考察★地震データを見守るスレ★009

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【ニッポン人・脈・記:大地に聞く3 変なことが起きていた】朝日新聞夕刊 2012/11/01 東京3版1面

 9月19日、東京・六本木のオフィスビルで原子力規制委員会の発足式があった。
委員に就任した東京大名誉教授の島崎邦彦(66)のあいさつは手厳しかった。
「10年前に高い津波の発生を指摘していた。しかし、原子力発電の審査に関わる
方々から批判を受け、公表差し止めの圧力がかかりました」
 東北沖の大津波を予測したのに防災に生かされなかった、と考えている。東日本
大震災の後、それを講演で繰り返し訴えてきた。発足式の2時間前に開かれた
第1回の委員会でも同じ話をした。

 島崎は国の地震調査委員会で、将来、どこでどのような地震が起きるのかを予測する
長期評価部会の部会長をしていた。2002年7月、三陸沖北部から房総沖で大きな
津波地震が30年以内に20%の確率で起きると予測した。
 その報告書を公表する前、内閣府から要請が来ていると聞かされた。公表を見送るか、
誤差があると書き加えろという。「納得できない」と事務局に伝えたが、発表文は
前書きに一文が加えられた。
 〈地震発生確率や規模の数値には誤差を含んでおり、防災対策の検討などにはこの点に
十分留意する必要がある〉
 変なことが起きていると感じた。前年に省庁が再編され、中央防災会議の事務局である
内閣府と、地震調査委員会の事務局である文部科学省とが陣取り合戦をしているのかとも思った。

 それから10年。東日本大震災で多くの犠牲者が出たことにショックを受けた。東北沖で
大津波を起こす地震については、直前の2月に地震調査委員会で審議していた。3月の
委員会でも取り上げる予定だったが、議案が多かったために4月に回していた。
「審議の内容が公表されていれば助かった人がいたかもしれない」と今も悔いる。

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 時間の経過とともに分かったことがある。02年の報告書を出す5カ月前、土木学会が
「原子力発電所の津波評価技術」をまとめ、これを受けた東京電力は福島第一原発での
津波の想定の見直しを終えていた。「ああ、これだったんだ」。背景が浮かんできた。
 政府の事故調査委員会の中間報告によると、大震災直前の3月3日、東京電力も文科省に、
東北沖で大津波を起こす地震の報告で「表現を工夫してほしい」と注文をつけていた。
271M7.74(静岡県):2012/11/02(金) 21:54:15.92 ID:Hvvms8V/0
>>270 続き
 成果を生かせなかったという島崎の発言には批判がある。「今、言うなら、その時に
辞任してでも抵抗すべきだった」。島崎にも聞こえてくる。「裏を知っていれば、
そうしたかも知れない。一連のことがつながっているとはわからなかった。馬鹿だった」
 発足式のあいさつを島崎はこう結んだ。「自然が語りかけてくる言葉に予断を
持つことなく耳を傾ける。常にこの基本に立ち返って科学的判断を提供したい」

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 大震災の当日、東大地震研究所の纐纈一起(こうけつかずき・56)は地震の調査で
ニュージーランドにいた。日本からの映像を見て衝撃を受ける。帰国後、地震学者と
しての責任を感じ、しばらく研究室にこもった。
 地震学の限界を思い知らされた。昨年7月、原発の耐震安全性を検討する国の
作業部会の主査と委員を辞任した。
「原発の設置や再稼働の可否は、科学的な知見だけからでは判断できない」

 地震学は三重苦にあえいでいるという。複雑な仕組みで起こる地震は理論研究が難しい。
実験ができない。大地震はたまにしか起きないからデータが足りない。講演で限界を
語ったら、会場から「責任逃れだ」とやり返された。
 地震の予測は難しいが、発生すれば何が起きたかは説明できてしまう。
「それを聞いた一般の人は将来のこともわかると思い込んでしまうのではないか」。
過剰な期待を危うく感じている。 (黒沢大陸)

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皆さま乙です! 新聞販売店にお願いして夕刊を探してもらったのですが、
10/30(連載第2回掲載)分はもうないです」とのことorz とりあえず第3回を手動コピペ。
本日分(第4回)は週末にでも。第1回は>>260のリンク先で全文読めます。