新・エロアニメ総合雑談スレ

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51名無しさん@ピンキー
かように、初めから満五年にもならない間に、これだけの大発見が続いて出たのは、実に驚くの外はない。そのためもあろうが、ファラデーは幾分元気が衰えて来たように見えた。それゆえ以前ほどの勢いは無くなったが、それでもまだ静電気に関す
る大発見をした。 すなわち、一八三五年には静電気の研究に取りかかり、静電気の感応も中間の媒介物によるのであろうと思って、調べ出したが、中途でフッ素の研究に変り、夏になるとスイスに旅行したりして休養し、前後八個月ばかりも中断して
ら再び静電気の研究に戻った。「先ず電気は導体の表面に在るのか、または導体と接する媒介物(絶縁物)の表面に在るのか」という問題から始めて、ガラスのような物を取り、正負電気の間に置いたとして、「感応の現象があるから、電気は導体の方
には無く、かえって媒介物の方にあるのだ」と書いた。十二月にはまたフッ素を研究しかけたが、断然止めようと決心し、その四日からは静電気のみの研究に没頭した。最初は静電気の起す作用を、電気分解のときに電流の流れ行くのに較(くら)べて
考えておったが、数日後には磁気が指力線に沿うて働くのと同様だと考えついて、「空気中における感応は、ある線に沿うて起るので、多分実験上、見出し得るだろう」と書き、五日過ぎてからは、「電気は空気、ガラス等にあっては、みな両極性を有して
存在する。金属は導体なるがために、かかる状態を保持することが出来ない」と書いた。 かように、電気は導体に在るのではなくて、媒介物たる絶縁物内に正負相並んで存在し、これが導体に接する所、いわば境界の所で、正なり負なりの電気として
現われる、ということを発見した。 またファラデーの実験として有名なのに、十二フィートの四角な金網の籠(かご)を作り、これに非常に強い電気をかけても、その内には少しも電気作用が無いというのがある。これもこの頃やったので、これらの研究
は一八三七年十二月と同三八年二月とに発表し、「電気の実験研究」の第十一および第十二の両篇をなしている。 この第十二篇の中には、真空放電や火花の事も出ているが、この研究を引きつづき行って、その結果を一八三八年三月に発表した
。(「電気の実験研究」の第十三篇)。この時真空管内で、陰極に近い所に暗い部分があることを発見した。これは今日でも「ファラデーの暗界」と呼ばれているものである。これらの理由により、科学者たらんとする者のために、大科学者の伝記があって
欲しい。しかし、科学者の伝記を書くということは、随分むずかしい。というのは、まず科学そのものを味った人であることが必要であると同時に多少文才のあることを要する。悲しいかな、著者は自ら顧みて、決してこの二つの条件を備えておるとは思わない
。ただ最初の試みをするのみである。 科学者の中で、特にファラデーを選んだ理由は、第一に彼は大学教育を受けなかった人で、全くの丁稚小僧から成り上ったのだ。学界にでは家柄とか情実とかいうものの力によることがない、腕一本でやれるというこ
とが明かになると思う。また立身伝ともいえる。次に彼の製本した本も、筆記した手帳も、実験室での日記も、発見の時に用いた機械も、それから少し変ってはいるが、実験室も今日そのまま残っている。シェーキスピアやカーライルの家は残っている。ゲ
ーテ、シルレルの家もあり、死んだ床も、薬を飲んだ杯までもある(真偽は知らないが)。ファラデーのも、これに比較できる位のものはある。科学者でファラデーほど遺物のあるのは、他に無いと言ってよい。それゆえ、伝記を書くにも精密に書ける。諸君
がロンドンに行かるる機会があったら、これらの遺物を実際に見らるることも出来る。