俺と遊べると思ってたんだ。
 性欲発散の道具にされようが、マーキュリー号にはそんな倫理観なんかないし。仕方ないよな、
だって動物なんだもん……。
 大人しいマーキュリー号にちょっとだけ安心して、少しずつ近寄って行く。
 マーキュリー号は相変わらずキラキラした目で俺をジッと見つめたまま、良い子にしている。
 おそるおそる手を伸ばして、マーキュリー号の頭に触れた。
 しっかりした骨格を覆う、短いけど柔らかい毛の感触と暖かさが手袋越しに伝わって、なんだか
ホッとする。
 やっぱり動物って可愛いなぁ……。
 そろそろと頭を撫でてやると、マーキュリー号は気持ち良さそうに目を閉じたまま、大人しくし
ていた。
 俺はホッとしてマーキュリー号の前に座り込んだ。
 耳の後ろも掻け、って感じでマーキュリー号が頭を動かした。
 その通りにしてやるとマーキュリー号はますます気持ち良さそうに俺の手に頭を擦りつけてくる。
「なあ、お前……俺のことが嫌いなのか?」
 答えられるわけがないと分かっていながら、ついそんなことを訊いてしまった。
 こうやってマーキュリー号としんみり話すことなんて今までできなかったし、珍しく大人しく俺
に触らせてくれてるから、ちょっと嬉しくなってしまう。
「やっぱり階級のことで恨んでる? それはもう……どうしようもないけど……。俺、お前と仲良
くしたいんだぞ。もしかして猫の匂いがするから怒って――」
 その時、マーキュリー号が急に頭を動かした。
 俺がビクッとしてる隙に、マーキュリー号は撫でていた俺の袖口をガブッと噛んで引っ張った。
339『マー君×伍長』03/07:2006/12/05(火) 18:13:46 ID:???
「うわっ!?」
 しゃがんでいた不安定な姿勢だったから、あっけなくマーキュリー号に引き倒されてしまった。
 うつ伏せに倒れた俺の背中に、ドスドスと乗って行く。
 ――踏みつけるなんて、あんまりだ……。
 やっぱり俺のこと恨んでるのかなと悲しい気分になった時、ズボンが引き下ろされる感触が。
「――!?」
 ギョッとして振り返ると、マーキュリー号が俺の尻に前足を乗せて、ズボンの穿き口をくわえて
ギュウギュウ引っ張っている。
「な、何やって……!」
 起きようとして慌てて腰を浮かせてしまったのが仇となった。
 今までは俺の体重で押さえつけられていたズボンが、その瞬間、ズルッと膝上まで引きずり下ろ
されてしまったのだ。
「こッ……!」
 こらっ、と怒鳴ろうとした瞬間、マーキュリー号がパンツを穿いたままの俺の尻の割れ目に
ズボッと鼻先を突っ込んできた。
「ひぃぃぃッ!!」
 濡れた鼻先がちょうど肛門にあたって……。荒い鼻息とその熱さに、ゾワゾワとした震えが背筋
を走り抜けた。
「ひ…っ、バッ、バカ……やめ……!」
 そんなところの匂いを嗅がれてるなんて思ったらもう、恥ずかしくて腰が抜けそうになった。
 マーキュリー号はただ遊んでるつもりだけかもしれないけど、でもそこは遊びで済ませられるよ
うな場所じゃなくて……。
 フッフッともの凄い鼻息を押しつけられて、背筋がゾクゾクする。
 このままじゃいけない領域に踏み込んでしまうのは間違いない。
 そう思った俺は、マーキュリー号の頭を掴んで押し退けようとした。
 いくら動物だからって、いくら仲間だからって、やっていいことと悪いことの区別はきちんと教
えなきゃいけない!
「いい加減に……――!」
 だけど手を伸ばそうとした瞬間、なんとマーキュリー号がそこをべろべろ舐め始めた。
「ぎゃぁ!?」
 人間の舌では絶対に不可能な動きが、布越しにそこを攻めてくる。パンツはすぐにマーキュリー
号の涎でベタベタになる。濡れた布地がぴったり貼りつき、マーキュリー号の舌の感触がダイレク
トに伝わってきた。
「ひっ……、い……、あ……」
 抵抗しようにも体に力が入らない。顔が熱くなって、頭が朦朧としてくる。
 マーキュリー号がそこを舐める感覚が、背筋をゾワゾワとくすぐって。
 動物相手に何やってるんだ、俺!? これじゃ動物虐待じゃないか……!
 ……いや、虐待されてるのは俺のほう?
「ワフン♪ ハフン、ハフン!」
「ヒッぁ…! バ、バカ…! 鼻息押しつけ……るなよぅ……!」
 舐め回されている尻の穴がムズムズし始めたのが自分でも分かった。
 前のほうも硬く張りつめていく感触がある。
 う、嘘だ、俺、感じてる……!
 犬なんかに舐められて感じてる……!
 いくらマーキュリー号の舌技が絶妙と言っても、このままじゃ俺、人間失格だぁ!
 な、なんとかしなきゃ……ああ、でも力が入らない……。
 理性と欲望の狭間で必死で戦っている時、マーキュリー号がまたしても今度はパンツの穿き口を
噛んで引きずり下ろそうとしてることに気づいた。
 嘘だろ! パンツの上からでもすでに危ないのに、この上、直になんて……!
 どうしよう、どうしたらいいんだ? 思い切って……殴る? でもそれはあまりにも酷過ぎない
か? いや、こんなことしてるマーキュリー号のほうが、よっぽど酷いんじゃないか!?
 そんなことをおろおろ考えている間に、とうとうパンツまで引きずり下ろされてしまった。
 直にそこに当たる濡れた鼻先の感触に俺の理性が悲鳴を上げた。
「ダメ……! よせ、よせよせ!!」
340『マー君×伍長』04/07:2006/12/05(火) 18:14:58 ID:???
 俺はなんとか体を反転させて、仰向けになった。
 これでもう尻なんか舐めることができない。マーキュリー号も諦め……――てない!?
 マーキュリー号が俺の腹の上にドスドス乗ってきた。シャツを噛んで思いっきり引っ張る。
ビリッと鋭い音がして、シャツが破かれてしまう。
「な、何やってんだよ……! やめろよ……!」
 俺は怖くなって、マーキュリー号を押し退けようとしたけど……
「ウォン!!」
「ひっ…!」
 いつもの空気の抜けた紙風船みたいな声じゃなく、犬らしい気合いの入った声で一喝された。
カッと開いた口の中に鋭い牙が見えて、甘噛みどころか本気で噛まれる恐怖感がドッと襲ってきた。
 体が竦んでしまって、傍若無人に振る舞うマーキュリー号を押し退けることも出来なくなった。
シャツがビリビリに破かれて行く。
 なんで自分がこんな目に、しかも犬ごときに遭わされなくちゃいけないんだろうと思うと、恐怖
と情けなさで涙が出てきた。
 情けないけど、恥ずかしいけど、もう俺じゃマーキュリー号を止めることが出来ない。
 マーキュリー号を止められる人を思い浮かべて、その人たちに助けを求めようとしたけど、
「そ……曹長……、少尉……助けて……っ」
 怖くて体が竦んで大声が出せなかった。
「ワフン♪ ワフン♪」
 俺の気持ちなんか知るよしもなく、マーキュリー号が尻尾を振りながら俺に覆い被さってくる。
 顔をべろべろ舐められて、唇を舐められた時、犬にしては当たり前の行為なんだけど、今の俺に
はそれさえも卑猥な意志を感じた。
「うぶっ…、や、やめろ……! やだ、って言ってるだろッ!」
 しつこく口を舐めまくるマーキュリー号から顔を背け、顎の下に腕を当てて押し退けた。
 そしたら俺の胸に前足を置いていたマーキュリー号の肉球が、乳首を擦ってきた。
 ただでさえ尻を舐められて中途半端に敏感になってしまった肉体が、ビクンと震えた。
 人の指とは違う肉球のプニプニした感触に乳首を揉まれると、また背筋をゾクゾクが走る。
「や…あっぁん! そこ……ダメだって……! は、離れろ……よっ、あぅん!」
 俺の腕が押し返す力をなくしたのを敏感に悟ったんだろう。
 マーキュリー号がここぞとばかりに、なおさら俺を攻めてくる。片足で乳首を踏み踏みしながら、もう片方の乳首をぺろぺろ舐め始めた。
「ああッ…! い、嫌だ……、やめろって……! はぅ……っあ」
 それだけじゃなかった。
 マーキュリー号が今度は後ろ足を使って、パンツから零れ出てる俺のあそこを踏み踏みする。
「ひっ、あ! そこはダ…メ……あっあん!」
 弱いとこばかりを攻められて、俺の体がどんどんエッチになっていく……。
 マーキュリー号はただ俺と遊んでるつもりなのかもしれないのに、俺と来たら犬相手にどんどん
いやらしい気分になっていくなんて、最低だ!
 俺のあそこはもう完全に勃ち上がっていた。先っぽに透明な雫が滲み始めて……。
 竿を踏むようにしてこすっていたマーキュリー号の足が、今度は先端を肉球で擦ってきた。
 一番敏感なところを肉球で擦られ、腰がビクビクと勝手に動く。
「う、あぁッ! いや……ッあ!」
「ワフン♪」
 この犬、本当は分かってやってるんじゃないのかッ!?
「やだ……、本当にもう……やめてくれ、マーキュリー号……っ」
 涙が勝手に流れ出て、体をブルブル震わせる俺の顔を、マーキュリー号がぺろぺろ舐めて来る。
「ワフン♪ ワフ、ワフン♪」
 な、なんか『大丈夫♪ 伍長、可愛いね♪』って言われてる気がするのは気のせいかな……。
 気のせいでも、本当にそうでも、とにかくもう俺かなりヤバいところまで来ちゃってる。
 今ここでマーキュリー号が気を変えてやめるか、俺がマーキュリー号をやめさせることが出来て
も、そのままトイレに駆け込んで自分で処理しないと収まりがつかない、そんなところまでだ。
 いや、それならそれでいい。犬なんかにイかされるよりは、自分で処理したほうがまだ人間とし
ての尊厳は保てる!
「ワフ♪ ワフワフ、ワフフン♪」
341『マー君×伍長』05/07:2006/12/05(火) 18:15:59 ID:???
 『伍長♪ もっともっと、気持ち良くしてあげるからね♪』とかなんとか言っているマーキュリ
ー号からなんとか逃れようとする俺。
 乳首を踏み踏みされ、ぺろぺろされ、あそこを擦られて、快感にのめりこみそうになりそうな体
を必死で叱咤し、手放しそうになる理性の尻尾を必死でつかんだ。
 腕には力が入らず自分の体重を支えられない。腹筋をつかって起き上がる力もない。
 だからもう一度うつぶせになって、膝を使って起き上がろうとする。
 そのために腰を高く挙げたとき、そこにドスンと乗って来るマーキュリー号の重さを感じた。
「う……?」
 涙に霞んだ視界で肩越しを振り向けば、俺の腰に前足を乗せて満面の笑み(?)を浮かべている
マーキュリー号が見えた。
 その瞬間、俺はハッとした。
 ――こっ、これはワンワンスタイル!!
 わぁ! 俺のバカバカ! マーキュリー号に挿入させやすい体勢を自らとって、どうする!!
「ワフン♪ ワフワフ、ワフン、ワフフフン♪(嬉しいな♪ 伍長も、僕のこと、欲しがってくれ
てるんだぁ♪)」
「ちっ、違う! これは違うんだ! 偶然この体勢になっただけで……――」
「ワフ、ワフ〜ン♪(じゃ、行くよ〜♪)」
 まずい! 俺マーキュリー号の言葉、分かってる!!
「やだ! ダメだって! それだけはダメ……――!」
 腰を引いて逃げようとしたその時、生暖かく硬いものが肛門にぬるっと入ってきた。
「ひィッ!」
 思った以上の太さがあったが、俺のそこはすでにマーキュリー号に舐めまくられ充分にほぐされ
ていたのか、何の痛みも抵抗もなくどんどん中へ招き入れて行く。
 マーキュリー号のそれが俺の内側を擦りながら、中へ進んで行くたび、背筋をゾクゾクが駆け抜
けて行った。
「あ……や…、う、うそ……、い、あ……入ってくる……ぅ」
「ワフン♪(全部入ったよ♪)」
「や……だ……、おねが……、ぬ…抜いて……」
 冷たい床に顔を押しつけてブルブル震えて泣くしか術がない俺。
 マーキュリー号が俺の腰に全体重を乗せて、腰骨のあたりをがっちり掴んできた。
 犬ってすごい力があるんだな……。そうか、手加減とか知らないからなんだ……。
 そんなことをぼんやりと思ったとき、マーキュリー号がドスンと腰を突き入れてきた。
「うっ…あっあーーーーッ!」
 マーキュリー号の先端が俺の前立腺をえぐるようにして突いて来る。
 人間とは違って一切の余裕はなく、ただひたすら射精することのみを目的にした、容赦のない腰
の動きだった。
「うあ…! はッ! い…ぁ…! ゴリゴリ……あたる……ッ! つ…潰れる……ッ!」
「ワフッ! ワフフゥワフン!(いいッ! いいよぅ伍長!)」
「ダメ……! マーキュリー……ご……ぅあン! ダメ……おかしくなる……!」
 ああ、俺、犬に……犬なんかに突かれて感じてる……!
 でもダメだ……、すごい……気持ちいい……!!
「あっあっ! マー……ぁっあ! いいっ、いいよぅ……っん!」
「ワフッ! ワフワフ〜ン!(僕も! 伍長最高〜!)」
 前立腺をえぐられ潰されそうなほどの力強いストロークに、俺はもうわけが分からなくなる。
 自分が今、何とセックスしてるのか、そもそもこれをセックスと言っていいものかを考える理性
も倫理観も、貫かれる熱い快感に呑まれてドロドロに溶けて行った。
 そしてそれは思いがけず突然にやってきた。
 自分がイクという感覚を自覚する余裕もなかった。
 激し過ぎるマーキュリー号の突き上げに、『来た…!』と感じたその直後、俺は……。
「アッ、あっアっ、あァあーーーーッ……!」
 体を激しく痙攣させ、尻だけ高く持ち上げた犬のような体勢で、ロッカールームの床に大量の精
液を吐き出していた……。
「う……うそだろ……」
 犬相手に……イッてしまった……。しかも……前に触らないで、尻だけで……。
342『マー君×伍長』06/07:2006/12/05(火) 18:16:58 ID:???
 罪悪感とおぞましさが全身を襲ってきそうになったとき、まだイッてないマーキュリー号が再び
腰の動きを再開した。
 電流が走り抜けるような快感が、イッたばかりの体を襲って来る。
「ふあッあ! ああぁァッ!」
「ワフフン♪ ワフフンッワフッ♪(嬉しいな♪ トコロテンでイッちゃうなんて♪)」
「イヤぁッ…! も、ダメ……! あっあーッ! やめて……ぇ!」
「ワフ〜ン♪ ワフワフワフ〜♪(ダメ〜♪ 僕まだイッてないし〜♪)」
「あ…ぅ! はッ…! 激しすぎ……ダメうあっあ! ああっあ!」
「ワフっ! ワフワフ〜!(ああっ! 伍長、伍長〜!)」
「ああっ…、ま、また……あ、あ、ッ……!」
 俺はまたしてもイッてしまった。
 しかも今度は射精するように勢いを持って精液が飛び出すのじゃなく、小便を洩らすようにドロ
ドロと流れ落ちて、しかもそれが止まらない。
 途切れることのない絶頂感が腰の奥で爆発し続ける。
 どうしよう、気が狂いそうだ……!
「ひッあ…! と、とま……ンんあッ! や、やぁッ…!」
「ワフ〜ン♪ ワフ、ワフッワフフン♪ ワフ〜?(すごいな〜♪ 伍長、イキっぱなしじゃない
か♪ そんなに気持ちいい?)
「ああーッ! あッあーーッ! し…死ぬ……死んじゃう……! イ…あッ……!」
 このまま本当に死ぬんじゃないか、マーキュリー号にイかされ続けて殺されるんじゃないかと、
快感に支配されきった頭の隅にそんな恐怖が浮かんできた。
 今すぐにこのバカ犬を払い除けて逃げ出したいのに、でももう、俺のほうの腰も勝手に動いて、
止まらない。
「あっう、バカ犬……! バカ犬ぅ……! ひっ、あ! いいぃ……!」
「ワオ〜ン!(発射ー!)」
 マーキュリー号が雄叫びを上げて、いっそう強く腰を打ちつけた瞬間。
「あぅっ! ひ……あ……で、出てる……ぅ」
 俺の中に熱い液体が弾けるのが、はっきりと分かった。
 ああ……俺、犬にヤラれた上に、中出しされちゃった…………。
 何度か腰をビクビクさせて、マーキュリー号の動きが止まった。
 ああ、やっと終わった……。
 これでやっと解放されるんだって言う安堵感と、今更だけど、もうこれで完全に自分が地獄行き
だって事実がひしひしと押し寄せて、涙がボロボロ零れてきた。
「ワフワフ?」
 マーキュリー号が尻尾を振りながら、満足げな顔で俺を覗き込んで来る。
 『泣くほど善かったか?』って?
 善すぎて死ぬかと思った……。
「うう、俺……最低だ……人間失格だ……」
 もう死んじゃおうかなとシクシク泣いていた時、マーキュリー号がゆるりと腰を動かしてきた。
「ひ……ッ!?」
 俺の中でマーキュリー号のそれがまだ萎えていないのが分かった。
「う……うそだろ……?」
「ワフ〜ン♪(もう一回♪)」
「うそ! やだ! やめろってバカ犬! バカい…あぁ〜〜ん!」

          *

「よかった! 伍長さんとマー君、仲直りしたんですねぇ!」
 椅子に座っている俺の膝の上にどっしりと乗っかって、肩に前足を置いて俺の顔をべろべろ舐め
まくるマーキュリー号の様子を見て、曹長が目に涙を潤ませた。
「はぁ……まぁ……」
 俺は顔が熱くなるのを感じながら、マーキュリー号の顔をそっと押し退ける。
 結局、あのあとマーキュリー号は『もう1回』どころか数え切れないぐらい俺の中に出した。
 オレルド准尉が言っていた“絶倫ファイヤー”の意味を、身をもって知ってしまった。
343『マー君×伍長』07/07:2006/12/05(火) 18:18:02 ID:???
 それでもまだまだ『やれる!』と言い張るマーキュリー号に、最後は俺のほうから『もう尻の穴
限界だから! 死ぬから! お願いだからやめて下さい!!』と泣きを入れて、俺はようやく解放し
てもらったというわけだ。
 怖かった……本当に怖かったです……。
 唯一の救いは、犬なんかにアンアン言わせられていた場面を、誰にも見られなかったってことぐ
らいだな……。
 そんなこと知るよしもない(知ってもらいたくないけど)曹長が、嬉しそうに、でも不思議そう
に首を傾げて俺とマーキュリー号を見る。
「でも、いったいどうやって仲直りしたんですかぁ?」
「う……それは、その……」
「ワフワフン♪(セックスして♪)」
「……!!」
「フガッ」
 曹長に分かるわけがないのに、俺は思わずマーキュリー号の口を塞いでしまう。
 そう、あれから俺はマーキュリー号の言葉がわかるようになってしまったんだ。
 なんでだろう……、体が繋がっちゃったから?
 何回も中出しされちゃったから……? あう、泣けてくる……。
 フガフガと暴れるマーキュリー号を押さえつけながら、俺は曹長に引き攣る笑みを向けた。
「な……なんて言うか……その……たくさん……遊んであげたので……」
 あながち嘘じゃないと思う……うん。
 それを聞いて、曹長がパァッと笑顔を輝かせた。
「じゃあマー君は伍長さんのことを恨んでたわけじゃないんですね! よかった! マー君は絶対
そんなコじゃないと思ってたんですよぅ! 伍長さんにいっぱい遊んでもらいたかったんですね!」
「ええ……そ、そうみたい……です」
 言えない……!
 曹長の汚れを知らない無垢な笑顔を見てると、『俺は雌犬の代わりにされたんです』なんて、と
ても言えないぃぃぃ!!
「ブハッ! ワフ、ワフン、ワフフン(分かってるよ、あれは二人だけの秘密だろ、誰にも言わな
いって)」
「う……」
「ワフ、ワフフフ、ワフ〜ン♪(それに僕だって、伍長があんなに可愛く乱れるなんて、誰にも教
えたくないも〜ん♪)」
「くっ……!」
 犬のくせに! 犬畜生のくせに! なんだろう、この余裕は!!
「あれれ? マー君、どこ行くの?」
 俺が涙を堪えていると、マーキュリー号が俺の膝の上から飛び降りて、トコトコと歩き出した。
 開け放たれたドアの前に来たとき、マーキュリー号は俺を振り返った。
「ワフ、ワフワフン(また今度、天国に行かせてやるからな)」
 くっ……このバカ犬うぅぅぅぅ!! なんだその男前っぷりは!!
 なんだか小憎らしい自信たっぷりの笑みを浮かべ、マーキュリー号は外へ出て行った。
「マー君ー、あんまり遠くに行っちゃダメだよ〜!」
 何も知らない曹長が、笑顔でマーキュリー号を送り出す。
 そして俺のほうを振り返り、笑顔で何かを言おうとして目をぱちくりさせた。
「あれ? 伍長さん、顔が赤いですよ?」
「な……なんでもありません……」
 『犬派か、猫派か』って訊かれたら、今の俺なら迷わず『猫派』って言うだろう……。
 こうして俺は、犬が……というかマーキュリー号が嫌い……じゃないけど、前にも増してますま
す怖くなった……――。

【終】
344男体の人:2006/12/05(火) 18:18:45 ID:???
獣姦なんて初めて書きましたが、思った以上に楽しかったですw
ただの無個性の動物じゃなく、マーキュリー号というパーソナリティが
確立されたキャラだったので、気楽に書けちゃったんだと思います。
伍長にもいつも以上にケモノのようなエロモードで頑張ってもらいましたw
伍長にもっとエロい台詞を言わせたかったんですが、
まぁそれはまた今度(機会があれば)。

>>333
>>90は私でございます。
可愛いイラストありがとうございます〜!!
ありがたく、即効で保存させて頂きました!
本当に絵が可愛いですね。
私も伍長はこれぐらいムキムキしてるほうが好きです。
やっぱり、おっぱいが大きくて敏感な伍長が一番ですからw
おっぱいチュパチュパ伍長&少尉、創作意欲を刺激するのかな?
なんだか嬉しいです♪
本当にありがとうございます〜。
345男体の人:2006/12/05(火) 18:48:01 ID:???
あ、ごめんなさい!
>獣姦の人さんの絵と、>>321さんのSSに触発され…
の間違いです!すみません…(;´д`)
346名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 18:58:56 ID:???
ちょwwマー君wwww
えらい笑かしていただきました 激しくGJ!!
347名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 19:43:45 ID:???
さすがはマーくん
激しすぎる!!
獣姦の人の絵と会わせてGJ!
348名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 21:55:49 ID:???
GJ
349名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 22:02:17 ID:???
ぐぐぐGJ! 自分も伍長をわんわんスタイルで犯したいであります!
昔犬の動きの動画見たことあるけどむちゃくちゃ高速なんだよね…w
350名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 22:33:54 ID:???
そういえば犬って交尾のあと、30〜1時間くらいおにんにんが中から抜けなくなっちゃうんだってね
イッタ後、おにんにんの瘤がおっきくなっちゃうから
繋がったところをみんなに見られちゃう伍長を想像したらおっきした。
351名無しさん@ピンキー:2006/12/05(火) 23:49:57 ID:???
若輩者の333です。レス失礼しますっ!

>>334
一気に五巻まで揃えました!
鼻血出た!
伍長の赤面と准尉と…萌え殺されました(*´д`)
SSを読み返してさらに悶えました。

>>335
描いてて愛が止まりませんでした!
伍長の照れ顔の破壊力は異常であります!

>男体の人
マー伍GJでした!!
伍長の弄られ姿は色々かきたてたれますよー。
自分には珍しく伍長は男女獣なんでもしっくり来ます。
伍長の受オーラは凄まじいですね…(*´д`)
これからもwktkしております!

こんな俺にレスくださってありがとうございます!
あーほんと伍長可愛いよ伍長…。
352イカの人:2006/12/06(水) 00:47:21 ID:???
うわあああ!
たった一日でこんなに萌えがたくさん!
男体の人さんも>>333さんもGJです!
伍長の愛され方はすばらしいですなぁ
353名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 03:11:59 ID:???
ここは神々のおわすインターネットですね。
SSもイラストもみんなスバラスィ…(*´д`)
354名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 04:45:47 ID:???
流れを読まない>>333です
耐え切れずまた描いてしまった…。
イカの人さんの酒乱マーチス×伍長がツボ過ぎだったので支援してみるw
http://kossie.run.buttobi.net/cgi-bin/up/src/kos0065.jpg.html
pass:5cho
二夜連続でホントすいません…。
俺じゃない、右手が悪いんだ!

全裸で待ってていいですか?
355名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 04:55:22 ID:???
あと…絵の状況的に補足…。
「伍長さあ〜…もうちょっと君自覚したほうがいいよ〜」
「な、何がですか……?(うう…また酔ってる…)」
「君さあ〜…オーラ出しすぎだよ?何それはわかってやってんの〜?」
「マーチス…准尉……ひっ…指が…(く…喰われるッッ!)」

だめぽ。orz
356名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 08:37:48 ID:???
>>354
G・J!
あわあわしてる伍長もハァハァですが酔ってるマーチスが…(*´∀`)
"ぬこが見てる"状態にもほのぼのしました!


本当にここは神ばかりのインターネッツ…
357名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 17:41:01 ID:???
男体の人ですが、SS投下以外の書き込みのときは
名無しに戻っておきます。

>>354
GJ!!!!
可愛い絵柄なのにしっかりとエロさもあるのがイイ!
マーチスはきっと酒の力を借りなきゃ伍長を襲えないと見たw
ちゃっかり食っちまった後に「え?僕、昨日何かした?」とか言っても、
実は全部覚えてそうですねww
私もイカの人のマー伍ハァハァして全裸で待ってます〜(*´д`*)
358男体の人:2006/12/06(水) 22:19:43 ID:???
名無しに戻ると言った矢先に、しかも連投すみません。
今日は絵の投下。
「おかわり伍長」
ttp://deaikei.biz/up/up/3674.jpg.html
パスは「901」
上のお口からも下のお口からも、たっぷりと摂取して欲しいw
359名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 22:21:47 ID:???
>>354
イカの人のアレか
10話でマーチスが酔ったら豹変する性格だと立証されたので
よりリアルに感じられる
GJ!
360獣姦の人:2006/12/06(水) 22:21:59 ID:???
おわ、ちょい来れなかっただけでこんなに萌えがっ…!!!
伍長スゲーw

>>333
新たな神がっ!!゚・*(・∀・)*・゚
どちらの絵も超エロカワイイですvV
ちんまり視姦ぬこ萌え…!!(*´д`*)
GJGJ!!

>>男体の人
マー君×伍長!!'`ァ '`ァ '`ァ (;´Д`) '`ァ '`ァ '`ァ
マジ禿げました!!
もう伍長エロいわカワイイわ可哀相だわ…(*ノ∀`*)
そしてマー君素敵だw
超GJ過ぎます!!!

また一個伍長を…たまには資料見て描こうと公式の壁紙落としたら服に萌えた(*・∀・*)
相手が何故かオレルドなのは描いてみたかったから…
ttp://deaikei.biz/up/up/3672.jpg.html
pass 901801
資料見た意味が服以外ないorz
361名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 22:23:39 ID:???
>358
うめぇwなんだおまいは神か、神なのか!
362獣姦の人:2006/12/06(水) 22:27:32 ID:???
Σ(゚Д゚)
書いてる間にエロカワイイ伍長が!!w
男体の人さんの絵初めて見た!
すげえうめえしエロい!!(*´д`*)ハアハア
もうGJ過ぎて言葉もないです(*ノ∀`*)
このスレ神多過ぎるw
363名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 22:55:01 ID:???
>>358
ちょwおかわりてw
伍長のにこやかな表情とやっている事のギャップにワロタw
GJ!!

>>360
獣姦の人もGJ!
資料ってあの壁紙か
あの服の伍長はカッコイイんだよな〜
364名無しさん@ピンキー:2006/12/06(水) 23:56:20 ID:???
>>354
うおお!GJ!
ツボったなんてとんでもないお言葉!
アニメマーチスの悪酔いは自分で見てて驚きましたよ。ええ
>>358
男体の人さんGJ!
なにこの笑顔すんごくエロイですw
>>360
獣姦に人もGJ!
服ありでのシチュっていいですよね〜…
365名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 00:50:59 ID:???
>>354す。
一晩で…なんだこの神空間!?
愛もとい萌えが溢れて…(*´д`)

>>356
態度悪いマーチスが描いてて楽しいんですw
言葉攻めとか、きっと、します(俺脳内で)
もちろんぬこに視姦されて伍長も興h(ry

>>357
男体の人の絵GJです!
たんぱく質て…w
そうかだから伍長は野菜しか食べなくても平気なのかッ!
マーチスは絶対ムッツリですよねー、想像で伍長犯してそうw

>>359
うおマジですか!
10話はそんな美味しい回とは…貴重な資料w
うち今週まだ観れるかな…やべえ場所がばれそうw

>>360
獣姦の人GJです!
壁紙のアレ…貴族の正装…?ですかね?仕事早いっすw
雑誌読んだらわかるかな…愛が足りないのか…orz
もうぬこ×伍長とかもいいんじゃないかと思えてきたこの頃ですw

こんな毎日伍長に萌えてて、俺は社会復帰できるんだろうか…w
不安になりつつ素直に萌やされておきます!
366男体の人:2006/12/07(木) 19:22:53 ID:???
自分で自分のSSをパロってみますた(一人上手)
一番最初にここに投下させて頂いた
男体化少尉×伍長のアレなシーンです。
ttp://deaikei.biz/up/up/3682.jpg.html
パスは「901」
サイトのほうで南瓜部屋開設するために
描いた挿絵に台詞を載っけただけなんですけどもね。
下らないネタが浮かんでしまったので、欲望に勝てず。orz
お父さんは誰だろう…w

>>獣姦の人
マー君×伍長、楽しんで頂けたようで嬉しいです。
そしてまたまた素敵なイラストが!! GJ!!であります!
少尉んちでパーティー(忘年会?w)中に二人で抜け出して…
とか色々と妄想が大変なことに!ハァハァ(*´д`*)
正装姿も似合いますが伍長にはやっぱり、涙が一番似合いますw
オレルドも男前すぎでカッコイイっす!!
>>361
私が神かって?
とんでもねぇ、あたしゃk(ry
すいません、言ってみたかったんです…orz
>>363
伍長にはたくさん、おかわり言うて欲しいですねw
伍長の腹を満たせるほどのおかわりをくれるのは
やっぱり伍長のみに絶倫のオレルドか
無差別絶倫のマー君しかいないかもw
>>364
伍長はもう存在そのものがエロいです…ハァハァ(*´д`*)
>>365
さすがマーチスひとり上手!w>脳内で
伍長もぬこなんかに見られて、いつもより興奮するとは…!
けしからんおっぱいだ!w
私ももう、社会復帰は無理そうですw

皆さんの次回作、または新作、楽しみにお待ちしてます〜。
367名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 20:13:11 ID:???
>>366
ちょwwうめええ!!GJ!!
アリス違和感ねえwカコヨス!
わらかしていただきましたww

伍長(母)オレルド(父)>家でいつもいちゃいちゃ
アリス(次男)マーチス(長男)>そんな父に嫉妬
マー君(ペット)>そんな母を夜這い
副長(間男)>勧誘員

こうですか?わかりません><
368名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 20:49:46 ID:???
>>366
シリアスかと思ったらめちゃギャグで吹いたwww
エロシーンに見えませんでしたよ
伍長がセリフ似合いすぎwww
369名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 21:09:42 ID:???
ふたばからの転載だが、差入れドゾー

http://zip.2chan.net/8/src/1165486586468.jpg
370名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 21:22:31 ID:???
>>366
男体の人超GJ!
少尉がほとんど変わっていないのに違和感ゼロw

>>367
妙にしっくり、伍長が赤ん坊を拾ってきた時の
赤子を抱く伍長と少尉のシーンを思い出してしまった。

>>369
お代わりを渡す夫婦の図に見えてしまったw
371名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 21:24:47 ID:???
>>370
伍長はみんなの嫁ですwww
公共の財産なのですwwwww
372名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 23:59:37 ID:???
>>321です。
おっぱいネタを投下しにきました。
微妙に内容が男体の人とかぶってるのはご愛嬌でなんとか。



前提

伍長総受。
今回みなさん(?)ノンケ扱いです。
やましい気持ちは無いものだと思って読んでください。
女性陣は脳内で男体化するかどうかはご自由に。
373伍長総受 オッパイネタ:2006/12/08(金) 00:00:50 ID:???
晴れやかな天気に穏やかな風、そして暖かい気温。
小鳥のさえずりさえも心地よく聞こえてくる。
この気持ちの良い日を三課の人達もまたゆったりと過ごしていた。
ただ一人を除いては。




「これってセクハラですよね!?」
良い雰囲気を壊してまで大きな声で叫んだのはステッキン曹長。
上司の机を両手で叩き、怒り顔でハンクス大尉の顔を覗き込む。
大尉はやれやれといった顔でいつものように部下に背を向け、新聞を読み出す。
オレルドとマーチスはステッキンを見た後に顔を見合わせるが、お互いに何のことかわからないというジェスチャーで会話をした。
あまりの大声に驚いたランデルは一人でオロオロしている。
部屋の隅で寝そべっているマーキュリー号はいつものことで慣れているのか大声で目が覚めたものの、気にせずに大あくびをして二度寝を試みていた。
いちばん話を聞いてくれそうなアリス少尉は生憎、会議のために席をはずしていた。
上司が聞こえないフリをしているにも関わらず、ステッキンは少尉並みの高らかな声で話を続ける。

昼食時間前、マーキュリー号の餌を買いに外へ買い物に出かけたときのお話。
いつもならば供給があるのだが、今日は供給用の食料を乗せたトラックが渋滞で足止めをくらっていた。
腹が空きすぎて動かないマーキュリー号を見るに見かねたステッキンは、歩いて大通りにある食料品店へ足を運んだ。
ドアを開け中に入ると、そこには休憩時間なのか門番を担当している軍人二人組みが、売店のお姉さんを口説いている姿が見える。
少しとまどいながらもまんざらでもなさそうな応対をしている女性に、ステッキンは職務中に何をしているのかしら!と少し膨れ面で店の中へ進む。
犬用の餌を何缶か抱えレジに進むが、三人は話に夢中でこちらに気づいていない。
益々膨れ面になったステッキンはわざとらしく咳払いをすると女性はやっと気づき、小声で謝りながらレジを通し始める。
それが気に食わなかったのか男二人は何やらボソボソと小声で会話した後、レジテーブルに肘をついていた一人の男が挑発をしてきた。
「三課はドックフードがお好みかい?」
馬鹿にされていることにはじめは気づかす、理解すると頭のてっぺんに血が昇り始めたがぐっと堪えて無視をする。
しかし男たちは相手が言い返さないのをいいことに、調子に乗って挑発を続けた。
「ドッグフードなんてカロリーの高いもの食べてたら太っちまうぜ」
「どうせ太るならその貧相な胸をでかくできたらいいのにな」
二人が馬鹿笑いをしている間に会計が済み、無視して去ろうとするステッキンに反応が返ってこなかったのがつまらなかったのか二人は更に暴言を吐き、
舌打ちをする。
その音が聞こえ、出て行くついでに会計済みの犬缶を絶妙なコントロールで二人にぶつけてから帰った。
374伍長総受 オッパイネタ 2:2006/12/08(金) 00:01:51 ID:???
服の裾を捲り上げて歯でかみ締め、涙ながらに話すステッキン。
女性軽視だ差別だセクハラだと、上司に対して愚痴をこぼせるのは中々女性でもいないだろう。
何の話かと思えばくだらない話だとオレルドが薄ら笑いをすると、鬼のような形相でステッキンが詰め寄ってきた。
「じゃあオレルドさんは胸の無い女性は好きですか?」
ふと宙を見上げた数秒後、オレルドはニヤけた顔で答える。
「でかけりゃいいってもんじゃないけど、あるならそれにこしたことはねーよな」
オレルドの目線の先にはマーチスが映り、同意を求めることでステッキンの怒りの矛先を自分に向けるよう促した同僚にマーチスは一瞬睨む。
案の定ステッキンはマーチスにも詰め寄り、ギラギラとした目で答えを求めていた。
「そ、そんなの気にしたりしないけどね・・・大事なのは相性だし・・・」
無難な答えだが、ステッキンの口はへの字に曲がったままだ。
すると最後の砦は伍長へかかった。
ランデルはこの女性特有の質問にどう答えていいのかわからず、目が右往左往している。
しばらく考えてみても答えの出ないランデルを見ていると、ステッキンはあることに気づいた。
「伍長さん、上着脱いでください」
これはお願いなのだろうかそれとも命令なのだろうか。
脱ぐのをためらっていると、ステッキンの目がついには血走り始めたので理由も聞けないままとりあえず上着を脱いで椅子にかける。
上着の下はいつものタートルネックを着ているだけなのだが、ジロジロと服を見られて少し気恥ずかしい。
しかしその少しはすぐに大きく変わる。
何を思ったのかステッキンは片手でランデルの胸を鷲づかんだ。
強烈な出来事に掴まれているランデルはもちろんのこと、それを目撃した一同が静まり返る。
ステッキンはしばらく考えたような表情の後で更に両手で胸を鷲づかみにすると、今度はその指で揉み始めた。
何がなんだかわからず、ランデルの顔は赤くなったり青くなったりしている。
またも周りの人達もその光景に目が離せず、ただ静かにその行動を見ていた。

二、三十回揉まれたのだろうか。
ランデルはなんともいえない気持ちになりかけた頃にステッキンはようやく両手を離す。
そして皆に背を向けてながらなにやら確認し、それが終わると今度は肩を震わせながら泣き叫び始めた。
「私より伍長さんの胸がおっきいー!!」
その言葉に思わず大尉は飲んでいたコーヒーが器官に入ったのか、大きくむせた咳が聞こえた。
オレルドとマーチスは椅子から転げ落ちそうになり、揉まれてた本人は呆気にとられてしまう。
悔しいと叫びながら床に伏せって泣き崩れる曹長に、ランデルは何も言えずにまた困った顔。

前に捨て子を拾ったとき、赤ん坊は女性の少尉やステッキンではなくランデルだけに懐いていた。
母性本能を持っている女性が男性に負けただけでもかなり悔しく、赤ん坊をよく知るために色んな雑誌で勉強していたのだが、結局赤ん坊は母の元へ
帰ってしまい、ステッキンは二度とその赤ん坊を抱くことは叶わなかった。
ただでさえあの時に負けた気持ちになっていたのにもかかわらず、身体面でさえも負けていることにかなりショックを受けたようだ。
励まそうにも言葉が見つからず、うずくまっていじけているステッキンの後ろでランデルはどうしましょうとオレルド達に目で助けを求めたが、その視界にはマーチス
しかいないことに気づく。
ランデルは一瞬オレルドがいないことに怪訝な顔をしていると、当の本人はそんな心配よりも好奇心が湧いていたようで、ランデルの背後に回っていた。
「ちょいと失礼」
背後から声が聞こえ、そのままオレルドに裾から中へ両腕を入れて後ろから直に胸を掴まれる。
「ひっ・・・!」
先ほどの布越しで掴まれる感覚とは違う感触が、ランデルの腰あたりをゾワゾワと這い上がってくる。
オレルドは長くうねり声をあげながら胸を揉みしだき、慣れた手つきで胸をいじる。
「うーん。D・・・いやEくらいか?」
その結果は更にステッキンを泣かせる要素になったようで、ステッキンの背中には濃く暗い影が出来ていた。
自分のせいで泣かれ、男性に胸囲まで測られているこの状態にランデルは苦い顔をしながら赤く俯くしかない。
このまま少尉が帰ってきて場を収めてくれないかとランデルが願っていると、ただ見ていただけのマーチスがランデルの前に立つ。
ごめんね、と言いながらランデルの服をたくし上げ、露になったランデルの筋肉を至近距離で観察し始めた。
ランデルはますます赤くなり、上がった服を直そうとするがオレルドの腕が邪魔で下げられない。
マーチスは腹筋に触れ、鍛えられている筋を指でなぞる。
375伍長総受 オッパイネタ 3:2006/12/08(金) 00:02:34 ID:???
「はっ・・・ぅ」
オレルドとは違う冷たい指先に触れられ、腰に感じた寒気が今度は脇あたりまで這い上がってくるのを感じる。
更に女性の胸を触るような優しい手つきでオレルドが触れてくるものだから、ランドルは思わず出してしまいそうな吐息を歯で食いしばって耐えた。
「すごい鍛えてるんだねー。いいなぁ」
「ああ、お前筋肉つきにくい体質だもんなぁ」
二人はのんびりとそんな会話をしているが、はたから見ればこれは完璧にセクハラ現場だ。
しかしどうも悪気がないようなので、これは単なるスキンシップの一環なのかもしれない。
ここで拒んだり怒ったりしたら部署に居づらくなるかもしれない。
このまま二人がしたいようにさせたほうがいいのだろうかとランデルが悩んでいる間、彼らの悪ふざけは誰も止められる人は居なかった。
「これだけ大きかったら母乳でそうだよね」
胸の硬さを指で突付きながら観察しているマーチスが冗談半分で言うと、オレルドも冗談交じりに
「おっぱいおおきいもんなぁ」
そう言いながらランデルの両乳首をギュッと摘む。
「あぅ・・・!」
悩んでいた最中に襲ってきた思わぬ刺激に声が漏れる。
ランデルは慌てて手で自分の口を覆うが、二人は大して気にも留めなかったようで談笑を続けていた。

されるがままの状態がしばらく続いたが、ついにランデルの下半身に変化が起こり始める。
股の辺りがもぞもぞと、自分でもわかるほど股間が立ち上がってきていた。
「あ、あの・・・そろそろ離してください」
男に触られて感じている自分に嫌悪感と共に、周りにバレてしまうことを恐れたランデルは必死に搾り出したような声で二人にお願いする。
その声はあまりに小さかったのかそれとも話に夢中で聞いていないのか、二人はランデルを無視して男性の筋肉の構造について盛り上がっていた。
「そういや前に伍長が入院してたときに聞いたんだけどさ」
思い出したかのようにオレルドが別の話を始めようとしたが一旦話を止め、マーチスにもっと近づけと手招きする。
ランデルの耳元に二人の顔が近づき、三人にしか聞こえないほどの小さな声で話を再開した。
「お前、アレのサイズがLL以上なんだってな」
衝撃発言にランデルは耳まで真っ赤になり、さすがのマーチスも一緒に赤くなる。
「そんなにデカけりゃ女も血ダルマになるだろ、すげぇな〜。・・・なぁなぁ、確認させて」
何を言い出すのかと信じられない顔をするが、オレルドは返事も待たずにベルトに手をかける。
その手を握って止めようとするが、少しだけだからとオレルドは手を止めない。
自分の予想範囲外のモノに興味を持ちやすいマーチスは、止めようかどうか考えつつも止めはしなかった。

新聞がもうすぐ読み終わるハンクス大尉は、横目で部署を見渡しながら思う。
部署は先ほどとは一変して不思議な光景に変わっていた。
男の部下達は男同士で乳繰り合い、かたや部屋の隅でうずくまる女性部下。
すっかり蔑ろにされているステッキンを見かね、一つ深いため息をついてから重い腰を上げて席を立った。
再起不能になっている部下は床にのの字よりも呪いの字を書き綴っていると、大尉は彼女の頭を優しく撫でて淹れたてのコーヒーを差し出す。
「これでも飲んで少し休憩しろ」
ステッキン用に作られたそれはタップリのミルク入りで、大尉の優しさに乾ききった目に思わずまた涙があふれる。
二度寝をしていたマーキュリー号もいつの間にかステッキンに近寄り、頭を肩に擦り付けて甘えてきてくれた。
「マー君、ありがとう」
慰められ、ステッキンもマーキュリー号の体を抱きしめて頬擦りをする。
これから頑張ればいいんだと自己解決したステッキンはあっという間に立ち直り、元気な顔でコーヒーをありがたく受け取った。
思い切り泣いた後の喉はすっかり渇いていて、そのコーヒーを美味しく頂くステッキンの姿をにマーキュリー号は尻尾を振りながら見ている。
「もしかしてマー君も喉が渇いた?」
その言葉に一声上げる。
「じゃあちょっと待っててね」
ステッキンはコーヒーを持ったまま立ち上がろうとしたがうずくまっていた腿は痺れてしまい、立ち上がりづらかった。
そのまま無理に起き上がったせいで足のバランスが崩れると、コーヒーを上に投げて倒れこむ。
持っていたコーヒーは宙に舞い、その着地地点には運悪くランデル達がいた。
第六感が働いたのかその危機をいち早く察知したマーチスはその場を離れる。
同じくその瞬間が見えていたランデルも離れようとしたが、気づくのが遅れたオレルドががっちりつかんでいたせいで逃げれない。
思い切りランデルの頭にコーヒーがかぶり、頭をつたって肌にも流れる。
「・・・っ!」
376伍長総受 オッパイネタ 4:2006/12/08(金) 00:03:16 ID:???
少量とはいえ熱湯が素肌にかかってしまい、あまりの熱さに小さく暴れたランデルも足のバランスを崩してそのままオレルドごと後ろに倒れてしまった。
オレルドが下敷きになったおかげでランデルに倒れた痛みはなかったが、巨漢に潰されたオレルドはアヒルのような短い悲鳴をあげる。
その悲鳴に慌ててランデルは起き上がろうとしたが、ランデルの上にも重みがかかった。
重みを感じる胸の上には、さっきより尻尾を大きく振っているマーキュリー号が乗っている。
「え?なに、うっ、うわっ」
「だめよマー君!はしたない!!」
彼の中ではコップ以外にある飲み物は舐めてもいいと間違った認識をしているようで、ランデルがかぶったコーヒーの匂いに惹かれたマーキュリー号は嬉しそうに体
についたコーヒーを大きな舌で舐めると、ランデルは小さく身震いを起こした。
マーキュリー号をはがそうとステッキンが首輪を引っ張るが、女性の力では敵わない。
マーチスも一緒になって引っ張るが、彼の力が加わっても動かなかった。
「やっ・・・離れ・・・あっ」
胸まで流れていた細いコーヒーの痕を夢中で舐め上げられ、いじられて硬くなっていた乳首にざらざらとした質感が広く覆う。
「あ、そこ・・・やめ・・・」
オレルドに下ろされかけていたズボンのジッパーの隙間に前足が入り込み、下着の上から踏みつけられて程よい重さが圧迫して腰が自然に浮く。
既に硬くたちあがっていた敏感なところを踏まれることで犬相手に理性が飛びそうになるが、目を開けて必死に落ち着こうとするランデルに別の快感が襲ってきた。
「早くどけデカブツ・・・ッ!」
一人と一匹の重さにつぶされているオレルドが下から抜け出そうと、ランデルの腰を掴んでもがいている。
上下に腰を擦られることですべての快感が下半身に集中してしまい、彼も動きたくても力が入らない。
「准尉・・・ど、きますから、手を・・・!」
ランデルが何とか搾り出した声はまたもや別のところで掻き消された。
「何をしているんだ!!」
部署内が一斉に静まり返る。
声の主は、会議から帰ってきたアリス少尉だった。
思わぬ怒号にマーキュリー号は体から降り、ほっとしたランデルは体を起こす。
アリスは目を吊り上げたままランデルに近づくと、その後ろに隠れている男に優しく声をかける。
「どうして伍長は服が乱れているんだ?」
言われたことで今一度自分のあられのない姿を思い出し、ランデルは真っ赤になりながら服を直す。
聞かれた男、オレルドはランデルの肩からゆっくり顔を出すといつもの軽薄な笑顔で返した。
「やだな少尉、これは男同士でよくあるスキンシップですよ」
「スキンシップにしては職務中に過激な行為じゃないか?」
引きつった笑顔に対し、アリスの威圧的な笑顔は変わらない。
「しかしですね少尉。彼はここへ来て日も長くもなりましたが、まだまだ浅い。我々息の合う部署の中にいるにはもっと親密になるべきです」
「それがこの結果というわけか?」
「そうです。相手の肌に触れることで互いの親密を深められるのです。少尉だって、伍長のことをもっと知りたいでしょう?」
確かに少尉という上官の立場にいるにも関わらず、アリスはランデルのことをあまり知らない。
オレルドがやっていることはさすがにやりすぎだが、触れることで互いに安心感が持てるというのは何かの書物で読んだ事がある。
信頼がないわけじゃないがもっとわかりあうために触れ合えば、私も彼も、もっと心を開けるだろうか。
少尉はランデルの前に片膝をついた。
「少尉・・・?」
「・・・私も、触れていいだろうか」
一寸言葉に詰まったが、アリスの真剣な表情にランデルは自分の赤くなる顔がバレないように首を垂れながら小さく頷く。
アリスは安心と同時に小さく微笑み、手を伸ばしてランデルの胸に触れた。
優しく触れられ、心音が速くなっているのに気づかれていないだろうかとランデルは緊張する。
同じくアリスも触れたはいいが、それからどうしてわからずにだんだんと触れている手に汗が浮かぶ。
それでもくすぐったいような心地いい気分がお互いに交わって通じるのを感じた。
377伍長総受 オッパイネタ 5:2006/12/08(金) 00:03:56 ID:???
「ワォン!」
鶴の一声というわけでもないが、沈黙に耐えられなかったマーキュリー号が吠えた。
アリスはハッとして、触れている胸から手を離した。
急に手を離されたことで、拒絶されたような気がして少し寂しそうな表情をしたランデルに小さく「すまない」とアリスが呟き、ランデルも「いえ・・・」と答える。
気恥ずかしい気持ちを振り払うようにアリスは立ち上がり、ランデルを起こそうと手を貸した。
「・・・まぁ今回は仕方が無い、大目に見よう」
その慈悲にオレルドが胸をなでおろすと、マーチスもこっそりと胸をなでおろす。
場の雰囲気を引き締めるため、アリスは大きく咳を一つつくと声を張り上げた。
「各自、自分の仕事に戻れ!」
「イエッサー!!」
上官の言葉に部下は整列し、雄雄しく返事を返す。
「そして伍長!」
「は、はい」
「一度シャワーを浴びて来い。獣臭い」
本人は気づいていないが、ランデルの体はすっかりコーヒーやらマーキュリー号の唾液やらで変な匂いをまとっていた。
アリスに頼まれ、ステッキンは駆け足で奥の部屋からタオルを持ってくるとランデルに手渡そうとする。
しかし、手渡す腕が微妙に震えていたのでランデルがステッキンを見ると、彼女はまた今にでも泣きそうな顔をしていた。
元はといえば、自分のせいでこのような目に合わせてしまって申し訳ない気持ちが込み上げてしまい、また目が潤んでしまってるようだ。
それに気づいたランデルは、ステッキンが謝る前に微笑みながらそのタオルを受け取る。
その笑顔にステッキンも曇りが晴れ、ペコペコと何度も謝った。
「さっさと浴びて仕事に戻って来い!」
遠くから上官の叱咤が聞こえ、ランデルは慌てて部署を飛び出した。








しばらくして。
各自黙々と仕事をこなす中、アリスが声を上げる。
「遅い!」
中々帰ってこない伍長に、短気なアリスは細かく貧乏ゆすりをしている。
気になるなら様子を見に行けばいいのに、と言いたいが、怒られることが目に見えているのでオレルドは言葉を飲み込む。
「ん?マーキュリー号もいつの間にかいないぞ」
いつもの寝ている位置に大型犬の姿が見えない。
「大変!また誰かに噛み付いたりしたら今度こそ処分だわ!」
前にもどこかで聞いたようなセリフの後、ステッキンは大きな音でドアを開けて捜しに出かけた。
「まったく、どいつもこいつもたるんでいる!」
怒っている相手はあの一人と一匹だろうが、アリスの視線は真面目に仕事をしているオレルドに向けながら言い放たれる。
これが日ごろの行いの悪さかと、オレルドは視線を合わせないように顔を斜めに動かした。



さて、その上等兵はどこへ行ったのか。
それは伍長がよく知っているが。
それはまた別の話。






378名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 00:05:48 ID:???
ぬるい上に犬オチかよ。
すいません。
私の中で彼が最強の攻めです。




男体化の人
感想ありがとうございます。
そしてマー×伍ゴチでした。
SS投下してからもやもやとマー×伍を考えていたのですが、あなたのおかげで全部解消された!
ありがとう!!
絵も素敵だー。イイヨーイイヨーエロイヨー。


獣姦の人
感想ありがとうございます。
マー×伍絵には胸がはりさせそうでした。ヤバイヨ伍長!
どうしても伍長はタートルネックしか浮かばないので、エロもそうなりがちだったんですが、普段着の
エロ絵に萌えました。
GJ!




みんなみんなGJ!!
ここは神が多すぎる。
もうみんな素敵だ!
むしろ大スキだ!
379名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 00:18:58 ID:???
>372
GJ!ニヤニヤしながら読ませてもらった!断りきれないおっぱい伍長かわゆす。
そしてステッキンの為にコーヒーを入れる大尉萌え。
380名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 00:41:19 ID:???
>>372
GJであります、サー!
こういう当事者無自覚ネタが個人的にツボなので、終始ニヤニヤ
しつつ読ませて頂きました。
しかし伍長、DないしEカップとはつくづくボインだなw

そして私も秘かに大尉に萌えてみる。
381名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 00:46:28 ID:???
ステッキンの次は三課のみんなで伍長をセクハラかい!
最後のマーくんが何をしたのか結末がわかる気がしますw
三課のみんなが勢ぞろいでよかった、GJ!
382名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 01:01:42 ID:???
>>372
GJ! 感じやすいエロい子な伍長にハァハァ
いじける曹長と慰めてくれるマー君もカワユス
383名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 01:14:36 ID:???
GJです!
職場でわいせつ行為される伍長に萌え
曹長の嫉妬する気持ちもよくわかるw
大尉を題材にしたSSなんてのもあり…かな?
384名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 01:15:01 ID:???
>>372
おぉ、GJ!
皆ノンケwなのがリアルで良いわあ(*´д`)
しかし伍長…けしからんおっぱいだなw
385(´・ω・`):2006/12/08(金) 01:43:03 ID:???
ここは神が住まうスレぞ

あーもー今日は神が降臨しすぎ…

しかも深夜でも人いすぎ…

以前言ってたSS投下しに来たんだけどハヅカスィ…
文才のなさに泣ける(´;ω;`)
とりあえず半分だけ置き逃げようと思います
それにしてもSSってむずかしい…
386(´・ω・`)<風邪ネタその1:2006/12/08(金) 01:44:25 ID:???

雪が深々と振りすべての音を吸収してくれているような静けさの中
そこは毎度の騒がしさであった


「遅い!遅いぞ!伍長はいったい何をやっているのだ!」
「そうですね〜…オレルドさんより遅くなるなんて今までなかったのに…」
そういいながらステッキンはちらとオレルドのほうを見る
―――――――この小娘…俺が遅刻じゃなかったら不満なのかよ…
「オレルドっ!!貴様!わたs…ゴホン、我がパンプキンシザーズの伍長に何をした!」
そういいながら隊長は短剣を抜き俺に向ける
「ちょ…何もしてませんって隊長!!危ないからその短剣をしまってくださいって!!」
そんなこんなしているとき、この騒ぎの当事者がやってきた

「おくれてすみません…どうしたんですか?この騒ぎは…」
「伍長!貴様いったい今まで何をしていたのだ!!」
「す…すみません…ちょっと寝坊…しちゃ…って…」
「あれ〜?伍長さん何か顔色悪くないですか?どうかしたんですか〜?」
ステッキンはそういいながら伍長の顔を覗き込む
「あ〜そうだねぇ〜、どこか体調でも悪いの伍長?オレルドが何かした?」
こいつ…
「いえ…全然…元気で…す…」
そういい終えるが早いか、伍長は隊長に覆いかぶさる形で倒れこんだ
「ごごごご…伍長!重い!!重いぞ貴様!いきなり何をする!伍長!おい伍長?」
「ひや〜!伍長さん!凄い熱!ど…どうしましょう!そうだ!何かで頭冷やさなきゃ!!」
ステッキンはそう言うとタオルと水をくみにいった

その様をボーっと見ていた俺
いつの間に抜け出したのだろうか、隊長が俺の目の前にやってきて一喝する
「オレルドっ!!!貴様!伍長に何をしたのだ!」

…だからなんで俺のせいなんすか!?
387(´・ω:;.:... <風邪ネタその2:2006/12/08(金) 01:47:24 ID:???

――――――体が熱い…それに…なんだろうこの浮遊感…いつもの…夢とは違う…どちらかといえば心地よい感じがする…

ゆっくり目を開くと白い天井が見えた

――――――あれ?ここ何処だろう…病院?…とは違う気がする…何処となく見覚えのあるような…
あれ…そういえば俺…今まで何してたんだっけ…?

「おっ、目ぇ覚めたかデカブツ。大丈夫か?」
オレルドさん…あれ?「俺…どうかしたんですか?ここ…何処ですか…?」
「おいおい〜、お前いったいここに何回来てるんだよ?まぁこの部屋来るときは夜だからな、暗くてよく見えてないか?」
オレルドは下品な笑みを浮かべつつ伍長に話す
「オレルドさんの家…?俺なんでこんなところに居るんですか??」
「朝三課に来てすぐぶっ倒れたんだよ、凄い熱でな。
で、この真冬に毎晩お前に無理をさせてるからだってことになって、お前の介護を隊長様様から要請されたってわけ」
そう説明していると朝マーチスに『オレルドはマーキュリー号並みに絶倫だから…』
なんていわれたことを思い出した
ま…雪山での前科があるしな…
「そうなんですか…すいません…」
「そういえばデカブツ、今何処に住んでるんだっけ?いくら寒さに平気だって言っても。もう雪が降ってるしなぁ
まさかまだ橋の下、なんてことはないよな?」

ギクリ

いくら図星でも漫画じゃあるまいし、ここまであからさまな驚き方をしないだろう
「お前…いったい給料何に使ってるんだよ!?隊長からも厳重注意受けてただろ?
『一日でも早く我々は戦災復興を果たさなければならない。風邪などひいている場合ではないのだ。冬の間ぐらいは宿を取れ』って」
いくら不況だといってもお国を守る軍人だ、それなりの給料は貰っているはず
…そうじゃなきゃ俺だってあそこまで派手に女遊びしてねぇしな

「はぁ…実は…あの…その…猫達のエサを買うのに結構お金かかりまして…」
そうだ、コイツは大量のノラ猫にエサを与えてやがるんだった。しかも猫缶なんて上等なもの
人間様の食べ物だってろくに手に入らない世の中だ
肉の缶詰である猫缶なんて結構値のはるモノだろう
実際食べてみてもそんなに味は悪くない・・・人間として精神的にかなりのダメージだが…
388..::;.:;.:... <風邪ネタその3:2006/12/08(金) 01:53:36 ID:???
ほんとにこいつは…
まぁそこがデカブツのかわいいところなんだがな

「はぁ〜…まぁ…とりあえず今は風邪を治すことに専念しろ?隊長からお前が治るまで俺も仕事くんなっつーわれたしな」
ま、俺は堂々とサボれるからいいんだけど
「あの…すみません…俺のせいで…」
「いいって事よ、それよりデカブツ、気分はどうだ?ちょっとは楽になったか?」
「そう…ですね…少し寝たら楽になったみたいです」
平気…とか言いつつ結構しんどそうだな…
熱もまだあるし…オレルドはそんなことをぶつぶつ言いながら伍長の額に触れる
ヒヤッとするオレルドの手は最初はびっくりするがどこか気持ちよく安心する
「あ、そうだ。汗かいて気持ち悪いだろ?替えとタオル持ってきたから拭いてやるよ」
そういいながらオレルドはごそごそ伍長を脱がしにかかる

それにしてもコイツいい体してるよな〜巨乳だし
こんだけ筋肉あるのに抱いてるときはどこか柔らかいし…
…あっちのほうはガチガチだけどな〜…
………………………。
……って!何真昼間からへんなこと考えてるんだ俺は!!

「准尉…?どうかしたんですか?」
よっぽど俺は変な顔していたんだろう、心配そうな声で伍長が声をかけてきた
「んな!!…なんでもねえよ!はは…!これでよしっと!そうだ伍長腹減らないか?何か作ってきてやろうか?
り…りんごでもすってきてやろうか?」
恥ずかしさを誤魔化すため、一気にまくし立てる俺
…余計怪しくなったかな…
「あ…俺、以前准尉が作ってくれた野菜がいっぱい入ったシチューが食べたいです」
「シチュー?お前が最初家に来たときのか?」
「はい」
「よっしゃ!任せとけ。すぐに作ってきてやるから、それまで寝てろよ?」
オレルドはそういうとどこか前かがみで部屋を出て行った

ちっ…いくら何でも無防備すぎるぞ糞デカブツが…!!
389orz:2006/12/08(金) 01:54:55 ID:???
はいはい下品下品

もっと萌えさせられるものが書きたい…
390名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 10:45:06 ID:???
>>389
GJです!後半も楽しみにしてます!
391名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 13:05:39 ID:???
オレルド下心アリアリw
男体の人のストーリーの流れを組んでいるのか
つづきもwktk
392男体の人:2006/12/08(金) 18:55:53 ID:???
おおぅ〜仕事でヘトヘトになって帰って来たら
こんなにも萌えがたくさん…!(*´д`*)
ここにアップされるSSは明日への活力です、マジで!
職人さんたちお疲れ様&ありがとうございます!
そして絵へのレスをくれた皆さまもありがとうございます。

>>378
GJおっぱいおっぱいGJ!!!!
三課全員集合で、すごく面白かったです!
逆切れステッキンが可愛くて可愛くて。
大尉…見てるなら止めてあげてよ……w
てか関わり合いになりたくない気持ちは分かる気がしますがw
それにしてもノンケの同僚に揉まれて感じちゃうなんて
エロいおっぱいだ!ボインちゃんめっ!
実にけしからんおっぱいだ!ハァハァ(*´д`*)
次弾も楽しみにお待ちしております!
ええ、マー君が最強の攻めだと私も思いますw
>>389
力の限りGJ!!
充分萌えさせて頂きましたよ!
私のSSの流れを何気なく取り入れて下さって
すごく嬉しいです。ありがとうございます〜。
続きもwktkしながら全裸で待ってます!

ところで、スレは1000行かなくても、500kb超えたら
自動的に過去ログに格納されちゃうのでしょうか?
私の糞長いSSのせいで、すでに450kb近くなってしまってるので
申し訳ないやら、次スレの用意をしたほうがいいのか不安やら…。
ほぼ一人でスレを消費してしまって、すみません……orz
393名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 01:31:16 ID:???
>>372です。
こんなに感想もらえて、嬉しさのあまりパソ前でしばらく身悶えたよ。
みんな優しいな。ありがとう。



>>379
大尉に萌えてもらえてよかった。
渋い男前に(*´д`)ハァハァできるよう頑張った甲斐がありました。

>>380
周りに振り回されてオロオロしている伍長はツボですよね。
いじめられる伍長は可愛さが倍増されるのでたまりません。

>>381
マー君は絶倫ファイヤーなので伍長をそのままヤt(ry
さぞかし敏感になってる肌を存分に堪n(ry

>>382
感じやすいエロい子という言葉にこっちも(*´д`)ハァハァ
ほのぼの描写がありましたが、あの話の中でマー君が一番フリーダムなお方です。

>>383
彼らの間では暗黙の了承らしいので、猥褻罪にはならなそうです。
相手が曹長や少尉なら逆セクハラとか言われそうですが。

>>384
けしからんおっぱいは大きな世界遺産です。
けしからんおっぱいを保護するのが三課の仕事ですw

>>(´・ω・`)の人
勘違いで怒られっぱなしのオレルドに萌え。
橋の下で縮こまりながら寝ている伍長を想像して萌え。
でも一番気になったのは、投下するたびに風化していくあなたに萌えたw
続きを楽しみにしてるよ!

>>男体の人
いっぱいおっぱいを言ってもいいと言われて調子に乗りすぎました。
でもエロオパーイを楽しんでいただけてなによりです。
ああ、それと大尉は基本、放置プレイがお好みかとw



なるべく早めに次スレは用意しておいたほうがいいかもしれませんね。
しかし流れるの早いなここは。
それほどみんな伍長を愛でてるのか。
394名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 02:33:14 ID:???
>>354です。

>>385
他のSSの流れをくむSSってイイですね!
なんかスレの中で話が派生していく感じで面白い〜GJ!
続き待ってます!
395名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 02:34:24 ID:???
>>354です。
このスレでSSの素晴らしさが身にしみて、自分でも書きたいと思ってしまいました。
うわ、無謀…!内容まとまってなくてグダグダです…。
つかエロがねえ!
少しでも妄想の肥やしになれば幸いです…なるのかなあ。orz
まじSSムズイ…初投下なので、うまくいくのか…やってみまつ。

マーチス主観……天然伍長の話?
他の人のマー伍とかぶらなければいいな…。
残り少ないのにこんな駄文投下していいのかな…。
396マーチスvs天然伍長:2006/12/09(土) 02:36:02 ID:???
「はぁ…………」
 こんにちは、マーチスです。
 僕は今、とてつもなく落ち込んでいます。それもこれも……。

『マーチスさんには!』

 昨日のステッキン曹長の一言が……。

『"一人上手"が、お似合いです!お似合いです…おにあいです……ぉ…ぁぃ…(エコー)』

「はぁー……」
 そりゃあ確かに僕はオレルドと違って、女の人と付き合うのも上手くないさ。
 だからって一人上手は……ひどい、ひど過ぎる!人間じゃない!
「パ・パ・パパンプキン〜……」
 小声で変な呪文を唱えながら、曹長が僕のデスクに寄ってくる。
「…………」
 僕はちらりと一瞥しただけで、曹長から視線をそらした。
 この子が時々無邪気に言う言葉は、少尉のナイフより鋭いんだよ……。
「マ、マーチスさん〜……」
 曹長は少し涙目だけど、そんなの知るか。僕のほうが泣きたいくらいだ。
「あー……少し、そっとしといてやれ」
 ぽつりと、大尉が曹長に言う。……余計に凹むからやめてください。
 なんだか最高に情けなくなってきたので、僕は気分転換に歩こうと、立ち上がる。
「……ちょっと休憩いれていいですか?」
「あ、マーチス。帰りに購買で……」
 ……じろり。
「……あ、いや、やっぱいいや……はは」
 オレルドは、(すまん、ついいつもの調子で……)という表情をしている。
 ……この"自分上手"め。
397マーチスvs天然伍長:2006/12/09(土) 02:36:59 ID:???



 ぼんやりと、特に行くあてもなく廊下を歩きながらも、僕の頭の中では"一人上手"とい
う単語がぐるぐるとまわっている。
 ……同時に、3課の男連中の顔が一緒に浮かんできた。
 大尉、オレルド、伍長、マーキュリー号……。ふむ……この4人か……。
 大尉はまぁ……奥さんがいるはずだし……。オレルドは、論外。マーキュリー号は……
絶倫ファイアーだしなあ。あと……伍長は……。
 頭の中から、ひとり、ひとりと顔を消していって、のほほんとした伍長の顔だけが残る。
 んー、伍長か……。あの気の優しそうな顔、おっとりした気弱な性格からして、経験豊
富って事はないと思うんだけど……。
 この間も、オレルドにHな雑誌を見せられて、真っ赤な顔してあたふたしてたもんなあ
……。たぶん伍長も女の人と付き合ったこと、ないんじゃないかなあ。いや、きっとな
いはずだ……!
 勝手な想像を膨らませるうちに、希望の光が見えた気がしてきた。まあ、それはひどく
後ろ向きな光ではあったけれど。
 うん……そうだよ、きっと伍長だって一人上……!
「あれ、マーチス准尉」
「わっ!」
 ちょうど伍長のことを考えていた時に、背後から急に本物の声がして、心臓が0.5秒ほ
ど止まったかと思った。
「す……すいません、驚かせてしまって……。休憩ですか?」
「あ、ああ……ちょっとね」
 そうか、伍長はあの時部屋にはいなかったんだっけ……。よかった、伍長にもあの『哀
れみと同情を含んだ微妙な表情』をされたら、僕は3課で生きていけないよ……。
「あ、そうだ伍長。今は、何かの仕事中?」
「え?いえ……今ちょうど便所に行っていて、戻るところだったんですが」
「だったらさ、ちょっと付き合ってよ」
「でも……准尉はこれから休憩なんでしょう?俺、戻るのが遅れたらきっと大尉が……」
 相変わらず気弱そうに話す伍長。僕は頭の中で勝手に「お仲間」認定した伍長に対して、
いつもより気が大きくなっていた。ポンポン、と大きな背中を叩きながら言う。
「大丈夫大丈夫、僕の話し相手になってたって言えば、許してくれるよ」
「は、はあ……」
 部屋を出る時は本気で落ち込んでいたはずなのに、我ながら調子がいいとは思うけれど。
398マーチスvs天然伍長:2006/12/09(土) 02:38:02 ID:???



 僕と伍長は、食堂の一角に、向かい合わせで座った。手には深く淹れたコーヒーカップ。
「ずずー……」
「ふぅ……」
 なんとなく、沈黙の時間が流れる。
 うーんどうしよう、伍長を連れて来たはいいけど、単刀直入に聞くのもアレかなあ……。
 伍長、彼女はいるの?とか……いや、いたことある?とか……。
 怪しまれるだろうなあ……いや、伍長のことだから、きょとんとした顔をするだけかな。
 ていうか、伍長と二人きりで話したことって初めてじゃないか?……作戦の時なら二人
の時はあったけど……なんか、ちょっと緊張するな。
「あの……マーチス准尉」
 僕が悶々と考えていると、伍長が先に声をかけてきた。
「ん?どしたの、伍長」
「ステッキン曹長に聞きました。その……准尉は"一人上手"だって」
 ……ピシィッ!
 僕は、コーヒーカップを持ったまま、凍りついた。
「それ聞いて、ああホントにその通りだなあって、思ったんです、俺……」
 …………ビシャーン!!
 石化した僕に、雷が落ちた気分だった。
 え?どどどどういう意味?
 それは伍長『自分は違う』ってことかい?ていうか僕が"一人上手"って伍長も認めて…
…うああぁぁあああ!

「准尉は……、凄いです」

「え?」
 アレ?何か反応が違うぞ?
 伍長の顔は『哀れみと同情を含んだ微妙な表情』じゃなくて……少し淋しそうな、微笑
を浮かべていた。
「曹長が言ってました。『マーチスさんは、たったひとりで、仕事もなんでもこなしちゃう
んです!オレルドさんが"自分上手"だとしたら、マーチスさんは"一人上手"なんです
よ!』って……俺、ものすごく納得しちゃったんです」
 ああ、そういう意味ね……まあそれにしても、僕に"一人上手"はないよ……自分で言う
のもなんだけどさ……あ、またちょっとダークな気分になってきた。
 どんよりし始めた僕を気にせず、伍長は話し続ける。
「俺は、一人じゃ何もできないから……そんな准尉が羨ましいんです」
「伍長……」
 どうやら伍長は、曹長の言わんとするところの"一人上手"って言葉にひどく感銘を受け
ているようだけど……。
「俺……3課の役に立ててるのかなって……最近また、不安に思っちゃって……」
「…………」 
 ふと、病院の屋上での出来事が思い出される。そうだ、あの時も伍長はそんなことを言っ
ていたっけ……。
「伍長、それは……」
 きっとそれは、地下水道の事件のせいだろう。目の前にいる一人すら助けられなかった
ことを、ものすごく悔やんでいた。落ち込んでいた。
 ……あれ?そういえば僕は、まだ何も伍長に言ってないじゃないか?オレルドや曹長の
おかげで、伍長は元気になってきたけど……僕はまだ、伍長に何もしてあげられてない。
「伍長……それは違うよ」
「……准尉?」
399マーチスvs天然伍長:2006/12/09(土) 02:39:09 ID:???
 僕はいつの間にか、"一人上手"だなんていうくだらないことで落ち込むのを忘れて、伍
長のために、何か言わなきゃいけない気分になっていた。
 いや、言わなきゃいけないんだ。
 僕は今までの、伍長と体験した出来事を思い出していた。
「地下水道で……確かに伍長は、908…あの人を……助けられなかったかもしれない……」
 伍長にとって、辛い言葉を、僕は口にする。でも、それは現実だから、言わないわけに
はいかない。
「…………はい……俺は何も……」
 ぎゅっと唇をかんで、今にも泣きそうな顔をする伍長。
「でも……僕が……僕という人間が一人、キミに助けられたんだ」
「…………えっ」
 うつむいていた伍長の顔が、ふ、と僕のほうを向く。
「助けられなかった人の数、助けられた人の数…それは確かに大事かもしれないけど……」
 僕は、言葉に力を込めて、伍長に言う。
「ここにいる僕……僕だけじゃなく、3課のみんなが、伍長に助けられて生きているんだ」
「准尉……」
 装甲車に轢かれて死ぬはずだった僕を助けてくれたのは、伍長だった。僕はそんな伍長
を『怪物』だなんて思ってしまったけど……。今は違う。
「少なくとも僕は、伍長が……キミが3課にいてくれて、よかったと思ってる。いや、い
なきゃいけない、いて欲しいと思う」
 そうだ、今は違う。なんだろう……だって、こんなに伍長に……そばにいて欲しいと思っ
ている。今までこんな気持ちに気づきもしなかったのに。
「……不思議ですね」
「ん?」
 伍長は、ゆっくりと微笑んだ。
「オレルド准尉も、同じようなことを言ってました。『数ばっか見やがる』って……」
 げ……まさかオレルドも、伍長がいてよかったとか、言ったのかな?うわあ、二番煎じ
な上に……オレルドめ、抜け駆け…ってアレ?何で僕がオレルドに嫉妬してんだろ……?
「マーチス准尉ほど、褒めてくれなかったですけどね……はは、また喧嘩しそうです」
 苦笑いしながら伍長が言う。
「……そ、そっか……」
 喧嘩するほど……仲がいい、だよなあ……こういう場合。なんだか自分でもよくわから
ずに、悔しい気分になってきた。
400マーチスvs天然伍長:2006/12/09(土) 02:39:39 ID:???
「じゃ、じゃあっ!……喧嘩に負けたら、いつでも、ぼ……僕が慰めてあげるよ!」
 ……?……僕は何を言ってるんだ!?よく考えると、なんかすごい事口走ってないか…
…!?うわ、伍長、きょとんとするんじゃない、可愛いなあくそう、って違うー!
「あは……飴と鞭、ってやつですね。じゃあ……その時は、お願いします」
 にこ、と眉尻を下げて、無邪気な顔で微笑む伍長。
「……へ?」
 自分の顔が、真っ赤になるのがわかる。耳までがかーっと熱くなって、心臓がばくばく
している。鼻血……出てないよね?
 伍長……天然で言ってるとしても……凄すぎる。
「マーチス准尉……?顔が……赤いですけど」
 伍長が、心配そうな顔でこっちを見ている。馬鹿、伍長!そんな顔で見るんじゃない…
…何かが外れそうで自分でも怖いんだから!
「なっ……なんでもないよっ……!ちょっとコーヒーが熱かったみたいだ……そ、そろそ
ろ戻ろうか、伍長」
「……あ、はい」
 慌てて残りのコーヒーを飲み干し、席を立つ僕。
「……准尉」
「う、うん?」
 立ち上がった僕を、椅子に座った伍長が見上げながら、言う。
「俺、やっぱり、准尉が……3課のみんなが、好きです。だからこれからも……よろしく
お願いします、マーチス准尉」
 いつもの、のほほんとした笑顔の中に、ほんの少し決意のようなものを見せて、伍長は
笑った。僕も、照れくさいけれど、笑って言った。
「ああ、よろしくね、オーランド伍長」
 3課のみんなが好き……かあ……、まぁ、今はそれでもいいか……。



 後で伍長は、オレルドに"一人上手"の隠れた意味を教えられて、真っ赤になりながら僕
に謝りに来た。
 ……オレルド、やっぱ殺す。

401名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 02:43:48 ID:???
ぎゃあああ…改行多いって怒られた!
ごめんなさいごめんなさい。
急展開過ぎるし、無理矢理すぎる!

……頑張ろう…orz。
402名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 02:46:22 ID:???
素晴らしいリアルタイムに遭遇!
GJ!何だこの二人可愛すぎですよ。
ニヤニヤしながら読んでしまいました。
403名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 04:19:40 ID:???
うわぁぁぁ、なんて可愛いんだ、この二人!!
GJ過ぎます!!
SS初めてとは、とても思えませんでした。
マーチス、いいこと言うなぁ…(つ∀`。)ホロリ
404名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 08:41:53 ID:???
初体験乙
マーチス、ひょっとしてこれは目覚めちゃった!?!
伍長も罪な漢ね・・・
405名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 08:57:52 ID:???
GJ!GJです!!
エロスなのも好きだけどwこういうほのぼのも好きだー
>にこ、と眉尻を下げて、無邪気な顔で微笑む伍長。
最高に可愛いこのシーン、誰か、誰か映像化を…(;´Д`)l \ァ l \ァ
406男体の人:2006/12/09(土) 19:08:48 ID:???
僭越ながら、映像化(?)してみますた。
恋に落ちる瞬間w
ttp://deaikei.biz/up/up/3714.jpg.html
パスは「901」
マーチスに「へ?」って言わせるの忘れちゃいました。
ごめんなさい><
407名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 19:53:11 ID:???
>>406
GJ!!
伍長のおっぱい凄すぎw軍服の上から形がくっきりでエロイ!
こんな笑顔を向けられたら、男でも女でもキュンとしちゃうって!
408名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 20:09:41 ID:???
>>406
GJ過ぎる・・・
服着てるのになんでこんなにエロイんだ!
男体の人の伍長は本当にけしからんな!!(*´Д`*)
409名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 20:30:19 ID:???
きょきょきょ今日は間に合った!

マーチス"vs"天然伍長って落とされまいとするマーチスの深層心理なのかw
(・∀・)イイヨ-イイヨ-
410名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 20:58:12 ID:???
ちょwwwけしからんおっぱいwwwww
411名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 21:20:19 ID:???
>>395>>406もGJ!!!
マーチス萌えなので嬉しかったです(´д`*)
412名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 21:49:37 ID:???
>>395です!ありがとうございます!
色々お言葉いただいた上にワンシーンまで再現されて…!
ありがとうございます超GJです!
マーチスこれからは自分じゃなくて伍長を慰めてあげればいいよw

その気もない普通の人が落ちるシチュは大好きなのです!
伍長も自覚がなければ最高w
今まで自己満足では短い文を書いたことはありますが、
投下する気で書いたのは初めてでした…お粗末さまでした!
今度はエロ書きたいなあ……精進しまつ。orz
413名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 23:03:18 ID:???
萌えを抑えきれずに投下
>>373のオパイネタで思わず描きました
文に (((´・ω・`)ショボンなので絵でゴメソ
http://deaikei.biz/up/up/3718.gif.html
パスは「att」
414名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 23:33:16 ID:???
素肌に軍服!!G〜〜〜〜〜J〜〜〜〜〜〜!
風邪気味だったので鼻血じゃなくて鼻水…でちゃったorz
415名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 23:40:10 ID:???
うほっ!赤面伍長可愛すぎる!
オレルドキャッチ!……あんどりり〜す……
GJであります!

鼻水ワロスw
416名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 00:21:33 ID:???
男体の人も>>413さんも両方萌えます!!
いやーすばらしいなこのスレはw
417名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 00:22:00 ID:???
>>413
素肌に軍服って無性にエロイ
微笑ましい二人
GJだ!
418名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 18:00:47 ID:???
また一人上手な絵の投下です。
男体化少尉(私服)×伍長。
http://deaikei.biz/up/up/3734.jpg.html
パスは「901」
モロにヤッてる絵なので、ご注意下さい。
少尉が18に見えないよ…orz
男少尉、違和感ないでしょうか……?
男体化少尉×伍長の続編、コテハン名に恥じぬように
次スレあたりに投下しようと思ってます。

>>407
おっぱいに注目して下さってありがとうございますw
気合い入れて描きました。
大き杉かとも思いましたが「伍長だからいいや」で解決w
>>408
けしからんお言葉をありがとうございます!
>>410
その言葉を待っていた。ありがとうwww
>>411
マーチスもいつまでも一人上手じゃ寂しいだろうと思うので
これからは伍長と一緒に二人上手で頑張ってもらいたいです。
>>412
厚かましくイラスト化させて頂いてすみませんでした。
でも素敵なシーンを描けて、とても嬉しかったし楽しかったです。
うんうん、伍長は自覚しちゃダメですね。
やっぱり天然誘い受けでないとw
次弾、wktkして待ってます!
>>413
GJ!! 超GJ!!!! 速攻で保存しました!
オレルドかっこいい!伍長可愛い〜!!
本当にもう伍長のおっぱいはけしからんですな!(*´д`*)
軍服姿で絡み合いというのが、またツボでございます!
>>416
萌えてくれて、ありがとうございますw
419名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 19:46:53 ID:???
>418
はひ はひ もえた
420名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 20:31:08 ID:???
>418
太もも裏の傷は正義
はひゃ〜・・・
421名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 21:48:36 ID:???
はひ はひ 萌えに激しく同意
服を咥えてるのもエロい(*´Д`)GJ!
しかしクオリティ高いな
422(´・ω・`)?:2006/12/10(日) 22:45:43 ID:???
あ…あれ?次スレってどうなったんですか?
投下は次スレでと思ってんですが。

>>390さん
ありがとうございます。
後半はもうちっと萌えポイントがあり…たいですな(つД`)

>>391さん
ちょっと下品すぎました。まぁ書いてる本人が下h(ry
個人的に設定はこのスレで出てきたものにのっとりたいのでこんな他人の流れを汲んでる感じになってます
まぁ悪く言えば他人の褌でなんとやらですね
野菜たっぷりシチューは後半最大の萌えポイントであり…た…い…です

>>男体の人さん
お つ ぱ い ! お つ ぱ い !
二日も全裸で放置ktkr!
すみません…男体の人さんのように筆がはやくすすむようにしたい…っす

>>393さん
SS萌えさせられました
うまい人に期待されるとプレッシャーです
伍長寒さでガクブル想像するだけで悶えますね
寝袋の中にヌコ入れてぬくぬくする姿とかも想像するとやばいすよ!笑

>>394さん
354さんのほうがいいのかな?
SSの方読みました。
個人的にプラトニックな関係好きな人は少なくともひとりいるので大丈夫!
読んでて恥ずかしくなるSS大好物です。次回作に期待です
っていうか初めてなのにうまいですねぇ。自分も精進
423名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 22:56:06 ID:???
先にテンプレ用意しとく?
容量オーバーになった時点で
誰でもスレ立て出来るように
424(´・ω・`):2006/12/10(日) 23:04:23 ID:???
今どのくらいの容量って皆どんな風に確認してるんだ…?
っていうか500kオーバーでスレストップするなんて初めてだから対処法が分からん…
あとテンプレには他伍長スレのアドレスもいれとくの?
425名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 23:12:38 ID:???
>>424
容量はスレの最後のほうに書いてありますよ。

ここのスレ素晴らしいSSや絵がいっぱいあるんですけど、
保管庫とか出来ませんかね…
426(´・ω・`):2006/12/10(日) 23:15:45 ID:???
おお本当だ
今までP2で見てたから気づかなかった…
保管庫は職人さんの確認取らなきゃダメかもですね。
特に絵の方は
427名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 23:27:29 ID:???
10スレぐらい消費する長いのでも
あと1〜2本ぐらいはまだいけそうだけどね。
スレ3〜5ぐらい消費の短いのなら
容量気にしないで投下してもいいんじゃないですか?
テンプレは……
ここの本家本元であったエロパロスレ
801板、キャラ板の伍長スレぐらいを入れとけばいい?

>>425>>426
絵の方は惜しいけど絵師さん達の迷惑にもなりかねないし
やめた方がいいんじゃないかなぁ?
絵柄で身元判明すると困る人もいるだろうし
保管庫に格納されると決まった時点で
気軽にうpってくれなくなったら、俺泣くぞw
428名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 23:35:28 ID:???
とりあえず、関連してそうなのを挙げてみた。
書き途中の人いたらスマンorz

前スレ
【パンプキン】オーランド伍長萌えスレ【シザーズ】
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1163156981/l50

アニメ公式「陸情3課広報室-Pumpkin Scissors-」
ttp://rikujyo3ka.com/
WEBラジオ音泉内「パンプキン・シザーズ こちら陸情3課放送局!」
ttp://www.onsen.ag/

『パンプキン・シザーズ−Pumpkin Scissors』岩永亮太郎Part12 (少年漫画板)
ttp://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1163226432/l50
パンプキン・シザーズ‐PumpkinScissors‐part14 (アニメ板)
ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/anime/1164142827/l50
【我々は】パンプキン・シザーズ2【おっぱいだ】 (エロパロ&文章創作板)
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1164944341/l50
パンプキン・シザーズ 801部隊 (801板)
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1160520889/l50
パンプキンシザーズのオーランド伍長はゴツカワイイ (アニメキャラ個別板)
ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1159898586/l50
▲▽▲パンプキンシザーズ▲▽▲ (二次表画像板)
ttp://gazoubbs.com/test/read.cgi/2ji/1160309455/l50
429名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 23:51:11 ID:???
>>426>>427
やはり絵の方は止めといたほうがいいですね。
問題はSSかなぁ。
エロパロみたいな保管庫があればいいんですが。
430名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 00:30:06 ID:???
>>428
乙!

>>429
保管庫はエロパロ板に投下されたSSしかダメなんですか?
無知でスマソ。orz
431名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 01:26:36 ID:???
保管庫はエロはエロで分けた方がいいのでは。
板に年齢制限あるわけだし…
432名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 01:53:04 ID:???
>>418
毎度GJ!
はひはひエロスw

>>428
テンプレGJ!

>>430
ここか
http://sslibrary.gozaru.jp/
そこんとこどうなのか気になる
433名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 02:01:13 ID:???
>>428テンプレ乙!

やっぱり男×男のSSは駄目なのかね
それと最近イカの人見てないな〜とか思ったり
434名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 06:06:09 ID:???
テンプレ書かせてもらった者だけど…。
全部のアドが最新50行きってどうかなと思ってしまた。
人によると思うんだけどね。
次スレ立てる方そのへん補足とか臨機応変でひとつ。
丸投げスマソ。m(_ _)m スレ汚し失礼。
435名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 22:55:40 ID:???
煮詰まっちゃったね。
とりあえずSSを保管する場所は保留(SSはそれまで保存)して、
次のスレで良いアイディア(場所)がでればそこで保管ってことでどうでしょうか。

436名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 23:07:07 ID:???
まあ今のとこ各自テキストは捕獲できるだろうし…。
新スレ立たないまま様子見なのもなんだしね。
437男体の人:2006/12/12(火) 00:22:01 ID:???
早いとこスレ消化して、新スレ立てて
安心してSS投下できるようにしましょかー。
そもそも容量制限言い出したの自分だったし;
責任とってスレ消化します。orz
変なところで切れちゃうかもしれませんが
なにとぞよろしく。
スレ立てはどなたかお願いします…!

流れはマーチス×伍長のようなので、エロパロスレのほうで
盛り上がっている酔っぱらいネタと絡めてみました。
やっぱり無駄に導入部分が長くなっちゃって
まだ酔っぱらいの本筋にすら絡めてませんが…orz
と、言うわけで続き物です。

では、どぞー。
438『マーチス×伍長』01/06:2006/12/12(火) 00:23:13 ID:???
「資材課のクリスマス・パーティーだぁ?」
 僕――マーチス――の言った言葉に、オレルドが思いっきり訝しそうに顔を歪めた。
「なんで今頃、古巣のパーティーなんかにお前が呼ばれんだよ」
「うん……僕も不思議に思ってるんだけどさぁ……」
 そう、オレルドが言うように、僕がこの三課に赴任する前に所属していた部署の面々が、どうして今になって僕をパーティーなんかに誘ったのか分からない。
 誘われたのは、つい昨日のことだった。
 資材課時代の同僚数人が、いきなり僕を取り囲んできた。
 なんだか妙に興奮状態にある彼らに怪しさを感じなかったと言えば、嘘になる。
 だけど、元から仲良くしていた連中だったし、彼らが“お祭り部隊”の僕らをバカにして憂さ晴らしをするために誘っているという風にも見えなかった。
「とにかく、ルーディ……あ、昔の同僚の名前ね。彼が言うには“戦災復興に命を賭けてがんばる三課の奴らに、とても感銘を受けた。だから詳しい話を聞きながら親睦を深め、俺たちも三課の役に立てる何かがあるんじゃないかを考えたいんだ”って」
「うっそくせぇ〜。なんだそりゃ」
 オレルドが思いっきり顔を歪め、舌を突き出した。
 それは僕も感じていることだ。
「うん……でも、彼らは悪い奴らじゃないよ。資材課時代にも何かと世話を焼いてくれたし」
「そんなかったるいモン、俺ぁパス」
 あ、やっぱり言うと思った……。
 オレルドは頭の後ろで手を組んで、椅子の背もたれに体を預けた。
「第一、クリスマスはすでに予定が入ってっしな〜」
 その言葉に、僕は伍長の顔を思い出す。なぜか胸の奥が、チクンと痛んだ。
 オレルドと伍長は、三課に留まらず、この情報部内でもちょっとした有名人だ。
 何せ男同士で“公認”になってるんだから。
 そんな二人が、クリスマスに二人きりで愛を育まないわけがない。
 そもそも二人が上手く行ってないわけがないのは、伍長を見てれば分かる。
 別に庁舎内で人目もはばからずイチャついてるわけじゃないし、伍長がノロケてまわってるわけでもないけど。
 なんて言うかなぁ……一言で言えば“色気が増してキレイになった”。
 こんな言葉を男に使うのは適切じゃないと思うし、実際に口に出すと背筋がゾワゾワする悪寒に苛まれるもんなんだろうけど、それしか言葉が見つからない。
 だからと言って伍長が女々しくなってるってわけじゃない。伍長本人の言動はオレルドとそうなる前と、ちっとも変わってない。
 それでもふとした表情が艶っぽいなぁって、ドキッとさせられてしまうことが多くなった。
「そうか……そうだよね。伍長と二人で過ごすんだろ?」
 自分で言っているくせに、僕は自分で自分の言葉に傷ついていた。
「いんや、クリスマスはマリーに同伴頼まれちまってよ。サロンのパーティーに行くんだ」
「……えっ!?」
 ちょっと待って……。今、オレルド、すごいひどいことをサラッと言わなかった?
「ど……同伴って、サロンのパーティーって……――」
 ――オレルドいったい何を考えてるの! クリスマスだってのに伍長をほったらかして、自分は他の女と楽しむって、どういう神経してるんだよ! 伍長の気持ち、考えてやれよ!
 って言葉が喉元までこみ上げてくる。
「あれ、准尉たち、まだ残ってたんですか」
 その時、当の伍長が、オフィスに入ってきた。
 ビクッとして焦る僕を尻目に、オレルドが不満げに伍長を睨みつけ、歩み寄って来た伍長の手をギュッと握りしめた。
「まとめて呼ぶなつってるだろ〜」
「すみません。つい……」
 伍長が優しくオレルドに向かって笑いかける。
 その笑顔に、なぜだか僕はドキドキしてしまう。僕に向けられた笑顔じゃないのに。
 オレルドは今オフィスには僕しかいないのをいいことに、伍長の手を握り、指を絡ませている。
 そんなストレートなオレルドに、伍長は少し困り顔。
439『マーチス×伍長』02/06:2006/12/12(火) 00:24:03 ID:???
 全然構ってないオレルドはともかく、伍長のほうは僕を気にしてくれているのか、オレルドの手から自分の手をやんわりと引き抜こうとする様子が見て取れた。
 けど、そのたびにオレルドが伍長の手を強く握るもんだから、伍長の困り顔はだんだんと赤くなって行く。
「あっ…あの、オレルドさ…准尉、俺、もう帰らないと……。猫に餌をやらないと、いけないですし……、あの……だから……その……、手……放して下さい……」
 僕ともオレルドとも目を合わせられないのか、伍長は恥ずかしげに顔を伏せ視線を逸らす。口調もしどろもどろで、最後のほうは耳を澄ませていないと聞き取れないぐらい小さくなった。
 そういう恥じらう姿が、やっぱりすごく色っぽくて可愛いと思ってしまう。
「んじゃぁ、猫に餌やったら俺んち来いよ。一緒にメシ食おうぜ。何食いたい?」
 オレルドも伍長の恥じらう姿を楽しんでいるのが見え見えだった。
 あーあ、鼻の下伸ばしちゃって、スケベオヤジみたいだぞ……。
 伍長はますます僕のほうを気にし始めた。顔をまっ赤にして、手を弄ばれたまま、チラチラと僕のほうに視線をよこしている。
「な、なんでもいいです……」
「なんでもぉ? なんだその適当発言はよ。何食いたいか言えって。でないとまた野菜たっぷりシチューで済ますぞ」
 へえ……野菜たっぷりシチュー……ね。
「あ、はい、そ、それがいいです! だからあの……手、放し……」
 伍長が泣きそうな顔で体をモジモジしだした。
 もう限界みたい。
 オレルド、可愛いのは分かるけど、いじめるのも大概にしろよ。
 僕がそう思ったとき、オレルドが伍長の手を解放した。
 さすがオレルドは引き際を心得ている。しつこすぎず淡白すぎない、絶妙な間合いってやつ?
 女遊びを繰り返してきただけのことはあるよ、ホント……。
 繰り返して来た……? いやそれって過去形じゃないよね? 今でも……。
 ――伍長をひとりじめしておきながら、なんだよそれ!
 そう思った途端、怒りにも似た苛立ちがこみ上げてきた。直後、僕は戸惑った。
 ――え、なにこれ? なんで僕がオレルドに嫉妬してるんだよ……。
 嫌な気分。
 なんだかちょっとだけ悲しくて、わけの分からない罪悪感が、じくじくと胸に滲み出してきた。

          *

 目の前に、野菜のたくさん入ったシチューが一皿。
 オレルドの特製らしいシチューは、その名の通り、野菜がどっさり入っている。
 ニンジン、たまねぎ、ブロッコリー、少しのキノコと、たっぷりのじゃがいもたちが、ミルク色をした液体の中で、たっぷり煮詰められた様子でゴロゴロと存在を誇示していた。
 ちょっと子供向けみたいな、甘くて優しい味のシチュー。
 それを一匙ずつ丁寧にすくって、僕の目の前で伍長が口に運ぶ。
 ただスプーンでシチューを飲んでいるだけの、何気ないその仕草に、どうしてこれほどまで魅入られるんだろう。
 それはこの変な体勢のせいかもしれない。
 今、僕は伍長の膝の上に座っているから。
 椅子に腰掛ける伍長と向かい合わせるように、僕は伍長の太腿の上にまたがっている。
 伍長は僕を膝の上に乗せたまま、僕にじっと見つめられるまま、オレルドのシチューを食べる。
 一匙ずつ、とても大切なものを口に運んでいるかのように、ゆっくりじっくり味わう。
 ――ねえ、伍長、僕を見てよ……。
 もどかしく歯がゆい感情に満たされたとき、伍長が不意に顔を上げた。
 にっこりと僕に微笑みかけて、シチューをすくったスプーンを僕の口元に運んでくる。
 僕はおそるおそる、それを口に含む。
 仄かにミルクの匂いがする野菜の溶け込んだトロリとした甘い液体が、舌の上で広がる。
 美味しい……。優しい甘さが伍長みたいだって思った。
 ちょっと悲しい気持ちで伍長に微笑むと、伍長も微笑み返してきた。
440『マーチス×伍長』03/06:2006/12/12(火) 00:24:51 ID:???
 すると伍長はスプーンを置き、いつもしている手袋を外すと、人差し指をシチューの中に沈ませた。
 一瞬、熱いんじゃないかと思って心配したけど、僕はさっき伍長が食べさせてくれたシチューの人肌だった温度を思い出していた。
 どうしてこのシチューはこんなに冷めてるんだろう。伍長は猫舌なのかな?
 そんなことをぼんやり思っていると、伍長は人差し指でシチューをひとすくい。
 そして僕の口元へ指先を持ってくる。
 僕は躊躇わず、その指先を口に含んだ。
 指先についていたシチューはすぐに口の中で溶けて消えてしまったけど、それでも僕は伍長の指を舐め続けた。
 いつしか、伍長も僕の手を取り、僕と同じように僕の人差し指を口に含んでいた。
 僕が伍長の指を舐めれば伍長も舐める、吸えば伍長も吸う。
 下半身が熱くなって、ズクズクと鈍い痛みを孕み始めた。
 伍長が空いたほうの手で、僕のそこに触れてきた。伍長の大きな手は、僕のそこをすっぽりと包み込む。隊服の上から、伍長は痛みを慰めるように、そろそろと優しくさすってくる。
 でもそうされると下半身の痛みはやがて熱さに運ばれ、腰から背中、背中から頭にまでどんどん広がって行く。頭がボ〜ッとして、息が乱れてくる。
 伍長が僕のそこを慰めてくれているのは嬉しいけど、でもやけに慣れたその手つきが、オレルドとの情事の深さを連想させて、同時に悲しくもなった。
 僕は乱れる息を必死で抑えて、伍長の指を口から離した。
 伍長の頭を両腕で抱き寄せ、僕は伍長に囁いた。
「キスしてもいいかい……?」
 伍長はうっとりと潤んだ眼差しで僕を見つめ、そして唇に視線を泳がすと、ゆっくりと顔を近づけてきた。
 僕の唇に、伍長のそれが重なる。
 ジンとした暖かいもので心が満たされた。まるで、ふわふわ飛んでるみたいだ。
 伍長の唇は思った以上に柔らかくて、赤ちゃんみたいなミルクの味がした。
 なんでだろうと思ったとき、さっきのシチューを思い出した。
 オレルドが作ったシチュー。
 オレルドが伍長のために作ったシチュー。
 そう思った途端、暖かくふわふわした気分が冷たく刺々しいものに豹変した。
 僕は伍長の頭をがっちりつかんで、きつく唇を押しつけていた。
 伍長の唇を割り、舌を挿し入れた。
 シチューの、オレルドの味を全部消し去りたくて、僕の味で満たしてやりたくて。
 僕は伍長の口の中を貪った。
 伍長が苦しげに息を吐き、僕を拒むように胸に手を置いてきても構わなかった。
 僕は伍長を押し倒した。
 伍長が震えながら、涙目で懇願する。
「嫌です……准尉……!」
 圧し潰されそうなほどの罪悪感が押し寄せてきた。
「助けて……オレルドさん……っ」
 伍長が涙を流しながらそうつぶやいた瞬間、僕の中で罪悪感を逆に圧し潰すほどの冷酷さが芽生えた。
 僕は伍長の服を乱暴に剥ぎ取り、両脚を高く持ち上げた。
 自分自身のモノをズボンから引きずり出して、僕は伍長のそこを犯した。
「あぁっあ……! 嫌……あっ…! マー…チス……さんッ……!」
 伍長が全身を桃色に染めて、僕の下で涙を流して腰をくねらせた。
 きつく締めつけて、熱く蠢く伍長の内部が、僕の体の熱をどんどん上昇させて行く。
「やっ…あ! あっんん……! マーチスさん…っ、気持ちいぃ……!」
「伍長……、伍長……ぅ!」
「はっ…あん…! だ…して……、俺の中に……出して、准尉の熱いの……たくさん欲しい…」
 僕の欲望を搾り取るように、伍長の内部がきつく締めつけてきた。
 その瞬間、僕の腰の奥で小さな爆発が起きた。
 爆発は全身を流れる電流に変化し欲望を増幅させ、あっけなく外に放出された。
441『マーチス×伍長』04/06:2006/12/12(火) 00:25:46 ID:???
「…っあ、伍長……ッ!」
 伍長の中に放ったその瞬間、耳をつんざくほどの非常ベルが鳴り響いた。

「……――伍長!」
 叫んだ瞬間、僕は自分が飛び起きたことに気づいた。
 カーテンを透かして漏れる朝陽が、ベッドのサイドボードに置いてある目覚まし時計に反射して、僕の目を射抜いた。
 眩しさに目を細めて、とっさに顔の前に手をかざした。
 ジリリリリリ! と雄叫びを上げる目覚まし時計の音が、僕を少しずつ現実に引き戻して行く。
 ――なんだ……夢、か。
 非常ベルだと思った、やかましい時計のスイッチを切った。
 ――夢……
 少しずつ頭が目覚めていくにつれ、今の今まで見ていた夢の内容もハッキリしてきた。
 そのことが、僕をどんどん泥沼へと引きずり込んで行く。
 ――あんな夢を見るなんて……
 足の先から頭までどっぷりと自己嫌悪の沼に引きずり込まれたとき、ハッとした。
 慌てて飛び起きて立ち上がって、パジャマのズボンを下着ごと引っ張った。
 中を確認して、泣きたくなった。
「ああ……やっぱり……」
 朝っぱらからパンツを洗うはめになるなんて……最悪だ。
 いや、いちばん最悪なのはあんな夢を見ちゃった僕のほうだ……!
 朝のさわやかな空気とは裏腹に、僕の気分は穴があったら……いや、なくても掘って入りたいぐらいだった。

          *

 偏見はないつもりだった。
 他の奴らがなんて言おうが、僕はオレルドと伍長の人柄を知っている。
 特にオレルドとは、少し離れていた時期はあるものの幼馴染だった間柄だし、彼がどんな想いで、どれほどの覚悟をもって伍長と一緒になったか、完全に理解できないまでも自分なりに理解して受け入れていたつもりだった。
 女と見れば見境なく口説き落とすくせに、どんな女とも長続きしなくて、女から女に渡り歩いたオレルドが、伍長とそうなってからはすごく落ち着いている。
 伍長のことは、まだよく分からない。
 けど、あの女好きのオレルドが選んだ相手なんだし、伍長がとっても気のいい奴だってのは、一緒に仕事をしてきたから分かってるつもりだ。
 体は大きいし、傷だらけの見た目で怖いけど、なんだか守ってあげなくちゃっていう儚さを持っている伍長。誰よりも優しくて、誰よりも臆病で、誰よりも慈悲深い奴だ。
 一時はそんな伍長のことを“化物”だなんて思っちゃったけど、それは伍長自身でさえどうにもならないことで、今では心底から伍長が気の毒に思える。伍長だってそういう意味では戦争の被害者なんだ……。
 とにかく僕の目から見ても、オレルドが伍長にメロメロだってのは、すぐに分かる。
 オレルドもやっと「この人だ!」って思える相手を見つけたんだって、僕は僕なりに二人の仲を理解し、祝福しているつもりだった。
 なのに……――
「これは裏切りだよな……」
 幼馴染であるオレルドへの、そして同僚であり部下である伍長への……。
「裏切りって?」
「へ? うわッ!」
 いきなり目の前に伍長の顔があって、僕は椅子から転げ落ちそうになった。
「す、すみません、驚かせちゃいましたか?」
 途端にオロオロし始める伍長に、僕は慌てて顔を振った。
「い、いや違うよ。ちょっと考え事してただけで……。えと、用は何?」
「いえ、特に用はないんですが……。マーチス准尉の顔が赤いので、熱があるんじゃないかって」
442『マーチス×伍長』05/06:2006/12/12(火) 00:27:36 ID:???
 ああ……僕のことを心配して話しかけてきてくれたんだ。
 ちょっと嬉しくなったとき、今朝方見た夢の内容がありありと脳裏に甦ってしまった。
 目の前でおっとり微笑む伍長の姿と、僕に貫かれて淫らに腰を振ってねだる伍長の姿が重なる。
 顔から火が出たんじゃないかと思った。
 慌てて伍長から目を逸らした。
 不審に思われるのは百も承知だったけど、あんな夢を見たあとで、伍長の顔は刺激的すぎる。
 いや、悪いのは僕で、伍長には全然罪はないんだけどさ……。
「マーチス准尉? やっぱり顔、赤いですよ? 医務室に――」
「あぁーー! そうだそうだ! えぇと……!」
 僕は伍長の言葉を遮って、とっさにオフィス内に視線を走らせた。
 誰でもいいから、伍長から気を逸らせる相手が欲しかった。
 けど、話し相手になりそうな人は、誰もいなかった。
「……みんな、どこ行っちゃったんだ?」
 訊くともなしに呟いた言葉に、伍長が丁寧に答えを返してきた。
「大尉はコネリー少佐に話があると、ついさっき出て行かれました。曹長はマーキュリー号を犬舎に迎えに行って……。少尉とオレルド准尉はA地区の視察で、朝から居ませんでした……よね?」
「そそ…ッ! そうかそうかそうだったよねいやぁうっかりしてたなぁあははははは!」
「……准尉、本当に大丈夫ですか?」
 どうやっても自然に振る舞えない僕に、伍長が心配をあらわな視線を向けてきた。
「だっ大丈夫だよ大丈夫! えーとそれじゃ……残った僕らはデスクワークで戦災復興だぁ!」
 苦し紛れに隊長の真似をしたものの、寒い風がどこからともなく吹き抜けた……。
 キョトンとしつつもこめかみから汗を流す伍長の姿に、逃げ出したくなった。
「大丈夫なら……いいですけど。無理、しないで下さいね……」
 伍長は引き攣る笑顔でジリジリと後ずさって、僕から離れて自分の席へ着いた。
 なんとなく肩に緊張感を漂わせる伍長の姿を横目で見ながら、僕は同時にオレルドのことを思い出していた。
 せっかくのクリスマスだってのに、サロンの女の子と過ごすのを選んだバカオレルド。
 伍長のこと、ひとりじめしてるくせに……――
「……ひどいよね」
「は?」
 ポロッと口から漏れてしまった言葉に、伍長が目を丸くした。
 一瞬、またさっきみたいに誤摩化そうかと思ったけど……僕は意を決した。
「オレルドから聞いたよ。クリスマス、サロンの女の子と過ごすんだって」
「ああ……、はい」
 なんとなく困ったような伍長の笑顔に、僕の胸はキュンと切なく締めつけられた。
「怒らないの?」
 僕の顔をキョトンと見つめ返してくる。
 なんだか無性にイライラした。オレルドに対して。
「だって、クリスマスだよ? 二人きりで過ごす時間なのに……オレルドの奴!」
「クリスマスなんていつも一人でしたから、平気です」
 そう言って、伍長は寂しく笑う。
 そりゃ今まではそうかもしれないけど、でも今は違うだろ?
 今は、一緒に過ごす相手がいるじゃないか。
 って……僕は二人のことを応援したいのかな、それとも……――。
「にしたって……オレルドはひどいよ」
「マリーさんって人ですよね」
「えっ?」
「サロンの……」
 伍長の言葉に、僕はうなずく。
 にっこり笑って、伍長は言った。
「数日前、オレルドさんの部屋へ訪ねて来られたんです。クリスマスで……えと、同伴って言うんですか? お客さんを連れて来なくちゃいけない決まりがあるらしいんです。
 でもどうしてもその相手が見つからないって。同伴出勤すると手当が割り増しになるから、オレルドさんにその同伴になって欲しいって」
443『マーチス×伍長』06/06:2006/12/12(火) 00:29:43 ID:???
 つまり、オレルドは自分の意志で浮気してるんじゃないって庇いたいわけ……?
「でも……そうだとしても、ホイホイついてっちゃったんだろ?」
 荒んだ気持ちになってつい言ってしまったけど、伍長は嫌な顔ひとつ見せずに微笑んだ。
「いえ俺が、行って下さい、って言ったんです」
「……え?」
「オレルドさん、マリーさんが頼み込んでも全然聞いてくれなくて、ダメだの一点張りだったんです。“初めてのクリスマスなんだぞ!”って。
 俺には何が初めてなのか、ちょっと分からなかったんですけど……とにかくマリーさん、すごく困ってたから可哀相になって……。
 だから俺も一緒にオレルドさんに同伴をお願いしたんです」
 ちょ……、なに……、じゃあ……――。
「マリーさんが帰った後、俺、めいっぱいオレルドさんに怒られました。機嫌直してもらうのに、一晩かかっちゃって、ちょっと大変でしたね」
 困ったような、それでいてとても幸せそうに笑う伍長に、僕は悲しい気分になった。
 照れくさそうに笑っていた伍長が僕を見て、ハッとした顔を見せた。
 僕いったいどんな顔していたんだろう……。
「あっ、す、すみません! よ、余計なことを……。マーチス准尉、話しやすいからつい……」
 伍長が、申し訳なさそうに頭を下げる。
 それは余計なことじゃなくて、ノロケって言うんだよ。
 それにオレルドが言ってた“初めてのクリスマス”って、要するに伍長と過ごせる初めてのクリスマスだから大事にしたいんだ、って言いたかったんでしょ? 
 まったく鈍いんだから……。
 思わず苦笑が漏れた。なんとなく微笑ましくなってしまった。
「じゃあさ……伍長」
「は、はい?」
「クリスマスは僕と一緒に過ごさない?」
「……は?」
 目を丸くする伍長の顔に、僕はとんでもないことを口走ったのだと気づいた。
 熱くなる顔を感じて、慌てて顔の前で手を振って言い訳する。
「ああ、ち、違うよ! そ、そんな意味じゃなくてね! 僕が前に所属してた資材課の連中からクリスマス・パーティーに誘われたんだ」
「え……でも、俺が行っても……?」
「ああ、三課のみんなを連れてきてくれって言われたんだよ。隊長はお姉さんたちと家でパーティーをやるみたいなことを言ってたから無理かもしれないけど……。
 それなら大尉と曹長と僕と伍長で、資材課のパーティーに行ってパァーッと楽しもうよ!」
 そう言って僕は笑った。
 うん、うまく笑えたと思う。
 不安げだった伍長の顔に、喜びの色が広がって行くのが、それを確信させた。
「はい……! 連れて行って下さい」
「うん、一緒に行こう!」

 こうして僕はクリスマスを伍長と共に過ごすことになった。
 僕にとっても伍長と出会ってから“初めてのクリスマス”だ……。
 けれど、このときの僕はこれがとんでもない騒動を巻き起こすことになるなんて、露ほども思わなかったんだ――。

【つづく】
444男体の人:2006/12/12(火) 00:30:16 ID:???
心臓に悪いわ…!w
445イカの人:2006/12/12(火) 00:37:37 ID:???
もう一波乱ありそうですね(・∀・)
自分も埋めるのに協力できたらいいのですが
エロパロスレの方で作品を終わらせていないもので…
続きとても楽しみにしています!
446名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 00:41:56 ID:???
>444
こっちのセリフだw
447名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 00:43:44 ID:???
リアル投下に遭遇!
男体の人ホント神!マーチスいいぞもっとやれw
すげー、あったらいいなが全部詰まってた(*´Д`)
続き超待ってます!
448名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 00:46:01 ID:???
スレ立てようかと思ってたんだけど、初めてなんでよくわからんのです…。
このタイミングで勃てちゃっていいものだろうか?
449名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 01:37:03 ID:???
次スレ立てちゃいました。

【パンプキン】オーランド伍長萌えスレ 2【シザーズ】
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1165854766/
450名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 01:37:30 ID:???
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                       
451名無しさん@ピンキー