MISUHA ver.4

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8M7.74
ゆっくり地震
 地震の種類  破壊速度    破壊時間     卓越周期 (目安)

 地震    … 1km/s以上   180秒未満    数十秒未満
 津波地震 … 0.3-1km/s    180-1000秒   数十秒以上
 スロー地震 … 100-300m/s  数時間
 沈黙地震 … 10-100m/s   数日
 クリープ   … 1m/s未満    数ヶ月-数年

 地震    … 地震波は比較的短周期で、ときに強い揺れを伴い建物を倒壊させることもある。
 津波地震 … 地震波は比較的長周期で、ときに長周期地震動による被害を起こす。
 スロー地震 … 地震波の短周期の成分が弱く、人は揺れを感じない。
 沈黙地震 … 別名サイレントアースクエイク(サイレント地震)。いわゆるスロースリップ。
 クリープ   … プレート境界などが絶え間なく動いている現象。

 津波地震の厳密な定義はなく、普通
 「断層運動の規模から想定されるより大きな津波を引き起こす地震」が津波地震と呼ばれますが、
 破壊速度が津波地震の平均的な値0.3-1km/sにあたる地震をここで津波地震と考えるとすると
 スマトラ沖地震は破壊速度0.7km/sのため津波地震となり、破壊速度3.5km/sのチリ地震は
 津波地震というより、むしろ極めて規模の大きい「普通の地震」というのが妥当です。

 チリ地震は太平洋を渡って日本を襲うほどの巨大な津波(Mt 9.4)を発生させましたが
 地震の規模(M 9.5)から見ればそのくらいあって当然といった感じなんですね。
 スマトラ沖地震の方は、当初NEIC(USGSとか)がM 8.5と発表し、M 8.7、M 8.9、M 9.0と
 修正を重ね、今ではM 9.4 (これはNEICの発表ではない)と評価されています。実に速報値の
 23倍になった訳ですが、この大修正はスマトラ沖地震が津波地震だったからこそあったんです。
 津波地震の地震波は普通の地震と比べ長周期成分が強く、短周期成分は弱いので
 普通の地震として短周期成分だけで評価した場合、規模が過小評価(M 8.5)され
 続く津波(Mt 9.1)に対応できなくなります。こういったのがまさに
 「断層運動の規模から想定されるより大きな津波を引き起こす地震」、
 恐ろしい津波地震だと言えるのだと思います。

 # 東海、東南海、南海地震の想定震源域で津波地震というのは聞いた事がないです。
  津波地震ではなく普通の地震だというのは同時に短周期成分の強い
  破壊的な揺れをもたらす地震だということでもありますね…。
 # 日本近海で起こった津波地震は明治三陸沖地震が有名です。
  この地震が揺れ(最大震度3程度)では想像もつかないような津波(54mもしくは38.2m)
  をもたらしたのに対し、昭和に起きた昭和三陸沖地震は津波地震ではなく、
  強い揺れ(最大震度5強程度)と23mの津波が記録されました。

地震動
 地震動の強さの指標は震度の他にもいくつかああって、
 例えば、PGAを地動最大加速度、PGVを地動最大速度、I instrを計測震度として
 兵庫県南部地震によるJR鷹取駅の地震動は PGA 742.7Gal、PGV 161.9Kine、I instr 6.49
 新潟県中越地震による川口町の地震動は  PGA1670.4Gal、PGV 147.1Kine、I instr 6.51
 というように表す事ができます。それぞれの指標について、どちらが大きい、
 どちらが小さいと言うことができるんですね。それぞれの特徴は以下のようになっています。

 ・PGA 単位Gal 1Gal=1cm/s^2
  人間が最も敏感に感じる0.1-0.3秒の周期帯の地震動を表すのに向いている

 ・I instr  (この値を各震度階級に割りふる)
  人間の体感、室内物品の動き、大型の家具の移動、転倒などを
  引き起こす0.1-1.0秒の周期帯の地震動を表すのに向いている

 ・PGV 単位Kine 1Kine=1cm/s (何かよくわからないけどK-netによるとKineは廃れてきてるらしい)
  建造物の大被害、倒壊を引き起こす1.0-2.0秒の周期帯の地震動を表すのに向いている

 このことから分かるように、体感に焦点を当てるのならPGAを用いて地震動を評価るのがよく、
 また建造物の被害、倒壊に焦点をあてて地震動を評価するのならPGVを用いるのがいいです。