【夕璃】「先輩、さっきから何を熱心に読んでるんですか?」
【浪馬】 「ああ、新聞の政治欄を読んでいたんだ」
【夕璃】「珍しいですね。先輩が自発的に新聞を読むなんて」
【浪馬】「おいおい、馬鹿にしてもらっちゃ困るぜ。何せ9月11日には注目の衆院選があるからな。
たまには俺も政治に関心を持つさ」
【夕璃】「先輩はどこの党に投票するんですか?」
【浪馬】「決まってるだろ。自民党さ。小泉総理の改革が続けられるかどうかがかかっているからな。
『改革を止めるな』ってメッセージ聞いたら男として投票しないわけにはいかないぜ」
【夕璃】「はあ・・・自民党ですか」
【浪馬】「夕璃ちゃんはどの党にいれるんだ?」
【夕璃】「わたしは・・・民主党ですねやっぱり」
【浪馬】「おいおい本気かよ。民主党なんて自民党の批判しか出来ない政党じゃないか」
【夕璃】「でも・・・小泉首相の言ってることがちょっと信用できなくて・・・。言ってることもコロコロ変わるし・・・」
【浪馬】「夕璃ちゃんは解散後の小泉首相の会見を見たのか?あの真剣な表情を見て疑う奴がいたらそいつは男じゃないぜ!」
【夕璃】「私は女ですけど・・・」
【ふみ】「やれやれ、相変わらずおまえは考えが軽いな織屋」
【浪馬】「なっ、ふみさんどういうことだよ。いきなり出てきて俺の頭が軽いって」
【ふみ】「では聞こう。おまえは何故自民党を応援しているのだ?」
【浪馬】「だからそれは・・・改革してほしいからだよ。小泉首相も言ってただろ?改革を止めるなって」
【ふみ】「あのフレーズは広告会社が作ったものなのだが・・・。まあいい。では具体的には『改革』とはなんだ?」
【浪馬】「それはだから・・・郵政民営化?とか?」
【ふみ】「それだけか?」
【浪馬】「あとはほら・・・金の問題だよ。小泉首相言ってたじゃないか。『自民党をぶっ壊す』って。
金に汚い政治家や官僚を追い出そうと頑張っているんだよ!」
【ふみ】「では聞くが、先日、騒がれた日本道路公団の問題を知っているか?」
【浪馬】「あー、えーっと・・・」
【夕璃】「橋梁談合事件ですね?過去最大規模の癒着が発覚したとか」
【ふみ】「そのとおりだ。小泉政権が発足してから4年。政治とカネの関係は解消されるどころか、逆に強まりを見せている」
【浪馬】「いや、それは・・・。物事には順序ってものがあるじゃないか。郵政民営化問題が解決したらきっと取り組んでくれるはずさ」
【ふみ】「その郵政民営化についてだが、織屋は賛成か反対かどっちなんだ?」
【浪馬】「当然、賛成に決まっているじゃないか。なにしろ特定郵便局長はたいした苦労もせずに、
1000万以上の年収を貰って、しかもその立場が世襲されるって言うんだ。こんなのおかしいとしか言いようが無いぜ」
【ふみ】「ふぅ・・・」
【浪馬】「ふ、ふみさん、なんでため息なんかつくんだよ」
【ふみ】「無知は罪だな・・・。いいか織屋。その話自体が自民党に操られた右派によって喧伝されているプロパガンダだ」
【浪馬】「え?プロパンガス?」
【夕璃】「ガスじゃありません。プロパガンダ。わかりやすくいうと政治的行為を達成するための宣伝です」
【浪馬】「あ、ああもちろん知ってたぜ。プロカバンダな!」
【ふみ】「・・・まあいい。とにかくその話は大きく誇張されている。実際には特定郵便局長の世襲制は殆ど行なわれなくなっているうえに、
収入自体が大したものではない。割に合わないということで、田舎の郵便局では局長職の押し付け合いが起こっているという事実すらあるんだ」
【浪馬】「な、なんだって・・・!?」
【夕璃】「公務員に対して批判的な一般大衆の心理を巧みに利用したんですね・・・」
【浪馬】「その話がもし本当ならなんで郵政民営化なんてやるんだ?」
【ふみ】「さあな。一説には小泉首相が郵政大臣を勤めていたころ、郵政省との軋轢があり、それに対しての個人的な復讐との見方もあるが・・・」
【浪馬】「なんてことだ・・・全然知らなかったぜ・・・」
【ふみ】「小泉首相が国民を騙しているのはこれだけではない。イラクへの自衛隊派遣だってそうだ」
【浪馬】「自衛隊は傷ついたイラクの人たちのために復興支援に行ってるんだろ?それくらいは俺だって知ってるぜ。それのなにが騙しだって言うんだ?」
【ふみ】「やれやれ・・・政府の言うことを全て鵜呑みにしてしまっているんだな。まず結論から言おう。自衛隊は復興支援をしにイラクへ行っているのではない。
彼らはアメリカの戦争を手伝いに言ってるんだ」
【浪馬】「ちょっと待ってくれよふみさん!さすがにそれは滅茶苦茶だぜ!?第一、自衛隊は9条があるから戦争は・・・」
【ふみ】「もちろん直接武器をとって戦っているわけではない。しかし、自衛隊はイラクで戦闘をする米軍兵の輸送を行なっているんだ。
これを戦争行為と言わずして何と言う?」
【浪馬】「ほ、本当なのかそれは・・・」
【夕璃】「ついこの間にも自衛隊が言っているサマワに住むイラクの方が日本で講演を行なっていましたね。
『我々は日本を愛していたのに、自衛隊は私たちに武器を向けている・・・』と・・・。悲痛な叫びに日本人として胸が締め付けられる思いでした・・・」
【浪馬】「くそっ!俺は全部だまされていたのかよ・・・」
【夕璃】「知らなかったことはしょうがないですよ先輩」
【ふみ】「そうだ。大事なのは未来に向けてなにができるかだ。
手始めに、そうだな・・・。まずは次の選挙で民主党に投票することだな」
【浪馬】「民主党へ?民主党は信用できる政党なのか?」
【ふみ】「ああ。民主党は自民の汚さについていけなくなり脱退した理念ある政治家のあつまる政党だ。
郵政民営化についても、自民党のそれよりも遥かに具体性と現実性を持った対案を提出している。
自民党がまったく気に留めない福祉や年金の問題にも具体的な政策と目標数字をあげている。
そしてイラクについても年内に全て撤兵させることを政権公約に掲げている」
【浪馬】「そうか・・・よし、決めた。俺は民主党に投票するぜ!もう自民政権はこりごりだ!」
【夕璃】「わかってくれたんですね、先輩!」
【ふみ】「『日本を、あきらめない』か・・・。そうだ織屋。おまえのような若い者が志を持って政治に関わっていけばまだ日本は大丈夫だろう・・」