小説書いてみたい奴と読みたい奴のスレ〜第15章〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
429...φ(・ω・`c⌒っ
400 :サクラフブキ◆emOEDOnvgc:2008/01/22(火) 16:00:00 ID:79+WZjkY
静まりかえった礼拝堂の中で、ロウソクのわずかな明かりに

照らされて、一つの黒い影がイスに腰かけている。その人影

は、古ぼけた一冊の聖書を手にし、読みふけっているようだ

った。礼拝客のいる昼間と違って、深夜の礼拝堂には、人影

がページをめくる音と、ロウソクの芯がこげる音以外何も聞こ

えない。だから、静かにドアが開く音も、部屋の中に大きく響

いた。

人影が聖書を置いて、顔を上げる。目の前には修道服姿の

若いシスターが立っていた。聖書を読んでいた男は、くったく

のない笑顔を見せて言った。
「ローザ。良く来たね」
「来なくて良かったのなら早く帰らせて欲しいのですけど」
対するローザはつっけんどんにそう答えた。男の手元に視線

を走らせる。
「……悪魔のあなたが、聖書に何の用があるんですか?」
「いや、これがなかなか面白いんだ」
悪魔と呼ばれた男が、聖書に横目をやって静かに笑う。