ここは機動戦士ガンダムSEED、SEED DESTINYに登場する
キラとラクス専用小説スレです。
内容は必ずキララクで絡ませること。
他キャラとの3Pやキラ、ラクスに絡むものは厳禁。
フレイを出すのはNG(意見の食い違いが生じやすい為)
他キャラは話の展開によっては出場可。
エロ無しも一応・・・可。(あくまで基本はエロ)
話が気に入らなければスルーすること。
職人さんに対する批判や文句をいちいち書き込まないこと。
sage必須。
保管庫
ttp://s3.artemisweb.jp/logs/gundamseed/kira-lacus/
削除依頼出しといてね
星がかすかに輝いてその光が一人の少女を照らす
「今日も、綺麗ですわね」
物憂げにテラスで佇むその少女は穏やかな視線で夜空を見上げる
潤んだ瞳で星を見つめるのはラクス・クライン
「キラは……いまごろ…………」
胸の前に両の手の平を組んで思い人のことを考える
「ファイヤー・オンン…!!!!」
「アッ―!ハ…ハイマットフルバーストしちゃう……ッ!!!!」
鉄也「やらないか?」
また種かよ。いい加減にし
「種…キラの種が欲しいの〜」
VIP行けよ
月面都市コペルニクスの高級ホテル、その最上階にあるスカイラウンジで、漆黒の闇に浮かぶ蒼い水
の星をぼんやりと眺めながら、ラクス・クラインは軽いため息を吐いていた。深紅のチャイナドレスか
ら露出した肌と、結い上げたうなじがほんのりと朱に染まっていて、ラウンジのバーテンダーもチラチ
ラと彼女の方を伺いながら、仕事に集中できないでいた。窓際に置かれた小さな楕円テーブルには、空
になった2つのカクテルグラスと緋色のキャンドルの炎が揺れている。その柔らかい光と、地球からの
反射光がラウンジの薄暗闇のなかに彼女のシルエットを浮かばせていた。
「ラクス、お待たせ…………って、なんか元気ないね、どうしたの?」
ラクスの座るテーブルの対面に、スーツ姿のキラ・ヤマトが怪訝な面持ちで座った。手洗いに席を立っ
たキラが戻ってきたのに気づき、ラクスはころっと笑顔を作る。
「なんでもありませんわ………」
「なんでもなくないよ。ラクス、僕に隠し事するなんて…………ひどいな…………」
キラは力なく呟いて俯く。その陰りのある瞳に、ラクスはハッとしてあわてた。
「あ……あの………ごめんなさい、キラ。わたくし………そんなつもりじゃなくて………」
ラクスの言葉にキラはスッと顔を上げる。その表情は穏やかで、一瞬前の陰りのあるものではなかった。
「じゃあ、どんなつもりなのかな?」
キラは表情に出さないが内心細く笑んだ。ラクスの言いたくないことを聞き出すには、この手の手法が
最も効果的であることを彼は知っている。これでもしゃべらないときには、論理的に優しく責めたてて
打ち明けなければ良心の呵責に耐えない状況に追い込むか、それ以外には、彼女が女であることを利用
した別の方法もある。
「あの……大したことではないんです。その………笑ったりしませんか?」
言いよどんで上目遣いに尋ねるラクスの瞳に視線を合わせつつ、キラの瞳が表面的に優しく笑う。
「当たり前でしょ、ラクス、話してごらん」
甘美な音程の言葉がラクスの理性に染み渡る。
「えっと………ただ、その…………ちょっと………悔しかったかな……なんて、思ってしまったの……
さっきの事…………」
羞恥に顔を赤らめつつ、ラクスが白状する。彼女の言うさっきのこととは、先ほどまで彼らが出席して
いた晩餐会での事だった。
「ああ………あれね。うん、惜しかったよね………僕も、てっきり君が一番かなって思っていたんだけ
ど………」
キラは言葉とは裏腹に、喉の奥がヒクヒクと蠢き、喉を鳴らす笑いを堪えた。停戦を祝う晩餐会で、砂
漠の虎ことアンドリュー・バルトフェルトが催した『今夜のミス・コペルニクス』という悪ふざけに、
ラクスは勝手にエントリーされていて、バルトフェルトが用意した衣装……今、彼女が着ているスリッ
トの大きいチャイナ服を身につけ、彼女はステージ上で他数名の女性に混じり、会場に居合わせた男性
陣に審査を受けた。審査の基準は女性陣には知らされていないが、細かく項目ごとに点数が付けられる
もので、項目の中には色気や華やかさと言ったものの他、美脚、胸などパーツにこだわったコアなもの
まであったが、これらを総合した点数で順位を付けた。結果、一部(特にエターナルとアークエンジェ
ルの整備班)に熱烈な隠れ信者を持っていることが明らかとなった、メイリン・ホークが総合トップと
なり、5点差でラクスが2位になるという結果になった。女性陣の誰もがラクスがトップと予想してい
たのだが、男性陣の評価は彼女たちの美意識とは大きな隔たりがあるところで行われたらしい。投票用
紙の備考欄には「妹にしたいッ」といった内容が書かれていたとか…………。
「でもさ、ラクスはあまり乗り気じゃなかったみたいだけど………やっぱ、悔しいんだ」
ニヤリとキラは笑って見せた。ラクスは耳まで真っ赤になって、むくれてしまう。
「………やっぱり、お笑いになりましたわね………」
美女コンテストに参加し、色気のある衣装を着たのは、実は、キラをのぼせさせてやろうと考えてのこ
とだった。本当は、順位のことよりも、キラの反応がいつも通り普通すぎたことに拗ねているのだとは
とても言えない。
「違うよ。ただ、君が僕と同じように悔しいと考えているんだって思うと、ちょっと嬉しかったんだ」
「え……?」
キラの言葉に、ラクスは胸が一瞬高鳴って、疑問調の言葉は上ずってしまう。その彼女の反応を伺って、
キラはまたもや含み笑いをかみ殺す。
「だってさ……ラクスがこんなに魅力的な姿なのに、みんなは僕とは違う価値観を持っているみたいで
ちょっと納得がいかないじゃない?おもしろがって、アスランに投票した人もけっこういたし………み
んなまじめに投票してないんだよね」
余談ではあるが、この日のバルトフェルト企画のコンテストに女装して(強制的に)参加した男性パイ
ロットが約1名いたことと、投票用紙に「この腰抜けがーッ」と書き殴られていたものが一枚あったこ
とは、後世のいずれの文書にも残されてはいない。
「あの……ね………キラは、こういう服、お好きなんですか?」
妙な期待を胸に抱きつつ、ラクスは問いかける。ほぼ自分の予想通りの質問が来たことに、キラはまた
また心の中で含み笑うが、表情はあくまでも穏やかだった。
「うん。とっても似合ってるよ、ラクス。………でもあんまり人前でして欲しくないんだ。君の魅力を
独り占めできないことも嫌だけど、なにより僕自身がどきどきしてしまって、平静でいるのに苦労する」
キラ自身歯が浮いてしまう気障な言葉は、どうやらラクスにとってはとどめの一撃になったようだ。瞳
が軽く潤んでいる彼女を見て、キラは久しぶりに黒い衝動が走る。思えば、以前コペルニクスを離れて
以来、彼女と夜を共に過ごすことがなかった。そういえば、最近の彼女の周辺には何故かメイリンが一
緒にいることが多く、ちょっとした休息時間さえも、彼女と二人きりになることがなかったのだ。
「ねえ……キラ…………あの、わたくし……………平静でいられなくなったキラを見てみたい………」
ラクスはもじもじと俯きながら、遠回しに誘われようとする。ここで、キラはもう一呼吸置こうか一瞬
悩んだが、素直に誘ってやることにし、テーブル上の会計カードを手にとって席を立った。
「じゃあ、そろそろ………」
ラクスの脇に立って、キラは彼女の前に右手を差し出す。
「はい……」
ラクスは差し出されたキラの手に自分の左手を重ねて立ち上がった。これから始まるであろう甘い一時
に思いを馳せながら。対照的にキラはというと、ここのところお預けをくっていた分、たっぷりと虐め
てやろうと考えていたのだが…………この時彼女は、そんなことなど知るよしもなかった。
乙
黒キラキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
だが、キラとラクスの前に招かれざる客が現れた。
(続く)
乙!!おひさしぶりです
楽しみー
やっぱうまいなー
ラクスが可愛い
乙です!!
メイリンとラクス仲いいなww
乙!
?
暇人さんお久しぶりです。乙!
黒キラー!
暇人さん、個人的にはあんたの作品嫌いじゃないけど、もう来ないでほしい…
前スレが荒れたのは状況がどうあれあんたが原因ってわかってないのかな。
そんなに小説投稿したいんならエロパロいってくれよ。あっちだったらキャラの絡ませ方も設定も組み方も自由だから。
>>24 …( ゚Д゚)ハア?名にいってんだお前。
何の為にこっちに引っ越してきたと思ってんだよ!お前こそ来るなよ!
なんで
>>24は空気が読めないんだろう。デブガキはカエレ
荒らしに反応するのもまた荒らし
28 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/09(金) 23:09:14 ID:eTqPNpdB
自分がきっかけでスレ荒らしてまた平気で投稿する人の神経もどうかしてると思うがな
とりあえず
>>24を始めとする考えを持つ奴らは来なくてもいい
>>25の言うとおり何のためにこのスレに移行したんだか分からんしなw
とりあえず投稿するならまずは名無しでいいと思う
テンプレ作ったんだから、読んでくれよ…
暇人さん乙!
暇人さん、いつもマリガトウ!
キラ達が宿泊しているホテルのスウィートは、リビング、寝室、バスルームの構造で、寝室は天井の半
分が半ドーム状のガラス張りとなっている。月面の表側、つまりは地球に向いている側の都市のホテル
などは、アースビューと呼ばれる構造の部屋に人気があり、地球上で言うところのオーシャンビューと
同じような扱いである。ちなみに、月面から見える太陽は、一日中、同じ位置に見える。仮に、一日の
定義が太陽が昇ってから、それが沈みまた昇るまでと考えるのならば、月面の一日は地球上の約30倍
の長さである。昼間の時間は約15日間あり、夜の時間も約15日間となる。そして、月面から見える
地球の位置は永遠に同じ位置である。月面上の都市は、クレーターに特殊な天井をもうけ、閉鎖的な空
間となっていて、太陽の位置と地球の満ち欠けによる反射光の強さに合わせ、任意電磁波フィルターの
強さを変化させることで、人工的に美しい空を作り出しているのだ。また、通称夜の週と言われる太陽
が空にない期間は、月面の反対側に設置された集光施設から、各都市の天井部に超高透明度のグラスフ
ァイバーラインを通じ、太陽光が供給され、さらに、その光を用いて、人工的に昼夜を作り出していた。
この日は丁度、コペルニクスは夜の週であり、太陽光が直接都市にあたらない分、天井のフィルターの
強さが弱く、漆黒に蒼い地球が真円を描くのを、一番透き通った状態で見られる時期であった。
「ん……んん………」
地球の青白い光の下で寄り添って立つ二人、重ねられた唇と、絡み合う舌、ラクスの鼻腔から艶めかし
い吐息が溢れていた。彼女の両腕はキラの肩から首の後ろに回されていて、キラの両腕は、ラクスの背
中と腰を抱いていた。しばらく、深いキスをしたあと、キラの右手が、深紅のチャイナドレスのおしり
をさすり始める。密着したそのドレスはラクスのボディーラインを浮きだたせていて、おしりの所など
は軽く縦の谷間さえ作り出していた。露出が多いことより、こちらの方が男性達の目を釘付けにしてい
たくらいだ。
「ん……やっ………駄目です。シャワーを浴びてからですわ………」
唇を離し、瞳を開いてキラの手の動きにやんわりと抗議するラクス。キラは、お預けをくった猫のよう
に不満そうな顔をするが、ラクスは首に回していた腕を解いて、キラの胸板に当てて軽く押し返す。そ
の時彼女は、キラの上着の内ポケットに、何か堅いケースのようなものが入っていることに気がついた。
「あら……なんですの、これ?」
ラクスに指摘され、キラは彼女から離れると、内ポケットから白いプラスチック製のケースを取り出し
た。そのケースを開けて中身を彼女に示してみせる。
「栄養剤みたいなもんだよって、バルトフェルトさんが言っていたんだけど、会場でバルトフェルトさ
んがくれたんだ。これ飲んで頑張れって………」
ケースの中身は白と赤色のカプセルに包まれた薬剤だった。一見して、風邪薬や栄養剤の類のものに酷
似している。
「それで、お飲みになったんですか?」
「ううん………まだ飲んでないよ。寝る前に飲むと効果的だって言ってたから………。うーん、確かに
今日はいろいろとあったから、飲んでみようかな。ラクスも飲んでみる?」
キラは洗面台の方に歩き出しながら、1カプセル口に含んだ。
「え……わたくしは、あまり疲れてもいないですし………」
ラクスは言いながら、一瞬妖しい薬なのではなどと考えて、苦笑しつつ否定した。バルトフェルトが変
な薬を渡すわけもないし、パイロット達が各種栄養剤を服用することなどよくあることだ。
「のんどけば、ラクス。これから、とっても疲れると思うから………」
水道の水をコップに注ぎながら、キラはニヤリと笑った。キラの言葉にラクスは顔を赤らめながら、ベ
ッドに腰掛ける。
「もう………いやらしいんだから…………ホントにもうっ………」
ぶつぶつと愚痴るラクスに、苦笑しながらキラは近寄り、カプセルと水の入ったコップを手渡す。一瞬、
彼女はためらうが、結局それを飲んでしまった。ラクスが空のコップをベッドの棚に置くと、再びキラ
が彼女を抱きしめようとする。
…………プルルルル………プルルルル…………
突如、ベッドに備え付けのルームテレホンが鳴りだし、キラは拍子抜けしたように、がっくりと肩を落
とした。
「いいところで邪魔が………」
キラのため息混じりの呟きに肩をすくめつつ、スウィートルーム本来の借り主であるラクスが受話器を
取り応答する。
「はい………あら、メイリンさん。どうしたのですか?こんなお時間に………」
ちょっと嬉しそうに応答するラクスを横目で見たキラは、何となくおもしろくないといった感じでむく
れる。そして、ほんの数秒後、ラクスの楽しそうに電話する姿を見つめる彼の瞳に、黒い輝きが宿り始
めていた。
キタ━━(゚∀゚)━━!!! 乙。
続き楽しみだ…!メイリンとすっかり仲良しだなw
続きも
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
またまた黒キラ
ワクテカワクテカ
艶かしいラクス様
キ
タ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ヽ\ //
,、_,、 。
゚ (゚ロ゚)っ゚
(っノ
`J
相変わらず設定が細かいなー
感心です。乙
またやってんのかよ暇人
同人だせって。うれないだろうけど。
テンプレに「荒らしはスルー」いれるの忘れてたな…
乙!
>>39 うん。ここまで追ってくるとはな
だいぶ先にはなりそうだが次スレに入れよう
暇人前スレであんなに物議かましたくせになんで投稿してくんの?
エロパロいけよ
ここはキララクがただ絡んでるだけでいいんだよ
いちいち変な設定とかつくんなくていいから
アンチ氏ね
>>42 俺は
>>38のようなアンチや荒らしじゃない
ただ暇人がくると
>>38のようなやつが来る可能性が高くなるんだからやめて欲しいと、スレのことを思っていってるんだ
エロパロがあるからそっちに投稿してもらえればいいんだし、お前らもそっちで読めば良いだろ
捏造妄想暇人乙
ここIDでないの?
>>41 お前がいなくなったほうが此処は平和になると思うよ!
>>43 どっちにしろテンプレが読めないようなら荒らしと思われても仕方ない。
職人さんに対する批判や文句は書き込むな!
気にいらないならスルーを守れないなら、お前がこのスレにくる資格が無いってことだ。
土日だから賑やかだな。煽りは反応せず放置しとけばいいよテンプレあるし
暇人さん板的にはもう問題ないので気にせず〜乙
恥ずかしいマンセー文章をここにあげたひとはサラされるかもね
恥ずかしい煽りをしてる奴がいるが、徹底スル〜♪
wwwwそれスルーじゃないなじゃい?
我々は職人さんを待つのみ、で気に入れば読めばよいし、気に入らなきゃ読まなきゃ良い、
ただそれだけだ
あとはテンプレに従ってスレ運営
これでFAでしょ
あれっこのスレ彗星から移転したのか。
キャラサロンは一キャラ一スレで、単独カプスレを立てる場所じゃないよ。
そうでなくてもキラスレは女スレがあるし(完全に死んでて再利用されてるが)、ラクススレも既にある。
別にアンチじゃないよ。ルールを守って欲しいだけ。
単独カプスレは何でもありやぴんく難民に移動した方がいいと思うぜ。
蛇足だが、いつかのようにエロパロ板にカプスレをたてるのだけはやめてくれな。
キラ女スレが落ちた後、キララクに限らず全てのキラカプスレにするならいいと思う。
スレのテンプレより板のルールが優先なのはわかるよね?
ああ、ちょっと違った。
>『単独のキャラ萌え談議(キャラ小説を含む)』や『キャラなりきり』などの用途に利用できます。
>ただし『単独のキャラ萌え談議スレ』と『キャラなりきりスレ』は個別にスレが立てられます。
ということだから、今の時点ではラクス総合エロネタスレに転換すればここにあっても大丈夫かも。
とにかくカプスレはやめといてくれ。
彗星のエロカプスレが全部移転してきたら異常事態になる。
いや彗星エロスレはかなりの確立で移転してこない。大概単発で終わるし、ここほど
粘着質に荒らされないからな。話も出ないだろう
てか立てたところでまた移転話か…
僕たちの世界は…
そうか。何か苦労してるんだな…。自分は彗星で何があったかは知らないのでな。
他スレ話は良くないが、行きがかり上書かせてもらう。
他キャラスレで単独カプスレが欲しいという呟きが出た時、住人で諌めて止めたんだ。
(理由は板違いというだけではなかったが)
ここを前例としてカプスレ容認だと思う人が出てくる可能性は認識しておいてくれ。
やっぱ暇人はメイリン至上主義なんだな……
>>55 みたところによると他はみななりきりスレで此処のようなスレとは違う。
単独キャラのスレとなりきりは個別に立てられるとあったからこっちに来た。
ちなみに同じ板にアウスティスレとかギルレイスレとかあるようだが・・
それはカプスレにはならないのか?
>>55 レイ関係のスレもすでに二つ・・・
しかも、二つとも彗星からの移転のようだが、それはどうなんだ?
キラ女スレはSSスレとして始まったんだよ。荒らされて機能する前に過疎って、今なりきりが使ってる。
ギルレイスレあるか?レイキモスレならあるが。スレタイはレイギルぽいギル総受けスレはあるよ。
アウスティはカプスレになりそうだね。
こことの違いはキャラの限定や排除をテンプレにしていないことかな。
削除依頼されたら考えれば。
>>63 レイ関係のスレは「Hなレイ・ザ・バレルですぅその8」も「ああ・・ギルの中あったかいよぉ・・・ 2」
も、両方小説スレのようだからカプスレにはならなくても、乱立にはなるだろう?
スマン一応、他の種スレの様子も伺ったうえで此方に立てたものでな。
他にそういうスレがあったから大丈夫だと思って立てた。
65 :
55:2005/12/11(日) 20:39:02 ID:???
誤解の無いように言っておきたいんだが、このスレに何が何でも出て行ってほしいとは言ってない。
>>55のようなことがあったので、単独キャラスレの体裁を整えて欲しいというのが本音だった。
上にあったため見つけてちょっと焦ってレスしてしまった。すまんね。
これ以上別スレの事情でこのスレを荒らしたり更に他スレに飛び火させるつもりは無いので、
楽しくやってください。自分のような人が来ないようにできればsageで…。
ちなみに自分の言っているスレは話題に出ていません。というか知らんスレあった。
66 :
65:2005/12/11(日) 20:40:41 ID:???
間違えた。
>>55でなく、
>>58のようなこと だった。
もう消えるんで。お邪魔しました。
>>65氏
詳細なアドバイスを有難うございました。
俺らもわからず屋では無いつもりなんで、ドン詰まるようだったら、色々検討してみます。
本拠地に避難所があるから・・・・・。
んじゃ、ま一応そのままで
>>65 色々ありがとう
保守
ほす
ほっしゅ
保守
もうラクスは無理だな・・・
ほしゅ
ローエングリン
がんばれ
ひたすら待機
監視
移転大失敗だなw
待機あるのみ
ぬるぬるとした液体がラクスの白い肌の上を滑って行く
「へぅ……ぁ、キラ……?」
ラクスは恐怖と好奇心がまじるのを感じた
キラはラクスを無視して無理矢理ラクスの乳房をもみくだす
「あぁ…そんな乱暴にしちゃ…だめぇ……」
だがラクスはそう言いながらも本気で抵抗はしていない
するとキラはいきなり立ち上がりラクスの前に一物をさらし、口の前に突っ込む
「ふ…む…ぐ…んぅ…!!」
少し苦しそうなラクスを気にも止めず更に強くラクスの頭をつかむ
83 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/16(金) 18:03:45 ID:quMEM21I
↑ツマンネ
>>80 とっくに命脈の尽きたネタスレに見苦しくしがみつき、絵具を砂糖水に溶かして甘い絵を描こうとしたドリーマーどもには当然の報いさ。
報われ無いやせ我慢的な保守レスが何時まで続くか、見ものだよね( ´,_ゝ`)プッ
はいはいドリーマーですよ
土日はこんなんばっかだな…以後スルーで
保守
86 :
84:2005/12/16(金) 20:14:05 ID:???
・・・・・スルースルーと言いながら釣られる香具師の多い煽り耐性の無い所も相変わらずかorz
ほんっと、学習能力無いのなお前ら。
ま、せいぜい頑張りな。
まったり
まだ終わらんよ
>>86 お前も相当な暇人だな( ´,_ゝ`)プッ
まっこりのごとくまったり
フレイ様カワイソス・・・
保守
マタリ
このスレこそラクススレと統合すべきだと思う
95 :
86:2005/12/17(土) 18:53:54 ID:???
>>89 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ __________________
/ ̄\_ \ /
V ̄ヽ丿 │ │ │
////// ヘ │ < いやぁそれほどでもぉ〜♪
/ ∂丿 / │
(つ″ ソ~ / \
ヽ_ ノ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/⌒⌒⌒⌒⌒⌒\
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││ ││
◯|_―--―ヘ_λ◯
/ )
'―t-t-┴t-t-
││ ││
∠ノ ∠ノ
・・・でもぶっちゃけた話、肝心の職人さんが全然来てくれなくて暇してたのはお前らも一緒だべ?
85のマグネットコーティング施したガンダム級の反応の速さには、俺も笑っちゃったもん。
96 :
86:2005/12/17(土) 18:54:40 ID:???
まぁあれだね、お前らもそんなにこのスレが好きなら、失敗と批判とを恐れずに、ネタ投下にチャレンジしてみりゃいいんだよ。
職人さんなんてのは保守レスなんぞではなく、ネタと活気とに惹かれるモンだぜ?
こんな具合にさ。
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1133532801/ 保守レスなんてモンは、所詮はただ与えられる事を待ってるだけの、受身な態度でしか無い訳でさ。
そんなスレに来るのは、俺のような貧乏神だけだぜ?マジな話。
もっとも、なんか原住民の方から意見が出てるみたいなんで、それは検討の余地あるかも知んないけど。
・・・まあ、なんだか良く解からん輩はスルーで。
なんなんだろう?な?
なら戦うしかないじゃないか
ほっとけって
そうなん?
さあ、来いw
「あら、そんなこと気にしないでくださいな。メイリンさんが魅力的なのは、わたくしも存じ上げてい
ることですから。その……ちょっと悔しいとは思いましたけど…………」
コードレスの受話器を両手で大事に持ちながら、ベッドに腰掛けたラクスは楽しそうに話しクスクスと
笑った。その隣で、キラが腰掛けていたが、彼にはメイリンの声など聞こえない。しかし、どんな内容
の会話なのかはおおよそ予想がついていた。
(それにしても………)
ふと、キラは考える。ラクスとメイリンは近頃ずいぶんと仲がいいように思えた。同じコーディネータ
ーの同姓で年齢も近い事からかもしれないが、コペルニクスでの一件以来、暇さえあれば、この二人は
一緒にいて、キラにしてみれば少しおもしろくなかった。どちらかというと、ラクスよりもメイリンの
方がラクスに近寄りたがるようだったが、ラクスもまんざらではないようだ。キラの思い過ごしかもし
れないが、女の友情の域を超えた気配すら感じてしまう。現に、今この時だって、自分とのムードがこ
れほど盛り上がっていたのに、ラクスは自分を無視してメイリンとの会話に夢中になっている。
(お仕置き……決定!)
キラは、楽しそうに電話をするラクスの躰に手を伸ばした。
「それでね、オーブの…んあっ……」
電話するラクスの声が急に甲高いものになった。恨めしそうな顔を、自分の右胸をまさぐっている、隣
の男に向ける。キラは軽く唇をゆがめると、ラクスの左耳を軽く噛む。彼女の右耳に当てられた受話器
から『どうしたんですか』というメイリンの声が、キラにも微かに聞こえてきた。
「ん……いいえ、何でもありませんわ。その……ちょっと風邪気味で喉の調子がよくありませんの……」
誤魔化すラクスの背後に、キラは回り込むと、今度は左手で彼女の左胸を愛撫し、右手をチャイナ服の
太ももの部分のスリットから、服の中に滑り込ませ、彼女の内股を愛撫する。声には出さなかったが、
ラクスの躰がその刺激に震え始める。
「ラクス………ばれちゃわないようにね。それと、まだ電話は切っちゃ駄目だよ」
小声でラクスの左の耳元に囁くと、キラはもじもじと抵抗する彼女のうなじに舌を這わせながら、乳首
を服越しにコリコリとしごき始める。
「ん……やっ……あ……あの、メイリンさん。それで、ご用件は?」
キラの愛撫に反応する躰の疼きに耐えながら、ラクスはさっさと会話をすませてしまおうと考えた。
『え……あ、あの、今からそちらのお部屋に伺ってもいいですか?ちょっとお話ししたいことが………』
メイリンは、ラクスが急に話題を変えてきたことに怪訝に思いながらも、本題に入った。
「え?んっ……あの……それはちょっと……んっ……だめっ……そこ……わたくし、風邪をひいてます
から……貴女にうつしちゃいますわ………んっ」
キラの指がショーツ越しに花弁の突起を擦り始めていた。ショーツがじっとりと濡れていくのが、ラク
ス自身にもわかり、恍惚になりかける。キラは背後で喉を鳴らして含み笑っていた。
『あの……風邪って、そんなにひどいんですか?お医者様をお呼びした方が………」
「いいの……大丈夫ですわ……っ……ちょっと喉がいがらっぽいだけですから……んんっ……」
漏れそうになる嬌声を、軽い咳払いにして誤魔化すラクス。当然、キラがこの部屋にいることは誰も知
らないはずだし、一度はメイリンにキラとの関係を知られたものの、またもや自分がキラといかがわし
いことをしていることを知られたくはなかった。
『それなら、私がラクス様の看病をします。それに………ラクス様の風邪だったら、うつってもいいか
な……なんて………』
「だめですっ。………あ、いえ、その……わたくしは本当に一人で大丈夫ですから。ごめんなさい、た
だ、早めに眠りたいものですから………また今度の機会に………んっ………ほら、そちらのお部屋には
お姉さんもいらっしゃるのでしょう?」
キラの左足がラクスの左足に絡み、彼女の閉じようとする脚を強引に開かせ、ついに右手がショーツの
中に侵入し、濡れたクレパスに指が埋没した。
『あの……その姉が……ですね、今晩私に部屋を開けろって、うるさくて……いたっ………んっもぅ、
何するのッ、お姉ちゃん………“余分なこと言うんじゃないわよッ”………なによッ、どうせシンをこ
こに連れ込む気なんでしょっ、だったら、お姉ちゃんがシンの部屋に行けばいいじゃないのッ……“あ
っちにはアスランもいるんだもん、メイリンこそ、シンがこっちに来るからアスラン達の部屋に行って
くればッ。ミスコン女王の魅力でモノにしちゃえば?”………いやらしい発想しないでッ、私はお姉ち
ゃんとは違うんだからッ………“ほぉう……言ってくれるじゃないの………”』
受話器からホーク姉妹の口げんかがしばらく続き、その間にも、キラのラクスに対する愛撫がエスカレ
ートしていく。いつの間にかショーツははぎ取られ、彼女はベッドの上に仰向けに押し倒されて、キラ
が彼女の白い太ももの間に顔を埋め、陰唇を舌で刺激していた。開かれた膝が彼の両腕に抱え上げられ
て、躰が屈曲し、まくり上げられたチャイナドレスの中に彼の頭が入り込んでいる。柔らかい内股を、
彼の髪の毛が時折擦れて、陰唇を責められるのとは別の刺激を彼女に与えた。
「ああ……だめぇ………これ以上は………」
受話器から聞こえる喧噪に、こちらの声は聞こえていないと思い、ラクスは受話器を少し遠ざけて、キ
ラに小声で哀願するが、キラは、わざと音を立てて愛液を啜り、舌先を尖らせて膣に挿入する。
「んんっ」
久しぶりの情事と、今の状況にラクスの躰は過剰に反応し、呼吸が切迫して脚がガクガクと震え始めた。
「イキそうなの?ラクス………」
愛撫を一度停止して、小声でキラが尋ねるのに、ラクスは羞恥で無言となった。
「電話……いいの?ほっといても………」
ラクスの脚の間から頭を離し、キラは意地悪に言いながら、右手の中指と薬指を彼女の膣に挿入した。
彼女の躰がピクンッと弓なりに跳ねて、一瞬嬌声が漏れそうになる。
「クックックッ………ほら……ちゃんと電話で話を終わらせないと、メイリンがここに来ちゃうよ……
また、彼女に見られたいの?君のこんなに素敵な姿を………」
小声で言葉責めするキラも、妙に高揚感を覚え、彼女の中に侵入した指の動きが早くなっていく。
「くうぅ………」
わき上がる快楽の波に必死に耐えながら、ラクスは再び受話器を顔に寄せた。
「あの………メイリンさんっ……んっ………わたくし……そろそろ………っ……眠りたいので……っ……
お電話っ……っっ……よろしいかしら……」
必死に嬌声を押し殺し、ラクスは話す。受話器から、姉妹の喧噪が一旦止んだ。
『あ……すみません、ラクス様。それで、今なんて?こっちの部屋の・雑・音・がひどくてよく聞こえ
なかったんで、もう一度………』
口げんかに夢中になっていたメイリンがそう尋ねてきた瞬間、ラクスの膣内で蠢いていたキラの指が、
彼女のGスポットのヒダを激しく擦り始めた。
「ああッ……だめぇッ………溢れちゃうッ……やああああッ………」
溜まらず嬌声を張り上げてしまったラクスは、咄嗟に電話機の保留ボタンを押した。受話器からオルゴ
ールが鳴り、一旦通話が保留状態となったが、通話先のメイリンは呆気に取られていた。
「どうしたの?」
口げんか中に妹から教育上よろしくない言葉で卑下され、御機嫌斜めのルナマリアが、受話器を持った
まま呆然としている妹に少し棘のある声で尋ねてくる。
「さあ?……なんか『溢れちゃう』とかおっしゃって、保留になっちゃった………」
「お風呂でも入れてたんじゃないの?」
姉の言葉に微妙に納得がいかないメイリンだったが、その理由が思いつかずに、とにかく保留が切れる
のを待つことにした。
「んっひっ……あああああああッ」
保留音を再生している電話機の方では、ラクスが嬌声を張り上げて、熱い飛沫でドレスとシーツを汚し
ながら快楽に果てていた。
やばい…イイ!!ハァハァ
おお、職人さん乙!
107 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/18(日) 19:01:35 ID:tV5O01g+
暇人いい加減にしろよな
なんの前触れも無くしかも断続的に投下するから他の職人さんが遠慮して投下しにくくなってんのわかってんのか?
おお!乙です
久々ですなw
おお暇人さん乙!!まってましたー!
年末はやっぱどこも忙しいのかと思ってたから、まだ先かなと…嬉しいな
GJGJ!!
暇人、お前に惚れたぜ
またいいとこで…!w続き待っててます
(´Д`*)ハァーーン
また生殺し…(*´Д`)
( ゜∀゜)o彡゜ GJ!GJ!
正月はこれで決まりだな
うわ〜〜んっ、生殺しだよママンハァハァ(´Д`*)
シンルナ書いてほしい・・・
うは〜ww乙乙!
>>116 テンプレの読めない頭の悪いシン厨はとっととお引取り下さい。
そうでなくてもこのスレは我がままな名無しの手前勝手な要求で職人離れが進んで常に過疎化の危機に晒されているのだ。
嵐の原因になるからスルーしとけW
スルー汁!
このスレ読んだ後って凄く濡れてるの……
だから暇人さん、はやく続き書いてぇ!!
・・・・・・・・・まぁ、あれだな。シン厨と痔悪化厨は、どこ行ってもバカばっか、と。
続きまだーハァハァハァ
暇人さん、まったり待ってますー
忙しいよなどこも仕事がさ…
どこ行っても嫌われるキラ厨キモいよww
電波に犯されすぎww
>>116 おまえはこれでも見てオナっとけ
ヽ、_,._,.-‐' `ヽ、
>、\ ヽ ヽ \
/ ハヽ、\ \. ヽ
| / lヽ\l,‐-\ \ |
. | | | l|rl‐-| ヽllr_‐_ミ`y′ | |
||l! | |r=-l l|rll/ !i | | l|
>>116さんっ、だっめ…っ…!!
| ト、|//′ //// !i/ イ | そんなに激しいと…あたしすぐイッちゃいま…す…っ…!!
ヽ|,ハ、 r ヽ ii .// ,ム ||
| //ヽ、_r'" ̄ ̄`ヽ、,r‐‐イ⌒ヾ
|l|/ / \ (/`ーイ⌒`‐-、 r=─'" ̄
| ,. -─-、_ .| r‐‐、 r\  ̄``7ヽ r=─'" ̄
. ', / / |/ ヽ| ヽ | ̄ ̄ __=─'"
r、 fト、 ト、\___/ /| ヽ | /⌒|
| | | |.| | |`ヽ、_ / | ヽ ヽ ヽ | //⌒. |
r,| |,| | | ri r、 | /ヽ  ̄ | | ヽ .ヽ`‐、__ ト‐┬──(//ゝ)ゝ|
. || ` || | ヽ,V ヽ | .| ヽ ヽ `‐┴' / / /|
ト、| /⌒`‐-、|_\ ヽ / | ヽ l / / / |__ニ─
. | |  ̄``7ヽ. | /_ \ __>─'" ̄7レ′ /__/ |
‐、_ | | ̄ヽ Vrニ=─'" ̄ / //___/__ _____|_
` L_ | \ | / /エ `ヽく ̄` ‐-、 |
. ``‐-、__ | ` | _/__ ム \ \ |
``‐、__ ト‐┬─┬'エ ./ ``‐┴| ヽ-. =-―─
``‐┴'′ ヽ | ヽ | |}::::::::::::::;::: :::::::::
ヽ | \ / |::ヽ,::::!:::;:;:::::!:::;
sage
ま た か いい加減にしろ暇人
年賀状と大掃除すましとけ禁治産者
乙です!
むしろ
>>129は熱心なファンとみた
ここまでおっかけてくるとは乙
暇人さん乙!
外野が色々煩いかと思いますが、めげずに続編投下お願いしますね。
「んっはッ……かはッ………くううぅ…………」
潮を吹いて絶頂に達した肢体がビクビクと痙攣をし、ラクスのうつろな瞳はガラスドーム天井から注ぐ
地球の蒼い光を映していた。無意識に強張る全身の筋肉が荒い呼吸を妨げ、快楽と苦悶が彼女の中に同
居しせめぎ合う。
「はぁぁぁん…………」
数秒間続いた痙攣が止み、躰が一気に脱力し、全身の汗腺から大量の汗が吹き出し始めた。意識が混濁
するナチュラルハイの感覚の中、彼女は今置かれている全ての状況を失念する。右手に握ったままの受
話器から流れるオルゴールも、キラがベルトのバックルを外すカチャカチャとした金属音も、彼女の鼓
膜と耳骨を振動させていたが、脳内でその情報信号はオミットされてしまう。全裸になったキラが、彼
女の深紅のチャイナドレスと白いブラジャーをはぎ取り、一度抱きかかえてピンクの髪が結いあがった
頭をベッドの枕に降ろした。力の抜けた両膝を抱えて、彼女の躰を屈曲させ、膝が彼女の肩あたりにま
で来るように彼の両腕が押さえつける。大量の分泌液が滴る白いおしりが、屈曲のためシーツから浮き
上がり、上を向いた膣に熱い怒張の先端があてがわれたところで、ようやく彼女は意識を取り戻した。
「あ……やっ……だめっ……お願い、もうやめ……てぇぇええんッ」
一気に深々と貫かれて、ラクスの懇願する声が末尾で嬌声に変わる。久々の性交渉の刺激に、彼女の肉
壁が反射的に歓喜に震え、キラの分身を締め付けた。
「ラクス、電話………もういいの?」
小声で呟きながら、キラはクスッと優しく微笑んだ。その穏やかな表情とゆっくりとだが深いストロー
クをくり返す被虐行為とのギャップが、ラクスの理性を狂わせようとする。
「ああっ……いやっ………こんなことされてて………電話なんかできない………んあああっ……」
涙目になりながらも、ラクスは自身の女の性が引き起こす快楽の波に溺れ始めていた。淫靡な炎が付い
た肉体はもはや抑えようがなく、保留にした電話など放っておいて、より激しい情事を求めてさえいる。
今の彼女には『やめて』の一言を発する気持ちすら微塵も残っていなかった。
「でもさ……急に保留になんかして、このままほっとくわけにもいかないでしょ。それも、『溢れちゃ
う』だなんて口走って……。一方的すぎて、彼女怒ってるかもよ?………お風呂が溢れそうだったとで
も言って、謝っておかないと、大事なお友達をなくしちゃうよ………ほら……」
キラはゆっくりと腰をグラインドさせながら、彼女に甘く囁くと、枕の上方に置かれた電話機の緑色に
点滅する保留ボタンに右手を伸ばした。
「やっ……だめっ………」
ラクスの制止も空しく、受話器からのオルゴール音が途切れる。
『………あ……ラクス様、どうなさったんです?……もしもし………』
受話器からメイリンの声がして、ラクスは押し寄せてくる快感と言い得ぬ不安から、思わず瞳を固く閉
じた。その彼女の様子にキラは喉の奥からわきがる笑いをかみ殺し、腰のグラインドを止めて、彼女の
膣内に一物を深くねじ込み、断続的に腰に体重を乗せて、最深部の秘肉を強く圧迫する動きをくり返し
始めた。
「ご……ごめんなさぁいっ……っ……メイリンさん………お風呂を用意していたのを……んはッ……忘
れていて………お湯が溢れちゃって………慌ててしまいました………はぁッ……」
屈曲位の恥辱的で苦しい格好のまま、子宮や肉壁が無理矢理押し込まれる快感に、ラクスは必死に耐え
て、荒い呼吸を押し殺す。
『そう……ですか………なんか苦しそうですけど、大丈夫ですか?』
「はい……慌てて……んっくぅ……走ったりしたものですから………んあっ……だめ……熱ぅい……」
キラが深い挿入のまま腰をぐりぐりとねじりだし、熱い怒張がラクスの子宮頚部をころがし始めた刺激
に、彼女は思わず艶っぽい言葉を発した。
『え?……ラクス様?』
受話器から聞こえるメイリンの声が怪訝なものとなり、ラクスはドキリとした。咄嗟に誤魔化す言葉を
弱まった思考でひねり出す。
「あの……背筋が寒くて、つい………わたくしお湯に入って…………くああッ………やっ……ふかいぃ
……ふかすぎ………ううっ……あははっ……思ったより、この浴槽深いんですね………」
快感に震えながらよくも考えたものだと感心しながら、キラは一度ずっしりと体重を掛けた腰を浮かせ
て、再びグラインドをし始める。ベッドのスプリングが跳ね、ラクスの躰が揺れて白い双丘が、左右逆
方向に円を描いて揺れ始めた。彼女は溢れそうになる嬌声を、下唇を噛みしめて押し殺す。感じないよ
うにと意識するが、淫らに犯されながら電話をし、相手に気づかれないようにしなければならないこの
追いつめられた状況が、被虐的快感をわき上がらせた。
『ええっ?今、お風呂入っているんですか?……あのぅ、受話器濡れちゃいません?』
「あッ……それは……心配ないですよ………ッ……ここのお部屋には……バスルーム用のルームテレホ
ンもあるんです。……はあっ……さっき、保留中に切り替えたんです…………んんッ……いいッ……お
湯ですわ」
確かに、スウィートのこの部屋には、バスルームにも生活防水型の電話が設置されていて、保留中に切
り替えもできた。元・アイドルだけに、こういう部屋もよく利用しているため、微妙なところに詳しく、
必死に漏れる嬌声を誤魔化すラクスの言動に、キラは含み笑いで喉の鳴く音を抑えるのに苦労した。彼
女のがんばりに陵辱精神で応えようと、彼は腰の動きを徐々に早めていく。
「………っ………ん……んんッ………っ………」
この後しばらくの間、ラクスは、なかなか電話を打ち切る切っ掛けがつかめず、スウィートのバスルー
ムの様子を尋ねてくるメイリンの質問に答えながら、自分が話さなければならないとき以外は、受話器
を口元から少し遠ざけて、自分の左手を噛み嬌声が溢れるのを堪えた。
「ああ……メイリンさん………わたくし、そろそろのぼせてきてしまいましたわ………んああっ……そ
ろそろよろしいかしら………ホントに……のぼせてっ……くるっ……くるのッ………」
絶頂の波が再び迫り、ラクスは電話を終わらせようする。キラの腰の動きがどんどんエスカレートして
木製のベッドがきしみ始めていた。ラクスは、心臓の鼓動が高まって、指先やつま先の毛細血管が充血
し、全身を走る淫靡な切迫感に必死に耐えて、頭を枕の上で左右に振り乱し声を殺し悶絶する。
『あ……すみません。長話しちゃって………。あのぅ……一つだけ……聞きたいんですけど………』
切迫したラクスにとって、メイリンの緩やかなしゃべり方が聞いていてつらくなったが、もう少しだけ
我慢すればと、ラクスは受話器を両手で強く握りしめて耐える。
「なんでしょうかッ?」
『あの、こんな時間に………その………男の人に……アスランさんの部屋に行くのって……変ですか?』
メイリンの唐突な質問に、一瞬とまどうラクスだったが、もはや悠長に考えている場合ではなかった。
「よいのではありませんか………わたくしだったら………好きな男性の部屋でしたら……何時でも……
行って………イッてしまいますッ………」
限界が近づき、ラクスの言葉に妙な力が入ってしまう。彼女の膣壁が自分の一物をキュウキュウと締め
付けるのに、キラも射精感がわき上がってきていた。快楽を貪るように激しく彼女の膣内を肥大した怒
張で責めたてる。
『あ……あの……そんなに力説されなくても………なんか、恥ずかしいです………。ラクス様、ありが
とうございました。風邪、早く治してくださいね………それでは、お休みなさい……』
メイリンが最後の挨拶をし始めたため、ラクスはようやく切なさから解放されると歓喜し、急いて左手
が頭上の電話機を手探りで探し始めていた。
「ええ……お休みなさい………メイリンさん………じゃあ……電話……切ります……」
膣の肉壁がオーガズム蠕動し始めて、全身が波打つのに耐えつつ、ラクスは絞り出すように最後の挨拶
を告げると、探し当てた電話機の受話器受けにあるフックボタンを、慌ててカチャカチャと2度押しし
た。
「ふぅんっあああああッ……もうッだめぇッ……いくぅ……いっちゃうぅぅぅッ……ひああああああッ」
受話器を枕元に放り、頭の下の枕を握りしめながら、ラクスは今まで耐えていた分の嬌声を一気に張り
あげて、激しい絶頂に達する。
「ラクスッ……僕もッ……」
キラも呻くと、ラクスの体内に大量の精を放ち始めた。
「んくうぅッ………出てるッ……キラのッ……わたくしの中にッ……いっぱいぃッ……んあああッ……」
………ガッ……ガチャッ…………ツー……ツー……ツー……
卑猥な言葉を張りあげるラクスの枕元で、受話器が通話の途切れたことを伝える電子音を鳴らしていた。
………………………
……………………
…………………
「どうしたの?」
ソファーに腰掛けて、テレビを見ていたルナマリアが、ベッドの上で慌てて受話器を受話器受けに置い
たメイリンの姿に怪訝な視線を向ける。
「なっ………なんでもないッ………全然ッ………なんでもないッ……」
耳まで真っ赤になったメイリンの妙な返答に、ルナマリアはさらに深い疑念のまなざしを向けるが、メ
イリンは、「コホンッ」と咳払いをして、軽く深呼吸をする。
「変な子ね………まあいいわ……。で、どうするの?ラクス様の部屋には行かないの?」
ルナマリアの言葉に、メイリンは首を横に振って否定した。
「あ……うん……、先客が……じゃなくてッ………もう、おやすみになるみたいだから………私、ちょ
っと………うん………ミリーのとこに行ってくるね……あははは………」
妹の乾いた作り笑いに、ルナマリアは一瞬呆気になったが、何となく予想がついて、納得の微笑みを浮
かべながら再びテレビ画面の方に視線を向けた。
スウィートのルームテレホンは、寝室、バスルーム、リビングにあり、これらは同じ番号の内線であ
り、かかってきた電話を内線間で切り替えることができる。そして、フックボタンを一度押すと、保留
状態になり、転送する内線機を指定することができるのだが、もう一度フックボタンを押すと、保留が
解除され、通話が再開する仕組みとなっていた。かかってきた通話を切るためには、フックボタンを4
秒以上押し続けなければならない。ラクスがこのことに気がつくのは、翌朝のことであった。
シンルナお願い
あとルナマリアはこんなキャラじゃないよ
暇人さんの続きキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>>1を読めない奴はお帰りください。
暇人さん、続きものを投下する時のマナーは守った方がいい
それとも唯一絶対神になりたいのか?
続きキター(*´д`*)ハァハァ
いい加減スルーを覚えろよ
>>143 スレ違いの、それもシン厨なんぞに居座られてでかい面される方が遥かに有害だろ。
>>125 他人様のスレにテンプレスルーで土足で踏み込んできた挙句に我侭勝手言いまくるお前の厚顔無恥さの方がどう考えても100万倍はキモい。
それとも在日か?テンプレが日本語だから理解できないんだろw
>>145 自分がまともなこと言ってると思うなら、余計差別用語は控えるべきだと思うけど?
真面目な話、興味があるからこのスレ暫く見ているけど、
別の職人としてSS投下出来るような雰囲気ではないよね。色んな意味で。
このスレは負債マンセーの最低厨の巣だと認定されマスタ
引き続き監視対象としてヲチしていきます
暇人は最低最悪の職人だと思います
ヲタとしての良心がない
ヲタとしての良心?
何それ?
なんか粘着が居るみたいだな・・。
此処まで追いかけてくるなんて、相当暇人さんにご執心なんだな。
そりゃもうw
シンルナを巻き込んだ辺りでブチ切れですよ
電波説教にひれ伏すシンたちw
これだけでもう暇人の全てが許せなくなりましたw
キララク厨とかぶっちゃけネタでしょ?
いるわけないよねw
キララクのエロSSでオナるなんて創価教祖とその妻のエロSSでオナるようなもの
キララク厨はカルト信者
カルト信者のセックルシーンでハアハアしてる人は真剣にヤバイ人種になりかけてると思うよ
>>150〜153が同一人物なのはバレバレだけど、俺はまた別なクチね。
荒らす方としては確かに飽きないよ。
暇人氏個人はともかくその儲がもう必死だからさぁ、もう釣る方は完全に入れ食いだもん。
こんな釣堀手放せないよ、いやマジで。
おお乙です!!
メイリン…何気にいつもなんというか、役どころがw
シン厨なんてほんとにいたんだ・・・・・・。
あ、でもカルトの中には若い娘をセックルで信者に引き込む所もあったらしい
たしかアメリカだったかな
カルトとセックルは切り離せないよ
>>153 ここにいる時点であんたもこいつらの仲間だからwww
荒らし・自演・職人批判に対しては、徹底スルーしようぜ
住民なら
>>1を守れるはずだ。アンチにいちいち反論してても仕方がない
住民なら感想でも書き込めばいいよ。過激な批判も住民なら絶対やめような
>>146 自演だという可能性は考えないのか?
乙でした!
投下されてたんですね。
ラクスがいろいろ必死に誤魔化す様が面白いですなw
・・・・・・事情はよく分からないのだが、暇人、と言う人が来た時の異常な加熱ぶり全てが自演とは思えないのですが・・・・・。
まあまあ、放っておいてください
こちらは投下してもらった作品を楽しむのみです
>>162 レスありがとうございます。
それはそれで結構な事なのですが、ただ少しでも批評じみた事を言った瞬間に荒らし認定されて叩かれそうなそんな空気が、ちょっと怖いかな、
と言う気がします。
差し出口申し訳無いのですが・・・・・・。
>>163 気に入らなければスルー。これを守れないのならば、住民とはみなされない
それは理解してほしい。でないと自演と見分けがつけにくいし、
前スレで散々荒れたからそのネタで
>>162 だな。職人さん、乙です!
165 :
163:2005/12/20(火) 20:13:43 ID:???
ちょっと言葉が悪かったかも知れないので訂正します。
なんといいますか、粘着もいるのは確かのようですが、ただ一方で一人の人間だけが異常に持ち上げられてる、と言う風にも
映るんですよね・・・・・・。
これじゃ他の職人さんがいたとして、入り込める余地なんて無いと思います。
166 :
163:2005/12/20(火) 20:16:54 ID:???
あ、レスが付いていましたね。
>>164 ・・・・・・・よく分からないのですが、何か色々あったみたいですね。
とりあえずは私はこの辺で退散します。
キララクマンセーを書かせたら暇人さんの右に出るものはないよね
>>165 特に持ち上げてるわけでもないよ。素直に面白いもんは面白い。そんだけ
職人さんが少ないから目だってそう思えるだけだろう
実際暇人さんが投稿してくれた時にも、他の職人さんはいたしな
言ったってどうしようもないし、素直に作品楽しみにしてるよ
>>159 自演で荒れているとか言うよりスレ全体の雰囲気の問題だと思う。
別にキララクの話題で盛り上がっている訳でもないから、
特定の職人さん一人の為だけのスレと言う雰囲気がする。
>>159 >過激な批判も住民なら絶対やめような
過剰なマンセーもな。
そういうの見て虫唾が走る人間ってのもいるんだよ。
むしろアンチが暇人氏を持ち上げてる気もするが。
まあまあ、まったりまったり
173 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/20(火) 21:56:48 ID:7DLVm+aC
どうでもいいけど暇人はほんとに投下の仕方考えろよ。
ブツブツきれた短いSSを頻繁に投下すると、他の職人さんが遠慮しちゃうし、投下のたびに無駄な雑談がふえてスレの空気が悪くなる。
投下のペースをあらかじめ予告するか、あるいはもう少しSSの量がたまってから投下するようにしろよ。
マナーってほどのものじゃないけどこのスレの暇人だけのものじゃないんだから、そこらへん考えろよ。
暇人はエロパロに投下すればいいのにね。
なんでしないんだろ。
あそこの住民はキャラ、カプ、シチュの好みがばらばらだから、このスレと違いとりあえずキララクのエロ書いたってだけでは喜んでもらえないからか?
それともあそこの一部のレベルの高い神職人との筆力の差が浮き彫りになるのが怖いのか?
>>174 エロパロはキャラ単位のSSは禁止なのだが?
ローカルルール知らないのがバレバレ。
住人装ってるおこちゃまはとっとと帰ってママのおっぱいでも吸ってろ。
>>176 言ってること意味不明。
エロパロのSEEDスレはキャラもシチュも制限は一切無い。
種をねたに、あとは職人がただ自分の好みでかくだけ
そんなことより暇人は構成考えて話作ってるか?書けた分だけ投下してるせいか典型的「行って来る」冗長だよ。
またアンチ認定されそうだけど、かなり親切なレスですよマジで。
ageられていたので・・・話の経緯はさっぱりだけど
保管庫に追加して見たい人だけ見に行けばいいのでは
いかに暇人が過保護な状態にあったのかどんどん証明されつつある件について。
エロパロ種スレだとここほど山盛りマンセーレスは絶対もらえない…程度じゃすまない。
他キャラをはラクスマンセーの為に使ってるから大荒れになるよ。
つかキラすらラクスマンセーに使ってる。キララクスレだからキラは好きにしていいけど。
ここでマターリやってた方が良いって。エロパロ種スレのために。
アンチ煽ってるやつらも十分に荒らし
住民以外の方、何人で回してるのか知らないけど書き込みすぎですよ
暇人さん、乙ですー
暇人にしてみりゃ天国だろうさ。技術的に拙劣でもその種の批判すら、こうやって住人が「荒らし」と決め付けて
全部封殺してくれるんだからな。
>>183 ちょっと待て。暇人を甘やかさないと荒らしなのか?
SSは好みじゃなければスルーするけど、それ以外の運営について
>>173は正論だろ。
ちょっと言葉使いが悪かったがここ2ちゃん外環だし。
住人以外がどうとかって話が持ち上がってるけど、
それは板の住人のことを言ってるのか?
過去のことは知らないけど、新しく別の板に越して来た以上、
新しい住人も来ることは想定内のことじゃないの?
なのに、何を書いてもスルーで一人の職人だけマンセーしてたら、
その前からいた荒らしとか粘着以外にも、反感買ってもおかしくないんじゃない?
カップリング萌えじゃなくて特定の職人さん萌えなら、
もっと違うスレタイがあるんじゃないかって思う。
なあ、話し合うにしても避難所(新シャアの前スレ)でしないか
このスレでやらなくてもいい。だらだら延びるだけで肝心の文が読みにくい
まとまったら、こっちに適用すればいいだろ。移動してくれ
別に暇人さんだけをマンセーするつもりはないだろ。
ただ、暇人さん以外が投下してくれないんだよね。
よほどのへぼでない限り、投下してくれたらマンセーするんじゃないか?
新シャアだとピンク系板の存在を話題に出すことが基本は禁止だろ
>>188 前住人だけで話し合うつもりか?
移動希望ならURL出せよ。前住人だけしかいない訳じゃないだろ。
>>189 カップルの話が一切ない以上、投下しろっつうのが無理な話。
投下希望なら投下しやすい雰囲気にするべきなんじゃないか?
‘前住人’という人達に大人板は早すぎたんじゃない?ノリが新シャアのまんまじゃないか
みんなスレを盛り上げたい…つか、暇人さんも、他の職人さんも
投下しやすい雰囲気にしたいという気持ちはあると思う
暇人さんだけをマンセーするのは間違ってるかもね
暇人さんの作品ももちろん読みたいけど
素朴な疑問だけど新シャアにスレあるならどうしてここに?
妙な方向に盛り上がらせてしまったみたいで恐縮です。
投下の時期についてですが、私の本業の合間を使って気分転換に書いている文章です
ので、まとまった文章を書く時間もなく、申し訳ないですが前スレどおり不定期にな
ります。
なお、ご指摘いただいた構成について、駄文のころと若干変えました。時間軸と設定
はそのままですが、本来描く予定だった部分をオミットしてあります。心情背景形成
のため、シンと虎にラクス達のアンチテーゼを確立させる予定だったんですが、前回
の反省からやめにしました。
したがって、前から読んでいる方には話がいきなり飛んで読みにくいところがあった
と思いますがご容赦ください。
私の投下により良くも悪くも多大な影響を本スレに与えてしまって、住人の方、何よ
り他の職人様には大変ご迷惑をおかけしますが、私などに気をつかうことなく作品を
投下されますようお願いします。他の作品が投下されている間は私の投下は控えさせ
ていただきます。
ご愛好いただいてる方へ、続きについては、今晩中に投下する予定です。
書くのは不定期でも、投下は書き溜めてまとめて出来るでしょう
「ねえ、まだ怒ってるの?」
乳白色のタイルをシャワーが叩く水音の中、猫が甘えるかのようなキラの声が湯気の立ち上るバスルー
ムに木霊する。広めのバスルームには、テレビやルームテレホンなども設備されていて、ジャグジー付
きのバスタブも大人二人が余裕で入れる広さの楕円形のものであった。
「知りませんわ……キラなんてもう……あんな恥ずかしいことさせるなんて………」
バスタブになみなみと溜められた湯に肩まで浸かるラクスは、シャワーを使用しているキラとは正反対
の方向を向いて、膝を抱えていた。先ほどの激しい性交の後、しばらくは絶頂後の感覚に酔っていた彼
女だったが、呼吸が整う頃には不機嫌そうにして無口になってしまっていた。それでも、一緒にお風呂
に入っているところが、彼女らしい所でもあるが………。
「いや、だから、調子に乗りすぎたってさっきから何度も謝ってるじゃない……。そろそろ機嫌直して
ってば。………僕も、その……メイリンに対抗意識っていうか……折角二人きりになれたのに電話に夢
中になられちゃうのが………悔しかったというか…………」
シャワーを止めつつ、もごもごと呟くキラの言葉に、ラクスはようやく彼の方に顔を向ける。
「もう2度とあんな事しないでくださいね。………それにしてもキラ、もしかしてメイリンさんにヤキ
モチやいていたんですの?」
ラクスは悪戯っぽく笑って、まるで子供を扱うかのように問いかけ始めた。その瞬間、しょぼくれて肩
を落としていたキラの口元が一瞬ゆがんだことに彼女は気づかない。
「ヤ……ヤキモチって……そんなことないよっ………彼女は女の子なんだし」
慌ててキラが否定する素振りをしたことに、ラクスはご機嫌になる。
「あらら……ムキになって否定されるところが怪しいですわよ。ウフフッ………そうですか、キラは結
構独占欲がお強いのですね…………」
(君に言われたくはないよ………当たってるけど)
キラは内心でそう思いながらも、羞恥で俯く素振りをしながら、バスタブのラクスの隣に入る。キラの
躰の体積分のお湯がバスタブからあふれ出した。
「こんな事では……わたくしはもう二度とステージなんか立てないですわね。熱狂的なファンにわたく
しが囲まれでもしたら、貴方はどうなってしまうのでしょう?」
クスクスと笑うラクスの言葉に、キラは急に真顔になった。
「ストライクフリーダムで君を拉致して、そのままステージごとハイマットフルバーストで………」
キラの言葉が途切れると同時に、二人は顔を見合わせて吹き出した。
「あはははっ………でも、どうしてだろう………最近のメイリンと君の仲がいいところを見ていると、
僕は凄く不安になるんだ。なんか考えすぎだろうけど、君たち二人の間にただならぬ雰囲気というか…
…妙な気配を感じちゃうんだよね」
さりげなく、自分の左腕をラクスの肩に回しつつ、キラは天井を仰ぎながら言う。その言葉にラクスの
肩がビクッと反応するのに彼は気付く。
「そんな………変な関係みたいなこと言わないでくださいな」
ラクスは自分の声が上擦ったことにも、キラの口元が卑猥にゆがんだことにも気がつかなかった。
「変なって………どういうことなの?」
キラの躰が、湯の中でラクスの背後に回り込み、彼女を背後から抱きしめる。そして左手が彼女の右の
乳房をとらえ、右手が下腹部の茂みの奥へと素早く入り込んだ。
「やんッ」
急に敏感な部分に触れられた刺激にラクスの躰が反応する。
「ねえ……ラクス、変な関係ってこういう事かな?」
キラはラクスの髪を結い上げたうなじのあたりに低い声で囁きつつ、両手の愛撫をゆっくりと開始す
る。彼の吐息がうなじに吹きかかり、鳥肌の立つ感覚が彼女の全身に走る。
「んあっ………な……何を言って………んんっ………やめ………はあんっ……」
軽く抵抗するラクスの躰は普段よりも感度がよく、キラの愛撫に即座に反応し始めた。乳首はコリコリ
に凝っていて、陰核も充血し包皮からむき出しになっている。そして、彼女の腰のあたりに当たってい
るキラの一物も硬度を増していた。
(うーん、やっぱそっち系のクスリだったかな………)
キラは自分の下半身の反応とラクスの感度の良さに、バルトフェルドからもらった栄養剤の正体を推測
する。そして、ピンポイントで、ラクスの弱点を指先で刺激し続けた。右手に滑りとした感触がまとわ
りついては、お湯に溶けていく。
「ラクス…………ホントは、こういう事、彼女にしちゃったんでしょ?……凄く怪しいんだよね……最
近の君たち………正直に言わないと……クククッ……このままもっとエッチなことしちゃうよ………」
キラの喉を鳴らす含み笑い混じりの言葉に、ラクスの躰が淫靡な不安と期待に強張った。
「もっと……エッチなことって………んあっ………やめて………そこっ……ああっ……わたくし……こ
んなことしてません………やっ…だめっ……さっきから……そこ…の……刺激強すぎて……んはあっ」
艶っぽい吐息を漏らしつつ、ラクスの理性が白く充満した湯気と温かなお湯の中にとけはじめていた。
>>197 ご指摘の通りですな。
それでは、続きは書きためておいて、早ければ大晦日に投下します。
皆様、良いクリスマスをお迎えください。
私は、仕事だけどねぇ・・・・はあ・・・・本当の暇人になりたいよ。
すげーGJ
…大晦日か!楽しみだ〜。GJ!
投下たのしみにしてます!GJ!!!
明日が大晦日ならいいのに…待ちきれぬGJ
毎日年越しそばじゃねーかw
GJ
投下の仕方云々は多分粘着さんが言ってるだけだから気にしなくていいとオモ・・
テンプレされてるわけじゃなし、そもそも此処はSS投下スレで投下する人とそれを楽しむ人のスレだし
まとめて投下しようが不定期投下しようが職人さんの自由だと・・・
一人の職人がコマ切れ投下・SSについてのレスの繰り返し。
これが長期的に続いてると他の職人は投下しにくいんだよ
空気よんでねってこと。読み専さんには難しかったかな?
でももう対応してくれるようなので、よかったです。
本当の多忙人はSS書くどころか、2ちゃんに来れないと思うが…
>>208さんは職人さんなの?
此処が過疎ってること知っててそう言ってるなら投下して!
投下云々はもういいだろ、職人さんがいいつったんだから読み手は従うだけ
乙です!
他の職人もなにも暇人さんの個スレじゃないのここ?
>>211 ちがうよ〜〜
っていうか、以前から居る住人なら解かってることだけど。
シャアでは複数の職人さんが投下してることもあったし・・
別に208さんに言われなくても各職人さんそのあたりの空気読み取って投下
してたし、問題や苦情が出たことなかったと思うけど。
もういい収拾ついたんだからスレのためにこれ以上話題を引っ張らないでくれ
職人締め付けも自演アンチも混じってたんだろうが、これでもういいだろ
>>212 文句なんてなかったよな確かに。過疎った今なぜかそう言われてるだけで…
年末、楽しみにしてますw
暇人さんのキララクの魅力は他を圧倒する出来ですね
スルー
今年の大晦日は…
(´Д`*)ハァ〜
暇人さんに気を遣いすぎるあまり、向こうの住民の意向って奴に無頓着だったのは反省材料だろうな・・・・・。
向こうの187は個人的にはかなり正論だと思う。
218 :
217:2005/12/21(水) 10:24:03 ID:???
すまん、誤爆したorz
これは194のURLのレスです。正直すまんかった。
いや、そもそも「向こう」と言う書き方は良くないな・・・俺も直さないと。
>>195 >>211 新シャア、と言うのは基本的には糞スレの巣です。
で、元々このスレはその一つだったのですが、ただここはエロSSスレとして、
それなりに命脈は保って来ていました。
糞スレの巣、と言うのは上記の通りだったので、多少の羽目外しも多めに見られていました。
ただ保管庫も出来、さらに長期化と言う形になると敵も増え、主にエロSSスレは新シャアでは
板違いであることで攻撃されるようになり、また暇人氏が前スレの
>>315〜321と言う
形で描かれた本編終了後のサイドストーリーが「他キャラを貶めている!」と言う批判も買って
(シンがバルトフェルドに説教される件がかなりまずかったのでしょう。この件では暇人氏は
謝罪済みです)キャラアンチにまで粘着され、さらに恥を申し上げますともともと住人も
荒らし耐性が高いとは言いがたく工作員の格好の的にもなり、とてもではないが新シャアでは
続けられなくなってしまったんです。
そのような訳でより相応しい新天地を、と思い移転と相成った訳です。
暇人氏の個人スレと言う訳ではございませんし、前スレの人間以外はお断りなどと言う訳では
決してございませんので、どうかその点につきましてはご理解いただけると幸いに存じます。
疑問に思ったので質問なんですが
エロありの二次創作(SS)はエロパロ板
ガンダムのエロ関係保管は南極があるわけですが
何故キャラサロンで専用スレなんですか?
>>220 ループ話題なので過去ログ読んでください。
>>219 新シャアを貶める必要ないだろ。アンチか住民か分からんが控えてくれ
そろそろまったりしようぜ。12月で種も終結するしな…
まったりー
>>200 乙です
お待ちしてますー
良いクリスマスを!
俺も電話中の彼女に悪戯しちゃおうかな
>>224 はいはいわろすわろす
書くだけなら何とでも言える
脳内彼女なんだから大目に見てやれ
>>224 あ、君の彼女ねwwうん、知ってる知ってる
あのキモヲタでデブ眼鏡で鼻の穴が尋常じゃないほどデカいイソジンの臭いがするあの娘だよねww
230 :
226:2005/12/23(金) 09:41:25 ID:???
>>227-228本気じゃないよねキミタチ?俺も224が本気で言ってるとは思わんが。
エロファンタジーではかわいい反応でも、リアルだと彼女に蹴られるぞ
次も楽しみにしてますね
健康には気をつけて…風邪流行ってるな
最近彗星の方でSSネタにおいて他キャラを使ってキララクマンセーしてるやつは全員暇人認定されてるな
暇人氏のSSは読みやすいんだよな。無駄に長くなくて。いい塩梅ってゆーの?
>>233 釣り…?長さは相当だと思うが…。マンセーしすぎると暇人さんに迷惑だって気付いてよ。
と、本人が申しております
ん?233=234と言いたいのか?234が暇人さんだと言いたいのか?
このスレが自演認定好きなのは覚えたけど、だれと混同してるのかは示してね。
どーでもいいよそんなの
今日も外さみーなー…
メリークリスマス☆
俺が読みやすいって言ったのは一つのレスの長さの事なんだが……
つか暇人氏の文は長くてもその長さを気にさせないっつーか……
書き手が下手ならどんな短くても長く感じるヤシはいるからな。
迷惑だったらスマン>暇人氏
暇人のやつ読みやすいか?
オーガズムがどうのとかいかにも何かのHOW TO本とかで読んできたような変な性知識とか腱鞘炎がどうのとか無駄な自己マン雑学披露が多すぎてうざいんだけど。
シチュエーションは好きだけどね。
242 :
240:2005/12/24(土) 23:03:45 ID:???
シチュはすきだからよむんだよ
243 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/24(土) 23:20:03 ID:xkLy7bxn
暇人のせいでほんとに荒れたなあ…
暇人氏を神と誉め讃えた俺らにも非はある
暇人氏の文章は起伏が無いからどこで切っても良くて、飛び飛びで読むのに向いてる。
文章は誉めるほど上手くないけど、萌える。説明過多なところは自然に斜め読みになる。
二次創作は萌えられればいいから読んでるよ。
キラ「セリフ」
ラクス「セリフ」
のようなSSとしてありえないシナリオタイプの作品でも、萌えツボ合う職人さんのは喜んで読んでるし。
関係ないけど田中芳樹も気が付くと斜め読みしてる。
そんな職人議論なんてどーでもいいっつの
SPのOPキララクはエロかった…
暇人=福田ぽくないか?
だから何だよ。どうでもいい
このスレが一番荒れる理由は、キララク関連の話題が無いことだな
キララクのこういう所が良いとか、そういうのはないのか?
ラクスがアスランの婚約者だったこと。
そしてそれを見事にモノにしたキラ。
OPで主人公と裸で抱き合っているのが
親友の婚約者という女の子だと気付いたことが
自分が種を視続けた理由なので。
>>250 エロスレだから、まあ無くてもいいんでないのと思ってたよ
今までもそうだったしさ。逆にするとダメなようなムードがある
うん、あくまでエロに徹したほうが良いとオモ
クリスマススペシャルOPのリボンで縛られてるラクス、それを後ろから抱いて股間を押しつけてるキラ
を見たとき暇人氏の黒キラを思い出したよ……
キラがどこに落ち着いたのか、SPでは明確にされなかったから、視聴者が都合のいいように
ラクスの秘書or護衛かなんかで、キラinプラントと勝手に妄想してもいいということですか?
暇人氏や他の職人さん達による、今度はプラントで痔や遺作、シホを巻き込んで
暴走するキララクも見てみたいものだ。
>>254 キラのポジションが際どいよな。見てすぐに全裸よりも気になった
ずれたら危ない危ないw
257 :
名無しさん@ピンキー:2005/12/25(日) 22:40:06 ID:VGQoLEID
クリスマスSP
とりあえずみんなでキララクマンセーしてたのは確かだな
暇人良かったね
自分のマンセーSSが公式になって
>>255 妄想してくれということだろw
現にあれみて、妄想する気になった奴(自分)もいる。キラ何してんのかな…
;´从V∧)
W*´∀`),,っ━~~~ 一号がプラント行ったのをイイ事に
⊂~_ ~ _.ノ_ ▽ 独り身を羽伸ばして愉しんでます
 ̄ ゝ /~), | ┷┳━
 ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|... ┃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>255,258
ディアッカという師匠の下、テクニックに磨きをかけるキラ・・・・・・
あー、キラは今までAA連中と絡んでたから、イザークやディアッカ達
との絡みが見れたら、何か新鮮だなw
>>260 だなwなんか面白そうだ
OPも大支援してくれてるし、前よりは創作しやすくはなったかも
OP萌えたーいい燃料になりました
ラクスエロス(´д`*)
エロイイネイイネ
暇人さんマダー?
マダー早くー
大晦日だろがヴォケ
黒ラクスの人も投下待ってます!
出来ればセックルも公開して欲しかった
>>269 ラクス好きの福田防御は伊達じゃない(着ボイスはラクス)
キスさえ誰にもさせてないんだぜ、天の女神様らしいからな…
キスはさせなくてもOPでキラと公開セックルはさせる・・。
それが福田クオリティ
あれ公開セックルなのか?w
今までとは違ってかなり際どいとは思うが
ほしゅ
セックル…
で、今日は待ちに待ったXデーなのだか。
ワクテカ
ワクテカワクテカ
あのSPOP後だからな…職人さんたちもいろいろ妄想のしがいがありそうだ
萎えてんじゃね?
んなはずはない!
まだだ!まだ終わらんぞ!
深夜枠だから思いっきりエロOPだったしな!
「あん……ああっ……はあぁっ……キラぁ……」
乳白色の濡れた空気に、ラクスの艶っぽい吐息が木霊していく。温かなお湯の感触と、細いが筋肉質の
腕に抱かれ、腰には熱く堅い感触。男性のものとは思えないくらい柔らかな指が、自分の火照った陰唇
を、スリットに合わせて上下にゆっくりと優しく擦って刺激している。いつもよりずいぶんと敏感な自
分の躰に戸惑う間もなく、彼女は恍惚になっていった。
「ラクス………気持ちいい?」
キラの囁きをうなじの柔らかい皮膚が感じ取り、言葉の意味と肌を微かに撫でた吐息が快感を増幅させ、
ラクスは瞳を閉じて息をのむと、その華奢な全身を快楽に震わせた。
「んくうぅぅ………いいの……気持ちいいですぅ……」
従順に呟くラクスの頭が、背後のキラの肩に寄りかかってくる。キラは静かに含み笑い、陰唇を攻める
指の動きを徐々に早めていった。
「凄いヌルヌルだね、君のここ……ねえ、メイリンもこんなになっちゃうの?」
キラは、自分の左肩に寄りかかってきたラクスの右耳に唇を寄せて、吐息が彼女の耳たぶに吹きかかる
ように囁いた。耳の思わぬ刺激に、またもやラクスは躰を震わせる。
「んあっ……そんな……こと……くぅっ……知りません……んん……」
一生懸命に否定するラクスの唇に、キラの唇が重なってきた。唇の粘膜を、上下交互に軽く吸い付いて
刺激すると、熱い吐息が漏れる口腔内に、尖らせた舌先が入り込む。ラクスは、自分の口の中に侵入し
てきたキラの舌先を、媚びるように自分の舌を絡ませては、吸い付いた。二人の躰が動く度にお湯がチ
ャプチャプと音を立てる中、重なり合った唇の間からは滑り気のある水音が溢れ始める。
「そうか……知らないんだ……でも、もし仮に君が彼女を責めたてるとしたら……こんな風にするのか
な………」
唇離しつつキラは呟くと、ラクスの陰核を中指で軽く転がすように刺激し、時々コリッとした突起を指
の腹で押さえつけるように愛撫する。左手でとらえた彼女の右の乳房には、脇の下の乳腺部分を撫でる
ように愛撫しはじめた。
「ああ……そ……そんなぁ……ぅんんっ……」
キラのその愛撫は、ラクスが最も好むものである。躰が快楽に従順になってしまい、彼女はキラの言葉
をまともに否定できなくなってくる。彼は、しばらく無言で、彼女の耳や首にキスをしながらその愛撫
を続けた。彼女の腰が愛撫に合わせて時々動き始めると、彼はゆっくりと膣内に中指を差し込み、続け
て薬指を差し込んだ。彼女の躰が弓なりに反って反応する。
「んあっ……だめぇ……お湯がなかに………はああん……」
自分の膣内に侵入したキラの指と、その指の隙間から水圧によりお湯が侵入し、彼女に新たな快感をあ
たえた。
「どう?……ラクス、気持ちいいんでしょ?………彼女もこんな風に指を締め付けてきたのかな?それ
とも、こんな風に君の指が激しく動いたりして………」
キラの指が急に激しく膣内で蠢き、ラクスの膣壁を複雑に擦りだした。優しい愛撫から突然激しい責め
たてに変化したため、彼女は嬌声を張り上げながら太ももを閉じて彼の手を締め、両手で彼の右腕を掴
んだ。
「はああああッ……だめっ……わたくし……こんなに激しくしてないッ……メイリンさんはヴァージン
なんだから……………あっ!……いえ……その………」
激しい快楽の波に理性が崩れ、思わず口走ってしまった秘密……キラの指が膣から抜け出て愛撫が止ま
り、ラクスの顔が一気に青ざめた。
「クックックッ……ラクス………とうとう白状したね………」
冷たく喉を鳴らし、口元を歪めるキラの狡猾な笑みに、ラクスの心臓が踊り跳ねた。キラは冷たく笑い
ながら堅くなった彼女の乳首と陰核への責めを再開する。……今度はより強めに、せき立てるかのよう
に………。
「んあああっ………いやぁ……」
これからどんなことを言われ、どんな仕打ちを受けるのか………再開した強い愛撫に火照った躰は淫靡
に反応し、快楽の刺激と恐怖がラクスの理性を蝕みはじめる。彼女たちの長い夜はまだ始まったばかり
だった…………。
「ホントに……そんな関係だったとはね………」
わざとらしいため息と共に呟くキラは、左手にとらえたラクスの右の乳房を鷲掴みにして握りつぶすよ
うに握りしめる。柔らかなのに張りのある白く整った形の肉塊がいびつに変形し、彼の指と指の隙間か
ら圧迫から逃れようと柔肉がはみ出した。
「ひぎぃッ……痛いッ……やめてぇッ……痛いです、キラ……お願いやめ…ひぃあッ……そこ……ひッ
……そんなに……だめッ……ぅひぎぃぃぁああッ……つぶれちゃうぅッ……お豆がぁ……ひゃあああッ」
右胸に鋭い痛みが走り悲鳴をあげて、強すぎる責めたての中止を懇願するラクスだったが、その懇願の
途中で、キラの右手が彼女の勃起した陰核を親指と中指で強くつまんだために、その懇願は、狂ったよ
うな悲鳴に変化した。身体の中で最も敏感な部分が押しつぶされそうになる鋭い刺激に、彼女は全身を
強張らせ、大きく開かれた瞳から涙を溢れさせた。
「僕も忙しくて最近君にかまってやれなかったけど、まさか女性に君を寝取られるとは思わなかったな
ぁ………。やっぱり、こんな僕とじゃ満足できなかったみたいだね……ラクス?」
折檻しながら寂しそうに呟くキラの口元は、その言葉とは裏腹に、ラクスの背後で漆黒の笑みを浮かべ
ている。冷たい彼の瞳が、折檻に耐えかねて絶叫しつつ首を左右に振り乱すラクスの姿を楽しげに見つ
めていた。
「ひぃぃぃぃッ……ちがぁうぅぅぅッ……ちがうのッ……うっくぅぅ……」
キラの言葉を必死に否定するラクスの言葉に、キラは両手の力を緩めた。鋭い刺激から解放され、ラク
スは肩を揺らしながら激しい呼吸の中でとりあえず安堵する。
「何が違うの?」
優しく問いかけてくるキラの言葉に、ラクスは薄れつつある理性の中でどう説明すれば良いかを思案し
始めた。
「あの……とにかく……寝取られるとか、満足できないとか、そういうことではありませんの……ただ
……その……ええっと………」
言うべき言葉を必死に探すラクスに、キラは若干苛立ちを覚えた。
「じゃあ、どういうことなの?ラクス、ホントことをありのままに話すのに、いろいろと考える必要は
僕たちの間にはなかったはずでしょ……。それとも、この期に及んで嘘をつくつもりなのかな………だ
ったら………」
キラは言葉を途切れさせると、左手の中にある、彼の指の痕が痛々しく付いた乳房の頂上、堅く凝った
突起を指先でつまんで押しつぶす。乳首の鋭い痛みにラクスは再び悲鳴をあげた。
「ひいぃぃぃッ……だめぇッ、ちぎれちゃうッ……乳首がッ……ちぎれちゃうぅぅッ……話しますッ、
全部ホントのこと言いますからッ……もぉやめてぇぇぇぇッ」
ラクスの絶叫に、キラはつまんでいた乳首を離した。桜色の乳頭が圧迫から解放されてピンッと立つ。
「そう?……じゃあ聞かせてくれる?ホントのことってやつを…………」
ラクスの耳元で優しく囁きながら、キラは一転して乳房の脇の下あたり……丁度乳腺がかたまっている
部分を優しくさすり始める。痛みを伴う刺激から再び自分の好む刺激を受けて、彼女は荒い息の中に艶
っぽい吐息を含ませ始めた。
「あ……はあぁ……あの日……メイリンさんに貴方としているところを見られてしまった後……シャワ
ーを浴びに行ったんです………」
諦めたかのように話し始めたラクスの背後で、キラは口元をゆがませたまま、彼女の陰核を軽く押さえ
つけて、優しく上下に指を動かし始める。
「ああ、この前アークエンジェルで……君の部屋でエッチした日ね……それで?」
自分の指の動きに敏感に反応する彼女に、キラは喉の奥でわきがってくる含み笑いをかみ殺していた。
「んふぅ……ああ……そ……それで……シャワー室にメイリンさんがいて………奥の個室に……あんな
声が……ああ……そこ……だめ……話せなくなってしまうぅ……」
湯の中に淫靡な粘液を溶かせつつ、ラクスの躰はキラの愛撫に震え、彼女の理性までも溶けていくよう
だった。
「続けてよ……ラクス」
白々しく催促するキラに、ラクスは首だけ振り返って彼の瞳を見つめる。
「あの……この話は………」
懇願するようなラクスの瞳から、キラは彼女の言おうとすることを察知し、優しく微笑む。
「大丈夫。秘密は守るよ。ていうか、こんな話、誰にも言えないよ。だけど、少しでも隠し事があった
としたら………メイリンに直接聞いちゃうかも………」
キラの言葉に、ラクスは一瞬青ざめた顔をした。
「お願いです……このことは彼女と二人だけの秘密にするって約束なんです。でも………」
「わかってるよ………だから、ホントのことを隠さずに話してくれたら、誰にも言わないって言ってる
でしょ。それに、君は僕を裏切って浮気したんじゃないってことを明らかにしたい。僕はそれを信じる
ために、君の口から全部聞きたいんだ………」
キラは愛撫を止めることなく言葉を紡ぎ、最後に優しくラクスの唇にキスをする。
「ん……わかりました………シャワー室の個室から、メイリンさんの声がして……んんっ……その……
一人で……あの………はあんっ……」
「……こんなことをしてたのかな……彼女は一人で………」
キラは言いながらラクスの陰核をこね回す。
「はあぅ……はい……個室の扉は閉まっていたので、見てはいませ……んあっ……それ……だめっ……
指を入れない……んああっ」
キラの中指がラクスの膣にお湯と共にゆっくりと侵入した。彼女が過度に反応しないように彼の指はゆ
っくりと膣内を往復する。その刺激は彼女に切なくなる程度の快感をあたえ、彼女はゾクゾクとする感
覚の中で、ここで愛撫の中止を訴えても決して彼は指を止めてはくれないだろうと諦め、言葉を続けた。
「んん………それで、わたくし、恥ずかしくなって……一度脱衣所の方に戻ろうとしたのですけ……ど
……っ……シャンプーを落としてしまって……彼女に気付かれてしまって……それで……くぅっ……ど
うしようもなくなって………個室の扉が開いて……メイリンさんが泣いていて……っ……秘密にするっ
てわたくしが……でも……彼女は泣いたまま………寂しい……って……んくっ………お話をするうちに
………お姉さんのことや……アスランが……少し余所余所しいって………髪に付いたキラの………っは
あ……アレの匂いでぼーとして……気付いたら一人で慰めていたなんて言葉を聞いて……わたくし……
なんだか……うっ……嫌な気分に……はじめは、意地悪をしようと思って………でも……メイリンさん
の……熱くて……その……変な……気分に………ドキドキして……ああっ……いつも……キラがするよ
うに………胸と……あ………あそ…こを………」
キラの愛撫に加え、メイリンとの情事を思いだした彼女は、どんどん昂ぶり恍惚となっていく。そんな
彼女の背後で、キラは堪えきれず喉を「クックックッ」と鳴らし始めた。
「クックッ……ラクス、いつも僕がするって………どんな風に?」
「ああ………さっき、貴方がしてくれたみたいに………優しく……ぅんんっ……クリトリスを……ころ
がして………おっぱいも………周りから撫でるようにして……あああ………そう……そんな感じに……」
ラクスの言うようにキラが愛撫すると、彼女は歓喜に震え熱い吐息を漏らした。
「ふーん……こんな感じね………で?ラクス……メイリンのここは、どんな風になってたの……?」
キラの質問に、ラクスは従順になって言葉を続ける。
「……熱くて……ヌルヌルで……指にいっぱい絡んできて………わたくしが、この指はアスランの指で
すからねって言ったら……はあんッ……メイリンさんのいやらしい声が……大きく……なって………急
に彼女の躰がガクガクって………そして………そしてぇ………あああっ………もう……だめ……キラ…
…わたくしぃ……耐えられません……欲しいぃッ………キラのこれ……入れてぇ……」
堅く瞳を閉じ、あられもない言葉を吐き出しながら、ラクスは自分の腰に当たっているキラの熱い分身
を後ろ手に握りしめた。
「まだ……全部話し終わってないよ。だから……お預けだよ…………そして、君のいやらしい指でイッ
ちゃった彼女はどうなったの?」
キラは胸への愛撫を止めて、自分の一物を握りしめた彼女の手を左手で払った。
「ああんっ……胸も……おっぱいもぉ………」
キラの左手が胸の愛撫を止めたことで、ラクスは淫靡な言葉を吐き出しながら、自分の左手で自らの右
胸を慰め始めた。
「へぇ……やっぱりラクスは自分でもそんな風に一人エッチするんだ……今回のことは、さしずめラク
スの一人エッチ指南ってところかな………それで、彼女はどうなったの?」
キラは余った左手で、ラクスの脇腹や左胸を愛撫し始める。
「はあッ……いっぱいッ……いっぱいガクガクして……わたくしの手に………おしっこが………ふうっ
あああっ………そしたら……わたくし……急に怖くなって………なんて馬鹿なこと………でも……お互
いこのことは忘れて………もう二度としないって………約束して………ふくぅっ………」
艶やかな熱い吐息を乳白色の湯気の中に漏らすラクスの瞳に、恍惚の光と後悔の涙が浮かぶ。
「クッククク………ラクスが初めてイッちゃった時と同じだね………失禁させちゃったんだ………。で
も、最近の君たち、ホントはまだこんなことしてるんじゃないの?」
キラの言葉に、ラクスは首を横に振って否定する。
「違います………もうあれっきりしてません……んあっ……ただ……あの時のことを、メイリンさんに
会う度に思い出して……ドキドキして……つい意識して……紛らわそうとたくさん会話して……でも、
彼女のことが気になって………」
「そういうのを、恋って言うんじゃないの?………ふうっ……やれやれ、困ったお姫様だなぁ、君は」
ため息混じりにキラは呟くと、愛撫を止めて彼女から少し離れた。
「ああっ……お願い……止めないで………」
完全に淫靡な火のついた躰を持て余し、ラクスが懇願の瞳を向けてくるのを、キラは冷たい視線で返し
た。そして、バスタブの壁側の縁を指す。
「ラクス、ここに脚を大きく開いて座るんだ………これから君が一人でエッチなことするのを見ててあ
げるよ。」
キラの言葉に、ラクスは羞恥で顔を真っ赤に染めた。
「そ……そんな……そんな恥ずかしいこと……できません………」
キラの要求を拒否し、目を閉じて俯くラクス。その彼女の左乳房にキラの右手が伸びて乳首をつまみ上
げた。
「ひっ……痛ぅぅッ」
悲鳴をあげるラクスの耳元にキラは顔を寄せる。
「君のしたこと………とても許せないけど………ここで君のかわいい姿を見たらね……もしかしたら、
僕もこのことを許してあげられるかもしれないんだ………戦争も終わって、僕たちが離ればなれになっ
てもいいころかもしれない………でもね……できるなら、僕は君を捨てたくはないんだ……でも……」
言葉の中に冷たい棘を含ませ、優しく囁くキラの言い様に、ラクスの自尊心と羞恥心は屈服し、先ほど
から躰の芯で疼きっぱなしの淫らな欲望が自制心の堰を崩してしまう。彼女はコクリと頷くと、火照っ
た躰をバスタブの壁側の縁へと運び、少し幅広な大理石製の縁に白いおしりを乗せて座る。
「ああ………」
羞恥と不安、そして艶っぽい背徳の混じった吐息を漏らし、彼女は膝を大きく開く。充血した陰唇が、
ぱっくりと開き、ピンクの陰核がぷっくりと包皮からむき出しになって、バスルームの明かりに晒され
た。ヒクヒクと蠢く膣口から溢れた透明の愛液が、卑猥な輝きを菊座の方に伝わらせている。
「綺麗だよラクス………さあ、もっと魅力的になって見せてよ………」
キラの言葉とその吐息を開いた膝元に感じながら、ラクスは右手を陰唇にゆっくりとのばす。細く白い
指先が自身の陰核を軽く押しつぶしていった。
「はあっ………くっ………んんっ………」
艶めかしい声が乳白色の塗れた空気にとけ込んでいく。バスタブの大理石の縁に大きく開脚したラクス
は、自己の陰核を中指で軽く押しつぶすようにして、ぎこちなく自慰行為を始めた。開かれた両足の間
には、湯に浸かるキラの冷ややかな表情が、彼女の視界に映る。このような恥辱に満ちた行為をこの男
に要求され、理性では屈辱に感じもしていた彼女であったが、ただならぬ高揚感と、体の芯からわき上
がってくる快楽への欲求、そして信じがたいくらい敏感になってしまっている自己の躰が、そのぎこち
ない刺激に過敏に反応し、彼女を恍惚へと導き始めていた。熱い蜜が溢れだし、その滑りを指で絡めす
くう度に、彼女の指の動きがなめらかになっていく。
「どうやら………気分が出てきたみたいだね、ラクス、君の……凄く溢れてきてるよ」
キラは、ラクスの股間に顔を寄せて、陰部を慰める彼女の右手の甲に吐息がかかるように囁いた。彼の
両手が、彼女の左右の内股を軽くさすり、彼女に電気が走ったような刺激を加える。
「あっはあッ………ああ……キラ……そんなに顔を近づけないでぇ…んあっ……はひゃあぁん……感じ
る……わたくし……っ……キラがっ……こんなに近くでっ……見てるのに……ああっ……感じちゃうぅ
ぅッ……キラ……キラっ……はああっ……んんっ」
自虐的な言葉を口にしながら、ラクスは昂ぶって呼吸が荒くなっていく。左手はいつの間にか自己の右
胸にあてがわれ、掌で凝った乳頭をころがす。キラの含み笑いが止まらなかった。
「ウククッ……この位置で見ないと、君の濡れたあそこのお肉がヒクヒクしてるトコとか、お尻の穴の
シワがグニグニ動いてるトコとかが見られなくなっちゃうでしょ……」
キラの言葉に反応して、ラクスの秘肉がさらに蠢きはじめ、肛門のシワがキュッと締まった。
「いやぁ……はあ……はっ……そんなトコ見ないでぇ……んああっ……」
言葉とは裏腹に、ラクスは自分の秘部を隠すような仕草をするわけでもなく、瞳を閉じて自己の慰めに
浸っていく。中指と薬指をスリットの中に埋没させ、膣口や小陰唇、尿道口を擦り、陰核を挟んで擦り
合わせたりをくり返した。その指の動きは、キラが彼女によくやる愛撫の仕方に近い。
「見られている方が、君は感じるんじゃない?………ところで、君の大事な所を弄ってるこの指は、誰
の指なのかな?やっぱり、メイリンの時と同じように、アスランの指なの?」
キラは舌先を尖らせて、秘部を弄っているラクスの白い中指にその舌を這わせた。中指の甲の部分に生
暖かい感触を感じ、彼女にとってはその弱い刺激すら快感に転じていた。
「ふぁんっ……違います……んくっ……これはぁ……この指は……キラの……ああんっ……キラの指で
すぅ……わたくしは……いつも貴方で感じて……ああ……はあッ……」
「そうなんだ……ラクス、いつもこんなことしてるんだ………」
キラはバスタブの中で立ち上がり、ラクスの昂揚し赤くなった左耳に唇を寄せて呟いた。ゾクゾクとし
た快楽の波が、耳元から彼女の脳髄に押し寄せ、大量の脳内麻薬が分泌する。
「そ……んな……はあっ……いつもだなんて……ああ……はあ…はあ…はあっ……」
否定する声よりも、熱い吐息が漏れて、彼女の理性は完全に麻痺していた。その彼女の薄い視界に、キ
ラのいきりだった怒張が映る。その赤黒い肥大した海綿体に、彼女はものほしさを感じた。
「僕とエッチした後でも、シャワー室でこんなことする淫乱なラクスのことだもの……きっと、地球と
宇宙で離ればなれだったころは、こういう事……毎晩してたんじゃない?」
キラの唇が、耳からうなじにかけて、彼女の柔らかな肌を嬲っていく。彼の意地悪な言葉に反論するよ
りも、ラクスの意識は彼の一物に集中していた。
「ああっ……もうっ……だめッ……これ以上は……ひうッ……耐えら……れないッ……おねがいっ……
キラぁ……欲しい……貴方の……かたぁいの……入れてくださいッ………わたくし……このままじゃ…
…おかしくなって……はあッ……」
ラクスは、物欲しそうな瞳をキラの冷たい瞳に向けて懇願する。彼の瞳は一層黒い輝きを帯びた。
「まだ駄目だよ……君がもっと素敵な姿を見せてくれたら、僕も耐えられなくなるかもしれないけど。
ほら、この指……僕の指なら、いつまでも寒いお外で遊んでいたりしないでしょ………そろそろ、あっ
たかい君の中に………」
キラは囁きつつ、自分の左手を陰部を弄るラクスの右手に添えた。彼女は息をのみ、一瞬逡巡したが、
濡れた中指と薬指を自分の膣にゆっくりと埋没させていく。
「くああああッ………はあああんッ……ああっ……なかっ……わたくしのなかッ……熱い……こんなッ
……ぐちょぐちょに……ううぅ……」
嬌声を漏らしながら、彼女はさらに左手で陰唇や陰核を刺激し始める。両手を股間にのばし脚を大きく
開脚する彼女のあられもない姿に、キラは満足そうな黒い笑みを浮かべて、再びバスタブの底に腰を下
ろし、顔を彼女の股間に近づけて淫靡なショーを鑑賞する。嬌声混じりの熱く激しい吐息が、湿った水
音と共にバスルームの密閉された空間に木霊していた。
「ラクス……そのまま、一番奥に指を入れてごらん……僕の指なら届くけど……どう?」
キラの言われるがまま、ラクスは二本の指を膣の奥に挿入する。
「んああっ……だっめぇ……届かないっ……この指じゃ……奥に届かないのぉ……」
キラから受ける愛撫では、いつも指先が子宮口に届くのだが、彼女の指の長さでは僅かに足りないよう
だった。ラクスはもどかしくなって、首を左右に振り乱す。髪留めが外れ、ピンクの長い髪がほどけて
舞った。
「それじゃあ……ここのところ……ここの裏側に指を曲げて触ってごらん………」
キラはラクスの薄い陰毛が生えた恥丘を指先で押してやる。彼の指先に、陰毛のチリチリとした感触と
その下の恥骨の硬い感触が伝わる。
「はあうッ……」
キラの言われた部分に自分で触れたラクスは、素っ頓狂な嬌声をあげて、躰を弓なりに反らせた。彼か
ら責めたてられる刺激には遠く及ばないまでも、膣内の最も敏感な場所であるそのヒダの部分を擦る度
に、彼女は熱い吐息を漏らして腰を蠢かせた。
「そう……そこだよ、君のGスポットは………ほら、もっと激しくして………」
キラの言葉にラクスは従順に従って、指の動きを……というよりも、右手を激しく上下させて、その動
きで膣内の指をグラインドさせる。
「はあ……うんんんっああッ……はぁッ…はぁッ…はぁッ…はッ…はぁッ…はぁあああッ」
陰部から卑猥な音をかき立てて、快楽を貪るラクスの卑猥な姿にさしものキラも生唾を飲み込んだ。
「凄い……凄くエッチだ………ラクス、ここも欲しがってるみたいだよ………」
キラは、目の前でグチャグチャと音を立てる蜜壷の下で、粘液に濡れてヒクヒクと蠢いている彼女の菊
座に右手の指を添えた。彼の人差し指と中指が、その放射状のシワをなぶると、彼女の両足がピクンッ
と跳ねる。
「やッ……そこ……ダメッ……ひあッ……やめ……んん……らぁめぇぇぇーッ」
ラクスの高い嬌声と共に、キラの二本の指が肉のシワを押し広げ、その中心の穴に埋没していく。括約
筋が彼の人差し指と中指をきゅうきゅうと締め付けるが、本当に拒むような締まり方でもない。指先が
少し入ったかと思うと、彼女の菊門は、彼の長い指をゆっくりと飲み込んでいった。
「うわー……一気に二本も入っちゃった………ラクス、ここも気持ちいいんでしょ?」
キラはわざとらしく驚嘆の声をあげつつ、二本の指を、彼女の中でゆっくりと擦り合わせるように動か
す。
「ふあああああッ……やめッ……うっ動かさないでぇッ……っんくあああッ……だめえッ」
直腸と括約筋が嬲られる背徳的刺激に、ラクスは髪を振り乱して悶え喘いだ。キラはニヤリと笑むと、
彼女の菊座から、二本の指を大きくひねりながら抜き出した。
「んくあああああああッ……」
直腸が引きずり出されるような感覚に、ラクスは全身を硬直させて悲鳴をあげる。陰部を責めたてる手
の動きが止まっていたが、その手に少量の小水が吹きかかった。
「クククッ……ラクス、手がお留守になってるよ。………僕だったら、こうやって君を感じさせていく
んだけど、やっぱり……他の人の指じゃこういう風にはしないのかな?」
キラは呟きながら、陰部から滴っている彼女の愛液を指先ですくい、彼女の菊座のシワに伸ばしてやる。
ラクスは、キラの言葉の中の『他の人』という単語に過敏に反応した。ふるふると涙目になった顔を横
に振って彼のその単語を否定し、左手を左腿の下から回して、自分の菊座に人差し指と中指をあてがっ
た。一度、キラの顔を伺い、意を決して二本の指をゆっくりと挿入していく。
「んん………くう…っあああはあっ…………入っちゃう………おしりに………ああっ……わたくし……
こんな……こんなこと………でも……キラの……んんくっ……キラが……ここを……虐めるの………だ
から………この指は……キラの指だから………あはあああッ」
卑猥な行為に及ぶ自分への弁護なのか自虐なのか、支離滅裂な言葉を口にしながら、ラクスの両手の動
きは激しくなっていく。快楽を貪り、キラの眼前で白い腰が上下に激しく動いていた。立ち上る雌の匂
いに、キラも昂ぶって、ギンギンに堅くなった一物を目の前の柔肉にぶち込みたい衝動にかられたが、
より情事を楽しむために自重する。そして、ラクスの艶やかな息遣いが切羽詰まったものになるのに、
大した時間を要しなかった。
「んくうううううッ……もう……ひゃめぇ……ひく……いっちゃうっ………キラが……見てるのにぃ…
……こんなに近くでッ……キラがいるのにぃッ………はあッ……わたくし……自分で……こんなことし
てッ……ひッ……こんなの……いやなのに……あっ…だめっ…だめッ…いくっ…ひっ…はっ…ひゃっ…
はあッ…あくッ……ヒッ…ひくぅぅぅううううッ…………はぁあッ……ッ………ッ………」
卑猥な嬌声を高くあげて、全身を硬直させたラクスは、大きく開いた足をガクガクと何度も痙攣させて、
快楽の絶頂に果ててしまった。
乙!
一連の投下が終わったら 続く や 終わり を入れてほしい
いつレスしたらいいかわからんわ
あまり進まなかったorz
今年最後の投下です。皆さん良いお年を・・・
続きは来年7日深夜に投下します。
追伸。実はSP見てちょっと萎えた・・・・
乙
>>292 見せられるとちょっと、ってやつかな?
とにかく乙
乙
あのSPで負債は本気で種を畳もうとしてると思ったのは俺だけか。
崩壊させたか、やりすぎかの両極。
第三部希望者を出すための壮大な吊りとか言ってる人も多いが。
もう本編よりここで楽しむからどっちでもいいけどさ。
GJ!!(;´Д`)ハァハァ
まあ本編はどうでもいいさw
暇人氏の彼女が羨ましい…さぞ素晴らしい行為をしているのだろう
ラクス総受けキボン
メイラクとか……それじゃスレ違いになっちまうか……
>>297 なるな
乙!!またいいとこで…w
年末はやっぱ初詣でかけてる人多そうだな
みんな、良い年を!
あけおめ!
暇人氏、乙!
・・・・・ラクメイに思わずハァハァ(´Д`*)
暇人どうしていちいちメイリンとか出すんだよ
ここはキララクすれだろうが
そんなに他キャラだしたきゃエロパロのSEEDの方に行けよ
あけおめ〜、新年早々良いものを読ませていただきました。(*´Д`*)
>>302 キララクが盛り上がる為のエッセンスだからO・Kです!
・・・っていうか、
>>1読んでね!
俺思ったんだけど暇人専用のスレをつくるとみんなが幸せになれるからよくねえ?
ただでさえ種スレ氾濫してんだ
キララクとか一カプごときでスレ増やすな馬鹿が
そうするとこのスレが過疎る罠。乱立イクナイ
暇人にはへんな粘着がつくねえ
もう恒例っぽいけどね
乙でした!!
>>306 他スレつるし上げて正当化してるログがあるよ
もう立っちゃってるし実は過疎だしここに押しこめとくのかイチバン
>310
どうしようもねー屑だな
職人さん乙です!
暇人さんのキラはラクスが生理だろーと何だろうとガンガン突っ込んでいきそうだなWWW
314 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/02(月) 22:28:49 ID:6HoxdsXz
イヤーしかしキラが黒いなw
196 名前: 暇人 ◆tKb/nouJ.U [sage] 投稿日: 2005/12/20(火) 23:39:14 ID:???
本来描く予定だった部分をオミットしてあります。心情背景形成 のため、シンと虎にラクス達のアンチテーゼを確立させる予定だったんですが、前回 の反省からやめにしました。
わたしはずっと前からキララクSSスレの住人で、引っ越したと聞いて今日初めて来たんですけど暇人さんはどうしてオミットしたんですか?
あなたのラクス達へのアンチテーゼはわたしはぜひ読みたい
キララクマンセーとか全然思わない
あなたの作品の一人の愛好者として読みたいのです
もしこのスレが他キャラの絡みが駄目で、あるいは変な粘着が来るのなら、わがままかもしれませんが、エロパロのSEEDスレとかで投稿してもらえないのでしょうか?
彗星の方のスレでも
431 名前: 暇人 ◆tKb/nouJ.U [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 11:04:14 ID:???
できれば、他のキャラの絡みも許されるスレがピンク系に立て ば、続きを投下したいと思います。
って書いておられたんだし
暇人こそ負債そのもの
暇人氏が書きたいものを書いて、何でもありのエロパロ種すれにそれを投下
読みたいやつだけそっちにいく
確かにそれが一番いいかもしれない
ただしこのスレが暇人氏以外の職人で活気があればの話だが…
また古いのを掘り起こしたもんだ
>>351。前の続きも確かに読みたいなー…
でもエロパロに投下したほうが荒れると思うよ
ここでさえ荒れたんだから。読みたいけどね…それは職人さんにお任せ
とりあえず今の続きが楽しみだw
>わたしはずっと前からキララクSSスレの住人で、引っ越したと聞いて今日初めて来たんですけど暇人さんはどうしてオミットしたんですか?
速攻で316のような奴が来るからだよ。
つーか315はまたいつもの粘着が手を変えただけじゃねーの?
かもね
まあほっとこうどうにもできないし
あけおめ!
面白い作品が読めることを楽しみにしてます
324 :
315:2006/01/03(火) 22:13:11 ID:???
なんでみなさんこんなに反応が冷たいんでしょうか?
オミットされた部分は読みたくないんですか?
とても図々しいお願いですが、暇人さんにはたとえば他キャラとの絡みが主となり、このスレの方針と異なるところのみはエロパロの方に投下していただき、残りはこのままこのスレに投下してもらいたいです。
作者様には余計な手間を掛けさせて恐縮ですが…
325 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/03(火) 22:23:11 ID:CZurNgTO
暇人ってずっと前に、作品を投下する前に「スカトロが入るけど大丈夫か?」とか聞いてたことがあったよな。
普通はいちいちそんなことは聞かない。自分が好きなように書いたのを勝手に投下するもの。
このことからもわかるとおり、こいつは誘い受けするようなやつらと一緒で、とにかく自作品に対する肯定意見が欲しくて、読み手と馴れ合いしたがるタイプのやつなんだよ。
だから前スレで否定意見がたくさん出た時、怖くなって続きを投下していくのを諦めたのさ。
だからこのスレと違って、マンセーな感想ばかりがでるとは限らないえろぱろのスレの方には行かないのさ。
というわけで
>>324諦めな
>>313 女の子にそれやったら普通は殺されるが、このラクスだったらなんだか許してくれそうだwwwww
>>325 最近しったばかりの知識を嬉しそうに使うのは余りに稚拙だよ。
>>325 ageるな
職人攻撃するのお得意だな…
>>1読んでこい
>>324 冷たいってw読み手には何もできないだろ。
意志は伝えたんだから、あとは職人さんに任せるしかない
ここの読者って信者じみてるな
まさにラクス信者な種世界のアフォ民衆そのものだよな
そのうち「暇人様」とか言い出しかねないな>324とかさぁw
>>329 だったら何だ?
そういうお前こそ、このスレには用無いはずだろ?
なのにわざわざ覗いてレス入れてるお前のほうがアフォに見えるぞ。
331 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 13:47:54 ID:1o+Nx7T9
スルーという言葉を知っていますか?
ageていうことかよ
333 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 15:57:00 ID:gubjXSQt
糞スレ
まだ休暇時期か…
新シャアでのスレが荒れて、このスレも微妙に空気が悪いのは
>>328や
>>330のように荒らし耐性がないやつのせいだな
良すれなのであげておきますね
337 :
321:2006/01/04(水) 19:56:19 ID:???
>>324 お前が荒らしなのかマジなのか分からんが・・・・・・・・、これで分かったろう?
過去にスレが荒れた原因を蒸し返す奴なんて荒らし扱いされても仕方無いんだよ。
338 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/04(水) 23:10:19 ID:rKUQxJVy
本来自分の書きたいものを削ってまでこのスレに固執する暇人も意味不明だがな
なんか暇人さん以外の職人が来てくれる気配が全然ないねorz
移ってくる前、新シャアに残ってるスレでも、職人さんは激減していたからなあ
もう終わった番組だから、自然に人が減っていくんだよ
この空気じゃ来るに来れんだろ
アンチ荒らしにいちいち反応するスレ住人?にマンセー天国・・・・これで投下する気が起きる職人がいたらネ申だね
新シャア軒並み過疎ってるんだ。職人が減った現実に変わりはない。
このスレの雰囲気が良くなれば以前のように…という夢を見たい気持ちも分かるが。
↑このループ書き込み自体が余計に空気悪くすると思うんだが…
なりきりまじってるし
自分はキララク好きだからとりあえず居続けるよ
あの意味不明な最終回がマズかったんだろうな
キララクSSの先行きは暗い
ただ単に種の賞味期限が切れただけじゃ
ここで作品のこと愚痴愚痴いってても仕方ねーだろ。新シャアいけよ
キララクが嫌いなら、興味うせたならここも見るのやめりゃあいい
簡単なことだ
とりあえずまたーり待機
べつにどーでもいいんだけど監視
此処に限らず、エロパロ板のほうも職人減少で過疎ってたみたいだしな・・。
今は全体的にそうなんじゃないのか?
思えばエロパロ版に投下しろってレスも、職人さん誘導にも取れる。
まあ、行った所で今度はシンルナや他カプ投下しろ!って言われるんだろうが・・
終わった作品は仕方ないだろある程度は
職人さん誘導だろうが職人当人でない以上、ここで言ってもどうにもならんだろ
>>348 一般サイトは割りと元気だよな
>>348 そりや・・クリスマスのスペシャルでまた燃料もらったようなもんだしな。
俺昔はこのすれに投下してたけど、あのOPみたらなんだかかえって萎えた…
なんでだろう…
まあ人それぞれじゃないか。
キララクは、控えめだけど〜みたいなのが好きって人もいるし
自分は萌えたけどな
キララクはアスラクに似ている
ラク受けは難しいんだよね・・・
>>354 そうか?よく分からん
少なくともキラとアスランは大分属性が違うのは分かるけど
今までの本編キララクはほんのりしてたのに、殆ど過程なしで濃いの見せられても…という感じ。
勝手な言い草だが、妄想の余地が多いほうが萌えの幅も種類も自由自在だから。
>>357 普通のアニメは「濃い」までの過程なんて描かないって
濃いの=ネガ描写だし種は
進んだ関係自体は設定としてあるらしいし本編もそんな感じだし
びっくりはしたけどなw嬉しかったが
濃いのきても別にいいじゃん
それで萌えれれば萌えればよし
自分萌えたし、エロもすんなりOK
360 :
357:2006/01/06(金) 22:46:37 ID:???
萌えた人たち、せっかくだから今こそ何か書いてくれ。
暇人さんや352氏などのもともと職人さんたちが萎え気味のようだし。
自分は前述の通り、あのOPが薄れるまでは妄想しにくいな。
エロは文章力+技術と語彙知識が要る
難しいんだよエロってかなり
書きたいけど書けないジレンマ…
じゃあ仕方ないわな。
職人の萌えもそのうち盛り返すさ。
キララクって遠距離なのかなやっぱ
それはそれでいいが
プラントにくっついてってんじゃない?
後日談とかそんな感じだったじゃまいか
すみません。
制作が遅々と進まず、本日の投下は見合わせです。
短いと思いますが、連休中にはなんとかします。
本当に申し訳ありません。
>>365 別に謝る必要はないでしょう
投下予告自体必ずしも必要じゃないし。(1、2レスしか使わない短いのを繰り返し投下するのはスレの運営上困るかもしれないけど)
>>361 別にプロじゃないんだからあんまり完成度にはこだわらず自分の妄想をぶつければいいと思うんですが。
かといいつつ、昔は投下してたのに最近ロムになってる俺がいる…
職人さんのペースでいいですよー
マターリ待ってます
自分のペースでどうぞー
こっちは勝手に待ってるだけだからw
キララクで姫初めネタとか読んでみたい
とか言いながら何だかんだでもうじき節分やらラクスの誕生日やらバレンタインやらイベントが目白押しですな
ここらで久しぶりに暇人氏以外の神の作品も読みたいもっぱらROM専の俺
>>369 >暇人さんや352氏などのもともと職人さんたちが萎え気味のようだし。
という事態なのでご自分でどうぞ
誰でも始めは初心者。イベント物は書きやすく、読む方も取っ付きやすい品
マッタリ投下待ち。
まってます
>>369 どうでもいいけど節分とエロはどうつながるんだ?
豆繋がりで何か一作。
豆を中に歳の数だけ挿れて一気に吸い出すような特殊プレイで一作。
作ろうと思えば何だって作れる。
キラ様とラクス様は子作りに勤しんでます。
/ /-----------、
=ニ〈 /-――- ..._ } ___ゝ、i、
.∠-‐ハ ヽ , -――-、}-=ニ.. ...:: :::::::\
ラクス様の為に! .゙´', ./ .:: ノl/:::::::::::::.: . . .:: . :{
ラクス様の為に! / / :::::::::::.: . . .:: . :{
', /:::::::::::.:. ./彡7:::::从从/:::::..:::::::::::i
゙i::i;::::ト从::{ z=}/イノ /::::::::;ヘ:::;::/
iハ:トゝ ` ノィ}/ィヘ- 彡::::/ノ::ル' えっさほいさ !!
_ -‐''´`jノ>、_// .:. ヶ‐i/'´|ィ/ えっさほいさ !!
, /, -‐ ''´}フ"´ /.::人.::: / -、_ '、 よいよいよいよい!!
{'、 j/ ̄::::/ `ニ.ィ/ .:: { i
ヽ` ̄ ̄ ̄´::::::::::::::{ .::;: } / |
, =二 ̄ ̄:::::::::::::::::::::::::::ゝ.....ノ '、 ノ / / /
/´ ̄二二ニ 、:::::::::::::::::::::::::::::| `¨´ / / /
/-―‐-、:::::::::::::::::::::::::::::::::} / ./ /
ヽー-.二ニ=-::::::_r'´ソ , ∠....ノ /
` ー-------/‐`゙` ┴― "´ /
}', -――――‐;―一 ''´{
ソ / {/ i
/ ', '、
/ :. .:: i ヽ
, ' 全年齢板の壁 | }
/ 全年齢板の壁. | {
i 全年齢板の壁 . ヽ. i
', :/ ヽ ,'.', i
/', :/. ヽ' ヽ、 i
/、 /: ヽ ヽ i
最高のマ○コと最高のチ○コの出会い!!
巾着ミミズ千匹に推定26cmの爆発!!
アッー!!
キラッー!!これなら産めますわっー!!
笑っていいですか
てことで保守
>>375はあっちこっちでコピペ貼り付けられてるな。
新手の荒らしみたいなもんだと思うが・・・
まあスルーしる
確かに荒らしのやることだけど「全年齢の壁」のところに思わず笑った俺がいる
センスあるよね
なんかいつのまにか引っ越してたんですね。今日初めてきました、こんちは。
キララク馴れ初めがやっとほぼ完成しました。タイトルは「Fields of hope」です。
2〜3日以内に投下します。
一言ことわっておくと…めっちゃ長いです。特に初セックルにいくまでが。
神乙
待ってるよ。
乙!
キララク馴れ初め投下。
タイトルは「Fields of hope」
長いです。「デート前日での出来事」よりも。
エロ以外のとかが無駄に冗長になった。ごめん。
舞台はマルキオんとこにキララクが同棲しはじめて数ヶ月後の話。
開始時点では、キラとラクスは「かなり仲はいいけどまだ恋人関係には至っていない」といった感じ。
世界観は一応前の「デート前日での出来事」と一緒ということで。
でもキャラのとらえ方とか変わってるから矛盾してるところあるかもしれないけど、そこは悪いけどあんまり気にしないで下さい。
キラとラクスが本編にくらべ妙にはっちゃけてる気もするけど…まあそれも気にしないで下さい。
あ、そういえば他のすれでみたんだけどラクスって本当は家事万能らしいね。「星の狭間」とか見てないし、そういう設定を無視したところ色々あるかもしれないけど…スルーしてくれると嬉しいな。
とりあえずはキララクが正式な恋人になるあたりまでのところを投下します。
エロだけ読みたかったら飛ばしてください。
ザアァー… ザアァ―…
とある夜の浜辺。
そこにオレンジのシャツと黒のジャージズボンという、寝巻きと言っていいような格好の少年が一人海を眺めながら膝を抱えるようにして座っていた。
肩にはグリーンのロボット鳥が一羽留まっている。
彼は特に何をするでもなく、ただ海を眺めていた。
時折…俯いて苦しそうな呻き声を漏らしながら。
「キラ…」
その少年、キラ・ヤマトに、ピンクのパジャマを着た一人の少女が声をかける。
「ラクス…」
キラはその少女、ラクス・クラインに穏やかで…それでいて哀しげな微笑を一瞬向けてから、また視線を海の向こうへと戻す。
「眠れないのですか?」
ピンク色の長い髪をなびかせながら彼に近づき、彼女はその左隣に腰掛けて尋ねる。
「うん…」
キラはただ一言そう答える。
「そうですか…」
ラクスもただ一言そう返し、その後は黙ってキラの隣に寄りそうようにして座り続ける。
「トリィー!」
キラの肩に留まっていたロボット鳥・トリィが今度はラクスの左肩に飛びついて留まる。
ラクスはそんなトリィに穏やかな目を向けながら、その嘴を指で優しく撫でていく。
ザアァー… ザアァ―…
「…」
「…」
しばらく二人を波の音だけが包み込んだ。
ふとラクスはトリィを撫でていた右手をキラの前髪へと伸ばして…彼の横顔を見つめながら優しく撫ではじめた。
儚げで、今にもこの世から消えてしまいそうな彼の存在を繋ぎとめようとでもするかのように。
「……………ボクはさ、どうして生きているのかな?」
ラクスのその優しい手に身を任せているキラは、海を眺めながらふと哀しそうに呟き、言葉を続けていく。
ラクスはそんなキラの言葉に静かに耳を傾ける。ただ彼の髪を撫でながら。
「あの戦争で…たくさんの人をボクは殺めた…」
「…」
「トールやムウさんや……………そして、フレイ…………そんなボクの大切な人達も…たくさん命を落とした…」
「…」
「なのに…なんでボクだけは死ななかったんだろう…殺されずに済んだんだろう…」
「…」
「どうしてボクだけは今ここに生きていられるんだろう…そもそも…生きてて…いいのかな…」
「…」
「…もしかして…ボクは……生きてちゃ…いけないのかな…」
「…」
「そんなことを考えていたら…なんか眠れなくなっちゃって…」
「………ならば、あなたは………………死にたかったのですか?」
ラクスは髪を撫でるのをやめ、冷たい口調でキラに問いかけた。
「…ボクは…最低な人間だ」
キラはその言葉のとおり、自分自身を心底嫌悪するかのように吐き捨てた。
「これだけ罪を重ねておきながら…………自分が死ぬのは…嫌なんだ…昔も…今も…」
「それは…いけないことなのですか?」
あくまで感情の抑揚を一切消した声で問いかけるラクス。
「…」
「死ぬのは嫌…それは人として当たり前の感情。それをもつことは、恥ずべきことですか?」
「…わからない。まだ…わからない…」
「そうですか…」
「…」
「でも…一つだけわかっていることがあります」
「?」
「もしあなたが死んでいたら…たくさんの人が悲しみました」
「…」
それを聞くとキラは顔を俯ける。
「ハルマお義父様、カリダお義母様…アスラン…カガリさん…バルトフェルド隊長やマリューさん達…みんながあなたの死を悲しんだことでしょ
う。もちろん………わたくしも」
俯くキラの横顔を見つめながら、ラクスは淡々と言葉を紡ぐ。これは別にキラを慰める為に言っている言葉ではない。ただの…事実だ。
「もしあなたが死んでいたら、それはまた悲しみをただ無意味に増やしていただけ…そう思いませんか?」
「そう…だね…」
「それは、キラの望みですか?」
「いや…違う」
ラクスの問いに力ない声でそう答えるキラ。
「そうですか…」
ラクスはキラのその答えに、喜びも賞賛もせず、ただ一言そう返した。
「…」
「…」
少し間を置いてから、ラクスは再び口を開く。
「…ヤキンでカガリさんがアスランにこんなことを言ったそうです…」
「?」
「『逃げるな!生きる方が…戦いだ!』と」
「…」
「それはあなたにも言えることなのでしょう。もし、あなたがご自分の死によって悲しみを増やすことを望まず、それでもご自分を許されざる咎
人だと思うのなら…何があっても生き抜いて、成し遂げるべきではありませんか?あなた自身の罪を償う術を見つけて、それを成す戦いを」
「ラクス…」
「キラ。あなたは今度は何とどう戦うべきか…あなたはその答えをいつかご自分で見つけるその時まで、逃げてはならない…違いますか?」
冷徹とさえ言えるような冴えた口調でラクスはキラへ言葉を投げかけた。
「いや…違わないと…思う…」
キラは、今度は自分の膝の上に飛び乗ったトリィを見つめながら、静かにそう返した。
「…」
ラクスはそれには何も答えず、再び視線を夜の海の方へと向けた。
それを最後に、二人の間にまた波の音だけが響く時間が訪れる。
ザアァー… ザアァ―…
「ラクス…大丈夫だよ。ボクは…逃げないから」
しばらくしてキラが口を開いて告げた。
おぼろげで頼りない口調だが…それでも膝の上で拳をしっかり握り締めて、その拳を見つめながら、むしろ自分自身に言い聞かせるような感じで。
「そうですか…」
ラクスをそれを聞いて…ただ柔らかく微笑んだ。
「……………もう寒くなってきたね。そろそろ戻ろうか…」
「はい…」
キラは立ち上がって砂を軽く払ってからラクスの手を取る。ラクスはそんなキラの手にしたがって彼女も立って砂を払う。
そのまま二人はマルキオの伝道所の中へと戻る。
そしてキラの部屋の前に来ると
「キラ…」
ラクスが口を開いて
「ん?」
「どんなに悲しい夢を抱えていても、今ここにいるあなたが全てです。それを…忘れないでください」
「…うん…」
キラは静かに微笑んで返した。
「じゃあ、おやすみラクス。…それと…ありがとう」
「いえ…それではおやすみなさい、キラ」
「トリィー!」
キラはラクスに就寝の挨拶をかけてから、トリィと共に自室へと戻った。
「……………………」
ラクスは一人暗い廊下に取り残される。
「キラ…ごめんなさいね…わたくし、今はまだ…あんなことしか言えなくて。でも…安心してください。あなたが答えを見つけるまで、わたくしは
…ずっとそばにいますから」
部屋の中のキラに向けて…ラクスは一人そんなことを呟いた。
C.E.70
「血のバレンタイン」の悲劇によって本格的な武力衝突へと発展したザフト・地球連合の戦いは当初の予想に反して長期化し熾烈を極めていった。
果てしなく続くようにさえ思えた殺し合いの連鎖。
そんな戦争も、クライン派を指導したラクス・クラインによる当時のプラント最高評議会議長パトリック・ザラへの造反などの事件によって局面は大きく変化し、結局第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の後に
停戦条約が締結された。多くの火種を残しながらも…戦争は一応の終結を見せた。
キラ・ヤマトもその戦争の中に身を投じた一人だった。
当初は、なし崩し的にMSのパイロットとなったに過ぎなかったキラだったが、
戦争の中での様々な出来事や人との出会いを通して、彼の心は大きく変化し、彼は…ナチュラルやコーディネイターといった単純なカテゴリーや表面的な大義を超えて、本当に自分が戦うべきもの
―戦争の源となるもの―と戦うという道を選び取り、志を共にする仲間と歩んでいくことになった。
そうして最終的には強い信念と覚悟のもとに戦っていったキラだったが…どんなに強い想いを持とうとも…年若い少年の心を戦争というのものは容赦なく蝕んでいった。
そんな彼は、終戦の後、MSのパイロットという立場をはじめ戦いに関するあらゆるもの、もっと言えば世間との交わりからも一切身を引いて、
母カリダ・ヤマトを連れて地球の宗教家マルキオの、オーブ領内の離れ小島にある伝道所で、孤児らとともに暮らすこととなった。
平和で穏やかな暮らし。
それは彼が抱える悲しみを癒す確かな助けとなり、終戦直後は精神的に極度に追い込まれていたキラも少しずつ笑顔を見せるようになった。
しかし、そんな平穏な暮らしの中でも戦争によって得た深い傷を容易に消し去ることはできないのもまた確かで、キラはその傷に今も苛まされつづけ、時折眠れぬ夜を過ごすこともあった。
そんなキラと今も寄り添って暮らしているのが…かつてのプラントの歌姫であり、先の戦争でキラと共に戦ったラクス・クラインだ。
彼女はたとえ自分の立場も故郷も捨ててでもキラのそばにいることを選び、キラもそれを望み受け容れた。
戦争の中で揺ぎ無い絆で結ばれたキラのそばにいることは…キラと同じように深い心の傷を受けたラクスにとっても、大きな癒しとなった。
だがそれだけでない。
彼女はキラが彼自身の傷を癒す助けになりたかったのだ。
MSに乗り殺し合いのど真ん中に身を投じ、その出生のことなど、図らずも数々の業を背負うことになったキラ。
そんなキラを…ラクスは何としてでも支えてあげたかった。
といっても…ラクスは基本的にはただキラのそばにいて彼の吐き出す言葉を受け止めてあげるだけで、特別なことを何もせず、また求めず…
言葉をかけるときも、彼にただ事実を差し出したり、彼の心を静かに問い掛けるだけで、慰めの言葉など一切かけなかった。
それは無意味だから。
その場しのぎのごまかしの言葉をいったところで…キラが本当の意味で救われることにはならないから。
だから彼女はじっと耐えた。
本当は、たとえ上辺だけの慰めの言葉をかけてでも、自分の手でキラをもっと楽にしてあげたかった。
自分の愛しの人を…戦争の中でいつのまにか自分にとって誰よりも愛しい存在となった彼を。
それでも懸命に耐え…あのアスランとの死闘を経た後のときのように、自分の過去や業にどう決着をつけるかという答えをキラ自身で出すと
きがいつか必ず訪れると信じて…ただそばにいて彼を支えることだけをし続けた。
そんなラクスに支えられながらキラも、カリダや子供達と穏やかな日々を過ごす一方で、なんとか答えを出そうと毎日もがき苦しんでいた。
そうしてキラとラクスの間に少しの時が流れた。
朗らかなある日の午後
カリ カリ カリ
マルキオの伝道所の中にある一室。
机を並べた子供達が必死でペンを走らせる音が響く。
この時間は子供達の勉強の時間。
この伝道所では、キラ達が共に住むようになって以来、それ以前からの日課であったマルキオの説教の時間の後は、キラから勉強を教わる
のが子供達の日常となっている。
まだ16歳であるキラだが、もともとコーディネイターの世界では16歳といえばもう成人とみなされる年齢だし、キラはコーディネイターの中でも
かなり優秀な頭脳の持ち主なので、科目に関係なく子供達の勉強をそつなく指導していた。
そんな中、キラはその日の分の勉強内容の確認として毎日欠かさず小テストを実施しているのだが、今は今日最後の科目なった算数のテス
トの最中だ。
そんな子供達に向かい合うように、部屋の前の方に机を置いて椅子に座っているのがキラだ。
最近彼が普段よく着ている黒服を纏った彼は、自分の机の上に置いた何冊かの教科書をちらちら見ながら、ノートパソコンをカタカタとうっている。
明後日やる勉強の内容を確認しつつ、その日の分のテストを用意する為だ。(明日は訳あって勉強はお休みだ)
隣には同じように机を並べた、水色の可愛らしいワンピースを着たラクスがいる。
子供達に勉強を教えるのは基本的にキラの役割なのだが、何かサポートが必要なときはこうしてラクスも共に子供達の勉強に付き合うのだ。
今日はテストの採点を手伝う為にきていた。
「ふー…こんなもんかな。ラクス…どう思う?」
テスト問題の編集が終わったところで、せっかくだからラクスの意見も聞いておこうとキラは子供達の集中を乱さないよう小声でラクスに画面
を見せながら話し掛ける。
「えっと………………………はい。わたくしもこれくらいでよろしいんじゃないかと思いますわ」
問題の量・難易度を一通り見てから、ラクスも小声で微笑みながらキラに返す。
「よし。じゃあ一応ディスクに保存しとこう…って、あれ?ない…?」
机の上や中を見渡してもお目当てのものがなくて、キラは戸惑う。
「キラ、何かお探しですか?」
「うん…オレンジのラベルのディスクなんだけど…リビングのとこの机に置きっぱなしだったかも…」
「それならわたくしが今からとって参りますわ」
「え、いいよ。ボクが自分で行くから」
「いいえ。みなさんそろそろ終わりそうでしょ?もし終わったらなるべくキラがみてあげたほうがいいじゃないですか」
「うん。わかった。じゃあお願い」
「はい」
ラクスは立ち上がり、部屋を出る。
しばらくキラは、頬杖をついて必死でテストと格闘する子供達を見守りながら、ラクスを待つ。
「はい、キラ」
ラクスがキラの探していたディスクをもって、戻ってくる。
ディスクを渡してからまた椅子に座る。
「うん、ありがとう」
「いいえ。どういたしまして」
「よしじゃあさっそく…保存、っと…」
ディスクを差し込み、ファイルを保存してからパソコンの電源を切る。
すると
「キラ兄ちゃんできたー!」
「俺も!」
問題を解き終わった子供が次々と椅子を立って、キラのところに答案をもっていく。
「じゃあ答えあわせだね。あ、ラクス、お願い」
答案を受け取り、一部をラクスに渡す。
「はい」
そのままキラとラクスはさっそく採点に入る。それをドキドキとした表情で見つめる子供達。
「あ、これ途中式書いてないじゃない。だめだよ、全部書いてこなきゃ。はい、やり直し」
「えー!答えあってりゃいいじゃん!」
「だ〜め。ちゃんと正しい手順をふんで要領よく計算してるかどうかもみてるんだから」
「うー…」
「そんな顔してもだめ。ほら、文句いってる間にやっちゃった方がはやいよ?」
「わかったよ〜…」
「あらあら。式の手順はあってるのに計算間違いばっかりですね」
「え、ほんとに?そんなー…」
「はやくやるのも大事ですけど、ちゃんと正確に計算するのはもっと大事ですよ。はい、じゃあもう一度丁寧に計算し直しましょうね」
「は〜い…」
「ラクスお姉ちゃん、次わたし!」
「はい。これは○、これも○………あら?えっと…キラ、この式のたて方はどうなんですか?」
「ん?…あ、これは別解として認めてあげていいよ」
「だそうですわ、よかったですわね。じゃあ全問正解ですね」
「やったあ!わたし一番!」
「あ、全問正解だね」
「まじで!?」
「うん。はい、お疲れ様」
「おし、外行こうぜ!」
次々と採点していく二人。
満点をとれた子供は筆記用具を片付けてから、部屋を出てさっそく外へと遊びに行く。
満点をとれなかった子供は、答案を返され、自分の机にもどり間違った問題をやり直す。
「みんないっちゃったー…」
「焦んなくていいからちゃんと丁寧にやりな」
「う、うん…えっと…あ………………………できた!」
「どれどれ…うん、あってるね。はい、お疲れ様」
「終わったー…俺もいこ!」
最後に残った子供もようやく終わり、外へと向かう。
「ふー…時間はかかったけどみんななんとか終わったね」
腕を上げて伸びをするキラ。
「キラ、お疲れですか?」
「はは、ちょっと。今日はいつもより黒板たくさん使ったし、テストの間もずっとパソコンうってたからね。自分で決めたことだけど、毎日欠かさず
テストを用意するのはけっこう大変だよ」
自分の肩をぽんぽんと叩きながらキラはいう。
「ふふ、じゃあ、はい♪」
ラクスはにこやかに笑いながら椅子から立ち上り、キラの後ろにまわってその肩をもんであげる。
「え、そんな、いいよ。ラクスもわざわざ採点手伝ってくれたし、今日は午前からお掃除してて疲れてるでしょ?」
キラは遠慮がちにそう言ったが
「構いませんわ、わたくしは。別に疲れていませんから。ね?」
とラクスが爽やかな笑顔でそう言ってくるので
「えっと…じゃあお願いしよっかな」
結局キラは少し照れくさそうに笑いながらラクスの好意を受け入れた。
「はい♪…キラ、ここはいかがですか?」
「あ、うん。そこちょっと強めにお願い」
「はい。ここですね?」
「うん、そこ」
肩をもんでもらってるキラもそうだが、もんでるラクスも嬉しそうにニコニコと笑いながらキラの肩をほぐしてあげる。
「みなさん苦戦してらしたみたいですわね。今日の問題は量も多かったし、難し過ぎたんじゃありません?」
「う〜ん…ボクも少しそうは思ったけど、今日みたいのは今のうちにできるようになっとくといいと思うんだよね。応用の幅が広がるから」
「そうですか」
「でも自分でやらせといて言うのもなんだけど、みんなすごいね。もうあれくらいのレベルが解けるようになるなんて。ちょっと予想より早かったなあ」
「ふふ。わたくしもビックリしちゃいましたわ。みなさん真面目に勉強してますし、キラの教え方が上手ってこともあるんじゃありませんか?」
「はは。そっかなー」
そんな風にしてキラとラクスがしばし会話を楽しんでると
「子供達の勉強が終わったのですね」
白い礼服に身を包んだ一人の盲目の男性が二人に声をかける。
この伝道所の主、マルキオだ。
彼は静かな佇まいで部屋の入り口に立っていた。
「あ、はい。もう、終わりましたよ」
ラクスに肩を揉んでもらいながらキラが返す。
「ふふ。マルキオさま、今日は難しい問題だったんですけど、みなさんちゃんと解けたんですよ。あんな難しい問題までできるようになっていた
なんて、わたくしも驚きましたわ。キラの教え方が上手だからですわ♪」
ラクスはまるで自分のことのように少し自慢気にマルキオに告げる。
「そうですか。あなた達がここに来られてからは本当に助かります。目が見えないわたしでは子供達の勉強をみてあげるのもたいしたことは何
もできませんので。キラ君、毎日毎日どうもありがとうございます」
「いえ。ボクも勉強教えるのはなんか楽しいですし。全然、大丈夫ですよ」
と会話を交わしていると
「キラ兄ちゃん!」
一人の子供が部屋に戻ってくる。
「ん、どうしたの?」
「今からみんなで島の裏行くんだけど。ほら、昨日みつけた洞窟のとこまで…それで」
「危ないからまたボクについてってもらえって、おばさんに言われたんだね?」
「おばさん」とはカリダのことだ。
「うん」
「いいよ。…と、ラクス、肩ありがとう」
そう言うとキラは椅子から立ち上がった。
「いいえ♪」
「じゃ、行こっか」
「あ!いこ、いこ!」
「あ、ちょっと待って。その前に片付けを…」
「あ、でしたら、わたくしがやっときますから、大丈夫ですよ。キラははやくみなさんのところまで行ってあげてくださいな」
キラに笑いかけながら、ラクスがそんなことを言った。
「え、でも…」
「別に構いませんから。わたくしはこの後、カリダお義母様といつものお茶の時間ですし。ね?」
「うん。じゃあお願いね。パソコンとディスクは、リビングのところにとりあえず置いといて」
「はい」
「ほら、早くー!」
「はいはい。じゃあ、マルキオさま、行ってきますね」
「はい。気をつけて」
子供に腕を引っ張られ、キラは外へと行く。
キラを見送ってからラクスは
「さて…あ、マルキオさま、わたくしこれからカリダお義母様とお茶の時間なんですけど、ご一緒にどうです?」
「いえ。明日は本島の方へ出かけるのですが、このところ何かと忙しく疲れていますので、わたしはこれから夕食まで少し休もうかと思っていまして…」
「そうですか」
「わざわざ誘っていただいたのに申し訳ありません」
「いいえ。それではごゆっくりお休みになってください」
マルキオはそれをきくとラクスに軽く一礼をしてから自分の部屋へと向かう。
それからラクスは余りのテスト用紙などを片づける。
そして、ノートパソコンを置いてからダイニングルームに入ると、控えめな色のブラウスとロングスカートを着た女性と出くわす。
キラの母親…カリダ・ヤマトだ。
彼女は丁度庭の掃除を終えたところらしい。
「あ、カリダお義母様」
「もうみんな終わったみたいね。お疲れ様」
「いえ。それでは、カリダお義母様、お茶をお煎れしますね」
「ふふ。じゃあ、ラクスさん、お願いします」
「はい!では少々お待ちください」
この時間は、ラクスとカリダの間で最近恒例となったティータイムの時間。
ラクスはキッチンへと入り、二人分のカップを用意して紅茶を点てる。
ラクスは本格的な紅茶党で、そのこだわりはバルトフェルドのコーヒーに対するそれにも劣らない。
茶葉を独特の用量でブレンドし、手際よく鼻歌を歌いながら点てていく。
茶菓子としてクッキーも用意してから、ダイニングルームのテーブルで待つカリダのもとへともっていく。
「はい、カリダお義母様、お待たせしました」
カリダの正面に座り、それぞれの分の紅茶と茶菓子をテーブルに置くラクス。
「いっつもありがとう、ラクスさん。………ん〜♪…ラクスさんの入れる紅茶はやっぱりいい香りね」
目を瞑ってその芳しい香りを楽しむカリダ。
「そう言っていただけて、光栄ですわ!」
ラクスは嬉しそうに朗らかに笑いながら言った。
カリダは続いて紅茶を一口含む。
「ん……昨日のとはちょっと違うみたいね」
「はい。昨日のはちょっと後味がしつこいとカリダお義母様がおっしゃってたので、今日はハーブのブレンドの分量を少し変えてみたんです
けど…いかがですか?」
「ん〜…今日のほうが好みかしら♪さっぱりしてて」
「そうですか。よかったですわ♪」
そのまま共にティータイムを楽しむラクスとカリダ。
穏やかな空気が二人を包む。
カリダもラクスも、無口というわけではないがそうぺちゃくちゃおしゃべりするタイプでもなく、この二人が時間を共にするときはこんな風にして
ゆったりとした凪のような空気が訪れるのが常だった。
ラクス・クライン。
かつてのプラント一の歌姫。
そんな華やかな経歴を物語るかのように、その外見は美しく華やいでいて、立ち振る舞いもどこか垢抜けていて優雅であり、そこには自然と
人目を惹き付ける何かがある。
しかし、かといって決して気取ったところはなく、むしろ誰に対しても常に礼儀正しくにこやかにそして温かく接する彼女。
根本的に、優しく思いやりのある少女なのだろう。
そんな彼女だから、この伝道所の子供達みんなからすぐに慕われるようになり、またカリダもこの少女にはとても好印象を抱いている。
だからラクスが自分のことを「お義母様」をつけて呼んでも、嫌な顔は全くしない。いやかえって、まるで自分に可愛らしい娘ができたみたいで
どことなく嬉しいくらいだった。
ラクスもカリダのことをよく慕っている。
キラの母親であるこの女性は、とても優しく温和な人柄で、それはラクスの中で…どこか今は亡き母を思わせるものだった。
カリダのことをいつのまにか「お義母様」をつけて呼ぶようになったのも…自らの愛しの人の母親であるということに加えて…彼女のそんな想
いが無意識のうちに働きかけた結果だったのかもしれない。
キラもまたあのように優しく温和な人物に育ったのも、このカリダのおかげなのかと思うと、ラクスも納得できたものだった。
そして、そんなカリダとこうして共に時間を過ごすことは、父親すらも失った今のラクスにとっては、寂しさと悲しみが大きく癒され心温まる、大
切な時間の一つであった。
さて、そんな感じのラクスとカリダは、仲良く紅茶と茶菓子を嗜みながら、しばらく紅茶の煎れ方の話などに興じていた。
「へえ…そんなやり方もあるの」
「はい。時間はかかるんですけど、茶葉の香りがよく引き立ってとても芳香になるんです。以前キラにも召し上がってもらったんですけど、とても気に入っていただけましたわ」
「そう」
話題にキラの名前があがったところで、カリダは少し気まずそうに視線を落として…
「ねえ、ラクスさん」
「はい?」
「最近…………その…キラとは…どうなってるの?」
「え?」
突然のカリダの言葉にラクスはその大きな蒼い瞳をぱちくりとさせる。
「その…進展というか…」
「進展…ですか?」
「ええ。今のあなた達って…恋人とはまた違うような気がしてね…どうなのかしら、って思って…」
「こ、恋人…ですか?」
「ええ。というか…わたしとしてはあなた達がそういう関係になってくれると…嬉しいかなあって」
ちょっとイタズラっぽく笑いながらカリダは言った。
「え、え!?」
が、ラクスはそれを聞くと顔を赤らめて、思わず大きな動揺の声をあげる。
ラクスがキラのことを一人の男性として好いているというのは、カリダからみて明らかなことだった。
それはラクスのキラへのスキンシップの様子からはっきり示されている。
もちろん、ラクスも人前ではあまりキラにベタベタしないよう心がけてはいるが、それでも時折人の目を忘れて無意識のうちに、彼に寄り添ったり、彼の髪を撫でたり、としてしまうのだ。
その仕草、そしてそんなときにラクスがキラにむける眼差しを見れば…誰だって彼女の想いに気がつくだろう。
そして、カリダの中でラクスは、キラの恋人となる人物として、いやもっと極端なことを言ってしまえば…人生の伴侶となる人物として、すでに公認だった。
キラがこの少女と共に帰ってきて、二人のとても親しそうな様子を見たときは、キラもついに「そういうお年頃」になり、親離れしだしたのかな、とカリダも初めは寂しく思ったものだった。
同時に、突然キラと共に自分の目の前に現われて、当たり前のようにキラの隣に立つ彼女を、カリダは敵意とまではいかなくても、少し警戒するところが初めの頃は正直あった。
が、カリダもよく知るアスランから、二人の関係が決して表面的なものではなく、先の大戦を通じて本物の絆と信頼関係を築いたというのは聞かされていた。
(ちなみにアスランとラクスが元婚約者だということをカリダはまだ知らない)
また彼女と暮らすうちに、彼女が本当に優しく思いやりのあるいい娘だということがすぐわかり、結局彼女への警戒の念など瞬く間に消え去り、前述のとおりとても好印象を抱くに至っている。
だから、彼女がキラの恋人となったしても、何も問題はない。
加えて、おっとりしている反面しっかり者なところなんかは、元々甘え気質な傾向があるキラにはよくお似合いのように思える。
そして何よりも、キラが今抱えている様々な心の傷を全て理解した上で、故郷も立場も捨ててまでキラの支えとなろうとしている彼女は、カリダ
からしてみれば、大切な息子の将来を任せるにこれ以上なくふさわしい人物だった。
そんなわけで、カリダは、ラクスがキラと親しそうにしていても何も文句などは言わない。今となっては、この心優しい少女の恋を応援してあげたいくらいだった。
そして、キラにしても…カリダは母親特有の鋭さもあって…なんとなく彼の内心には気付いていた。キラはラクスのことを…以前はどうだったか知らないが今では一人の女性として意識しているに違いない。
しかし、この二人、日頃から仲睦まじい様子はみせているし、堅い絆で結ばれているというのはよくわかるが…あまり男女としての関係の気配が見受けられなかった。
あえて言うなら、とても仲の良い異性のお友達同士、といったような関係で終わっているように見えるのだ。
それが…カリダの中で少し腑に落ちないところだったし、こんなにあからさまに恋心を抱いている様子をみせてるくせに、何もキラと進展を見
せようとしないラクスを…正直いじらしいと思う気持ちもあった。
そして、ラクスが何もキラと進展を見せようとしないのは、今のこの動揺の様子からみてもわかるとおり、ラクスはおそらくこういうことに慣れて
いないのだろう、とカリダは感づき、老婆心からちょっとこの少女を後押ししてもみようと思ったのだ。
「え、あの…その…」
顔を赤らめ、うまく言葉を返せないでいるラクス。
普段の彼女は、とてもおっとりしていて常に落ち着き払っているタイプで、あまり感情の抑揚は―特にキラ以外の人物の前では―はっきりとは
見せないのだが、その彼女がここまで動揺するとはこの件は彼女にとってよほどのことらしい。
「ごめんなさいね。突然こんなこといって」
「い、いえ…」
「でもね、わたしね、ラクスさんならキラにとって、勿体無いぐらいいいお相手になってくれるかな、て思ってるんだけど」
「あ…あの…」
「ラクスさんはそういうのは嫌なのかしら?」
「あ…えっと…」
ラクスはカリダから視線を逸らしてなんとかうまく返そうと言葉を探す。
(わ、わたくしはキラのことは……多分もうずっと前から好きだと思うんですけど…)
そう。少なくともあの指輪を渡したときにはすでにキラのことを同志とかそういうものを超えてもっと特別な存在として…一人の男性として意識
し愛しいと思っていたのは、ラクスも自分でよくわかっていた。
ただラクスは…もともとこういう色恋沙汰には全く慣れていない(アスランとの交際はラクスにとってもアスランにとっても、恋愛の範疇に入る
ものではなかった)ので、自分がキラに何を言うべきか、何をなすべきか正直よくわかっていないのだ。
「キラのことは…そのもちろん…あの嫌いじゃ…ないんですけど…その…あの」
そもそも、いくらキラに恋愛感情をもっていると自分の中ではっきりしていても、それを当の本人の母親にいきなりはっきり言うのはさすがのラ
クスも言いようもない気恥ずかしさを感じ、気が引けた。
「そうなの?」
「あ、は、はい…」
カリダは苦笑しながらラクスを見る。
「嫌いじゃない」といっているが…普段の彼女の様子、そして今の反応を見ればどう見ても本心は「好き」の方だ。
にも関わらずはっきり「好き」とは言わないあたり初々しくてかわいいな、なんてラクスには悪いと思いつつカリダはつい思ってしまった。
「ふふ…だったらわたしはラクスさんのこと、応援してあげたいな〜」
もはやラクスがキラを好きだという前提で話を進めるカリダ。
「で、でもその…こ、恋人となると…わたくし…まだよくわかんなくて…」
ラクスはそんなカリダの言葉を特に否定もせず、ただ紅茶のカップを意味もなく回しながら顔を赤らめる。
動揺していたせいか、普段は他人に自分の素を見せまいとする彼女でも、つい本音が抜け落ちてしまった。
そんなラクスを見て、カリダはなんだか嬉しくなってきた。
「天然」なところもあるものの、基本的にたおやかでどこか年齢以上の印象を持たせるラクスが、こうして年頃の女の子らしい一面を珍しく見せてくれているからだ。
「ふふ。恋人とは何なのか、なんて深く考える必要は今はないんじゃない?お互いの気持ちが一致したことを確認し合えたらそれが恋人でしょ?」
「あ、は、はい…」
「その点…ラクスさんならわたしは全然大丈夫だと思うわ。だって…」
「?」
「…あ、ごめんなさい…なんでもないわ」
「?…はあ…」
カリダは「きっとキラだってラクスさんのこと好きだわ」と言いかけてやめた。
カリダとしてはそれはもう確信に近いものなのだが、勝手に彼の気持ちを決め付け、またそれをその相手に言うのはさすがの母親でも許されないと思ったからだ。
「…ま、とにかくラクスさんなら、そんな変な心配する必要はないわ」
「そ、そうですか?」
「ええ♪…だいたい、今みたいに友達みたいな関係のままずっと一緒にいるだけって…ラクスさんは切なくないの?」
「あ、えっと…」
その気持ちは確かにあった。
彼のことを愛しいと想っているのは確かなのに…愛しいと想っている人が毎日隣にいてくれているのに…自分の気持ちを伝えきれないでいるもどかしさと切なさ。
「怖いかもしれないけど…思い切って気持ちを伝えてみるのも大切だと思うわ。そうすれば、どんな形になるかわからないけど、きっとラクスさ
んのためになるとわたしは思う」
それを聞き紅潮した顔で床を見つめながら押し黙るラクス。
「でも…」
だが急にラクスは顔を上げて表情を少し暗くして
「キラのほうが…まだ心の整理がついていないと思うんです」
そのとおりだ。キラのことを愛しいと思いながらも…まだその先へと踏み込めない一番の訳はそこだった。
ラクスも、いつかはキラと恋人同士になれたらいいなとは確かに思っている。
ただ…まだその時期ではないとも考えているのだ。
自分の想いをキラに伝えるのは…彼が彼自身の問題とちゃんとした形で向き合えるようになってからが一番お互いにとって好ましいとラクスは思うのだ。
「だから、今はまだキラをただ静かに見守ってあげることが、キラのためには一番良いと、わたくしは考えているんです」
「…」
カリダもその言葉を聞いて同じように一瞬表情を暗くする。
が意を決して
「でもね…ラクスさん…」
「?」
「今のキラにとっては…ラクスさんともっと親しくなれたほうが…わたしはいいんじゃないかな、って思うの…」
「え…?」
「ラクスさんとキラが…もっとお互いに親密になって…もっと心を許しあえるようになって…もっと自分の苦しみを人へ曝け出せるようになったら…あの子にとってはそれが一番…いいと思う」
「…」
「その点、今のわたしじゃ…きっとかえってあの子の負担になっちゃうし…」
「カリダお義母様…」
平穏な暮らしの中で、先程の子供達の勉強のときのように、少しずつ明るい笑顔を見せるようになったキラ。
それでも、時折あの戦争のことを思い出し、心を苛まされていることをカリダはよく知っている。
いやもしかしたら、キラは周囲に気を遣ってそれをあまり表に出さないだけで、笑っているときでさえ心の中では苦しんでいるのかもしれない。
カリダは母親として、キラが戦争によって受けた傷をなんとか癒してあげたいと当然願っていた。
しかし、自分は今のキラにとって、ある意味その存在自体が彼の心の傷の要因の一つとなっていたので、不用意にキラの方へと飛び込むことがカリダはできずにいた。
というのも、今、キラとカリダおよびハルマとは微妙な関係にある。
カリダとハルマからしてみれば、キラはどんな事情があろうとも、大切な息子であることに変わりない。
しかし…クルーゼから聞かされた残酷な現実に対して、キラの中ではまだ整理がついていないのが…現実なのだ。
キラとて、この二人は自分のかけがえのない両親だと思っている。
そう思っているからこそ、かえってこのことに対する心のしこりが彼はなかなか取れないのだ。
そんなカリダにとって頼りになるのは…目の前のこの少女ということになる。
キラと実際に戦場を共にした彼女の方が、キラが何をどう苦しんでいるかをよく理解しているようにカリダには正直思えた。
そして、この娘なら…信頼できる。キラのことを本当に大切に思ってくれているし、キラもまたこの娘には心を許している。
この娘とならキラも…表面的な交際に終わる関係や変に傷の舐め合いとかに終始する関係にはならなくて済むに違いない。
だからこの二人がもっと踏み込んだ関係になれたら…きっとそれはキラにとって大きな支えになるだろう。
しかし、ラクスはともかく、キラはどうも自分の気持ちに気づいていないのではないだろうか。
キラが、他でもない自分自身の気持ちに一番鈍感なタイプであることを、カリダはよく知っていた。
となると、自分とキラが微妙な関係にある以上、ラクスの方から何かアプローチがあれば、とカリダは思いついた。
ラクスの恋を応援したい、という気持ちの他に、こんな想いもあり、カリダはつい今のようなことを言ってしまったのだ。
「ごめんなさいね…こんな変なことあなたに言って…」
「いえ、そんな…」
「わたしね、キラがこれからあの子自身の心の問題と向き合っていくにあたって、自分の苦しみをもっと素直に吐き出せちゃう人がいれば、あ
の子も変に感情的にならずに落ち着いて考えることができる、って思うのよ。それでね、ラクスさんなら…キラと上手に支え合っていくことがき
っとできるとわたしは信じてる。だから、ラクスさんがあの子ともっと踏み込んだ関係になってもらえれば…なんてことを考えて言ったんだけど…」
「カリダお義母様…」
「……………でも、だめね。こんな言い方、ラクスさんに失礼よね」
「あ、いえ…失礼なんてことはありません…」
自分の息子の傷を癒す為に自分ではほとんど役立たずで他人の、しかもこんなに年若い少女の力を借らざるを得ない。
母親として…こんなに悔しいことはない。こんなに…辛いことはない。
また、まるで息子のために、この少女の純真な気持ちを都合よく利用しているようなやり方が…カリダの中で自己嫌悪を生む。
「……………………やっぱり、あなたの言うとおりかもね。あの子のことは、ただ静かに見守ってあげるのが今は一番かもね」
結局、カリダは自嘲気味に溜息をつきながらそう締めくくった。
「…はい」
「勝手なこと言っといてなんだけど…今のことは気にしないで。ラクスさんはラクスさんの気持ちを大事にしてね」
できるだけいつもどおりの表情と声色で、優しくカリダは言った。
「…はい」
「さて…紅茶、ごちそうさま」
カリダがそう言ってティーセットを片付けようと立ち上がったとき
「あの、カリダお義母様」
「ん、なにかしら?」
ラクスも立ち上がると、少し背筋を正して
「キラは、わたくしにとって本当に大切な人です。だから…なんとかキラの支えになろうと思っています。力不足に見えるかもしれませんが…ど
うか見守ってくださるようお願いします」
先程の動揺していたときとはうって変わって、微笑みつつも強い意志を込めて、ラクスはそう告げた。
…彼女がこうまで自分の私的な意志をはっきりと示すことは珍しいことである。
「…ありがとう、ラクスさん。キラのこと…よろしくね」
それに対し、カリダも静かに微笑んで返した。
「はい」
と、丁度その時
「ただいま」
キラが子供達を引き連れて帰ってくる。
「あ、おかえりなさい」
「おかえりなさい、みなさん」
それを笑顔で迎える二人。
「じゃ、ラクスさん、そろそろお夕飯の支度にしましょうか」
「はい。じゃあ、みなさんはお風呂に入っててくださいね」
「は〜い!」
子供達は元気に返事してから、入浴の順番を決めるジャンケンをし始める。
「じゃ、ボクは食器を用意しとくから」
椅子から立ち上がりティーセットをもってキッチンへと向かっていくカリダに続いて、自らもティーセットをもってキッチンへと行こうとしていたラ
クスにキラは一言そう声をかける。
「あ、はい。じゃあ、お願いしますね」
「うん」
少しして
トントン
キッチンではラクスとカリダが夕食の支度に取り掛かっていた。
カリダは長年主婦をやっていただけあって料理をはじめ家事は上手にこなすことができたが、ラクスはお嬢様育ちだったためか初めの頃は
正直目も当てられないレベルだった。特に…紅茶の煎れ方には精通しているくせに、料理の方は壊滅的だった。
かといってカリダ一人でこの伝道所の家事の全てをこなすことなどできるはずもなく、またキラには子供達の勉強をみる役目があったし、マル
キオも盲目であるため家事を押し付けることはできない。
そこでラクスが、カリダのもとで特訓しつつ、料理をはじめとした家事の手伝いをすることになった。
ちなみにラクスが練習の際につくった料理の試食役はいつもキラであった。
初期の頃のとても食べ物とは言えそうもないようなものでもキラは文句一つ言わず試食してあげてきたかいがあってか…あるいはコーディネ
イター特有の飲み込みの速さもあってか、ラクスの料理の腕はあっという間に上達し、その他の家事も問題なくできるようになっていた。
さて、そんなラクスだが今はまな板の上にて包丁でキャベツを切っていた。
「あらら〜?」
ラクスから少し離れたところで冷蔵庫の中を見ていたカリダが困ったかのような声を上げる。
「カリダお義母様、どうかなさいましたか?」
「冷蔵庫の中がめちゃくちゃになってるのよ。いつもちゃんとしてるのに。あら…葡萄がなくなってるわ…はは〜ん…誰かが盗み食いしたの
ね。それで冷蔵庫の中を荒らしたのかしら」
「まあ!」
「もう!あんなにたくさんあったの全部食べちゃって!あとで誰がやったのか聞いてちゃんと叱っておかないと…」
すると
「ラクスお姉ちゃん」
「あら、マホちゃん、どうしました?」
ブロンドのショートカットが可愛らしいマホという名の一人の女の子が、野菜を切っているラクスの隣にやってくる。
「お手手、ここで洗わして」
「?どうしてですか?」
「あのね、おトイレから出て洗面所でお手手洗おうとしたら、キラお兄ちゃんがいたんだけど…もうず〜っと洗っててどいてくれないの。でも…な
んだかおっかない顔してて…その…声かけるの怖くて」
「!!!!!」
それを聞いて思わずラクスは目を見開き、次の瞬間…顔には明らかに悲しみが浮かんでくる。
「?ラクスお姉ちゃん、どうしたの?」
「あ、いえ…じゃあここでちゃんとお手手洗いましょうね」
マホを不安がらせないためにすぐに笑顔をつくって声をかけてから、ラクスは包丁を置くとまだ冷蔵庫の中をガサガサしているカリダに向かって
「あ、カリダお義母様。わたくしちょっと洗面所まで行ってきますね」
「え?あら、そう?…もう!中めちゃくちゃじゃないの…どうしてこんなことを…」
「♪〜」
「あらマホちゃん来てたの?ねえマホちゃん、冷蔵庫の葡萄がなくなってるんだけど、誰が食べたか知らない?」
「!!!!???ええええ!?わ、わたし、知らないよ!!!」
「?…な〜んか今の反応、怪しいわね〜」
「し、知らないよ!きっとまたピント君たちがやったんだよ!」
「ほんと〜に、知らない?」
「う、うん!」
「ちゃんとおばさんの目を見て言いなさい」
「あ、あう〜…」
「どうしたの?」
「えっと…」
「マ・ホ・ちゃ・ん?」
とやり取りをしている二人を残してラクスは洗面所へと向かった。
バシャバシャ
「キラ…」
ラクスが洗面所に行くとキラがいて、やはり手を洗っていた。
外で子供達と遊んできてこれから食器の用意をするのだからその行為自体は不自然でもなんでもないのだが、マホの言っていたとおり、キラの表情は違った。
彼女が怖がるのも無理もないほどに、とてつもなく険しい形相。
そして、彼は自分の手を凝視しながら石鹸をつけてゴシゴシと手を洗っていた。
そんな中、アスランやキラほどではないにしても、ナチュラルに比べれば優秀な視力をもつラクスの眼はしっかりとらえていた。
もう彼の手には汚れ一つないことを。また…帰ってきてからずっと洗っていたのだろう…その手はかえって痛々しいぐらいに赤く腫れかけていることも。
それでもキラは、一通り洗ったあとに自分の手を顔の前にもっていってしばらく眺めては、まだ足りないのか、再び石鹸をつけようとする。
すると
キュッ!
「あ…!」
ラクスはキラの背後にすり寄り、無言で石鹸を取り上げてから水をだす蛇口を止めた。こういうことは今まで何度かあったことなのだ。そして、
こうなるとキラは周囲の声も届かなくなり、誰か―といってもいつもきまってラクスなのだが―がこうして半ば無理矢理に止めないといつまでも洗い続けるのだ。
「あ、あの…」
途端にばつが悪そうな表情を浮かべるキラ。ラクスはそんなキラを正面から見据える。
「あの…ラクス…その…まだ…足りないんだ。もう一回だけ…」
「…いけません」
ラクスは有無も言わさぬほどの堅い口調でいった。
「これ以上洗うと手がほんとにいたんでしまいます。だから、いけません」
(それに…いたむのは手だけではありませんわ、キラ…)
「…うん、わかった…」
ラクスにそう言われてキラはタオルを取り出して、洗ったばかりの手を拭く。過剰に洗いすぎた手は…不快な赤みを帯びている。
「…」
キラはそれでもまだ汚れが残っているかのように見えるのだろうか、拭き終わった手をまた凝視する。
そんなキラの隣で黙って彼を見ていたラクスは、一瞬の逡巡の後、石鹸を元のとこに置いてから
「あ…」
キラの両手を、彼女自身のその白い両手で包みこんだあと、優しく摩る。
「…」
キラは、無言でそんなラクスに身を任せる。いたんだ彼の手に、優しい温もりが伝わっていく。
しばらくして
「あの…もういいよ…もう大丈夫だから。ありがとう」
「…そうですか」
ラクスはそれを聞くと穏やかに微笑み、キラから自分の手を離した。
キラは自身の両手を最後にもう一度見て拳をつくってきゅっと握り締めると、普段の温厚な顔をラクスに向けて
「さて…じゃ、行こっか。ボクは食器の用意するね」
「…はい」
そのまま二人でまたダイニングルームの方へと向かう。
(キラ…あなたの悲しみは…いつになったら癒えるのですか?…わたくしがそばにいるだけでは…力不足なのですか…?)
「ん、ラクス、何か言った?」
「…いいえ。何でもありませんわ」
夕食の席にて
「ねえキラ兄ちゃん、今日の洞窟すごかったね!」
「うん。思ったよりも奥深くて、今日一日では探検しきれなかったぐらいだからね」
「もしかしたらさ、奥の方には秘密基地があるんじゃねえの!?」
「またクリスが馬鹿なこと言い出した!そんなのあるわけないよ!」
「いや、わかんないよ」
「え?キラ兄ちゃんそれはどういうこと?」
「あの洞窟はね、形状からいってどう見ても自然にできたやつではないんだよ。きっと誰か人の手によってつくられたものだよ」
「ほんとに!?」
「うん。それでね、かなり昔になるだろうけど、人が住んでた痕跡がいくつかあるんだよね」
「すげえ!じゃあさ、奥の方に行ったら…」
「うん。何か面白いものが見つかるかもね」
「宝物があったりして!!!」
「はは、それはどうかなー」
キラ達はダイニングルームにて、みんなで揃って食事をとっていた。
その中で、キラと子供達は今日遊びに行った洞窟の話しで盛り上がっていた。
そんなキラの右隣で食事をとっていたラクスは、サラダを食べながらちらちらとしきりにキラの方を見ていた。
「…ん?ラクス、どうしたの?」
キラがその視線に気づき声をかけるが
「あ!いえ!何でもありませんわ」
ラクスは笑顔でそう答えただけだった。
「…?…そう?」
「はい!」
(どうやらキラは…先程のことはとりあえずのところ、もう気にはなさってはいないみたいですね。よかった…)
そんなことを思い、心の中で安堵の溜息をついたラクスだったが、気が緩んだ途端…
「…」
「…?ラクス、どうしたの?なんか顔が赤くない?」
「あ…い、いえ!なんでもありませんわ!」
両手を振ってラクスは笑顔で答える。
「そう?ならいいんだけど…」
キラはそんなラクスの様子にまだ少々気にかかるところもあったが、とりあえずはそこで納得し、再び子供達の方を向いて彼らとの会話を再開した。
「…」
何でもないと答えたラクスだったが、彼女は引き続き顔を少し赤らめたまま
(カリダお義母様とあんなお話をしたからでしょうか、なんだかキラのことを…変に意識してしまいますわ。うう〜…どうしましょう…)
そんなことを考えながら、子供達と談笑するキラの横顔を眺めていた。
そんなラクスを、ラクスの正面に座るカリダは痛ましげな表情でしばらく見つめていたが
「あ、そういえば!」
突然フォークを置いて両手をポンと叩き
「明日、カガリさんとアスラン君が来ることになったんでしょ?」
と笑顔でそんなことを言い出す。
「あ、うん。そうそう、ボクも今言おうと思ってたんだ。お昼過ぎにはなっちゃうって言ってたけど、二人とも明日はやっと来られるみたいだよ」
それに答えたのはキラだった。
「あ、そういえば明日だったっけ。でも、ほんとに来れんの!?」
子供達はそれを聞いて嬉しそうに声をあげつつも、少し心配そうにそう尋ねる。
カガリとアスラン。
この二人は今まで何度か仕事の合間にマルキオの伝道所を遊びに訪れていて、この伝道所を訪れる数少ない来客である彼女達は子供達の人気者だった。
だが
「またドタキャンとかはないよね?」
行政府での激務が続いているため、直前になって訪問の予定が取り消されてしまうことも珍しくなかった。
だから子供達もそのことを心配していたのだが
「今度は大丈夫みたいだよ」
子供達を安心させるため、笑顔で答えるキラ。
「ほんとに!?」
それを聞くと、子供達もパッと晴れやかな笑顔を見せて
「じゃあさ、あの二人にも今日の洞窟見せてやろうぜ!」
などと明日の話で盛り上がりはじめる。
「でも、わたし達は明日はちょっと本島の方へ出かけることになったから、二人とも明日はここのこと、よろしくね」
そこでカリダがキラとラクスに向かってそんなことを言う。
「あ、またマルキオさまの用事?」
「はい。ここに寄付金を贈ってくださっている方達とお話をしなければいけないことが、急にできましたので」
キラの問いに対しマルキオはそう答えてから
「わたしの用事があるたびに、わざわざ付き添っていただいてありがとうございます、カリダさん」
隣に座るカリダにむけて謝辞の言葉と共に軽く一礼する。
「あ、いえ。そんな畏まらないでくださいな。で、キラとラクスさん、お留守番ちゃんとお願いね。明後日の午前中には帰ってくるから」
「あ、はい」
「わかってるよ。じゃあ、明日は勉強はお休みだね」
「え、まじで!?」
「うん。でもそのかわり、午前はみんなでお掃除とお片付けだからね」
「え!?どうしてー!?」
勉強がお休みと聞いて嬉しそうに歓声をあげていた子供達は、途端に文句を言いはじめる。
「あの二人だって一応お客さんってことになるんだから、そういうのはちゃんとしておかないと駄目だよ」
「めんどくせー!カガリだったらちょっと散らかってたりしてても、いちいち気にしないよ!」
「はいはい、勝手なこと言わないの」
とそのまままた子供達と談笑を始めたキラを
「…」
(キラ…)
ラクスは食事中ずっと顔を赤らめたまま黙って見つめていた。
夜も深まり
「ふー…やっぱり駄目だな…さっぱりわからない…」
夕食後、自室にずっとこもってパソコンで何か調べ物をしていたキラは、ディスプレイを眺めながら一人呟いた。
「結局アスランに見てもらわなきゃ駄目ってことだな…まあ、あと一日で今更何かできるとは思っていなかったけど…」
などと溜息をつきながら時計を見ると…かなりの遅くの時間だ。
このように、キラには一度何かに没頭するとつい時間を忘れてしまうところがあった。
「…と、サイトの更新とかもちゃんとしておかないと」
キラはヘリオポリスの学生時代から、得意のプログラミングの技術を生かして、自ら独自のホームページを開いていて、色んな情報を掲載
したり多種多様な自作のソフトをシェアウェアとして公開したりしていた。
そうした分野にかけてはずば抜けた技量をもつキラによるそのサイトはウェブの世界でもきわめて評判がよく、アクセス数やソフトの使用者数
もそうとうのものを記録し、そこから得られる広告料やソフトの使用料などの収入はなかなかの額で、彼のちょっとした小遣い稼ぎになっていた。
もちろん、先の戦争中はそのサイトの更新は途絶えていたのだが、最近になってキラはまたそのサイトに力を入れ始めていた。
同時にウェブ上でプログラミング関係のバイトなどもするようになった。
目的はやはり金銭収入を得ることであり、それをこの伝道所の維持費の足しにしていたのだ。
この伝道所を支える主な収入源である、各所からの寄付金やアスハ家の特別の好意による援助金などに比べれば小さい額だが、それでも
キラが前以上にそうした活動も力を入れていた結果かなりの金額になっていて、キラが稼いだその金銭をもとに、子供達のために勉強道具
やサッカーボールなどの遊具を買い揃えることが出来るようになったのは、この伝道所にとって大きなプラスであった。
またここから得られる収入によって、キラは何か私用で必要になったものを通販などで取り寄せることができたし、また化粧品や本などのラ
クスの私物の購入費にもなっていた。
はじめラクスは
『そんな…キラが、頑張ってお稼ぎになられたお金なのに…いいんですか?』
と遠慮がちに言ったが、キラが
『ボクは子供達の勉強をみるだけだからあんまり大変じゃないけど、ラクスは母さんと二人だけで毎日家事大変でしょ?だからそのお給料程度に思ってよ』
と言ったことで、結局キラの好意を受け入れることになった。
さて、そんなわけでいまや毎日欠かさずしている自サイトの掲示板・メールのチェック、更新やバイトの手続きなどをおえ、パソコンの電源をおとす。
そして、キラは調べ物に夢中になっていて、うっかりあることに忘れていたことに気づく。
「あ!そういえばお風呂入ってないや。急がないと」
急いで入浴の仕度をしてから、キラは部屋を出た。
(う〜ん…やっぱりみんなもう寝ちゃってるなあ)
静寂が支配する暗い廊下をキラはバスルームへと向かって歩いていく。
(そういえば、なんか晩御飯のときのラクスの様子は変だったなあ。ボクのほうを心配そうに見てたと思ったら…ちょっとしたら急に顔を赤くしはじめて…どうしたんだろう)
なんてことを考えながら、キラがバスルームへと続く脱衣所の扉の前に到着し
カチャ
そのままその扉を開けると
「え……………………?きゃっ!!!!!!!!」
「え!!!???」
中には………………下着姿の一人の女性がいた。
「ラ、ラクス!?」
「え…あ…あ、あの!!!」
ラクスは慌てて脱いだばかりのワンピースで前を隠す。
「あ、ご、ごめん!」
キラも急いで扉を閉めて、その扉に背中で寄りかかる。
そして扉越しに
「ご、ごめんね…ラクス!」
とにかく彼女に謝る。
『い、いえ…』
向こう側からくぐもったラクスの声が聞こえる。
「ま、まだ…お風呂入ってなかったんだ…」
『は、はい…本を読んでいたら…つい遅くなっちゃって…』
「そ、そっか…」
『あの…』
「うん、ごめん!ボクもまだ入ってなくてさ」
『そ、そうですか』
「ご、ごめんね!あの…ボク…部屋で待ってるからさ…お風呂から出たら軽くノックしに来てくれないかな…?」
『あ…は、はい…』
(す、少しだけ…み、みちゃった…ラクスの下着姿…き、綺麗だったなあ…ってボクは何を考えてんだ、このスケベ!)
一瞬芽生えた自分の煩悩を心の中で叱咤してから
「じゃあ…ほんとにごめんね!」
その言葉を残してキラは冷や汗をかきながら、逃げるように自室へと戻っていった。
(キラに…一瞬だけど…見られちゃいましたわ)
脱衣所のラクスはしばらく脱いだばかりのワンピースを抱えながら呆然と立ちすくんでいた。
そして、その色白の顔は見る間に赤くなっていく。
(や、やだ…なんかすごく…恥ずかしい)
以前だったらラクスはこういうことにはどうも無頓着で無防備なところがあった。
キラに連れられてアークエンジェルから脱出しようとした時、キラの前でも平然とドレスのスカート部分を脱いだりしたものだった。
しかし、キラを男性として意識するようになってからは、ラクスも女性としての自分を強く意識するようになっていた。
特に、今は昼間のことがあったせいか…妙に意識してしまう。
(……………と、とにかくキラがお待ちしてるんですから…は、はやく入りましょう)
いまだ奇妙な胸の高まりを感じつつ、ラクスは下着を脱いで、トレードマークの髪飾りも外してから、バスセットをもってバスルームへと入っていく。
(なんだか気まずいなー…)
そんなことを考えながら、部屋の中を意味もなく歩き回り、ラクスが風呂からあがるのを待つキラ。
(でも…ラクス…………本当に綺麗だったなあ)
ふと動きを止め、先程一瞬だけ見えたラクスの下着姿を回想する。
(スタイルもすごく良くてモデルみたいで、肌も真っ白で…)
回想しているうちに彼のある部分に、血が集まりはじめていた。
(今までは特に意識してなかったけど、そもそも顔もめちゃくちゃ美人だし。考えてみたらラクスってプラント一の歌姫だったんだもんなあ。ルッ
クスが人よりずば抜けているのはある意味当たり前か…)
そんなことを考えていると、ふとキラの目に机の上に置いたティッシュ箱が映る。
「…」
それを見つめながら、彼が何やら考えごとをしていると
コン コン
『あのキラ…』
ノックの後に、扉の向こうからくぐもった声が聞こえる。
ラクスだ。
「うわ!あ、あ、あ、もうあがった?」
不埒なことを考えていたときに声をかけられ、ついドキリとしてしまったが、キラはできるだけいつもどおりの口調で返事する。
『あ、はい…』
「じゃあ…」
とキラが先程のことを、ラクスの顔を見て改めて謝るために
カチャ
ドアノブを握って扉を開けようとすると
バン!
「…え?」
突然物凄い力でそれを押し返された。
『あ、あのキラ!!!』
「え、え、え?」
『だめ!!!ドア、開けないでください!!!』
「え!?あ、もしかしてラクス、バ、バスタオル巻いただけでここに来ちゃったとか!?」
ラクスの思わぬ反応に驚きつつ、キラがそんなことを尋ねるとと
『い、いえ!!!もうちゃんとパジャマには着替えてますわ!!!』
「…え…?」
(じゃあ…どうして………もしかして…さっきのことがまだ恥ずかしくて、まだ顔合わせらんないのかな…?)
『で、でも…今すぐにはドア、開けないでください!お願いします!』
(だ、だめ…お風呂あがりで今はお化粧してないから…キ、キラにすっぴん見られちゃう…)
「…」
『…』
少しの間、奇妙な沈黙が二人のもとに訪れ
「わ、わかったよ…ドア、開けないから…」
『あ、はい…あ、あの…わたくしこのまま急いで部屋に戻りますから、30秒くらいしてからお開けになってください…』
「あ、このままもう寝ちゃうの?」
『はい…』
「…わかった。じゃあさ、扉越しでちょっとあれだけど、改めて…さっきはごめんね」
扉に遮られて目には映らないラクスに向かって、キラは頭を下げながらそう言った。
『あ、いえ…もう気にしてはいませんわ、わたくしは』
直前の異様に慌てふためいていたラクスの声も落ち着きを取り戻し、いつもどおりの穏やかな彼女の声がキラの耳に届く。
その声色からして、ラクスはきっとまたいつもの微笑みを浮かべて立っているのだろう、とキラは想像し安堵の溜息をついた。
「うん、今度からは気をつけるね。ほんとうにごめん」
『あ、はい…』
(そんなに謝らなくてもよろしいですわ…は、恥ずかしいのは確かですけど、キラでしたらわたくしは…でも…)
『キラ』
「ん?」
(わたくしもカリダお義母様とのお話のことを変に意識するのはもういけませんね。今のことも含めて、とりあえずはもう全部気にしないようにしましょう)
『このことは、お互いもう水に流しましょう。ね?』
ラクスのそんな優しい声と言葉。
そのおかげで、キラにも一応の区切りがつき
「うん、わかった。ラクスはもう寝るんだよね?」
穏やかな声色で、扉越しのラクスにそう言葉をかける。
『あ、はい』
「じゃあ、おやすみ。ボクはお風呂入ってから寝るよ」
『あ、はい。じゃ、じゃあ30秒してから…』
「わかってるよ」
『お風呂、お待たせしてごめんなさいね』
「別に気にしないでいいよ」
『はい。じゃあ、お先に失礼します、キラ』
「うん。おやすみ」
………
カチャ
言われたとおり、30秒くらいしてからキラが扉を開けると、廊下にはラクスの姿はもうなかった
すでに自室に戻ったのだろう。
(それにしても…さっきのラクスは変だったなあ。なんか、お風呂あがりのとこを見られたくないみたいな感じだったなあ。別にラクスのパジャマ
姿は何回も見たことあるんだけど…)
などということを考えつつ
(でも下着姿は今まで一度も…って、お互い水に流すって約束だろ!?何、また思い出してんだよ、ボクの馬鹿!!!)
忘れようとしてもどうしても蘇ってきてしまうイメージを追い払おうと必死で頭を横に振りながら、キラは悶々とした気分で自分のバスセットを持
ってバスルームへと向かった。
少しして
「はあ…はあ…」
場面は戻って、ここはキラの自室。
風呂からあがったキラは、自分のベッドの上で、ある行為に耽っていた。
ずばり…………………自慰だ。
「はあ…く!」
まだ精神的に色々と抱えている彼だが、それでも健全な十代の体に性欲とはどんどんたまるもので、我慢がきかなくなると、こうして自分の手で処理していた。
「はあ…はあ…ラクス!」
キラは無意識のうちにその女性の名前を呼んでいた。
「ラクス…ラクス…!」
自慰を始めたときから自然と頭の中に浮かんでいた女性。
というより…先程の事件こそがキラをこの行為へと至らせた原因だった。
ラクスとの約束どおり、先程のことはもう忘れようと心がけていたキラだったが…なぜかどうしても忘れることができず、気がついたら彼は下半
身が命ずるままに今の行為へと至っていた。
「ラクス…綺麗だよ!ああ…!」
一瞬だけ見た下着姿の向うに隠されたその人の裸体、肌の感触を想像しながら、己の性器を右手で刺激するキラ。
「あく…ボク、そろそろ…ああ、ラクス…好きだよ!…ラクス、大好きだ!……………ああ、イク!!!」
ドピュッッッドピュドピュッ!
そして、左手に持っていたティッシュに向けて精を吐き出す。
「はあ…はあ……………………………………くそ!!!」
ボス!!!
欲望を吐き出した後の軽い気だるさの中、ティッシュの中に放たれた精を見て、キラは…思わず自分の枕を殴りつける。
(ボクは…何をやってるんだ!お互い水に流すってさっき約束したのに…どうして…!)
大切な人…互いを信頼し同じ夢に向かって共に戦った人…傷ついた自分をずっと支えてきてくれた人…今も自分を支えてくれている人…その
人を己の肉欲処理の道具になんかしたことが、キラに自分自身への怨嗟をうむ。
ましてや、その人との約束を破ってまで…それも考えると、キラはどうしようもなく自分自身が憎くなった。
(ごめん、ラクス……また、きみのこと…汚しちゃった…)
実は、ラクスのことを想いながらの自慰は今回が初めてではなかった。
先の大戦以降キラは何度か自慰をしてきたわけだが、その際にキラの頭を支配するのは…いつもきまってラクスの姿だったのだ。
そんなことは何とかやめようとキラも思っていた。
彼女は自分のことをもっと純粋な気持ちで慕ってくれているはずだ。そんな彼女を、こんな風に利用するのは、その思いを裏切るに等しい。
だが今がまさにそうであったように、キラは自分の行為を止めることができずにいた。
(フレイが死んだから…今一番近くにいる女の子はラクスだから…だからラクスを利用しているって言うのか、ボクは?くそ!最低じゃないか!)
自分が初めて女性として本格的に意識した人。かつて…情事を共にした人。
その人は…もう、いない。
だから……………ラクスなのか?
己の肉欲を処理する道具となる人なら…フレイだろうと、ラクスだろうと…関係ないというのか?
たとえ、一人の人間として自分を純粋に信頼してくれて、また自分も一人の人間として純粋に信頼している人でも構わないというのか?
いつの間にかキラは…涙を流していた。
「ラクス…ごめん…ごめん…ご…めん…」
やり場のない自己嫌悪と罪悪感の中で、キラはひたすら独り言の中でラクスに謝る。
この時、彼は気づいていなかった。
達する直前に、無意識のまま発した自分の言葉に…
『ラクス…好きだよ!…ラクス、大好きだ!』
翌日の午後
「よう!キラ、ラクス!」
「元気だったか、二人とも」
「アスラン、カガリさん!」
「いらっしゃい。なんだか久しぶりだね」
キラ達のもとにお待ちかねの客人達がやって来た。カガリとアスランだ。
カガリはプライベートのときは最近よく着ている、緑を基調とした民族衣装のような独特の服装。
アスランは、緑のシャツの上に黒のジャケット、下は紺のジーパンというカジュアルな格好。こちらも彼の普段の格好だ。
戦後、カガリは父、ウズミ・ナラ・アスハの跡をついでオーブ連合首長国の代表首長に就任した。
「オーブの獅子」として名高いウズミの愛娘であり、先の大戦において、対地球連合防衛戦では直接指揮をとり、その後もクサナギに乗って前
線で戦いヤキン・ドゥーエ攻防戦の際には自らもMSパイロットとして活躍したカガリは、戦後英雄として人々に信奉され、その凛々しくそれで
いて愛らしさもある美しい容姿も相まって、オーブ国民の間で多大な人気を集め、その支持と信頼に推される形で代表首長の座へとついたのだ。
が、それはあくまで表面的なことにすぎない。
ウズミとその近しい者達は、先の地球連合の侵略に際にオーブの理念に殉じ、その他の生き残った者たちも、国内に戦禍を招いた責任をと
って政治の場から下がっていた。
結果、今のオーブ政府は、理想主義者であったウズミとは対照的に、とにかくどんな手段を講じてでも自国の安全を最優先にすべしと考える
現実主義者によって占められている。
そんな彼らにとって、カガリの存在は非常に都合が良かった。
所詮は十代の小娘に過ぎなく、しかもウズミ達がいない今は後ろ盾など無いに等しい。
それでいて国民の人気は高いのだから、傀儡の代表として担いだ上で彼女をうまく利用すれば国を自分達の望む方向性に思い通りに持っていける。
もちろん、カガリはそれを黙って受け入れる人ではない。
政府内で孤立する中でもウズミからそして先の大戦での経験から学んだ己の信念にもとづいて、戦後復興に力を注ぎつつも国のあるべき姿
を必死に説き、いまだ様々な火種が世界に残る中でも大きな犠牲の果てに何とか手に入れた平和を守るべく、オーブの中立を頑として貫き
つつ積極的に他国へ向け働きかけている。
正直言って政治家としてのカガリの力量はかなり未熟である。彼女の唱える主張も、残念だがただの理想論に過ぎない部分は多い。
それでも、カガリはカガリなりの信念にもとづいて日々奮闘していた。
そんなカガリの一番そばで彼女をサポートしているのが、アスランだ。
といっても、戦後は戦犯扱いをされているパトリック・ザラの息子であり、また所詮は余所者、しかも脱走兵である彼に、何らかの実権が与え
られるはずも無く、サポートといってもボディガード程度のことしかできず、しかも公式の場では「アレックス・ディノ」と偽名を名乗らざるを得なく
なっている。
それでもアスランは耐える。
正直まだ力不足が否めずまたほぼ孤立無援の状況に置かれているカガリを、そのそばから支えてあげる人がまずはいることが、カガリのた
め、そしてひいてはオーブのため、世界の平和のためになるとアスランは信じているから。
そんな風にして、何かと問題が山積みの情勢の中で頼るべく人もなく、ただ自分達の力だけで自分達の、そしてオーブの理念を貫こうと、毎日
必死で働いている二人にとって、こうしてキラとラクス―二人にとってかけがえの無い友人―のもとを訪れるこの一時は、心癒される大切な時間である。
もちろん、キラとラクスにとってもそれは同じことだ。
「やあ、ラクス。元気だったか?」
「はい!なんだかすごくお久しぶりって感じがしますね、カガリさん。最近はまたお忙しくなったみたいで、大変ですわね」
「まあな。朝から晩まで仕事続きでしかもそれが毎日毎日で大変だよ。代表首長というものがこんなに大変だったなんてなあ…それも知らず
お父様に我侭ばっか言ってた自分が恥ずかしいよ」
笑いながら言葉を交わし、再会の一時を楽しむラクスとカガリ。
奔放で活発なカガリ。しとやかでおっとりしているラクス。
まるで正反対な二人だが、逆にそこが気の合う由縁となっているらしく、今では互いに良き友人同士となっている。
特にラクスにとって、カガリはこうして正面から話し合える初めての同姓同年代の友人であり、日頃から電話を通したりしてやりとりもしている
が、やはりこうして二人で直接会って時間を共有するのが、ラクスの一番の楽しみだった。
談笑に興じるそんな二人を、キラは微笑ましく思いながら眺めていた。
常ににこやかで誰に対しても分け隔てなく優しく接し、温かな包容力を感じさせラクスだが、その反面意外と他人に対して警戒心が強いところ
があり、キラ以外の人間には…あまり心や感情を開けっ広げにしないという一面が実はあった。
そんなラクスに、こうして正面から対等に話し合える友人ができたことは、キラにとって喜ばしいことだった。
(カガリって誰に対しても、正直でストレートだもんなあ。ボクにもアスランにも。そんなカガリだから、こうしてラクスにとってもいいお友達になれたんだろうなあ)
「ん?なんだよ変な目でこっち見て!気持ち悪いな!」
元気溌剌とした笑顔で続いてキラの肩をバンバンと叩きながら声をかけるカガリ。
「いたっ…って…もう…カガリは乱暴だな」
「はは。元気だったか?」
横にいるアスランも「よっ」と軽く手をあげて短く挨拶する。
「うん。カガリもアスランも元気そうで」
「当然だ!」
「トリィー!」
キラの言葉と同時に、昔アスランがキラにおくったトリィ―二人の友情の証―がキラの右肩にとまる。
それを温かな目でみるアスラン。
こうしてアスランと穏やかに向かい合える時のことを思うと…かつて本気で殺し合ったのが嘘みたいだな、とついキラは思ってしまった。
「そういえばマルキオさま達は?」
カガリが尋ねると
「あ、マルキオさまはなんか本島の方に用事ができたとかで明日まで戻らないんだ。母さんはその付き添い」
「そっか」
「あ、もう来てたんだー!」
子供達が二人の到着に気づいて玄関のところまでやって来る。
「カガリー!なんで最近来なくなっちゃったのー!?」
「そうだよ!つまんねえ!アスランも!」
「ちがうよ、『アレックス』だよ!」
「はは、いいよ俺のことはここでは『アスラン』で」
「悪い、悪い。最近は忙しくてな」
カガリ達の周りに子供達が群がっていく。相手の一人は代表首長だというのに、子供達は遠慮も礼儀も知らない。
もちろん、カガリはそんなことを気にするような人間ではないが。
「でも今日は夕食も一緒にできるから安心しろ!」
「ほんと!?」
「ああ」
「じゃあさ、サッカーしようぜ!俺今日こそカガリに勝ってやる!」
「お、いいなあ。じゃあ外に行ってやろうか!」
「え?でも、カガリさん…それではお洋服が…」
「はは、安心しろ、ラクス。こんなこともあろうかとちゃ〜んと運動用の着替えはもってきてあるから」
といって手持ちのスポーツバックを掲げるカガリ。
彼女が着ている民族衣装じみた服装とはなんとも不似合いなバックだが…そこがカガリらしいといえばカガリらしい。
「そうですか」
「ほらラクスもいくぞ!」
「え、わたくしが?」
「ああ!ほらさっさと着替えて!ウェアは二着あるから一着かしてやるよ!そのワンピースのままじゃ無理だろ?」
「え、でも…」
「いいのかよーカガリ!ラクス姉ちゃん、意外と運動神経良いから手強いぜー!」
「望むところだ!ほらラクス!」
「え、あの…」
ラクスがちらりとキラとアスランの方をみやる。
それをみてキラはラクスが言いたいことがわかった。
「いいよ、ラクス。いっておいで。ハロはアスランに任せて」
「ん?キラ、なんかいったか?」
「うん。これ」
キラが懐から何かを取り出す。
「テヤン…テ…テ…テカガ…ラ…ク」
そこに出てきたのは、まったく意味不明な言葉を発しながら、時折プスプスと嫌な音を立てている…ラクスのピンクのハロだった。
「あ、あの…その…つまり…ピンクちゃんが…壊れちゃったんです」
ラクスの方から気まずそうに告白する。
「…ああ、そういえばキラがラクスのハロが壊れたとかメールで言ってたな」
「アスラン、忘れてたの?」
「い、いや…忘れてたって言うか…いやまあ………じゃ、どれどれ…」
アスランはごまかすように笑いながらキラからハロを受け取り、手にとって少しその様子をさぐる。
「ああ…これはキラが言ってたとおり、音声回路も動力部もだめになってるなあ。でも直せるよ。それも今日中に」
「え、ほんとですか!?」
それをきいて、途端に嬉しそうに目を輝かせるラクス。
「ああ。ただちょっと時間もかかるし、道具も色々必要になるなあ。キラ、お前の部屋に工具類あるだろ?借りたいんだが」
「うん。わかってるよ。じゃ、こっち」
「え、でもそんな…」
一転して、ラクスは少し遠慮がちに声をだす。
忙しいなかせっかく来てくれたアスランに、こんな手間をかけさせては悪いとも思ったのだ。
そんなラクスに対してアスランが「構わないよ」といおうとした瞬間…
「いいんだよ、ラクス!アスランなんかこき使ってやれば!わたしが許す!」
カガリが笑いながら、そんなことをいう。
「え、あの…」
「ほらほら、こっちいって早く着替えよう!みんな待ってるんだぞ!」
「え、でも…」
カガリに腕を引っ張られながらラクスが戸惑いつつ、またキラとアスランの方へと目をやる。
キラは、カガリの言葉にやれやれと溜息をついてるアスランの横で、手を振ってラクスに「行っておいで」と合図する。
それをうけてラクスは、両手を顔の前であわせてキラとアスランに「ごめんなさい」と言ってから、結局カガリと子供達とともに奥の部屋へと着替えに行った。
キラの肩に止まっていたトリィもそれに続く。
一方で、キラとアスランはキラの自室へと入った。
アスランはキラに促されて、ベッドに腰掛ける。
「じゃ、キラ。そこにある工具類はとりあえずもう全部だしてくれ」
「うん。はい」
キラは部屋の奥の棚から、言われたとおり工具類をあらかた出してアスランに渡す。
それをうけて、ジャケットを脱いでハンガーにかけてからさっそく作業に入るアスラン。
それからキラは部屋を出て、アスランと自分の分の紅茶を用意してくる。
本格的な紅茶党であるラクスと違い、インスタントのものしか用意できないが。
途中、着替え終わり外へ向かうカガリ達とでくわし、一言声を掛け合ってから、また自室にもどる。
すると、アスランはハロを分解するところまではほとんど済ましていた。
「はい」
「ああ、サンキュ…ん……そういえば、お前トリィの方は大丈夫なのか?」
「うん、全然平気。今もラクス達のところに元気についていってるみたいだよ」
「そっか。じゃあハロだけでいいんだな」
「うん、お願い」
「ああ…まずは、と」
ベッドの隣にあるアスランのすぐ横のテーブルにキラが置いた、カップに入った紅茶を一口飲んでから、アスランはまた作業を続ける。
外から元気にはしゃぐ子供達の声が聞こえてくる。
「わざわざありがとね、アスラン」
キラは椅子をアスランの斜め前に置いてからそこに腰掛けて、アスランへと感謝の言葉をおくる。
「礼なんていらないよ。てゆうか、なんでお前が礼をいうんだ?」
とニヤニヤしながらアスランはいう。キラと言葉を交わしながらも手は休めない。
「え…だって、アスランがせっかくきてくれたところに…」
「そういうことじゃないよ。これはラクスのハロだろ?ラクスはともかく、なんでお前が礼を言うんだって聞いてんだ」
「え?それは…だって、ラクスのハロをわざわざ直してくれるんだから…ボクからもやっぱりお礼言わないと…」
と、さもそれが当然であるかのようにキラは返す。
「はは、キラ。あんまり答えになってないぞ」
「そ、そうかな…?」
「ああ…………………ま、お前がそう思ってるんなら、今はまだそれでいいがな」
ちょっと呆れたように軽く笑いながら、アスランはそこで話題を締めくくった。
「…?」
キラはアスランの言いたいことがどうもよく掴めず、きょとんとしている。
(まったく…相変わらず「抜けてる」なキラは……………ま、この二人は今は焦らなくてもまだいいんだろうけどな)
とそんなことを考えながら、アスランはハロを手際よく修理していくが…
「えっとなんだこれ…?こんな回線のつなげ方は俺はしないのに…って、キラ、お前!」
突然、アスランが声を荒げて非難の目でキラをみる。
「え、え、な、なに?」
「みろ!ここの回路、ショートしてるじゃないか!勝手にいじったろ!?」
「あ、そこは…う、うん…ちょっと」
申し訳なさそうに告白するキラ。
「だからメールで言ったろうが!電力系統の部分ならともかく、ここは複雑だから変にいじると余計おかしくなるからやめろ、って!
で、実際おかしくなってるし!そもそも最初からいったろ!?何もいじらないで待っとけ、て!」
「あ、うん。でも…ほらラクスがかわいそうだったし…アスラン、いつ来られるかわかんないじゃん」
「それはそうだが…昔からお前はこういう分野のことは苦手なんだから、こうなったらもう諦めるしかないだろ」
「う、うん…そうだね。ご、ごめん…」
「ふ〜…ま、いいよ。この程度ならまだ何とかできるから。次からは気をつけろよ」
「う、うん…」
カチャカチャ
しばらく、アスランの作業する音だけが響く。
ふと子供達と戯れる、カガリの元気な笑い声が聞こえてくる。
「カガリ…元気そう、てゆうか元気すぎな感じもするけど…よかったね」
「ああ。普段の仕事はストレスがたまるようなことの連続だからな。その分、あんな感じで出るんだろ」
アスランはまるでカガリの保護者であるかのような口調で顔に温かいものを浮かべながら返す。
「そっか…」
「こうしてお前達のところにくるのは、カガリにとっては…ほんとにいい骨休めになる時間だよ。もちろん俺にとってもだけど」
「…………………最近、こっちに全然来られなくなっちゃったね…」
少し声を暗くするキラ。
「そうだな。カガリの頑張りや他の首長達の尽力もあって、国内の復興のめどはだいぶたってきたが、まだ色々と情勢が不安定だし、問題も山積みだからな」
カチャカチャとハロを手際よく弄くりながら、アスランも少し暗い調子で返す。
「大西洋連合との…通商協定のこととか?」
「ああ。表のルートからも、裏のルートからも…あっちは圧力を仕掛けてきて、何かとこっちに無理難題をふっかけてくるんだ」
「そう…なんだ」
「むこうも必死なんだろ。先の大戦で受けた打撃を何とか取り戻そうと。それはそれでいいんだが…他国に変なちょっかいを出す前にまずは
自国内の問題解決を急ぐ方が普通だと俺は思うんだがな」
うんざりしたような感じでため息をつきつつ、アスランはそんな言葉をこぼした。
キラはそんなアスランに対して…何か中身のある言葉をかけることもできず、ただ紅茶を啜りながら俯くことしかできなかった。
その後、アスランは作業をしながらも、ニュースでは報道されえないその他のオーブ政府内部のことや世界の情勢のことなどを色々キラに知らせてやった。
「―――――――――――――――――こんなとこかな。今のオーブが置かれている状況は」
「…大変だね、まだ色々と」
「ま、カガリも俺も全部を把握してるわけじゃないんだがな」
「そうなの?」
「ああ。特に外交問題は宰相のウナト・エマが好き勝手に取り仕切っていて、カガリのところまで報告が届かない事項が少なからずあるからな」
「そんな…カガリは代表首長なのに…」
「そうだ。まだ力不足だからウナトらに頼らなければやっていけないのは事実だが…それでも代表にはどんな件でも随時報告するのが筋ってもんだ。なのにあいつらは…!」
苦虫を噛み潰したような顔で、アスランは吐き捨てた。
「彼らだって国のことを考えてのことだろうし、実際彼らの尽力があったからこそ国内の復興も信じられないくらいに順調に進んできたんだが……だからといって、こんなやり方…カガリはあいつらの操り人形になるために代表になったわけじゃない!」
「アスラン…」
ウナト達の唱える方針―たとえば、オーブは今後政治・経済のあらゆる面で大西洋連合と親密に連携していく、といったもの―は、理にかなった施策である。
そして、一方のカガリの唱える方針―オーブは軍事的にはもちろん、政治・経済などでも他国と必要以上には接近しない。ただどの国とも等し
く友好的に対話するのみ―は、あまりにも極端な綺麗ごと過ぎると…アスランでさえも感じてしまうことは確かにある。
現実問題として、いまだ世界には戦禍の傷跡が残っている。他国に比べ異常なスピードで復興が進んでいるオーブとて例外ではない。
何よりも、ナチュラルとコーディネイターの軋轢はいまだ根強い。
そんな中、ひたむきにオーブの理念を追求しようとするカガリの主張は、現実味に欠けた理想論かもしれない。
10代の小娘が、その高が知れている人生経験からのみ導き出した愚かで未熟な主張かもしれない。
それでも、アスランはカガリを信じていたのだ。
カガリが唱える理想の先にこそ、彼が望むみんなが平和に暮らせる世界が訪れる、と。
そう信じるにたる何かが、そこにはあった。
それだけでなく、アスラン個人がカガリという人に抱く特別な想いもある。
ゆえに、彼はカガリの理想をないがしらにする者達に、そこにどんなに理路整然とした考えがあっても、理屈を超えたところで苛立ちを感じてしまうのだ。
キラはまた、ただ俯いてそんなアスランの言葉を聞いていた。今の自分が、アスランに、カガリに何かしらうまい言葉をかけることなど…できないから。
「…キラ、焦んなくてもいいぞ」
そんなキラをみて、アスランは一転して穏やかな口調で話し掛ける。
「え?」
「お前にはまだ…時間が必要なんだ。心を落ち着かせて、整理させる時間が…」
「…」
「大丈夫だ。カガリも正直まだまだ未熟でわかんないことだらけだし、俺もできることなんて限られているが…少なくとももう二度とあんな戦いが起きないようには…がんばってみせるさ」
「あ、うん。でも…」
「ん?」
「やっぱりさ、いつも思うんだ。何でボクはこんなことをしてるんだろ、って。ボク一人だけ、こんな周りに甘えちゃって…」
そういってキラは、己だけのうのうと平穏にくらしている自身を嫌悪するように拳を握り締める。
オーブのそして世界の平和のことを考えたとき、カガリとアスランが今必死になって成そうとしていることは…正しいことではないのかもしれない。
馬鹿げたことなのかもしれない。
しかし、彼らの行動の根元には、またあんな戦いが起きないように、そして一人でも多くの人が平和に暮らせるように、という強い想いがあるのは揺るぎない事実だ。
「正しさ」などというものは所詮相対的なものでしかないのかもしれない。それでも彼らは彼らなりに自身の信じるものにもとづいて日々戦っているのだ。
先の大戦の時、何が正しいのかはその時もわかっていなかったが、自分だって彼らとともに自身の信じるものにもとづいて確かに戦っていた。
それなのに、今自分がしていることは一体何なのだ?
そんな歯がゆさがキラにはあった。
「キラ……………でも、仕方ないだろ?」
アスランはそんなキラを哀しそうにみていたが…すぐにはっきりとした口調でまた声をかけた。
「え?」
「まだ、お前は今の自分に何ができるのか…何をすべきなのか、それをわかってないんだから」
「…そうなんだけど」
そう。それは確かに…事実だった。
先の大戦で、自分達がしていたこと…それは本当に正しいことだったのか?
血塗られた道を歩んできたという誤魔化しようのない過去を背負っている自分が…これからできること、すべきことは何なのか?
いつだったかラクスに言われた、何があっても逃げないで生き抜いて、その上で成し遂げるべき戦いは、一体何なのか?
そもそも、こんな自分は果たしてこの世界に生きていて………。
そのことに対する何かしらの答えを、キラはまだ…見つけていない。
「だから変に焦るな。自分のすべきことも何もわからないまま、変に焦ったら…俺みたいになるぞ…」
アスランがまた少し声の調子を落として言った。
「え、どういう…こと?」
その言葉の意味をよく理解できなかったキラが問うと
「まきこまれた形でMSに乗ったお前と違い、俺は自分から軍に入った。あの時、ユニウスセブンがやられて…俺はプラントを守る為に何かを
しなくちゃいけないと思ったんだ。でも正直…何をすべきなのかはよくわからなかったんだ。そして、そのまま俺は…軍に入った」
「アスラン…」
「軍では…最初に核を撃ったナチュラルこそが絶対の悪だ、って上官も同僚もみんな言ってたよ。何よりも…父がそう言ってた。そして…俺も
いつのまにか、そんな風に思うようになった。ただ上からの命令に従って『悪いナチュラルども』を撃って撃って撃ちまくることこそが…自分の
すべきことなんだって…信じるようになった」
「…」
「結局、自分が何をすべきなのかを自分で考えることもせずに…ただ周りに流されてしまったんだ、俺は」
「…」
「でも、あの時さ…」
「?」
「お前と…殺り合った後さ………」
「…」
「カガリに…会ったんだ」
「…うん。カガリからも聞いてる」
「あの時さ、あいつ、キラは俺が殺した、って言ったら、泣きながら銃を向けてきたくせに…銃、撃たないで、代わりに言ったんだ…」
「何を?」
「『殺されたから殺して…殺したから殺されて…それでほんとに最後は平和になるのかよ!?』…って」
どこか照れくさそうに言ったアスラン。
彼はその時のことを思い出して思わず感慨のようなものが込み上げてきた。
憎しみの連鎖に陥っていた自分を正面から「それは間違っている」とはじめていってくれた人がいた。
何も疑わずただ殺し合う道を突き進んでいた自分を、そんな風にして正してくれた者達。
キラとラクス、そしてカガリ。
彼女らのことを思うと…いくら感謝してもしきれない。
「お前もそう、ラクスもそう、そして、カガリもそう…お前達のおかげで、自分のすべきことを自分で考えて、実行する道を俺はいくことができた」
「アスラン…」
(ラクスやカガリはともかく…ボクみたいな汚れた人間には君にお礼を言ってもらう資格なんかないのに………ボクみたいな「間違った」人間には…)
などということを考えながら、そんなアスランを眩しいものを見るかのようにキラは見つめた。
己の誤魔化しようのない過去を受け止めつつも…それに今の己が縛られるようなことにはならず、己の信じる道を行っているアスラン。
不甲斐無い今の自分とは…対照的だ。
「だが…」
「?」
急にアスランはまた声の調子を落として
「そんなのは所詮偶然だ。偶然、お前達がいたから…俺はぎりぎりのところで道を踏み外すことから逃れられたに過ぎないんだ」
「そんな…アスラン…」
ふとアスランは己の背負った業を思い出し、表情に翳りを見せる。
いまだに悩み続けていること。
自分の父…パトリック・ザラ。
『終わるさ!ナチュラルどもが全て滅びれば戦争は終わる!』
ナチュラルに対する憎しみしか最後には残っていなかった父。
自分は結局…父の心を変えることはできなかった。
だが…もしかしたら自分はもっと最悪の道をいっていたかもしれない。
もし最後の最後まで、何も疑わず、ただ周りと父に流されていたら自分は…「ザフトのアスラン・ザラ」として父がジェネシスの引き金をひく手伝いをしていたかもしれない。
そのことに対して、何か悪寒のようなものを感じつつも、今のアスランにはある迷いがあった。
それは、あの時自分が進んだ道はあれでよかったのか、ということだ。
たとえ自分の実の父であろうとも、信じるもののためにはそれも撃つ覚悟―結果的には自分が撃つ前に父は撃たれていのだが―で戦っていたあの時の自分は…正しかったのか?
あの時ただ黙っていたら、父がジェネシスを地球に放つのを見過ごすことになった。
ならば…確かに自分のしたことは間違ってはいないと思う。
でも…それでも…あの人は自分の父なのだ。
自分はそれを撃とうとしていたのだ。
それは果たして、人として正しいことなのか?
そのことに対する答えを、アスランはまだ見つけていない。
そもそも、自分がもっとはやくただ一人の人間「アスラン・ザラ」として父と向き合っていたら…父の暴走を食い止めることはできたのではないのだろうか?
カガリ達と出会う前に、もっとはやく自分の本当に進むべき道を見つけていればもしかしたらあんなことには…。
なのに、どうしてカガリ達と出会う前に、何も気づくことができなかったのか?
もはや手遅れになる前に、どうして自分は自分の信じる道を自分自身の力で見つけることができなかったのか?
そんな後悔と自己への嫌悪の念もまた、アスランはまだ断ち切れてない。
が、すぐにアスランは暗い表情を振り切り、力強い目をキラに向けて
「だから…お前は今は焦るな。自分が道を誤ったときにそれを指摘してくれる人がそばにいるとは限らないんだ。何かをする前には…まずは
自分で、自分のすべきことをじっくり考える時間が必要なんだ。俺みたいになるなとは…そういう意味だよ」
「…」
「自分で答えが見つかるまで…落ち着いて自分と向き合えばいいだろ?」
「…………………………ありがとう、アスラン」
「ん…」
キラの言葉に軽い笑みで返してから、また黙々と作業を始めるアスラン。
そんなアスランの姿を眺めながら、キラは思った。
昔から変わらない。昔から彼はそうだった。
同い年の親友同士なのにどうも彼の方が兄貴分なところがあり、自分が困ったり迷ったりしているときに助けの手をさしのばしてくれるのはいつも彼だった。
キラはこのときアスランに…彼という親友がいることに…素直に感謝の念を抱いた。
しばらくして
キラとアスランが部屋を出ると、外から戻ってきて、すでにもとの普段着に着替え終わっていたカガリ達がダイニングルームにいた。
アスランは修理が終わったハロをラクスに手渡す。
カガリは子供達と笑いながら話をしている。
「ほら、ラクス。どうにか直ったよ」
「ハロ!ハロ!ラクス!」
「まあ!すごいですわね、アスラン!」
自分の大切な友人が元気を取り戻したことへの喜びから顔に満面の笑みを浮かべつつ、ラクスはアスランへ尊敬の眼差しを向けた。
「いやすごいっていうか…これ、つくったのは一応俺なんだから直せて当然というか…」
そう言って照れ笑いを浮かべるアスラン。
「いえ!ほんとにアスランは相変わらず魔法使いのようですわ!どうもありがとうございます」
ハロを手に持ちながら、律儀にお辞儀をするラクス。
「いや、いいよお礼なんて」
「いえいえ、ほんとにありがとうございます!ふふ、こんにちは、ピンクちゃん!元気になってよかったですね!」
「オマエモナー!」
子供のようにはしゃぎながらハロと戯れるラクスと、それを温かく見守るアスラン。
そんな二人を少し離れたところから見ていたキラの胸に…チクリとしたものが刺す。
(ボク…結局、足引っ張っただけだなあ…)
プラントにいた頃は話相手となる友人がほぼ皆無だったラクスにとって、ハロはかけがえの無い友人だった。
しかし、ある日キラとラクスが一緒に庭の掃除をしていたとき…
『キラ……ピンクちゃんが…ピンクちゃんが…』
掃除の最中ずっとトリィと一緒になって二人の周りを元気に動き回っていたハロが、突然動きを止め何も言葉を発しなくなってしまったのだ。
そのときの、今にも泣き出しそうだったラクスの顔。
それを放っておくことなど、キラにできるはずはなかった。
だから、自分なりに何とかそれを直してあげようとラクスに申し出た。
そして、アスランにメールで何度か質問をしたり(そのたびに「やめとけ」と止められたのだが)ウェブでその手の分野のページを検索したりし
て、それをもとにハロをいじって、あれこれと試行錯誤したのだ。
しかし、結果はアスランが先程指摘したとおり、余計調子を悪くさせてしまっただけとなり、最終的には
『一応ボクもまだがんばって見るけどさ、とりあえずボクの方からメールでアスランに、今度会うとき直してもらうよう言っといてあげるよ!』
という情けない台詞をラクスに対して言うこととなったのだ。
(アスランってホントになんでもできて…なんかすごいなあ…………………ラクス、すごく嬉しそうだ……………なんだよ、ボクだってボクなりに
頑張ったのに…アスランがやるとすぐに戻るなんて…ずるいじゃないか)
キラの中である黒い感情がふつふつと湧き出てくる。
(…だいたい二人ともあんなに楽しそうに話しちゃって…もう婚約は破棄されたはずだろ。あんまり親しくするのって…おかしいよ。
しかもアスラン、君にはカガリがいるじゃないか……………あ〜あ、こんなことになるんならハロの修理、アスランに頼まなくてよかった
かも…だいたい、ハロはアスランがラクスにプレゼントしたやつなんだよな…だったらボクが何かする筋合いはなかっ…………!!!???)
ここでキラは自分自身の心中のあり様に気づきぞっとした。
アスランに対する…嫉妬。
なんで自分はこんな感情をアスランに抱いているのだ!?
アスランは、さっきだって迷える自分に対して温かい助言を送ってくれた…頼れる大切な親友ではないか!?
それにラクスがこんなにも喜んでいるのは、他でもないアスランのおかげなのだ。
そして、下手に手をだして余計調子を悪くさせてしまったところをなんとか直してくれたのもアスランなのだ。
だったらアスランに送るべきものは当然感謝の想いである。
なのに何故こんな醜い感情を彼に向けるのだ!?
そもそもラクスは…別に自分のものではない。彼らの婚約に口出しする資格はもちろん、嫉妬する資格なんて…ないのだ。
(く…ボクは…なんで!?)
自分の中に渦巻く得体の知れない汚らしいものに気づき、キラは思わず苦しそうに顔を歪めて、胸を服の上から自分の手で掴んでいた。
「…………ラ…」
「く…!」
「キ…………ラ…」
「ぐ…!」
「キラ!」
「…え?」
キラが気がつくと…目の前に心配そうに顔を覗き込んでくるラクスがいた。
「どうなさいましたか?…どこか痛むのですか?」
「え…と…」
「おい、大丈夫かお前?」
アスランもキラの異変に気づき、彼の元へと歩み寄る。
「う、うん。大丈夫。最近夜更かしばっかりしてたから…実はちょっと今朝からだるかったんだ。昨日も遅かったし」
二人を安心させる為にすぐに笑顔をつくるキラ。
「そうなのか?」
「うん。でもまあ大丈夫だよ。今日は早めに寝ればいいだけだから」
「…まあ、それならいいんだが…………………………と、俺はちょっと…」
キラにまだ多少の疑念と心配を残しながらもアスランはそれ以上は追求せず、その場を去った。おそらくトイレにでも行ったのだろう。
「………キラ」
ラクスの方はそんなキラをまだ心配そうに見ていた。
確かにキラがこのところハロをキラなりに直す為に昼間手が空いてる時間のみならず、夜も毎晩遅くまで色々調べモノをしながら作業をして
いたのをラクスは実は知っていたが…キラの本心は別にあり、寝不足がどうのというのはただの誤魔化しであるということをはっきりと見抜いていたのだ。
「キラ」
「ん…なに?」
「本当に大丈夫ですか?」
キラを真正面から見据えて問いかける。
「あ…大丈夫だって。ほんとに!」
ラクスを安心させる為に、何とか笑顔で返すキラ。
「…本当ですか?」
「うん。そんなことより、ほ、ほら!そろそろ晩御飯の仕度、しないと!あんまり遅くなるとカガリもアスランも迷惑でしょ?」
「…わかりました」
ラクスはまだ納得はいってなかったが、とりあえずここでおさめて、夕食の支度をすべくカガリと子供達のところへと向かった。
(…ごめん、ラクス。いくらきみが相手でも…こんなこと…言うえないよ………ボク、こんな風に、ラクスに嘘をついて自分の気持ちをかくしたの…初めてかもな…)
理不尽な醜い感情を向けたアスランと、嘘をついて誤魔化したラクスへの罪悪感を抱えながら、キラもまた夕食の支度へと取り掛かった。
その日の夕食の席にて
「いただきまーす!」
キラ達は、アスランとカガリと共に楽しそうに夕食をとりはじめる。
今日のメニューはカレーとサラダだ。
「あ、こらマホ!」
アスランの右隣に座るカガリが突然声を荒げて、アスランの左隣に座っているマホの方を向いて
「え!?な、なに…」
「今アスランの皿にトマト入れようとしただろ?駄目だ!自分でちゃんと食え!」
「えー…で、でも…わたし、トマト嫌い…」
「駄目だ!」
ときつい口調でそう言う。
「カガリ、別にそれくらい俺は食えるから…」
そんなカガリに対してアスランがなだめるように言うと
「駄目だ!好き嫌いってのはなるべく早くから無くすようにしておかないといけないんだぞ!ほら、マホ、我慢してちゃんと食べなさい!」
「だって…嫌いなんだもん!」
カガリに対抗するようにマホも声を荒げる。
「嫌いって…ラクスは、料理がうまいんだから不味くないよ!だから食べてみなって!」
「サラダには料理の腕はあんまり関係ないよ!それにラクスお姉ちゃんは確かにお料理は上手だけど、わたしがトマト嫌いなのは変わんないもん!」
「お前なあ…」
「それに今日はカガリお姉ちゃんが手伝った分、きっといつもより不味くなってるし!」
「な!?そ、それはどういう意味だ!?」
「どういう意味もないもん!そのままの意味だもん!」
「お、お前ー!」
「わー!カガリお姉ちゃんがいじめるー!」
マホの言葉に逆上したカガリが椅子から立ち上げると、マホも立ち上がりそのままカガリから逃げるように走っていく。
それを追いかけるカガリ。
「こらー!わたしに謝れー!それとトマト食えー!」
「やーだ!!!」
そのまま追いかけっこを始める二人。
「おいカガリ、そんなに家の中で暴れたら…!」
アスランがそんなカガリをなだめるように声をかけるが
「こらー!」
「やーい!」
「マホ、がんばれ!昼間のサッカーの借りを返してやれー!」
「ちょ!?なんでお前達はあいつの味方なんだ!?」
まるで聞いていないカガリと、それを煽るようにはやしてたてる子供達。
「…ふ〜…まったくカガリは…」
そこでアスランはもう諦めて、皿の方を向き直ると
「それにしても、カガリが今も言ったとおり、ラクスは本当に料理が上手になったな」
カレーを一口食べてからアスランが向かい側に座るラクスに声をかける。
「あら、そうですか?」
それを聞いて嬉しそうな笑顔を見せるラクス。
「ああ」
「でもカレーなんて誰でもつくれますわよ?」
「そうかなあ?ルーの味付けとかすごく絶妙で、辛味と甘味が丁度いい具合だし、コクもあって本当に美味しいよ。誰にでも出せる味
じゃないよ、これは。まず俺だったらここまで美味しくはつくれない」
「ふふ。カリダお義母様に鍛えていただきましたし、キラがいっつもわたくしのつくったものの試食役に協力してくださいましたから。ねえ、キラ?」
とラクスが笑顔で隣に座るキラに声をかける。
「そうなのか、キラ?」
「あ、うん…」
今までずっと視線を下に向け黙々と食べていたキラだったが、二人に話しかけられると、顔をあげて笑顔で答える。
だがその笑顔はどこかぎごちない。
そして、彼は隣に座るラクスには一切目を向けようともせず、ただ正面のアスランをぼんやり見ていた。
「大変だったろ?ラクスの料理の試食は」
アスランもそんなキラの不自然な様子には気づいていたが、食事の席でいちいち追求しても仕方ないと思い、特にそのことにはふれず、続けて言葉をかける。
「あの、アスランそれはどういう意味ですか?」
ラクスがアスランのその言葉に不審そうに口を挟むと
「だって、ラクスの料理は………なあ…」
とアスランは気まずそうに苦笑いしながら返す。
「あの、アスラン。確かにわたくしは初めの頃は本当に下手っぴでしたけど…どうして、それをそんな決め付けるような言い方をなさるのです
か?ご覧になってもいないのに…」
ラクスが少し不機嫌そうにそう言うと
「…ラクス、覚えていないのか?」
「へ?」
「…プラントにいた頃さ、俺が君の家を訪ねたときに、たまたま『ロールキャベツが好きなんです』って言ったら…」
「………………あ…」
そう言われてラクスもやっと思い出したようだ。
「『でしたらわたくしが今からそれをつくって差し上げますわ!』なんて言い出してさ」
「あの、アスラン!」
ラクスが、その話は止めてくれとでも言うかのように彼に声をかけるが、アスランは意地悪な笑顔で言葉を続ける。
「なんかすごい自信ありげに言ってたから期待してたんだけど…まさか、キャベツを茹でるどころか切りもしないで、そのままの状態で…」
「あ、ですからその時は…」
ラクスは内心の動揺を抑えて努めて平静を保ちいつものようににこやかにアスランに言葉をかけるが、アスランは口を止めようとしない。
「挽肉をその中に突っ込んで、よりによってオーブンに…」
「あ、あの…」
「ラクス、あれは一体何をつくろうとしていたんだ?」
「あれはちょっと…まだわたくしも色々と未熟なところがありまして…」
「それだけじゃなくて、まだあるよな〜」
「え?」
「たとえばさ、その数日後に『こないだのリベンジですわ!』なんて言ってビーフシチューをつくったときは…」
「…あ!でもあれはけっこううまくいったはずでは?」
「何言ってるんだよ。マトモなのは見た目だけだったろ?味のほうは…」
「え?でも、アスランは確か『おいしいです』っておっしゃってませんでしたか?」
「いや、それはな………今だから正直に言うけど、俺アレ食わされたときは心の中ではラクスのことを少し恨んで…」
と二人がやりとりをしていると突然…
「アスラン!」
キラが少し大きめの声で口を挟んでくる。
「…え?あ、ああ…なんだ?」
いきなりのキラの言葉にアスランが少し困惑してると
「ご、ごめん…なんかご飯が喉に詰まった…み、水を…」
キラが空のコップを見せながら、アスランの目の前にある水の入った大きめのペットボトルを指差して言う。
「ん、わかったよ。大丈夫か?」
アスランがペットボトルを取ってから腕の伸ばしてキラに手渡すと、キラは水をコップに注いでからそれを急いで飲むと
「ごくん…うん、ありがとう」
「ああ」
「ところでさ、例のソフト、完成したよ」
キラが突然そんな話題を持ち出す。
「ん…あ、ああ!あれか!早いな!」
それを聞くとアスランが感心したように返す。
「うん。さっそくサイトの方にも公開したらさ、もうみんなバンバンダウンロードしてくれてさ、ユーザー登録も次々してくれて。すごい大好評だよ」
「そっかー。でもすごいな、キラ。こんなに早く完成するなんて」
「いや、まあね」
「それがあれば今出回ってる厄介なウイルスは、もう全部対処できるんだろ?」
「うん。ウイルスは発見次第すぐに駆除するし、ウイルスにやられたデータも修復してくれるよ」
「それさ、俺にくれないか?最近、変なのがくっついてるメールばっかり来てさ、うっかりウイルスついたの開いちゃって…
俺のパソコン大変なことになってるんだよ」
「うん、いいよ。じゃあ、後で制限解除のパスと一緒にロムで渡すよ。すぐに用意できるからさ」
「ああ、頼むよ。それにしてもキラは昔からそういうのは本当に得意だなー」
「はは」
「今お前がやってるサイトも、相変わらずすごいアクセス数なんだろ?」
「うん、毎日たくさんの人が来てくれるよ。公開してるソフトの人気もなかなかだし」
「俺、最近そこに行っていないんだよ」
「えー、どうしてさ?」
「いや、色々忙しくて。で、最近はどんな感じになってるんだ?」
「それがね、一昨日色々大幅に更新してさ―――――」
そのままパソコン関係の話で盛り上がる二人。
ラクスは、その会話から取り残され呆気にとられてそれを見ていた。
(わたくしの恥ずかしいお話が終わったのは良かったですけど…でも、キラ…なんだかさっきから様子が変です…)
とそんなことを思いながら、アスランと談笑するキラの横顔をラクスがじっと見ていると
ガシャン!!!
「ああー!カガリが花瓶割ったー!!!」
「わー!!!!ご、ごめん、ラクス!」
「…え、ああ、はいはい、今行きます!怪我はないですかー?」
夕食を終えて少しして
「じゃあな、みんな」
「カガリ、アスラン、今度はいつ来んの!?」
「できればまた近いうちに来るよ。な、アスラン」
「ああ」
「きっとだぞ!今日は連れて行くの忘れちゃったから、次こそは俺達が見つけた洞窟まで案内するからさ!」
「ああ、楽しみにしてるよ」
キラ達との夕食を終えたカガリとアスランは、本島に戻るべくチャーターのヘリに向かっていく。
それを見送るキラとラクスと、子供達。
「じゃ、キラもラクスも元気でな」
「それじゃ、また今度な、二人とも!」
「はい」
「うん。カガリもアスランも…がんばって…」
「ああ」
「ふん。お前なんかに言われなくてもわたし達は大丈夫だ!それよりも、お前の方が心配だぞ!」
「…え!?ちょ!?」
突然カガリがキラに近づいて右腕で彼の首根っこを掴み、彼の顔を自分の方へと力ずくで引き寄せる。
「な、カガリ!?」
「お前…しっかりしろよな」
周囲に聞かれたくないのか、少し小声で言うカガリ。
「え?」
「…変に焦ったりさ、自分の気持ちに嘘をついたりする必要はないけど………それでも…ラクスを悲しませるようなことだけは…あんまりするなよ」
「…は?」
「じゃあな!」
最後にそう言ってから、まだ何も訳もわからないといった様子できょとんしているキラを残して、カガリはアスランの待つヘリへと乗り込んでいく。
そして、そのままカガリとアスランを乗せてヘリは飛び立っていった。
「な、なんだったんだろ…」
(焦る?自分の気持ちに嘘を?なんのことだ…?ラクスを悲しませる…?少なくともボク自身は…そんなことするつもりはないんだけど…………ま、いっか)
結局深くは考えないことにしたキラ。
「キラ…どうかなさいました?」
(カガリさんってああやってキラにすぐ抱きついたりすることができて…うらやましい…とゆうか、ずるい………。だいたい、わたくしのこと応援し
てくださるのならそんなにキラとくっつくことはもうやめていただきたいです。いくら姉弟だからってそんなに…)
そんな風にカガリにちょっとしたヤキモチを妬きつつ、ラクスがキラに声をかけると
「…ん……………じゃあ、みんな戻ってはやく片付けよっか!お風呂もまだ入ってないし!」
「はーい!」
キラはラクスの問いかけには特に反応を示さず、そのまま彼女から逃げるようにして、そそくさと子供達を引き連れて伝道所の中へと戻っていく。
「キ、キラ…?」
肩透かしを食らったような気分になりついその場に取り残されてしまったラクス。
(キラ…やっぱりさっきからなんだか…)
「ラクス姉ちゃん、何してんだよー!」
「あ、はいはい!」
その晩
夜も深まり、子供達もみな寝静まった頃。
風呂からあがりいつもの寝巻きに着替えたキラは真っ暗の自室のベッドの上で寝転がりながら、憂鬱な面持ちで天井を眺めていた。
まだ…先程のことが頭にこびりついていたのだ。
(一体なんだったんだよあれは…ボクは…あんな人間だったのか…?)
アスランへ向けた汚い感情を、なんとか自分の中で納得の行く形で清算しようと悩み考え込む。
(どうしてこんな…くそ!…ごめん、アスラン!ほんとにごめん!…でも…わからない…どうしてなのか、わからない…ごめん…アスラン)
机の上に置いた今は電源をOFFにしているトリィに目をやりながら、心の中でアスランにキラは何度も謝罪する。
だが、いくら考えても自分のあの感情の出所がどこにあるのか、キラにはいまいちわからなかった。
ラクスは間違いなく自分にとってかけがえのない大切な人だ。
そんな彼女が今もこうして自分のそばにいて、自分を支えてくれている。
こんなにありがたいことはない。
なのに、あんな些細なことでアスランに嫉妬するなどどうかしている。別に彼女が自分のそばからいなくなるわけではないのだ。
それにいくらラクスが自分にとって大切な人であろうと…ラクスは自分のものではないのだ。
いちいちアスランと彼女の関係のことを変に気にする必要はないはずだ。
(ボクは…ラクスをどうしたいんだ?)
そもそも、自分にとってラクスとはどういう存在なのか。
キラには最近それがよくわからなくなってきた。
大切な人であることには間違いない。
だが、昨日の行為…彼女を己の肉欲処理の道具にしたことを思い返すと…
(なんなんだよ…ボクは…結局、ラクスを都合よく利用しているだけなのか…?ラクスの…あの笑顔を…?)
わからなくなってくる。
自分は本当に…ラクスという一人の人間を大切に想っているのか?
もしかして今の自分はかつて、フレイにそうしたように…甘えられる相手だったら誰でもいいのか?
(?…また!?…く…フレイ…!)
先程からぼんやりと浮かんでいたラクスの顔に…突如フレイの面影が重なる。
(くそ!なんでここでフレイが出てくるんだよ!ラクスは…フレイじゃないだろ!?ボクは何を!?)
首を振りながらきゅっと目を瞑って、自分の視覚を襲った幻像を振り払うキラ。
これまで何度かあった経験。
ラクスの顔を思い浮かべる時…ラクスの顔を見る時…時折フレイの顔と重なる。
(あれからそれなりの時間がもう過ぎたのに…フレイのことからまだ立ち直ることができずボクは………いや、このことは忘れちゃいけ
ないことなんだ。ボクが今後ずっと背負っていくものなんだ。でも…それが辛くて…だからラクスを利用しているのか、ボクは?昔、フレイを利用したように…)
もしそうだとしたら…それは彼女の自分への信頼を裏切る…最低の行為ではないか?
終戦後から今に至るまで、フレイのことが頭から離れる日は無かった。
それは仕方ない。
あの戦争を通して様々なものを抱え込むことになった自分だが…フレイのことは、その中でも特に大きいものだ。
故にフレイのことをすぐに忘れることなどできるはずもなかった。
いやむしろ…それは忘れてはいけないことなのだ。
それはこれから先も自分が背負っていくべきもの。
だからといって、ラクスにフレイの面影を重ねるなんてことは…許されるはずも無い。
そう思いつつも
(でもボクはやっぱり…ラクスのあの笑顔が…)
とキラがそんなことを考えていると…
コン コン
扉から控えめにノックする音が聞こえる。
「…だれ?」
キラはベッドから起き上がりノックの主を尋ねる。がキラにはもうそれが誰だか見当はついていた。
「…わたくしです。キラ、起きていらっしゃいますね?」
やはり…ラクスだ。
「…うん」
「少し…お話がしたいのですが…」
彼女は…キラとしては正直今一番話はしたくない人物だ。
だからといって、彼女をむげに追い払うのもさすがに気が引けた。
結局
「…わかった。入って」
「…はい」
ラクスが静かに扉を開けて部屋に入ってくる。
キラはベッドの隣のスタンドライトだけをつけて、床のスリッパを履いてベッドに腰掛ける。
いつものピンク色の寝間着を纏ったラクスは、ベッドの上に腰掛けるキラの隣に同じように腰掛ける。
「…」
「…」
しばらく二人を奇妙な沈黙が包み込む。
「あのラクス…」
先に口を開いたのはキラだった。
「はい?」
「…なんか話があるんでしょ?」
ラクスに話しかけつつも、キラは彼女と視線を合わせようとしない。
「…大丈夫ですか、キラ?」
彼女はただ一言そう尋ねた。
「…」
それには何も答えないで、気まずそうに俯くキラの横顔を、ラクスはずっと心配そうに見つめる。
(キラ…いったいどうされたのですか?)
今日一日のキラの様子をラクスは振り返る。
今日はどうも朝からキラの様子がおかしかった。
不自然に自分を避けてくるかと思うと、その一方で何かとちらちらと自分を見てくる。
かといって視線が合うとすぐに目をそらすし、話しかけても「アスランとカガリ、もうそろそろ来るかな?」などと乾いた笑いで同じ言葉を繰り返
すだけで、あまり内容のある会話をしてもらえなかった。
(昨日のことをまだ気になさっているのでしょうか?でもそれだけではないような…)
ラクスはそんなことを考えつつ、午前中はずっとキラの様子が心配ではあったが、あまり深くは気にしていなかった。
なぜなら、キラが唐突にそうしてラクスに対して不自然な態度をとりはじめることは、実は時折あったことで
(キラがそんな風になってしまう原因は今でも気になっているんですけど…でもいつも、時間が少し経てばまた普段の様子に戻ってくれますか
らね。きっとご気分がすぐれなくなる日がたまに訪れるのでしょう。そして、たまたま今日はそういう日なのでしょうね。わ、わたくしだって「アレ」
のせいで気分がわ、悪くなってしまうときもありますからね)
とラクスは考えていたからだ。
しかし、今日はそれだけではなかった。
それはアスランからラクスがハロを受け取った時。
その時に、彼が苦しそうに自分の胸を掴んだのをきっかけに
(お食事のときも、カガリさん達が帰られたあとも、わたくしとは視線すら合わせようとしなくなり、お話などなにもできませんでしたわ…お顔も午
前に比べてずっと暗くなっちゃって…)
とそんな感じで、彼の不自然な様子が一層おかしくなったのだ。
そんなキラの様子がラクスは心配になり、ずっとその訳を考えていた。
夜更かしのし過ぎが原因だどうのは、嘘だとわかっている。
ならば
(アスランとお二人で部屋にいたとき…何かまたキラが「悲しい夢」を思い出すようなことでもあったのでしょうか?)
そんなことを考えてもみたが…どうもそれとは何となく違うような気もする。
アスランと共に部屋を出た直後のキラは、何かが振り切れたような笑顔をみせていたからだ。
そうなると
(わたくしがピンクちゃんを受け取ったときに、キラの心の中で何かが起きたのでしょうか?)
そういう結論に達したラクスだったが、しかしそんな短い時間のうちでキラの心を変化させてしまうほどの事件とはいったいなんなのか?
そして、キラは………大丈夫なのか?
それがどうしても気にかかり、ラクスはこうしてキラの部屋を訪れたのだ。
ラクスはじっとキラが口を開くのを黙って待つ。
彼女はいつもそうだ。キラがこうして何かを抱え込んでいるように見受けられるときは、基本的に自分からキラに問い質すことはしない。
ただそばでじっと待つ。
ふとラクスはいつものようにキラの前髪を撫でる。
(大丈夫ですよ。わたくしは、あなたのどんな想いもいつでも受け止めるつもりですから。だから…あなたが自分の想いを自分の中で抑えられ
なくなったら…いつでもわたくしに預けてくださいな)
そんな想いを込めてただ優しく撫でる。
自分という存在が彼のそばにあることを彼に伝えてあげる為に。
同時に、彼の存在を確かめる為に。
しかし…
「…」
なんと、キラは黙ってラクスの手を自分の頭から煩わしそうに払いのけて、彼女と距離を置くように移動した。
「!!!???」
それをみて…ラクスは驚き、思わず目を見開いて彼を見つめる。
(キラ………どうして!?)
そして、寂しそうな、哀しそうな目を彼におくる。
今までこんな風に…彼に拒絶されたことはなかった。
かつて婚約者として付き合っていた頃のアスランにも、こうして手を振り払われたことがあった。
アークエンジェルで、握手の手を敵意の言葉と共に拒否されたこともあった。
だが、キラは一度もそんなことはなかったし…絶対そうなってはほしくなかった。
(キ、キラ…わたくしは…「駄目」なのですか…?)
ラクスは、自分はいつだってありのままのキラを正面から受け止めてあげてきたつもりだった。
キラにとって、その隣にいることも、その体に触れさせることも、その想いを見せることも全て許すことのできる者。
そういう者として自分は彼に受け容れられている。
そうであると信じていた。
しかし…………それは自惚れだったのだろうか…?
(キラ…)
ラクスは、昔から、何よりも平和を望む人であり、また人はなにものにも縛られずありのままに自由に生きるべきだと考える人であった。
人は、コーディネイターかナチュラルかといった単純なカテゴリーにこだわるべきではない。
人は、国家とか軍隊とかそういった集団にただ言いなりになるべきではない。
人は、誰かから与えられた役割をただまっとうするために生きるべきではない。
人は、ありのままの自分で、自由な存在として平和に生きるべきだ。
それがラクスの考えだった。
そして、そんなラクスにとって戦争というものは最も忌み嫌うべきものだった。
戦争の中で、平和は壊され人は傷つき殺されただ憎しみと悲しみばかりが広がっていく。
戦争の中で、人は独善的な大義や大きな憎しみや悲しみに心を支配され、自分自身を見失ってしまい、ありのままの自分で自由に生きていけなくなる。
だから…ラクスは戦争を許さない。人の平和と自由を奪う戦争…そんなものは絶対許さない。
しかし、所詮ただの歌姫に過ぎないラクスには…人々が戦争に駆り立てられていくのを止めることのできるような、特別な才能をもっているわけではなかった。
そんなラクスが戦争の中で自分にできることとして選んだ道。
それは、やはり歌を歌うことだった。子供の頃からそうしてきたように。
歌を歌うことで、人の心が癒される手助けをして、人の心が憎しみや悲しみで埋め尽くされるのを食い止めようとしたのだった。
人の心が戦争というものに支配され、ありのままの自分で生きられなくなるのを防ごうとしたのだった。
人々が平和な暮らしを取り戻し、ありのままの自分で自由に生きられるように…その祈りを込めて歌ったのだ。
しかし、それはラクスにとってあるひとつの悲劇が続くことを意味していた。
それは、プラントのアイドルとして生きることによって、「自分」というものを抑えて生き続けることを余儀なくされた、ということだ。
「自分」というものを強くもっている人間は、人々のアイドルになれない。
なぜなら、「自分」を強くもっている人間が、アイドルとして人々にメッセージを送ったら…アイドルがもつその「自分」というものを人々に押し付けてしまうことになる。
それは、人がありのままの自分で自由に生きる障害となる。
アイドルとは偶像を示すものであり、実体をもつべきではないのだ。
ましてやラクスは当時のプラント最高評議会議長シーゲル・クラインの娘。
つまりはプリンセス。
ユニウスセブンの追悼慰霊団代表を任されるほどの立場の人間。
そんな人間が、プラントの中において、自分の意志で好き勝手に生き、発言することは許されない。
アスランとの婚約―プラントの未来を担う婚姻統制の一環、いや看板といえる婚約―を初めの頃は何も抵抗もせず受け容れたのも…
彼女が「自分」というものを抑えていたからだった。
プリンセスである自分が国の政策を簡単に否定すべきではない。
プリンセスである自分は人々に未来を示す者として貢献していかなければならない。
そう考えたからだ。
そう………ラクスは「自分」というものをずっと押し殺して生きてきた。
そして、周りの人間も…プラント一の歌姫であり、シーゲルの娘であるラクスには、少なからず「壁」をつくって接していた。それは婚約者のアスランも…。
ラクスがいつも抑えている「自分」というものを、見てくれようと声をかけてくる者は…たった一人の肉親である父を除いて…誰もいなかった。
そんな中で、ラクスは他人に対してある意味では臆病になってしまった。
アークエンジェルからキラによって解放してもらった後にクルーゼと渡り合った時のように、彼女自身の強さを見せることも時折はあったもの
の、基本的には常ににこやかで友好的に振舞いつつ、とらえどころのないどこか浮世離れした雰囲気を纏わせ、自分の素や本心を曝け出すことはほとんどなかった。
偽りを演じていたわけではない。
だが、ただ「自分」を押し殺して…他人がどう考えどう生きていくのかを、無邪気な態度で、あるいは無感情に、時に問いかけ時に一歩離れたところから黙って見るだけだった。
アイドルとして、プリンセスとして生きることの決意と覚悟。そして、そこにあった圧倒的な孤独。
結果的に、他人にはありのままの自分をもって生きることを望み、それを見守っておきながら…ラクス自身はありのままの自分を積極的に出そうとはしなくなったというわけだ。
そんな時にラクスが出会ったのが…キラ・ヤマト。
ラクスがアークエンジェルにおりたとき。
誰もが敵であるラクスを敬遠し、疎んじた。
でもキラは違った。
一人の人間として、一人敵地におかれたラクスを気遣い
『ボクは…ボクは…本当は戦いたくなんてないんです…』
等身大の自分というものを見せた。
彼だけは何も「壁」をつくらず、ラクスに接した。
そんな彼が見せてくれたのは
『あなたが優しいのは、あなただからでしょ?』
地球軍だからではなく、コーディネイターだからではなく、ありのままの彼がもつ掛け値なしの優しさ。
何かに縛られて、無理にありのままの自分を隠そうとはしなかったキラ。
そして、自らの意志でラクスを解放し、その時にアスランと出会い、苦しみながらも
『でも…あの艦には守りたい人達が…友達がいるんだ!』
「守らなければならない人達」ではなく、「守りたい人達」。
その人達のために、また自らの意志でアークエンジェルに戻ったキラ。
それは…ラクスに強烈な印象を与えた。
『わたくし…あの方…好きですわ』
婚約者であったアスランの前で言ったその言葉は…それが恋なのかあるいは別の想いによるものなのかはラクスも今でもよくわからないが…ごく自然に零れた言葉だった。
ただ一つラクスにわかっていたのは
『キラ様はとても優しい方ですのね。そして、とても強い方…』
そんな彼なら…ありのままの自分のもっているものを預けることができるのではないかと、アスランの前でこの言葉を漏らしたとき直観していたということだ。
残念ながら、アスランには…国や軍のこと、そして父とのことに心を縛られて「自分」を見失いかけている彼には…婚約者という建前も何もか
もを捨てて接してきてくれることをしない彼には…ありのままの自分のもっているものを預けることはできそうにない。
しかし、キラならそれができるのでは…ラクスはそう思っていたのだ。
その後、再びキラと出会った時。
その時、キラの全てを見せてもらった、とラクスは感じた。
そしてそこで、自分の直観が正しかったことをラクスは知った。
その時にラクスがみたありのままのキラは…人として揺ぎ無い強さと、そして優しさをもっている人だった。
『何もできないからって何もしなかったら、もっと何もできない…何も変わらない、何も終わらないから』
己の背負った業に逃げることなく真剣に向き合い、その末に…戦うことの辛さを身をもってわかっておきながら…再び戦うことへの苦しみに涙を流しながらも…前へ進むことを決意したキラ。
そして
『ボク達は何と戦わなければならないのか…それが少し、わかった気がするから』
誰かに命じられるままではなく、自分の意志で自分の戦うべきものを探し、それに立ち向かおうとするキラ。
アークエンジェルに降りた時、初めてナチュラルを間近にみたラクスが思ったのは、やはりコーディネイターもナチュラルも何も変わらない同じ人間なのだ、ということだ。
しかし
『コーディネイターのくせに馴れ馴れしくしないでよ!』
小さな差異が大きな憎悪を生み、戦争はただ無意味に広がっていく。
そのことをラクスは実感した。
そして、目の前で父親を殺された一人の少女の悲しみをみたとき…運命のいたずらのために、互いに銃を向け合うことになった二人の少年
をみたとき…ラクスは戦争というものを初めて体感した。
だから戦争を終わらせたいという想いはますます強くなっていた。
だから父とともに水面下で活動グループをつくり、活動に参加するようになった。
しかし、それでもやはりラクスはまだ基本的にただの歌姫。
そんな祈ることしか…歌を歌うことしかできない自分にかわって、剣をとって人の平和と自由をうばうものに立ち向かってくれる人を…戦いの中でもありのままの自分というものを見失わない人を…ラクスはついに見つけたのだ。
そして、ラクスはフリーダムをキラに託した。
ありのままの自分を見せてくれた彼なら…その中に本当の強さをもっている彼なら…ラクスはありのままの自分がもつ志も信念も託すことができるから。
またキラのおかげで自分の進むべき道がラクスははっきりした。
『想いだけでも、力だけでも駄目なのです』
ラクスがキラへ贈ったこの言葉は自分に言い聞かせる言葉でもあった。
祈るだけでは…歌で想いを届けるだけでは何も変わらない。何かを変えるには力が必要だ。
しかし、キラとは違い剣という形で力をもつことはできない。
ならば父と共に、目指すものを同じとする人々を集め、権力に抵抗し、人々に自分達で正しい道を選び取るよう直接訴える。
それが力となる。
ラクスはそれがキラのおかげではっきりわかった。
『わたくしも歌いますから。平和の歌を』
キラのおかげで、ただのアイドル、ただのプリンセスである自分と決別し、自分の自由な意志で前へ進む最後の決意がラクスはできた。
――――――――それだけじゃない。
自身の傷も悲しみも想いも全てを曝け出したその上で
『きみは…だれ?』
ラクス・クラインという人物を、真正面から問いかけた人…それがキラだった。
アイドルでもなく、プリンセスでもなく、ただの一人の人間「ラクス・クライン」を。
彼はいつだってそうだった。
一人の人間としてラクスの前に立ち、一人の人間としてのラクスを見ていた。
そして、このときも自身のもつ全てをラクスに曝け出し、ラクス・クラインという存在を問いかけたのだ。
ラクスは感じた。
ただ一人の人間「ラクス・クライン」として向き合える人を…ついに見つけた、と。
それは両親を除いて、今までラクスが一人も出会えなかった人。
だから彼女はただ一言答えた。
『わたくしはラクス・クラインですわ、キラ・ヤマト』
ただ一人の人間「ラクス・クライン」の存在を彼が彼の心に刻み込むんでもらう為に。
だから彼の素肌に口づけを贈った。
ただ一人の人間「ラクス・クライン」の存在を彼に直に感じてもらうために。
そんなキラに対してラクスは、指導者であった自分の立場さえも忘れ
『父が…死にました』
自分の涙を預けた。
ありのままの自分を見せてくれた彼なら…その中に本当の優しさをもっている彼なら…ラクスはありのままの自分の感情も心も曝け出せるから。
つまり…父すらも失った今のラクスにとって、キラとはありのままの志も信念も感情も心も…自分の全てを預けられる唯一の人なのだ。
アイドルでもなく、プリンセスでもなく、そして指導者でもなく、ただの一人の人間「ラクス・クライン」として等身大のまま飛び込んでいける唯一の人なのだ。
しかし、そんなキラにある事件が起きた。
それはメンデルで彼がその出生の秘密を知った時。
己の出生にまつわる血塗られた事情を知った彼は…あの少女との再会とその人への贖罪もできないままその人と別れることになった彼は…自分自身の存在さえも見失っていた。
そんな彼を見た時、ラクスは思った。
この人には、自分が必要なのだ、と。
この人には、この人がどんなに「悲しい夢」を抱えていても…この人の生にどんなものが纏わりついていても、この人のもつ
ありのままの自分を受け止め、受け容れてあげて、この人の存在そのものを肯定してあげる人が、必要なのだ、と。
だから…
『キラには悲しい夢が多すぎます…でも…今ここにいるあなたが全てですわ』
ありのままのキラ・ヤマトの全てを受け止め、受け容れ…肯定してあげる者がちゃんと目の前にいることを、伝えてあげた。
この時、ラクスの心を満たしたとても温かいもの。
自分の全てを預けることのできる者として自分が必要としているこの人もまた、この人の全てを預かることのできる者として自分を必要としている…そういう感じ。
ラクス・クラインがキラ・ヤマトを必要としているように、キラ・ヤマトもまたラクス・クラインを必要としている…そういう感じ。
自分の存在理由を彼に証明してもらえた…そういう感じ。
そして、ラクスは思った。
この人となら、自分は全てを与え合い、受け取りあえる、と。
それはラクスが、一番捜し求めていた人。
それはラクスにとって、かけがえのない人。
だから、あの指輪を渡した時
『帰ってきてくださいね…わたくしのもとに…』
自分のそばで生きていてほしい。
その願いを素直に伝えた。
この人こそが、自分にとって誰よりも愛しい人…その想いを込めて。
だからこそ、故郷を離れてまで、彼のそばで暮らすことを選んだのだ。
なのに…それなのに…今、その人に拒絶された。
そうなると…自分はどうすればいい。
彼に拒絶されたら、自分は全てを預けることのできる人はもういない。
彼に拒絶されたら、自分の存在そのものを本当に必要としてくれる人はもういない。
ラクスの心を、そんな圧倒的な孤独と…絶望が埋め尽くす。
キラは…そんなラクスに目もくれようともせず、暗い顔で黙って下を向いている。
しばらく、また二人の間に気まずい沈黙が訪れる。
少ししてラクスは
(な、何をわたくしこんなちょっとしたことで落ち込んでるんでしょうかね…キラだって、一人になりたいときやわたくしにあんまり近くにいてもらい
たくないときもあるに決まってますよね…わ、わたくしったらこうしてキラと少しの間一緒に暮らしただけで、キラの隣にいるのがもう当たり前で
あるかのようにいつのまにか思ってしまってたんですね…だ、だめですわね、そんな思い上がりは…だいたいキラは今日は今朝からちょっと
わたくしが話しかけるのを嫌がってたみたいなんですから、こんな風におしかけてしまっては、キラにとってはいい迷惑ですね…)
ラクスは自分の心をとりあえずそんな形で納得させて
「あのキラ…」
「…」
「わたくし、部屋に戻りますわね…ご気分がすぐれないときに押しかけてきてごめんなさいね…」
内心の哀しみを悟られないよう、作り笑いでラクスはそう言い
「え…?」
「では…」
そのまま立ち上がり、そして部屋から出ようと歩きはじめた瞬間…
「ラ、ラクス!!!」
「え?…きゃ!!!???」
キラはそんなラクスを…いきなり後ろから抱きしめて引き止める。
「え、キ、キラ!?」
ラクスは抱きつかれたことに顔を赤らめ、そして動揺の声をあげる。キラにこんなに思いっ切り抱きつかれたことは…初めてのことだ。
「ご、ごめん!…その…あの…」
「キラ…?」
「その…い、いかないで!!!」
キラはラクスの肩を抱きしめながら…すがるように叫んだ。
「キラ…あの…」
「あ!ご、ごめん!!!」
キラは自分のしていることにやっと気づき…ラクスから腕を離した。
「キラ?」
ラクスは振り返って、正面からキラにどうしたことかと、問いかけるように彼を見つめる。
顔を…まだ少し赤らめたまま。
「あ、あの…」
キラは申し訳なさそうに、また恥ずかしそうに目を泳がせる。
そんなキラに
「…キラ、とりあえず座りませんか?」
ラクスはにっこり笑って、彼にそう促す。
「あ、うん…」
キラもとりあえず彼女の勧めに従い、また先程のように二人でベッドに腰掛ける。
そして、ラクスはまたいつものようにキラの左肩に寄り添うようにして座る。
今度は…彼も離れようとはしなかった。
(ふふ…少なくとも、わたくしはキラに拒まれているわけではなさそうですね。よかった…………)
それがわかっただけでラクスは安堵を覚える。彼の隣にいることを許してもらえたこと。それがラクスのなによりの喜びだ。
(でも、あんな風にいきなり抱きしめてきて…キラ、どうしたんでしょう?なんだか…すごく…嬉しい…)
同時に、先程のことを思い返すと、胸の動悸が速くなる。
一体…キラはどうしてあんなことを?
ラクスは、少し熱のこもった視線でキラをみつめて、彼の言葉をまつ。
「あ、あの…」
キラが口を開く。
「はい?」
「ご、ごめんね…その…いきなり…」
キラは顔を少し赤らめつつ、ラクスに自分の行為を謝罪した。
「いいえ。わたくしは全然構いませんわ」
ラクスは微笑んでそう答える。
「…」
それを聞いて、キラも安心したようにわずかに笑顔を浮かべる。そして
「あと…さっきもごめん…手、振り払っちゃって…」
「…」
「ラクスのこと…いやってわけじゃないんだ、もちろん。ただ、あのときはちょっと…頭が…なんというか…まだ整理がついていなくて。ほんとに…ごめん」
キラは今度は顔をラクスの正面にしっかり向けて、そう告げた。
「そうですか」
ラクスはまた微笑んでただ一言静かに返す。
「ごめんね…」
「いいえ。もう気にしていませんわ、キラ」
「…ありがとう」
「はい」
三度、二人の間に沈黙が訪れる。
ラクスは思い切ってまたキラの前髪に右手を伸ばして彼の髪を撫でる。
キラはそんなラクスに一瞬穏やかな目を向けてから、そのまま身を任せる。
それにラクスは、また安堵する。
キラはその手に身を任せながら、両手を膝の上でもじもじと握り合わせて、それを見つめている。
ラクスに言い出す言葉を…探し出そうとしているかのように。
ラクスはただ黙って彼の言葉を待つ。
しばらくして…
「ハロ…元気になってよかったね」
キラが顔をラクスの方へと向けて、やっと口を開く。
「え…?あ、はい!アスランのおかげで」
突然のキラの言葉に一瞬虚を取られたが、ラクスはキラの髪を撫でるのをやめてとりあえずそれに返事する。
「うん。アスランが来てくれてほんとによかったね…ボクじゃ、何にもできなかったから。ていうか足引っ張っただけだけど…」
キラはまた暗い顔で声の調子を落として呟く。
「…キラ?」
そんなキラにラクスが気遣わしげに声をかけると
「ボクがハロをいじった後、余計なんか動きがおかしくなったでしょ?」
「え…?えっと…そうでしたか?」
そのまま暗い調子で続けていくキラ。
「うん。あれ、やっぱりボクのせいだったよ。アスランが言ってた。苦手なくせに変にいじくるからだ、って」
「キラ…」
「ごめんね。直してあげるよって言ったくせに、このざまで。ボク…ラクスのために何にもしてあげられなかったね…」
「いえ…そんな…」
「で、でもさ…今度からは大丈夫だよ!アスランにさ、今日ついでに色々教えてもらったから。こ、これからは軽い調整ぐらいだったらボクでも
できるからさ!っていっても…また本格的に壊れちゃったらやっぱりアスランに頼むしかないんだけどね…はは、だめだね、ボクは…」
「キラ…」
最後にそう言って、ラクスから視線を外し自嘲気味に乾いた笑顔を浮かべるキラをラクスはじっと見た。
(もしかしてキラがあの時苦しがっていたのは…ピンクちゃんのことで何もできず、結局アスランに頼ることになったご自分が嫌になったから
なのでしょうか?あるいは…アスランとご自分に何か差を感じたからでしょうか?それとも…わたくしがアスランだけに感謝しててキラのことは
何も考えていないとお思いになったのでしょうか?………お馬鹿な人…わたくしはあなたの心遣いそのものが嬉しかったのに…どうしてわかっていただけないのでしょう…)
再び俯いているキラを見ているうちに、自分の彼に対する気持ちを全くわかってくれないその彼にちょっとした苛立ちと切なさ…そして…愛しさがラクスの心の中で湧き上がってくる。
(でも…仕方のないことかもしれませんね。あなたは…ちょっと「抜けてる」ところ、ありますものね。もちろんあなたのそんなところもわたくしは
好きですけど…でも、全くしょうがない子…。もしかしたら…わたくしからもっとはっきり言って差し上げないと…もうわかってくださらないかもしれませんね…)
…ふとラクスは昼間、カガリと交わした会話を思い出す。
それはサッカーをする子供達を見守りながら、ラクスとカガリが二人で木陰に座って一休みを取っているとき…
『ラクス…キラとはどうなってるんだ?』
突然カガリがラクスにそんなことを言い出す。
『どう、とは?』
『う〜ん…その、進展…ていうのかな。そういうのはあったのかな、と思って』
『な!?カ、カガリさんまで…なんですか!?』
ラクスは思わず声を上ずらせて返した。
『ん?どういうことだ?』
『…昨日、カリダお義母様にも同じこと言われたんです…』
『はは、そっか…でも、カリダさんがついそんなこと言っちゃうのもわかるけど』
『そうですか?』
『うん。わたしは普段のお前達を見てないから、もちろんお前達の関係のことを一から十まで全部を知ってるわけじゃないけど…わたしが見る
限り、ラクスとキラって絶対お互いに本当は好き合ってるくせに、なんか恋人みたいな雰囲気を感じさせないんだもん。特にキラの方はどうもそこら辺態度が無自覚な気がするんだよな〜』
『な!?』
それを聞いて顔を赤らめるラクス。
『違うのか?』
『あ、あの…』
『少なくとも…ラクスはキラのこと、好きなんだろ?惚れてるんだろ?ちゅうかゾッコン?』
『…』
『なあ、どうなんだよ?』
にやけた顔でラクスを問い質すカガリ。
『…も、もちろん…嫌いではないです』
そう言い返すのが精一杯だったラクス。
『嫌いではない、じゃないだろ。好きなんだろ?』
『…』
顔を少し赤らめ俯くラクス。彼女はどうもこの話になると…自分の素が漏れ出てしまうようだ。
カリダやカガリには好印象を抱いているということもあるのだろうが。
『なんだよ〜。ラクスらしくないなあ〜。はっきり言えよ、わたくしはキラにホの字なんです、って♪』
普段はおっとりしているラクスが珍しく動揺して感情を浮き彫りにしていることに、カガリは新鮮味と妙な喜びを感じつつ、ラクスの右肩を自分
の左肩で突っつきながら話しかける。
『わ、わたくしのことはともかくとして…キラがわたくしのことをどう思っくださっているのかは…わからないではありませんか』
なんとかカガリの責めから逃れようとラクスはついそんなことを言った。
『でも、キラだってラクスのこと好きだと思うんだよなあ。む・し・ろ!きっとあんたにもうベタ惚れですぜえ、旦那〜♪』
『か、勝手にキラの気持ちを決め付けるのはよくありません』
『う〜ん…そっかな〜…間違いないと思うけど…』
右肘を右膝の上に置き、そのまま頬杖をついて不満そうな感じの声を漏らしつつ、空を見上げるカガリ。
『そもそもキラにはキラ自身で答えを見つけなければならないことがまだたくさんあります。今はわたくしのことなんかに…とらわれている場合ではありません』
悲しそうに声の調子を落としてラクスは言った。
『…』
それを聞くとカガリも悲しそうに目を細める。
そして彼女は『キラ自身で答えを見つけなければならないこと』の一つだろう、今は亡きフレイのことを思い浮かべた。
(…キラはあの娘のこと…まだ忘れられない…ていうか自分なりの清算できてないのかな…)
かつてアークエンジェルに乗っていたカガリは、その関係に何か胡散臭いものを感じ取ってはいたものの、キラとフレイが恋人といっていいよ
うな関係にあったことを知っていた。(カガリの違和感は正しく、実際は恋人などという単純でかつ綺麗な物言いですむような関係ではなかったが)
そして、そのフレイがヤキン・ドゥーエでの戦いにおいて、キラは必死で彼女を守ろうとしたにも関わらず、結局彼の眼前で命を落としたということも知っていた。
(でも宇宙でわたし達がみんなで共に戦っていたあのとき…キラの中ですでにラクスは特別な人になってたのは間違いないよな。…そんで、フ
レイのことがあいつの中でどうなっていようと、今ではもうあいつは絶対ラクスのこと、はっきり好きになってる。これはわたしが見てもそう思うし、アスランもそう言ってた)
彼の抱える傷が深いのはカガリもよくわかる。
加えて、キラは過去のことを過去のこととしてすぐに割り切れるような性格でもないこともよくわかっている。
男のくせに少しウジウジし過ぎだ、とも時々思ったりもしてしまうが、キラのそういう不器用なところはカガリとしても嫌いではない。
しかし…
『でもさ…』
『?』
『お互いに好き合ってるくせに、お互いの本当の気持ちを打ち明けないまま、ただ惰性で一緒にいるのって、それはそれですごく不自然だよ』
『だからキラが必ずしもわたくしを…』
『好きかもしれないし、そうじゃないかもしれない。どっちかは聞かなきゃわからないだろ?てゆうかさ、キラはまだ頭が色んなことでゴチャゴチ
ャしてて、自分の気持ちに気づいていないんじゃないのかと思うんだよね、わたしは。アスランとはまたちょっと違うタイプだけど、アイツも頭が
ハツカネズミになっちゃうところあるし。でもそこでもしさ、ラクスから何か言うなり聞くなりしてあげたらきっとどんな形であれキラは自分の気持
ちに気がつく。それこそがキラにとって一番良いと思うんだ』
『…たとえキラがわたくしのことを本当は好きだと思ってくださっていても、今後もキラにわたくしの気持ちを押し付けるつもりはありません。わたくしにできるのは、キラの心の整理がつくまで、キラをただそばで見守ってあげ…』
『…それって卑怯じゃないか?』
突然鋭い目つきでラクスを見据えてカガリは言った。
『え?』
思わぬカガリの目つきと言葉に、ラクスはつい動揺してしまう。
『要するに、キラが自分の気持ちに自分で気づくまでは、ラクスは何も言わないってことか?』
『…えっと…まあその…言い方を変えればそうなることに…』
ラクスが少し戸惑いながら言葉を紡ぐと
『つまり、もしキラが本当はラクスに惚れてたとしても、キラが告白するまではラクスは何も言わないってことだな?』
『そ、そうなるんですか?』
『ああ…今の言い方だとほぼそういう意味だよ。だって、キラは自分の気持ちや感情を隠すのが妙に下手糞なやつだから、頭がいくらごちゃ
ごちゃしてても、いざ整理がついて自分の本当の気持ちに気がつけば、けっこう正直に人に打ち明けちゃうからな。特に…ラクスに対しては。
それを一番よく知っているのは…ラクスだろ?』
『…』
『それを知っておきながら、ラクスの方は自分の気持ちにもう気がついてるくせに、キラがキラ自身の気持ちに気づくまで、それを隠して黙ってるなんて…』
カガリはそのままラクスに鋭い視線を正面からぶつけて
『それは…卑怯だよ』
『…』
ラクスはそれに対し何か答えることもできず押し黙る。
そんなラクスに遠慮もせずに、カガリは言葉を続けていく。
『人は自分のことは自分で考えて決めなきゃいけない。誰かの言いなりになったり、誰かに甘えたりしてはいけない。それがラクスがいつも考
えていることだろ?だから、ラクスは自分のわがままや意見を人に押し付けたりはしない。ただ問いかけ、ただ見守る。ま、それはそれでラク
スの立派な考え方、生き方だと思うけど…じゃあさ、ラクス自身はどうなんだよ?』
『…』
『ラクスがただ受身な人間っていうわけではないことはわたしもよく知ってるさ。ラクスは言うべきことは言うし、動かなくてはならない時は、自分
で必ず動く。自分の信念を貫こうとする意志の強さをちゃんともっていると思う。でもさ、その一方で、ラクスがもっと心の奥底で抱えている本
当の気持ち…ラクスのもっと個人的な本音は、ラクスはなかなか表には出さない。ラクスがただの一人の女の子として何を感じているのか
は、他人にはなかなか言わない。ただいつもなんか一歩引いて見てるだけ。それってどうなんだ?卑怯じゃないか?他人のことが怖いからな
のか何なのかは知らないけど、他人には、等身大の姿で生きて全てのことをその人自身で責任をもつことを要求しておきながら…そのくせ自
分の方は、等身大の姿…自分の素を隠して相手を見守るだけなんて…わたしはちょっとずるいと思う』
カガリの真正直な言葉がラクスの心に鋭く響き、ラクスはついカガリの琥珀色の瞳をまじまじと見つめてしまう。
まさか彼女がここまで自分の本質を見抜いていたとは…。
そう。カガリはラクスと決して長い時間を共有しているわけではないが、ラクスという人物が抱える内面の性質をなんとなく見抜いていたところがあった。
ラクスもかなり鋭いタイプだが、彼女の場合はどちらかというと洞察力とかその類だ。
カガリの場合は…直感…とでも言えばよいのだろうか。
カガリ本人は自覚してないが、カガリは時折こうして唐突に鋭いところを見せる。
比較的「理」というものを重んじる傾向のあるコーディネイターには理解しがたいところかもしれない。
『もちろんさ、自分の本音を誰彼かまわず曝け出すことなんてみんなできないし、する必要もないと思うけど…ラクスの場合、少なくともキラの前では何も隠さなくていいんじゃないか?』
『…』
『それとも…………………………ふられるのが怖いのか?』
『!!!???』
その言葉にラクスは思わず体をびくつかせて俯く。
その気持ちは確かにあったからだ。
キラが自分のことを信頼してくれてまた大切に想ってくれている、というのはラクスもわかっている。
が、それが女性として自分を意識してくれてのことなのかは、ラクスにもわからなかった。
キラの弱さも強さも理解しているラクスでもそこだけはキラの想いを読み取れずにいたのだ。彼女は恋愛そのものに疎いのだから。
だから、ラクスは…怖かった。自分の想いを彼にはっきりと打ち明けるのが。
キラが自分にむけてくれる感情があくまで友人とか仲間とか同志とか、そういった意味合いでしかないことを知ってしまったら自分はどうすればいい?
もしキラに自分の想いを正直に伝えたとしても、それで彼に拒絶されたら自分はどうすればいい?
それでキラのそばにいることすらもかなわなくなってしまったら自分はどうすればいい?
そんな不安がラクスの心の中にはあった。
今カガリは、キラはラクスのことを好きだと思っているに違いない、と言ってくれたが…それでもその不安は消えなかった。
『…』
『…』
しばらく二人の会話は途切れ、子供達の笑い声だけが響いた。
(あちゃー…わたし…言い方、ちょっと無神経すぎたかなあ…)
ある日、キラと自分が双子であると発覚した時。
そして、ウズミがどうやら自分の本当の父親ではないとわかった時。
もちろん、カガリは…混乱した。
今でも自分の父親は、ウズミをおいて他にはいないと彼女も思っている。
しかし、仮にウズミが生きていたとして、このことを知った今の自分が、昔と全く同じようにウズミと接することができるか…カガリにもわからなかった。
少なくとも、それなりに時間が経つまでは、ウズミと距離をおくような態度をとってしまうような気がする。
そして、それはキラも同じなのだろう…いや、キラは性格上自分以上に悩み込んでしまうだろう。
だから、今のキラは、カリダやハルマと正面から向き合うことがまだできていないに違いない。
そんなことをカガリは考えていた。
加えて
(わたしはナチュラルなのに、あいつだけはコーディネイター…あいつには更になんか特別な事情があるのかもな)
今まで自分の親だと思っていた人が、本当の親ではなかった。
キラの方には、それだけで終わらない何かがあるのだろう、とカガリは直感していた。
しかし、以前に、今は亡きムウ・ラ・フラガから
『お嬢ちゃん。君もキラに色々聞きたいこと、あるだろうが、あいつが自分の口から言えるようになるまで、なるべく何も聞かないようにしてやってくれ』
と言われていたせいで、今日までカガリはキラにその出生に関することは何も聞いていない。
そして、キラはまだカガリやアスランにも、誰に対しても、自分の出生のことについては自分からはまだほとんど何も語ってはいない。
唯一カガリが聞かされたのは、赤ん坊の頃の自分達の写真に写っていた女性、つまり自分達の遺伝的な母親にあたるあの女性が「ヴィア・ヒ
ビキ」という名前であり、対して父親は「ユーレン・ヒビキ」という名前である、ということだけだ。
だが
(ラクスだけは…知ってるはずだ…)
キラがメンデルから帰還した後、憔悴しきっていたキラのそばにただ一人ずっとついていたのはラクスだった。
そして、その時にキラはラクスだけには己の出生に関することを洗いざらい話したに違いない。
だとしたら
(多分、キラはまだカリダさん、ハルマさんとは微妙な関係だ。そして、わたしやアスランはあいつの事情を全部わかっているわけじゃない。
だったら、今は唯一ラクスだけが、キラの事情を全部理解してあげられた上で、あいつと正面から向かい合える人なんだ)
カガリはそういう結論に達するしかない。
しかし
(それなのにラクスは…なんかキラに対して何もアプローチしようとしない…)
そう。
キラのことを本当にわかってあげられる人物、同時にキラが自身の抱えるものを無条件に曝け出せる人物は、今はラクスだけなのに、その当のラクスがいつまでも自分の本音を誤魔化そうとし、それを曝け出さないままキラと接しているのだ。
それを考えると
(キラが…かわいそうだよ…)
カガリはどうしてもそんなことを思ってしまう。
それに
(こんな風にいつまでも人間関係で、なんか受身のままじゃ…ラクスにとってもよくない。キラに対してすら本音でぶつかり合えないなら、
ラクス、これからお前はどうするんだよ?そんなんじゃいつまで経っても…結局はひとりぼっちだぞ。ましてや今のお前は…お父さんが…)
ラクスもこのままでは…気の毒な気がしてならなかった。
人との付き合いにおいて「自分」を主張しないまま、ただ相手を待ち、相手を見守り、相手に任せるだけの人。
そんな人物に待っているのは、詰まるところ…孤独なのではないだろうか?
そして、それは果たしてラクスにとって良いことなのだろうか?
いや…そんなわけない。
最近のカガリはこんなことを考えていた。
カガリは、キラと実は双子であるらしいと判明した時、一方的にキラの方を弟と決め付けたことからもわかるように、どこか姉御肌な性分があった。
カガリ自身も、色々と性格的に子供っぽい部分を残しており、はたから見たら放っては置けないほどに危なっかしいところがあるにも関わら
ず、彼女はそんな自分を棚上げにして、何かと他人の世話を焼きたがるのだ。
そんなカガリにとって、キラとラクスという自分にとって大切な人であるこの二人の関係は、是非ともうまくいってほしいものであり、また放っては置けないものであった。
それゆえに、まずはラクスに対して彼女を叱咤する言葉をこうしてかけたつもりだったのだが
(ラクスの気持ちもわかるよなあ。もし、告白してふられちゃったら…それからはどういう顔して付き合っていけばいいかわかんないもんなあ。
ましてや今は一緒に暮らしてるからなあ。それが余計気まずくさせちゃうだろうし)
キラとラクスが恋愛的な感情以外の部分で親密になってしまっているのが、かえってそこから一歩先へと踏み込むことを難しいものとさせていることも理解はできる。
また
(わたしがラクスの立場だったらまどろっこしくてそんなことできないだろうけど、キラが自分の気持ちを整理できるようになるまでただ見守って
あげる、っていうのも別に悪いことではないよなあ)
ラクスの主張も十分筋が通っている、ということも理解できる。
そして
(他人の心の問題にこんな風にずけずけ踏み込んじゃあ…いけないよなあ)
そんな慙愧の念がカガリの中で芽生えてくる。
しばらく両手でわしゃわしゃと髪を掻きむしるカガリと、その隣で膝を抱えたまま黙って地面を見つめるラクス。
そして
『カガリー!いつまで休んでんだよ!ラクス姉ちゃんも!』
『ああ、今行くよ!…なあ、ラクス』
立ち上がりながらカガリがラクスに声をかける。
『…はい?』
『その…ラクスの気持ちを…キラの気持ちもだけど…何も考えずに不躾にこんなこと言っちゃってごめんな』
その瞳と声に誠意を込めてカガリは言った。
『あ…』
『でもさ…わたしはその…お前達のこと、応援してるから!その…なんか力になれることがあったらさ…なんでも言ってくれよ!』
『カガリさん…』
『だから…なんていうか…その…お前達なりにがんばってな!』
最後にカガリは笑顔でそう締めくくった。
『カガリさん………………………ありがとうございます』
カガリの言葉に微笑みで返してからラクスも続いて立ち上がった。
別にカガリを不愉快に思う気持ちなどラクスにはなかった。
逆に…嬉しかった。
こうして自分に正面からぶつかってきてくれたことが。
同時に…そんなカガリを羨ましくも思った。
キラは、物事を自分の中でどこまでも深く深く考え込んでしまうタイプだが、一方できわめて感情的な一面もあり、そうして自分の中で考えて
いることや自分の弱さを、あっけなく人に見せてしまうところがあった。
特に哀しいことがあった時がそうだ。そんな時、彼は割と簡単に人に涙をみせてしまう。
アークエンジェルでラクスと出会った時もそうだった。
いくら彼もコーディネイターであるとはいえ、立場上敵であるはずのラクスに、涙と共に自分の本音を吐き出してしまった。
そして、彼がラクスに向けた瞳。
ラクスは、あれは…とても寂しそうな、そしてすがるような瞳に感じた。
キラ・ヤマトという一人の人間としてボクを見てほしい…そう訴えかけてるように感じたのだ。
そんな風にして、すぐに自分の弱さもなにもかもを他人に曝け出してしまうキラ。
自制心のない甘ったれ、と言ってしまえばそれまでだが、そんなキラの脆さもラクスにとっては愛しくもあったし…また、そうして他人を警戒する
ことなく自分の素を素直に曝け出せるキラが…羨ましかった。
そして、同じようにラクスが羨ましく思ったのが…カガリ。
カガリはとにかく真っ直ぐだ。
相手のことを真剣に考え思いやる一方で、相手が誰であろうと恐れることなく、彼女が想っていることを真っ直ぐにぶつけていく。
今がまさにそうだった。
そんなカガリの魅力に惹かれるものを覚えつつ…ラクスは同時に今までの考えを改めるようになった。
ラクスはこれまで、自分が他人との本音での付き合いを恐れるようになってしまったのは、自分の生まれ育った境遇のせいだ、というある意味責任転嫁じみた考えをもっていた。
しかし、カガリを見ているとそれだけが原因ではないような気がしてきた。
カガリも、自分と同じで一国のトップに立つものの娘。つまりはプリンセス。
そして、彼女も自分同様、先の大戦で最後の家族―キラはまた別として―を失っている。
ましてや今の彼女は一国の元首。
にも関わらず、キラにもアスランにも、そして自分にも…誰に対しても彼女は変わらず真っ直ぐに向かっていっている。
己の置かれている立場や境遇に無意味に縛られることも無く、己を隠さず、己に嘘をつかず、正直に生きている。
つまるところ、カガリと自分の決定的な差は、自らの本音を曝け出した上で他人と向き合うことへの勇気を、他でもない自分自身の中から引き出せるかどうか、ではないだろうか。
もちろんすぐにカガリのようになることなんてできないし、カガリにはカガリの、自分には自分の個性があるのだから、全てカガリの真似をする必要もない。
だが、カガリの言ったとおり、少なくともキラに対してはどんなことでも「自分」を隠す必要はないのかもしれない。
そんなことをこのときラクスは感じた。
(カガリさん…カリダお義母様…わたくし…)
ラクスはカガリとのやりとりを思い返すうちに、同時に昨日のカリダとやりとりも思い出していた。
すると、今こそ勇気を出して彼に想いをぶつけるべきではないか、という考えが彼女の中で生まれてきた。
キラが抱える問題はキラ自身で答えを出さなければならない。
だがその一方で、昨日の洗面所での時のように、どんどん内罰的になって己を壊していく彼を放っておくことも…もうできない。
いつだってありのままのキラ・ヤマトを曝け出してくれるキラ。
そんなキラが自分に対して曝け出してくれる悲しみや苦しみ。
それを見ておきながら、ただ黙って彼を見守るだけのことは…もうできない。
彼が己を壊すことなく、彼自身と向き合っていくためには…自惚れかもしれないが…自分の力がきっと必要なのだ。
また、彼と同様に様々な迷いや傷を抱えている自分にとっても…彼の力はきっと必要なのだ。
人は一人では生きていけない。
だから、そうやって互いの力を与え合い受け取り合って、互いを支え合うことは、決して恥ずべきことではない。
カリダの言っていたとおり、それは決して悪いことではない。
ゆえに、今こそ勇気を出して彼の方へともっと歩み寄るべきではないだろうか?
ありのままのキラ・ヤマトをいつだって見せてくれて、ありのままのラクス・クラインをいつだって見てきてくれたキラを前に…今更躊躇う必要はあるのか?
いや、ない。
カガリの言っていたとおり、キラに対しては自分は何も隠す必要はないのだ。
だから、もう彼に拒絶されることを恐れている場合ではない。
今まで自分に欠けていたもの…勇気。
今こそ、それを振り絞るべきではないか?
そんな想いでラクスの心は徐々に固まりつつあった。
そして、先程抱きしめてくれて…自分がいつも隣にいることを許してくれて…自分のためにがんばってくれて…自分はただそれだけでも本当に
嬉しかったのに、そのことに気づかず落ち込んでいるキラを見ているうちに…もはや自分でも抑えきれないくらいに心の中で何かがどんどん膨らんでくるのをラクスは感じた。
(わたくしはやっぱり…キラのことが…)
「キラ…」
ラクスはキラに温かい微笑みを向けながらキラに話しかける。
「ん?なに?」
俯いていた顔を上げて、キラがラクスの方を向く。
「ピンクちゃんのこと…ありがとうございます」
「え?そんな…ボクは結局何もできなかったよ…」
「いいえ。何かできたとかできなかったとか…そういうことが問題じゃないんです」
「え?」
「あなたがわたくしに何かをしてくれようとがんばってくれた…それが嬉しいんです」
「ラクス…」
「わたくし、知ってるんですよ。わたくしがピンクちゃんをあなたに預けた後、あなたが昼間に手が空いているお時間だけでなく、夜もこっそり
ずっと遅くまでパソコンで色々調べながら、必死で直そうとしてくださっていたのを。それも…昨日まで毎日毎日」
「え…!?」
キラはそれを聞いて少し戸惑いの声をあげる。
(ラクス…相変わらずなんか鋭いというかよく見てるというか…)
ラクスに余計な気遣いをさせまいと、昼間はともかく夜の作業の方はこっそりやっていたつもりだったのだが、まさかばれていたとは…
「ラクス…知ってたの…?」
「はい!…すごく、嬉しかったです」
その言葉のとおり、顔にいっぱいの嬉しさを込めて、満面の笑みをキラにおくるラクス。
「ほ、ほんとに?」
「はい!」
「で、でもさあ…やっぱり何もできなかったんだから…ボクはきみにお礼を言ってもらう資格は…」
「いいえ。女の子だったら誰でも嬉しいものですわ………………………自分の好きな男の人が、自分のために何かをしてくれようとがんばってくれたら」
「…………………え?」
ラクスがさり気なく言った言葉に、キラはすぐには反応しきれなかった。
「聞こえませんでしたか?わたくしは、わたくしの大好きな男の人が、わたくしのために一生懸命がんばってくれたのが嬉しい、と申し上げたんです」
「…え…す、好き…って…え?」
何を言われたのかまだいまいち理解ができず戸惑い続けているキラの右手をとって、ラクスは両手でそれを包み込む。
そして、顔を真っ赤にさせながら、ラクスはキラを正面から見据えて
「あなたが抱きしめてくれた後…わたくしは『全然構いませんわ』と申し上げたでしょ?」
「え?あ、う、うん…」
「…わたくしは、好きでもない男の人にいきなり抱きしめられて許せるほど…心の広い人間ではありませんわ」
「あ、えっと…それは…?」
「つまり…わたくしはあなたのことが…好きなんです。お友達とか…仲間とか…そういう意味だけではなくて…」
「…す、すき…?」
「はい!わ、わたくし…ラクス・クラインは…ひ、ひとりの女の子として…キラ・ヤマトを…ひとりの男の人として、す、好きなんです」
「ラ、ラクス…!?」
そしてラクスは一回深呼吸をしてから、もう一度確認するかのよう少し大きめの声で告げる…
「キラ…わたくしは、ずっと前からあなたのことが…好きでした!!!」
「え!?」
「…」
「あ、あの…」
ラクスの告白を受けて…キラもラクスに負けないぐらい顔を紅潮させる。
「あ…その…」
「キラ…」
(わたくし…ついに言ってしまいましたわ…ああ…ついに…ついに…だって…今のキラを見てたら…止まらない…)
自分の中でずっと温めていた気持ちを爆発させたことで、ラクスの胸の動悸は限界まで速くなる。
それに対してキラは、なんと言っていいかわからず、ラクスと同じように顔をだんだん赤らめながら、まだ戸惑うようにラクスを見ていた。
しばらく二人は顔を紅潮させたまま黙ってお互いを見つめ合う。
少しして
「キラ…突然こんなこと言ってごめんなさい。でも…あの…気になさらないでくださいね」
ラクスは握っていたキラの手を離して、微笑んでそう言った。
「え…?」
「突然一方的にこんなこといって、気にしないでとはおかしいかもしれませんが…あんまり考え込まないでくださいな」
「ラクス…」
「ただ…その…わたくしはわたくしの気持ちをあなたに伝えた。ただ…それだけですから…だから、キラはキラでどうかわたくしのことなど気に
なさらず、ご自分のことをお考え下さい」
(そう…まだキラは落ち着いてご自分と向き合うべきなのですよね。わたくしのことに気をとらわれている場合ではありませんわ。ごめんなさい
ね、キラ…こんな身勝手なわたくしで…)
元々、カガリやカリダに言ったとおり、自分からキラに告白するということになるのなら、もっとキラが精神的に落ち着いてからにするつもりだったのだ。
それを今告白してしまったのは、もう彼への想いが止まらなくなり、胸の中だけでは納まりきれず、勢いで言ってしまっただけのこと。
だから…もうそれだけでいい。
これ以上、何かをする必要はない。自分の本当の想いを彼に伝えた。それだけで…今は十分だ。
彼がもっと落ち着いてから、その後に何らかの答えを出してくれるのを待っていればいい。
そう…自分とキラには時間はまだたくさんあるのだから…焦らなくてもいい。
そんなことを思い、ラクスは今日はとりあえずここで身を引くことにした。
「…今日はありがとうございました。では…わたくし、戻りますわね」
そう言ってラクスはまたベッドから立ち上がろうとするが
「ラクス、まって!」
キラはラクスの腕をつかんで、それを制する。
「キラ…?」
「あの…ボクも…ラクスが好きだ!!!」
キラは気がついたら、そう叫んでいた。
「キ、キラ!!!!!?????」
(キラが…わたくしを好き!?そ、そんなことって…!?)
キラの言葉をうけて…呆気にとられて彼を見つめるラクス。
「あ…えっと…その…」
「キ…ラ…?」
「と、とにかく…少し、ここで待っててくれないかな…ちょ、ちょっと…ボク…」
顔をますます赤らめ、どもりながらキラはラクスにそう頼んだ。
「…はい」
ラクスはまだ呆然状態だったが、言われたとおり、そのままキラの隣で彼の言葉を待つ。
(ボクは…ラクスを…どう思ってるんだ…?)
頭の中でキラは自分の考えを整理する。
昨晩自慰して以来…自慰をした次の日はいつもそうだが…今朝からラクスとはまともに視線を合わすことができなかった。
慰めの道具にしたことへの罪悪感がいつまでもこびりついてしまっていたからだ。
彼女の下着姿を覗いてしまい、ラクスとの約束を無視して、それを餌に欲望を吐き出したというのも…その罪悪感をより大きくさせた。
しかし、気がつくと彼女を視線で追ってしまう自分がいた。
彼女の…仕草が…顔が…表情が…気になってしまう。
自分が昨日想像の中で抱いた彼女の姿と、現実の姿は一体違うのか。それとも同じなのか。それが気になる。
そして、今まではいつも隣にいたから自覚はしていなかったが、改めて見てみると…下着姿を見てしまった時にも感じたのだが…ラクスがとて
つもなく魅力的な女性だということがよくわかった。
まるで何かのお人形さんのように可憐な彼女の姿。特にその顔は花のように…美しかった。
そんな彼女が笑うと…本当にまるでそこに一輪の大花が咲いたかのような錯覚を覚える。
今にも壊れそうなぐらい儚くて…でも、何にも負けない美しさと力強さを持ち合わせた眩しい笑顔。
そんな彼女の表情にどんどん吸い込まれそうになっていた。
しかし、あの瞬間自分の心の中に変化が訪れた。
そう…アスランから彼女がハロを受け取った瞬間。
まるで彼女のあの笑顔が…アスランのものになってしまって…もう自分の元から離れてしまうのではないかと思った。
それがどうしようもなく嫌で…アスランに…彼は親友なのに…嫉妬してしまった。
そんなちっぽけな自分が憎い。自分の狭量が憎くて、あの瞬間からずっと胸が苦しかった。自分が許せない。
許せないが…それでもあの笑顔をアスランにも…誰にも渡したくないという想いだけは消しようがなかった。
アスランがラクスと楽しそうに話をしているのを見るだけでも…苛立ちを感じてしまった。ましてや、それが彼女達が婚約者だった頃の話だったから…。
自分のそうした情けない感情を当のラクスに悟られるのが一番怖くて…あの時からずっと避けていた。
加えて、先程襲ってきたフレイの幻像。
ラクスのあの笑顔に、別の女性を重ねた自分に吐き気すらした。
だから、さきほど彼女が髪に手を差し伸ばしてくれた時…そんな自分の心中を悟れるのではとやはり怖くなり…つい振り払ってしまった。
しかし、その後に見せたラクスの寂しそうな笑顔。
心が痛んだ。
自分が見たかったのはあんな笑顔じゃない。
自慰後の気まずさや嫉妬深い自分への嫌悪、フレイのこと云々よりも…彼女にあんな笑顔を浮かべさせるくらいに彼女を傷つけた自分が何よりも腹立たしかった。
そして、彼女が立ち上がって部屋から出ようとした時…とてつもなく怖くなった。
もうそこで気がついた。
自分はラクスが隣にいてくれることが…ラクスのあの笑顔が自分には必要なのだ、と。
だから引き止めたかった。傷つけたことを謝りたい。
自分の隣にまだいて欲しい。
あの笑顔をもう一度見せて欲しい。他でもラクスのあの笑顔を。
気が付いたら、彼女を抱きしめていた。
そのときに感じた彼女の温もり。
あのときに何にもかえ難い、安らぎで心が満たされた。
この温もりは…自分にとってなくてはならないものだと思った。
やはり自分には彼女が隣にいることが必要なのだ。
そして、彼女はまた自分の隣にいてくれた。また髪に触れてきてくれた。
それが何よりも…嬉しい。
最後に…そんなラクスの力になることができなかったことを思い出しまた憂鬱になりかけた自分へその想いを告白してくれた時のラクス。
あの瞬間、目の前にいる少女が―――――この世の何よりも美しく見えた。
それでやっとわかった。
どうして一人でする時、いつも彼女のことばかりが意識を占めるのか…どうしてあの時アスランに嫉妬してしまったのか
…自分は本当は彼女のことをどう想っているのか…を。
「そうだ。やっぱり…ボクは…ラクスが好きなんだ!一人の女の子としてのラクスが!」
キラはラクスの肩を正面から掴んできっぱり言い切った。
「キラ…」
そんなキラをラクスはしばらく呆然と見ていた。
今まで自分の感情を器用に隠して生きてきた彼女にとって、今起きてる出来事は信じられなかった。自分が曝け出した感情が…こんなにも真
っ直ぐに受け止めてもらえていることが。
今起きている出来事が…夢や幻のようなものに感じてしまっていたのだ。
「ごめん。きみの方からこんなこと言わせて…こんな、きみにつられたような言い方で…でも、今はっきりわかったんだ。ボクはラクスが好きなんだ!」
「キラァ!」
(キラが…キラが…わたくしを好きっていってくれた!)
キラの放つ言葉の意味が掴めてくるにつれてラクスの顔が…歓喜で染めあがっていく。
「ラクス…好きだよ」
キラは照れと恥ずかしさで顔を紅潮させながらも、ラクスを正面から見据えてしっかりと言った。この言葉が偽りでないことを彼女にわかって貰うために力強く。
「ああ…キラァ…」
(そうですよ…これは夢でも幻でもありませんわ!キラはいつどんな時でもわたくしの想いも何もかもを受け止めてくれる…そうですよ…キラだったら!)
ラクスは満面の笑顔を見せながらも…しだいに感涙にむせんでいく。
「ラクス!」
キラはラクスを今度は正面から抱きしめて
「ボク…まだわかんないことがたくさんあるけど…でも…でも…きみが好きなんだよ!」
「キラァ!わたくしもあなたのことが…大好きです!」
ラクスはキラの肩に顔をうずめながら、その背中を遠慮なく抱きしめる。
「キラァ…キラァ…」
「ラクス…ラクス…」
しばらく二人は互いの名前を呼びながら、その温もりを味わう。
「ラクス…ありがとう。きみのおかげでボクはようやく自分の気持ちに気づくことができたよ」
「いえ。お礼を言いたいのはわたくしの方ですわ。キラ…わたくし…嬉しい。あなたに想いを伝えて………本当によかった…」
「ラクス…」
キラはラクスを抱くのをとりあえず解いて、その両肩に手を置いて…
「ボク……………………きみと…今…キスがしたい…」
キラは今の自分の想いを素直に言葉にした。元から紅潮させていた顔をさらに真っ赤に染め上げて。
「キラ…………はい…して下さい…キス」
ラクスはキラに濡れた瞳を向けてその求めを受け容れた。
「じゃあ…」
「はい…」
キラはそのままラクスの小鳥のように小さく愛らしい唇に自分の唇を寄せようとするが…
「あ、あの…」
「はい?」
「目…閉じて…」
「へ?」
ラクスはずっとその大きな瞳をぱっちりと開けっ放しでキラの唇を待っていたのだ。それに気づいたキラは、ラクスに
「あの…だから…キ、キスするから…目、閉じて」
「?どうしてですか?」
ラクスはきょとんとした様子で返す。
「い、いや…普通は目は閉じない?」
「そうなんですか?」
「う、うん。多分…そんなに開けられるとちょっとしにくいし…だから…閉じて」
「え…そんな…」
ラクスがそれを聞いて残念そうな表情をキラに向ける。
「え、いや…なの?」
「だって…せっかくキラのお顔がこんなに近くにあるのに…わたくし…ずっと見てたいです。わたくしにはじめてキスしてくれるキラのお顔を…大
好きなあなたのお顔を…目に焼き付けておきたいんです」
「ラ、ラクス…」
ラクスのその台詞に、キラは思わず胸がどきりとしてしまう。
「キラ…目、閉じないと…駄目ですか?」
残念そうに眉をひそめつつ、媚びるような目つきでラクスはキラを見つめる。
「ラクス……………………うん、じゃ、じゃあ開けてていいよ」
ラクスの愛らしい台詞とその魅惑的な表情。それを拒むことなど今のキラにできるはずもなかった。
「はい!」
ラクスはそれをきいてまた笑顔を取り戻し、キラに向けたブルーの瞳を潤めつつ、唇をちょんと突き出して、彼を待つ。
「じゃあ…ラクス…」
ラクスが目を開けてるのに自分だけ閉じるのもまた変な気がして、キラもそのパープルカラーの瞳でラクスの美しい顔をじっと見つめながら、唇を近づけていく。
「キス…するよ」
「はい…キラァ…」
(ああキラのお顔がこんなに近く…………ついにキラと…キラと…キラと…キス…キス…わたくしの…ファーストキス…)
(す、すごい…間近で正面からみると…ラクス…ほんとに可愛い…こんな可愛い女の子…他に見たことない。そんなラクスと…ボクはキスをするのか…)
ドクン ドクン
顔が…瞳が…唇が近づくにつれてお互いの鼓動がどんどんと昂ぶり、その音がスタンドライトだけを灯した薄暗い部屋の中に響いている。
そして…
チュッ
ついに訪れた瞬間。
温かく柔らかい感触が互いの唇を包み込む。
(うわ!ラクスの唇…艶々してて…柔らかい…き、気持ちいい…ああ…ラクスの瞳が…目の前に…)
想像を越えるラクスの唇の心地よさ。そして整った長い睫毛の下で輝くとてつもなく綺麗なマリンブルーの瞳。
キラの鼓動は限界まで昂ぶっていく。キラは彼女の肩に置いたその手を彼女の背中に回してもっと自分の方へと抱き寄せる。
もっと感じたい。ラクスを。
一方ラクスは
(こ、これがキス…………………………………………………………すごい…すごい…すごい!!!!!!!)
彼女の頭の中にはその言葉しか浮かばなかった。
キラの温かく柔らかい唇。
それを通してつたわってくる…彼の…想い…優しさ…存在。
そして、目の前に映る大きな菫色の瞳。
まるでこの世界にはキラしかいなくて…そのキラが…そのキラの全てが自分だけのものになったかのような感覚。
それらがラクスの心を満たしていく。
元々ラクスは少々過剰なぐらいスキンシップを好む女性で、
これ以前からも何度も手でキラの髪や頬に触れてきたし、彼の頬にキスしたこともまた彼から頬にキスしてもらったこともあったが…この唇と
唇のキスは…そんなものを遥かに超える威力をもっていた。
己の想像をはるかに超えるその威力の前に…ラクスは一切の思考をストップさせてしまう。
気が付いたらキラの背中に回していた腕を、彼の頭の後ろにもっていって唇をもっともっと彼の方へと押し付けていた。
「んふ…ふ…」
「は…はふ…んん」
しばらく二人は熱い視線を絡め合わせながら、互いの唇の感触に酔いしれた。
そして
「んん…ぷは!」
「んは…!」
一体どれだけの時間そうしていただろうか。さすがに息苦しくなった二人は、どちらからともなく名残おしそうに口を解放した。
「はあ…はあ…ラクス…」
(すごい…キスだけでこんなに気持ち良くなれるなんて…ボクはやっぱり…ラクスのことが好きなんだ…)
「ああ…」
(おわっちゃった…キス…おわっちゃった…)
「ラクス…好きだよ…ほんとに…好きだよ」
彼女の瞳をじっとみつめてキラは改めて自分の想いを囁いた。
「はい…わ、たくしも…好き…きらぁ…」
「うん……………え、ラクス…?」
「きらぁ…きらぁ…」
ラクスは夢見心地でキスの余韻に浸っていた。少しだらしなく口を開いて、とろんとした瞳でぼんやりとキラを見つめている。
「きらぁ…♥」
「ラクス…」
(ふふ…可愛いよ…ラクス)
キラはそんなラクスの少しウェーブのかかったピンク色の髪を愛しそうに撫でていく。
(ん?そういえば、ボクってラクスに髪を撫でてもらうことは今まで何度もあったけど、ラクスの髪をこんな風に撫でてあげるのはこれが初めて
だな。ふふ…ラクスの髪…ふわふわで柔らかくてサラサラしてて…触ってるだけで気持ちいいなあ)
すると
「キラ…わたくし」
顔を蕩けさせながらラクスは呟く。
「ん?」
「これが…わたくしのファーストキスです…」
「え、そうなの?」
(アスランとは…してなかったんだ…ラクス)
「はい…すごかったです」
「え?」
「想像していたよりずっと…ずっと…ずっと…すごかったです」
「ラクス…」
「今わたくしほんとに…嬉しい…こんなにすごいものをあなたにしてもらえて…あなたがファーストキスで…ほんとによかった」
その言葉のとおり心底嬉しそうな笑みをキラにおくるラクス。
「ラクス…うん…ありがとう」
キラはラクスの言葉に胸が一杯になりながら、穏やかな笑みをたたえて髪をずっと優しく撫でていく。
(アスランとはキスしてなかったなんて…なんかすごく嬉しいな。ラクスが…ファーストキスの相手に他でもないボクを選んでくれたって、ほんとに嬉しい…)
「キラは…」
「ん?」
「キラのファーストキスは…わたくしですか?」
ラクスを期待を込めてついそんなことを聞いてみた。
それに対してキラは
「え!!!???」
顔を急に引きつらせる。
そして、気まずそうに
「ボクは…違うんだ」
「………………………そうですか…残念…」
それを聞き、落胆した様子をあからさまに浮かべながらラクスが、キラのファーストキスの相手は誰なのだろう?、とその誰かにちょっと嫉妬心を心の中で抱いていると
「…く…!」
「…え?」
突如キラが顔を苦しそうに大きく歪めて、胸を掴んで俯きだした。
「キ、キラ!?」
ラクスが慌てて声をかけると
「ご、ごめん…」
「え?」
「ボクの…ファーストキスは…フレイ…なんだ…」
「あ…!」
その言葉を告げると、キラは何かから逃げるように目をきゅうっと強く閉じた。
(く…!?ま、まただ…!)
ラクスの問いを受けた瞬間…また例の幻像がキラを襲った。
(な、なんで…!?ボクは…ラクスが…好きなんだ…ただそれだけなのに…どうして…またここでフレイが…!?た、確かに初めてキスしたの
がフレイだ。ラクスからしたらそれは嫌かもしれないけど…これは事実なんだ!でも…だからなんだよ!?ボクは本当にラクスが好きな
んだ!ラクスだったら…それをわかってくれる!…なのになんでまた!?)
『わたしの想いは…あなたを守るわ…』
フレイとしたファーストキス…憧れていた女性が突然自分の唇に触れてきたあの瞬間。
まだフレイの思惑に何も気づいていなくて…純粋に憧れの人との初めてのキスに…戸惑いつつも心躍ったあの瞬間。
戦うことへの苦しみの一切から解き放たれたあの瞬間。
それがキラの頭の中にふとよみがえった。
「…」
キラがもう一度視線をラクスに戻すと、気遣わしげに様子をうかがってくるラクスの顔が映る。
今度は…何もでてこなかった。ほんとにただラクスの顔だけが目に映った。
それに一瞬安堵しつつも…キラの中にどうしようもない罪悪感が生まれる。
(な、なんなんだよ…ボクは…こんなの…最低じゃないか!?ラクスに対して…失礼だろ!?いくら初めてのキスがフレイなのは事実で、それ
を聞いてきたのはラクスだからといって…こんなときに…他の人のことを考えているなんて!)
辛くもあったが…それでも心安らいだ時も確かにあった…彼女と過ごしたあの一時。
そして…死別した瞬間。
様々なものが入り混じって、苦しそうに胸を掴むキラ。
そんなキラを居た堪れない気持ちになりながら見つめるラクス。
(確かに…フレイ・アルスターさんなら…キラとキスしていても不思議ではありませんね…)
キラとフレイの関係については、キスをしたとか直接的な表現はしなかったが、キラは先の大戦の際にラクスに告げていた。
(わたくしは…なにを…)
自分がそうであったように、キラも初めてのキスの相手は自分でいて欲しい…そんな願いからついあんなことを聞いてしまったのだが…自分のその軽率な考えと発言が
(わたくしのせいで…キラはまたフレイ・アルスターさんのことを思い出して…苦しんでる)
こうしてキラを無意味に苦しめることとなり…ラクスは胸が締め付けられ、そのまま押し潰れそうになるような感覚を得た。
(何を考えているんですか、わたくしは…キラのファーストキスがわたくしであろうとなかろうと関係ないではありませんか!大切なのは、今こう
してキラが目の前にいて、そのキラがわたくしを好きと言ってくれて、キスをしてくれたということ。それで…十分ではありませんか!)
キラの過去にまで干渉して、今現在いるキラを苦しめた子供じみた自分の考えをラクスは心の中で恥じた。
(そうですよ。今ここにいるキラが全て。そのキラがわたくしは好きで、そして、そのキラがわたくしを好きでいてくれる。それが全てです。…よし!)
自分の下らない考えによって引き起こされた事態を正そうと…自分のせいで苦しめたキラを癒してあげようと…そして、今の自分の想いを伝えようと、ラクスは意を決して…
「キラ」
「…」
「わたくし…キラのファーストキス…欲しかったです。キラのファーストキスがもらえなくて…わたくし、残念です」
そう言って、わざとらしくまた残念そうな表情を浮かべるラクス。
「…く」
それを聞いてキラはまた顔を苦しそうに歪めたが、ラクスは一転して軽やかに微笑んで
「だから…かわりに、別のものをください♪」
「…え?」
ラクスのその言葉に、キラは視線をあげて彼女の顔を見る。
「べ、別のもの…?」
「はい」
「な、何を?」
「………『キラ・ヤマトと好きなときに好きなだけキスしていい権利』です♥」
言った瞬間、ラクスは顔を真っ赤に沸騰させる。
「え、え!?ラ、ラクス…何を…!?」
思いもかけなかったその言葉にキラは困惑する。
「だから…キ、『キラ・ヤマトと好きなときに好きなだけキスしていい権利』をくださいって…わ、わたくしは言ったんです」
顔を赤らめつつ、少し恥ずかしそうに裏返った声でラクスは言う。
「あ、あの…」
キラは何と言って返していいかわからず目を泳がせる。
「だめ…ですか?」
上目遣いでキラを見るラクス。
「あ、あの…そ、そんなもんでよければ…いくらでも」
何が何だかよくわからず混乱していたキラだったが、いつのまにかそれを受け入れてしまっていた。
「…ふふ、じゃあこの唇は今からわたくしのものですね♥」
そういってラクスは嬉しそうに笑いながら、自身の人差し指をキラの唇の上に置く。
「あ、あの…」
「違いますか?」
「あ、う、うん…そういうことになるのかな…?」
「ふふ、じゃあさっそく!…ちゅ」
「あ…んん…」
ラクスは腕をキラの首に絡めて今度は自分からキラの口を塞ぐ。
「ちゅ…んん」
再び訪れた至福の瞬間に頭が蕩けそうになりながらも、ラクスは唇を重ねつつキラの頭を優しく撫でる。
そうだ。
キラの過去など関係ない。
自分は今こうして目の前にいるキラを愛しく想っているのであり、そのキラが自分を「好き」と言ってくれたあの瞬間のように明るく安らいだ笑
顔をみせてくれることこそが自分の心からの願い。
自分が包み込むことで、キラの傷の痛みをせめてこの瞬間だけでも…想いが通じ合えた大切なこの瞬間だけでも…忘れさせてあげられる
ことができれば…そして、キラが先程のようにまた笑ってくれるようになるのであれば…そんなことを想い、ラクスはキラをただひたすら優しく
抱きしめ、温かい唇の感触を彼に伝えていく。
「んふ…」
ラクスの温かさに包まれながら…キラの心は少しずつ安らいでいく。
(ラクス…そうだ…ボクは…やっぱりラクスが好きなんだ)
唇を通して伝わってくる彼女の想いが、キラの悲しみを少しずつ消していく。
(そうだ…今こうして目の前にラクスがいる。目の前にいるラクスがボクは好きなんだ。それが一番大事なんだ…昔のことをいちいち気にかけてるほうがどうかしてる)
目を開けると…またラクスのブルーの瞳が映る。
視線が絡み合うと、嬉しそうにそして少し恥ずかしそうに目を細めてこちらを見つめてくるラクスの瞳。
その中にとても優しい色を浮かべた綺麗な瞳。
キラはそれをみつめながら、改めて思った。
自分はこの瞳が…この唇に伝わってくる彼女の温かさが…何よりも好きなのだと。
その気持ちに…偽りはない。
そして…もう過去のことに気をとられることは…ない。
手を再びラクスの背中に回して彼女を抱き寄せる。
「んん…ぷは」
「ふは…」
また息苦しくなって二人は口を離して、抱擁を解く。
「ラクス…ありがとう」
キラはラクスに微笑んで告げる。
「はい?」
「ボクの初めてのキスは確かにフレイなんだ」
「…」
「それとね…」
「?」
「ボク…今もそうだったんだけど…今まできみの顔を見るとき…時々フレイのことを思い出していたんだ」
「…そうですか」
ラクスはそれを聞いて、少し切なそうな表情をとった。
「でも…」
「?」
「ボクはずっと前からフレイのこととは関係なく、本当にラクスが好きだったんだ。それが一番大事なことだなんだ。フレイのことをいちいち気にかける方がどうかしてた」
「キラ…」
「フレイはフレイで…ラクスはラクスなんだ。そして、ボクは…ラクスが好きなんだ。この気持ちは揺ぎ無いよ。ラクスのおかげで…それがはっきりした」
その瞳にしっかりした意志を込めて、キラは告げた。
「ふふ…」
ラクスはそれを聞くと、ふわりとキラに微笑えみかける。
(そうですわ…わたくしは今のキラがわたくしをみて、わたくしを好きって言ってくれる…そして、笑ってくれる…それが一番嬉しいんですわ)
「わたくしも…キラが好きですわ」
「うん。ありがとう」
「いいえ。お礼なん言いっていただく必要はありませんわ。でも…」
「ん?」
「さっきの約束、忘れないでくださいね」
「え、約束?」
「はい。『キラ・ヤマトと好きなときに好きなだけキスしていい権利』をわたくしはもらったんですから♥忘れないでくださいよ」
いたずらっぽく笑いを浮かべて、キラの唇を指で撫でながらラクスは言う。
「はは…うん。いいよ。好きなときに好きなだけキスして、ラクス。ボクも…それが一番嬉しい」
キラも、もう吹っ切れたような笑いを浮かべる。
すると突然
「ちゅ♪」
「ん?…ちゅ」
いきなりラクスの唇を奪う。
珍しく少し強引なキラに多少の戸惑いを覚えたが、ラクスはすぐにそれを受け入れた。
「んは…ボクもいいかな?」
「ん…何をですか?」
「『ラクス・クラインと好きなときに好きなだけキスしていい権利』…欲しいな」
期待を込めてニッコリ笑ってそんなことを言うキラ。
それに対しラクスは
「…だめです」
どこか意地悪な笑いを浮かべてそう言った。
「え…」
それを聞くとキラは笑顔を解いて、寂しそうな目でラクスを見るが
「ちゅ♪」
「んちゅ?」
ラクスはまたキラの首に腕を絡めてキスをする。
「ちゅは…なんでだと思います?」
「ん?えっと…」
尋ねられてキラは思案するが…わからない。
「これからはね、今みたいにわたくしの方から、たくさん、たくさん、た〜くさん、キスするからです♥キラの方からしたいなんて思わせないぐらいに」
「…はは、じゃあ…いっかな」
「ふふ」
そのまま二人して顔を正面に向け合いながら、笑みを交わす。
するとラクスが
「ふふ。ねえキラ」
「ん?」
「今日は、このままあなたのお部屋でお泊りしたいんですけど…いいですか?」
にこやかにそう尋ねる。
「え!?」
それを聞いて…キラは困惑の表情を浮かべる。
「え…あの…その…」
しどろもどろになるキラ。
「あの…だめですか?」
「いや…その…」
キラの顔はまたどんどんと赤みを増していき、全身からべっとりと汗が吹き出てくる。
そんなキラに対して、ラクスはいたって真面目な様子で
「あの…キラは…嫌ですか?」
「そういうわけじゃなくて…でも…どうして?」
「だって…今日はわたくしとあなたの想いが一つになった大切な日なのですから…最後まであなたと一緒にいたいんです」
いたって真剣な面持ちでそう答えるラクスを見て、キラは気づく。
(も、もしかしてラクスは…ほんとにただ一緒に寝たいだけ?)
ラクスの言葉をはじめ聞いたときにキラの頭をよぎった期待。
それはつまり…ラクスがキスよりもっと進んだ行為を誘っているのだ、というものだ。
キラもやはり健全な男子であるわけで…そうした行為への欲は強く存在する。
しかし一方で、告白しあったそのすぐ次の瞬間…初めて唇を交わしたそのすぐ次の瞬間に…そこまで至ってしまうというのも何となく気が引けたのだ。
それで誘いに乗っていいものかどうか迷っていたのだが…今のラクスをみるとどうも違うようだ。
(ラ、ラクスはちょっと天然なところがあるからなあ…ほんとにただ一緒にいたくて言っただけなんだろうなあ。そ、そうだよ…ボクは何を期待してるんだ…このスケベ!)
一人突っ走りそうになった己を恥じるように、自らの頭を小突くキラ。
「あ、あの…キラ?」
ラクスはそれをポカンとした目で見ていたが
「あ、う、うん。大丈夫だよラクス。じゃあ、きょ、今日はこのまま泊まっていってよ」
己の中に芽生えていた下卑た考えをごまかすように笑いながら、キラは言った。
「…はい!」
最初は不思議そうにキラを見ていたラクスも、自分の申し出が承諾されたことで満面の笑みを浮かべる。
「で、でも…一緒のベッドで寝ることになるけど…いい?」
「何を言ってるんですか。キラと一緒のベッドで寝たいんですよ♪」
「…うん。わかった。じゃあ、もう遅くなってきたし…さっそく寝よっか」
「はい」
キラに促されて、ラクスは恥ずかしそうに笑いながらスリッパを脱いでキラのベッドに寝転がる。
キラも続いて同じようにスリッパを脱いで、ラクスに添い寝する形にとり、上から布団を自分と彼女の上にかける。
二人で同じベッドに寝る。
しかし、キラのそのベッドはシングルベッド。しかも枕は一つだけ。
自然と二人の体の距離は縮まり、その距離の近さに二人は笑みを浮かべつつも恥ずかしそうに顔を赤らめ鼓動を少し速める。
「ふふ」
ラクスはキラと向かい合って寄り添い、布団の中の彼の右手を左手で握る。
「ふふ。キラが目の前にいます」
少し照れ笑いを浮かべながらも、嬉しそうにラクスは言った。
「うん。こんなに近くで正面から向かい合うって、今まではあんまりなかったよね」
キラもまた照れたように笑いながら返す。
「はい」
「なんだか…ラクスの顔が昨日とは全然違って見えるよ」
「え、どんな?」
「すごく………………可愛い」
「ふふ…キラったら♪」
「あ、今まで可愛くないと思ってたわけじゃないよ。ただ…やっとはっきりと自覚できたっていうか…」
「ふふ。ありがとうございます♪」
「ラクスはどう?変わって見える?」
「わたくしは変わりませんわ」
「そうなの?」
「ええ。わたくしはいつでも…あなたのお顔、大好きだったんですから♥」
ラクスはそう言って右手をキラの頬に添えて、彼女の「大好きな顔」を撫でる。
「ラクス…ありがとう」
そのラクスの言葉をうけて、キラも微笑みながら左手を彼女の頬に置く。
「ふふ。ねえキラ」
「ん?」
「これからはあなたのことを『わたくしの恋人』として周りの人に紹介してもいいんですよね?」
「うん。ボクもこれからはきみのことは『ボクの恋人』としてみんなに言うよ」
「はい!」
「でも…ちょっと恥ずかしいなあ」
「あら!わたくしは全然そんなことありませんわ」
「そうなの?」
「はい!むしろ自慢したいぐらいですわ。わたくしの恋人はこんなに素敵な人なんです、って」
「はは。ありがとう、ラクス」
堅く手を握り合い、もう一方の手で互いの頬を撫で合う二人。
するとふとラクスがその色白の頬をますます赤らめて
「ふふ。キラ、わたくしって本当に恵まれてますわ」
「どうして?」
「だって初恋は実らないってよく言うじゃありませんか」
「あ、うん」
「でもわたくしは実っちゃいました…」
キラの手をぎゅっと握り締めてそう告げるラクス。
「ラクス…」
当然その言葉の意味するところは…ラクスの初恋がキラだということだ。その事実にキラは体が飛び上がりそうなほどの喜びを感じる。
「ラクス…なんというか…ありがとう」
「ふふ…ちゅ♥」
キラの言葉に微笑んでからラクスはまたキラと唇を重ねる。
「ん…」
キラはそれをなんなく受け入れる。
「んん…ぷは…ねえ、ラクス」
「はい?」
「ボクもね…その…本当の恋っていうのかな…それはラクスが初めてだよ。そして、女の子に『好き』って言ったのも…ラクスが初めてだ」
自分の想いを伝えたくて…またラクスの想いに応えたくてそんなことをキラは言った。
その言葉を聞いて、ラクスは心底嬉しそうに微笑んだ。
「ラクス…好きだよ」
「わたくしもあなたが好きですわ…キラ」
二人で穏やかな笑みを湛えながらお互いの想いを確認するようにその言葉を囁き合う。
その後も繰り返しキスを楽しみながら、堅く繋がれた手で、互いの頬に置かれた手で、互いの温もりと存在をかみしめつつ、二人はそのまま穏やかな眠りへと落ちる。
翌日
「……………………ん………」
ラクスがふと目を覚ます。
「んん…」
まだ少し重い瞼をこすると…いつもと違う光景が目に映る。
それは…自分の愛しい人の無邪気な寝顔。
「…………………そうでしたわ」
ラクスは改めて思い出す。
自分は昨晩キラとその想いをひとつにしたのだ、と。
「ふふ。よかったですわ。夢じゃなくて」
キラと想いを与え合い、受け取り合い、そして…生まれて初めてのキスをした。そして、そのまま二人で寄り添いながら共に夜を過ごした。
何もかもがラクスにとって素敵な出来事で…あまりにも素敵すぎて…まるで昨晩のことが夢の中で起きたことのように感じられるが、
こうして目の前にある彼の寝顔を見れば胸を張って言える。
あれは夢じゃない、と。
「ふふ…キラの寝顔っていっつも子供みたい♥でも…昨日のキラのお言葉を借りると…なんだか今までとは違って見えますねわね。すごく…可
愛い♥それをこんなに近くで見れて…ふふふ♪」
キラは割りと朝寝坊のところがあり、そんなキラを毎朝起こしてあげているのはラクスだった。
だから、ラクスがキラの寝顔を見るのはこれが初めてではないのだが…さすがにこんなに至近距離で見たことは一回もなかった。
そして、今目の前にいる彼の寝顔はただの彼の寝顔ではない。自分の恋人となった彼の寝顔だ。
そんな彼の寝顔を近くで見ているのだから、ラクスの眠気は完璧に消え去り、かわりに胸がなんだか熱くなっていた。
そのまま彼の頬をしばらく撫でてみる。
しばらくそうしていると、ふとちょっとしたイタズラ心が湧いてきて
「ちゅっ♥」
唇を重ねてみる。
「ふふ。やだ、わたくしったらいけない娘♪」
まるでイタズラが成功した子供のような笑いを浮かべるラクス。
寝ている相手の唇を勝手に奪うというその行為がラクスに妙な高揚をもたらしていた。
「あ、でもわたくしは『キラ・ヤマトと好きなときに好きなだけキスしていい権利』もっているんですから別に構いませんよね、キラ?」
などと呟きながら、ラクスはしばらくキラの頬を撫でながら彼の寝顔を満足そうに眺めていたが
「あ!」
突然何かを思い出したように身を起こして慌てて部屋を出る。
しばらくしてまた部屋に戻ってくる。
(よかった…キラが起きる前に起きれて…よし、目元もばっちり!)
コンパクトの鏡で、自分の髪型と化粧のノリをもう一度確認してから、それをパジャマのポケットにしまう。
昨晩キラが寝たのを見計らってから、ラクスはこっそり化粧を落とし就寝前のスキンケアをしていた。
(嬉しさのあまりついお泊りしたいなんて言うっちゃって…うっかりしてましたわ。あ、いえキラとご一緒に寝ることができたのはそれはそれで
もちろんよかったんですけど。でも、お化粧したまま寝ちゃうとお肌をいためますからね。ピンクちゃんのことでキラが寝不足気味で早めに寝てくれて助かりましたわ)
そんなわけで、彼女はさっそく顔を洗い化粧をし直し髪も整え直したりと、身だしなみをしっかりさせてきたのだ。
そして
「さて、あ、今日は早めに支度しなくちゃ!…キラ!キラ!」
ベッドに歩み寄り、眠る彼の肩をいつものように優しく揺さぶって彼を呼ぶ。
「んん…」
「キラ!起きてくださいな!キラ!」
「んん…ら…くす…?」
眠りの世界から少しずつ戻ってきたキラはまだ重たそうな瞼を半開きにして目の前のラクスをぼんやりと見上げる。
「はい」
「え…と…もう…あさ?」
「はい、そうですよ。それで、カリダお義母様はもう少ししないと帰ってこられないので、朝ご飯の仕度は早めに始めないといけないんです。キラも手伝ってくださいな」
「う…ん…わかった」
キラはやっと気だるそうな体をのろのろと起こす。
「おはよう、ラクス」
「はい。おはようございます」
互いに軽く笑みを浮かべながら朝の挨拶を交わす。
「…何だか…」
「?」
「昨日のことが…夢だったみたいに感じちゃうよ」
自分と全く同じことを考えていたキラに、ラクスは思わず少し吹き出す。
「ふふ。でも、夢じゃありませんわよ」
「うん、わかってる。てか、夢だったら…困る」
「…ちゅ♥」
ラクスはキラの唇に奇襲をかける。
キラに昨日のことが夢ではないことを教えてあげるためのキス。そして、朝一番のキス。(実は先程こっそりもう済ましていたわけだが)
「あ…」
「ふふ。おはようのキスです♪これで夢じゃないとわかったでしょ?」
445 :
Fields of hope −61− :2006/01/13(金) 17:46:47 ID:jPJFOkxP
「はは。ありがとう」
「ではキラ、わたくしはまずはお部屋に戻って着替えてきますね」
「うん」
ラクスは最後にキラともう一度唇を軽く重ねてから部屋を出る。
キラはそれを温かい目で見送った。
(なんか昨日のことのおかげで、ラクスとの距離が一気に縮まった気がするな。いや、距離が縮まった…っていう言い方はちょっと違うかもな。
本当はお互いに好き同士だったのに、ずっとそれに気づいていなかっただけのことだよな。でも、ラクスの方から告白してくれてボクはそれに気づくことができた。…ラクス、ありがとう)
しみじみとそんなことを思いつつ、キラは顔を洗うべくベッドから出て、洗面所へと向かった。
その日の午後
「はい、カリダお義母様」
「ありがとう、ラクスさん」
ラクス達が朝食を食べ終えて少し経ってから、カリダとマルキオ達は本島から戻ってきていた。
そして、そのままいつものようにみんなで昼食を済まし、ラクスとカリダは一通りの家事に一旦区切りをつけたところで、例のごとく共にティータイムを過ごしていた。
キラはまた子供達と外に遊びに出かけ、マルキオは昨日の疲れからか自室で休眠中だ。
しばらく二人は紅茶と茶菓子を嗜みながら、いつものように雑談に興じる。
するとふとカリダが
「そういえば、ラクスさん、昨日アスラン君たちが遊びに来てた時…キラと何かあった?」
「え!?」
その質問にラクスは思わずドキリとする。
「あなた達、仲良いのは相変わらずなんだけど、なんか一昨日までと雰囲気が違うような気がするのよ」
好奇心の入り混じった笑顔でカリダはラクスに尋ねる。
今日のキラとラクスはどうも様子がおかしかった。
しきりに顔を少し赤らめ互いを見つめ合ったり、いつも以上に寄り添い合っていた。
特にいつもだったらラクスからキラに話しかけたりすることが多いのに、今日はキラからラクスの方へと話しかけたり近寄っていったりする場面が多かったような気がした。
(カリダお義母様…さすがに鋭いですわ…)
ついそんな感想を抱きつつ、ラクスはその質問にどう答えようか少し思案する。
今朝、キラには「みんなに自慢したいぐらい」とは言ったものの、それをいきなり相手の母親の前で言うのはラクスも一瞬躊躇いを覚えたが
(別に隠したところで何も意味はありませんわね。それに、わたくしはキラのことが本当に好き。この気持ちには何も偽りもやましいことも一切ありませんもの…)
そのように結論付けて、結局
「カリダお義母様」
「はい?」
「わたくし…キラとお付き合いすることになりました」
少し頬を赤らめつつも微笑みながらラクスは堂々と宣言した。
「それは…恋人…として?」
「はい!」
「…ふふ、そう」
カリダはそれを見て、特に動揺することもなくふわりと微笑む。どうやらその答えがくることを半ば確信していたようだ。
だが、それから少し声の調子を落として
「あの…それは…こないだわたしが煽るようなことを…言ったから?」
「…それもないとは言い切れません」
(あげちまったごめん)
↓続き
ラクスは正直に答えた。それを聞いてカリダは複雑な表情になり、なんとなく申し訳なさそうに視線を下に向けるが
「でも…」
「え?」
「むしろわたくしはカリダお義母様には感謝しています。カガリさんにも」
「カガリさん?」
突然その名前が出てきてカリダが不思議そうに問うと
「昨日、カガリさん達がここにいらっしゃった時、カガリさんにも、今勇気を出してわたくしの方から告白した方がいいんじゃないか、て言われたんです」
「そうなの…」
「カリダお義母様とカガリさん…お二人のおかげでわたくしは勇気を出して告白することができました」
「そんな…『おかげ』なんて言わないでちょうだい」
「いえ。本当にお二人には感謝しています。お二人のお言葉があったからこそ、昨日わたくしはキラに告白することができたんです。…でも一番のきっかけは…」
「?」
ここでラクスは顔の赤らみを少し強めて
「昨日夜に少しキラとお話して…それでわたくし、はっきりしたんです。わたくしはキラのことが本当に好きなんだ、って」
「ラクスさん…」
「そしてわかったんです。この気持ちはもう隠しようがない、って。だから、キラに自分の気持ちを正直に告白した。そうしたら…キラもわたくし
と同じ気持ちでいてくれて、それに応えてくれたんです」
言葉を紡ぎながらラクスは自分自身の有り様の変化に少し驚きを感じていた。
こんなに他人に対して自分の気持ちを素直に言うことができたのは、両親とキラ以外の人では初めてではないだろうか。
(わたくしも少しずつ変わってきてるのでしょうかね…みなさんのおかげで…そして、キラのおかげで)
そんなことを思いつつラクスは
「結局、キラもわたくしもただ自分の気持ちに正直になって自分の気持ちを伝えた。それが…全てです」
最後にニッコリと笑ってそう告げた。
そんなラクスの言葉に、一昨日自分が煽るようなことを言ったことがこの少女の心に特に負担をかけていたわけではないことがわかり、カリダもいくらか救われたような気分になる。
そして、カリダは改めて思った。
やはりこの少女になら…安心してキラを任せられる、と。
キラのことを「好き」だと、こんなにも誇らしげに言ってくれるこの娘なら…何も不安はない。
実際今日のキラはいつもより口数も多く、表情も明るかった。
今日ほど楽しそうに笑っているキラを、カリダはこのところ見たことがなかった。
ラクスの…おかげだ。
しかし、カリダにはまだ一つ気にかかることがあった…
「そう。じゃあ、キラのこと…これからもよろしくね」
カリダもニッコリ笑ってラクスにそう言った。
「はい!」
ラクスは笑顔を浮かべながらも、強い意志を込めてカリダに答える。
「ふふ。それにしてもキラったら果報者ね。こんなに素敵な人が恋人になってくれるなんて」
「そんな…カリダお義母様、お世辞が過ぎますわ」
「あら、わたしはほんとにそう思ってるんだけど」
「そうですか?」
「ええ。でもラクスさん…一つ気をつけてほしいことがあるの」
「え?」
ここでなぜかカリダは急に憂いを含んだ表情になって
「キラって、元々甘えん坊なところがあるでしょ?ラクスさんはそう思わない?」
「えっと…」
そう尋ねられて、なんと答えればいいのかわからずラクスは返答に窮する。
カリダは言葉を続ける。
「だからってわけじゃないけど…キラの心の問題のことで、キラをあんまり甘やかしたりするようなことには…ならないでほしいの」
「あ…!」
そう言われてラクスはハッとした表情になる。
「キラは、キラの心の問題から逃げてはいけないし、答えはキラ自身で出さなきゃいけない。そうでしょ?」
「…はい」
「だからね、キラとこれから付き合っていく際にはね、そこだけは気をつけてほしいの。あなた達が恋人同士になった今、これから二人で互い
を支え合っていく、ていうのはすごく大事なことだと思う。でも、そこでキラがラクスさんに甘えてばかりいるようなことにはならないように気を
つけてね。もちろんラクスさんの方からも…キラに甘えてばかりいるようなことにはならないようにしてちょうだい」
その表情に憂いを含ませつつも、ラクスを正面から見据えてはっきりとして口調で言い切るカリダ。
カリダとしては、もちろんこれからラクスがキラとそうした関係のもとで交際していくことに何も異論はないのだが…このことだけは言っておきた
かったのだ。キラのためにも、ラクスのためにも。
「…………………はい」
そんなカリダの言葉に対し、ラクスは表情を引き締め居住まいを正してしっかりと頷く。
「こないだ、わたしの方からけしかけるようなこと言っといて勝手な言い方だけど…本当に気をつけてね、ラクスさん」
「はい」
「………互いに甘え合っているだけの関係って…最終的には良くないものしか二人の中に残らないことって…多いからね」
カリダはそう言って窓の外の海に目を向け、懐かしそうな、それでいて悲しそうな目で遠くを見つめる。
「カリダお義母様…」
「ラクスさんはそういう悲しい恋…もちろん嫌でしょ?」
「…はい」
「だったら、何度も言うけど…気をつけてね。互いに『支え合う』というのは大事だけど…それと『甘え合う』っていうのは違うことよ」
「…はい」
遠くを見つめるカリダの横顔を見ながら
(カリダお義母様は…昔「そういう悲しい恋」を経験されたことがあるのかもしれませんね…)
そんなことをなんとなく思いつつ
「カリダお義母様」
「ん?」
「わたくしとキラなら大丈夫です。どうかご安心ください」
微笑みを浮かべて、それでも力強い口調でラクスはしっかりと告げた。
するとカリダもラクスの方を向き、柔らかく微笑んで
「………そうね、ラクスさんなら大丈夫よね。しっかりしてるし」
そう告げた。
カリダの顔にあった翳りも、さっと消えていく。
「はい、どうかお任せください!」
少しの間妙に暗いものが流れこんでいた二人の間にも、まただんだんと明るさが戻ってきたようだ。
「あ、ところでカリダお義母様…」
「なに?」
「キラは…その…やっぱり昔からちょっと甘えん坊さんだったんですか?」
ちょっと気分を変えようと明るい話題を用意するために、また愛しの人の昔の話を、その人を一番良く見てきただろう人から聞きたかった
がために、ラクスは好奇心を顔に含ませつつ、にこやかにカリダにそんなことを尋ねた。
「ん…ああ、ええ!それはもう!今はさすがにだいぶ落ち着いたみたいだけど、子供の頃なんかはアスラン君にいっつも頼ってばっかりで―――――」
その後、カリダはキラの子供の頃の話をラクスにしてあげた。
ラクスはそれを一言一句も聞き漏らすまいといった感じで、興味津々に楽しそうに聞いていく。
元々互いに好印象を抱いていた仲だし、カリダにはラクスがキラの恋人になってくれることを反対する気持ちなどどこにもなかった。
だから、キラとラクスが恋人同士になったからといって特に何か気まずいものが生まれるわけでもなく、先程の暗い空気もすっかり消え去り、
二人ともどこかいつもより上機嫌な様子でそのまま午後の一時を楽しむ。
「ただいま」
子供達を引き連れてキラが帰ってくる。
「おかえりなさい」
「おかえりなさい、みなさん」
二人はそれを笑顔で迎える。
「あ、クッキーだ!」
「食べたーい!」
子供達は、ラクス達が食べていたクッキーがまだ余っていたのを目ざとく見つける。
「あらあら。召し上げるのはもちろん結構ですけど、その前に手を洗いましょうね」
椅子から立ち上がり、子供達の方に歩み寄ってラクスが言うと
「え、そんな…」
その言葉に不満を表す子供達。
「駄目ですよ」
ラクスは顔の前に左右の人差し指でバッテンをつくってそれを咎めてから
「はい、じゃあ洗面所にいきましょうね」
子供達を引き連れて洗面所へと向かう。
「さて…あら、でも、これじゃみんなの分まではないわね」
一方で後片付けと人数分のクッキーの用意のためにカリダも椅子から立ち上がるが
「キラ」
その前にキラへと声をかける。
「あ、えっと…何?」
キラは思わずぎごちない声をあげる。
今のキラはこうしてカリダと二人っきりになって会話をすることは…あまりない。
そんなキラの様子に少し心を痛めながらも、カリダは温かな笑みをキラに向けて
「ラクスさんのこと…大事にしてあげなきゃ、駄目よ」
「…え?」
「ふふ。あんな素敵な娘、滅多にいないわよ。そんな人が恋人になってくれるなんて、あなたは果報者ね」
「あ!」
「でも、あなたもまだ自分で考えなきゃいけないこと、残ってるでしょ?」
「…」
「だから、あなた達がそういう関係になったことが、ラクスさんにとって、そしてあなたにとって本当に良いことになるかは、これからのあなた次第よ。言いたいこと、わかるでしょ?」
「…うん」
「わたしはあなた達のこと、応援してるから…しっかりね」
「…うん」
(自分で考えなきゃいけないことはキラもまだまだ山積みみたいね。でも安心しなさい、キラ。ラクスさんは本当にあなたのことを想ってくれているから。
そして、母さんはどんな時でもあなた達のこと見守ってあげるから)
そんなことを想いつつ、カリダは二人分のティーセットをもってキッチンへと向かう。
それを複雑な表情でキラは見送る。
(ラクス…ボク達のこと、母さんに言ったんだな…)
自分とラクスの関係を何も咎めず、むしろ「応援してる」とまで言ってくれた母に感謝の念を覚えたキラだったが同時に…
(ボクはいつまで…こだわってるんだ)
そんな優しい母に対してまだ正面から向き合えない自分を…腹立たしく思う。
しばらく憂鬱な表情で自分の右手を見つめながら一人佇むキラだったが
(………………だめ…だな。うん…そうだ。時間は確実に前に進んでるんだ。だからラクスと恋人になれた。いつまでも変なことにこだわる必要は…ない)
そんなことを考えて、目の前のその拳を握り締めるキラ。
少しして
「キラ…?」
気がつくと洗面所から戻ってきたラクスがそばにいた。
「あ、ラクス。母さんなら、足りない分のクッキーを用意するために今キッチンにいるよ。ラクスの分のティーセットも片付けてくれたみたい」
いきなりラクスが現れ少し戸惑ったが、キラはそれを抑えて平静に返事する。
「あ、そうなんです…か」
「うん」
「…」
「ん?………あ…」
「ちゅ」
心配そうな表情を浮かべつつ、黙ってラクスはキラの唇にそっと口づけて…
「…」
「ラクス…」
そのまま彼の体を静かに抱き寄せる。
キラがこうして己の拳を見つめたり、また握り締めたりするのは…彼が「悲しい夢」に関することを考えている時だということをラクスは知っていた。
だから
(時間はちゃんと進んでる…そして、わたくしもあなたも今こうして共にいる…それが一番大切なことではありませんか、キラ。そんな風にいつ
までも「悲しい夢」に縛られていないでください。もっと前を見てください。あなたはもっと…安らかに笑って生きていくべき人なのです。そして、
わたくしもカリダお義母様も…それが一番の願いなんですよ)
その想いを込めて、キラの胸元にすがるように寄りかかって、ただひたすらその体を優しく抱きしめる。
「…………ラクス…大丈夫だよ」
キラは彼女の思いやりに感謝しつつ、その華奢で儚げな背中をそっと抱き返す。
伝わってくる温もりが、心の中のわだかまりを溶かしてくれた。
(そうだ…今こうしてラクスがボクのそばにいてくれる。それが一番大事なんだ。変なことをいちいち気にかける必要は…ない)
「キラ…」
「ボクは…大丈夫だから」
そして、穏やかに微笑んでそう告げる。
「……………………そうですか」
それを聞いて、ラクスもまた穏やかに微笑む。
すると
「あ、なんかやってる!」
「二人とも怪しい!!!」
手を洗って戻ってきた子供達が抱き合っているキラとラクスをからかうように歓声をあげる。
「ね、なんかあったの!?」
「あ、あの…」
そんな子供達の言葉に戸惑い、思わず顔を赤くするキラだったが
「あらあら。別に何でもありませんわよ」
ラクスはキラとの抱擁を優しく解いてから、子供達に向かって何事もなかったように答える。
「え、でも怪しいよー!なんか超イチャイチャしてたし!」
「なんか『恋人』って感じだった!」
一人の子がそんなことを言う。
「あ、そうそう。その『恋人』ってやつみたい!」
子供達の中にはまだ「恋人」という単語がどういうものを意味するのか具体的にはよくわかってない子もいたが、みんなで口をそろえてそんなことを言い出す。
「あら、よくおわかりになりましたね。わたくしとキラはその『恋人』ですわよ♪」
「え!?」
ラクスは平然とニッコリ笑って宣言する。それにびっくりして声をあげるキラ。
「え、そうなの!?」
「はい♪」
「すげえ!『恋人』だ!!!キラ兄ちゃんとラクス姉ちゃんが『恋人』だって!」
「だからわたし言ったじゃん!この二人は前から怪しかった、って!」
「ねえ、いつから!?どっちから告ったの!?」
それをきくと子供達は、妙に盛り上がりはじめる。
「ラ、ラクス…何もそんなはっきり…」
困惑しつつキラはラクスに声をかけるが
「あら、変に隠す必要はないではありませんか?」
キラがどうしてそんなことを気にするのかわからない、といった感じで右手を頬に添えて首をかしげるラクス。
(何か不思議なことや不可解なことがおきたりしたときに彼女がよくやる仕草だ)
もうカリダの公認なのだから、ラクスとしては何も気にとめる必要もないという心持だった。
「いや…まあ…そうかもしれないけど」
子供達の好奇の声にもほとんど動じず、にこにこと笑いながら平然と振る舞い、それどころか子供達のインタビューにも次々と答えるラクスをみてキラは
(ラクスって…相変わらず、妙なところで図太いというかなんというか…なんか、すごいな…)
なんてことを思った。
「あらあら、みんなどうしたの?」
するとカリダがキッチンからクッキーをもって戻ってくる。
「あ、おばさん!キラ兄ちゃんとラクス姉ちゃんがねえ、『恋人』なんだって!」
「あら、わたしはもう知ってるわよ♪」
「そうなの!?」
「ええ。でも不思議じゃないでしょ?この二人は前から仲良しだったんだから」
「すげー!母親公認カプだ!」
「マルキオさまにも教えてやろうぜ!」
「あ、こらこら!あんまり二人をからかうようなことしちゃ駄目よ!さ、クッキー持ってきたから食べていいわよ」
「あ、やったー!」
カリダがクッキーを持ってきたことで子供達の興味はそっちの方に優先されていく。
「でも、なんか少なくない!?これをみんなで分けたら2枚しか食えないよー!」
「しょうがないでしょ。お夕飯の前にお腹一杯にしちゃうわけにはいかないんだから。さ、クッキー食べたらみんなお風呂に入るのよ」
「はーい!」
元気に返事しつつ、子供達はクッキーへと群がる。
「じゃ、ラクスさん。お夕飯の仕度、しましょうか」
「はい。あ、キラ、みなさんが食べ終わったら食器の用意、お願いしますね」
「あ、うん」
そして、ラクスとカリダは何事もなかったようにキッチンへと向かう。
一方でキラはやれやれと溜息をつきつつ、クッキーを食べている子供達を微笑ましく見守っていたが
「イテ!!!」
突然足に痛みが走り、キラは思わず声をあげる。
キラが下を見ると、黒髪の勝気そうな男の子が恨みがましく睨みつけてくるのが目に映る。
彼の名はケンと言う。
どうやらこの子に足を踏みつけられたらしい。
そういえば、この子は…子供達の中でも特にラクスになついてた男の子だったなあ、とキラは思い出した。
「あ、あの…ケン君…」
「ふん!」
憤然とした鼻息を残してから、ケンはクッキーには目も向けずラクスのいるキッチンへと向かった。
(う、う〜ん………子供の嫉妬はそれがストレートに出てきて…怖いなあ)
キラはついそんな感想を抱いた。
これからラクスと過ごしていく時間。
それはキラに明るい期待をもたせるものとなった。
だが、同時にこれから先あの子とどう付き合っていこうかと思うと…少し憂鬱を感じずにはいられなかった。
=お話一旦中断=
とりあえずここで一区切り。
この後、数日後に初せっくるです。明日か明後日に投下します。
最後に一言。
一人でこんなにすれ食って…ごめん。
乙
続きも待ってるよん
乙!!
ワクテカ待ってるよ〜
ぃ.⌒ 人が
働きなさい \ !三 .) ゴミのよう / 探しましたわ
愚民ども \ |三 ノリ ですわ / さあ早く夕食を
〃.⌒ノノ \ ノ三 |) / ,〃.⌒ノノ
!(((!´゙リ)) \ (三 .) / ( (((!´゙リ))
ノ リ*゚ ヮ゚ノ,,っ━~~~ \−=三ムムん'ゞ三= / 〃⌒`⌒ヽ )ヽl.゚ ヮ゚ノl
((と~_ ~ _.ノ_ ▽ \ ∧∧∧∧∧∧/ウワアアン(V∧从V ∩と )
 ̄ ゝ /~), | ┷┳━ < 恐 > (l (ДTWノノ 人 Y
 ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|... ┃ ^○^ <. 政 怖 >=≡とと___ノ し' (_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .┻ < 治 >
───────────── < 予 の >──────────
〃⌒`⌒ヽ裏切らない. < 感 > ||
i ((`')从ノから許して < !!!! > , '"´ ゙̄z,_ …僕たちの…
i,,ゝ;´Д`)ください… /∨∨∨∨∨\ ;´从v∧ <´ 世界は……
_/__\ _. / 〃.⌒ノノ \ W:::)A ` )
| \_____\ / ( (((!´゙リ)) ^○^\ ミ≡≡≡j
_|\|______|. / )ヽl.゚ ヮ゚ノl \ ミ≡≡≡j ユルシテ…ラクス…
|\\|______|./ ( ⊂)У}つ \ ミ≡≡≡j モウ…ウワキシナイ…
\\∧\__)_)/ ^○^ )ノんムゞ \ ヽ)ヽ)
\\∧∧∧∧∧ わたくしに逆らう者はハロになる運命ですわ
てらすごす
このAAはじめてみたなw
職人さんGJ!!
初せっくる投下します。
でもエロそのものにいくまでまだちょっと間があるけど勘弁して。
途中からなんだか初めてのわりには(あくまで初めてのわりにはだけど)ラクスが乱れだすが…まあスルーしてください。
あと、ラクスがあまりにキラに甘えすぎでキャラ壊れてると思うかもしれませんが、バカップルを書くのが目的なんで気にしないでください。
↓お話続き↓
それから十日経った夜。
キラはいつもの寝巻き姿で、自室のベッドに寝転びながら本を読んでいた。
ふと
「あ…そうだ。忘れてた…」
ベッドの隣の、スタンドライトを置いてあるテーブルの上に本を置いて、キラは身を起こしてからスリッパを履いて机へと歩いていきそこに置いてあったリップクリームを塗る。
「………よし」
キラがクリームを塗り終えそれをまた元のとこに置いた丁度その時
コン コン
「キラ、入りますね」
「うん」
キラと同様いつもの寝巻き姿のラクスがノックの後に扉を開けて入ってくる。
「おじゃまします♪」
「うん、いらっしゃい、ラクス♪」
キラはベッドに腰掛け、ラクスに隣に座るよう促す。
それをうけて、ラクスはキラの左肩に寄り添うようにベッドに腰を掛ける。
恋人を前にしてのその表情は無防備そのもので、安心感がいたるところに滲み出ている。
そんなラクスが座ったのを確認してからキラは左手で彼女の肩を抱き寄せる。
初めの頃はどこか照れがあった二人だが、恋人同士になってからそれなりに日にちが経ったし、そもそも恋人同士になる前からこの二人の
心理的距離は色んな意味ですでに近いものだったこともあって、今となってはこれくらいはもう普通のことだ。
ぎごちなさなども特には見せず、そのまま当たり前のように体を寄せ合う二人。
「あ、こないだわたくしがお貸しした本ですね?」
ラクスはキラが置いた文庫本を指して言った。
「うん」
「ふふ。どれくらいお読みになられましたか?」
「明日にはもう終わるかな。森鴎外って言ったっけ?なかなか面白かったよ。でも次は別の人、読みたいな」
キラはこのところラクスから文学作品を借りて読むのが楽しみとなっていた。
今までずっと理系でこういうものを積極的に読む機会があまりなかったキラには新鮮にうつって面白かったし、何よりもラクスと共通の話題をつくれるというのが最大のメリットだった。
「じゃあ、次は夏目漱石にします?」
「誰それ?」
「鴎外と同じ国、同じ時期の人なんですけどね、その国では鴎外と並ぶ文豪とされてた人なんですよ」
「へえ。じゃあ次はその人にしようかな」
「ふふ。ではさしあたり、『我輩は猫である』にします?主人公がずばり猫さんなんです!『我輩は猫である。名前はまだない』で始まって。あとは苦沙弥先生とかユニークな名前の人が出てきて」
「はは、面白そうだね。じゃあ次はそれでお願いしようかな」
「はい!」
「それにしてもラクス、本たくさん持ってるね」
「ええ。読書は昔から好きだったんですけど、文学作品を読むのは特に好きだったんです」
「そうなの?」
「はい。色んな物語を読んで色んな世界を想像してると、歌をつくるのに素敵な言葉がふと思いつくようになるんです」
「そうなんだ。じゃあさ、どんなジャンルが好きなの?」
「わたくしはですね――――――」
二人はそのまま寄り添い合いながら、声を弾ませて他愛のない会話を楽しむ。
告白し合ったあの日以来、夜にキラの部屋を訪ねるのがラクスの日課となった。
キラと自分の想いは一つ。
自分達はもう恋人同士。
それを考えると、ラクスは居ても立ってもいられなくなり、こうしてキラの元へ来てしまうのだ。
多くの子供達と共に暮らす今の状況では、こうして二人っきりになれる時間は夜ぐらいしかない。
ラクスとしては、もはやカリダの公認がある以上、たとえ人前であろうともキラといちゃつくことに何も躊躇いはなかったが、やはり恋人とはこう
して二人っきりで共にいるということが一番喜ばしかった。
だから、キラと二人っきりになって思う存分寄り添い語らえる貴重なこの時間帯を最大限に活用すべく、毎夜彼女はキラの部屋へと欠かさず通っていた。
キラとしてもそれはもちろん大歓迎だ。
ラクスはもう自分にとって一人の女性として大切な人。れっきとした自分の恋人。
その人と二人っきりで時間を過ごすことに何の不都合があろうか。
「―――――じゃあ推理ものなんかも好きなんだ」
寄り添い合いながら会話を楽しんでいた二人だったが
「はい。わたくし、推理の達人なんですよ!そういえば…………………………………………お父様も…すごく、お好きでした」
「ラクス…」
「………」
たまたま父の名前が出たところで…ラクスは急に悲しそうに顔を下に向ける。
16歳の少女である。
最後の家族であった父親の死への悲しみは容易に消せるものではない。
そんなラクスに対してキラは、彼女の肩を抱く手を少し強くして
「…大丈夫だよ、ラクス」
「…え?」
「ボクはちゃんとここにいるから…大丈夫だよ」
「キラ…」
『ボクはちゃんとここにいるから…大丈夫だよ』
先の大戦の際にエターナルで再会したとき以来、ラクスが父、シーゲルのことを思い出して悲しい顔をしたり、何か不安そうな表情を見せた
ときに、いつからかきまってキラが言うようになった言葉。
決して…うまい言い回しとはいえないだろう。
それでも、ラクスとしては、彼の優しさを十分に感じ取れる言葉であり…今もまたその言葉がラクスの心の中の暗いものを静かに溶かしていく。
「………ふふ…」
ラクスは静かに微笑んで、キラの思いやりに感謝するように手を彼の太ももの上に置いて優しくそこを摩る。
そんな風にしてしばらく二人で寄り添っているとふとラクスはあることを思い出し
「そういえば、キラ」
「ん?」
「足、大丈夫ですか?」
太ももを摩りながらラクスは尋ねる。
「え?あ、うん。まあ大丈夫だよ。子供の力だし」
心配そうに尋ねたラクスを安心させようと、キラは軽く笑いを浮かべながら返した。
最近キラは一部の子供達から微妙に敵対の目を向けられている。「憧れのラクス姉ちゃんを『奪った』男」として…。
さすがに恋心とまではいかないにしても、優しく美しいラクスに子供なりの憧憬の想いを抱いていた子は少なくなかった。
そんな子供達も、キラとラクスが恋人同士となった初めの頃は、「恋人」という単語がどういう意味なのかよくわかっていなかったこともあって、
二人を面白そうにからかいはやしたてていただけだったが、この二人が昼間人前でも平気でずっとベタベタしているその様子を見ているうちに、彼らの考えは変わっていった。
このままではラクスをキラに独り占めされる。
そう思うようになったのだ。
それからとなっては、そんな子供達が何かとラクスの付近に陣取りキラを疎外しようとするようになったため、このところの二人は、互いにスキンシップをしようとするたびに、彼らをうまく言いくるめて退けるのにいちいち苦労しなければならなくなっていた。
それだけならまだしも厄介なのは、あの日キラの足を踏みつけたケンという名の黒髪のあの男の子。
ラクスに一番なついていた彼は、このところますます彼女に見境なく甘えようとするようになり、一方でキラがラクスと二人で並んでいるのを発
見するたびに、キラに向けて強烈な蹴りをかますのだ。さらには、キラがラクスとは一緒にいない時でさえも、隙を見つけてはキックをキラに
お見舞いするのだから、キラとしてはたまったもんじゃない。
「あの子にはわたくしからもカリダお義母様からもよく言い聞かせてるんですけど…」
「う〜ん…でも、まあ子供だからね。言ってもすぐには納得しないと思うよ」
「あの…」
「ん?」
「一度わたくしからもっと厳しく言ってあげたら…」
「いや、いいよ」
「そうですか?でもこれじゃキラがかわいそうですし…いつまでも好きに甘やかしちゃうのはあの子にとっても良くないと思うんですけど…」
「でも…あの子の気持ちもわかるんだよねえ…」
このマルキオの伝道所にいる子供はみな孤児だ。ある子は戦争や災害で家と家族を失った子であり、またある子は何かの事情で親から捨てられた子であったりした。
そんな子供達が今自分のそばにいてくれる人に過剰なくらい依存するのもいた仕方ないことだ。
一度喪失を経験したものは、誰かに依ることでその痛みを癒そうとするもの。
それは人として無理はないこと。
キラもまたいくつかの喪失を経験しているだけに…その気持ちはよくわかるのだ。
ましてや彼らはまだ幼い子供。親に代わって甘えさせてくれる相手を必要とするのは当然であり、その人を他の者にとられまいと必死になってしまうのをいちいち咎める気はキラにはなかった。
「ま、今はゆっくり見守ってあげていいと思うんだよ。あの子だって根は素直でいい子なんだから、いつかはちゃんとわかってくれるよ。自分の方から納得できるようになるんだったらそれが一番良いし」
「キラは…」
「ん?」
「優しいんですね」
微笑んでそう囁いたラクスに、キラも無言でその言葉のとおり優しい微笑みを返してから
「あ…」
ラクスの肩を抱く手を腰の方へともっていってから、彼女の温かい体をより引き寄せ互いの密着具合を上げる。
まあ子供の気持ちはわかるが…ラクスとの仲を邪魔されるのを面白くないと感じる部分は…正直キラにもあることはあった。
だからその分は今ここでこうして取り戻させてもらおう、とでも言うかのように、キラは彼女の体を強く抱き寄せる。
「…ふふ」
ラクスは目を細めてその身をキラに任せる。
ラクスとしても子供達に慕われるのはもちろん嬉しかったが、せっかくキラと恋人になれてこれからは誰気兼ねなく彼と触れ合えると
思っていたのに、最近はそれが思っていたほどうまく進まず、少し残念だった。
ゆえに、彼女も右手をキラの腰に手を回し、その手に少し力を込めて彼の腰を強めに抱きしめながら、もう片方の手を自分の腰を抱くキラの手に重ねる。
今のこの自由な時間を思う存分味わい、昼間子供達に妨害されている分を取り戻すために。
とはいっても、ラクスもなかなかのつわもので、たとえケンをはじめとして子供達がキラとの仲を妨害しようとしてきても、それをうまく
掻い潜っては、今でも昼間もしょっちゅうキラにべたついている。
そんな彼女を他人が見たら、それだけ昼間恋人とイチャつければ十分ではないか、と思うに違いない。実際、カリダも最近はやれやれと苦笑しつつ、少々呆れ気味だ。
だが…彼女には元々極端に寂しがりやな面があった。
「自分」をずっと抑えて生きていたラクス。
プラントにいた頃は友人などほぼ皆無だった。普段の彼女の話し相手となっていたほとんど唯一の相手は、アスランから貰ったハロだった。
そして、今の彼女は最後の肉親すら失っている。
ゆえに彼女は、ずっと抑えていた「自分」を曝け出せる唯一の人であるキラとは、可能な限りそのそばにいたかった。可能な限り、彼に触れていたかった。
そうすることで、自分の寂しさを…消したかった。
だから、昼間彼と一緒に過ごす時間だけでは…昼間彼と触れ合っている時間だけでは…足りない。
そうしてしばらく二人は、互いの温もりを感じながら静寂の時を過ごしていくが、突然
「ちゅ♪」
「んん…」
ラクスは自分とキラの体を回転させて互いを正面に向き合わせてから、キラの首に両腕を絡ませて彼の唇を奪った。
「ちゅ…んふ〜♥」
「んちゅ…ん」
キラもそれに特に抵抗も動揺もすることなく、ラクスの背中に手を回して彼女の行為を受け止める。
そのままラクスは、首を少し捻ったりして互いの唇が接触する角度と箇所を何度も変えてキラの唇を余すところなく堪能し、
同時に時に自分の唇をキラの方へ押し付け時に自分の方へ引いたり、と互いの唇が接触する圧力に強弱をつけて、その変化を楽しむ。
昼間とは違い二人っきりでいられる夜のこの時間。
その中で大好きなキラの唇―もはや自分のものとなった唇―を心行くまで味わう。
ラクスがキラの部屋に通う一番の理由。
キラとファーストキスを経験して以来、彼女はキスの魔力にとり憑かれてしまったのだ。
元々スキンシップを過剰に好むタイプだったこともあり、ラクスはまるで中毒患者にでもなったかのように毎夜キラの部屋を訪れては、
彼との語らいを楽しみつつも、何度も何度もキスを求めるのだ。
それもすぐには終わらない。互いの息が切れるまでずっと唇の重なりを続ける。
(ふふ。わたくしは別に遠慮する必要ありませんもの。なんといっても『キラ・ヤマトと好きなときに好きなだけキスしていい権利』をもってるんですから♪
だからこの唇はわたくしのもの♪)
今のラクスは要するに…浮かれているのだ。
だがそれも仕方のないことかもしれない。
キラは、彼女にとって人より少し遅めの初恋の人。
先の戦争の中で誰よりも愛しい存在となり、それ以来ずっと恋焦がれていた人。
自分の全てを預けられる唯一の人。
その人との恋が成就したとなれば、ラクスとて一人の女の子である以上、少々うつつをぬかしてしまうのもまた無理のないことだろう。
ましてや、繰り返しになるが、彼女はもともと…孤独な人なのだ。
だから、昼間だけでも十分キラと触れ合ってるくせに、夜になるとそれにもまして少々過剰なくらいにキラに触れ合いを求めてしまう彼女のこの姿も…ある意味当然と言えようか。
そして、そんな彼女のこの求めも、キラとしては一向に構わない。
いやむしろ歓迎すべきものであった。
彼女とすごすこの甘い一時は、彼にとっては何にもかえ難い至福の時間なのだ。
しかしその一方で…
「んは!……はあ…ふふ、キラァ…好きです♥」
ひとしきりキラの唇を味わったラクスは彼の口を解放してから、甘えた視線をキラへと向ける。
プラントのトップアイドルが纏っていた、儚げでどこか幻想的な雰囲気と神秘的な魅力はそこには一切ない。
クライン派の指導者が纏っていた、凛々しくそして猛々しいとさえいえるような力強い存在感とカリスマ性はそこには一切ない。
そこにあったのは、猫なで声で目の前の愛しの男性に甘えるただ一人の恋する女の子の顔。今まで彼女が誰にも見せてこなかった顔。
穏やかな笑顔を湛えているキラは、そんなラクスの自分にだけ聞かせてくれるその甘い声に…自分にだけ見せてくれるその甘い表情に
酔いしれながら、彼女のチャーミングなえくぼの部分を優しく撫でていくが
(一週間以上も…こうやってキスばっかりで、でもキスだけってのは…結構辛いな…)
心の中でそんな嘆きをキラは漏らした。
健全な十代の男子の肉体である。性欲というのは確実に時間と共に蓄積していく。
そこに、恋人との長くそして何度も繰り返される唇の重なりが加わる。
体の滾りは溜まっていく一方だった。
しかし、今の彼はそれを己の手で吐き出すことができない。
その理由はいたって簡単だ。毎夜、ラクスが訪れてきては寝るまで共に時間を過ごすからである。
「…」
体の中に熱い衝動を携えながら、キラは蕩けそうな視線をおくってくるラクスの顔を無言で見つめる。
気品に満ちた繊細な鼻立ち。小鳥のように小さく愛らしい、綺麗なピンク色をした唇。
ふっくらした可愛らしい頬が描く端整で優艶な輪郭。顔全体を覆う透き通るような白い肌。
そして、美麗な眉と整った長い睫毛の下にあるのは、宝石のように美しく輝く大きなマリンブルーの瞳。
美しい。
素直にそう思った。
かつてのプラントのトップアイドル。その美しさはとても言い尽くせるようなものではない。一般にナチュラルよりも容姿が優れるコーディネイターの中でさえもずば抜けた美しさ。
「容姿端麗」という言葉はまさに彼女のために存在しているかのようである。
地球圏一の美女。
そう言っても決して過言ではないだろう。
だがそんな客観的で表面的な感想だけではなく、それ以上にキラはもっと本質的な何かから彼女をこの世界で一番美しい存在だと感じた。
それだけの美女が、毎夜こうして寄り添ってきて、唇での繋がりを求めてきて、甘い旋律で「好き」だと囁いてくる。
この状況の中で、一人の男としての欲求をもち得ない者が果たしてこの世にいるだろうか。
(ラクスと………したい……………)
それが今のキラの率直な願望だった。
ラクスとは、決して長い年月を二人で共に過ごしてきた仲ではないが、それでも互いの弱さも何もかもを曝け出し、心の奥深くで繋がりあえた仲である。
しかし、そんな精神的なところだけで満足できるほどキラは動物性を欠いた人間ではない。
いやむしろ、心での深い繋がりがあるからこそ、体でもまた深く繋がりたい、という想いが募っていくのだ。
そして彼は意を決して
「ラクス…」
「はい?」
「キスして…いい?」
「…」
ラクスはその言葉をうけて、「当然だ」と言わんばかりに微笑みながら無言で唇をキラのほうへとちょんと突き出すが
「あ…その…違うんだ…」
「?」
「キスっていっても…もっと激しいやつ…」
「へ?」
「だから…ディープキスっていうのかな…その…舌を入れたり…」
飾り気のない露骨な言葉に多少の気まずさを感じつつも、キラは次の行為を求める欲求を告白した。
ラクスはキラの言葉に少しの間きょとんとしていたが、時間が経ってその言葉の意味を飲み込むにつれて
「えええ!?あ、あの!?…えっと…」
キラの首から腕をはなし、顔を真っ赤にしてうろたえはじめる。
(舌って…舌を口に…ディ、ディープキスって…!?わたくしがキラと…それを…!?)
ラクスにも性に関する知識は人並みにはある。
プラントではその方面への教育がしっかりなされていたし、今まで読んできた文学作品の中でも男女の愛の営みに関する記述と出会うことも少なからずあった。
しかし、それはあくまで知識だけ。
婚約者であったアスランとのことも含めて、同年代の異性との接触が決して多くはなかったラクスは、キラと恋人になるまでは、
そうしたものはどこか自分とは無関係な世界における出来事であるかのような感じを抱いていて、いつもやっているソフトなキスぐらいしか想像の範疇にはなかった。
「あ、あの…わ、わ、わた…くし…」
キラの要求をうけて、若干パニック状態に陥ってしまったラクスは、どう答えていいかわからず、視線を下に落として両手を膝の上に置いてもじもじさせる。
そんなラクスに対してキラは
「ラクス…キスするね」
「あ…」
キラは思い切って彼女の肩に両手を置いてから、強い意志を込めて言い放った。
もう自分の衝動は抑えられそうにない。
それに告白のことも含めて、今まではずっと自分がラクスに対して受身であったような気がしてキラとしてはもうそんなのは逸したかった。
いい加減、これからは男である自分から彼女をリードすべき。そんな妙な意地と決意が彼にはあった。
「ボクはラクスが好きだから、ラクスともっと色んなことをしたい。今みたいなキスだけじゃなくて…もっと色んなことを。
だから…まずはもっと激しいキスをしたい。だから…今からそういうキスをするよ…」
「あ…あの…」
「いやだったら言って。すぐにやめるから」
「えっと…」
「大丈夫…ほんとにいやだったすぐにやめるから。それとも、そもそも最初からもうしたくない?」
「あ、その…」
「遠慮しないで言って。ボクはラクスともっと色んなことをしたい。でも…何よりもラクスの気持ちを大事にしたい。それにボクは君とこうして一緒
にいられるだけでも十分嬉しいんだ。だから、いやだったら遠慮なく言って」
「キラ…」
こういうことには無頓着だったラクス。
だが、キラと恋人になってからは…
(わたくしも実は…キラと…ちょっとはそういうことを…し、してみたい…なんて…どこかで………す、少し思っていたんですけど…)
こういうことへの興味というものが…実は少しずつ芽生えてきていたのだ。
(こ、恋人ですものね…そういうことをするのは…し、自然なことかも…しれませんね…)
ふとラクスは昨日カガリと交わした会話を思い出した。
キラと想いを通じ合った日の翌日、ラクスは電話にてカガリにそのことを報告した。
今のラクスにとっては本当に大切な友人であるし、またカガリの言葉が勇気を出して告白するきっかけのひとつとなったのだから当然報告すべきだと思ったのだ。
そのときは普通に祝福の言葉を贈ってもらっただけだったのだが、丁度昨日またカガリと電話でやりとりをした際…
『そういえばラクスとキラはまあ元から仲良かったわけだけどさ、付き合いだしてから何か変わったのか?』
『えっと…あ、毎日夜にこっそりキラのお部屋に通うようになりました♪』
『え!?ラクス、それって本当だったのか!?』
『え、ええ…』
『なんかラクスって…普段はおとなしいけど、一回動き出すと大胆というかなんというか…』
『そうですか?』
『あ、ああ…だって毎日ヤってるんだろう?』
『なにをですか?』
『え!?いや…その…ナニを…だよ……って、わ、わかるだろ?』
『へ?』
『いやだから…恋人同士がおこなう…夜のい、営みというかね、ああ…その』
『?』
『わ、わからないか?』
『ええ…ちょっと』
『だから!!!セ、セ、セックス…とか…』
『……………………え、ええ!?』
『?…違うのか?』
『え、いえ…わたくしはただキラのお部屋で…ちょっとお話したりして…それだけなんですけど…』
『そ、そうだったのか…そ、そうだよな!告白してすぐにま、毎晩…や、ヤる…なんて…なあ!』
『は、はい…』
(こないだカリダさんとたまたま電話で話した時、二人が毎晩キラの部屋にこもって何してるのか気になる、って言ってたけど…
それ、本当だったんだなあ。…ってか、カリダさんにとっくに気づかれてるってこと、コイツらわかってのかなあ?
いくらセ、セックスはしてないといっても…相手の母親が一つ屋根の下にいるのに、毎晩部屋に通うなんて…ラクスってなんか
妙に度胸がすわってるところがあるよなあ。まあカリダさんもこの二人のこと、応援してるみたいだからいいのかもしれないけど。あ、でも…)
『でもさ』
『?』
『…本当にずっと毎日キラの部屋に行って話をするだけなのか?』
『あ…えっと……………キ、キ…キスは…その…するんですけど…』
『キス…だけ?』
『え!?……キスだけって…キスはそれはもう…毎日な、何回もしますよ…い、いけませんか!?』
『いや、そういうわけじゃなくて…』
(毎晩彼氏と何回もキスねえ…そりゃあお熱いことで…でも)
『そっから先はしないのか、って聞いてるんだよ?』
『そ、そんなのは別に…!』
『…キラから何か言われたことはないの?』
『キラは別に何も…』
『そうなのか…』
(やっぱりというかなんというか…キラも奥手っぽいもんなあ…でも、他の人がいるっていっても恋人と同棲してて、しかもその人が毎晩部屋に
きたらさすがのアイツでも…その…そ、そういうことをしたくなる…んじゃないのか?だいたいラクスは超美人なんだから…そんな気分になって
もおかしくはないよな。そもそも、お、男ってのはみんなすけべなんだろう!?それはキラも例外じゃないはず……………なんかなあ…キラと
いいアスランといいな〜んでわたしの周りにはこう鈍いというか奥手なヤツばっかりそろうんだろう…………………………てゆうか、アスランの
やつ、キラとラクスの関係を心配してる暇あるんだったら自分を何とかしろよな…いつまで経ってもキ、キス止まり…わ、わたしは別にいつでも…)
『あの、カガリさん何かおっしゃいましたか?』
『え!?い、いや!…………そ、それで告白してから一週間ちょっと経つけど…毎日夜に部屋通っても結局キスどまりなんだ?』
『は、はい…』
『ラクスは…そういうことには興味ないの?』
『え!?あ、いや…その…わたくしは…』
『ない、ってわけじゃないんだろう?』
『は、はい…確かにないわけではないんですけど………どちらかというと…キラとそういうことをするとなると…なんか実感が…もてないんです…』
『ふ〜ん…でも少なくともキラはそういう興味は普通にもってると思うよ』
『そ、そうですか?』
『うん』
(なんか変な違和感があったけど、キラは昔フレイとそういう関係もってたんだもんなあ…興味がないってことは絶対ありえないはずだよな)
『でもキラは別に…』
『それはラクスを気遣ってるからだろ?』
『そうなんですか?』
『うん。だってアイツ、すんご〜いお人好しだろ?』
『…はい』
『だから暴走してラクスを怖がらせたりするのが嫌だから我慢してるだけなんだよ、きっと。でもさ、キラだって一人の男なんだから、そういうことしたいっていう気持ち、絶対あるよ』
『は、はあ…』
『でさ、何かのきっかけがあってキラがそういうことをしたい、って言ってきたらラクスはどうする?』
『え!?わ、わたくしは…』
『…いや、なのか?』
『え、いやというか…』
『いやではないだろ?興味はあるって今言ってたんだし、キラのことが好きなら』
『あ、えっと…まあその…でも、そ、その時にならないと…わかりません』
『そっか…まあそうだよなあ…』
(それにしても…いくら「アレ」はしないとはいっても、毎晩二人で部屋にこもってキスしまくりとはねえ………昼間でも隙あらば子供達の目を盗んで
イチャつこうともしてる、ってカリダさんは言ってたし。まったくこのバカップルは…。いくらなんでも浮かれすぎなんじゃないかって、カリダさんも心配
してたぞ………………でも…アスランもこれくらい積極的にきてくれればいいんだけどなあ…)
『あの、カガリさん、何かおっしゃいましたか?』
『え、い、いや!!!』
と、ラクスはカガリとそんなやりとりをした。
そこでカガリが指摘したとおり、ラクスとてそのような方面への関心がないわけではない、というのもまた事実だ。
そして、カガリとのやりとりがきっかけとなり、今ラクスの中ではそうした行為への興味がまた少し強くなっていた。
ただ、未知なる世界へ飛び込むことへの不安と恐怖というものが心の内にまだあったのも事実だった。
それは程度の差はあれ未経験の者はほとんど誰しもがもっているものだ。
また、男女の性の交わりに対するどこか背徳的なイメージもラクスの中には一方ではあり、それがそうした行為に対する彼女の倫理的な拒絶を生んでいた。
(カ、カガリさんがおっしゃったようにキラも…やっぱり一人の殿方…で、でも…わたくし、どうしたら…)
期待と不安。
キラともっと深い繋がりをもちたいという願いがある一方で、彼とそうした行為へと至ってしまうことへの抵抗。
相反する感情がラクスの中でせめぎ合う。
ちらっとキラを見てみる。
「…」
キラは強引に迫ろうとはせず、ラクスに無言で優しい微笑みを送りながら彼女の言葉を待っている。
あくまで彼女の意志を尊重しようというのだろう。
(…やっぱりわたくしはキラが好き…だったら…)
目の前にいる愛しの人。自分を心から労わってくれる人。
この人なら…大丈夫だ…任せられる。
そして
(キラを好きだと思うこの気持ちは嘘じゃないですし…わたくし達はれっきとした恋人同士なんですから…別にやましいことではありませんよね…)
そうした想いが結局ラクスの中で優先されていき…彼女はキラに顔を正面に向けて静かに目を閉じる。
キスをするとき、目を開くという妙な癖をもっているラクスも、この時ばかりは
(や、やだ…それでもやっぱり…なんかすごい…ドキドキしちゃう…だ、だめ…キラのお顔を見ることなんて…できない…)
そんなラクスをみてキラは彼女の頭を優しく摩りつつ
「じゃ、いくよ…」
「はい…」
少しずつ顔を近づけ
「ちゅ…」
「んん…」
いつものようにまずは唇を重ねる。
それから
「ちゅる…れろ」
「ん!?んふ…!」
舌でラクスの上下の唇を舐めまわす。
(く…ラクスの唇…舌でさわるとまたなんか…いい!)
(こ、これは…今キラに舌で…やだ…なんかくすぐったい…で、でも…いや…じゃない…)
そのままひとしきり唇を愛撫するといよいよ
「れろぺろ…ちゅう…んん」
「!!!???」
少しきつめに閉ざされた唇をこじ開け、舌を彼女の口内に侵入させる。
唇のところから歯の表面、歯茎へと、前方から奥へと向かった少しずつ進んでいき…そしてラクスの舌へと到着する。
「はむ、んちゅう…れろ…ちゅうう」
そのままラクスの舌に自分の舌を擦り付ける。
「んふ!あちゅ…んん!」
(くる…!なんかくる!こ、これは…キ、キラの…舌!?ああ、キ、キラの舌が…入ってくる!)
生温かいざらざらした肉。
それが己の口内に侵入してきて、表面を舐めてくる。
その今までまったく味わったことのない感触を受けて、ラクスは思わず一瞬目を見開き、両手をキラの胸板に押し付ける…が、力は入れない。
本気で拒否する様子は見せなかった。
キラはそれを確認するとそのままどんどん舌を差し入れて、ラクスの舌と重ねていく。
(ラ、ラクスの舌…ザラザラしてて、や、やわらかい…と、とろけそう…!)
その感触にキラは陶酔する。
「ん…ちゅっ…んぅ……ぁ…っ」
「ふ…むぅ……ちゅむっ……んんっ」
ラクスの舌に己の舌を絡み合わせていくキラ。上顎などラクスの口内の表面を丁寧に愛撫していく。
両手を彼女の後頭部に回して彼女の顔を引き寄せる。
「ちゅうっ…ちゅぱ、ちゅる…」
(あ、温かい、ラクスの口の中…だ、だめだ…ごめん、ラクス…止まらない…!)
「ん…ちゅっ…んぅ……ぁ…っ」
(キラの舌が口の中で…あ、暴れてる…はあー…もうだめ…なにも…かんがえられな…い)
ラクスの頭をきつく抱きしめながら、ラクスの口内を夢中になって舐めまわすキラ。
時間の経過と共に、舌の動きは激しさを増し、ラクスを抱き寄せる手は強くなる。
一方でラクスはどんどん体の力を失い、申し訳程度にキラの胸板に押し付けていた手もずり落ちていく。
「んちゅ…ぷは!…はあー…はあー…」
どれだけそうしていただろうか。
キラは名残惜しくもあったが、ラクスの口をやっと解放した。
二人の口に間には銀色の糸がひかれ、二人の口の周りは唾液でベトベトになっていた。
「んん…んはあぁ…はあー…」
(これが…ディープ…キス………な、なんというか…すごい…こんなのがあったなんて…普通のキスだけでもわたくし…頭が真っ白になりかけちゃうのに…こんなの…こんな激しいのが)
解放されたラクスは体をぐったりさせて、虚ろな目でキラをぼんやりと見上げていた。
「あ!ラ、ラクス…大丈夫…?」
(やばい!ラクスの口の中がすごすぎて…調子に乗りすぎた!)
そんなラクスの様子に心配になってキラが尋ねると
「は…は…はい」
ラクスは意識がまだ明瞭にはなっていなかったようだが、一応そう返した。
しばらくの間キラは、すっかり腰を抜かし力を失ったラクスの背中に手を回して、その体を支えてあげる。
同時に、もう片方の手を伸ばしてティッシュをとり、ラクスが普段つけてる口紅はキスしても普通はおちにくいやつなのだが
かなり長い時間激しく舐めまわしたせいで少し口の周りに滲み出た彼女のその口紅を、その口周りをベトベトにしている唾液と共に、優しく拭いてあげる。
そして、ラクスがある程度落ち着いてきたところで
「ラクス…ほんとに大丈夫?」
キラがまた心配そうに尋ねる。
「え?」
「いやになったらすぐにやめるって言ったのに…途中からもう止まんなくなっちゃって…頭を無理矢理抱きしめて…その…ごめんね」
「キラ…」
「ボク…ラクスのこと…好きだから…大事にしてあげたいんだけど…自分のことばっかりになっちゃって…その…」
心底申し訳なさそうにそんなことを言ってくるキラをみてラクスは
「……………………いいえ、構いませんわ」
「え?そう…?」
「はい。だって…キラですもの」
「気持ち悪く…なかった?」
深いキスの後の、あの彼女のぐったりしていた様子がやはり気になりキラが尋ねると
「全然。もう一回言いますわ。だって…キラですもの♥」
いつもどおりの微笑みでキラに告げる。
「ラクス…」
ラクスのその言葉と表情にキラの中でも少しずつ安堵が生まれてくる。それと同時に…
「あのさ…じゃあ…もう一回…いい?」
彼女との口での熱い交わりを求める欲が再燃してくる。
いや再燃という言い方は正確ではない。
一度その味を知った彼の体は、その欲を前以上に燃え上がらせていた。
その言葉にラクスの顔は一瞬わずかに強張る。
またあれがくるのか。
確かにあれは決して不快な感覚ではなかった。いやむしろ、言いようもない熱いものが口を、そして体全体をみ満たしてくれた。
しかし、再びあれがきたら…自分を保てるかどうかわからない。
そんな恐怖と言っていいようなものがラクスの中に一瞬よぎったが
「……………はい、キラ」
ラクスは結局キラをまた受け容れた。
怖さはある。
しかし、どんな時でも自分への気遣いを忘れないキラを見ていてたら…ラクスの中でそれは吹っ切れた。
やはり、この人になら…任せられる。
「うん。じゃあ…いくね…」
「はい…」
「ちゅ…」
「んふ」
キラはまた唇を重ねて
「ちゅる…」
「んちゅ!はふ!」
また舌を彼女の口内へと向けて進出させる。
そして、そのまま互いの柔らかな舌を絡ませる。
「ちゅうる…はちゅ…んちゅ!」
「んん…ちゅ…んあちゅ!」
(やっぱりラクスの口の中…なんていうか…甘い!!!)
ラクスの背中を抱擁しながらその甘さを堪能するキラ。
(あ、ああ…また…キラがきてます…キラが…キラが…)
再び襲ってきた刺激に身を震わせるラクス。
舌を、頬肉を、歯茎を、上顎を…口の中のあらゆるところを撫でまわしてくるキラの舌を、ラクスはただ受け容れる。
だが
(でもこれ…体がどんどん熱くなって…なんていうか…気持ちいいかも…やっぱりキラだから…キラが好きだから…ああ…キラの舌がわたくしのお口を…)
自分の口の中に愛しい人の体の一部が入ってきて、愛撫してくる。
二度目ということもあり、次第にその刺激に慣れが生まれてくる。
そんな状況の中で
(わたくし…なんだか…このままキラを…)
ラクスの内にふとある欲求が芽生えて…
ガチッ!!!!!
「!!!!!!?????」
突然舌に激痛が走り、キラは慌ててラクスから口を体ごと引き剥がす。
「い!!!???く…いた!!!!」
「…あ…」
そのまま口を手で抑えてあまりの苦痛に顔を大きく歪ませるキラ。
「あ……………ご、ごめんなさい、キラ!!!!!」
ラクスは自分から離れていったキラに慌てて近寄り、謝罪の言葉をかける。
「わ、わたくし…そのごめんなさい!!!キラ、大丈夫ですか!?」
何度も謝ってくるラクスの目の前で、舌にひびくチリチリした痛みに耐えながらキラは今の出来事を少しずつ理解していく。
(な、え…?もしかして…ラクスが…噛んだ!?ボクの舌を…歯で…噛み付いてきた!?)
やっと、とにかく喋られる状態にまで落ち着いたところで
「…どうして?」
さすがのキラも非難の目でラクスを見る。
舌を歯で噛んできたラクスのあの力は、たまたまそうなったとかではなく、明らかに故意に噛み付いた力だった。
「あ、あの…」
なんと返していいかわからずラクスはキラの視線からつい逃れてしまう。
「………いやだった?」
「へ?」
少しの間、そんなラクスを不審そうに見ていたキラだったが、痛みが引くにつれて冷静さを取り戻し、今度はキラがそんなことを言い出す。
「もしかして…いやだった?」
「え?」
「だからこういうキス…ほんとはラクス、いやだったのかな?」
少し寂しそうに笑いながらキラは言った。
普段のソフトなキスとは比べ物にはならないほどの刺激を与えるディープキス。
生まれて初めて味わうその感覚に、ラクスが恐怖を感じ、拒絶反応を起こすのは致し方ないこと。
しかし、キスをする時、自分はラクスの体を思いっきり抱きしめていたので、ラクスが自分の方から体を引き剥がすことが出来なくなっていた。
だから、ラクスはやむを得ずこのような形で行為から逃れようとしたのだ。
そもそも最初にキスをした時に、彼女がほんのわずかな力ではあったが、手で胸を押してきたのを無視した自分にそもそも非がある。
そんなことをキラは感じたのだ。
しかし
「いえ!ちがいます!!!」
ラクスは俯いていた顔をあげて、彼のその言葉はきっぱりと否定する。
「?…じゃあ…どうして?」
「そ、それは…」
そこでまた気まずそうにラクスは俯く。
「ラクス…?」
「あ…その…へ、変な人って思わないって…約束してくれます…?」
上目遣いでキラをみながらラクスは言った。
「え?あ…うん、大丈夫だよ。ボクはラクスが…好きなんだから」
彼女の意図はよくわからなかったが、とりあえず不安な想いはさせまいと、キラは温かい笑みをたたえながら約束する。
それをみてラクスは
「あ、あのですね…」
「うん…」
恥ずかしそうにきゅうっと目を瞑って
「た、食べたかったんです…」
「…え?」
ラクスの告白の意味を掴みかねるキラ。
「だ、だから…」
ラクスは顔にどんどん火を灯しつつも、同時にどんどん汗をかきながら
「キ、キラの舌がわたくしの中に……なんだか…キラを…そのまま…た、食べたくなっちゃったんです…」
(ああ…キラ…これでキラに変な娘って思われたら…わたくし…)
少し泣きそうになりながらもなんとか己の意を告白するラクス。
「…ラクス…」
ラクスの告白の思いもかけない内容に、少し呆然としていたキラだったが…突然体の中で何かが弾け飛んで…
「ラクス!!!!」
「え?きゃ!?」
正面から彼女を力一杯抱きしめる。
「かわいい!ラクスすっごくかわいい!!!」
「え、え、え!?」
ラクスをきつく抱擁しながらキラは興奮状態で言葉を飛ばしていく。
「そんなこと言っちゃって…ラクス、かわいい!ほんとにかわいいよ!」
「え、あの…キラ…」
「ラクス好きだ!ボク、ほんとにきみが好きだ!!!」
「あのキラ…怒ってないんですか?」
「怒るもんか!ラクス…大好きだよ!」
(なんかボクちょっと興奮しすぎだな…でも。ラクス…もう止まんない…ラクス、好きだ!)
今、自分のテンションがおかしくなっているというのは、キラも自覚している。
しかし、ラクスのなんとも愛らしい言葉によって、キラの胸の中では言いようもないラクスへの想いが膨らんできており、彼はそれをもう抑えることができなかった。
今までの彼には、ラクスと普通のキス以上の繋がりを求めることには…もちろんそうした行為への欲求も強くあったが、一方でどこか抵抗と迷いがあった。
だが、この時生まれた彼女への想いによって、それはもう完璧に消え去った。
このままラクスと…。
彼の心は、そんな想いで固められていく。
「…ふふ、キラ…」
愛しい人の力強い抱擁。そして繰り返される甘い言葉。
ラクスの罪悪感も掻き消されていく。
(よかった…キラはわたくしのこと変な娘だって思ってないみたいですね…キラ…好き…)
ラクスもキラの背中に両手を回して、彼の抱擁を受け止める。
だが、しばらくして
「あのキラ…そろそろ…ちょっと…痛いです」
苦い笑いを浮かべながらラクスは言った。
「あ、ごめん!!!」
慌ててラクスを解放するキラ。
「えっと………ぷっ、はは」
「ふふ」
二人は何となくおかしくなってどちらからともなく笑みがこぼれる。
「ふふ、ねえ、キラ」
「なに?」
「わたくしもキラのこと…大好きですよ」
満面の笑みでキラに告げる。
「…うん。ありがとう、ラクス」
キラも同じように笑みで返す。
「ふふ」
「あ、でも…」
「へ?」
ラクスを求める想いがどんどん膨らむ中
(ちょっとラクスには悪いけど…)
キラはちょっとした意地悪を思いつき
「まだ…舌が痛いんだ…」
わざとらしく顔に苦悶の表情を浮かべて口元をおさえながらキラはそんなことを言った。
「え!?」
それを聞いてラクスはまた悲しそうに顔を一瞬歪ませるが、続いてキラは
「だから…舐めて」
「え?」
「ラクスが噛んだとこ…ラクスが噛んだボクの舌の部分…ラクスが舐めて。舐めて…痛いの消して…」
「え、ええ!?あの…え…わ、わたくしが……わたくしから…つまり舌を…出して…キラのを…?」
「うん…そういうことに…なるね」
「え!?あの…え!?」
そんなキラの言葉を聞いてラクスはドギマギしはじめる。
すると
「…だめ?」
少し大げさなくらいに残念そうな顔を浮かべるキラ。
「あ…いえ…………………………じゃ、じゃあ…」
そんなキラの顔を見ているうちに、ラクスも羞恥心を抑えて彼の要求を受け入れる気になった。
もともと噛み付いた自分に非があるのだし…
「あ、あのじゃあ…わたくしから今度は…いきますね」
顔を赤らめがらラクスがそう言うと
「うん、お願い。ちゃんと…舐めてね」
キラは嬉しそうに微笑んで返した。
「あ…い、いやらしい娘だって…思わないでくださいね…」
「ふふ、そんなこと思わないよ♪」
「…で、では…」
そして、ラクスは両手をそれぞれキラの肩に置いて、自分から口を彼の方へと寄せていって
(今度はわたくしから…あれを…するんですね…や、やだ…キラの顔がどんどん近くに…なんか胸がすっごくドキドキ…する)
「んちゅ…れろ」
「ん…」
キラと唇を重ねてから
「ちゅる…ぷちゅ」
「んん…ちゅ」
ラクスは舌をキラの口内へと差し入れていく。
(こ、これは!?自分から舌を入れるのってこんな感覚なの!?こ、こんな!?ああ…キラの口の中…なんだか…熱い…やだ、舌が溶けちゃいそう)
初めて味わうキラの口の味にラクスの心拍数はどんどん上がっていく。そしてキラも
(ラクスが来てる!ラクスの舌がボクの口の中に…ああ、柔らかいよ…ラクス)
彼女同様ますます昂ぶっていく。
「ちゅる…んちゅ…はちゅ」
「んちゅる…んん」
そして、ラクスは言われたとおり舌をキラの舌に重ねて
「ちゅちゅちゅ…ぴや…んちゃ…」
先程噛んだ箇所を慈しむように舐めていく。
(キ、キラの舌…すごい…蕩けそう…すごい…すごい)
温かく柔らかい舌肉。愛しい人の舌肉。
その感触に、ラクスは感動すら覚えて、次第に夢中になってそこを舐めていく。
噛んだ箇所を舐めてあげることで痛みを消す、という当初の目的はもう既に頭の中から消え去ってしまった。
だが
(あ…ラクス…だんだん舌の動きが大胆に…しかもラクス…舌、長いなあ…奥まで届いてくる…すごい…う…気持ちいい)
それはキラも同様だ。両手をラクスの背中の方に回して彼女の長い桃色の髪を撫でながら、ラクスがもたらす快感にただ身を任せる。
そもそも噛んだ箇所が痛いのどうのというのは、ラクスとのより激しいキスを楽しむ為の口実に過ぎない。
「はちゅ…んちゅ…んふ〜♥」
「ん…ちゅっ…んぅ……ぁ…っ」
「んん…ぷは…」
キラの舌を一通り舐めたところでラクスは口を離す。
「はあ…はあー」
「ラクス…ありがとう。気持ちよかったよ…」
「きらぁ…♥」
熱のこもった視線をキラにぼんやりと向けながら、己の舌に残る感触を反芻しているラクス。
キラは、口での深い交わりによって、すっかり脱力し腰が砕けそうになってしまっているそんな彼女の腰を抱きとめ、支えてあげる。
そして
「じゃあ、今度はまたボクから…」
「え…?」
「今度は食べていいよ」
キラはにっこりと笑ってそんなことを言い出す。
「へ?」
「あ、でもあんまり強くはしないで。軽く甘噛みするぐらいで。それだったら平気だから」
「あ…」
「じゃあ、いくよ。遠慮なく味わって…ボクの舌…」
すかさず口をラクスへと寄せていき
「キ、キラァ…」
キラはラクスには特に拒絶するつもりがないのを確認してから、彼女の頭を手で抱き寄せて、また唇を重ね舌をラクスの口内へと進出させて
「ちゅつ…れろれろ…ちゅるる…んちゅ」
ラクスの歯列を余すところなく撫でてから、舌をさらに奥へと突っ込ませ、彼女の口内の粘膜を執拗に愛撫していく。
そしてラクスは、キラの愛撫を受けながら言われたとおりキラの舌を…軽く噛んでみる。
(う!これ…気持ちいい!!)
新たな刺激に喉を震わせるキラ。
(あ…キラの舌を…わたくし…食べてる…食べちゃってる!こ、こんなのって…!)
ラクスもその柔らかい歯ごたえに陶酔を覚える。歯に伝わるその絶妙な感触をもっと味わいたくて、ラクスは繰り返しキラの舌を甘噛みしていく。
そして、そろそろこの口での激しい交わりにも慣れてきたラクスは
「はむ…っ…ちゅ、ちゅっんぅぅ〜くちゅ・・・ぺちゃ」
自分から舌を動かしてキラのそれに絡ませていく。
「はちゅ…んちゅ…んふ〜」
「はふちゅ…じゅる…はふ〜…ちゅる」
(あ、今度はボクも何も言ってないのに、ラクスの方から…嬉しい…それに…気持ちいいよ、ラクス)
(こんな…キラの舌がわたくしの口の中をあちこち動いてる中で、自分から動かすと…もっとすごいのが…来る…!ああ…もうだめ…腰がガクガクしちゃって…わたくし…溶けちゃう…)
二人は互いの背中を抱きしめ体を正面から目一杯密着させながら、唇を押し付け合い一心不乱にそのまま舌を絡み合わせていく。
激しく交わる二人の口からは、二人の唾液がそれぞれの顎をつたって二人の胸のところに次々と滴り落ちていく。
パジャマ越しでも確かに伝わってくるラクスの胸の柔らかさが、キラの体をより燃え滾らせる。
そして
「んちゅうう…ぷは…はあ…はあ…」
「んは…!」
口を離すとネットリとした唾液の橋がつくられる。
その橋の両端には、口の周りをまた涎でベトベトにさせて、顔を真っ赤に火照らせながら互いを熱く見つめ合っている二人の男女がいた。
「ラクス…ぼく…きみと…したい」
二人の男女のうち、男の方が意を決してとうとう告げた。
「え…キラ?」
その言葉にまた口の周りに口紅を少し滲ませている女の方は一瞬戸惑いを覚える。
「ラクスとその…セ、セックスが…したい。きみを抱きたい。きみが欲しい。きみと…もっと繋がりたい」
「あ…」
自分の想いを正面から伝えるキラ。
口での激しい交わりを経て、もうキラの中での欲求は限界にまで達していた。
ラクスが欲しい。
ただ…それだけ。
(ついにキラと…わたくしが…キラと…)
体中が熱いもので包み込まれる中、ラクスは
(わたくしはキラが好き。だから…キラとこんなキスが…できた。そして…キラが好きだから…もっと…キラと…繋がりたい。この想いに…偽りは…ありません…よね)
自分の想いを確認してから勇気を振り絞って
「はい。キラ…わたくしを…抱いてください」
彼を…愛しい人の求めを…受け容れた。
「ラクス…ほんとうに…いいの?」
キラもまた体全体が「ラクスが欲しい」という熱い想いに満たされる中でも念のためにもう一度尋ねる。
それに対してラクスは
「はい。わたくしはキラが好きですもの。だからキラにだったら…わたくしは抱かれても構いません…………
…………あ、いえ…こんな言い方よくありませんね。キラ、わたくしは…あなたに抱かれたい…」
ラクスは潤んだ瞳と紅潮した頬をキラに向けて、そう告げた。
「ありがとう、ラクス。じゃあ…」
(ついにボクはラクスと…ラクスと…)
そのままラクスの体を抱き寄せようとするが
「あ、待ってください!」
「え?」
「あの…その前に…ちょっとだけ、シャワーを浴びさせてくださいな…」
入浴はもう済ましているが、ラクスとしては…キラとの初めての交わり…一生に一度しかない大切な出来事…それにはもう一度ちゃんと身を清めてからのぞみたかった。
「うん、わかった」
キラは穏やかに微笑んで彼女の意向を受け入れる。
「じゃ、じゃあ浴びてきますから、少し待っててくださいね。あの…す、すぐに戻りますから…」
「いいよ。別に大丈夫だから落ち着いてゆっくり浴びてきなよ」
それを聞くと、ラクスはベッドから立ち上がって、少しぎごちない歩みで部屋の扉へと歩き
「で、では…」
「うん」
最後にキラに一声かけてからそのまま部屋を出る。
いったん自室にもどり自分用のバスセットを用意する。
そして、脱衣所で自分の衣服と下着を脱ぎ、トレードマークの髪飾りを外して籠にしまってから、ラクスは広めのバスルームに入る。
キュッキュッ ジャァーーーーーー
シャワーの蛇口を回してぬるま湯を解放する。
いつものようメイクをおとしてから、スポンジにボディソープをつけて左腕から洗っていく。
待たせているキラには悪いとも思ったが、丁寧に丁寧に体を洗っていく。これから誰よりも愛しく想っている彼に抱かれるのだ。
できるだけ不純なもの、汚いものは一切取り除いてからのぞみたい。だから、今日はもうすでに入浴は済ましているとはいえ、念入りに洗う。
(わたくしの体…どうなんでしょう…)
ふとラクスの中でそんな不安が生まれてくる。
わからない。自分の体がはたして女性として魅力的なものなのかまったくわからない。
というより男性が女性の体に求めるものがまずよくわからない。
性行為に関する知識は一応一通りあるがそれは表面的なものに過ぎず、そういう具体的なものはあまりなかった。
キラと恋人という関係になる前はそういう方面に興味を特にもっていたわけでもなかったし、そういう話ができるくらいに心開ける友人は―今はカガリがいるが―今まで皆無だった。
そもそも恋愛に関する話題自体に元々疎いのだ。
スポンジで乳房を洗っていると
(こういうことで聞いてことがあるのといえば…せいぜい…以前エターナルでバルトフェルド隊長とダゴスタさんが『女はやっぱり巨乳に
限るな!』なんてお話をしてらしたのを聞いたことぐらいでしょうか…。とすると殿方は胸は大きい方がお好みなのでしょうか…?もしそうだ
としてもわたくしの胸って…一体大きい方なのでしょうか?…マリューさんやカリダお義母様よりは明らかに小さいというのは服の上からでもわかりますけど……)
自らの裸体と他の女性の裸体を比較したことは全くない。例えば誰かと湯船を共にしたことなど一度もない。比較対象がないのだから、何も判断のしようがなかった。
体を洗う手が自分の股間のあたりに到着すると、ラクスは少しかかんで…つい自身の女性器を見てみる。
(我ながら…なんと言いますか…見てて気分のいいものではありませんね。いつ見ても…変な形…)
それが率直な感想だった。キラは「これ」を見てなんと思うだろうか?
考えはじめるとどんどん不安が募ってくる。自分の体に対する不安が…。
巨乳とまでは言えないが、かといって決して小さくも無く、かえってバランスのとれたボリュームを保ち、形もとてもよく整っている美しいバスト。
抱けばそのまま折れてしまいそうなほど華奢で引き締まったウエスト。
ふっくらとした柔らかみをもちながら、きゅっと張りもあるヒップ。
ほっそりとして繊細な腕周り。
すらりと伸びた長い美脚。
全体的に飛び抜けてスレンダーなボディラインでありながら、出るべきところはしっかり出ており、また必要以上に痩せすぎず肉付きも良い。
見事に均整のとれた、完璧といっても差し支えのないプロポーションだ。
そして、全身を包む雪のように真っ白でそして絹のように木目細かい、シミも汚れも一切ないすべすべの美肌。
実際に眼にすれば、地球圏にいるいたるところの女性が、羨望のまなざしを送り、溜息をついてしまうに違いない。
実際に眼にすれば、地球圏にいるいたるところの男性が、一瞬で思考を奪われ、その美しさの虜にされてしまうに違いない。
鮮麗な桃色を全体から放ち、さらりとしていてまた雲のようにフワフワしている長い髪。
花のように美麗で華やいでいて、そして何かのお人形のように可憐で整った顔。
それらも合わせれば…とてもこの世のものとは思えないほどの美貌。
たとえるなら…女神とでも言えばいいのだろうか。
彼女が否定的な評価を下した女性器にしても、うっすらとした控えめなヘアーの下にある自身ですらまともに触れたことのないそこは、
狭く華美な入り口の左右には綺麗なサーモンピンクの花びらが、その上には可愛らしい小豆が浮かび…とても美しくまた妖艶であった。
彼女は自分の体のもつそんな神がかり的な美貌をまったく自覚していない。
それどころか、彼女は自分の体に今は自信がもてないでいた。
だが仕方ないことかもしれない。
人間というものは、ある程度の自我をもってしまうと、常にコンプレックスを抱え込むようになるものだ。
ましてや思春期ともなれば、容姿に関する負い目は多かれ少なかれ誰しももつ。ラクスとて例外ではない。
彼女はそれを意識することが普段はなかっただけで、むしろ普段意識していない分、こうして行為を目前にして表面に出てきた途端、
気づかぬうちに日々少しづつ鬱積していたものが一気に噴出してきてしまい、ひたすら惨めな気分になっていく。
…キラは自分をみてどう思うだろうか?
(マリューさんは大人の女性って感じで素敵だし、カガリさんはすごく凛々しいし……そういえば昔少しあったことのあるフレイ・アルスターさん
も綺麗なお方でしたわね。そもそも…カリダお義母様がほんとにお美しい人ですし…。どうして…キラの周りにはこんなに綺麗な女の人ばっかりそろうんですか…?)
他人と比べて自分はどうなのだろうか?キラにとって自分は魅力ある女性なのだろうか…?
(あんなに綺麗な人ばっかりに囲まれてたらわたくしなんか魅力的には映らないかも…)
おっとりしていながら芯の強いところを見せる普段の彼女からは想像もできないほどに、自虐的になっていくラクス。
(…………………………………………でも…………わたくしはキラのお顔が一番好き…)
キラの顔。
他の人はどう思っているかは知らないが、少なくとも自分はこの世界で一番魅力的だと思っているその顔。
それを思い浮かべているうちにラクスはふとあることを思い出す。
それは先の大戦末期にエターナルのレクリエーションルームで艦の女性クルー数人と、クサナギから物資搬送のため出向していた
M1アストレイの女性パイロット三人がやりとりしていた会話のことで…
『ねえ、アサギさん。アスランさんって…カガリ・ユラ・アスハさんとお付き合いしてるんですか?』
『う〜ん、どう思うジュリ?』
『わたしはアレもうデキてると思う!』
『マユラには聞いてないでしょ!』
『なによ!』
『二人とも変なことで喧嘩しないの!…まあわたしは…アレはもう…付き合ってると思うな…』
『だからデキてるんだって!カガリ様のルージュの訓練にはいっつもアスランさんがサポートしてるし、仕事がないときもほとんど二人で一緒にいるじゃん!
冷やかしてもカガリ様、怒りはするけど、否定はしないし』
『…結局アスランさんはあの人とお付き合いしてるんですね…なんか残念…』
『どうして?』
『アスランさんってわたし達ザフトの女性の中ではすっごーーーーーく、憧れの人なんですよ。バリバリの御曹司で軍のトップエリートでその上ネビュラ勲章
までもらってて…何よりもあのルックス!!!』
『そうそう!クールな男前って感じだし、あのエメラルドグリーンの瞳で見つめられたら…わたし…気絶しちゃう…』
『でもさ、コーディネイターって、わたし達ナチュラルに比べれば…その…みんな美形なんじゃないの?』
『それでもアスランさんは別格ですよ!あんなカッコいい人プラントの中にも滅多にいません!』
『そうなんだ。じゃあカガリ様って…けっこう凄い人ゲットしたことになるのね。…うらやましいな〜…』
『まあカガリ様もだ・ま・っ・て・れ・ば美人だからね。あくまでだ・ま・っ・て・れ・ばだけど』
『ほんとに残念…まあよく考えたら…あの人には元々ラクス様がいるから変わんないけど…ってそうなるとお二人の婚約はどうなるんだろう…?』
『ラクス様はラクス様で、最近はあのフリーダムのパイロット、キラ・ヤマト君といっつも一緒にいるよね』
『でもまあ色々微妙なのかもよ。今は状況が状況だし、お二人のお父様方が…その…あれだったし…』
『あ、わたし婚約はもう解消されたってこないだクサナギでアスランさんから聞いたよ。なんかアスランさんの方がふられたみたいなかんじだったなあ…俺は馬鹿だから、って』
『え、じゃあ結局ラクス様の方が先に乗り換えたってことですか!?わ、わかんない…正直わたしはあのキラ・ヤマト君はあんまり…』
『うん。ブサイクかハンサムかって聞かれれば…まあハンサムの方に入るけど…でも…アスランさんと比べると…』
『そう?わたし達ナチュラルからみればキラ君もカッコいい…てゆうか可愛いって言った方がいいかな…十分良いと思うけど…アサギはどう?』
『わたしはこの娘達の言うことはわかるな。キラ君も確かに良いんけど、アスランさんと比べたらっておもうと…やっぱりアスランさんの方に軍配あがるよね!ねえ、マユラ?』
『わたしもそう思うな〜。キラ君かアスランさんかって言われると…わたしはアスランさん選んじゃう♪』
『はい!わたし達はアスランさんの方が断然いいと思います!』
『うん。なーんであんな超美形の婚約者がいたのにラクス様は…わたし、キラ・ヤマト君は正直タイプじゃない…』
『わかんないよねー。童顔入りすぎててわたしもあの顔苦手…』
『ラクス様…趣味…良くないよね…』
『あらあら、どうなさいましたか?』
『ラララララララララ、ラクス様!!!???』
『あらあら、わたくしの名前が出てたようですけど何かあったのですか?』
『ななななななななな、何でもありません!!!!!!』
『そうですか?あ、アサギさん、ジュリさん、マユラさん、お疲れ様です』
『『『は、はい!!!!!』』』
その場では何も追求せずにそのままにこやかにおさめたラクスだったが…当時、彼女は内心少し腹を立てていた
(わたくしは別に外見からキラとアスランをそれぞれ判断してるわけではありません!………確かに…キラのお顔は好きですけど…。…って、
そもそも趣味が悪いって余計なお世話ですわ!だったらわたくしから言わせて貰えば…趣味が悪いのは向うのほうです!キラのお顔の良さ
が全然わかってないんですもの…こんな言い方したらアスランには悪いですが…キラのほうがどう見たって素敵じゃありませんか!わたしはキラのお顔が一番好みです!)
容姿に関しても調整の受けることの多いコーディネイターだが、そのあまりにも端整な外見は、どこか機械的で冷たい(よく言えばクールで凛々しい、だが)という印象をもたせてしまうこともある。
しかし、キラは、容姿に関する調整には「父親」、ユーレン・ヒビキが興味を欠いていたせいだろうか、中立といってもやはり圧倒的にナチュラル
が多かったヘリオポリスの中にいてもほとんど違和感がなかったほどごく自然な顔作りで、ナチュラルである双子の姉・カガリともどこか重なる
ところがあり、コーディネイター特有の洗練された造形美はほとんど感じさせない。
といっても崩れた顔つきというわけではないし、特徴がないわけでもない。
彼の顔で印象が残るところといえば、東洋人系に多く見られる牧歌的な柔らかみをもつ目鼻立ちと輪郭であり、またその柔和な容貌に拍車を
かけているのが子犬のような人懐っこさを感じさせる大きな菫色の瞳だ。
そして全体的に、美男子や二枚目というよりは、可愛い、もっと言えば童顔という表現の方が似合う、幼子のような愛くるしさとあどけなさがある。
またラクスは、以前キラに「母親」、ヴィア・ヒビキの写真を見せてもらったことがあるのだがそれと比較すると、そのサラサラの淡い茶色の髪と
同様、キラはかなり「母親」の方の影響を色濃く受けた顔なのかなとラクスはその時思ったが、そのヴィア・ヒビキの写真をみた彼女の第一印象は
『優しく笑ってらっしゃるわ…』
そして、顔全体から滲み出る優しさは確かにキラにも受け継がれているとラクスは感じている。
ラクスはそんなキラの顔をとてもとても気に入っていた。
あの顔の持つそんな優しげな繊細さ、他のコーディネイターにはない自然な雰囲気、そして、印象的な柔らかみ…それらを目の前にすると、
ラクスは一切の警戒心を解かれ、自分もまた自然体で飛び込んでいけるような安心感が生まれてくる。
また、年齢よりかなり幼い印象をもたせるその顔は―キラが聞いたら少し怒るかもしれないが―母性本能が強いところがあるラクスとして
は、「この子を放っては置けない」という妙な保護欲をそそらせるもので、強く惹きつけられるところがあった。
彼に対して仲間や同志といった感情だけでなく、一人の女の子としての恋心を抱くようになったのも、あの顔のもつそんな魅力が原因だったかもしれない。
だが、逆も考えられる。
彼のことをいつのまにか好きでいたからこそ、彼の顔にもそうした好印象を抱くようになったのかもしれない。
どちらが正しいのかはラクスは自分でもよくわからない。
ただ一つわかるのは、自分が誰よりも愛しいと思っているキラの顔こそが、この世でもっとも魅力的な顔だ、ということだ。
他人がどう評価しようが関係ない。自分は彼の顔にこそ最高の評価を与える。
キラの周りにどんな男がいても―たとえば「超美形の婚約者」―関係ない。そちらに眼を奪われることなどない。
(ふふ。誰がなんといおうとわたくしはキラのお顔が一番好き♪あのブラウンの髪もすっごく綺麗で可愛いし。他の人のことなんて気にする必要はありませんわね。わたくしが自分で好きなんだから)
そう考えるとラクスはずいぶん楽になってきた。
自分がそうであるように、キラもきっと他人がどうであろうと、自分のことを好きでいてくれる。
他人が自分の容姿をどう評価しようとも…他にどんな女性がいようとも…きっと自分を見てくれる。
キラは、自分を「好き」だとはっきり言ってくれる。その時の彼の顔には何も偽りを感じない。
だから彼を信じることが出来る。彼に対してなら、自信をもって接することができる。
そんな感じで、一通り体を洗い終えたラクスは、最終的には晴れやかな気分でバスルームを出ることになった。
そして、体を拭いて髪を整えていくが、籠に入れた下着とパジャマを見たとき
(ど、どうせ…ぬ、脱ぐことになるのにまた着るのも変ですね…で、でも裸でいくことなんか絶対できないし…下着も…だめですね。バスタオルを巻いていくのは…それはかえって余計恥ずかしいし…)
他人のことは気にしないで自信を持つ。
そうは結論づけたものの、行為に対する緊張からは逃れようもなく、また裸のままはもちろんのこと、バスタオルを巻いたとしてもそれでキラのもとに戻るほどの…度胸もない。
ラクスは結局、髪飾りを付け直してまた元通りのパジャマ姿でキラの部屋へと戻ることにした。
ただ、緊張のあまり、いつもキラの部屋に行く前に必ずすることを忘れていたのだが。
一方キラの部屋では
(ついにラクスと…か。なんかこうして改めて思うと…すごい…ドキドキするなあ)
恋人との行為を目前にしてキラはなかなか落ち着くこともできず、そわそわしながらベッドに腰掛けてラクスを待つ。
ふとキラはこの十日間のことを思い返してみる。
自分はどういうわけか、初めて出会った頃から、ラクスのことを敵だとか歌姫だとかそういうことを特別意識することなく接してきて、
またはたから見たらどこかとらえどころの無い感じの彼女も自分には割と自然体で接してくれてきたように思う。
そして、恋人同士になってからの彼女は、より一層普通の女の子らしいところを自分に見せてくれて…彼女のそんなところを見せてもらうたび
にますますラクス・クラインという一人の女の子に惹かれていく自分がいた。
元々ラクスは自分にとって特別な存在であったわけだが…自分の心の中では、ラクスの存在が前よりずっと大きくなっている。
(今となってはもうラクスなしの生活なんて考えられないくらいに…ラクスのこと…好きになっちゃってるなあ。こんな…気持ち…初めてだ。
ただでさえこんなに好きなのに…もし、エ、エッチをしたらボクはラクスのことを………多分もっと好きになる。そうなったらボクは…どうなっちゃうんだろうなあ…)
などとラクスのことを想いながらこれからの行為への緊張と…そして、期待に胸を膨らましていた時
「あ…」
急に何かを思い出して、キラはベッドから立ち上がり自分の机の方へと歩いていき
(これ…用意しといてよかったなあ…)
引出しから、「万が一」に備えて、先日例のサイトからの収入をもとにインターネットの通販で買ってひそかに取り寄せておいたコンドームを取り出す。
(ボクは何を…ラクスと恋人になったとたん…こんなもん用意してんだもんなあ…………だめなやつ…)
煩悩を剥き出しの自分の行為に嫌気がさしてくる。
だが
(でも…ラクスを想うこの気持ちに偽りはないし…別に恥ずかしいことなんてなにもない。そして、それはラクスも一緒なんだ。だったら…別にいいよな…)
言い訳じみた考え方だが、これは彼の本心だ。
誰とだってしたいわけじゃない。
ラクスだからこそしたいのだ。
ただ性欲を解消するために求めたわけじゃない。
他でもないラクスと、もっと繋がりたいからこそ求めたのだ。
そして、彼女を想う気持ちは、今も一切色褪せていない。いや、むしろもっと強くなっている。
何よりも、当のラクスが受け容れてくれたのだ。
『キラ、わたくしは…あなたに抱かれたい…』
何よりも彼女もまた最終的には自らの意志で…これを望んでくれた。
ならば何も後ろめたいことはない。
(ラクス…ボクはきみが本当に好きだ。大事にしたい。だから…)
右手でもった避妊具を見つめながらそんなことを考えていると
カチャッ
「…キラ…」
シャワーを浴び終わったラクスが戻ってくる。
「あ、ラ、ラクス!」
突然ラクスがあらわれ、キラはついとっさにコンドームをズボンのポケットにしまいこむ。
「?…どうしました?」
「ううん!何でもない!」
何も後ろめたいことはないはずなのだが…それでもちゃっかり避妊具を用意している自分というものを見られるのになんとなく気まずさを感じ、
キラが誤魔化すような笑いを浮かべる。
「?…そうですか…」
他人の反応に敏感で、特にキラに関してはその本心をほとんど感じ取ることができるラクスも、この時ばかりは彼女自身がこれからの行為へ
の様々な想いで頭がいっぱいいっぱいだったので、不自然な反応を示したキラに対して特に言及もせず、そこで納得する。
その後、ラクスは黙ってドアの入り口のところに突っ立ったままで、キラとは視線を合わせようとはしない。
顔が紅潮しているのはシャワーを浴びてきたからだろうか、それとも…
「えっとさ…ラクス…」
キラが口を開く。
「…はい?」
「ボクもさ…ちょっとシャワー浴びてくるね…」
立ち上がるとキラは自分のバスセットを用意して、ラクスにそう言葉をかける。
キラも入浴はすましていたが、やはりこれからの行為に向けて改めて身を清めておこうと思ったのだ。
「あ、はい…」
「うん。じゃあちょっと待ってて」
そのままラクスのいる部屋の入り口のところまで歩いていく。そしてラクスとすれ違うところで
「ちゅ」
「あ…!」
硬直してその場を動けないでいる彼女の頬に軽くキスをする。
「じゃあ行ってくるね」
なるべくいつもどおりの笑顔をつくってから、最後にそう言葉をかけてキラは部屋を出ていった。
「………もう、キラったら…」
今のは、見るものが思わず心配になってしまうぐらいに極度に緊張しているラクスへの彼なりの心遣いなのだろう。だが…
「逆効果ですわ…」
シャアーーーー
バスルームでシャワーを浴びて、全身の汗を流していくキラ。
ラクスが湯冷めしたら悪いのであまり時間はかけないように急ぎめに。
(ラクス…なんかすっごく緊張してたな。キスもボクとするまではしたことないっていうなら…もちろんエッチも初めてだよな。
だから無理ないか…だったらボクは…ほんとに優しくしてあげなきゃ駄目だよな。いやまあ初めてだろうとなかろうと優しくするつもりだったけど)
ぬるま湯を浴びながら、ふと下半身に目を向けてみると…
(なんだ…これ…?)
今まで見たことがないほどに猛々しく隆起した…自分の分身が目に映る。
(こ、これは…なんだこの勃ち具合…す、すごい…ボク自身ですら…怖くなってくるぞ…)
ついそのままイチモツを凝視してしまう。
(う、う〜ん…なんでこんなになってるんだ…?それだけもうボクは体中が…ラクスに対する欲望で滾りきってるってことか…。
これじゃあ…いざラクスを目の前にしたら暴走しちゃうかもなあ…)
キラはシャワーの湯を止めて
「…」
少し逡巡した後
「く…!」
自らの体に充満する熱を少しでも落ち着けようと…イチモツを己の手で扱き出す。
先程味わったラクスの甘い口の感触を反芻しながら、そしてこれから抱く彼女の肢体を想像しながら。
が…
「ああ…ラクス!!!!!」
ドピュッッッドピュドピュッ!
時間にして数秒…一瞬にして達する。
「はあ…はあ…」
(な、何をやってるんだボクは…?ここみんなで使うお風呂場なのに…いつからこんな変態に…と、とにかく)
再びシャワーのお湯を出して、達したばかりのイチモツと自分の精が飛び散ったタイルのところにもっていって精を洗い流す。
そしてあることに気づく。
(ぜ、全然おさまってない…)
キラの分身はその滾りを落ち着かせる気配は少しもなかった。
(駄目だ…これはもう実際にラクスとするまで…きっとおさまんない)
そこでキラは自らの衝動を落ち着かせることを…諦める。
そしてバスルームから出て、脱衣所でタオルで体を拭いてから、籠に入れた衣服を着直す。
「大丈夫だよラクス…ボクはきみのことが本当に好きなんだ。きみの体だけが目当てってわけじゃないんだ。だから…優しくするから…大丈夫だ」
むしろ自分に言い聞かせるようにキラはそう呟いた。
そして、彼は今にも口から飛び出ていきそうな心臓と熱く滾る分身を必死で抑制しつつ部屋へと戻っていく。
「はあー…」
キラの部屋ではベッドに腰掛けてもう何度目かわからない溜息をついたラクスがいた。
(もう駄目…心臓が…破裂しそう)
自分で自分の肩を思いっ切り抱きしめる。
(キラとわたくしはちゃんとお互いを想い合ってるんですから…汚いことではありませんよね、これは)
そうは思いつつもなかなか心臓の昂ぶりが押さえられない。
やはり、未知の経験に対する不安や恐怖はある。
(でも、わたくしは自分のいったことに別に後悔してないし…キラならきっとどんな時でもわたくしを大切にしてくれる…だったら…大丈夫ですよね)
そうだ。
彼を愛しいと思うこの気持ち。
それには何も偽りはない。
そして彼もそれは同じことだ。
なら大丈夫だ。彼を信じよう。
そう考え、ラクスはなんとか心を落ち着かせようとする。
「…」
ふとラクスは自分の横に置かれているキラの枕を取り出して…
「すー…ふふ…キラの匂い♪すぅ〜♥」
枕に鼻をひっつけてそのまま両腕でぎゅうっと抱きしめる。
愛しい彼の香りを目一杯感じながら
(初恋の人とお付き合いすることができて…キスもできて…こうして初めてのエ、エッチも…その人が相手で…しかもその人は誰よりも優しくて
ほんとにわたくしを大切にしてくれて…わたくしはきっと…今一番恵まれている人間…)
目の前の枕をキラに見立ててぎゅうっと抱きしめる。
(思えばわたくし達って…すごく運命的な出会いでしたわね。わたくしはプラントでずっと歌を歌ってて、キラはコロニーで普通の学生をしてたの
に地球軍に入ることになっちゃって…普通だったらそのまま何も面識ももたずにお互い人生を過ごすことになるに決まってるのに…
アークエンジェルで出会っちゃって………)
目を閉じてあの時のことを思い出す。
あの時から自分と彼を取り巻く運命の歯車はまわっていたのだろうとラクスは感じる。
(そういえばわたくしは二月生まれで誕生石がアメジストですけど…キラの瞳の色も…わたくしの大好きなあの瞳の色も…アメジストの色
なんですよね。ふふ…本当に運命の糸で繋がっているみたいですわ♥)
自分とキラに人智も超えたそんな運命めいた繋がりを感じつつも…ふとある不安がよぎる。
(もしキラと出会わなかったらわたくしは…そのままアスランと結婚していたのでしょうか…?…そうですね、きっとそのままアスランと結婚
してましたね。キラと出会ったからこそ、わたくしは自分の道を進みはじめることができたのだから。でも、キラと出会わないでそのまま
過ごしてアスランと添い遂げたわたくしは…もちろんアスランはアスランで大切な人だけど…今のわたくしに比べて…それはよかったこと
なのでしょうか…?多分そのわたくしは…今のわたくしに比べれば…)
キラと出会わなかったら自分はどうなっていたのだろうか?
もし運命が自分達を導いてくれなかったら?
もし運命がまた別の形をなしていたら?
ラクスは考えて思わず怖くなり目の前の枕をさらに力強く抱きしめる。
運命。
人の意志を超えた存在。
もしそれが己の望むものと全く別の形をなしていたなら…それはなんと残酷なことであろうか。
だが
(出会ったのは運命によるものかもしれない…でも今ここで二人で共にいられるのはお互いの自由な意志によるもの。
そうですよ、だから大丈夫ですよ。運命がどうであろうと今ここにわたくしとキラが共にいるのは揺ぎ無い事実ではありませんか。
それが今のわたくしにとっては何よりも嬉しいことなのです、キラ。これからあなたに抱かれることもわたくしは…本当に素敵なことだと思って
います。そして互いの自由な意志さえあればその後もずっと一緒にいられる…そうですよね、キラ)
そう考えているうちに、今しがた感じた不安も露に消えた。
そのまま心臓は今にも体の中から飛び出してしまいそうなほどバクバクと脈打っておきながら、安らかで温かな表情を浮かべながらをキラの枕を抱擁するラクス。
ふとそんな彼女の目があるものをとらえる。
「あれは…?」
それは机の上に置かれたキラのリップクリームだった。
「…」
ラクスは枕をそっと元のとこに置いて、立ち上がってそこへと歩み寄る。
そして、なんとなくそのリップクリームを手に取ってみる。
(キラとキスするとき、キラの唇はいつもツルツルしてて気持ちいいなあ、なんて思ってましたけど…こんなのを塗ってらしたんですね…)
そんなことを考え、ラクスはおかしくなってきた。
キラは基本的にずぼらな性格だ。
時間にはルーズだし、家事の手伝いをしてもらうときも本人は悪気はないのだろうがどうもいずさんにやってしまう。
そのくせ、どうしてこんな妙なところへの気配りはできるのだろう…そう思ってラクスはつい軽く笑みをこぼしてしまった。
(ほんとにキラったら………ふふ、あの子は鈍感なのかと思いきや、すごく繊細なところもあるんですよね……でも…初めてのキスのときの、
あのちょっとカサカサしてた感触も…あれはあれで好きだったんだけどなあ…)
そんなことを考えながらクリームのキャップを見ててラクスはあることに気づく。
(これ……キャップの色が違うけど、わたくしが持ってるのと同じだ…すごい…なんかほんとにキラとわたくしって……)
などとクリームを見つめていると、ラクスは無意識のうちに
スポッ!
クリームのキャップを外していた。
(…クリームの芯、けっこう減ってる…随分使いこんでるようですね……………キラはこれをいつも唇に…)
そして
「…」
ゆっくりクリームの芯を自分の唇へと近づけていたとき…
「あ…!」
キラの足音が聞こえてくる。
(わ、わたくしはなにを!?キスだったらいつもしてるじゃありませんか!今更なんでこんな…!?と、とにかくこれは元のとこに…!)
ラクスは慌ててクリームにキャップを付け直して机の上に置いてから、何事もなかったようにベッドへとまた座る。
カチャッ
キラがバスセットを抱えて戻ってくる。
「おまたせ…」
「あ、はい…」
ラクスはキラの登場に恥ずかしくなり思わず俯く。
ちょっとやましいことをしようとしていた先程の自分。
そして、いよいよこれから迎えることになった…初体験。
様々なものが入り混じり、ラクスはキラの顔を直視することなどできなかった。
一方でキラは、バスセットを元の場所に戻してから…ラクスの右隣に寄り添うように座る。
その歩みは妙にぎごちないものだった。
ズボンの中でも猛々しく膨張している己の分身の様子をラクスに悟られない為だ。
のみならず…彼自身もその心は緊張というものによって支配されていたのだ。
だが、キラはそんな自分の心中をラクスに悟られないよう、必死で平静を装う。
「…」
「…」
しばらくなんともいえない空気が二人を取り巻く。
ドクン ドクン
静寂の中を二人の鼓動の音がただ響く。
するとキラは
「あの…」
「…はい?」
「電気…消すね。それでスタンドライトはつけとくけど…いい?」
「あ、はい」
ベッドの隣のテーブルに手を伸ばしてリモコンで部屋の蛍光灯を消してから、リモコンをまた元のとこにおいて同じテーブルにあるスタンドライトだけをつける。
(すごい…ラクス…本当に綺麗だ…)
薄暗い照明の光がラクスの白い横顔を照らし…どこか神聖な雰囲気を醸し出す。
そのあまりの美しさと神々しさに…キラは自分ごときが触れていいものなのかどうか、一瞬つい躊躇いを覚えてしまう。
「あ…」
しかし、彼は意を決してそんなラクスの華奢な肩を左手で抱き寄せる。
(あ…キラの手も…ちょっと震えてる…)
ドクン ドクン
ますます高まる互いの鼓動の中、顔を近づけ
「ラクス…」
「キラ…」
「ちゅう…」
「んちゅ…」
ラクスの唇を奪う。
目を閉じて互いの唇の感触を味わう二人。
そしてそのままキラはラクスの体を下にして
ポスッ!
「ん!」
ラクスの頭が丁度枕のところにいくように、ベッドへと倒れ込む。
スリッパは二人ともいつのまにか脱げていた。
「ラクス…」
「キラァ…」
ラクスに覆い被さるような格好になって、彼女と正面から見つめ合うキラ。
スタンドライトの光が二人の顔をほのかに照らす。
「ラクス…いい?」
キラが尋ねる。
「…はい…あ…その…わかっていらっしゃるかもしれませんが…わたくし………初めて………だから優しく…してください」
顔をますます紅潮させて、そんな言葉でラクスはキラに答える。
「うん。大丈夫…優しくするよ」
自分が処女であることをはっきりと告白したラクスに対して、キラは優しく微笑んでそう返してから
「ラクス…いい?」
最後にもう一度そう尋ねる。
「…」
ラクスは火照った顔をキラに向けて無言で頷いた。もう覚悟は…できてる。
それをうけてキラは
「ラクス…好きだよ」
想いを通じ合ったあの日からもう何度囁いたか数え切れないその言葉をおくりながら右手でそっとラクスのまだ少し濡れている前髪を掻き揚げて
「ちゅ…ちゅ…」
「ん…」
唇にではなく、彼女の額にキスをしていく。
(あ…こんなところキスしてもらうの…わたくし、初めて…キラのキス…優しい…)
「ちゅっ…ちゅっ…ちゅちゅっ」
「ん…はあ…」
左手で優しくラクスの肩を上から掴みながら、そのままきゅうっと閉じられたラクスの瞼に、鼻に、眉間に、こめかみに、頬に、そして唇にと、彼女の顔のいたるところに軽いキスの雨を降らせていく。
(やだ…キスされるたびに…どんどんドキドキが…止まんない……キラ…)
(ラクス…珍しくすっぴんだな…すごいすべすべしてる、ラクスの素肌)
そんなラクスの顔にひたむきにキスを捧げていくキラ。
少しでも彼女の緊張が解れるようにと優しくキスをしていくが…
(ラクス…なかなかリラックスしてくれないな…ずっと目を瞑って、体強張らせて…どうしよう…)
ふとキラは
「ラクス…すっごく可愛い…」
互いの額をくっつけてそんなことを囁く。
「キ、キラ…」
「ラクス…好きだよ」
こうして彼女に言葉をかけてあげることこそが彼女の緊張を解きほぐすことになるのでは、と思い優しい言葉を囁いていく。
言葉をかけながら擽るようにしてラクスの唇を自分の唇で突っつく。
「キ、キラァ…」
「ラクスの唇…柔らかくて…いいよ」
「ん…」
「ラクス…好きだよ」
「キラ…」
「ラクスは…?」
「そんなの…わたくしだって…あなたが好きに…決まってるじゃないですか」
「ありがとうラクス…ちゅ」
「んちゅ…」
キラはラクスの艶々の唇にもう一度軽く口づけしてから
「ラクス…もっと言ってほしいな…ボクを好き、って」
そう言ってラクスに頬擦りをする。
「ん…はい…好きですよ、キラ。わたくしはほんとにあなたのことが大好きです♥」
ラクスは微笑んで言った。腰の横に置かれ棒のように堅く真っ直ぐになっていた両手をそっとキラの背中のところに回して彼のシャツをきゅうっと掴む。
そして彼女も自分の頬をキラの頬に摩らせていく。
体は相変わらずガチガチに堅くなっているのだが、それでも顔にはかすかにではあるが愛しの人がそばにいることへの安らぎを匂わせるようになってきた。
「うん、ボクもだ。きみのことがほんとに好きだ」
「はい…嬉しいです、キラ…」
「ラクス…本当に綺麗だよ…」
「キラ…」
「すっぴんのきみをこんなに間近で見るのは初めてだけど…本当に綺麗だ」
「!!!!!?????」
キラは優しく笑って言ったが…………………………対照的にラクスはその言葉を聞いた途端、顔を引きつらせる。
「あ…あ…」
「?」
「あ…いや…」
「…?どうしたの?」
「あの…見ないでください!!!!!」
そう言ってラクスは涙目になりながらキラから顔を離して、そのまま両手で覆って隠してしまった。
「ラ、ラクス!?」
キラは困惑した目で上からラクスを見下ろす。
ラクスは早くからプラントのアイドルとしてデビューして生きていた。
当然メディアに出る時はメイクを欠かさずしていたわけで、またプライベートのときでもアイドルとしてのイメージを壊さない為にいつも自分で念入りにメイクをしていた。
故に、アイドル「ラクス・クライン」のメイク係などの周囲の者、肉親、クライン家に使える使用人などを除いて彼女の素顔を知るものはいない。
元婚約者のアスランも含めて。
そんな中、彼女は人前に出る時は必ず化粧をしてから、というのが自分の中で刷り込まれていた。
そして、ラクスにとっての化粧は自分の素を隠す為のある種象徴になり、彼女は「自分」を隠すために他人に自分の姿を曝す時は人一倍化粧にこだわるようになっていた。
それは相手が子供だろうと関係なかった。
この伝道所の生活においても、誰よりも早起きをしてはメーキャップを整えておくし、彼女がいつも周りが寝付くのを待ってから入浴するのは、風呂あがりの素顔を見られないようにするためだ。
肌の手入れなどのために何かの事情で化粧ができない時は自室に引きこもって人目を避ける。
少々異常ではないかと思われるほどの念の入りようだ。
そして、それはキラの前でも変わらない…いやキラが相手だからこそより一層手が込んでいた。
キラと夜会う時は、ラクスは必ず自室でわざわざしっかり化粧を整えてから向かっていた。
彼に…愛しい彼に…自分の素顔を見せるのが怖かった。彼には…少しでも美しい自分を見せていたかった。
しかし今は、行為に対する緊張のあまり入浴時におとしたメイクを戻すのを忘れ何もしないまま、キラの前に出てしまった。
(わたくし…そんな…今の顔をキラに見られたら…そんな…わたくし…)
恋愛における一つの関門。
それは自分の素顔をいつ相手に見せるか、だ。
その人と共有する時間が増えれば増えるほど当然常に化粧で飾った自分を見せるということはできなくなってくる。例えば閨を共にする時。
特に女性は、常に綺麗に着飾った美しい自分を見せていたいという想いを多くの人がもっているものであり、そんな中何も飾らない自分の
素顔をどのタイミングで見せるか、というのは切実な問題といえよう。
といってもそれは個人差があるのもまた確かだ。
あっけなく自分の素顔を相手に見せることのできる人だって珍しくはない。また素顔の自分にこそ自信をもっている人もいる。
しかしラクスは違った。
自分の素顔をごく一部の人間を除いて全く見せることなく生きてきた彼女は…常に自分の素を押し殺して生きてきた彼女は…
素顔の自分を愛しの人に曝け出すなんてことは受けいれられないことだった。
素顔の自分に…自信がもてないから。
「…うう…」
「ラクス…」
真っ赤になって顔を手で覆うラクスを、キラは何と声をかけていいかわからずしばらく黙って見ていた。
(ラクスってお化粧とかにすごいこだわるなあって前から思ってたけど、こんなに自分のすっぴん見せるの嫌なのか…。女の子にとって自分
のすっぴんを見せるのって勇気が必要なことなのか…。でもボク何回かラクスのすっぴんは見たことあるんだよなあ…アークエンジェルで
出会った時とか。なのになんで今更こんなに気にするんだろ?そ、それにエッチする時は普通お化粧は落とすんじゃ…あ、でも人によるの
かな…?でも、そんなに気にすることなのかなあ?確かに雰囲気はちょっと変わったけど、お化粧しなくてもラクス、めちゃくちゃ美人じゃん。
てか、これだけ綺麗な顔を元からもってるのに化粧する必要ってあるのかな…?しかもあんなに手間かけて。…だいたい…ボクは今のラクスの方が…)
キラは思い切って、少し力ずくで――――――――――――――ラクスの両手を彼女の顔から引き剥がした。
「きゃ!!!???な、なにを!!!???」
突然のキラの暴挙にラクスが驚愕と非難の目でキラを見ると
「ボクは…今のきみの顔が…一番好きだ」
キラはそれに対して、ラクスの手から腕を離すと真摯な瞳を向けてラクスに告げた。
「…え?」
(今のわたくしの顔…それが一番好き…キラ…それは…いったい…?)
その言葉を聞いたとき、ラクスの心に何かが響いた。
そのまま、真っ直ぐでそして優しい色を浮かべるその大きな菫色の瞳に吸い込まれていく。
キラは言葉を続けて
「今の何も飾ってない…きみの顔の方がボクは好きだな」
「キ、キラ…?」
一口にメイクと言っても、その人の好みや流行によってまた色々と方向性があるわけだが、ラクスの場合、アイドルとしてずっとしてきたように、
どこか幻想的で儚げなイメージを意識してつくっていく傾向があった。
たとえるなら…妖精のような雰囲気を纏わせていくメイクだ。
が、キラは正直に言って、そんなラクスの化粧顔を…もちろんとても綺麗だとは思っているが、一方で最近ではあまり快くは思わないことが時々あった。
妖精というたとえからもわかるように、そのあまりにも人間離れした美しさに、かえって何か自分が取り残されたような感覚を覚えてしまうのだ。
恋人であるはずの彼女が…自分の隣にいてほしいと自分が心から望んでいる少女が…自分とは違う、どこか別の世界の存在であるかのような感覚。それがキラは嫌だった。
また何よりも…恋人である自分に対してすらなかなか素顔を見せてくれないラクスに…寂しさを感じずにはいられなかったのだ。
だから
「ボクは今、きみの素顔をちゃんと見ることができて…本当に嬉しい」
キラは穏やかで優しい顔をしてラクスに語りかける。
「うれしい…?」
自分の心の中を何か温かいものが少しずつ満たしていっているのを感じつつ、ラクスはキラに問う。
「うん。普段お化粧してる時のラクスってもちろん綺麗だよ。そんなラクスもボクは好きだ。でも…時々なんか寂しくなっちゃうんだよね。
その…なんていうのかな…その…あまりにも綺麗過ぎて…遠くに感じちゃうんだ…」
「キラ…」
「だから…ボクは素顔のきみをもっと見たいんだ。お化粧してるきみじゃなくて、素顔のきみを」
「それは…素顔のわたくしは綺麗じゃない…だから遠くに感じることもない…そういう意味ですか?」
ラクスが不安そうに尋ねると
「う〜ん…そういう意味じゃないよ。素顔のきみだって、今こうして近くで見てみると、本当に綺麗だよ」
キラは穏やかに微笑んで返した。
「ほんとに?」
「うん」
「でもほら、何もしてないと、眉毛も睫毛も乱れてるし、目元も暗くなっちゃうし、お肌も汚く見えちゃうし…」
それでもまだ不安そうなラクス。
「そうなの?細かいことはよくわかんないけど…化粧しようとしまいが、ラクスが綺麗であることには変わんないよ。ボクはそう思う」
男とは得てしてそんなものである。
人にもよるが、男は相手が化粧をするかどうかについては女性が思ってるほどこだわっていない。相手の化粧した顔とすっぴんの顔のギャップを楽しむなんかもいる。
特にキラの場合…毎日しっかり洗顔などはして清潔は保つが、特別化粧とかはしないし、自身が割とそこら辺はずぼらなところがある、というの
も影響しているのだろう、ラクスが化粧しようとしてまいと気にするような人間ではなかった。
むしろ、彼女には二人っきりの時にはなるべく素顔の方を曝していてほしかったのだ。
自分に距離感のようなものを時折感じさせることのある化粧をした顔ではなく。
「キラはじゃあどうしてあえてわたくしの素顔を…みたいの?」
「あのね、どっちの顔も綺麗なのは変わりないんだけど、素顔の方はね…なんていうか…自然。全体的に顔がなんかほんわりして柔らかくなった感じがする。見てて…心が温まるよ」
「…………………キラ…それ…」
「…?」
「わたくし、あなたのお顔が大好きです…」
「ふふ、ありがとう」
少し照れつつ、嬉しそうに笑顔で答えるキラ。
「わたくしも…あなたのお顔…すごく柔らかい感じがして…見てて心が温かくなるんです」
「そうなんだ。嬉しいよ」
「キラも同じ…なんですか?」
「うん。今のラクス、本当に綺麗だよ。お化粧してる時よりも…あ!ご、ごめん、これは別にお化粧するのが駄目ってわけじゃ…ご、ごめんね…
ラクスも一生懸命お化粧してるのにそれを否定するような言い方で。だ、だからさ…う〜ん…なんていうのかな、どんなに飾ってもありのまま
のラクスがもってる魅力は変わらなくて…そ、それで…そのありのままのラクスがもってる魅力を直接見れるのがボクにとっては一番…っていうのかな…その」
「………………ぐす……」
「あ、ラ、ラクス?」
「…き、きら…」
「だ、大丈夫!?」
ラクスの目からは…涙がこぼれていた。
「あ、あの…ボク、なんか変なこと…言っちゃったかな?」
キラがうろたえつつも、気遣わしげにラクスに声をかけると
「…いいえ…」
「え?じゃ、じゃあどうし……………!!!???」
「ちゅう!んんちゅ!」
突然ラクスはキラの頭の後ろを両手で掴んでから彼の顔を引き寄せて…力強く口づけをした。
「ちゅう〜〜…!」
「んん!…んちゅ…」
キラの頭を両腕でしっかり抱きしめながら彼の唇を吸い込む。
彼の唇を自分の唇で挟み込みようにして押し付け、ひたすら吸い込む。
「…んん…ぷは…!」
「んは…!…ラ、ラクス…?」
やっとのことで解放されたキラが意図を問うようにラクスを見ると
「キラ…」
「?」
「ありがとう…」
「え?」
「わたくし…あなたのこと…好き…」
ラクスは目に涙を滲ませながらも…輝かんばかりの笑みで顔をくしゃくしゃにしてキラに言った。
「ラクス?」
「好き…本当に好き…もう好きすぎて…おかしくなっちゃいそうなぐらい…」
「あ…えっと」
それを聞くと、キラは気恥ずかしくなり顔を赤らめる。
「キラは…?」
「ん、ボクも好きだよ。当たり前じゃないか」
それでもラクスをしっかり正面から見据えて答える。
「今の…素顔のわたくしでも…?」
「何言ってるんだよ。さっきからずっと言ってるじゃん。素顔のきみは本当に綺麗で、ボクは今、そんな素顔のきみをはっきり見ることができて…前よりもっときみのこと、好きになったよ」
「キラァ♥…ちゅう」
「んん…ちゅう」
また感涙にむせながらもキラの唇を自分の口で塞ぐラクス。
嬉しかった。
自分の素顔を誉められたことが、単純に嬉しかった。
だがそれだけじゃない。
いつも周りに「壁」を張り巡らせ、ただ一人の女の子としての自分をずっと隠して生きてきた彼女にとって…今こうして目の前の愛しの人にありのままの自分の姿を認めてもらえたことが。
(いつもそう…キラはいつだって無条件にわたくしを受け容れてくれる…。わたくしが歌姫であろうとなんだろうと…何も関係なく受け容れて
くれる。こんな人…お母様とお父様を除いて…今までいたかしら…?…いえ…いませんわ。こんなにどんな時でもわたくしを受け容れて
くれる優しい人は。…キラ…わたくし…ほんとうにあなたのこと好き…わたくしをいつだって受け容れくれるあなたが…)
「んちゅ…ぷは」
「んは!」
唇を離すとラクスは心からの笑顔で
「じゃあ…わたくしは…キラの前では…無理にお化粧で素顔を隠す必要はないんですね?」
「うん」
「キラはお化粧するわたくしの顔は…もう嫌?」
「あ、いや…そういうわけじゃないんだけどさ…もちろんお化粧したラクスの顔も好きだよ。でもさ…なんていうかな…ほらさっきも言った
とおりだよ。どんなに飾ってもありのままのラクスが持ってる魅力は変わらなくて…そ、それで…そのありのままのラクスが持ってる魅力
を直接見れるのがボクにとっては一番なんだよ。お化粧なんかでそれが見えにくくなるのは…いくら見た目が綺麗になっても…嫌なんだ。
あ、ご、ごめんね…今のは女の子に対して言っていい言葉じゃないかもしれないね。ラクスもお化粧がんばってるのに…こんなこといったらだめだよね…」
「…ふふ、いいえ♪わたくし、あなたにそう言ってもらえて本当に嬉しいです」
そのとおりだ。
確かにあまり上手い言い回しではないが、キラの優しさと自分への想いは十分に伝わってくる。
それに、キラのこういう風に少し口下手で不器用なところも、ラクスにとってはむしろ魅力的なところだった。
己にも相手にも、器用に「自分」を隠し「演じる」、ということを求めない、人として本当に素直なところこそが…彼の一番の魅力なのだ。
「第一さ…あんまり化粧ばっかりしてると…お肌に悪いでしょ?」
「あ、それは大丈夫だと思います。ファンデの量とかお化粧そのもののバランスは気をつけてますし、ちゃんと洗顔料や化粧品とかもみんな考えて選んでますし」
「そうなの?」
「はい。あとは、毎日欠かさず細かくケアもして、お食事とかにも気をつけていますし。ですからお肌に関しては大丈夫ですよ。元アイドルは伊達じゃありませんわ♪」
ラクスはそういって、少し冗談っぽく笑う。
「そうなんだ」
「それに…お化粧はそれ自体が楽しいっていうのもあるんです。自分に色々変化をつけていくことができるというのが」
「でもさ、やっぱりやりすぎるのはよくないんでしょ?」
「あ、それは…はい…」
「だから…ラクスも無理する必要はないよ。何度も言ってる通り、素顔のままで十分綺麗なんだから。ボクだってさ、全然化粧しないでしょ?だからラクスも大丈夫だよ」
にっこり笑ってキラが言うと、ラクスは不思議そうに
「あの…男の子であるキラがお化粧しないのは当たり前ではないのですか?」
「え、男が化粧したりするのは…変?」
「変というか…わたくしはあまりそういう方を見たことないので…」
プラントでもオーブでも、若い男がメイクにこだわるのは別に珍しいことではない。
しかし、ラクスはアスラン以外に同年代の異性の友人などほぼ皆無であったが、当のアスランはそういうことには一切興味をもたないタイプだった。
もともとメイクなどしなくても全く問題のない容姿を誇る彼だが…
「男でも化粧する人はけっこういるよ」
「どうしてでしょうか?」
「う〜ん…そりゃまあ、少しでも自分をカッコよく見せたいだろうし…そうすることで女の子にもモテたいだろうし…」
それを聞くとラクスは突然
「キ、キラ!」
キラの頬を両手で挟んで
「え!?なに…?」
「キラは別にお化粧なんてしなくてもいいですからね!」
ラクスとしては、自分はともかくキラがメイクをするなど、許しがたいことだった。
キラの容姿に惹かれる要因の一つであるこの素朴な雰囲気が…自分の一番好きな顔が…メイクなんてしたら壊れてしまう気がしたからだ。
いわれてみれば確かに若者としてオシャレにこだわるのは男女を問わず悪いことではないという気もするし、自分自身も一人の女の子として
少しでも自分を綺麗に見せたいと思う気持ちはやはり今でもあるが、キラには無理に着飾らないこの自然体なところを大切にしてほしかったのだ。
それにメイクをして変にカッコよくなったキラが他の女性に目をつけられてしまったら…困る。とても困る。
といっても今のキラと接触する異性など、伝道所の女の子とカガリとカリダぐらいなのだが…
「わたくしは今のキラの素顔が一番素敵だと思ってますから!」
「ラ、ラクス…」
「キラは今のままで十分カッコいいです!世界一のお顔です!だからそんなことしなくていいですからね!」
少々興奮気味に念を押してくるラクスの言葉をうけてキラは
「いや…あの…」
顔を赤らめる。
自分が好いてる女性にここまで正面から自分の容姿を誉められたら、まあ無理もないだろう。
「…キラ?」
ラクスはキラの頬から手を離して不思議そうにそんなキラを見上げる。
「いや…ラクス…今けっこうすごいこと言ってたって、自覚…ある?」
「へ?」
「…まあ、いいや。そんなこと言わなくても大丈夫だよ。だいたい最初からする気はなかったから」
「え、あ、はい!」
ラクスはそれを聞くと嬉しそうに笑う。
「それにしても…きみもボクと同じ気持ちでいてくれたなんて…本当に嬉しいよ」
その言葉のとおり、喜びに満ち溢れた微笑を見せるキラ。
「同じ気持ち?」
「うん。ボクだってさ素顔のきみのままで十分世界一の顔だと思うよ。それでさ、さっきから何度も言ってるとおり、素顔のきみがボクは本当に好きなんだ」
「キ、キラァ♥」
「だからさ…ラクスがお化粧で自分をアレンジするのが楽しいっていうのはわかるし、良いと思うけど、ボクに素顔を見られたくないとかそういう理由でするのは…もうこれからやめて、ね?」
「はい…じゃあ、わたくしはこれからはあなたとで二人っきりの時は基本的に素顔でいきますね♪」
自信に満ちた笑顔で返すラクス。
「うん」
「でも…」
ラクスはここでまた少し不安そうな顔をする。
「でも、なに?」
「わたくしは…まだあなた以外の人に…すっぴんを見せるのは…ちょっと」
「うん、それはいいんじゃない。無理して見せる必要もないし」
「キラ…」
「むしろ…」
「?」
「誰も知らないラクスの素顔をボクだけは知ってるっていうのは…なんかすごく…良い気分♪」
「ふふ…もう、キラったら」
だがそのキラの言葉をうけてまた笑顔を取り戻す。
(なんだか…キラとこうしてお話してたら…わたくし、いつのまにかすごく心が落ち着いてきましたわ…ありがとう…キラ………わたくしはこれからのことにはもう…何も迷いはありませんわ…)
そのまま二人して穏やかな笑みを交し合う。
そして
「ふふ、ねえ、キラ」
「なに?」
ラクスはキラの首に抱きついて
「わたくしを抱いて♥」
顔を赤らめつつも彼女自身も驚いてしまうくらいの清々しい笑顔でそう言った。
「え…あの…」
それをうけてキラは少し戸惑う。先程あれほどガチガチに緊張していたのに、この変わりようは一体…
「はやく…抱いてください…はやく続きをしてくださいな」
「え…ど、どうしたの?」
「やっぱりね…まだなんか怖いし、恥ずかしいんです。それにわたくし、こういうことってなんかいやらしくていけないことのような気がどこかでずっとあったんです。
でもね…もう止まんないんです。いつだってわたくしを受け容れてくれるあなたへの想いが…」
「ラクス…」
「だから…今すぐ続きをお願いします。わたくしのヴァージン…受け取ってください。はやくわたくしを…あなたのものに…してください」
紅潮した頬を笑みで満たしながら、潤んだ瞳を向けてラクスはそんな言葉をキラにおくった。
その言葉にキラのラクスを求める想いも頂点に達する。
「…わかった。じゃあ…」
そして、キラも覚悟を決めた顔になる。
キラは彼女の頭の後ろに腕を回して
「きみのヴァージン…もらっちゃうよ…」
「はい…」
そのまま自分の顔をラクスの顔に近づけながら
「今から、きみを…ぼくのものに…しちゃうよ…」
囁く。
「はい…して…わたくしを…あなたのものに」
「ラクス…」
「キラ…」
「ちゅう…」
「はちゅ…」
唇を重ねる。
そして
「ちゅるう…んちゅ」
「んちゅ!はちゅ!」
舌をラクスの口の中へと滑り込ませる。
ラクスはそれをすぐに受け入れ自分からも舌をキラの舌に絡ませていく。
「はむ……ちゅぅっ…ちゅ……ぴちゅ……ん、んん…っ」
「んちゅ、んっ……ちゅ…んぅちゅる…」
ラクスはキラの首に絡めた両腕で彼の顔を引き寄せ、舌を自分からキラの口の中へと進ませていく。
ディープキスは今日初めてしたばかりなのだが、もう慣れてきたのか…あるいは今彼がまさに自分の全てを受け容れてくれたことへの喜びと
そんな彼への愛情のせいか…唇を押し付けながら自分からも舌を擦り付けていってキラの舌を愛撫する。
すると
「んちゅう!?んん…!」
上から何かの液体が降り注いでくる。
これは
(キ、キラの…つば…)
そうだ。キラの唾液。別にキラは意識的に垂らしていたわけではないが、体勢上どうしてもラクスの口の中へ唾液をどんどん送り込むことになる。
(でも…別に…嫌じゃない…キラのつば…熱い…)
そしてラクスは
「んちゅ…ごくん」
自然とそのまま飲み込むことになる。
(やだ!なんだかキラのを飲み込んだ瞬間…体がゾクゾクっていった!な、なにこれ!?)
(い、今の音…ラクスがボクの涎を飲んだのか!?)
ラクスがキラの唾液を喉奥で飲み込む音が露骨に響いた瞬間…その淫靡な響きに二人の頭は痺れそうになる。
「ちゅる…ちゅ…んん」
キラはラクスの口の中で舌を暴れさせながら今度はつい意識的に自分の唾液を送り込んでいく。
「んごく…ちゅるる…ふはちゅ…ごく」
成す術もなくそれを飲み込んでいくラクス。
嫌悪する気持ちはどこにもない。
ただ、それを飲み込めば飲み込むほど
(ああ…キラの唾…なんか甘いです…♥なんだか体が…なんか喉の奥から…何かが…キ、キラぁ…)
自分の体の中で得体の知れない熱いものが膨らんでいくのを彼女は感じた。
キラの方は
(ラクス、ボクのを飲んでくれてる!す、すごい…)
その事実に陶酔しながら
(ボクだってラクスを!)
舌でラクスの口の中を撫でまわしながら、彼女の口の中の彼女のドロドロの唾液を掬い集め、彼女の舌ごと自分の口内に引き寄せる。
そのまま
「んちゅう…ちゅる…ごくん」
「ん!?ちゅう」
ラクスの唾液を飲み込む。
(あ、温かくて…甘い!ラクスの唾!すごい!こ、こんなの…ああ…)
極上の甘露がもたらす味わいにをうけ、キラの下半身にはより一層の血が集まる。
ラクスは
(今度はキラがわたくしのを!?ああそんなの…駄目ですよぉキラァ…いけませんよぉ…そんなことされちゃったらわたくし…変になっちゃうますもの…)
そんなことを思いつつも、喉の奥からどんどん分泌される己の唾液をかき集めるように舌を動かしキラの舌に渡してあげる。
同時に、自らの人より長めでザラザラした舌肉をもって、キラの舌を愛しそうにこすっていく。
「ちゅうるごく…ちゅるる…」
「ぴちゃあ…ちゅる…んちゅるる」
どんなに飲んでも次々と分泌される二人の唾液。それが二人の口内を満たす。
口が塞がっている分荒くなった鼻息で互いの顔を擽りながら、夢中になって二人して舌をネットリと交じらせその互いの唾液を交換しあい、飲み合う。
といっても、もはやどこがどっちの唾液なのかわからない状態になっているのだが。
「ちゅるはちゅる…はむちゅ…あむ」
ラクスは舌による唾液の淫らな交換をしつつもいつのまにかキラの舌を無意識のうちに繰り返し甘噛みしていた。
はじめはその刺激に歓喜し、そのまま身を任せていたキラだったが
「はちゅる…んぐ」
「!?」
(ラクス…また!?)
少し慌ててラクスの口から自分の口を離す。二人の口の間にはベットリと唾液の橋がつくられ、淫卑な光が放たれる。
「んん…はあ…はあ…きらぁ…」
またしても口周りを涎でベトベトにしたラクスはキラを蕩けそうな顔でぼんやりと見上げる。
キラは、今しがたつくった銀色の糸をすすり取ってから、己の口に残る熱い余韻を楽しみつつも…少し恐れの入り混じった顔でラクスを見る。
(ラクスがボクの舌を噛む力…だんだん強くなってた…あと少し遅れてたらボクはまた…)
また手加減なく噛み付かれる寸前のとこで口を離せたことに安堵し、ついほっと溜息をつく。
(さっきのはともかく今のはラクス…多分無意識だったろうなあ…ラクスとディープキスするときはこ、今度からは気をつけなきゃ…)
苦笑交じりにラクスの顔を眺める。
すると
「キラ…わたくし…体がなんだか…」
まどろむような瞳でキラを見上げながらラクスは呟く。
「熱い?」
「は、はい…」
その言葉のとおり、ラクスは顔を真っ赤に火照らせ、熱のこもった少し荒い呼吸を繰り返している。
「ボクもだよ、ラクス…ぺちゃ」
「あ…!」
キラは舌をラクスの口からその頬をつたって左のうなじの部分へとはわせていき、そのまま彼女の白い首周りを舌で愛撫していく。
緊張しているのは相変わらずなのだが、それでも先程よりは体の硬直もほぐれてきており、自分の体を委ねようというラクスの気持ちが十分にキラへと伝わってくる。
キラはそれに応えるように、舌で丁寧にラクスの玲瓏たる素肌を愛でていく。
そのスベスベでなめらかな感触と、甘く芳醇な味にキラは酔いしれる。
かすかに漂うシャンプーとボディソープの香り…そして、ラクス自身が発する甘酸っぱい香り。
それはキラにとってこの世のどんな香水よりも芳しい香り。
その至高の香りがキラの鼻腔を心地よく擽る。
ラクスの無垢な肌を自分の口で汚していくことに、いくらか罪悪感のようなものも覚えたが、それすらもキラをより昂ぶらせる材料となる。
「うう…あ!」
「ラクスの肌…色、ほんとに綺麗…真っ白…」
「あふう…!」
「しかもツルツルしてて…いい匂いもして…大好きだよ、ラクス」
「ああ…キラァ」
自分の体を舐められている。ラクスにとって初めての経験。
だが、それを汚いとかいやだとか思うところは全くなかった。
なぜならその人は自分にとって誰よりも愛しい人。
むしろ…
(キラの舌、ザラザラしてて熱い…なんかキラに舐められると…ちょっとくすぐったくて…でもなんだか体がムズムズしてくる…なにこれ…?)
自慰もしたことのない処女であるラクスの未開発の肢体は、愛撫に対してはっきりとした快感を得るところまでにはまだ至ってはいない。
しかし、情熱的なキスで昂ぶっていたことに加え、どんどん募っていくキラへの熱い想いの力、そして実は潜在的に極めて快楽に反応しやすいその体質。
それらの働きによって、キラの優しい愛撫にラクスは確実にある程度の刺激を獲得していき、彼女の肢体はキラの愛撫を受けるたびにビクンと脈打ち、表面をほんのり桜色に染め、汗ばんでいく。
処女にしてはなかなかそそらせる反応である。
「ラクス…はむ」
「んん!!」
キラは突然ラクスの首筋に軽く噛み付く。
その刺激に、体をブルブルいわせるラクス。
「はむ…ちゅ…大丈夫?痛くない?」
「はい…だ、だいじょうぶ…です…んはあ!」
「ふふ…ラクス、おいしい…ぱく」
「んは〜…」
飼い主にじゃれつく子犬のように、ラクスの首や肩に繰り返しかじり付くキラ。
それだけでなく、噛んだまま舌でその表面をペロペロ舐めて、歯を離した後はそこに何度もキスをする。
そんなキラのただなすがままにされるラクス。
静かだが凛としている普段の彼女の姿はそこになく、あったのは恋人の悪戯じみた愛撫に翻弄されているただ一人の乙女の姿。
しばらくして、キラは口を彼女の左耳のところにもっていって
「ぴちゃ」
彼女の耳を舐めたくりはじめる。
すると
「んあ…!!」
ラクスの漏らす声が少し大きくなる。
(な、なに…今の?なにかが…背筋をはしった…?)
(あ…もしかしてここ…)
キラはそこがラクスのいわゆる性感帯と言うべきところなのかと集中的に耳を舌で攻める。
「んん…!あ!あは!」
「ラクス…好きだよ…ぺちゃちゅ」
「ひや!」
耳を愛撫しながら甘い言葉を繰り返し囁き、温かい吐息を吹きかける。
(ああ…耳元でピチャピチャなんかエッチな音がする…キラの息もかかってきて…なんか体が浮きそう…)
耳への愛撫に翻弄されていくラクス。
彼女の頭の中を少しずつ靄がかかっていく。
そんなラクスに対してキラはそのまま
「あ!」
彼女の左右の胸にそれぞれ掌を上から重ねて少し押しながら小さく円を描く。
(む、胸…!?今キラに…胸をさわられちゃってる…!?………………なんか…安心する。それに…体が熱く…なんでしょう…もっと…
してほしい。それにキラの息が…ますます熱くなって耳に…しかも…舐められている音が耳元でずっと響いて…ああ…)
(ラクスのオッパイ…すごい!柔らかい!なんていうか…ポニョポニョしてる!それでいて張りも弾力もあって…すごい…ああ、ボクは今ラクスのオッパイを…)
「あふ…キ、キラ…」
「ラクスの胸…柔らかい…ポニポ二いってて、なんだかフワフワしてるよ。はむ…ちゅ…さわっててすごい気持ちいい」
耳朶を甘噛みしながら囁く。
「キ、キラァ…」
「ラクス…このままさわってて…いい?」
「んふ!…あ、はい…どうぞ…キラのお好きに…」
「うん、ありがとう…ぷちゅ」
舌を左耳から右耳へと移動し、また耳殻を丹念に舐めたくりながら、キラは二つの果実をサワサワと優しく揉みしだいていく。
「あく…あは!」
キラの耳と乳房への愛撫に対して熱い息を漏らすラクス。
そのラクスの吐息がキラの横顔を擽り、彼の気分をますます高揚させていく。
「ラクス…パジャマ、そろそろ脱がすね…」
「え…!?」
それを聞いてラクスはつい戸惑いの声をあげる。
「ラクス…いいね?」
「あ…その…」
「…………ラクス…好きだよ」
躊躇するラクスに対して、キラは自分でも内心ずるいかなとおもいつつ、その甘い言葉で彼女の躊躇いを吹き飛ばそうと、優しく囁く。すると
「も、もうキラ………………ふふ…いいですよ…キラのお好きなように…」
ラクスは照れ隠しのように微笑みながら結局受け入れた。
そうだ。自分の素顔も何もかもを受け容れてくれた愛しいこの人を前に、何を躊躇する必要があろうか。
その気持ちが彼女の心を占めていたからだ。
「ん、ありがとうラクス………………ちゅる」
「んちゅ!?ひらあ…ちゅうう…はちゅ…んん」
キラはラクスの口を塞ぎ、舌で彼女の唇を愛撫する。反射的にキラの背中に両手を回してそのまま彼を抱きしめるラクス。
そのままキラは、ラクスの唇を舌で突っついたり、自分の唇で挟み込んだり、時には軽く噛んだりしながら、ラクスのパジャマのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。
そして
「んちゅ…んは…ラクス、少し体起こして…このまま…脱がせちゃう」
「あ、はい…」
キラに言われてラクスも自ら腕をたぐらせてパジャマの裾を脱いでいく。
キラは脱がした彼女のパジャマを軽くたたんで、スタンドライトの元に置いた。
そのまま上からラクスの体を見下ろすと…白く可愛らしいブラジャーを纏い、白い素肌にうっすらと赤みを帯びた彼女の肢体が目に映る。
ライトの照明は決して強くはなかったが、それでも己の優秀な視力のおかげで、目の前の女性が見せるその並外れた美しさを、キラは自身の網膜にしっかり焼き付けることができた。
(ああ…キラに…体…見られちゃってる…)
(す、すごい…ラクス、ブラジャーも白いけど、肌もそれに負けないぐらい真っ白で…でも…なんかピンク色にほんのり染まってて…綺麗な色。
く…腰も細いな…すごいくびれ。す、すごくスタイルいい…。前に覗いちゃったときも思ったけど…本当に綺麗。…いやあのとき以上だ、これは)
白と赤の織り成す芸術的に美しいその色合いと見事な曲線美を描く素晴らしいそのプロポーションに感動を覚えていくキラは
「ラクス…綺麗だよ」
ただ一言、率直な感想を述べた。
「キラ…本当に?」
ラクスは目を開き少しはにかみつつも、微笑みながらキラに問い返す。
羞恥する気持ちはあったが、愛しの人にそう言ってもらえるのは…素直に嬉しい。
「うん。ブラもかわいいね。似合ってるよ♪」
「あ、えっと………ふふ、ありがとうございます」
「でも、悪いけど、このまま外しちゃうね」
「あ…」
「…いや?」
「あ、いいえ………キラにこのままお任せしますわ」
そう言ってラクスがなるべく体の力を抜こうとしていると
「うん。じゃあ外すけど、ラクス」
「はい?」
「どうしても恥ずかしかったら、ボクに見えにくいように、ライトを暗くする?」
穏やかな笑みをおくりながら、キラがそんな勧めをしてくる。
「あ、えっと…………………それはけっこうです」
ラクスは少し考えてから、結局彼の勧めをやんわりと断った。
「え、大丈夫?」
気遣わしげにキラが尋ねると
「ええ、大丈夫ですから。どうぞ、このままで…」
彼を安心させるため、ラクスは笑顔で答える。
(だってこれ以上暗くしたら…わたくしがキラのお顔を…見えなくなっちゃいますもの…)
「わかった。じゃあ、ちょっと背中起こして」
「あ、はい」
キラはラクスの背中の後ろに手を回して、そのまま素早くホックを外してブラジャーをはぎ、先程脱がせたばかりのパジャマの上に置く。
すると
「…………………」
「あ、あの…」
ラクスの双丘があらわになり、思わず目が釘付けになるキラ。
優美な外観を誇る白い双丘。
その真中には端麗な円を描く乳輪と形の整った小粒型の愛くるしい乳首が、その真っ白な乳房とは対照的なつややかで清澄なピンクを発しながら、ツンと尖って天井を向いていた。
奥手なところがあるキラも基本的にやはり健全な男子であるわけで、ヘリオポリスの学生時代、サイ達と映像メディアやウェブでその手の画像や動画を見たこともあった。
が…今目の前にう映るラクスの胸は…今まで見たどんな女性の胸とも比べ物にならないくらい…美しかった。
いや「くらい」という言い方は正確ではない。
キラとしては…もう比べようもない。次元の違う美しさ。
ラクスのこの胸の美しさにかなう女性の存在など…想像も出来なかった。
「あ、あの…キラ?」
ラクスが困ったような表情でキラに声をかける。
「あ、ごめん!ボク、今目つき、すごくやらしかったね…」
「い、いえ…別にキラだったら…見られても全然構いませんわ…でも…あんまりジロジロ見られると…恥ずかしい…」
「うん…でも…綺麗」
「そ、そうですか?」
「うん…なんていうか…う〜ん…ごめん、綺麗としか言いようがない…」
「キラ…」
(キラに誉められちゃった…ふふ、嬉しい)
ラクスは、キラの言葉に顔を赤くしながらも、喜びを示す笑顔を少し漏らす。
そんなラクスに対して
「ラクス、じゃあ…またさわるね」
「あ、えっと…は、はい…どうぞ」
恥ずかしさでまた目を閉じてしまったラクスだが、それでも拒絶する意志は全くないのを確認してから、キラは両掌を乳房に上から重ね、優しく圧迫しながらゆっくり円を描く。
「ラクス…ほんとに綺麗だよ」
「キ、キラァ…あふう…んん…」
(すごいなラクスのオッパイ。巨乳ってほどじゃないんだけど、ボクの手からはみ出ていって、十分おっきい。この大きさ、ボクは一番
好みかも♪それにしても…直にさわるともっと柔らかくて、それなのに弾けてきて、すごいさわり心地。しかもラクスの心臓、ドキドキいってる…熱い)
(ちょ、直接さわられちゃってる…やだ…ドキドキしちゃってるのが、キラに…伝わっちゃう…でも…なんだか…もっと…さわってほしい………キラの手、スベスベしてて…なんだか気持ちいい…)
しばらくラクスの乳房をこねくり回していたキラは、続いて下から持ち上げるように優しく掴む。
キラの握力をうけて、プルンプルンと跳ねる美乳。
「んふ…キラ…」
「ラクス…柔らかいよ…ほんとに。手に吸い付く…てか、手が吸い込まれそう…」
「あふん…あはあ……」
「ラクス…好き…大好き」
「キラァ…わ、たくしも…好き…」
キラはそのまま強弱をつけながら手で揉みしだいていき
「ぴちゃ…」
「あ…!んあ…」
自分の目の前で自分の愛撫に応じて形を変えるとても美味しそうなマシュマロを外側からなぞるように舐める。
ラクスは、そんなキラの頭を思わず両手で抱きかかえる。
(ラクス…胸もスベスベしてる。舐めると甘くて…いい匂いだ)
(キラ…舐めてる…やだ…胸、見られて…さわられて…舐められて…ああ…キラァ)
二人の呼吸は急速により熱く荒くなっていく。
キラは、そのままラクスの左乳房を外側から丁寧に舌でなぞっていき、徐々に真中へと近づき乳輪部分の周囲へと向かっていく。
そして
「ちゅぷ…」
「あふ!」
左手を右乳房の上へとはわせていき、そのまま中指の指先で乳輪を擽りつつ、親指と人差し指で乳首を軽く摘み上げる。
右手では左乳房を外側から包み込みながら、キラはピンク色の左の乳輪を外から舌でなぞっていき、そして、そのまま乳首ごと口に含んで…吸い込む。
「ちゅう〜〜〜!」
(……………………………おいしい)
キラの頭にはその言葉以外何も浮かばなかった。
愛撫をうけて少しずつしこりを増していく両乳首をそのまま口と指で刺激する。
「あふ!キラぁ……んふ!!」
(や…乳首吸ってる…やだ…キラ、それ………なんだか、赤ちゃんみたいですよ!………ああ………おっきな赤ちゃん…エッチな赤ちゃん…………赤ちゃんキラ…)
「ちゅぴう〜〜〜…!!」
そしてキラが口を窄めてより強く乳首に吸い付くと
「ふあ!!!」
その刺激にラクスの今までは控えめだった声のボリュームが少し大きくなる。
快感に反応する嬌声とまでは言えないが、それでもキラの耳には、その声はとても美しく…扇情的に響いた。
(あ…!ラクス…今の声…すごくいい!ラクス!)
ラクスのその声をうけて、キラは嬉しくなり、つい吸引の力も強くなり、そのまま夢中で口に含んだ苺に吸い付く。
同時に左手の中指の人差し指を揃えて伸ばし、その指先で右乳房の乳首と乳輪を上から押し込みながらグリグリと回して愛撫する。
「んく…あはん!!」
それに対して甘い声を漏らしてくラクスだが、彼女がそれに気づくと
(やだ…!声が!…キラに…聞かれちゃう!)
「んん…」
激しい恥辱を感じ、ラクスは歯で下唇を噛み、喉に力を入れて声を押さえようとする。
すると
「ぴちゃあ…ラクス」
キラは乳首から口を離すが、まだ舌を突き出して充血しすっかり硬くなったそこをパシパシと弾きながら
「声…我慢しないで…ぷちゅ…」
そう囁く。
「そ、そんな…あ、ちょ…強い、それ」
「ぴちゃ…恥ずかしいの?」
「は、はい…」
「別にラクスのこと…ぷちゅ…ちゅちゅ…はしたない女の子だとは思わないよ…ぴちゃ」
「キ、キラ…そんな」
「ボクはきみの声を聞きたい。きみのことが、好きだから…ちゅる〜…」
そう言いつつ、キラは口を右の乳房へと移動し、また同じように手で乳房を下から包み込み、口で外側から徐々に内側に向けて舐めていく。
右手では左の乳首を親指と人差し指と中指の三本で挟む形をとって、優しくひっぱりながらこねくり回す。
「君が反応してくれてる声を…ボクは聞きたい…お願い…ラクス…ぴちゃ」
そのまま右の乳輪と乳首を舌でチロチロと擽る。
「で、でも…さっきの声…なんだか…わたくしの声じゃないみたいで…変ですよぉ」
やや涙目になってそう言うラクス。
「変なんかじゃないよ…すごくかわいかった。ボク、もっと聞きたい…ちゅつ〜…ちゅちゅ」
対してキラは、乳首と乳輪をいっぺんに唇で挟み、舌で乳頭をコリコリと転がしながら時折吸う。
同時に右手を彼女の頬のところにもっていって、優しく摩ってあげる。
「キラァ…」
「おねがいラクス…きみが黙ってると…………………なんか、寂しいんだ…」
「キ、キラ…あふ…わかりました」
「ほんとに…?」
「ええ。だから…寂しいなんて言わないでくださいな♥」
彼女はキラの言葉をうけて、彼の右手に自分の左手を添え、右手では彼の頭をいい子いい子とするように撫でながら、結局彼の要求を聞き入れた。
「ちゅううぅ〜!」
それに対して嬉しそうに乳首を強く吸い込むキラ。
「あふう!!キ、キラぁ!!」
約束どおり、羞恥を感じつつもキラの愛撫に反応する甘い歌声を素直に奏でるラクス。
その声は処女にしてはとても大きく、またよく通っている。
さすがは元・プラント一の歌姫といったところか?
それのみならず彼女の体がもつ感度の良さもあるのかもしれない。
そんなこの世界で最高級の楽器が奏でるハーモニーに酩酊しながら、キラはしばらく
「ちゅうう…んん」
「んは!ああ…!!」
乳首に食らい付いてから
「ちゅう〜…ちゅぽん!ラクス、ありがとう…好きだよ」
わざとらしく大きな水音を立てて乳首から口を離し、谷間に顔を挟むと、柔らかな乳房にスリスリと頬擦りしながらラクスに微笑みかける。
「は、はい…」
「ふふ…ちゅ…ちゅちゅ」
「んふああ…はあ…」
それからキラは、ふんわりしてラクスの乳房のいたるところにキスを贈ったり、鼻先でツンツンと突っつきながら、左手の指先で左右の乳首を交互にクリクリと刺激する。
「ひや!あふ!」
「ふふ…ラクスの声、やっぱりかわいいよ」
「あふうう…やは…は、はい…ありがとうございます…で、でも…キラ…」
「ん?」
「わ、忘れないでくださいね…わたくしだって…あなたのことが好きだから…こんな声でも…聞かせちゃうんですから」
キラの右手を左手で握り締めながらラクスが言ったその言葉にキラの胸の奥から熱いものが込み上げてくる。
そうだ。
キラの右手を握り締めながらラクスが言ったその言葉にキラの胸の奥から熱いものが込み上げてくる。
そうだ。
他の者にそんな権利など一切ない。
彼女が心から愛しいと思ってくれている自分だからこそ許される。
自分だからこそ、彼女はその甘い歌声を聞かせてくれる。
自分だからこそ、彼女はその美しい肢体を委ねてくれる。
自分だからこそ、彼女は部屋を満たすこの甘美な香りを届けてくれる。
「うん、ボクも本当にラクスが好きだ」
「ふふふ……………あ、でもそのかわりキラも服を脱いでくださいませんか?」
「え?」
「だって……………わたくしばっかり…ずるい」
ラクスは少し拗ねたようにそう言った。
「あ、うん。わかった」
それを聞くと、キラは体を起こしてシャツを素早く脱ぎ捨てて、自らの上半身を晒す。
「ふふ…キラ♥」
キラの上半身をみとめると、ラクスは嬉しそうに笑いながらキラの胸板に両手をそっとおいて優しく撫ではじめる。
(キラのお体を見るのは、あの時わたくしのお家で看護して差し上げていた時以来ですわね…ふふ…やっぱりキラのお体はわたくしと違ってたくましい…いかにも男の子って感じ)
「ラクス…楽しい?」
ニコニコと笑いながら胸板を撫でてくるラクスに対して、キラは少し不思議そうに聞いた。
「ええ。キラのお体…たくましくて、すごい素敵ですよ♪」
「はは、ありがとう」
「ふふ」
ラクスはそのままキラの背中に両手を回して、彼の上半身を抱き寄せる。
「あ…」
「キラ…………あったかい…♥」
ラクスとの肌の交わりを迎え興奮状態のキラの汗ばんだ肉体はとても熱がこもっていて…温かかった。
(本当に温かい…それにキラも汗をかいている。なんでしょう…この匂いをかいでると、体の奥がまた熱くなっている)
キラの肉体の温もり、感触、匂いをうけてラクスはゆっくり目を閉じ頬を桜色に染めつつ、顔を至福の表情で蕩けさせる。
そして
「すごい…キラもドキドキしてますね♪」
「うん」
力強くバクバクといっている彼の心臓の響き。キラという一人の人間の生命がそこにあることを示す響き。
それを自らの肌で直に感じて、ラクスもまた心臓をバクバクいわせる。
しかしその一方で、その顔はとても安らぎに満ちていて
「キラ…わたくし、こうしてると…すごく安心します……♥」
キラの右首筋に顔をうずめながら、言葉でもそれを伝えるラクス。
キラはそんなラクスの横顔に軽く口づけしながら
「ボクもラクスの体、温かくて、柔らかくて…すごい気持ちいいし…安心するよ」
優しくそう囁く。
直接伝わってくるラクスの体温。
自分の胸板にあたる柔らかい乳房と、コリコリした乳首の感触。
それらがキラにも大きな安らぎを与え、彼の抱くラクスへの情をより一層強くする。
「ふふ…キラぁ♥」
「大丈夫?重くない?」
「ええ、大丈夫ですよ。むしろ…」
「?」
「キラの重みをちゃんと感じたいんです…」
「そう…じゃあ、ちゃんと感じてね、ボクを…」
「はい…キラァ…」
「ラクス…ちゅる…ちゅ」
「ん?ちゅう…んちゅう…ぴちゃ」
キラは体を密着させたままラクスと唇を重ねて、そのまま彼女の口の中へと舌を滑り込ませる。
それに一瞬戸惑ったものの、ラクスは結局すぐにそれを受け入れ、たどたどしくも自分からも舌を絡ませていってキラに応じる。
そのまま互いに唇と舌で交わりながら
「ちゅううはあ…」
「んちゅ!?ぴちゃ!?」
キラはラクスの両肩を上から掴みそれを支えに、自分の体をラクスの上半身を撫で回すようにゆっくりと上下左右に動かしはじめる。
その動きをうけて、ラクスは喉をヒクヒク鳴らし、キラの舌と触れ合う舌をピクピクさせる。
「ちゅる…ぺちゃ」
「んちゅ!はちゅ!」
(ラクスと体をこうやってくっつけたまま動かすと…もっとラクスを感じることができて…すごい気持ちいいな…ああ…ラクスのオッパイが
胸にあたって…ち、乳首もツンツン突いてきて…しかも…ラクスのお腹にボクのが…!)
(や!こ、こんな…キスしながらキラが…ああ…胸がキラの体でこねくり回されてる…か、体がますます熱く…え…?こ、これは!?)
自分の下腹部を上からグニグニと押してくる何か固い突起物の感触にラクスは思わず一瞬目を見開く。
(こ、これは…もしかして…前スクールの保健体育の授業で聞いたことがあるような…と、殿方はエ、エッチな気分になると…ぼ、『勃起』
と言ったでしょうか…大事なところが大きくなってしかも硬くなるって………じゃあこれはキラの!!!???そ、そんな!…………キラ、
そんな風にお腹に押し付けてきて………もうキラのエッチ!エッチ!)
はち切れんばかりに隆起したイチモツの先端がラクスの弾力のある腹部に押し付けられ、その感触に下半身の甘い疼きを膨らませていくキラ。
一方でラクスは、抵抗することもできずただそれを受け入れ、ますます体を赤く染めていく。
そのまま口を重ねながら体を摩り付け合う二人だったが
「ちゅぶ!?…んぐ…!!!」
「…?…ちゅる…?」
キラの舌が一瞬ひくつき、体がわずかにビクンと跳ねた。
(キラ…どうしたんでしょう?今何かあったのでしょうか?…あれ…?なんかキラのアソコ…湿ってるような…)
ラクスがそう感じた次の瞬間…
「………ちゅるるるるぅ〜〜〜」
「ぶちゅ!?はちゅう!!!」
突然キラがラクスと舌をこんがらかせたまま…思いっきり吸い込みはじめた。
同時に、体を少し浮かせてラクスの両乳首を指で挟んで摘み上げる。
「ちゅうううぅ〜〜〜」
「んちゅう…ちゅうう!!!」
(キ、キラ!強いそれ!は、はげしい…!)
舌のみならずラクスの口全てを飲み込んでしまうかのように激しく吸引しながら、乳首を指で摘みあるいはゴリゴリと押し込んだりするキラ。
その刺激に、ラクスは今しがた感じた違和感も忘れ、キラのなすがままにされて、身をびくつかせる。
「んちゅは…はあ…はあ…ラクス」
しばらくしてキラは銀色の糸をひきながらラクスから口を離し、乳首への攻めを解く。二人の口の間にできた糸はまたしても淫靡な光を放ち、そのままラクスの顎にトロォッと着地する。
口を離したキラの息は信じられないくらいに荒く、熱がこもっていて、体からもより一層の汗を吹き出していた。
「んはあ…はあ…キラの…エッチ」
ラクスの第一声はそれだった。
「あ、えっと…うん、ボク…すけべだね」
キラは言い訳もすることもできず、苦笑いしつつ素直にそれを認めた。
「今、激しくしちゃったね…大丈夫?」
「…ん…大丈夫ですよ…でも…キラのエッチ」
ラクスは少し唇を尖らせて言った。
「うん、ごめんね…エッチなボクで…」
「も、もう……でも…それでもキラが好きですよ、わたくしは。キラはエッチなことしてても…ずっと…優しいんですもの♥」
だが、すぐに恥ずかしそうに軽く笑みを浮かべて囁いてあげた。
「ありがとうラクス…ボクも好きだ」
「はい…え…?んは!」
ラクスの甘い言霊に笑顔で応えてから、キラは舌をラクスの口元から顎を、喉をつたっていき、下へと移動させていく。
「ああ…ひは…」
「ぴちゃああ…ぷちゅ」
そのままラクスの乳房をまた両手で揉み揉みしながらキラが鎖骨の下あたりに唇を寄せて愛撫していると
「あ…」
「?キラ…?」
「ごめん…なんか…キスマークが」
キラは少し申し訳なさそうに言った。
キラが唇で強く刺激したために、ラクスの白い素肌の上に小さな赤い花が咲いていたのだ。
小さい花ではあったが、赤と白のコントラストがその花の存在を引き立たせる。
「これは…何ですの?」
その赤紫の痣を見つめながらラクスが不思議そうに問うと
「あ、えっとね、肌を口で吸ったりすると…何だっけなあ…内出血するからだっけなあ…とにかく、なんかこうやって痕ができちゃうんだよ」
「それをキスマークって言うんですか?」
「うん」
キラの説明をうけてラクスはその痕を見つめながら
(こうやって痕を残されると…ほんとにキラのものになっちゃってる、って感じがしますね…)
そんなことを感じ、妙な胸の高まりを覚えつつも
(キラに痕をつけられちゃうのは別に嫌じゃないけど…でもなんか…恥ずかしい)
得も知れない気恥ずかしさもまた覚え
「やっぱり…キラはエッチ」
やや眉間に皺を寄せてキラを睨みつけて、そんなことを言う。別に彼の行為に不快感を感じているわけではないと思われるが…おそらく照れ隠しのつもりだろう。
「うん…ごめん………………でも、このまま…ちょっとつけてみたいな、キスマーク」
「え…?」
「なんかね、こうやって痕をつけていくとすごく嬉しいんだ。きみがほんとにボクだけのものなんだ、っていう目印をちゃんと残せてるみたいで」
笑顔でそう言うキラ。
「キラ…」
「でもきみが嫌ならやめるから。どうかな、ラクス?」
「えっと…」
キラのその言葉にラクスは少し戸惑い思案するが
「あの…別に嫌じゃないけど…人に見られるのは…すごく恥ずかしいんです。だから…あの…あんまり上の方につけると…ワンピース着たときに見えちゃうから…そこは」
「うん、わかってる。だから、服着れば見えないとこはいいかな?」
「…ええ…キラでしたら構いませんわ」
キラの求めに対して、優しい声色で受け入れてあげつつも
(キラって…今まではそういうところをわたくしはあんまり見たことなかったですけど…けっこうエッチなのかも)
なんてことをついラクスはこのとき感じた。
「ありがとう。じゃあ、ラクスがボクのものだっていう印、どんどんつけてくね♪」
そう言って子供のように無邪気な笑みを浮かべるキラ。子供はこんなことはしないと思うが…。
「もうキラったら…」
「ふふ…ぴちゃ」
「ん、んあ!」
キラは舌でラクスの谷間をつたっていき、そのまま腹部へと到着する。
キラはその細い腰に腕を回して抱きとめながら、小さく可愛らしく凹んだ臍の部分を中心に腹部の正面を舐めていき、また脇腹へも攻撃を加えていき、ラクスの腹部全体を自らの唾液でくまなく濡らしていく。
ラクスの艶々の肌が次々とキラの唾液でコーティングされていき、また彼の唾液がラクスの臍のところに流れ込みそこに小さな湖ができあがる。
「ぺちゃ…ぴちゅう」
「はあぁ…んあ…」
そして、しばらく舐めまわしてからそのまま腰を抱いてる腕の左腕の方をラクスへの桃尻へともっていきそこをフニフニとパジャマの上から揉みながら、ラクスのお腹を何度も唇で吸って赤い斑点をつけていく。
それだけでなく、ラクスが痛みを感じたり歯型がくっきり残らない程度の力でまた軽く歯で噛んでいく。
それに対して甘く熱い息をハァハァとついて応えるラクス。
女神のようなその美貌と天使のようなその歌声で人々を魅了してきたプラント一の歌姫。
圧倒的な存在感とカリスマ性で人々の信奉を集めてきたクライン派の指導者。
常に人々の眼差しを一身に集めてきたそんな彼女も、今はただ一人の少女として、自らの愛しの人ただ一人のためだけに身を捧げていた。
それに応えるように、キラは彼女の清浄な肌のあらゆるところを一つ一つ丁寧に征服していく。
(ラクス、腰すごい…折れちゃいそう…でも、ちゃんとお肉もついてて、お腹すっごく柔らかい…お尻もフワフワだぁ)
(んん…お臍とかお腹とかたくさんお口でされちゃって…お尻もさわられちゃってる…もう頭がポーッと…ああ…キラ、キスマークたくさんつけて
る…服着ればそこは見えないけど…でも…もう、キラのエッチ。しかも…お犬さんみたいに噛んじゃって……くすぐったくて…でもそれだけでなくて…ジンジンしちゃう………)
柔らかくスベスベの肌の味にキラは酔いしれながら、右腕もラクスの臀部へともっていきそのまま柔尻を円を描くように揉んでいく。
「んふ…キラァ」
ラクスはつい腰の横に置いていた両手でキラの頭を掴む。
それに対してキラは
「ぴちゅる…んちゅ」
「んん!」
プニプニの桃尻を愛撫しつつ、頭の位置をずらして、ラクスの細くしなやかな十本の指を右手の小指から順に一本一本丁寧にしゃぶっていく。
その刺激にわずかに肩を震わせるラクス。
「ちゅうう…ぷちゅ」
「んは…はあー…」
最後に左手の小指を吸ってから
「ぴちゅ…ちゅぽん!…ラクス…きみの体、ボクの涎でなんかベトベトだね。キスマークもたくさんついちゃったし、気をつけてたんだけど
ちょっとだけ歯型も残っちゃったなあ…。いや…かな?気持ち悪くない?」
キラは口を離してふと問いかけた。
「んん…か、構いませんわ…キラですもの…」
ラクスは目をきゅうっと閉じつつ応えた。
愛しの人である彼の優しい愛撫を非難するなど、ラクスはそんな気は全くない。
むしろ
(なんか…ずっとキラに体を舐められたりさわられたりしてたら…体がなんかフワフワしてきた…なんだろう…こんなの…当たり前だけど…初めて。なんだか…キラに…ずっとこうしててほしいような感じ)
未開発ゆえにまだはっきりとした快感は得てはいないものの、ラクスの肢体は彼の愛撫に対してほのかではあるが確かに喜悦を示していた。
同時に
(キラにたくさん見られて、キスマークとかでわたくしがキラのものであることの目印をたくさんつけられちゃって…わたくしがどんどんキラに奪われちゃってる…)
愛しの人に自分を徐々に征服されていくということが、ラクスの頭に得体の知れない陶酔をもたらしていた。
「ありがとう…じゃあ……………そろそろ…下も脱がせちゃって…いいかな?」
「…………………はい」
迷いがあったせいかそこで少し押し黙ったラクスだったが、結局それを受け入れる。
「うん、じゃあ…」
キラはラクスのパジャマのズボンに手をかけてから、するすると脱がしていき、それに合わせて顔も移動させて、徐々に露出されていく彼女の下半身を上から順に舌でなぞっていく。
そして、全てを脱がし終えたところでまたそれをスタンドライトのとこへと軽くたたんで置いておく。
すると
「ラクス…やっぱり綺麗」
ラクスのすらりと伸びた白い美脚が目に映る。
「キ、キラァ…」
「ちゅ」
「ん…!」
キラはそのまま白い太ももを撫でながらまたラクスの顔にキスの雨を降らしていく。
「ちゅ…ちゅ」
「んん…キラ…」
それからキラは横からラクスの体を回転させて、彼女の右肩が丁度天井を向くような体勢をとらせる。
キラは、ラクスの背中の側へと移動して、右手をキュートな桃尻のところにもっていって、ショーツの上からでもプリプリと弾けそうなそこを、掌で
押し付けるようにしてから撫でまわし、のみならず…熱く滾るイチモツをそこに擦り付ける。
「ひや…キラ…」
「ラクス…ぺちゃ…どう?」
ラクスの首を後ろから舐めまくりながらキラが尋ねる。
「あふ…なんか…くすぐったいです…それで、なんだか体が…ゾクゾクしちゃう…」
ラクスが顔を真っ赤にさせ、背筋を丸めながら答える。
「ふふ、そう…ぷちゅ…れろ」
「んん…キラ…お、お尻に硬いのが……そ、それは…」
「…うん、またボクのをラクスの体に……ひっつけちゃってるんだ…」
「…も、もう…」
「…いや?ぴちゅ…」
「い、いえ……そういうわけでは………でも、そんなことされちゃうと…あ、頭がとけそう…に」
「ふふ、ラクス、かわいい…ちゅるる」
「んはあ!」
キラはその体勢のまま、ラクスの長い桃色の髪を左手で掻き分けながら、背中を舌で愛でていき、彼女の尻肉を愛撫していた右手を彼女の腹
のところにもっていって、そこのツボを指で優しく圧力をかける。
そんなキラの鼻を、彼女の髪が発する甘美な香りが包み込む。
さらにキラは時に唇で刺激してまたキスマークをつけたり、軽く噛み付いてちょっとだけ歯型も残す。
目の前の、真珠のように純白で美しいこの肌は、自分だけの縄張りであるという印を残すために。
「ちゅう〜…ぺちゃれろれろ…ぷちゃ………れろ…ちゅうぅ〜」
「ひや…んはあ…!!」
自分の体を愛しの人にマーキングされていくその感覚に何とも言えない満悦の感を覚えふーっと溜息をつきつつ、キラの愛撫の刺激に身を震わせるラクス。
かすかな振動ではあるが、それは彼女の臀部と接触しているキラの分身にとても甘い響きを与えていく。
キラはそのまま両手で後ろからラクスの乳房や腹、脚などを摩りながら、彼女の背中を舌でまんべんなく愛撫していき、赤い斑点をつけていく。
しばらくそうしていて
「んはあ…キ、キラ…」
「ちゅう〜…ぷちゅ…ん?」
キラが、左手の指でラクスの喉を、右手の指で彼女の右太ももを擽りながら、肩甲骨の真下あたりのところを口で吸っていたとき…
「この体勢…あ、あなたのお顔が見えないから…もう、そろそろ…」
ラクスが切なげな声でそんなことを言う。
「ふふ、わかったよ、ラクス…ふう〜…」
「んふ…!」
ラクスの右のうなじにふっと温かい息を吹きかけてから、キラは彼女の体を回転させて再び彼女を仰向けにさせて、右手をラクスの顔の左隣
のとこのシーツの上について、左手を彼女の顔の右隣のとこのシーツの上について自分の体を支え、先程までと同じように彼女を上から覆い被さる体勢をとる。
「大丈夫だよ、ラクス…ボクはちゃんとここにいるから…ちゅ」
そのまま穏やかに微笑んで彼女の鼻先にキスをする。
「んふ…はい、キラァ…♥」
また愛しの人の大好きな顔をその目で捉えることができたラクスは、トロンとした瞳を彼に向ける。
「背中にも、キスマークつけてらしたでしょ?しかもまんだ噛んだりしちゃって…歯型もつけました?」
ラクスは、自分の顔の隣でシーツを上からついている彼の右手に自分の左手を、左手には自分の右手を添えてから、そう尋ねる。
「うん」
キラはそんなラクスの手を握り返しながら答える。
「もう…キラのエッチ♪ふふ…なんだか…ほんとにキラに…征服されちゃったって感じです♥」
「…いや?」
「ふふ…嫌なわけありませんよ。わたくしはあなたのことが大好きなんですから♥」
「うん、ありがとう」
「あ、でもキラ…」
「ん?」
突然ラクスが少し恥ずかしそうに
「わたくしも…あ、あなたにキ、キスマーク、つけても…いいですか?」
そんなことを言い出す。
「…え…?」
突然の彼女の申し出にキラが少し戸惑っていると
「あの…わたくしも…あなたがわたくしだけのものだっていう、め、目印をつけてみたいかな…なんて…ことを思ったり思わなかったり…と言いますか…そ、その…」
ラクスは恥らうように声を上擦らせて言葉を紡ぐ。
「…うん、いいよ」
結局キラはラクスの申し出を受け入れてあげる。
愛しの女性に自分がその人の占有物である目印をつけられることに、抵抗を覚える気持ちなどあるわけがなかった。
「あ、よろしいですか?」
自分の申し出が受け入れてもらえたことで顔に喜びの笑みを浮かべるラクス。
「うん…じゃあ」
キラはラクスの手から自分の手を離して、それぞれの手をそこからすぐ横のシーツのところをついて、体をラクスの方へと少し倒す。
「では…」
キラの手が離れたところで、ラクスは両手を彼の背中に回して彼の上半身を抱き寄せ
「あの、口で吸えばいいんですね?」
「うん。強く吸っていいからね」
「はい…では………ちゅ…ちゅうぅぅ〜…!」
「ん…」
キラの右の鎖骨のところを思いっ切り口で吸って
「ちゅぽん!………あ、できました♪」
今しがた自分が吸ったところに赤紫の痣ができあがり、ラクスは愉しげに言った。
「はは…ラクスに、目印つけられちゃった」
キラは少し照れくさそうに言葉を返す。
「ふふ…あ、あのキラ…もっとたくさんつけてもよろしいですか?」
「あ、うん。いいよ、好きなだけつけて」
「はい!じゃあお言葉に甘えて…ちゅう…ちゅう〜〜〜」
そのまま意気込んでキラの上半身のあらゆるところにキスマークをつけていくラクス。
(キラの肌、すごいスベスベしてる……女の子みたい♥そ、それにしても…さっきからまたお腹のとこにキラの硬いのが……やだ………なんだかすごく…全身がまた熱く…)
照れと恥じらいがあったせいか初めのうちはたどたどしかったが、慣れてくるにつれて、楽しそうに遠慮なく次々と唇で吸ってキラの胸板や肩のところに痕を残していく。
のみならず、今までのお返しとばかりに、舌でキラの素肌を舐めまわしたり、歯で軽く噛み付いたりする。
「ふふ、キラ…歯型もちょっとだけ残しちゃいますね♪痛かったら言ってください」
「うん」
「あむ…ちゅ」
(う〜ん…ラクスってボクにされるときはすごい緊張してたのに…自分からするときはなんか楽しそうで妙に積極的だなあ…)
などという感想を抱きながら、キラは時折体の位置をずらすように言ってくるラクスの指示に素直に従ってあげる。
体の位置をずらすとき、彼女の腹部と接触するキラの剛直が彼女の肌とこすれるが、ラクスは顔を真っ赤にさせつつも、それに対しては特に何も文句は言わず、ひたむきにキラの体に優しく食らい付く。
「はむ…ぱく……れろれろ…ちゅるる…」
そんなラクスがキラの鎖骨のところを噛み付き、ペロペロ舐めてからそこを吸っていたとき
「ん…!」
キラがわずかに呻き声を漏らす。
(あ、キラ…ちょっと声出てた…!なんだか…すごくかわいい♥もしかしたらキラも…)
「ちゅぽん!…ふふ、ねえ、キラ」
「なに?」
「あなたもこうされるとよろしくて?」
ラクスが期待を込めた目でそう尋ねる。
「あ、うん。ラクスがそうやって口で色々してくれると…すごくいいよ」
照れつつも笑顔でそう答えるキラ。
「ふふ、じゃあもっとしてあげますわ!…ちゅう♪…ぺろ…あむ」
キラの言葉に奮い立たされ、そのまま一心不乱に口でキラの上半身を愛撫するラクス。
「ん…」
熱心に自分の体を口で愛撫してくるそんなラクスの姿にますます愛しさを募らせていくと同時に、彼女の愛撫と彼女の腹部とイチモツが
触れ合っているその感触によって絶妙な心地良さを得ていくキラだったが、ラクスの口が自分の喉のところに到着し彼女がそこにキスマークをつけたとき
「ちゅう〜…」
「あ…」
少し驚いたように声をあげる。
「?…ちゅぽ…どうしました?」
ラクスが作業を中断して彼の顔を窺うと
「…ん…なんでもないよ。そのまま続けていいから…」
「ん?そうですか?…では…ちゅう〜…」
彼の様子を一瞬不審に思ったものの、結局ラクスはそのまま作業を再開し、そのままキラの首周りに次々とまた痕をつけていく。
(う、う〜ん…そこらへんは服着ても隠せないんだよなあ。子供達はともかく、母さんに見られちゃったら…まあ、ラクスがすごい楽しそうだから…いっか…)
そんなことを思いながらも、キラは彼女の髪を右手で優しく撫でつつも黙ってその行為を受け入れていく。
「…ちゅう…ぽん!ふふ…キスマーク、たくさん、つけちゃいました♪歯型もちょっとありますね♪」
あらかたキラの上半身にマーキングしたところで、ラクスは彼の体から口を離し、キラの肩を左右の手でそれぞれ掴みながら、自分がつけたいくつもの目印を眺めて満足そうに言った。
「はは…ボクもラクスに、征服されちゃったね」
「はい!これであなたはもう浮気はできませんね♪」
ラクスがいたずらっぽく笑いながらそんなことを言う。
「え?」
「これであなたはわたくしだけのものだっていう目印がちゃんとできたんですから、他の女性に変な気をもったらダメですよ、キラ」
「ラクス、ボクはそんな目印なんかなくても浮気なんてしないよ」
ラクスとてキラが浮気をすることなど、本気で心配しているわけではないだろう。
だから、彼女はニコニコしながら言葉を発していたのだが、対してキラは真面目な顔つきで答える。
「ほんとですか?なんか…信用できませんわ」
そんなキラの反応が少し面白くなり、意地悪くそんなことを言うラクス。
するとキラは
「ラクス…ボクのこと、信じてくれないんだね…」
少し悲しそうに表情を曇らせてそう言う。
「…え…あ、そういう意味じゃ…!」
冗談で言ったつもりだったのに、キラがそんな表情を見せてくるのでラクスが慌てて声をかけると…
「じゃあ信じてもらえるように…」
急に顔に笑顔を浮かべてから、キラは
「れろ…ちゅる…」
「え…?んは!」
ラクスの方へと体を倒して、彼女の右の首筋を舐めつつ、両手で乳首を摘み上げクニュクニュと圧迫する。
「んは…もう…キラ…!」
突然のキラの反撃に思わず悩ましげな声をあげるラクス。
キラの肩に置いていた手はそこから離れ、彼女の顔の左右の横に力なく置かれる。
「ちゅる…ふふ…ラクス、これで信じてもらえるかな?」
「も、もう…信じるって…い、意味がわかりませんよお…」
首と乳首を攻められながら、ラクスが困ったように言い返す。
「そう?」
「そ、そうですよ…今のあなたの行動が、どうしてあなたが浮気をしない証明になるんですか…?」
「それはね…ちゅる…う〜ん…何て言えばいいのかな…ボクの気持ちをちゃんときみに伝えるにはこうするのが一番だと思ったんだよ」
口をラクスの唇のとこにもっていってそこをペロペロ舐めながら、キラはラクスの顔の横に置かれた右手に左手を上から重ねて、右手を彼女
の右脛の方へともっていき、指で右脚を下から上へと丁寧になぞっていく。
「だめかな…ラクス…信じてもらえない?」
「んふ…やは…も、もう…さっきのは冗談ですよ…わたくしはあなたが浮気をするなんて………これっぽっちも思っていませんわ…」
キラの瞳を見つめながら、ラクスはねじけたように少し頬を膨らませて答えた。
「ふふ、よかった…ボクが女の子として好きなのはきみ一人だけだよ、ラクス」
キラとてさっきの彼女の言葉は冗談だと実はわかっていた。
ニッコリ笑ってそう囁く。
「はい…キラァ…」
ラクスも途端に顔を笑みで綻ばせ、蕩けきった声で答える。
こう言ってしまっては彼女に失礼だが、キラから「好き」と一言囁かれるだけで笑顔を取り戻す彼女は実に単純な娘だ。
「ふふ…ちゅ…ちゅ…」
「んはあ…はあ…」
キラは、そのまま口で彼女の顔を、手で彼女の脚を愛撫していく。
それに対して、まどろむような表情で熱のこもった息をキラの顔を吹きかけていくラクス。
そんな彼女を見てキラは
(ラクス…なんかいつのまにか、だいぶ緊張がほぐれてきたみたいだな。じゃあ、そろそろ…)
そう判断して
「ラクス…手、この中に入れていいかな?」
ラクスのショーツのウエスト部分へと右手をもっていき、そう尋ねる。
「…え…?…キ、キラ…!?そ、そんな…やめて!!!」
それに対してラクスは、急に顔を強張らせて、股を思いっ切り閉じ、自分の左手でキラのその手を追い払ってしまった。
「大丈夫だから…ね?」
そんなラクスの左手を右手で優しく握ってあげてから、キラはなるべく穏やかな微笑みを向けて囁いてあげる。
「だ、だって…そんなとこ…さわるんですか!!!???」
緊張しつつも安らぎに満ちた顔でキラの愛撫に身を任せていた先程までの彼女とは対照的に、顔を引きつらせ信じられないとでも言うかのような視線でキラを睨みつけるラクス。
「うん。大丈夫だから。ボクを…信じて」
それでもキラは優しく諭すように囁く。
「で、でも…汚いですよ…」
ラクスが眉をひそめて言うと
「大丈夫。汚くなんかないよ」
あくまで穏やかな笑みで囁いていくキラ。
「でも…そんなとこ…わたくし…自分でさえ…そ、その…全然さわったこと…ないのに」
すがるような目つきでそんなことを言ってくるラクスに対して
「…いや?」
キラ一言そう尋ねる。
「あ、あの…」
「どうしても…いやかな?」
「そ、それは…」
「その…なにもしないままいきなり…最後のをいくっていうのは…ちょっとアレだから。その前に手で少しさわりたいんだけど…」
「そんなこと言われましても…」
「ボクはこのまましたいんだけど…いや?」
「………そんなとこさわるなんて…駄目ですよ」
キラから目をそらしてラクスは…震えた声で言った。
「いや…なんだ?」
「…いや…です」
キラはそれを聞くと、少し考えて
「えっと…じゃあ…さわんないから。でも、その…最後のするから…このまま下着、脱がしていい?」
そう尋ねると
「…そんな…いやですよ。そこまで…脱がしちゃうなんて…」
ラクスはさわるのはおろか自らの秘処を晒すことさえ拒絶する。
「え、でもそれじゃ…できないよ?」
キラは困ったように尋ねる。
いくらなんでも、下着を脱がさないことにはこのまま最後の一線を超えることはできない。
だからキラはなんとかこの先のことを受け入れてもらうために、なるべく穏やかな声でラクスに声をかける。
だがラクスは
「だって…そこは…汚いですもの…だから…やめて…」
「脱ぐのも…いや?」
「はい…」
「どうしてもいや…?」
「いやです…」
キラの方には目も向けず、あくまで拒否の言葉を放つ。
彼女とてこうなることはわかっていただろうが…それでも自らの陰部を晒したり人にさわられたりするのは彼女にとってはそうとうの恥辱らしく、
ラクスはそれを受け入れることはここにきてもなおどうしてもできないようだ。たとてキラが相手でも…
「ラクス……」
「………」
それを最後にしばらく二人を沈黙が包む。
ごめん中途半端だけど今日はここまでです。
レスが100を超えちまったけど、まだまだ続きます。
明日また投下します。
長くて読むのに時間がかかる・・・・
だ が そ れ が い い 。
職人様GJ。続きも期待してます。
>>501 うんなんか充実してるよなw
職人さんGJ!
つかこの後キラがどうやってラクスを懐柔するのかが気になる
キ
タ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ヽ\ //
,、_,、 。
゚ (゚ロ゚)っ゚
(っノ
`J
大作GJ
アニメからの印象とはちょっと違うけど
お化粧を気にしてたり体にコンプレックスをもってたりするラクスも年頃の女の子でかわいくていいなあ
すげぇw
一気に読んだ…
楽しみにしてます!
久しぶりに2ちゃんで文字たくさん読んだ
508 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 08:09:43 ID:G2xRwKnU
グゥレイト
保管庫!!保管庫暇人さん分を更新してくれ
容量が危険な予感だ
ていうかいるんだろうか
2ちゃんはいるかいないか確かめにくいよな
でも元々好意でやってくれているんだから更新無くても文句は言えない
危険を感じる人は専ブラにしてログ取っておくといいよ
IEの人や携帯の人も、これを機に環境を整えればいい
次スレぴんく難民でいいかな?絶対板違いって言われないから
見に行ったら普通にいろんなSSスレあったお
超GJGJ!おもしろかった
514 :
名無しさん@ピンキー:2006/01/15(日) 18:40:31 ID:5fwBMpjp
上げちまったorz
スマソ
別のところに書き込むなら誘導おねがい
続きを本日投下する予定だったけどできなかった申し訳ない。
明日か明後日には投下します。
ところで、このお話は、テキストファイルの容量では、エロの残りの部分が100KBあってとエロの後のちょっとシリアスな部分が50KBくらい残ってる(我ながらほんとに長いな)んだけど、でも容量がそろそろやばいみたいですね。
次の投下のときは、スレ容量が480KBちょいぐらいになるまで投下して、次スレを誰かが立てるのを待って、続きはそっちに、としたい思いますがどうでしょう?
なぜ誰かが立てるのを待つんだろう
結局次スレはぴんく難民なのか?
>>519 それでいいんじゃないか?
次スレ立ったらここに貼って、更に避難所で板誘導しとけば探すでしょ
それで探し出せない人は情熱が低いとしか言いようがない
難民にたてるときのテンプレ
ここは機動戦士ガンダムSEED、SEED DESTINYに登場する キラとラクス専用小説スレです。
(移転経緯)
元々は新シャア専用におけるスレだったのですが板違い&荒らしの登場により、スレの運営が不可能になりキャラサロンに移転されました。
キャラサロンでは以前ほど荒らしはひどくはなかったのですが、単独カプスレは基本的に板の方針と反するということでここでもスレを続けることはやめた方がいいということなりました。
結局、キララク専用小説スレを最後まで求める住人の手によってここに移転するに至りました。
(スレの方針)
内容は必ずキララクで絡ませること。
他キャラとの3Pやキラ、ラクスに絡むものは厳禁。
フレイを出すのはNG(意見の食い違いが生じやすい為)
他キャラは話の展開によっては出場可。
エロ無しも一応・・・可。(あくまで基本はエロ)
話が気に入らなければスルーすること。
職人さんに対する批判や文句をいちいち書き込まないこと。
荒らしに反応するのも荒らし。いちいちレス書かないこと。
sage必須。
保管庫
ttp://s3.artemisweb.jp/logs/gundamseed/kira-lacus/ キャラサロンでの前スレ
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/erochara/1133712786/
乙!
で、だれか立てに行ってるか?
立ててないなら、立ててこようか?
だれか、難民の場所を教えてくれ!
いったけどまだたってないよね?
テンプレ作ってくれた人がいるだけと思う。
>>517 乙です。
楽しみにしとります。
てんぷれは
>>521でいいのか?
付け足すこととかないなら俺がたてるけど。
いんじゃないかな
荒らし対策も追加されてるし
529 :
526:2006/01/16(月) 23:26:53 ID:???
俺立てようとしたけどなんか無理だった。
他の人よろしく。
まだ立ってないようだけど、スレタイはこのままでいいのか?
480KBで埋まるんだっけ
500じゃないの?
>>532
乙です。
残りわずかな容量のこちらに投下しても中途半端になので、続きは新スレの方に投下します。
乙
とりあえず梅るか
あ
__z‐ 、__ ト、
, -‐'"´ ̄`丶、ヽヾ、 ̄`ヽ、 |. ',
/ _ ヽ ヽヽ 、ヽ | l
/ / ハ } }_ ::. ヽヽ | l
. / { : { レレ' } i::. :',゙ヽ | l _
/ ........... . l. {:. ヽ:.'、 rlハ::l:l | l ,、 __ .ィ゙/
,' .: :: :: : : ::. :. ヽト、__\'、_ ィT}/リ=;;ー―---v⌒. L/ L /ノ ///}
{ . : :.:: . . ::::. 、:.. ヽ / ̄` ソハ、  ̄` ‐- 、ゝ__,ノ 、 }∠- ' /h/ 、
l :..::.:.:::i:. : :. \:::.ヽ-ゝ,ィヘ` `ー,l:ヽ `‐-‐ヶ‐ ' ,,、 /_{
ヽ ::::::::'、:::、:::::.. :`‐z‐`八ノソ ,, |- ヘ {/} , ', '/'ノ
ヽ:、::::::\:丶、:::::::::`ー‐"--;‐ r' }! ハ /, '/, '´, '.イ
`ヽ:、:::::{Tヘ`::::‐r一'''''"´ `"ノ /! ト,、__ r'´ ''´ ´/'/`丶、
ヽ:、::ヽ、_.\:::.丶、--―一 i´_ノ ii i:ヽ \ } /
ヽ:、::::::::フ_\:::. .\---一'''"´ ii L_ト ヽ、 ∧ / ゝニ_ ュ
ヽ::、::ヽ \..::...\ ヽ、__``‐-、/l{. ヽ / / ヽヽ
ヽヽ:::ヽ 丶、:::.`ヽ、_ `゙`丶、 `ハ `{_ ィ丶 _rフ ヽ
';:: : :::', `ヽミ-ヽ、 ヽ} ヽ ` \-rノ ̄
';:、 . :} ___ | 丶、 `` }
';:i :ノ/ `丶、 | ` ‐ - 、 丶、
i:l:{´ 丶、 | `ゝ
. |::{ ーr、ヽ | /
今容量どのくらいなんだ
468kb
ゲッまだまだじゃないか
エロAA!!!
もう向こうが主スレになりつつあるなぁ。
もう少しコッチに投下してくれてもよかったのに…
保管庫更新してないから、ゆっくり埋めたいなここ
もう管理人消えてしまったかな
ぃ.⌒ 人が
働きなさい \ !三 .) ゴミのよう / 探しましたわ
愚民ども \ |三 ノリ ですわ / さあ早く夕食を
〃.⌒ノノ \ ノ三 |) / ,〃.⌒ノノ
!(((!´゙リ)) \ (三 .) / ( (((!´゙リ))
ノ リ*゚ ヮ゚ノ,,っ━~~~ \−=三ムムん'ゞ三= / 〃⌒`⌒ヽ )ヽl.゚ ヮ゚ノl
((と~_ ~ _.ノ_ ▽ \ ∧∧∧∧∧∧/ウワアアン(V∧从V ∩と )
 ̄ ゝ /~), | ┷┳━ < 恐 > (l (ДTWノノ 人 Y
 ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|... ┃ ^○^ <. 政 怖 >=≡とと___ノ し' (_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .┻ < 治 >
───────────── < 予 の >──────────
〃⌒`⌒ヽ裏切らない. < 感 > ||
i ((`')从ノから許して < !!!! > , '"´ ゙̄z,_ …僕たちの…
i,,ゝ;´Д`)ください… /∨∨∨∨∨\ ;´从v∧ <´ 世界は……
_/__\ _. / 〃.⌒ノノ \ W:::)A ` )
| \_____\ / ( (((!´゙リ)) ^○^\ ミ≡≡≡j
_|\|______|. / )ヽl.゚ ヮ゚ノl \ ミ≡≡≡j ユルシテ…ラクス…
|\\|______|./ ( ⊂)У}つ \ ミ≡≡≡j モウ…ウワキシナイ…
\\∧\__)_)/ ^○^ )ノんムゞ \ ヽ)ヽ)
\\∧∧∧∧∧ わたくしに逆らう者はハロになる運命ですわ
;´从V∧)
W*´∀`)
) l こん ほてったからだ
⌒ヽ⌒ヽ
( ◎ ) ◎) どんげすればいいと?
(⌒) (⌒)
ノ ( ノ ̄ いっちょくけどねぇ
( l/
\ \\ うちをこんなにしたのは
\ \\
/ / / あんたやっちゃからね
/ / /
/ / / はよう かえってきてくんね まっちょるよー
l  ̄))
〃.⌒ノノ
i(((´゙リ)(∧V从`;
ノ リ*゚ ヮ゚(´∀`*W
( (( つ と \ ラクス(´Д`*Wラクス
ヽ∩ ヽ _ノつ
ヽ_,)
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/...::::::`゙ヽ、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/..::::::::::::::::::::::`ヽ、
〃::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::\ ,_ _,_____
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{:::::::::::::::::::::::::::::;r==| :::::::::::::∧::!:::::::::::::::::: |ヽ::ヽ / / ..:::::::::∠r'´ _____/:::::::::::::::.ヽ
|ハ:::::::::::::::::::::::〈 '⌒| ::|::::::::::L=Vヽ::::::::::::::::| ヽ::! // ,ィ :.,ィ':/ ´ ̄./_::::::::::::::::::::::::::::::::::.゙:
! 〉:::::::::::::::::::::::lヽく| ::|:::::::::|、j:! / ヽ;::::::|::::| l:! l´|´ |::l.、l´ >く/:::::::::::::::::::::::::::::::::. l
|::::::::::::::::::::::| `ー !:::||::::::/ ` ヽ. ヾ:::ヾ:!| ! |´l::! ,=、三彡::::::::::::::::::::::::::::::::. !
|::::::::::::::|Vヽ! | ヾ:!|::|::| > ヽ:! ! _ノ` ト'::!ヽ∠::::::::::::::::::|::::::::::::::. ヾ
|:::/::ハ::! '、 ヾ:!! 、._r'´ ヽ ``′ ̄|| :::|‐.、::::|:::::::::::::::::
レ'|/ ヽ ∪ r'′ 'ー 、 /.| :::|_).!:::::!::::::::::::::::
/ ∪ /`゙'' --'′ ./〉‐' ハ ::ヽ::::::::ゝ:::::::::::::
,' / /::ハ、___.,.. .-‐''´ ヽ ::\::::::丶::::::::::
l  ̄ ̄`ヽ、 // ヽ \::\::::ヾ::::::::
.! ヽ | , -------ヽ. \::ミヽ、::`:::
| ヽ\ / ! , - \;ヾヽヾ
| ', \ / _,.-/ ヽ;::::::
| ! | \ / '´ / .`;:::::
| | ヽ \ ヽ / \ / ヾ;::
ヽ .| \ \ ヽ ,. -''´ /| / / .!ヾ
「さあ、キラ愛し合いましょう」
「もう10発目だよラクス…」
l ,' l l
,' ,' l l . - _
// ,' ,'_,..,_ l, ヽ ノ´//⌒ ミヾヽ、_ キラ・・イキソウ・・・
//,r'´ ,r'´ `ヽ、、、`;ニ三彡´〃 ! ゙ゞヾ、_`ヽ
(({ グチュ { ```` /´ { l | // ヽ`ーr' }
パン パン ! ズチャ ! `、 ' ノ l. ||l i l / l
', ; ', | ̄``''''ー―- ,'´l l |!` ‐--| l l l
', l ', | l l | リ,! l
i ; ', | | | ,! ' リ
,,,,--−---、ノ ,'___', | |. | ゚。
,'' ´ `ヽ ! | |
、、....___ .....,r'-......__ ,.r' | '''"''‐-、
〃.⌒ノノ
!(((!´゙リ))
ノ リ*゚ ヮ゚ノ,,っ━~~~ (∧V从`;
((と~_ ~ _.ノ_ ▽ (´Д`;W
 ̄ ゝ /~), | ┷┳━ (=====)
 ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|... ┃ __ (⌒(⌒ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .┻ /\ ̄ ̄し' ̄ ̄ ̄\
〃⌒ノノ ファサァ
(((!´゙リ))
ノリ#゚ ヮ゚ノリ ))
/つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
ノ ) \ ))
(__丿\ヽ :: ノ:::: )
丿 ,:' ))
(( (___,,.;:-−''"´``'‐'
〃⌒ノノ
(((!´゙リ))
ノリ#゚ ヮ゚ノリ <キラ、私とハァハァしましょう
パンパン / _ノ⌒⌒⌒`〜、_
ε( ̄⊂人 //⌒ ノ ヽ)
⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃
こっちのすれ、容量まだ余裕みたいですね。
なのに向こうに投下してすまん。
でも、一度投下してしまった以上続きは向こうで投下しましたので、どうかご了承ください。
,.-''7::::::/j゙>'´:::::::::::::::::::::::::::j ゙i lヽ
_/:::::/::://7 .::::::::::::: .:: ::::::::r / }:::ヽ
:::;:-‐7:/::;::'::::/: :::::: . .::::! .::::ル1 /: :. !
´ //::/::::::::'!::; . ::::l::..::;l::l:..:;::/__ラィ;::.::.:j゙
//::/::::::::::.i:::i:::..:;:i:;i::ハ‐!:::i/ ,ィラj゙j:;:ィハ
//:/:::::::::::/:ヽト;:;;::;゙rリテ;∨ ´ノ´,l:::゙il――‐r―- 、
. /;イ:;:::::::::::/::::::/l:!゙7`tゝ´ `, __ ,ィ !::::il \ }
ノ//:::::::::/:::::::/ !l/::::/ `''r ,、'"‐ , 'l l/::::jl !/
/;1::::::::;::::::::/_/7::;イヽ、 ',ヽヽ` jy'::;ィ7 l, 〃
〃l:::::::::;:::::::;:イ /::/ ヽ, ', ヽメ;ィ´ |l lj 〃|
. / !::::::::l:::r' 〃/ , `メf‐''7/ ゙il ゙i, /ハ l
!::::::::i::::゙メく_ ヾ ´ll l | ハヽ_ ∨ ヾ,
!::::::::i:::// `''f;、 `゙, ',', // ! l 。7 } ヽ、
. ,l:::::::::}::/ ゙, `ト 、', /。∨-― ''"´',/ ! } ',
/::!::::::ノ´ l | ノ ヽ 丶、', _, へ | / ヽ
'´:::::!:::/ ∨ ´ 、 ゙, ゙「 ̄´ _,,.. ヘ l / / ノ '、
〈 `ヾ ヾ「 ´ _,.ゝーゝ// / ヽ
_,. ‐;-、 j /⌒丶、},.-''"´ `ヽ, ゙,
/ / / ,ィ"、_ヽz 、ヾf===、,ハ _
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人 Y / <ラクス・・・ハアハア・・・
( ヽ し
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ぃ.⌒ 人が
働きなさい \ !三 .) ゴミのよう / 探しましたわ
愚民ども \ |三 ノリ ですわ / さあ早く夕食を
〃.⌒ノノ \ ノ三 |) / ,〃.⌒ノノ
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ノ リ*゚ ヮ゚ノ,,っ━~~~ \−=三ムムん'ゞ三= / 〃⌒`⌒ヽ )ヽl.゚ ヮ゚ノl
((と~_ ~ _.ノ_ ▽ \ ∧∧∧∧∧∧/ウワアアン(V∧从V ∩と )
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 ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄|... ┃ ^○^ <. 政 怖 >=≡とと___ノ し' (_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .┻ < 治 >
───────────── < 予 の >──────────
〃⌒`⌒ヽ裏切らない. < 感 > ||
i ((`')从ノから許して < !!!! > , '"´ ゙̄z,_ …僕たちの…
i,,ゝ;´Д`)ください… /∨∨∨∨∨\ ;´从v∧ <´ 世界は……
_/__\ _. / 〃.⌒ノノ \ W:::)A ` )
| \_____\ / ( (((!´゙リ)) ^○^\ ミ≡≡≡j
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563 :
細かいから:2006/01/18(水) 23:34:31 ID:???
ぃ.⌒ 人が
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ちゃんと埋め立ててから移転してよ
これだから種はって言われるんだろ
,. ‐ '"´ `"'ー
、 、 , '" ,、ヽ' 、
_,,.....ヾニヽ\ /, i、 !,ヽ 、、、. ヽ\ヽ
,. -‐ ''"´ ̄`"''ー'"´ ` '‐ヽ /, '/ ./! /ヽlヽl !ヽヾ`、! '、.ヾ`
´ 、 \ ., '/'.,' / .、', l ,、.! ヽ!ヽ'l \'、`
ヽ 、'、 ./ l / //', l,',' ! ', ヾ
'、 '、'、 ,' / '´l ,'!. l、
i ! ', ', ', l' ! .,'./! ! l ,' .', |ヽ !、 ',、
l, !, ',. l. l .! !' .l ,', !、 l ,.-',l=ヽ !ヽ !,'、 ,、 |-、
| !. i l.', l '、 ! l .l /| ! .,' ヾ ヽ !´ ,ィ;!'‐、'、 !. ヽ !!、'l ! .lヽ.',
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