規模の限界
過去1000年間のうち日本周辺で発生した最大級の地震が宝永地震(Mw 8.6)や三陸沖地震(一説にMw 8.5)
であるように、日本周辺はM 9.0のような「超巨大地震」が発生しにくいところです。
これはマグニチュード(Mw)が震源域の広さ、最大変位量などで決まるため、Mw 9.0のような地震は
広い震源域を必要としますが、日本周辺はプレート境界が複雑なためこれが確保できないためです。
Mw 9.0を越える地震は主にプレート沈み込み境界で、境界がシンプルな
アリューシャン海溝(アラスカ地震Mw 9.2)、アタカマ海溝(チリ地震Mw 9.5)
スマトラ島西部周辺(スマトラ沖地震Mw 9.4)などで発生し、このような地震は
断層破壊がゆっくり起こる津波地震となるケースが多いため激烈な揺れを伴わないことがあります。
日本周辺のプレート境界
プレートの分布(2003年)
http://element.ess.ucla.edu/publications/2003_PB2002/Figure_01.gif 詳細(4.3MB)
http://element.ess.ucla.edu/publications/2003_PB2002/PB2002_wall_map.gif プレートの分布を簡約した図(Hi-net)
http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/PNG/fig4.9.png 日本付近には首都圏から北にオホーツクプレート、首都圏から西にアムールプレート、
九州の南西に揚子江プレートと沖縄プレートがあり、
オホーツクプレートは北アメリカプレートの一部。
アムール、揚子江、沖縄プレートはユーラシアプレートの一部と説明されることもあります。
ただしアムール、揚子江、沖縄プレートを北アメリカプレートやユーラシアプレートの一部として
考えるのは無理があり、時代遅れのモデルと言わざるをえません。
南海地震・東南海地震・東海地震 活動年表(修正3版)
規模 間隔 活動区間
0684-11/29 白鳳地震 Mw 8.0+ .---年 12 or 123 (不明確)
0887-08/26 仁和南海地震 Mw 8.0-8.5 203年 12 or 123 (不明確)
1099-12/17 永長東南海地震 Mw 8.0-8.5 .212年 2 or 23 (不明確)
02/22 康和南海地震 Mw 8.0-8.3 212年 1 (不明確)
1185-08/13 文治地震 Mw 8.0+ 86年 123 大規模(不明確)
1361-08/03 康安南海地震 Mw 8.0-8.5 176年 12
1498-09/20 明応地震 Mw 8.2-8.4 137年 123
1605-02/03 慶長地震 Mw 7.9 107年 123 小規模
1707-10/28 宝永地震 Mw 8.6 102年 123 大規模
1854-12/23 安政東海地震. Mw 8.4 147年 23
12/24 安政南海地震 Mw 8.4 147年 1
1944-12/07 昭和東南海地震 Mw 7.9 090年 2 小規模
1946-12/21 昭和南海地震 Mw 8.0 092年 1 小規模
2006年1月1日現在 活動間隔 最新の活動 30年発生率 想定規模
南海地震. 90.1年 60年前 50%前後 Mw 8.4
東南海地震 86.4年 62年前 60%程度 Mw 8.1
東海地震. 118.8年 152年前 86%以上(参考値) Mw 8.0
活動区間 … 1[南海] 2[東南海] 3[東海]
活動間隔 … 長期評価結果平均発生間隔。
文治地震 … 1200年頃の地震はこれが最も有力なようですが、確定してはいません。
.とりあえずここでは文治京都地震と同日にあたるという説を採用します。
間隔 … 前の地震から経過した年数。
・1100年以前の地震は活動間隔と合わないため、まだ見つかっていない地震があると考えられます。
・南海地震、東南海地震は活動間隔まであと30年ほどありますが、東海地震はすでに30年超過しています。
(なお、前回の昭和東南海地震、昭和南海地震は比較的小規模です)
・不明確な地震を除いて、1361以降たった645年間の記録で
「東海地震が過去に単発で発生した例はない」と言い、単発説を否定しますか?