強震動総合

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52 ◆QuakerATNI
【地震波】
地震動を引き起こすのは主にP波、S波、L波、R波の4種類の地震波で、
P波とS波は実体波と呼ばれ震央付近を強く揺らし、
またL波とR波はあまり減衰せずに震央から遠く離れたところまで到達し
マターリとした揺れをもたらします。

P波のPはPrimary(最初に到達する)の略、S波のSはSecondary(2番目に到達する)の略で、
地震動はまずP波の到達によって始まり、次にS波の到達によって急激に大きくなります。
# P波が到達してからS波が到達するまでの揺れを初期微動、S波が到達した後の揺れを
 主要動と言ったりするけど、これはあまり重要じゃないかな、うん。

 余談になるけど、秒を英語でSecondというのは、1時間を60等分して1分(minutes:小さいもの)
 さらに2回目の60等分を行って1秒(second:2回60等分したもの)という意味があります。
 実際やったのは、古代メソポタミアの人なんだろうけど。(何で英語に反映されてるのかは知らない)

地震波┐実体波┐  .…震央から100kmくらいまでを強烈に揺らすのはこいつら
     │     │
     │     │P波…プライマリー波。縦波、粗密波の事。SP変換波なども同じ性質です
     │     └S波…セカンダリー波。横波、せん断波の事。PS変換波なども同じ性質です
     │           断層破壊はせん断破壊なので、地震波のエネルギーの大部分は横波
     │
     └表面波┐  .…両方ともS波より遅い。やたら遠くまで届く。
           │
           │L波…ラブ波。水平動をもたらす。
           └R波…レイリー波。水平動と上下動の両方をもたらす。

【実体波は必ず真下から来る】
表面波は地表を伝わるので、観測者のいる場所に水平にやって来ます。
では、実体波(P波とS波)はどうでしょうか。
実体波は常に、ほぼ完全に、真下からやって来ます。

P波の速度(Vp)とS波の速度(Vs)の関係はVp=√3Vsで、
P波の速度は花崗岩などの基盤岩類を伝わる時に6.1km/sくらい、
沖積平野の堆積層では300m/sとか、200m/sとか、そのくらいになる場合が多いです。
地震波を伝える層によってめちゃくちゃ速度が異なるんですね。
このことによって、地震波は地表に到達する前に物凄い屈折をします。

入射角をθ1、屈折角をθ2、入射波の速度をv1、屈折波の速度v2をとすると
sinθ1/sinθ2=v1/v2(スネルの法則)ですから、
例えば入射角60゚(水平面から測って30゚)で基盤岩類(Vp=6000m/s)から
堆積層(Vp=200m/s)に入ってくるP波の屈折角は1.5゚程度、
ほとんど垂直になって地表に向かってくるんですね。(sin60゚=0.866、sin2゚=0.035)
# 2つの層に単純化してますが、もちろん屈折は地表に近づくにつれ徐々に起こります。
# 入射角、屈折角は法線(垂線)から測ります。

P波は地震波の進行方向と同じ方向に振動する縦波なので、真下から来れば
その揺れは純粋な縦揺れになり、遅れて到達するS波は地震波の進行方向に
直交する面内で振動するため、これも真下から来れば純粋な水平動になります。

そして、屈折する際にP波の一部がS波になったり(PS変換波)、
S波の一部がP波になったり(SP変換波)するのが変換波。
SP変換波は主要動の縦揺れのメインになります。