††††† DEATH NOTE 総合20 †††††

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41名無しさん@ピンキー
27 名前: 夜神月 ◆GOD/lLojGA 投稿日: 2006/05/21(日) 18:34:21

>>24-26
…竜崎、それは違うよ。
誰が相手であろうと、僕は僕に向けて言われた言葉は受け入れている。
ただそれが、僕の基本として考えている善悪の判断に適っているかどうかの問題だ。
お前と僕の正義とする点が違うように、善悪の間に引く境界線は人間一人一人基準が違う。
そして、受け入れる事と信念を曲げる事は違う。
譲歩と協調性を身に着けていようとも、人には誰しも譲る事の出来ない一点がある。
だからこそ軋轢が生まれ、諍いや揉め事は後を断たずに、人々は殺し合いを繰り返す。
世の中の全てが白と黒に分けられるのだとしたら、それはキラの理想とするべき世界だ。
しかし現実は、自分の判断基準を相手にまで強要しようとしても、それが無理である事は目に見えているし
例え力で捻じ伏せようとしても独裁でしかない。
お前の言う「僕にしか出来ない事」が、僕の信じる仲間達に僕の口から意思を伝えたり注意を促す事を指すならば
最初から僕は刃を振うに値しない者だったと云う事だ。
敵に向けて振う刃はあっても、護るべき者の為に振う牙は持ち合わせていなかったんだ。
竜崎が言う事と真逆…信じ合っているからこそ、そんなものは必要のないものだと思っているから。

僕は自分の行動を世の一切の行動に当て嵌めた上で正しいとは言わないが
己の好みの都合で誰かを叩き追い出そうと云う行為だけは、今でも「絶対に間違っている」と言い切れる。
我の趣向を通し続けて完成した理想郷の先には、共存ではなく滅びがあるだけだ。
それがなくならない限り、僕は庇い続ける事を止める事は出来ない。
「誰か一人」や「特定の誰か」だけが優遇されるような世界に、意味はないんだよ。

「自らの意思」でこの場から立ち去った者を引き止める権利は僕にはない。
だが、それ以外の外からの意思で止むを得ずに立ち去らざるを得なくなった者達がいただろう。
僕はこれ以上そのような者達を生み出したくはない…。
出会った以上は、無下に捨て置かれてよい者など誰一人としていないんだよ竜崎。
竜崎も、他の者も、名無し達も、幾億と云う人の数の中の「たった一人」なんだ。
竜崎のその名を背負った者はお前以外には存在しない。
姿を見掛けなくなってしまった者達や、その場限りの名乗りであったとしてもそうだ。
この場に限らない、各々の者達が背負っていた名で言葉を紡ぎ出していた人物は、紛う方なくその者…ただ一人なんだ。

…。

僕のこうした考えが、このような場に相応しくない思考である事は重々承知している。
むしろ一期一会の出会いを推奨するような場なのだから、それ故に理解もされ辛い事なのだと思う。
それでも何時か、少しでも多くの者がそうした心を持ってくれたら…この世界に限らず、世界は少しずつ変って行くだろう。
死んでもそう…願っている。

(竜崎が僕の手を取る事にも僕の髪に触れる事にも抵抗を示さず、竜崎のさせたいようにさせ)
(僕は口にすれば己を弱くするとして心に留めていた思いの丈を語った)
(竜崎に引き寄せられるが儘に身体を合わせると、哀湛えた顔を竜崎の肩に預け、濡れた睫を下ろした)