ねぇ、スティング…なんで…なんで僕じゃだめなの?

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349『スティング、さらわれる』
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 気がつくと、ふかふかのベッドに寝ていた。
「おい、起きたぞ!」
「お目覚めだ!」
「メシの準備だ!急げ!」
「風呂も沸かせ!」
 あたりが騒がしい。
 見回せば、高い天井、煌びやかなシャンデリア、割と広い空間。テーブルも高級そうで、
床には毛足の長い絨毯が敷かれている。
 ベッドルームの外に、大人数の気配。
「……?」
 すぐ隣で、自分と同じ顔が羽毛の枕を抱きしめ、ふーかふーかごろごろしている。
「(こいつは……)」


「どうしたんだこの過疎っぷりは?」
「過疎サミシス」
 >>347の問いが、>>348のつぶやきが、人気のない通りに響く。
 それに耳をピクリ、あるいは目をパチリと開けて注目する数匹の猫がいた。
 羽をばさりと、もしくはチュチュチュとさえずって反応する小鳥たちがいた。

 彼らこそが、この一連の事態の目撃者であった。