http://seismo.ee.uec.ac.jp/station/station.pdf などでも出ているオメガ局からの
VLF/LF送信電波を受信する能動観測で、電離層の異常を捕まえたというのが、
>>348の
ニュースで言っているところの観測結果ということ。
それについては以下が該当する部分だね。
<電気通信大学紀要17 巻1・2合併号pp.1-9(2005)>
http://www.jana.or.jp/denko/data/17-1-2.pdf ↓
『4. VLF/LF 送信波の受信による方法(能動実験)
VLF 送信局は航行用としてのオメガ局など多数が世界中に存在している。本方法の
原理図を図7 に示す。送信局から発信された電波は電離層と大地からなる導波管内を
伝搬し,受信点で受信されるが,その振幅と位相とをモニタするのである。送信局と
受信点とを結ぶ大円上において地震の影響として電離層が影響を受けていると,その
効果が振幅,位相にて検出されている。特に,位相観測は下部電離層の小さな変化に
対しても極めて敏感であることがわかっている。Gufeld らはアルメニアのスピタック
地震(ULF 電磁放射の節参照)においてはじめてこの異常を発見した。即ち,リベリア
のオメガ局をロシアのモスクワとオムスクにて受信した際,その位相の日変化が地震
の2 週間ほど前から平常値よりも著しく大きな変動(とくに夜間)を示し,地震後には
そのような異常は全く認められなかったのである。震央はリベリアのオメガ局と受信点
とを結ぶ大円のすぐ近くに位置しており,これは長距離(数千km以上)伝搬に対する
結果である。
<電気通信大学紀要17 巻1・2合併号pp.1-9(2005)>
http://www.jana.or.jp/denko/data/17-1-2.pdf ↓
>>358 つづき
次に,兵庫県南部地震の際の観測結果(通信総合研究所との共同研究)について簡単
に述べる。
図8 aは送信点(九州の対馬オメガ局)との受信点の位置関係を示すが震央がほぼ
大円上にあると考えられる。伝搬距離はほぼ1000kmで,前述の長距離伝搬の結果とは
著しく異なったまったく新しい異常を示すことがわかった。図8 bは銚子の犬吠観測所
での10.3kHz の電波の位相の変化を日を追って描いたものである。この図の複数モード
の干渉による位相が最小となる日出入の時間の変化に注目しよう。図は,地震の数日前
より位相最小を示す日出の時間は早くなり,位相最小を示す日入の時間は遅くなるという
顕著な変化を示している。即ち,等価的に日中が長くなっている。地震後の2 週間の変化
は地震前の1 週間の変化とまったく同じである。この間の地磁気活動はΣK<_ 15 と
いう極めて静かな状況で,超高層からの粒子降下の可能性はきわめて低いといえる。
このVLF 伝搬以上、即ち下部電離層異常は神戸地震の効果である可能性が極めて高いと
言える。前述したDEMETER 衛星のパンフレットには地震に伴う電離層擾乱の明瞭な例と
して図8が引用されている
本VLF 送信波による方法では地震に伴う擾乱域はほぼ送信局−観測点を結ぶ大円の近く
であることからいろいろな送信局−観測点のパスを考えてネットワークを組むことにより
擾乱域を同定することも可能であろう。我々はNASDA フロンティアの枠内にて国内に
7 観測点を構築し,各観測点では(1)CHI(中国)局,(2)NWC(オーストラリア)局,
(3)NPM(ハワイ)局,と(4)JJY(40kHz,福島県)を受信することによりほぼ日本全土
をモニタすることが可能となっている(図9参照)。ULF 波のような局所観測と異なり,
本VLF/LF観測は積分観測であり,事例の数を増やすことが容易であり,すでに統計処理を
行い得る事例を持っている。近年,同様の擾乱が中波の放送波を用いても観測されている。』