1 :
M7.74:
【病気?】地震ノイローゼ スレにて地震に関する小説を連載されていた方がいましたが、
その連載についてスレ上で賛否両論だったので立てました。
地震やその災害にまつわるオリジナル小説を載せるスレです。
・テーマは地震、また関連の災害についてです
・識別のため、作者の方はペンネームとトリップつけたほうがいいかもです
・長い文章は何回かに分けたほうが見やすいかもです
ここで連載された小説に関する感想もドゾー
【病気?】地震ノイローゼ
http://live18.2ch.net/test/read.cgi/eq/1124708619/
2 :
M7.74:2005/09/29(木) 00:14:35 ID:YiteXgsn
2
3 :
M7.74:2005/09/29(木) 00:33:02 ID:TRctTFFA
また糞スレか。
明日には削除依頼されてるな。
4 :
M7.74:2005/09/29(木) 06:05:12 ID:AWmDbBOG
良スレを目指して提案。
まず、共通の規模や場所、時間などの条件を出して、
その模擬的な地震について複数の人間がシュミレーションとして
小説を書くと面白いと思うのだが・・・
もちろん各個人の、実際の生活を基にして書く。
条件の例
【震源:東京湾北部】
【規模:M7.3】
【日時:200X年2月28日夕方6時】
参考
ttp://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/shutochokka/13/shiryo2-2.pdf 一週間を一時間と見立てて書いていくっていうのも面白いかも。
今週は地震発生までの1時間。来週は発生後の1時間。というような。
まぁ、トリつけてエントリーする人間が少ないorいないとどうにもならんわけだがOTZ
5 :
M7.74:2005/09/29(木) 23:54:57 ID:5ZmrHXmm
>>4 頭良すぎw そこまで思いつかなかった。
でも条件を深くまで設定しないと情報が錯綜しそうだってのはあると思う。
とりあえずそれはスレの流れがのって来てからってことで、とりあえず長編小説キボンヌ。
6 :
M7.74:2005/09/30(金) 23:51:43 ID:yVlEeFYH
7 :
M7.74:2005/10/01(土) 09:49:59 ID:N/hESv4j
8 :
M7.74:2005/10/01(土) 10:06:22 ID:suJChlG2
このスレは今から【ガクブル】地震シュミレーション小説スレ【全員参加】
になります。
9 :
M7.74:2005/10/01(土) 10:31:42 ID:suJChlG2
10 :
M7.74:2005/10/01(土) 15:06:52 ID:PZZZnmfF
普段から、ガクブルしてるんです、、、たぶん、我が家だと、こうなるだろうと。
かましていいですか?
11 :
M7.74:2005/10/01(土) 15:32:21 ID:PZZZnmfF
場所:東京、杉並
発生時刻:午前9時
マグニチュード、震度:不明
いつも変わらない、朝。
旦那と二人で、午前6時半から朝食を食べながら、朝の番組を見ていた。
「今日もいい天気だから、会社にバイクでいけるね。」
「電車だと、めんどくさいから、ここんとこ天気よくっていいよ」
いつもの会話。
そこで、昨夜、私が、興味深深で見た「みのもんたのSOS!東京があぶない」
の話を、ちょっとした。
「10月があぶないんだってさぁ〜〜。二人バラバラだったら、私は、
裏の小学校に避難してるから、あ、あと災害伝言ダイアルね!聞いてよ!」
「OKわかってるよ。で、歩いて帰ってくればいいんでしょ?」
「うん、きをつけてよおお・・・!」
なんて会話。
普段もたまにするから、別に、何も変わらない、一日の始まりだ。
午前8時、旦那を送り出す。
私は、朝食の洗物をすませ、新聞読んだり、PCをたちあげたりしながら、
天気がいいから洗濯をしようと、ベランダに出た。
洗濯かごを、部屋のベランダぎりぎりに置き、洗濯物を、洗濯機に放り込む。
スタートボタンを押した、、、
そのとき、、
足元が、ぐらりと揺れた。ベランダから室内を見ると、テレビの乗っかった
エレクターがありえないほど、前後に揺れている。
もう、立ってはいられない。頭を、バカの一つ覚えのようにまもってしゃがむ。
しゃがみこんで、足の間に、頭隠してるから、周りなんて見えない。
ただ、ただ、室内、外から、聞いた事も無いような、激しい音が聞こえ
自分も、転がるように、じっと我慢していた。
「収まった??来た、、大地震だよ、、これ」一人でつぶやく。
室内はめちゃくちゃ。足の踏み場が無い。
「あ〜〜どうしてスリッパを私んちは、つかわなかったんだ〜〜」
後悔した。
TVは、無残にも、裏側を見せて落下していた。音は何も聞こえてこない。
「つけっぱなしだったのに、、、」
PCは、床に落っこちている。確認する気にもならない。
買ったばかりの、冷蔵庫が、開閉部分を下にして倒れてしまっている。
台所は、食器が散乱。きれいにガラスが、一面に、ちりばめてあるみたい。
見渡せば、そんなで、ベランダから、室内にはいれない。
外が騒がしい。マンションの4階から見る景色は、さっきまでの物とは
別物になっていた。
煙が上がっているのが見える。目の前の、青梅街道は、災害時通行止めになるはずなのに
車が、クラクションを、ガンガン鳴らしながら、走っている。目の前の、古い商店が、
ぺしゃんこに、潰れてる。コンビニの看板が、、、無い。
「どうしよう、、部屋に入らなきゃ」
12 :
M7.74:2005/10/01(土) 15:59:21 ID:r2RsuI5/
場所-東京
日付-11月6日
M7.0
震度6強
ある夜.がががと建物が揺れだし.本の数秒で全壊した。
この家には若い夫婦が住んでいた。二人は瓦礫の下で即死。
13 :
M7.74:2005/10/01(土) 16:02:33 ID:r2RsuI5/
続き
妻は生き返った。
14 :
M7.74:2005/10/01(土) 17:09:56 ID:suJChlG2
>>11 続編が出るんだったらトリップつけてもらえると有難い。
15 :
M7.74:2005/10/01(土) 17:14:45 ID:PqRwSzPT
↓ダダ
∧ ∧
|1/ |1/
/ ̄ ̄ ̄`ヽ、
/ ヽ
/ ⌒ ⌒ |
| (●) (●) |
/ |
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{ |
ヽ、 ノ |
``ー――‐''" |
/ |
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.| | | |
.| し,,ノ |
!、 /
ヽ、 / 、
ヽ、 、 /ヽ.ヽ、
| | | ヽ.ヽ、
(__(__| ヽ、ニ三
16 :
M7.74:2005/10/01(土) 17:15:21 ID:PqRwSzPT
↓ダダ
∧ ∧
|1/ |1/
/ ̄ ̄ ̄`ヽ、
/ ヽ
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| (●) (●) |
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ヽ、 ノ |
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(__(__| ヽ、ニ三
17 :
M7.74:2005/10/01(土) 17:15:53 ID:PqRwSzPT
↓ダダ
∧ ∧
|1/ |1/
/ ̄ ̄ ̄`ヽ、
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ヽ、 ノ |
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ヽ、 、 /ヽ.ヽ、
| | | ヽ.ヽ、
(__(__| ヽ、ニ三
18 :
M7.74:2005/10/01(土) 19:02:01 ID:PZZZnmfF
続きいいですか??
着ていた、トレーナーの袖で、手をくるみ、とりあえず、目の前の、
もう、わけわかんない、物を押しやって、3歩部屋に入る。
携帯が、落ちていた。無傷みたい。ラッキー。
時間を見ると、午前9時25分。私、何分、ベランダで、呆然としていたのか?
地震の発生は何時なのか?わからない。
でも、旦那は、バイク走行中に、地震には遭遇していないだろう、、
少しほっとする。さっそく、災害伝言ダイアルを使って、無事を知らせよう。
「??」ハァ??圏外??って、え〜〜〜??災害時使えるんじゃないの?
携帯を持つ手をあっちにしてもこっちにしても、電波が立たない。
「まいったなぁ〜〜どーゆーことよ??」
とにかく、部屋の破損がどのくらいか知るのが、先??
洗濯機の中から、びしょぬれの、タオルを二本取り出し、スリッパがわりに
足裏にまきつけ、部屋に踏み込む。
「台所で、やられてたら死んでいたな」怪我をしないように、
もはや、なんだったかわからない物を、どけて、玄関にむかう。
「いたたっ」右足の裏を、何かで切ってしまったみたい。
タオルが、血に染まっていく。
でも、このくらいでは、ひるんでられない。
散乱した玄関から、スニーカーを一足、つまみあげ、靴の中身を確認する。
危ない物が、入ってはいなさそう。
血が付くけど、しかたない。履いた。
そして、玄関の鍵をあけようと、鍵にてをかけた。
「???」回らない。「開かない!!」
「ちょっと〜〜〜!!」「だれかぁ〜〜」怖くなってきた。
ようやく、怖くなってきた。
私、一人じゃん!!
「だれか〜〜〜〜〜〜〜!!開けて!!」
玄関の扉を、叩く、叩く。叫ぶ叫ぶ。
誰も反応してはくれない。
「嫌だよ。出たいよ。無理だよ。しんじゃうよ!!こわいよ!」
そうだ、ベランダから、助けを呼ぼう。
よかった、、、ベランダを開けてるときで、、、
瓦礫の山と化した、部屋を、今度は、靴で、踏みつけながら、
ベランダに戻り、身を乗り出し、思いっきり叫ぶ。
「だれか〜〜お願いです!!玄関が開かないんです!!出られないんです」
でも、下の道は、青梅街道。さっきとちがい、救急車、消防車、パトカーなどの
車が、大きな、アナウンスをしながら走行している。
人も、けっこう、歩いている。でも、喧騒がひどくて、気がついてもらえない。
「あ〜〜〜だれか!!」声の限り、叫ぶ。
ようやく、一人の男性が、上を向いてくれた。
「あっ!!お願いです!!403号室なんです!!出られないんです!
閉じ込められちゃったんです!!助けて!!」
その、男性が、首を横に振っている。
「???何」
大きな声が戻ってきた。
「このマンションの、入り口のが崩壊してて、入れないよ!!!」
え〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
ちょっと待ってよ。あぁ、たしかに、このマンションは、1F部分が、
ピロティになっていて、自転車置き場になっている。
たしか、ピロティは、地震に弱いと聞いたような気もするけど、、
もう、男性は、いなかった。
「生きてるだけましなの??それよりこの地震は、震度いくつで、
東京はどうなちゃったの??旦那は?ママは?妹は?みんな無事なの??」
泣いてる場合じゃないのに、涙があふれてきた。
携帯の時刻は午前10時を回っていた。
19 :
M7.74:2005/10/02(日) 08:03:59 ID:H+hPePCi
つまらないでしょうが、妄想は続くのですみません、、、
つながらないのを承知で、携帯でTELをしまくってみる。
やっぱり、圏外。殺意さえ覚える。
そこで、ようやく、気がつく。
さっき、男性が「入り口が壊れてる」って言ってたっけ?
座り込む体が、なんとなく、傾いている、、マジ??
確かに、古いマンションだけど、、、倒壊しちゃうの??
どうしよう!!
外の様子から、情報を得るしかない。緊急自動車ばかりが、騒がしく
走っている中、区の広報の車が通りかかった。アナウンスしている。
夕方6時に鳴る、メロディ使って、情報流せないのかしら??
区役所壊れたの??あんな立派なのに、、、
「この地区の方は、杉並第○小学校、又は杉○中学にすみやかに避難してください」
と繰り返してる。
避難がやっぱ、必要なくらいの地震であることは確か。
煙があがっているのはみえるけど、火はみえない。倒壊した、前の家の人たちが
何かを探すように瓦礫をひっくり返している。
それより、コンビニはひどい。人が、手に手に、お菓子みたいのやら、ペットボトル
持って、次々に出てくる。あと、見渡す限りは、けっこう立派なマンションなので
変わりなく見える反面、女の人が、おおきなリュックや袋を抱えて、移動している。
そして、嫌なのは、なんとなく、きな臭い、、埃っぽい、、でも、ベランダを
閉めてしまうわけにはいかない。
また、チャレンジしてみる。
「誰か〜〜すいません!!閉じ込められて出られなくなりました!!
助けてくださーーーーい!!」
「この地震で、東京はどうなったんですかぁ〜〜〜??」
なかなか、誰も返事を返してくれない。
何分そんなことを、していたか?
若い女性が、「そこ、あぶなそうですよおお!亀裂がひどいですおよおお」
「この地震は、東京震度7だよ!!中野あたりは、ひどい火事らしいよ。
電車も何もまったく動いてないし、電気もガスも出ないでしょ??
まったくまいったよね。はやく、レスキューが来るといいね〜〜〜」
震度7かぁ、、、来ちゃったんだ、本当に。中野が火災かぁ、、
こっちまで、火災旋風とやらがきたら、どうしよう??
えっ??そういえば、電気もガスも、、出ない。もちろんそうだろうけど、、
ひっくりかえった、コンポのラジオをつけてみた。反応なし。
ちっ!コンセントつながってるのに。。。
TVも無理。情報収集何にもできないじゃん!私。
どうして、日頃びびってたのに、携帯ラジオくらい用意しなっかんだ??
激しく後悔する。
そうだ、水!!ラッキーなことに、台所にストックのミネラルウォターが2本
転がっている。でも、いつ、ここを出れるかわかんない。
蛇口をひねる。よしっ!水が出る!!あらゆる容器に水を入れ、
風呂に水をためた。が、しばらくして、出なくなった。
マンションのタンクが空になったってことかな??はぁ〜〜。
平日のこんな時間、このマンションには、私以外、誰もいないのかもしれないけど
せっかく、日頃から、お隣さんと仲良くしておいたのに、この時間じゃ
どうにもなんない。お隣は、共働き。夕方までは、私に気がついてくれない。
反面、いつかは、戻るだろうから、そうすれば、助かる!!
ひどい惨状の部屋に、かろうじて、歩けるスペースを作り、食料を探す。
乾物ばっかり、、わかめ??干ししいたけ?カップラーメン??お湯なきゃ
食えんよ、、、あ、ツナ缶。アンチョビ!レトルトのスープ!!
冷蔵庫が、開ける部分を下にして寝てしまったので、冷蔵庫の中身が
期待できない今、これだけあればなんとかなる!!
そう思ったら、右の足の裏が、また痛く感じてきた。
携帯使いたいけど、電池がもったいない。
お守りのように、ただ、握り締める。
「いつものように鳴って!!」
20 :
M7.74:2005/10/02(日) 12:31:12 ID:p4Nkficz
。
21 :
M7.74:2005/10/02(日) 14:17:23 ID:fAQX4IRj
とにかく、とにかく出なくちゃ…。
額から汗が吹き出ていたのにも気付かないほど、焦りまくる。でも足裏も痛い。
見たら血が滲みまくり。少し止血しなくちゃ。
包帯どこだったっけ。みののTV見たときに、確認ぐらいはすれば良かったな。あーもう。
んー、がさつな性格に頭が来る。
あ、サランラップだ。なんとか使えるかもしれない。
消毒は…あ、この間スピリタスもらってたから、あれはアルコール度高いのよね。
とりあえず台所にあった晩酌用のウォッカにちょっとだけ足を浸し、サランラップを巻き付ける。
濡れたままの靴下を2重にして履いた。
とにかく出なくちゃ。入り口はこのドア…。
ふと女友達で大親友だった律子のことを思い出す。律子は
「アタシこれから死ぬから」
と絶叫しながら携帯にメッセを残していたことがあった。アタシは胸騒ぎがして駆けつけたんだった。
律子の玄関をガンガン叩いても反応がない。
ヤバい予感がした私は、となりの家に頼んで、強硬突破。
律子の部屋の窓をぶち割って、仮死状態だった律子を助けたことがあった。
なんだか「ダイハード」みたいに必死だったわよね。
ん?隣の部屋?
うちから出られないなら、もしかしたら…。
22 :
M7.74:2005/10/02(日) 17:00:00 ID:M+ZT5y4U
h
23 :
M7.74:2005/10/02(日) 17:01:43 ID:AFPcnq1O
支援。
ただ、スピリタスはとても飲めなかったよ (´・ω・`)
24 :
M7.74:2005/10/03(月) 02:31:52 ID:DETcEj11
続きいいですか??(律子ネタいただきます)
こんな時に、律子のことを、思い出したのがよかったのか?
ベランダ出れるんなら、仕切り破って、隣にいってみればいいんじゃん!
ナイス!私!
あんまり、どたばた動いて、マンションが倒壊すると困るけど、そんなことは
言っていられない。確認すると、
なんだよ、、、くっそ〜〜〜〜!!右隣しか、破れないようになってる。
今まで、気がつかないなんて、、、私、バカすぎる!!
しかも、右側には、洗濯機が斜めに傾いて、仕切りを邪魔してる。
冷蔵庫に比べれば軽いだろう、、、良かった、、1年前から、空手初めて。
少しは、筋力あるだろうし、火事場のバカ力ってこんなとき出るんだよね。
洗濯機を抱え込み、右足がちょっと、ラップのせいですべるけど、
思いっきり、動かしてみる。
できた、スペースが。
体当たり!!!!右肩から、思い切って、ガンガンと体当たり。
玄関とはちがって、5回ほどで、破れた。
やった!!さすが、非常用!!
勝手に、お隣のベランダに侵入するのは、気が引けるけど、非常事態。
それも、最大級の。
きっと、きれいに、並んでいたであろう、鉢植えやプランターが、無残な姿になっている。
どこも、一緒だ。
でも、青梅街道に面した、我がマンションは、騒音防止の二重サッシ。
ずーさんは、几帳面だから、カーテンまで閉めて、もちろんロックされている。
開かない、、、がっかり、、orz。
プランターや、鉢植えの土にまみれて、小さな、ロッカーみたいのが、
転がっている。「???」
人のうちのもの、いじるのも、本当に、申し訳ないけど、やっぱ、緊急。
以外に軽くて、立てる事ができた。
鍵は?かかってない!あけますよ〜〜いいですよね〜〜??
すみません〜〜勝手にと、思いながら、手は、ロッカーの扉にすでにかかっている。
「もしや、、、これ、アウトドア用品入れだ!!」
手付かずの木炭の小さな箱、BBQ用の網、、、うわぁあああ、助かった!
少しほっとすると、この夏、何度も、旦那や、かおりや、ゆかり、、
沢山の友達と行った、幸せな、BBQ大会なんか、思い出しちゃう。
「いつも、飲んでばっかいたよなww。私」
25 :
M7.74:2005/10/03(月) 15:36:12 ID:qNPw8r6w
up
26 :
M7.74:2005/10/03(月) 17:03:07 ID:dFrmlR2r
作者さんご苦労さま。
ハンドルネームつけていただいたほうが読みやすいです。(・∀・)
27 :
M7.74:2005/10/03(月) 23:31:45 ID:xnYrmWRp
律子ネタ生かしてくれてサンクス。
っって思い出に浸っている場合じゃないって。
ちと待てよ。アウトドア好きってことは…。
ごそごそごそ。
やっぱり。鉈が出てきた。斧とか出てきても使いこなせないし。タイタニックじゃないしなぁ。
二重ガラスとはいえ、ゴム部分狙っちゃえ。お隣さん、ごめんです。
割りまーす。
28 :
黒猫:2005/10/04(火) 01:25:42 ID:g3zCntVU
僭越ながら、ハンドルつけさせてもらって、続き書いたのに〜〜
改行が大杉ますって、、、ひどい!!
明日、気を取り直してかきます。
駄文読んでくださってる方、ありがとうございます。
律子ネタ、たまに、入れてくださいな。
明日、黒猫いきまーーーす!
29 :
黒猫:2005/10/04(火) 13:30:43 ID:g3zCntVU
思い出になんか浸っていて、ふと気がつくと、青梅街道が騒がしい。
人の泣き叫ぶ声、怒鳴り声、救急、消防??なんだか沢山人がいる。
ああ、あのぺしゃんこに、なった家から、死者がでたんだ、、、
こんな光景が、東京中で、繰り広げられてるのかしら??
私は、死なない!絶対、助かってみせる!!
気を取り直して、さらにロッカーをあさると、錆びた斧?みたいのが
出てきた。きっと薪かなんか割るのに使ったんだろう。
「よし!いける!これで、サッシを叩き割ろう!」
網戸が邪魔!かたむいてるせいか?動かない。
斧で破る。で、クレッセント錠付近を狙って、斧を振り下ろす。
がっつん!がっつん!初めての手ごたえ。怖い、なんだか。
なかなか、割れない。手が汗でヌルヌルしてきた。
がっつん!がっつん!ひびが入って、へこんだ!!
よしっ!空手習っていてよかった。こっからは、正拳で、割ろう。
拳を叩き込む。いった〜〜〜〜い。でもなんとか、手が入る隙間ができた。
一つ目の鍵を開ける。もう一枚、、、穴がせまい。
しかたないので、斧を逆さに持って、持ち手の部分を、二枚目のサッシに
付きたてる、何度も何度も。手が滑って、斧の刃で、手を切ってしまった。
イタイ、、痛すぎる、、凄い血だ。
くっそ〜〜〜〜〜〜!!
火事場のバカ力が、効いたのか?ようやく、穴が開いた。
二つ目のクレッセント錠をあける。わ〜〜ぁ、あたりが血まみれ。
どうやら、傷は深いみたい。
「すーさん、勝手に入るよ、ゆるして」
サッシに手をかける。が、悪夢だ。こんなに頑張ったのに、
マンションが傾いてるせいで、開かない、開かない、入れない!!
ボロボロの私は、しばし、座り込む。
どうしたらいいの??1年ちかく、2ちゃんの、地震板ロムっていたんだから
なんか、いい知恵なかったっけ??
あ〜〜雲がおかしいと地震が来るんだっけ?赤い月?みみず大量?
カラスが鳴きまくる?ちがうちがう!!こんなんじゃない!!
もっとサバイバルなこと、思い出せ!私!!
血まみれの手を見つめて、考える。
ふと、携帯を見る。まだ圏外だ。
もう12時半になっていた。
30 :
M7.74:2005/10/04(火) 16:12:42 ID:RsA83Ay4
↑
31 :
黒猫:2005/10/04(火) 22:17:20 ID:g3zCntVU
駄文失礼します。続きいきます。
手、イタイ。とりあえず、自分の家に戻る。
相変わらず、ひどい状態だ。まあ、勝手に元通りになるわけないか、、
コップに汲んでおいた水で、傷を洗う。
ずいぶんと、ぱっくりと開いてしまっている。痛いわけだ。
包帯のありかも、今やわからない。
スピリタス消毒いきまーーーす!!
し、、、しみる。で、ガムテープを探し出せたので、傷をくっつけるように
巻きつけた。
喉が、かわいた。ペットボトルの水に手をつけてしまった。
できるだけ、ゆっくりと、少しずつ、飲んだつもりなのに
1.5?のボトルの3分の1は飲んでしまった。
ホントバカ。私。
さあ、夕方、マンションに人が戻ってくるまで、がんばるぞ!!
情報がほしい。幸いにも天気がいいから、部屋の電気もつかなくっても
まだ、大丈夫。でも、TVも、コンポも、PCもTELも、、電気って偉大なんだ。
何にも使えない。ラジオ付の携帯にすればよかった。
しかたない、外に向かって、聞き出そう。
ベランダに出る。
「すみませーーーーーん!!閉じ込められてます!出れないんです!」
「今、何がどうなっているんですか??誰か教えてくださーーーい!」
何度も何度も叫ぶけど、行きかう人は、ちらっと、見るだけで、
元気そうな私のことなんか、気にしてくれない。
「ああ〜〜マスゴミなんて馬鹿にするんじゃなかった」
知りたい、、、東京がどうなったのか??
だんなの会社は無事なのか??新宿だよ??本当に大丈夫?
ママは?渋谷だよお、、平気なの??
妹は、、、先日の、千葉北西部地震で、震度5弱が出た、横浜中区。
ここよりひどいんじゃ???
ああ、メディアをこんなに必要だと思うなんて、久しぶりだ。
どうにもならない。無駄に体力使うのはやめよう。
少しでも、部屋をかたづけよう、、、
よろよろと、行動を始める。
あ、、、トイレ行きたい。
いやーーーな予感は的中。
トイレの扉は、ぴくりとも、動いてくれない、開かないのだ。
家にいるのにいいい、、、最悪だ。
32 :
M7.74:2005/10/05(水) 12:38:09 ID:YTEULRU/
↑
33 :
M7.74:2005/10/05(水) 12:42:17 ID:3LhNm+rG
オムカエデゴンス
34 :
M7.74:2005/10/05(水) 12:54:18 ID:+jgiaF67
無駄に点が多い文体やめて。心底むかつくから。
35 :
M7.74:2005/10/06(木) 12:10:45 ID:40GtLOG1
あげときます
36 :
M7.74:2005/10/06(木) 14:14:05 ID:j320NFVT
>>28 あんた才能あるよ。
新たなコピペの誕生だなw
37 :
M7.74:2005/10/07(金) 14:43:57 ID:1yw5M61i
地震妻
38 :
黒猫:2005/10/08(土) 02:02:27 ID:hYO2iePe
>>34 すみません、、文才無いので。気をつけます。
どうしても、最悪の妄想がいっぱいあるので、もう少しお願いします。
続きいきます。
トイレ、、2ちゃんにあった。猫の砂。ペットシート。
我が家は、ぬこ様飼ってないよ、ハハハ。役に立たない。
紙おむつ、、残念。子供もいない。作っておきゃよかった。アハハ。
何笑ってんだろう?私。考えろ!!
新聞紙の束がころがっている。昔、ぬこを飼っていた頃、新聞紙を
ビリビリ破いて、トイレにしてたのを、思い出す。
!!それだ!!
部屋中ひっかきまわすと、45リットルのごみ袋が出てきた。
誰も見てはいない。袋に、ビリビリに破いた、新聞紙を山のように
詰めてみる。
ちょっとはずかしかったけど、そこにした。すっきり。
ぎゅーーーっと、口をしばる。これならただのごみにしか見えないな。OK。
幸い、クリネックスの箱も、発見できたし。生理じゃなかっただけ
幸せかもしれない。
よし、部屋をかたそう。
重いものは、無理だけど、足の踏み場を作ったり、とにかく使えるものが
探し出せるかもしれないし。
足、手、痛いけど、我慢、我慢。
さあ、やるぞ!!と、その瞬間、、グラリ、、グラグラグラ〜〜!!!
マジ??まって!!怖い!!頭を抱えてしゃがみこむしかできない。
余震ってこんな大きいのくるわけ??
いやだ!死にたくないよおお!!どうか、このマンションが潰れてしまわないで!!
永遠かと思った余震も、きっと、1分くらいだったんだろう。
そっと、顔をあげると、また、いろいろな家具の位置が変わっている。
夕方になるまでに、こんなのが何回もこられちゃたまらない。
幸い、今、全く怪我しないですんだ。天井が落ちてきたわけでもない。
まだいける!!大丈夫と、自分を必死に励ます。
外が、めちゃくちゃ騒がしくなってる。なんだ??
ベランダに出ようとしたら、洗濯機が、ベランダのど真ん中に移動してる。
身を乗り出して、下を見れない。乗っかったら、落下してしまいそうだし、、
でも、理由はすぐわかった。
火災だ。目の前のマンションの、裏あたりから、猛烈な煙があがってる。
すごい、煙。人だかり。消防のサイレン。わけわかんない!!
絶対に、延焼されたら困る。燃えてしまったお家の人には悪いけど、
なんで、余震で火出すか??バカ??むかつく。
私だって、タバコ吸いたいけど、万一、ガスでも漏れてたらやばいと思って
我慢してるのに、、常識じゃない??
部屋の中まで、煙が入ってきて、煙い。たまらない。
だから、非常持ち出し袋には、マスク入れとけって、書いてあったんだな。
地震板をロムっていた、昨日までが、もうすでになつかしい。
あんな日に、戻れるのかしら。。。。。
ポケットから携帯を出して見る。
圏外は、相変わらず。ば〜〜〜〜か!!
時間はもう、2時になろうとしていた。
39 :
M7.74:2005/10/08(土) 02:32:00 ID:gYvQdXhs
期待
40 :
M7.74:2005/10/08(土) 02:34:31 ID:gYvQdXhs
補足:ガムテープは刺激性が非常に強いので
失血死するような緊急事態以外は使わない方がよかったはず。。。
41 :
M7.74:2005/10/08(土) 09:21:42 ID:wfa1QB81
>>38 支援。
読点については書き続けてりゃそのうち適正な感覚が分かってくるっしょ
42 :
M7.74:2005/10/08(土) 13:09:38 ID:G9VzrSVV
良スレage
43 :
黒猫:2005/10/08(土) 21:45:41 ID:hYO2iePe
本当に、私の勝手な怖いなぁと普段思っている妄想なのに、
暖かく、教えていただけて、とてもありがたいです。
おかしな点は、じゃんじゃん指摘してください。
本当に、もしものときに助かりますので。
よろしくお願いいたしますm(__)m
続きいきます。
普段、ものすごいヘビースモーカーなんだけど、火災の煙って、、
「ゴホッゴホッ」つらい、目も沁みる。だけど、ベランダは唯一の逃げ口。閉じる事はできないし
どうせ、傾いていて、閉めたくたって閉まらないに違いない。
咳と涙で、ボロボロになりながらも、余震前にしようと思ったことを
さっさとしようと、立ち上がる。風呂場にかけてあったバスタオル。旦那との二枚。
両手にぐるぐる巻きにした。手を、ほうきのようにして、台所の食器やら、なんやらわからないものの
散乱を、端っこにまとめる。おそろいだったマグカップも割れてた。
本当の涙もにじんできた。次に、リビング。
コレクションしていた飾り棚が、見事に倒壊してしまっていて、
足のふみどころがないって、こういうことってくらいだ。
でも、バスタオル巻いた手を見ると、なんだか、キラキラしてる。
危ないよな、ガラスいっぱい刺さってる。。。それで、また同じことやると、リビングに、ガラス撒き散らす事になるかな?
別のタオル探そう。寝室の扉に手をかけた。ああ、やっぱり。びくとも動かない。
ぐらっときたら、ドアを開けろ!!ってこういうことだったんだなぁ〜〜。
タオル置き場は寝室なのに、、、少し、踏み場のできた、台所を抜け、玄関へ。
開かずの玄関だけど、ほうきがあった!玄関を掃くほうきだから、汚いけど、しかたない。
リビングの、散乱したコレクション群はかわいそうでしかたないけど
ほうきで、端へ端へ、寄せていく。飾りだなは、思ったより軽かったので、どうかと思ったけど、もとに戻した。
落下した、TVは、持ち上がらない。無理。2台のPCだけは、デスクの上に戻した。
「壊れてなきゃいいなぁ」化粧品も無残。香水のビンが、、煙のせいでにおいもしないけど、、
なんだか、無傷のものが、ほとんどない。すっごくむなしい。
外も、うるさい!!!なんで、こんな目にあわなきゃいけないのよお!
私、普通に生きてきただけなのに、、悪い事、、、したけど、ちゃんと償ったし、どうしてだよ??
すっごく頭が混乱してきた。何してるんだかわからなくなってきた。
でも、いけない。冷静に。冷静に!!と、思いながら、手が動かなくなった。
疲れた、、、座り込んで、咳しながら、ボロボロ泣いた。
一人で大声上げて泣いた。誰かに聞こえてよぉお!!
いやだよ!一人は!!そのとき、携帯が鳴った。
!!!こんなに早くとったことがあっただろうか?ってくらいの早業で
出た。「もしもし!!!!」「ツーツー」「??」
もう切れてるよ、バカバカ氏ね死ね、○コモ!
着信は、「だーちゃん」だった。旦那だよ、、うれしいよ、かかって来るってことは、生きてるんだね。
よかった、よかった。また、涙がとまらなくなる。がんばらなくっちゃ。もう少しだ。
携帯の時刻は3時20分。暗くなる前に。できること総動員で、がんばるよ私。
幸い、私のマンションに延焼はなさそうだし。
でも、、、何人亡くなってるんだろう。
自分の事しか考えられない自分の小ささを、反省するものの
やっぱり、こんな時は、悪いけど、自分が一番大切。
次、旦那。涙が、煙のせいで、いたくってとまらないけれど、
そう、暗くなる前に、少し何か食べておこう。「はぁ〜〜乾物ばっか、ツナ缶、、、電車男かよ私。」
お箸も探すのめんどくさく、手で食べた。
なんだか、生臭い。手も汚いもんな。血生臭いし。油っぽい、ちょっと、水を飲んだ、少しづつ。
半分も食べられないまま、シンクに、缶を放り込んだ。手を洗う水がもったいない。バタベタで気持ち悪い。
さっき使った、バスタオルが目に付いたので、ガラスが付いていなさそうなところで拭ってしまった。
チックチク!!イタイ!!ヤバイ!!どうしよう!!こんなのの、繰り返し??早く誰か、助けて!!
私はここにいるんだよ!生きてるから!出して!!
44 :
M7.74:2005/10/09(日) 09:36:49 ID:4QeO+5Gb
ステルス昨日から公開 ダイナズム漏レチビリ
45 :
M7.74:2005/10/09(日) 13:24:36 ID:Uv0gWJRH
普段、地震板観ないけど期待age
46 :
M7.74:2005/10/09(日) 14:48:31 ID:4QeO+5Gb
ステルス本より
映画のダイナズムはすげーーぞ 端折りも多かったがすげーーぞ
パキスタンの大地震と映画公開日同日
関係な不吉予感汁
47 :
黒猫:2005/10/09(日) 21:20:24 ID:C6pIH/YR
パキスタンの地震もあって、怖いですね。
相変わらずの駄文、申し訳ないのですが、まだ、一日目なので
どうしても、続きます。すみませんm(__)m
ああ、目が痛い。沁みてしみてしかたがない。普段使い捨てのコンタクトを使っているのだけど、
コンタクトは、ご丁寧に、冷蔵庫に保管してある。持ち上がらない冷蔵庫。あけることはできない。
「コンタクトとりたいよ〜〜!!」でも取ったら、極度の近視の私には、致命傷。しかも、めがねは
寝室ときたもんだ。「だって、、、寝るところに、めがね置いておけって、、、2ちゃんに書いてあったか?
みののTVで言っていたか??寝てるときに、地震は来るってわけじゃねーーーんだよ!!」
一人で、毒づく。水で、せめて、目を洗いたいけど、手に、キラキラした物が、刺さってるし、、
しょぼつく目で、毛抜きを探したが、見つからないから、しかたなく、普段から、ケアをおこたらないでいた、
結構、自慢の爪先で、抜いてみようとやってみる。でも、その爪も、もはや、ものすごい汚さ。
大きめのガラスは、何個か抜く事ができたけど、なんだか、まだ、チクチク感が抜けない。
でも、手がチクチクするくらい、、、建物の下敷き、煙にまかれて、火災で、、、死ぬ思いするより
全然ましなんだ!と思いなおして、気にしないように頑張る事にした。でも、この汚い手で、コンタクトは
触れない。薬用石鹸ミューズのボトルは転がっているけれど、手を洗い流す水がもったいないし、、、
我慢だ。とにかく、水さえ、あれば、万一、今日、誰も助けてくれなくったって、何日かは、生き延びられるに違いない。
それに、救助されたときに、持ち出す物が、何も無い私。どーーーして、非常持ち出し袋を作らなかったのか?
激しくまたも、後悔するけど、今から、作ってやる!!またもや、TVの受け売り、2ちゃん地震板の知識を
総動員。「え〜〜水3日分、懐中電灯?ないし、、どこだ?着替え、、なんとか、出せそうだ。タオル、、、ない。
ロープ?何に使うかわかんないけど、空手の白帯がさっきあったな。ティッシュOKある。小銭、、財布!!どこだぁ??
そうそう、食料。まあ、避難所に行けば、お湯くらいわかせるんだろう。カップ麺がある。包帯だの三角巾だのって
よく書いてあったけど、今は探せない。自分の傷さえ、こんななんだもん。う〜〜んと、ナイフ!ぺティが
台所にあったな。でも、銃刀法違反になるのかなぁ??知らん。もってこう。すーさんちにあった、木炭も持っていこうか?」
とにかく、役に立ちそうな物を、目の前に並べていく。がしかし、、、なんだか、凄い量になってしまった。
入れる袋がないよ。涙涙。目が曇る。かっこわるいけど、45リットルのゴミ袋しかなさそうだ。
破れないように、慎重に入れていく。そのとき、外から、「黒猫ぉお〜〜〜〜〜〜!!」と女の声がする!
何度も呼んでくれてるみたいだ!!誰??
48 :
黒猫:2005/10/09(日) 21:20:56 ID:C6pIH/YR
パキスタンの地震もあって、怖いですね。
相変わらずの駄文、申し訳ないのですが、まだ、一日目なので
どうしても、続きます。すみませんm(__)m
ああ、目が痛い。沁みてしみてしかたがない。普段使い捨てのコンタクトを使っているのだけど、
コンタクトは、ご丁寧に、冷蔵庫に保管してある。持ち上がらない冷蔵庫。あけることはできない。
「コンタクトとりたいよ〜〜!!」でも取ったら、極度の近視の私には、致命傷。しかも、めがねは
寝室ときたもんだ。「だって、、、寝るところに、めがね置いておけって、、、2ちゃんに書いてあったか?
みののTVで言っていたか??寝てるときに、地震は来るってわけじゃねーーーんだよ!!」
一人で、毒づく。水で、せめて、目を洗いたいけど、手に、キラキラした物が、刺さってるし、、
しょぼつく目で、毛抜きを探したが、見つからないから、しかたなく、普段から、ケアをおこたらないでいた、
結構、自慢の爪先で、抜いてみようとやってみる。でも、その爪も、もはや、ものすごい汚さ。
大きめのガラスは、何個か抜く事ができたけど、なんだか、まだ、チクチク感が抜けない。
でも、手がチクチクするくらい、、、建物の下敷き、煙にまかれて、火災で、、、死ぬ思いするより
全然ましなんだ!と思いなおして、気にしないように頑張る事にした。でも、この汚い手で、コンタクトは
触れない。薬用石鹸ミューズのボトルは転がっているけれど、手を洗い流す水がもったいないし、、、
我慢だ。とにかく、水さえ、あれば、万一、今日、誰も助けてくれなくったって、何日かは、生き延びられるに違いない。
それに、救助されたときに、持ち出す物が、何も無い私。どーーーして、非常持ち出し袋を作らなかったのか?
激しくまたも、後悔するけど、今から、作ってやる!!またもや、TVの受け売り、2ちゃん地震板の知識を
総動員。「え〜〜水3日分、懐中電灯?ないし、、どこだ?着替え、、なんとか、出せそうだ。タオル、、、ない。
ロープ?何に使うかわかんないけど、空手の白帯がさっきあったな。ティッシュOKある。小銭、、財布!!どこだぁ??
そうそう、食料。まあ、避難所に行けば、お湯くらいわかせるんだろう。カップ麺がある。包帯だの三角巾だのって
よく書いてあったけど、今は探せない。自分の傷さえ、こんななんだもん。う〜〜んと、ナイフ!ぺティが
台所にあったな。でも、銃刀法違反になるのかなぁ??知らん。もってこう。すーさんちにあった、木炭も持っていこうか?」
とにかく、役に立ちそうな物を、目の前に並べていく。がしかし、、、なんだか、凄い量になってしまった。
入れる袋がないよ。涙涙。目が曇る。かっこわるいけど、45リットルのゴミ袋しかなさそうだ。
破れないように、慎重に入れていく。そのとき、外から、「黒猫ぉお〜〜〜〜〜〜!!」と女の声がする!
何度も呼んでくれてるみたいだ!!誰??
49 :
黒猫:2005/10/09(日) 21:22:04 ID:C6pIH/YR
二重カキコになってしまいました。
申し訳ありません。
50 :
M7.74:2005/10/09(日) 22:42:56 ID:THPbqY4/
gannbatte
51 :
M7.74:2005/10/09(日) 23:01:44 ID:hci+uJXs
好きなスレ
52 :
黒猫:2005/10/10(月) 10:21:07 ID:MWL+LMoy
夜遅くなるので、少しだけ、すみません。
位置が変わってしまったソファにけっつまづきながら、
ベランダに出る。身は乗り出せないから、真下が見えない。「誰〜〜〜〜〜っ??私いきてるよお!!
出れないの!!お願い出して!!」「わたしぃい〜〜かおり〜〜〜!!」かおりだ!!彼女は、近所で、
ネイルサロンのお店を出している。店はどうしたのか?今日は、定休日じゃないはず。
「今から、避難所に行くんだよ!途中だったから、呼んでみたのぉお」「店はぁああ??」
「めっちゃくっちゃだよ、とりあえず、バッグだけ持って、出てきたんだよ!!」「誰か連絡ついた??」
「お客様だけ、どうにか避難させて、ここまでで、何件か回ったけど、知ってる顔には会っていないのよぉ」
「怪我がひどい人とか、死んでる人、駅の方は、いっぱいだよ、、、、こわいよぉお」彼女も怖いんだ。
「ねええ!なんか、ラジオとか聞いた??東京はどうなったの??知らない??おしえてっ!」
「東京直下型の地震で、23区は震度7らしいよ。マグニチュードは7.いくつとか言っていた。
さっきの余震も震度5強あったんだってよお、東京近郊もやばいらしいし、もちろん電車とか、まったく
動いてないって!・・・・・」バラバラバラ〜〜〜と、ヘリの音がうるさい!!聞こえないでしょっ!会話が!
「だーちゃんと連絡とれたぁ??」「着信が一回あったけどすぐ切れた、でも、生きてるでしょ」
「○コモ使えないんだよ〜〜!かおりの○ダホンはどう??かかる??」「ダメダメ!!ぜんぜんだって」
ほんっと、携帯使えないなぁ、、、○ッジが、地震に強いって、2ちゃんに書いてあったっけ、、
「で、どーーーすんのよ??ここ、入り口崩れてるよっ!出れないよ!」「うん、さっき、通りがかりの人が
教えてくれたから知ってるけど、家の中も、相当傾いていて、玄関も開かないし、ベランダだけ、開けてるときに
地震が来たから、今、こーして、話が出来てる状態!」「長いロープないのぉ??」「ないんだよぉ、ベランダに
避難はしごがついてるような、高級マンションじゃないんだよっ!このボロっ!」そうそう、かおりの彼は??
「ねええ!けいちゃんは??」「たぶん、配達中か、営業所だったと思う、あの時間、、、」かおりの彼は、シロネコヤマト
の配達してるんだっけ。。少し沈黙が流れる。が、外の喧騒は相変わらず、私達の気持ちなんかお構い無しの騒がしさ。
「いいよ、避難所行きな!!早く!でさ、知ってる人探して、情報集めしてきて!私は、そのうち誰かが
ロープ投げてくれるよ!!」って、、カウボーーイかよww。梯子車なんか来てくれるかなぁ??
「とにかく、水もあるし、ちょっと怪我しちゃったけど、命に別状無しだから私!誰か、ここを出してくれる
力になってくれそうな人、探してきてよ!お願い!もちろん、かおりのことは最優先でやっていいんだからね!」
「わかったよ、じゃ、とりあえず、避難所がどうなってるかも知りたいし、行ってくる!なんかあったら、戻ってくるし
暗くなる前には、とにかくもう一回ここから呼ぶから!がんばっててよ!黒猫!!」と言い残し
彼女の声は聞こえなくなった。
53 :
M7.74:2005/10/10(月) 11:10:12 ID:sDWGDlI4
グッド
54 :
M7.74:2005/10/10(月) 13:54:54 ID:vskDA2f2
グッドならageよう
55 :
M7.74:2005/10/10(月) 17:14:35 ID:0OXZssXG
頑張って!
(`・ω・´)シャキーン
56 :
黒猫:2005/10/10(月) 20:32:13 ID:MWL+LMoy
こんな文章読んでいただけて、ありがたい限りです。
ちょっと戻ったので、少しだけ続けます。
大声出しすぎて、喉がいがらっぽくってイタイ。煙は少しましになったかな?
部屋に戻って、また座り込んでしまった。「でも、きっと助かる」一人でつぶやいた。携帯を見ると、午後4時10分
最近は暗くなるのが、早くなってきた。時間がない。真っ暗はいやだなぁ、、、ああ、一服でいいタバコが吸いたい。
かおりに会えただけ、よかったんだ。とにかく、非常袋!「えっと〜〜ラジオなんか、ないし。エマージェンシーブランケット?
だっけか?ないよ、んなもん。あ、電池入れだ!!こんなところに!電池は役に立ちそう、全部持っていこう。」
でも、とにかく、目の調子が悪すぎる。どうしても、コンタクトレンズ取り替えたいし、持ち出したい。
冷蔵庫を立ち上がらせるのは無理でも、扉側を横に向けるだけなら、横に転がせばいいから、出来るかも?
やってみよう。足を踏ん張るスペースがあまりない。足の裏も痛いし、玄関に行って、スニーカーを逆さにして
振り回し、中に何も入っていないのを確認して、履く。冷蔵庫の、扉の向きを確認する。「えーと、正面に倒れたわけだから
こっち側から、半回転させればいいんだ」いけっ!!う〜〜んう〜〜〜ん、お、おもい!!手の傷から
血がまた滲んできた。まだまだ〜〜〜!!いけーーーー転がれ!!ガッタンッ!やった!扉がこっち向いてる!!
57 :
M7.74:2005/10/11(火) 00:47:52 ID:4ejqNQBW
ガンガレ人妻
58 :
黒猫:2005/10/11(火) 02:07:28 ID:3SrOqW4d
>>57 ありがとうございますm(__)m叩かれるの覚悟で書いているんで本当に
うれしいです。今日は(昨日ですが)結婚記念日で、旦那と食事に行っていました。
飲みすぎましたww。明日、申し訳ないことに、まだまだ続きますので、
地震人妻黒猫がんがって書きます。よろしくお願いいたします。
59 :
M7.74:2005/10/11(火) 10:35:24 ID:j6zX3TQr
良スレなのでageます
60 :
M7.74:2005/10/11(火) 18:35:11 ID:xJ29V+rl
黒猫ぉ〜面白いよー
早く続き見たい
61 :
黒猫:2005/10/12(水) 01:20:48 ID:jJkgonSf
こんばんは。ようやく落ち着きましたので、続き行きます。
相変わらず、読みにくく矛盾も多いと思いますが、私の妄想なので
勘弁してやってくださいm(__)m
早速開けると、時期的なものか?まだ悪臭がするとか、そんなことは全く無かった。
とにかく、冷蔵庫の中身は、天国のようだ!!500ミリのペットボトルが4本にお茶が1本!!
味噌、しょうゆ、ケチャップに、ソース、一日くらい平気だろう、真空パックのハムとか、ベーコン、卵、
レタスに、トマトに、きゃべつに、じゃがいも〜〜やった!!しばらくは、避難所にいければ、ご飯らしき物は
食べられそうだ。そそくさと、ゴミ袋に詰める。目当てのコンタクトも無事発見。水を見つけてしまった私は
気が大きくなり、風呂場に少しだけ貯められた水で、手を洗う事にした。手の傷に沁みる。で、コンタクトつけようとしたら、
あらら、気がつかなかった。お風呂の鏡が、煤で曇ってる。見えない。トレーナーの袖で、少しのスペースの煤を取る。
真っ黒。これじゃ、目も痛いし、喉も痛いわけだ。部屋の中もひどいってことか、、、何にも気がつかなかった。
とにかく、レンズの交換ができた。目が少しすっきりした。目薬さしたいけど、、探さなきゃ。
スペアも充分。ごみ袋につっこむ。そして、傷の手当てをする。本当にぱっくりと開いてしまってるなぁ。
靴下あるから、靴下をあてて、ラップでくるんだ。スピリタスはもういいだろう。水で洗えたし。
さあ、あとは、財布だよ。えっと〜〜昨日持ってたバッグに入っているんだけど、、中に化粧ポーチも
タバコもライターも。あ〜〜どこだろう??たいして広くないリビングを探すと、ほどなく、ソファの下に、滑り込んでいた
バッグを発見!よかったぁ、、、キャッシュカードもあるし、免許もあるよ。って、、ATMは使えないか、、
財布には、2万3千円と小銭が入っている。なんとかなるだろう。なんだか、暗いなぁと思い、ベランダに近づくと
雨だ。まいったな。あんなにいい天気だったのに。相変わらずヘリの音がうるさい。しかし、暗い雨だ。
もしかして、黒い雨??わかんないけど。とにかく、少し落ち着きを取り戻した私は、水をまた少し飲んで
かおりが戻ってくるのを、待った。雨を見ながらベランダのそばで。そしたら、、グラッ、グララ〜〜。
余震だ。とっさに頭を抱えるけれど、これは、東京人には慣れっこの震度3くらいだろう。外から、悲鳴なんか
聞こえてもこない。二度目の余震。時間は??携帯を見ると、もう少しで午後5時。お隣のすーさんは、仕事が
4時までだっけな?中野から歩いてくるなら、もう帰ってくるかな??でも、中野って、みののTVによると
品川区豊町ほどじゃないけど、火災の危険度が高いんではなかったっけ??大丈夫かなぁ??
早く帰ってきてくださいよお。そういえば、行きつけの、近所のBARのバーテンの外国人の男の子が
「くろねこさん、じしんきたら、ぎんこういっておかねもってくるよ」とバカな事いっていたな。
でも、あいつなら、とりあえず、行ってそうだwww。でも、日本のセキュリティーはそんなに甘くない事に
愕然とするんだろうなwww。強奪できたら、100万くれるって言ってたっけ。ハハハ。
一人、くだらない妄想していると、下から声が!「黒猫〜〜〜〜!!かおり!!ちーちゃんもいるよっ!」
え??ちーちゃん?ちーちゃんは、同じマンションの、隣の隣に住んでいる、飲み友達。「黒猫ちゃーーーん!大丈夫?」
「うん!平気!でも、きっとちーちゃんちもめっちゃくっちゃだよ。うちもひどい有様だし!!」
「いいじゃん!生きてるだけましだって!!で、ロープ用意できたんだよ!脱出する?」
「まじで??出る出る!!出たい!!」でもどうやって、、、ロープを4Fまで投げるのよ?
「梯子持ってきたんだよ!避難所にあったんだ、それで、2Fくらいまで上れるから、黒猫ちゃんは
ベランダからできるだけ身を乗り出して、投げたロープを掴み取って!」あわわぁ〜〜身を乗り出すのかぁ。
洗濯機に乗っかれば、必要以上に、身を乗り出せる。怖いけどやるか。「あ、でも、待って!私ね、一応、役に立ちそうな物
袋に詰めておいたんだ、どうやって持って降りよう?」「投げろ!」投げるんですか??ゴミ袋だから
確実に破れるな。でも、入れなおせばいい。使っていないごみ袋も落とせばいいんだ。でも、卵と、トマトは
ひどいことになりそうなんであきらめよう。
62 :
M7.74:2005/10/12(水) 03:43:51 ID:EX9J8evB
. ∧_∧
(´・ω・) にゃーん。
.c(,_uuノ
63 :
黒猫:2005/10/12(水) 09:06:44 ID:jJkgonSf
おはようございます。
朝から失礼しますm(__)m
少しいきまーーーす
「3分待ってぇ!」いそいで、後ろ髪引かれながら、卵とトマトにバイバイ。
「じゃ、とりあえず、荷物落とすよ?いい?1個目はぺティ入ってるから、危ないからさがって!」洗濯機の上に乗り
下をのぞきこみながら、「ああ、二人の顔が見える」と思いながら、そっと落とした、、つもりだったけど、見事に
散乱した。かおりが、すばやくまとめてくれてる。「もう一個!食料!水!ペットボトル入ってるんだ、壊れないかな?」
「わかった、無理だと思うけど、受け取るように取ってみる!」さすが、ちーちゃんは男だ!私は落下距離が極力
短くなるように、さらに身を乗り出して、そっと落とす。ごろ〜〜ん、、とちーちゃんがひっくりかえりながら
受け止めた。凄い!!「だいじょーーーーぶぅうう??」「うわーーーすっげーいてーし重いなぁ、まいった」と
お尻をはたきながら、ちーちゃんが立ち上がる。でも、なんだかお腹を抱えてる。イタイの?今の一撃?
「お腹イタイ?内臓破裂した??大きな声ではなかったが、「いいよ平気」かおりが、「次、ロープいくよっ」
なんだか、レトロな木で出来た、梯子をマンションにかけている、大丈夫か?折れないかしら?
「わぁ〜〜マンションすごくかたむいてるよっ」だと思う。私も、下を見ながら変な感じするもん。
「ねえー私がぶらさがって、建物潰れないかな??」「黒猫一人くらい全然平気でしょ?」なんて安易な返事。
贅沢はいってられない。こんなことなら、レスキュー隊の演習でも見ときゃよかったと、何度目かの後悔したけど
がんばろう。ちーちゃんが、登ってくる。2Fのベランダの手すりにつかまり、片手で、ロープを投げてくる。
届かない。掴めない。「何回もやるよ!!がんばって!!」「うん!」もう、頭から、真逆さまに落ちそうになるくらい
身を乗り出して、必死にロープに手を伸ばす。「アメリカ映画ならかっこよく掴んでするすると降りるんだろうに」
所詮、映画やドラマとは違い、これは現実。かっこいい物なんかじゃないんだ!!と、私の長い髪を逆さに振り乱しながら
手を伸ばしまくる。ガシッ!!ギュッ!!掴んだ!!何度やったろうか?かおりが、手を叩いて喜んでる。
ちーちゃんがOKマーク作って、梯子を降りていった。
64 :
M7.74:2005/10/12(水) 15:07:44 ID:+2KZ9PDH
人妻さん乙です
65 :
黒猫:2005/10/13(木) 17:51:00 ID:H4c+POws
こんばんは。続き失礼しますm(__)m
ロープを引き上げるとご丁寧に、1m位おきに、結び目が作ってある。
ここに、足を引っ掛けて降りるってわけだね。「でさーーー解けない結び方知ってるーー??」「あ〜〜解けないかどうか知らないけど、
私、釣りやるから、それ、アレンジして、なんとか結んでみるよ!」とは、言ったものの、ラインとラインの結び方?
えールアー付ける時の?仕掛けつける時のかな??なんだか、どれも思い出すと心もとない結び方だ。
「おぼえておけばよかった、、バカ私!」でも、幸い、ロープが結構長い、まず、ベランダの、柵に、二重に方結びする。
残った、まだ長い方を、部屋の中のソファの足にまた、二重に結びつけた。そして、ソファが、ベランダでから抜けないように
平行な位置におきなおし「ねえ!!引っ張ってみて!!」私が、室内で長く使いすぎたらしく、1Fには届かなくなってしまったらしく
また、梯子をかけて、今度は、かおりが、ギュンギュン引っ張っている。「大丈夫だよ!きっと!いい感じ!
さっさと降りた方がいいよ、もう、暗くなる!」意を決して、4Fの柵にまたがった。高いなぁ、、普段はなんとも思わないのに。
ロープは右手手首に結びつけ、さらにぐるぐるまきにしてある。傷が痛い。柵の外に出た。一つ目の結び目に向かって、足を伸ばす。
怖い。まだ、手すりをにぎっていられるけれど、次の一歩は、、、エイッ!ぶらさがってしまった。もう、上れない。
すごく、建物が傾いてるのがわかる、足が、建物にとどかなくなっていく、宙ぶらりん。神様、、、解けないで!!
足をロープにするように、結び目を捜し足の裏で、ぎゅっと握るようにする。もう少し。梯子をかけてくれてる、あそこまで!!
永遠のような時間だった、けど、どうやら、勢いをつければ、梯子に届く位置まできた。ロープを体ごと振るのはこわいけど
傾いた、建物のせいで、勢いをつけるしかない。ちょっと背中を丸めて、揺らしてみる。はしごに足がぶつかる。
下では、二人が必死に梯子を支えてる。よしっつ、両足で、梯子をつかめた!けど、体が凄く斜めでこわい!!
汗で滲んですべるロープを握り締めなおし、足を梯子の下へ進めていく。もう、いい!!あと、1m50くらいのところで
手の痛さと、怖さで、飛び降りた。かっこわるく着地した。「わ〜〜わぁああああん!!」大声でまた泣いてしまった。
二人が、肩や、背中をさすってくれる。「黒猫よくやった!」そんな声が、私の鳴き声で、小さくしか聞こえない。
ヒックヒックと、しながらも、ようやく落ち着いてきた「よく頑張ったよ、黒猫、あそこから降りたんだから」と
二人が見上げる。私も、つられて見上げると、やっぱ、凄い高さ&傾き方。ようやく、マンションの玄関の崩壊ぶりを
目の当たりに出来たのだが、、、やっぱ、ピロティは駄目ってのは、本当だなと思った。ピロティ部分が、自転車置き場に
なっているんだけど、自転車なんか全く見えない、瓦礫に埋まっている。これだけ、1F部分が、崩壊していて、建物が
崩れなかったものだと、感心する。やっぱ、ついていたんだ。「それよりどうよ?避難所?」「ああ、それがね、人がすごいのよ
はっきり言って、体育館で、スペース取るのはもう無理だと思う」「え〜〜そんなにたくさん人いるわけ?」「だってさ、このあたりは
あの向こう側で、大きな火事があったくらいみたいだけど、マンションの人も案外、黒猫みたいな人多くって、倒壊の危険が高くって
部屋に戻れないって人も多いし、小学校の裏あたりの1軒屋がたくさんあるあたりは、火事こそ出なかったらしいけど
家が潰れちゃった人いっぱいみたいよ。」かおりが続ける「この辺なんか、ましなんだってば、中央線沿線だと高円寺、中野あたりは
火事がもっとすごくって、火事で亡くなった人が多いらしいし、、、」う〜〜ん、みののTVでも、中野あたりは、危険度高いって言っていたのは
的中ってことだ。なんて、話をしていたら、「あ!!黒猫にかおりにちーちゃん!!」と、疲れきった顔した、すーさんが、立っていた。
66 :
M7.74:2005/10/13(木) 22:56:30 ID:JThZFMsY
売れない作家スタレスレがここですか、そうですか。
67 :
黒猫:2005/10/14(金) 01:11:39 ID:LXCQHop5
>>66 読みにくくつまらないですよね。すみません。
68 :
M7.74:2005/10/14(金) 02:54:50 ID:Fxa0si/B
早く続きが読みたいでつ!楽しみにしてまつ。
69 :
M7.74:2005/10/14(金) 11:51:29 ID:IYQOjl9G
ピロティって、何ですか?
70 :
M7.74:2005/10/14(金) 13:26:52 ID:PmC54Vb1
66 アンチは消えろ
71 :
黒猫:2005/10/14(金) 15:15:37 ID:LXCQHop5
>>68、70 ありがとうございます、頭が下がります。申し訳なくって。
>>69 ピロティとは、マンションの1Fとかが、よく駐輪場になっていたり、駐車場になったり
している所あるじゃないですか?あれです。
少しですが、続きいきます。
「やだーーーすーさん!!大丈夫だった??よかったよぉお、会えて!!」また、再会を喜ぶ会になってしまってる。
「どーやって??ここまで??」「それが、中野ひどくってさ、勤め先は、まあ、めっちゃくっちゃにはなったけど、頑丈なビルだったんで
エレベータは使えなくなったけど、パートはとにかく帰っていいって言われて、外に出たのはいいんだけど、火事がいたるところで出ていて
ここまで、1時間もあれば帰れるなんて思っていたのに、迂回迂回よぉ。ついでにヒールで、足は痛いし、煙いし、道はあってないようなもんだし
さんざん。疲れた、本当に」「ほらっ!TVとかで、職場で地震にあった時用に、スニーカー入れとけって、よくいってたじゃん、入れとかなかった?」
決して、2ちゃんで見たとはこの場に及んでも言えないヘタレな私。「サンダルはあったんだけど、つま先出てるのもどうかなって。だいたい、距離ないし
道があんなだとは、夢にも思わなかったのよ」といいながら、ヒールを脱いで、足をさすっている。ああ、私も手が痛い、また血が滲みまくっている。
すーさんが「で、部屋どうなってるの?」とマンションの玄関に目を向け、、下を向く。「さっきね、私、ロープで4Fから降りてきたんだよ。この傾きで、玄関も
トイレも、寝室も扉が開かなくなってるし、まあ、部屋の中は、同じ間取りだから似たり寄ったりだろうね。まあひどいとおもうよ」
ちーちゃんも「だろうなぁ」とうなずく。「戻れないかぁ・・・非常持ち出し袋部屋にあるんだけど、、」やっぱ、すーさんちにはあったんだ!
私みたいな不良主婦じゃない、まじめなすーさんの性格がしのばれる。「で、ごめん、実は、私、出れなくなってしまって、すーさんちから出ようと思って
ベランダに勝手に侵入して、ベランダの窓割ってしまったの。だけど、開かなかったから、部屋には入らなかったけど、血だらけにしちゃったし
ベランダにあったロッカーを漁ってしまったよ、、、ごめんね、ごめんなさい」といいながら、木炭を見せる。すーさんは笑いながら言ってくれた
「いいっていいって、しかたないじゃん、それより木炭持って来てくれたんだ!ありがとう!」なんて。優しいな。
で、4人で、自分の身内や、友達などの安否について、しばし話し合うも、4人とも携帯が使えない!
かおりも彼とはまだ連絡とれてないし、すーさんも、旦那さんがどうしているか?さっぱりらしい。ちーちゃんは彼女いないって言っていたから
両親と、彼の生徒さんの心配している。みんなで、携帯を見つめる。時刻は午後6時45分もう、暗い。雨はもうやんでいた。
72 :
M7.74:2005/10/14(金) 23:41:56 ID:OfrA39Ea
私はファンです(^-^)なのでageときます。
73 :
黒猫:2005/10/15(土) 01:04:18 ID:+cKjrhGo
>>72 ありがとうございます(涙)
あまり、人がいない間に、地震人妻黒猫少しいきまーーす。
ちーちゃんが、「とりあえずさ、避難所行こうよ。で、待っていれば、みんな、旦那さんとか、きてくれるじゃん?普段から、杉○小学校が避難所だって
いう話はしてる?よね?」私は即答「うん!!」すーさんは、「たぶん。。」かおりは、「う〜〜ん、わかんないけど、、」って、みんなさぁ、私、普段から
飲んでる席とかでも、「もし、大地震来たら、みんな、杉○小に集合ね!」って言ってたじゃんかぁ!
おぼえていてよ!!「暗いしさ、俺、トイレにも行きたいし、そろそろ腹減らない?」みんなで、大きくうなづきあう。
私は、なにより、タバコが吸いたい。避難所に行けば、校庭の片隅に、喫煙所くらい出来てるでしょ?
「とにかく行こう」避難所になっている、小学校は、ここから、ほんの3分もかからない距離にある。4人で、ゴミ袋抱えて歩き出す。
道中、と言ってもほんの200メートルくらい。青梅街道を一歩、内側に入った道すがら、本当に大きな地震だったんだと実感する。
「ねーーあの家も、見た目平気そうだけど、すっごい、ひびがはいってるよ!ほら、あそこ!」だの、「屋根にブルーシートかぁ、、福岡の玄海島の地震みたい」
とか、幸い、燃えてしまっている家や、ぺしゃんこの家は、見ないですんだけど、まあ、どの家も、精彩をかいてしまって、人がいる気配はしない。
電気がついていないのも、一因だろうなぁ。暗いもん。すっごく。道路にも、なんだか、わけわかんない瓦礫みたいのやら、瓦?みたいのとか、物干し竿とか、
いろんな物が、落ちている。台風の後みたいだ。まもなく、小学校の裏門が見えた。「ねえ、人が凄そうじゃない?」すーさんが言う。
かおりが、「ああ、そうだと思うよ、だって、何時間か前で、ひどい混雑だったもん」「寝れるかなぁ」ちーちゃんがのんきなこと言っている。
校庭に入ると、そこは、キャンプ場みたいになっていた。さすがに、車を乗り入れている人はいないけど、みんな、よくまあ、テントとか持ってるよなってくらい
の状態。そして、おのおのが、みんな火を炊いて囲んでいる。「やっぱ、火がないと、人間いきていけないのかねぇ?」思わず、つぶやく。
かおりが、「どうする??スペース探す?黒猫さぁ、レジャーシート持ってきた?」あ〜〜〜っ!持ってきていない!!「ごめん、気がつかなかった、、ないよ、その中には」と、
ゴミ袋を指差した。「雨降ったから、校庭にじかに座ったりするのは、つらいよね」「うん」まあ、とにかく、人の陣地をよけるように、とりあえず校舎に近づいていく。
「あーートイレ行きたいなぁ」「わたしもぉ」と、ちーちゃんと、かおり。校舎の中に入ると、さらにひどい!人人人人大杉!!入り口から始まって、廊下、階段と、
人が埋め尽くしている。「やっぱ、みんな、端っこがいいのかな?」みんな、壁側をとりたいらしく、かろうじて、通路はある。「え〜〜トイレ」
トイレマーク発見、傾いている。ちーちゃんと、かおりが駆け込もうとしたら、トイレの前に陣取っていた、中年の主婦と、おじさんが「あーートイレねぇ、流れないから
ひどいよ、きったないよ。水持っているの?沢山の水で流さないと、つらいかもよ?」と話しかけてきた。そういえば、臭い、におう。
「しかたないよ、入ってくる」ちーちゃんは男だから、躊躇せず、入っていったが、かおりは、少し考えてる。「でも、だめ!!やっぱ行く」
恐る恐る、入っていった。すぐに、ちーちゃんは戻ってきた。「くっさいのなんのって、、鼻がまがるよ、腹壊したりしたら最悪だな」
かおりが、つま先立ちして戻ってくる。泣きそうな顔だ。「いやだぁよ〜〜もう、周りもきったないの、靴が汚れるよ、つま先でがんばったけど、ついちゃったかな?」
と、つま先を廊下にこすりつけてる。ヲイヲイ、廊下が臭くなるぞ!「そんなひどい?」「流せないから溜まりに溜まって、溢れてるよ、見てくれば?」
などど、毒づく。「手、洗いたいなぁ」「ムリムリ、飲み水だけで、精一杯だよ、明日になれば、救助とか、一杯くるってば」「そうそう、どうせ汚れる一方なんだから」
と、私は提案した。「ねえ?タバコ吸いたくない?」
74 :
黒猫:2005/10/15(土) 13:09:36 ID:+cKjrhGo
こんにちは。
誰もいなそうで、チャンス!と思っていたのですが、天気がいいので買い物に
出かけます。夜まで、誰もいないといいな。
一人続けるのも楽しいです。
75 :
M7.74:2005/10/15(土) 20:01:48 ID:bjPokrU7
ダメだお。落ちたらいやだお
76 :
M7.74:2005/10/15(土) 23:46:30 ID:ezjBKiBm
良スレage
77 :
69:2005/10/16(日) 02:34:21 ID:qZM0yM99
>>黒猫
ありがとうございます。
アパート(築三十五年以上)住まいなもんだから、縁がなくて…しらなんだ
78 :
黒猫:2005/10/16(日) 12:02:03 ID:A/hExtyx
>>69 とんでもありません。説明不足もいけないですね。あと、あまり嘘ばっかりでもいけないと思い
ペットボトルを4Fから落下させるとどうなるか?ちょっと調べたのですが、1,5リットルや2リットルは
もしかしたら、角が潰れるくらいで済むかも知れないみたいですが、500ミリは、駄目みたいです。
ただし、ホット専用のペットボトルは、構造が頑丈なので4Fくらいなら無傷みたいです。
ますます読みにくくなりました(汗)が、めげずに続き行きます。
すーさんは吸わないが、3人は吸う。「吸いたい!」二人同時に言う。校舎の中はまずいだろう。とりあえずいったん外に出る。
校庭が、暗くなって、すごく幻想的雰囲気になっている、そんな、悠長なものではないが、、、そこかしこで炊かれている火がユラユラと、たくさん。
「まあ、火が炊けるってことは、タバコ吸っても爆発はないよね?」校舎の裏の方にまわってみると、いるいる!!タバコ族。本当に、「ほたる族」だよ。真っ暗な中に、火がポツリポツリとしてて。
「とりあえず、一服しよう」4人で、座り込み、といっても、下が濡れてるので、ヤンキー座り。「はぁ疲れた」「ねえ、私は少しお水もらっていい??」すーさんがいう。
「もちろん!」タバコ吸わないんだもん、水くらい!と、ゴミ袋を漁って、私の飲みかけのペットボトルをだす。角が潰れてる。「ごめん、飲みかけだけど、、いい??」
「水は貴重だから、かまわないって!」やっさしいなぁ、すーさん。3人は、タバコに火をつけて、「ふぅ〜〜〜」「これだと、そうとうタバコの量減らせるね」
4人で顔を見合わせて、ちょっと笑った。一服はあっという間に吸い終わってしまった。「じゃ、気を取り直して、飯にしようよ!」ちーちゃんが提案する。
そうそう、もう真っ暗。私達も、火でも炊いて、囲まないと、最近は、夜涼しいくらいだし。かおりが「でも場所どうしようか?」とちょっと不安そうにしている。
「じゃ、もう、満員なのわかっているけど、私まだ、体育館いってないし、誰かいるかもしれないし、一回見に行かない?すーさんもいっていないしさ」
それじゃあと、ごそごそと、4人で、ゴミ袋抱えて移動開始した。体育館の入り口につくと、そこに、折りたたみの長机が何個も出ていて、区の職員?ボランティア?わからないけれど
てきぱきと、来る人来る人になにごとか伝えたりなにやら覗き込んでいる。「なんだろ??はじめ来た時はなかったよ、あんなの」とかおり。近づいて聞いてみるとどうやら、この中にいる人がここで照会できるらしい。
「なかなかやるじゃん」「探し回らなくって済むわけね」4人で、名簿、といっても、ただのA4のノートにひたすら書かれている、名前を目で追っていく。
すーさんが、「ねえ、これ、マンションの管理人さんだよっ!」あ、そうだこれはそう。一人発見。「これって、ふーちゃんじゃない?」ん?家族で名前が連なっている。
ふーちゃんの、甥っ子が私と同じ道場に通っていて、その名前がある。確定。ふーちゃん発見。ちーちゃんが「でもさ、なんだか、こーやって本名で書かれると、いまいちわかりにくいよね、だって、普段さ
苗字なんてめったに使って呼んだりする友達とか知り合いって、なかなか近所にいないよ」私もそう思う。近所に知り合いや、友達が多いつもりではいたけれど、たとえば、「こばっち」って、苗字は小林だろうけど
下の名前??携帯のメモリーでさえ、「こばっち」でしか入っていないし、知らない。所詮そんな付き合いなのかもしれないけれど、みんなイイ友達だったのは確か。みんな無事でいて欲しいし、会いたい。
係りの人に「もう、中に入る事はできませんか?」と聞いた。「すいませんねぇ、本当にもういっぱいいっぱいなんですよ。スペースももうないし、学校で備蓄していた物も、もうないんですよ。でも、朝になれば
区役所が近いんで、援助が必ずきます!なんとかがんばってくれませんか?」
79 :
黒猫:2005/10/16(日) 16:02:47 ID:A/hExtyx
夜、忙しくなりそうなので、ちょっと進めさせてください。
「はい、、」と、4人で小さくうなづくしかないよ。そう言われちゃ。したら「ここから出ませんよね?無事でいるってことでこれにお名前書いて置いてくださいよ、身内の人とか、知り合いとか
会えるかもしれないでしょ?」そうそう!阪神淡路とか、中越の地震の時って、こういうところに、沢山の張り紙してある映像みたよな。それの名簿バージョンか。4人で、おのおの書き込む。
私は「黒猫は無事で、学校の敷地内のどこかにいます。だーちゃん来たら必ず探し出してきてね」と書いた。終われば、
体育館の前にいてもしかたないことが、よーーくわかったのでもう一度、幻想的な校庭に出る。相変わらずだ。火が暖かそう。「校庭もいっぱいっぽいけど、暗いしもしかしたら、スペースあるかもよ?探さない?」
すーさんが言ったので「そうしてみよう」とかおりも同意。
私もそれでいいし、ちーちゃんもそうだろう。人の輪をすりぬけすりぬけ、知ってる顔を覗き込みながら、校庭をうろうろしていたら、「あそこは?」かおりが指差す。鉄棒の裏。
ちょうど、端のほうだし、すぐ裏は植え込みで、高い木が生えてるから、テントなどの無いわたしらにはいいかもしれない。少しの雨なら耐えられるかもしれないし。狭いけど。すーさんとかおりが、ゴミ袋をその場において
ちょこまかと駆け出して行った。ちーちゃんと二人、おいてってしまった荷物をさらに抱え、そこに歩いていく。「陣地とったぁ〜〜」かおりは、明るいなぁ。こういうとき助かるキャラだ。つらいだろうに、、、
「なんか敷きたいよね」「うん」ゴミ袋漁っても、悪いっ!レジャーシート持ち出してないんだよ、ごめんみんな!」したら、すーさんが「これ敷けばいいじゃん」と、私が、ひっちゃかめっちゃかに、食料保護のためにくるんだ新聞紙を、
ペシペシと広げている。
「そうしよう」4Fから落とす時に、できるだけ損傷がないように、適当に大急ぎでくるんだのがよかったのか?何枚も使ってくるんでいたみたいで、4人で広げてみると、とりあえず4人座って足が伸ばせるくらいの、新聞紙が敷けた。
あとは、できるだけ、さっき降った雨がしみこまないよう祈るのみ。「さてさて、飯、飯!!火をつけよう」ちーちゃんが、お腹をさすりながら言う。「私、今日何にも食べてないんだぁ、おなかぺこぺこ」かおり。
木炭を出して、、、うう、、、どうやって、この木炭を囲んで、上に網を乗せるか??「ブロックとか、レンガ、、ねーよなぁ、、」「暗いけどさっき道端に、瓦とか落ちてたじゃん、あれ拾って積み上げれば?」
すーさんナイス。あなたは、知性のレベルがお高い。「こういうときって、強奪とかあるからさ、ちーちゃんはここの陣地、守っていてよ、私らで、探してくるから。」と、私。私のレベルが高いのは、かろうじて、普通の女より戦闘能力が高いくらいだけど
すーさんとかおりくらいは、守れるだろう。とにかく暗い夜だし。と思いながら、実際は、カトリーナが来た時に、あのアメリカでさえ、強奪だの、強姦だのってのはそんなになかったらしいし、すっごいあったって報道はデマっぽかったらしいし、2ちゃんで見た
阪神淡路の体験者とかの話も、「女一人で夜トイレには行けなかった」とかあったけど、どこまで本当か?わからないから、むやみに怖がってもしょーがないなと開き直っていたのが本当の所。「いこう」また、人の輪をすり抜けて、夜の街に出て行く。
「真っ暗だね」「信じられないね。東京だよね?ここ?」完全に停電。サイレン鳴らした車が走り回る音だけが聞こえる。下を見ながら歩く。「あるある!石っぽければなんでもいいよね?」「よく見えないし、堅そうならいいんじゃん?」
「でも、手を切ったりしないように気をつけて!」
ああ、みんなレベル高すぎ。ゴミ袋にじゃんじゃん投げ込んでいく。「破れそう、重いし、もういいよ」3人で、貴重なゴミ袋が破れないように、抱え込んで、ちーちゃんのところに戻る事にした。「あ〜〜お腹減って死ぬ〜〜」かおりがばててる。急がなきゃ。
校庭の片隅に戻ると、ちーちゃんが、木炭に火をつけてくれていた。う〜〜ん、もう、みんなナイス!ちーちゃんは男らしさレベル高いわ。「これだけあれば、火を囲めるよね?」木炭の周りに、拾ってきた、瓦だか?瓦礫だか?わかんないものを積み上げて囲んでいく。
バランスがちょっと悪そうだったけど、網を乗っけると、とりあえず崩れることなく乗っかってくれた。「黒猫〜〜カップ麺ばっか大杉」「お湯沸かせないじゃん」
4つの携帯は、今だ仲良く圏外だった。
80 :
M7.74:2005/10/17(月) 00:15:56 ID:rAXbw2sz
午前八時半。
東京・大手町 K庁
買い換えた自転車の調子がよく、駅までの道のりが軽やかだった。
始発の快速電車に座り、いつもより早めに職場に着いた。
空は青く高く、皇居の東御苑でモズが鳴いているのが聞こえる。
玄関から中に入ると顔なじみの守衛に「身分証明書お願いします」
と言われる。入庁証がなくても、いつもなら顔パスなのに何事だろう。
「すみませんね北村さん、臨時の地震判定会が開かれていて、
エライさんがいっぱい来ているんですよ。」と、守衛が言う。
訓練は先日やったばかりだから、何だろう、地殻変動に異常でも
見つかったのだろうか。
ブラインドの降りた薄暗い部屋に入ると、昨夜から徹夜で
作業をしていた同僚の坂田が長いすの上で寝ていた。
起こすのが気の毒なので、電気をつけずに自分の机に向かい、
PCの電源を入れた。
いつものようにシステムの正常稼働を確認してから、コーヒーを
作り、メールチェックをしていた。
プルル、プルル・・
内線電話の呼び出し音が部屋に響く。
コーヒーカップを片手に受話器を取りに行く。
寝ていた坂田が起き上がった。
地震現業からだった。数地点の地震計が昨夜からノイズを受けていて、
今朝になっても改善されないので調査をしてほしいということだった。
坂田はこの地震計の異常の対処で徹夜していたらしい。
「異常はなさそうなんですよ。だけど、ノイズが頻繁に入るんです。」
坂田が手渡した地震波形の印刷画像を見ると、
乱れたデータ入ってくる地点がいくつかあった。
沼津、相模湾、小田原、八丈島・・
(東海地方・・判定会の招集はこれか・・?)
続く・・かもしれない
81 :
黒猫:2005/10/17(月) 00:20:44 ID:Fd90QznT
落ちちゃいそうですねww。面白くないし、読みにくいので当たり前かな?
まだまだ続くんですが、、、ageるのは、忍びないし。
勝手に続けます。www。
あ〜〜私は、またしてもバカ。なんで、薬缶や、鍋のひとつも投げ落とさなかったのか??
でも、誰も私を責めない。
「わたしさ、ここの人たちに、ほんのちょっとお湯沸かすだけなんで貸して下さいって頼んでくるよ!」と、言うより早く、かおりが校庭に出て行った。
「じゃ、痛みそうなもの先に焼いて食べよう」とちーちゃんが、私が適当に持って出た、ちぐはぐな箸を使って、ベーコンとハムを焼きだした。
「ナイフあるんだよね?貸して、ジャガイモ焼こうよ」すーさんが、新聞紙をまないたかわりに、ジャガイモを輪切りにする。BBQみたいだ。ああ、イイにおい。。。
一気にお腹が減ってきた。「かりたよぉお!」と、かおりが小さな雪平鍋を手に戻ってきた。
「大丈夫だった??」「真ん中へんに、お客様の奥さんがいて貸してくれたよ!ラッキー!」さすが、客商売。人脈レベルも高い。「でもさ、カップ麺4つはやばいよ。
明日きっと水とかもらえると信じたいけど、今残りの水はこれだけ。2つにしてわけっこしようよ。」と、現実的な提案をちーちゃんがする。
「そうだね、鍋も小さいし、2つでいいっしょ。ほら、ハムもベーコンも、ジャガイモもあるし!」食い物の事しかいえない私、、、レベル低っ。
「お湯もそれのがすぐ沸くしね!」すーさんが言ってくれた。ペットボトルから、慎重に、無駄の無いように鍋に水を入れ、沸かす。ちょっと網が不安定さを増した。
「さ、こげる前に、たべちゃお!」箸らしきものは
3つしかなかった。だから、使いまわして、食べた。しょうゆをぶっかけただけの、ジャガイモ、、美味しい。ベーコン、、こんなにおいしかったっけ?すーさんが、
「あ〜〜ん」してって、食べさせてくれる、
いいのに、先に食べて、、、
お湯が、コポコポ言い出したので、二つのカップ麺に、お湯をこぼさないように入れた。「あ〜〜なんだかサバイバルだねぇ〜アハ」
かおりがまたしても、いい味だした発言する。
3分待つ。携帯をみんなで見た。時刻はもう、9時になるところ。
4つの携帯は、今だ仲良く圏外だった。 「おいっしいいっ」4人で、カップ麺をすすった。スープも全部飲んじゃった。
きっと、大人なみんなには普段ありえない事だろう。私は、太るのが嫌だから、スープ残すけど今日は、特別。あったかい。
食べ終わって、満足げにしていると、木炭がただちりちりとあたりをぼんやりと照らしているのがなんだかえらく非現実的な感じに見える。って、今、非現実だけどwww。
暗い小学校の校庭だけど、ぼそぼそと人の話す声、赤ちゃんが、たまに泣いてる声、人が歩く音、、なんだかんだいろいろな音は聞こえてくる。
「カップ麺のカップとっておこうか?」
ちーちゃんが言う。「そうだね、洗えないけど、何かに使えるかも」と、すーさん。
そう、水が、貴重な今、洗物なんかできはしない。本当は、私も、足の裏の傷、手の傷、なんとかしたいけど、死にはしないだろうとあきらめ、口には出さなかった。
「お箸もいいよね?」かおりも言う。
そう、しかたない。ティッシュで拭えば上等でしょ。このメンバーに病気持ちがいるとは思わないしね。
「水少し飲みたい」かおりが言う。「私も」「俺も」う〜〜んカップ麺は喉が渇いていけないな。少しずつ飲んだけど、
もう、2本目のペットボトルに手が付いてしまっている。
残りは、500ミリ4本、お茶1本。しかし、よくまあ、4Fから投げ落として、割れないでくれたもんだ。ちーちゃんが体張って、うけとめてくれたおかげだ。
「早く来てくれないかな、、、けいちゃん、、、」ぼそりとかおりがつぶやいた。「だよね、けいちゃんはこの付近担当だからそろそろ来るってば!!きっと職場で大変なんだよ」などと、
根拠の無い返事してしまった。「そうかなぁ??」「家の旦那職場遠いからな、、いつ帰ってくるかな??生きてるかな??」すーさんの旦那さんは
下町の方まで、勤めに出ている。「まったくさぁ、だーちゃんが一番近いくせに、帰ってこないなんてさぁ〜〜日頃の鍛え方が足りないんだよ!!お腹ばっかたるんで、
今頃、まだ、中野坂上あたりでヒーヒー言ってるんじゃないの?気が弱いから、役立つ物強奪しながら来てくれそうにないしねぇ〜〜アハハハ〜〜」沈黙。笑ってよ〜〜!
82 :
M7.74:2005/10/17(月) 07:03:34 ID:RZV2P5Ts
グッジョブ
新作もキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
83 :
M7.74:2005/10/17(月) 08:50:04 ID:faTLGIxo
>80
イイ!続き待ってます。
84 :
M7.74:2005/10/17(月) 10:35:35 ID:5kt3xMRj
禿同!(^-^)
85 :
80:2005/10/17(月) 10:54:19 ID:rAXbw2sz
「判定会やってるって守衛が言ってたな」
坂田がテレビのリモコンを手にしながら言った。
「もうじき注意報が出されるんじゃないか?
原発は発表前だけど停めたってさ。」
NHKで臨時ニュースが始まっていた。
東海地震注意報 発表
白い大きな書体で表示されているのが目に入った。
緊張して心臓の鼓動が激しくなった。
青いL字枠で交通情報が流れている。
在来線は通常運行、東海道新幹線が低速運行。
東名高速は速度規制。大渋滞が予測されるので、車での移動は
なるべく控えること・・
地震が起こる日時は不明、長期にわたる場合もあるので
各自治体の指示に従って、落ち着いて行動するように・・
アナウンサーが無表情で原稿を読み上げている。
「よく発表したな。地震来る前にパニックになるんじゃないか?」
「大きな金をつぎ込んで観測してるんだから、1回も発表せずに
地震来ちゃったじゃ面目丸つぶれだろ」
ヘリコプターが上空を飛ぶ音が聞こえる。
「こちらは、東京都 防災課・・ 東海地震 注意報が・・」
あの放送は、地上にいる者にはヘリコプターの爆音にかき消されて
ほとんどよく聞こえていないというのがまだ解ってないらしい。
切れ切れに聞こえる情報はかえって混乱を引き起こすだろうに。
ズン・・・
一瞬地面が下降したように感じた。
続く・・・かも
86 :
M7.74:2005/10/17(月) 11:28:20 ID:lXuguzOE
>>85 「東海地震注意情報」だよ。
まあ小説レベルとは言え、気象庁ホームページとかで確認しといた方が良いよ。
87 :
80:2005/10/17(月) 11:40:49 ID:rAXbw2sz
ご指摘ありがとうございます。
HP眺めて作った妄想なんすが、アップする前にチェックしときます。
どうぞ、なま暖かい目で見てやってください。
88 :
黒猫:2005/10/17(月) 11:57:17 ID:Fd90QznT
昨日の地震怖かったですね。杉並震度4って、、、
新作の方、面白いですっ!!私とちがって。
ごめんなさい。相当、私のは、色あせてますが、続きがあるのでいきます。
こんなことなら、日頃から、だーちゃんをもっと鍛えておけばよかった、、まったく、、腕っ節の弱さは、人一倍だからなぁ、、、
でも、お願い、、早くここに来て!!みんなが、体育座りして、ひざに頭入れて、うなだれてしまった。
疲れもあるだろう、それに、心配で心配で本当は泣いてしまいたいんだろう。「ねえ、携帯の電池あとどのくらいある??」
と雰囲気を変えるために言ってみた。みんなが顔をあげて携帯を覗く。「私、もうだめだ、赤い」とかおり。「私は、まだ平気そう」とすーさん。
「俺は、ひとつ減ってる」とちーちゃん。
私は、「ひとつ減ってる」「ねえ、いつになったら圏外じゃなくなるんだろうね?明日かな?混んでるってことなのかな?公衆電話は使えるのかな?」
続ける「遠いところに住んでる人経由で、安否確認できないもんかな?じゃり銭あるし、ほら、うちのマンションの前、公衆電話のBOXあるじゃん、かけてみようか?」
などと、我ながらいい提案だと思っていたら、「ゴゴゴゴ〜〜〜」と地鳴りのようなのが聞こえてきて、地面が少し揺れている!「やばいっ!余震!」「グラグラグラグラ〜〜」
あちこちで、悲鳴があがる、騒然としてきた。思わず「やめてっ!」と叫んでしまった私。みんなは頭を抱えている。すぐに収まった。だけど
校庭や、校舎の方からは、がやがやと人の動きや、会話、大声などであわただしくなっている。震度3くらいだろうに、、、と思っていたら、木炭を囲んだ、瓦礫がくずれてしまって、
木炭を埋めてしまっている。「不安定だったからね、、しかたないよ」「お箸で、瓦礫掘ってみればいいんじゃない?」「直接触ると熱くなってるかもよ?」
と口々にいいながら、箸を使って、瓦礫をどける。火は貴重品。せめて今夜、炊いていたい。ほどなく、赤い火が見えてきた。「消えてないね!」「よかったぁ」
まあ、木の葉を焼いてるわけじゃないから、すぐには消えないだろうけどね。暗いからよくわからないけれど、だいぶ木炭と、瓦礫がまざってしまったようだけど、火はなんとか元に戻ったみたいに見える。
今夜は、もう、煮炊きしないだろうから、網を乗せることも無い。このままで、いいだろう。「しかしさぁ、余震って、いつまで続くんだろうね、、さっきは、地面に座ってたせいか?地鳴り?地響きみたいの聞こえたよね?」
とちーちゃんが言う。「聞こえたよ〜〜ゴゴゴ〜〜って、怖かったぁ、案外大きな音がするんだね」とかおり。
心の中で私は、「2ちゃんでは、地響きが聞こえただの、地鳴りがする、、、とかいって、ガクグルしてた人もいっぱいいたなぁ、、、こんな音聞いていたのかな?」と考えたけど、やはり、口には出せない。相変わらずヘタレな私。
「なんだか、騒がしくなってるから、少し落ち着いたら、さっきの公衆電話作戦やろうよ」とすーさん。
「だね」今は、なんだか、みんな興奮してそうだから、なんかあったら困る。4人で、固まっていた方がいいだろう。
なんて思っていたら、やっぱり始まった。校庭で喧嘩だ。「・・・だっていってんだろっ!」「おまえが・・・・!」
「ふざけんな!うぜーんだよ!・・・」内容は良く聞き取れないけれど、まあ、せいぜい殴り合いはやめましょうね。
怪我したって、こんな夜には、病院もいけませんことよ。「喧嘩〜喧嘩〜〜」などと、楽しそうに聞き耳たててるかおり、、、いい性格だよ。
「ガッシャーーーン」と大きな音!どうやら、片方がなにやら蹴飛ばして、倒したらしい。
「おめえなぁ〜〜あぁ〜〜?」「なんだってんだよ!」あらあら、、エスカレートしてるわ。周りが「やめて!!」だの
「うるさいっ!」だの言い出した。また騒然。子供が泣いている。「やめろって!!」グワシャーーーン!とまた何かが倒れる音。
「キャァアア!」女の悲鳴。「お前らいいかげんにしてくれよ!!」罵声が飛び交う。今度は、隣のエリアの人の何かを倒してしまった音だろう。周りも怒り出してる。
それにどうやら殴りあいに発展している様子!!
はぁ〜〜無駄な体力使わなきゃいいのになぁ〜〜と、ババくさい事、考えて、戦況を伺う。「キャーキャー」「ワーワー」そこに、「どすん」「どすん」と二回鈍い音。???
「何の音??」かおりが言う。「喧嘩してた人が、倒れた音じゃない?」とすーさん。ビンゴ。「大丈夫?」「まったくこんなになるまで・・」といった、介抱のセリフが聞こえてくる。
「止めてくださって、、、」という声。誰かが、仲裁に入って、二人をぶったおしたのか?誰だ?二人相手に?
89 :
M7.74:2005/10/17(月) 12:44:11 ID:ts4WrdXP
>>87 まあ、マスゴミ連中と同じような間違いは避けましょうね、と言うことで(w
以前、日本テレビの「特命リサーチ」で富士山噴火の想定シミュレーションが
放送されたけど、気象庁から出る火山情報の事を「緊急気象情報」なんて
言っていて笑ってしまったんで。「緊急火山情報」でしょうがって。
90 :
M7.74:2005/10/17(月) 18:01:27 ID:VlIjt3C0
盛り上がってきたね。
ここでまとめしておくよ
*<現在連載中の小説>*
■ 黒猫さん作:
>>11〜
■ 80さん作:
>>80〜
*<執筆終了の作品>*
■ 12さん(!?)作:
>>12-13 おふたりさんとも頑張って
91 :
80:2005/10/17(月) 19:25:07 ID:rAXbw2sz
午前九時
机の上のコーヒーが小刻みに揺れだした。
「もうきたのか・・?」
東海地震注意情報の発表からまだ5分も経っていない。
とっさにコーヒーカップを掴んだ。
数秒後、建物を横に揺する大きな波が襲ってきた。
少し心構えがあっても、足がすくんで動けない。
隣の机の上にふせられていたマグカップが落ちて割れる。
棚に並んだバインダーがバタバタと落ちる。
つり下げられたカレンダーやハンガーに掛けた背広、
閉じられたブラインドが突風に吹かれたかのように揺れる。
ロッカーの上に積み上げられた段ボール箱が落ちてくる。
箱の中から、古びた資料が散乱する。
熱いコーヒーが手にかかったが、体は硬直して
揺れがおさまるのを待つしかできない。
「震源は・・どこだ・・?」
ディスプレイの明かりが消えた。
つけっぱなしのコンピューターの電源が一斉に落ちた。
エアコンやコンピューターから発生していた音が全て消えた。
壁や天井がミシミシと音を立てている。机やロッカーのきしむ音がする。
資料棚が倒れガラスが散った。下敷きになった長机の足が折れる。
窓の外からガラスの割れる音、何かがぶつかる音、
大きなダンプカーが通ったような地響きがあちこちから聞こえてくる。
いつまで揺れてんだよ・・!恐怖で声が出ない。
建物が崩壊しないことをひたすら祈った。
長いこと揺られていて、いつ地震がおさまったのか解らない。
まだ揺れているような気もする。
手にしたコーヒーが揺れているのは自分が震えているためだ。
「大きかったですね・・」すっかり目を覚ました坂田が呆然としている。
コーヒーがかかった手がヒリヒリと痛いことに気づく。
体がようやく感覚を取り戻した。
助かった・・。
妻は!?子供達は!?
携帯電話を手にしたが、回線がパンクしていて通じない。
震える手で妻にメールを打った[みんな無事か?俺は大丈夫だ]
それ以上の文が思いつかない。とりあえず送信する。
「北村さん、システムダウンです!」坂田が言った。
続く・・・かな・・
92 :
黒猫:2005/10/18(火) 00:26:23 ID:+cBklxb3
>>80 スッゴイ面白いです、、、臨場感がちがいますね。ただの人妻との違いに
愕然です。続き楽しみにしています!!
わたしは、、もう少しお付き合いください、、、
地元の空手道場に通う私は、ちょっと興味が湧いてしまって、その、二人を倒した人が見たかった。
「ねえ、ちょっと近くいってきていい??野次馬じゃないよ、すぐもどる!」私は、人の輪をすり抜けて、
喧嘩の現場の方へ向かった。
「あ!!先生!!」「おお、黒猫、無事だったか、よかったなぁ」まいったよ、どーやら、二人をぶちのめしたのは、私の空手の先生でした。
「腹に食らわしただけだから、じきに起きれるだろ、病院も平気だろう、まあ、くだらないことで、喧嘩なんかされてちゃ、みんなたまんないからなぁ」かっこいいよ!先生!!
そうだ!先生は、ここの学校のPTAの会長さんもやっている!「先生!私達今、校庭の端っこで、4人で、避難してるんだけど、、結構不自由で、、私、怪我もしちゃったし、、」
と甘えた事行ってみた。「怪我ぁ?どこに?してねーだろ、で、テントとかシートはあるのかよ?」「新聞紙敷いて座っています」
「じゃ、ブルーシート調達してきてやるわ。あと、なんか緊急で必要な物あるか?俺は、真っ先に、ここで、備蓄品の整理、配給担当してたから、少しならなんとかなるぜ。」いました!神様!!
「じゃ、お言葉に甘えて、シートと、お水、あと、火を使わないですぐに口に出来るもの、、、」「わーーかった、どこらへんだ?」
「あっちの、鉄棒の裏です」と指差す。「少し待ってろよ」先生は、さっさと行ってしまった。浮き足立って、戻る私!「ねえねえ!大変!!今のさ、喧嘩仲裁したのさ、
私の空手の先生だったのよお!
で、先生はここの学校のPTA会長なんだってば!で、ブルーシートと、水、持ってきてくれるって!!」口調が興奮してしまう。
「マジマジ??」「ラッキー」「たすかるぅう」3人が口々に言ってくれた。ちょっとした、野次馬根性も、こんな時は少しは役に立つのね!フフフ。
「だから、まあ、もうちょっと待ってさ、先生来て、ここを整備して、TEL行こう!」「うんっ」新聞紙では、なんとなくお尻が寒々しいなぁと思っていた頃だったので、本当にうれしい。
携帯をちらりと見た、相変わらず圏外で時刻は10時10分。子供は寝る時間だ。
93 :
M7.74:2005/10/18(火) 00:49:19 ID:hpi7mnDT
仲裁は先生かぁ。だーちゃんかと思ったよ。
続き期待しまふ。
94 :
80:2005/10/18(火) 08:59:34 ID:h1RyY9I9
窓の外に見える高速道路からクラクションの音が聞こえる。
車両は一斉に停止したようだが、
事態が飲み込めず鳴らしている者がいるのだろう。
隣の消防庁から何台もの緊急車両がサイレンを鳴らして出動していく。
あんなに多く出動するのは地下鉄サリン事件以来だ。
足の踏み場が無いほど散らかった部屋を出て、
急いでマシン室に向かう。停電でエレベーターは止まっている。
ちょうど出勤時間帯だから、閉じこめられている人がいるはずだ。
エレベーターの前で立ち止まった。
中から助けを呼ぶブザー音が聞こえる。
すまない、急いでるんだ、助けが来るまでがんばれ!
叫びながら階段を必死になって駆け下りた。
マシン室には担当職員がほぼ全員集まってきていた。
床には資料や記録媒体が散らばっている。
小型モニターが落ちてガラスが割れている。
震源の情報を発信した直後、システムが動かなくなったと報告を受ける。
停電で自家発電に切り替わった際に瞬断が起こったらしい。
システムの異常を知らせる合成音声が繰り返し流れている。
大急ぎでマシンの再起動をして、システムを立ち上げなおすと。
「地震が発生しました」合成音が響くとともに揺れが襲ってくる。
「余震だ!」作業者が大声で注意喚起する。
重ねられた黄色いヘルメットを女性職員が皆に配ってまわっていた。
頭に落下物を受けた作業者が机に突っ伏している。
額を抑えている手のひらが血まみれだ。
振り切れた地震波形が画面いっぱいに表示された。
大型ディスプレイに映された日本地図、東海地方が
血を流しているかのように、赤い丸印で埋め尽くされている。
赤い丸印・・震度7。このあたりは6弱だったようだ。
日本列島の太平洋側に赤いラインが点滅している。
津波警報・大津波を発表している。
震源は駿河湾南方沖、深さ10km、M8.0
大型のテレビモニターにはNHKの臨時ニュースが映し出されている。
各地の震度が画面を覆い尽くす。東海地方が軒並み震度7だ。
海岸付近にいる人は急いで高台に避難するように呼びかけている。
震源の位地から考えると、津波は既に陸地に到達しているはずだ。
津波警報が出される前から逃げていれば、なんとかなるかもしれないが・・
もう少し早く東海地震注意情報は発表できなかったのか。
95 :
M7.74:2005/10/18(火) 09:16:56 ID:BCP7je38
6弱だと、もう少し派手に揺れるかも・・・。
でも、凄くいいです、続き、楽しみにしてます。
96 :
M7.74:2005/10/18(火) 09:17:53 ID:BCP7je38
スミマセン.さげときます。
97 :
M7.74:2005/10/18(火) 11:24:17 ID:xdqlW5Ut
80さん、グッジョブ (((( ;゚ω゚)))ガクブルもんの臨場感です。 早く続きが読みたいっす。
98 :
80:2005/10/18(火) 15:59:39 ID:h1RyY9I9
6弱、もっときますか・・すいません、想像力が貧困で。
自分自身、千葉県東方沖地震で震度5
(当時はまだ5弱、5強に分かれてなかった)
は経験してるんですが、震度階級一つ上がると
相当ちがうものなんすね。
小説書くのって(小説なんてもんじゃありませんが)結構、疲れますねw
作家ってエライですな。
99 :
M7.74:2005/10/18(火) 17:46:25 ID:a/3oM2MW
2つの大震災が同時進行 なんだかワロス
100 :
M7.74:2005/10/18(火) 18:16:30 ID:TTDT94uM
(゚∀゚)
101 :
M7.74:2005/10/18(火) 19:23:59 ID:mLk33ISm
地震をタネに遊ぶな。被災者の気持ちになれ。
続編希望
102 :
黒猫:2005/10/18(火) 22:45:47 ID:+cBklxb3
すみません。遊んでるつもりは全く無いんです。
いつでも自分の身にこんなことがおこるのでは?と、怖がっているのです。
被災された方には、本当にいろいろな教訓、うまくいえませんが、備えなど
いつか、きっと自分の身に起こることに対して、教えていただいてると感謝しています。
亡くなった方には、心から、ご冥福をお祈りいたしますし、、。
ふざけてるような話で申し訳ないのですが、今月いっぱいくらいは続きそうなんです。
どうか、批判、大いに結構です。一般人の地震に対する妄想恐怖を書かせてください。
よろしくお願いいたしますm(__)m
103 :
黒猫:2005/10/19(水) 00:44:09 ID:aEWLKIVV
80さんのお話が面白いので恐縮ですが
すみません、いきまーーーーす。
こんなときでも、以外になんとかなるもんだなぁ、、なーーんて考えながら、先生を待つ。
ほどなく、
キターーー!両手に一杯の何かを抱えて!!
「こんな場所かよ、何時に来たんだよ?おまえら」って、、、まったく、偉そうなお人だ。
「どうも、初めまして、黒猫の友達のかおりです」「あ、どうもどうも」なんて、
若い女の子が話しかけると、
ずいぶん態度が違います事、、
「私は黒猫の隣に住んでます」と、すーさん。「自分も黒猫と同じマンションなんですよ」と、ちーちゃん。
「ああ、はじめまして、大場です。よろしく、しっかしお前が近所付き合いしてるなんて以外だな〜〜で、旦那は?」って、
一言多いんだよ!なんて口に出していったら殺される。「携帯つながります??」
「つながんねぇな」「なんですよ、だから4人とも誰とも連絡取れなくって、、」
「そっか、、、まあ、多分、明日になれば、臨時の仮設電話がひかれるはずなんだよ。ついでに、物資も相当届くはず、
今のところそんな段取りで進めてるから、今夜、とりあえず頑張れよ」と、両手に持った、物資をどさりと渡してくれた。
は〜〜ブルーシートだぁ。水だぁ〜〜。おおっ!噂の缶詰のパンだ!!2ちゃんの話ではおいしいとの噂だったな。
でも、高いんじゃないっけか??まあいいや、もらえるもんはもらっとこう。「ありがとうございますっ!!」
4人で、頭を下げると、まんざらでもなく、後ろ手に手をヒラヒラさせながら、眠れない夜を過ごす、人たちの輪の中に消えていった。
「敷こう敷こう!」「うんっ!」新聞紙の上に、ブルーシートを引く。少しだけ避難してるっぽくなった。「パンうれしいね!」私は、また食べ物の話しか出来ない、、
レベルが下がる一方だ。以外においしいと知ってるだけに興味津々だけど、
これくらいにしておこう。
「で、行って見る?公衆電話?」と、気を取り直して言ってみる。「私、行く」と、すーさん。やっぱり、旦那様が心配なんだろう。
「私も!」とかおり。
「じゃ、黒猫頼むよ、俺ここで待ってるから、3人で行っておいで、足元気をつけろよ!小銭忘れるなぁ〜〜」とちーちゃんに言われた。
やっぱり私が、一番強そうなのか??ええ??まあいいか。「じゃ行こう」3人で、歩き出す。校庭を出ると、暗い。暗い夜だ。星も見えない。
雨が降りませんように。「やだね、道悪いよね」とかおりが、ちょこまかと、散乱した何か?を避けながら歩く。すーさんは、ヒールの足がつらそうだ。
私も、足の裏痛いなぁ。前蹴りは出来そうも無い。
ほどなく、青梅街道に出る、走る車は、緊急自動車ばっかりだ。これは、きっといいことなんだろなぁ〜。
普通の人の車で、渋滞していたら、救助も何もないもんな。
だてに、政府も対策うってたわけじゃないってことね。マンションの前に出た。
すーさんが、暗いマンションを見上げ、「もう住めないかな??」
すまん、、私が、すーさんちのの窓割りました、、
心で、もう一度謝り、3人で見上げる、暗くってわからないが、もう駄目かもわからないな、、とよく2ちゃんで書かれてるセリフを思いながら漠然と思った。
公衆電話は目の前、電気はもちろん消えている。「開く〜〜!!」と、言うより早く、
受話器を持ち上げたかおりが、すぐに暗い顔をした。「だめだ、うんともすんともいわないや」そーですか、、電気が来てなきゃつかえないってことかな?
未練で、わたしも、受話器を引ったくり、10円玉をさらに投入する。「ジャラジャラ」とむなしく落ちてくる。ちぇっ。「戻ろう、タバコ吸う!私!」といったそのとき、嫌な音が、、地鳴りだ。
「やばい!!」目の前は、崩壊しそうなマンション。
後ろは、緊急自動車が、信号なんか無視して、つーか信号ついてるわけないよね状態で突っ走ってる、街道。
逃げ場は、無い。一瞬の判断。またもや、頭を覆い隠し、しゃがむ。かおりと私は、まだ、公衆電話ボックスの中!「ズシン」と縦に揺れた。
これは、、ヤバイ!!大きい!!すーさんが、植え込みに逃げようとしたのが見えたとき、
大きな揺れが襲った。
コマ送りのように、すーさんのヒールが片方脱げて、よろめき転がるのが見えた。その上に、マンションの外壁が落ちてきた!
こっちも、体勢を保つのが必死で、何も出来ない!「あぶないーーーーーーー!!」「あうっ!!!」早く収まれ〜〜〜!!これは震度5以上は確実にあるだろう。長かった。ようやく、
恐る恐る、立ち上がる、足が震える。「すーーーさーーーんっ!」すーさんの、足から腰にかけてが、瓦礫に埋まっている!!
104 :
M7.74:2005/10/19(水) 02:58:15 ID:/gRruWQM
うああああああああああああああああ
105 :
80:2005/10/19(水) 10:23:45 ID:IxJfJQ3Q
全国の地方公共団体が設置した震度計のデータがひっきりなしに入ってくる。
阪神淡路、新潟中越を経て、震度計の設置箇所が増加した。
だが、二分遅れ、三分遅れで入ってくるデータがある。
回線強化を実地していない自治体が多すぎるのだ。
最大震度が更新される地点が相次ぐ度に、震度情報を発表している。
今この時、細かい震度の情報がそんなに重要なのだろうか。
「地震が発生しました」
余震が続く。M6.2、同じく駿河湾南方沖、深さ10km。
揺れが続く中、ヘルメットのあごひもをきつく締めた。
「津波が観測されました!5m越えてます!」
大型ディスプレイは潮位を表示する画面に切り替わった。
石廊崎の潮位が振り切れてグラフから突き抜けている。
満潮時刻は9時41分頃。最悪だ・・。
「通信回線に異常が発生しました」合成音声が鳴る。
「海外へ津波電報が送信できません!」
「太平洋津波警報センターに直接電話しろ!米軍基地にも!」
「通信回線を復帰させろ!SEを呼んでこい!」
早く海外にも津波の危険を知らせなくてはならない。。
CNNの映されているモニターでは日本で起きた地震について報道している。
TSUNAMI WARNING
環太平洋の地図と津波危険地域の表示がされた。
アメリカの情報解析の方が早かったようだ。
いざというときは地方の気象台が支援してくれるが、
今後は海外とも連携していくのだろう。
続く・・かな・・・
106 :
80:2005/10/19(水) 10:32:36 ID:IxJfJQ3Q
現場の人にしてみれば、「全然ちがう」とか
「言われなくても解ってる」みたいな
恥ずかしい内容なのですが、妄想なのでご愛敬ということで。
でも、こうやって書いていると、実際、
何やってるのか見えない部分が多すぎると感じています。
自分たちの払っている税金の使われ方に対する疑問、
防災行政のありかたに感じたことを所々織り込んで
妄想は続きます。
実際はこうならないように願ってます。
うーん、続くかな・・・。想像力も限界・・。
107 :
M7.74:2005/10/19(水) 15:57:12 ID:nUlUf5Eb
あまり詳しい事は書けませんが
津波はスマトラ以降協調観察で、ヒントはシンガポール
108 :
M7.74:2005/10/20(木) 06:46:25 ID:ALliQjSe
続きが楽しみ。
109 :
80:2005/10/20(木) 12:22:42 ID:5lT/56Be
中の人キター!
すっげー恥ずかしいっす!
具体的な名称とか、詳しいこと調べるの大変です(汗
だいぶ失礼なこと書きますけど
素人の妄想ですから、ご笑納くださいw
110 :
M7.74:2005/10/20(木) 12:56:41 ID:jwRk5wq5
良スレなのでageときます
111 :
黒猫:2005/10/20(木) 21:14:30 ID:sQxQWR8S
80さんは、素晴らしいですね。知識もすごいですし、ちゃんと調べてらっしゃって。
だから、面白いんですね!!続き超楽しみにしています。
私の話は、完全に妄想の世界に入ってきました。
許してくださいm(__)m
「すーーーさん!!」「痛い、、動かない、、、」
弱弱しい声。どーする??私!!かおり!!「助けて〜〜〜〜〜!!!」声の限り、真っ暗な夜の街に向かって叫んだ。
歩道が瓦礫でいっぱいだ。ガシガシいいながら、すーさんに近寄る。「すーーーさーーーーんっ!」と、
かおりが涙声で、瓦礫をがむしゃらに、掻き分ける。私も、とっとと参加して、助けなきゃ!!瓦礫を持ち上げては、投げ捨てる。何度かそんなことを
繰り返した。すーさんの体が、全部見えた。ヒールの脱げた足、、破れたパンスト。血でそまった足。やばい。「痛い?どこいたい??動く??」
すーさんは、無言で、腰を上げようとする。が、腰はかろうじてあがるものの、足が立たないようだ。「足がすっごい痛いわ。左、、、どうなってる?」すーさんがつぶやく。
左足、、瓦礫の直撃を受けている側だ。血まみれだよ。
痛いに決まってる「考えたくないけど、折れてるかもしれないよ。とにかく動かないで!あ、でも、ここで、また余震がきたら、、ああああっ!!」駄目だ、パニックがおきそうだ。かおりが叫ぶ。
「二人でつれて帰ろう!!ここ危ないよっ!!」骨折した足を動かしたりしていいのか?悪いのか?ああ、全然わからない。救命病棟を、もっとちゃんと見ておけばよかった。
後悔ばかり。「ここ、怖いよ、我慢する、お願い、学校に戻りたい」すーさんがそういうなら、しかたない。おんぶする。私が。かおりがすーさんの上半身を抱え上げる「イタタタタ」「ごめんね!がまんして!」
すきまに体を滑り込ませ、彼女をおんぶした。足がブランブランだ。「痛い・・」耳元で小さくつぶやかれた。「頑張って!」華奢な女の子でよかった。なんとか、
学校まで位は行けそうだ。問題は足元。私も、足にゲガしてる。かおりが前を歩く。来た時より、道が歩きにくくなっている。かおりが、一生懸命歩きやすい場所を探して、前を行ってくれてる。
ありがとう。なのに、、、学校が近づくと、校庭の騒がしさが増している。校庭に踏み入ると、人が妙に増えている。「なにぃ??人大杉じゃない??」すーさんをおぶった私は言った。
「わかんないよ。。」かおりが言う。色々な、話が聞こえてくる。「お台場のCXの球形の展望台が落っこちて、海岸まで
転がった!」嘘だぁ??「内閣は地下道を通って、立川にある地下の基地で指揮をとってるらしい」ほんとかよおお??「T海大学の1号棟はヘリポートに使われてる」おおっ!!
それは、私の、出身大学。七不思議に言われていた。ほんとか??これがデマって奴ですか。まあ、井戸に毒入れられてるとかに比べりゃ、なんてことない面白いお話で済むかもしれないが。
今、そんな話を、ぼーーーっと聞いてるわけにはいかない。「どいて!どいてっ!!どけっ!」ほぼ、脅すような口調で、人の波をくぐりぬける。すーさんの手当て。しなくっちゃ。
112 :
80:2005/10/20(木) 21:36:53 ID:5lT/56Be
石廊崎に続いて、御前崎、清水港、舞阪、
鳥羽の潮位データが表示される。第一波は既に到達している。
早く通信回線を復帰させて、
第二波、第三波の予測を発表しなければ被害が拡大する。
通信回線担当のSEはまだ来ないのか。
予兆が確認された段階で呼んでおくべきだったのでは。
大型ディスプレイを困惑した面持ちで眺めている一団がいた。
判定会で招集された地震関係の先生方だ。
地震の予兆をつかむのは、やはり至難の業だったのだろうか。
歪み計の異常はつい2時間前ぐらいから始まったようだ。
昨夜から見られた東海地方の地震波の異常は、
警戒宣言の発表をする理由には成り得なかったのか。
恐らく、震源がわずかに東海地震想定震源域からはずれているので、
観測された歪み計の異常値が規定レベルを超えなかったのだろう。
堂ヶ島や伊豆諸島のあたりも監視するべきだったのかもしれない。
予算の関係で計測器の増設にまでまわらなかったのだろうが、
何兆もの金を独立行政法人にまわすくらいなら、
こちらで使った方がよっぽど国民の為じゃないのか。
研究って名目なんだろうけど、それが何の役に立ってるんだ。
何億もかけて被害想定シミュレーションしたところで、
実際には何の対策もしてないじゃないか。
気象研究所もあるのに、どうして同じようなことしている団体があって、
それぞれが別の観測網を持って、それぞれに税金が配分されて・・・。
確かに東海地震の予知自体が本当にできるかどうかも怪しくて
それだけ金をかける必要が無いと判断されたのかもしれないが、
中途半端な予知観測網なので、予知できないって言い訳か?
ムダに使われてる税金投入して観測機器を設置して、
できるだけのことはしろよ!
招集されて注意情報を発表するところまでは機能したのに残念だ。
先生方は東南海、南海地震の可能性や余震の検討をするために
また会議室へ戻っていった。
今度は迅速に、的確な判断を下してくれ。
総理大臣がテレビモニターに映る。
黄色いヘルメットから白い後ろ髪が出ている。
「東海地震非常事態宣言を発令します。
各関係省庁は速やかに緊急体勢をとり
国民の安全を念頭に職務にあたってください。
国民の皆さん、政府は全力を挙げて皆さんの生活を、皆さんの命を
守ります。どうか、落ち着いて、希望を持って行動してください!」
相変わらず熱い。
しかし、具体的に何をしてくれるというのか。
何を保証してくれるというのか。
113 :
M7.74:2005/10/20(木) 21:54:09 ID:ALliQjSe
ゴクリッ。
114 :
黒猫:2005/10/21(金) 20:48:54 ID:cIJAKtLS
別に誰も期待してはくれていないとは思いますが
明日から、25日まで、旅行に行くので、続き出せなくなります。
ほんのちょっとだけ、いきます。
「すーーーさん!!」「痛い、、動かない、、、」
弱弱しい声。どーする??私!!かおり!!「助けて〜〜〜〜〜!!!」
声の限り、真っ暗な夜の街に向かって叫んだ。歩道が瓦礫でいっぱいだ。
ガシガシいいながら、すーさんに近寄る。
「すーーーさーーーーんっ!」と、かおりが涙声で、瓦礫をがむしゃらに、掻き分ける。
私も、とっとと参加して、助けなきゃ!!瓦礫を持ち上げては、投げ捨てる。何度かそんなことを
繰り返した。すーさんの体が、全部見えた。ヒールの脱げた足、、破れたパンスト。血でそまった足。
やばい。「痛い?どこいたい??動く??」すーさんは、無言で、腰を上げようとする。が、腰はかろうじてあがるものの、
足が立たないようだ。「足がすっごい痛いわ。左、、、どうなってる?」すーさんがつぶやく。左足、、瓦礫の直撃を受けている側だ。
血まみれだよ。
痛いに決まってる「考えたくないけど、折れてるかもしれないよ。とにかく動かないで!あ、でも、ここで、また余震がきたら、、ああああっ!!」駄目だ、パニックがおきそうだ。
かおりが叫ぶ。「二人でつれて帰ろう!!ここ危ないよっ!!」骨折した足を動かしたりしていいのか?悪いのか?ああ、全然わからない。救命病棟を、もっとちゃんと見ておけばよかった。
後悔ばかり。「ここ、怖いよ、我慢する、お願い、学校に戻りたい」すーさんがそういうなら、しかたない。おんぶする。私が。かおりがすーさんの上半身を抱え上げる「イタタタタ」
「ごめんね!がまんして!」
すきまに体を滑り込ませ、彼女をおんぶした。足がブランブランだ。「痛い・・」耳元で小さくつぶやかれた。「頑張って!」華奢な女の子でよかった。なんとか、
学校まで位は行けそうだ。問題は足元。私も、足にゲガしてる。かおりが前を歩く。来た時より、道が歩きにくくなっている。かおりが、一生懸命歩きやすい場所を探して、前を行ってくれてる。
ありがとう。なのに、、、学校が近づくと、校庭の騒がしさが増している。校庭に踏み入ると、人が妙に増えている。「なにぃ??人大杉じゃない??」すーさんをおぶった私は言った。
「わかんないよ。。」かおりが言う。色々な、話が聞こえてくる。「お台場のCXの球形の展望台が落っこちて、海岸まで
転がった!」嘘だぁ??「内閣は地下道を通って、立川にある地下の基地で指揮をとってるらしい」ほんとかよおお??「T海大学の1号棟はヘリポートに使われてる」おおっ!!
それは、私の、出身大学。七不思議に言われていた。ほんとか??これがデマって奴ですか。まあ、井戸に毒入れられてるとかに比べりゃ、なんてことない面白いお話で済むかもしれないが。
今、そんな話を、ぼーーーっと聞いてるわけにはいかない。「どいて!どいてっ!!どけっ!」ほぼ、脅すような口調で、人の波をくぐりぬける。すーさんの手当て。しなくっちゃ。
ちーちゃんが見えて、叫ぶ「すーーさんが!!」私が、すーさんをおぶっているだけで、異常事態と察してくれたちーちゃんが、歩み寄ってくる。「どーーしたんだよ??なに??怪我?」
かおりが鳴きそうな声で「「すーさんの足が、、、」とつぶやく。「折れてるの??痛いよな?」ああ、神様どうしたらいいの??ここから普通に歩いて10分位のところに、大きな病院がある。
でも、、きっと、ドラマのように一杯だろう。「ねえ!!!!誰か、応急処置っ!!できないのっ!!ねええええ!!」すーさんをおぶったまま叫ぶ。反応がない。周りも、こんな時間の大きな余震のせいで
おのおの一杯一杯って感じ。どうやら、非常でほんのりと灯っていた、校舎の電気さえ消えている。「震度5強」そんな声が聞こえた。
早く、早く、すーさんの足!!ああ、文学部なんて出るんじゃなかった、、全く何の役にも立たない。医学がわかれば、、、後悔してもし足りない。
115 :
黒猫:2005/10/21(金) 21:20:33 ID:cIJAKtLS
すいません、、、同じとこ行ってしまいました、m(__)m
116 :
M7.74:2005/10/21(金) 21:50:05 ID:L9z7f2NF
あげておきます↑
117 :
M7.74:2005/10/21(金) 21:51:20 ID:DxK0eEP9
さげておきます↓
118 :
M7.74:2005/10/22(土) 15:08:37 ID:KdRqs+Cp
>お台場のCXの球形の展望台が落っこちて、海岸まで転がった!
テラワロスww
119 :
M7.74:2005/10/23(日) 00:05:06 ID:kLofJsA7
読みごたえのある文章わありがとう
中の人ではないけどさ
気象台の人が減らされてんだよなぁ〜
雨量と風力と気圧だけが天気じゃねぇさ〜
気象通報も知ってる人少なくなったしな〜
120 :
M7.74:2005/10/23(日) 18:57:29 ID:uCvgI1re
>>119 そのうち、気象通報を聞いていても「天気不明」ばっかりになりそうな悪寒(w
121 :
M7.74:2005/10/24(月) 19:21:05 ID:mi/BX0ZY
「学生の仕事は勉強」と大人はよく言う。本当にそうなら、僕はこの仕事に向いていないらしい。
学校の帰りの電車の中で、今日終わったばかりの試験問題を眺めながら僕はため息をついた。
「どうでした?」
隣の座席でにこにこしながら、3コ下の後輩が僕の顔を覗きこんでくる。
「・・・まぁ、難しかったかな。」
やっぱり先輩ぐらい上の学年になると難しいんですね。そう言って彼は再びにっこりと微笑んだ。
「お前はいいねぇ。俺もお前ぐらいの時は、試験なんてへっちゃらだったよ・・・」
言ってて悲しくなる。
変な意地を張る自分とは対照的に、後輩はこちらを向いてやはりにこにこしながら、
「もう、試験、終わっちゃったんですから。
あとは結果が出るまで、しょうがないですよ」と僕を励ます。
「試験より、来週の大会ですよ。試験期間で部活無かったから、体なまっちゃってて。」
話題を試験から遠ざけようとする彼の親切に甘えて、僕は問題用紙を鞄にしまいこんだ。
後輩はまだ中2で、僕は高2。この出来た後輩を見ていると、どちらが年上なのか分からなくなる。
僕らの学校は埼玉県にある私立の中高一貫校。私大付属なので、受験はない。
「一定の未来が約束されている」ことに、自然と僕は甘えてしまっていた。
電車は「タタン タタン」という、一定のリズムを刻んで快走している。
もう試験は終わったんだし、家に帰ったら何をしようか。
振り返って後ろの窓を覗くと、空はうっすらと夕焼け色になっている。
冬だから日が沈むのが早いな。そうつぶやいたときだった。
ズシン・・・
ふと、電車の揺れとは違う振動を体の下に感じた。
次の瞬間、車両が上下に大きく揺れた。と同時に、体が座席から浮き上がる。
網棚の上にあった荷物がドサドサと落ち、立っていた乗客が次々に倒れていく。
ゴオオオオオオ・・・という音と共に、何度も何度も車両がガタン!ガタン!と大きく揺さぶられる。
耳をつんざくような急ブレーキの音がして、車両が斜めに傾いていくのが分かった。
乗客の悲鳴なのか、ブレーキの音なのか分からない。
後輩が隣で何か叫んでいる。
体が宙に投げ出される。
目の前の窓ガラスが割れ、空が回っているのが見えた。
車両がきしむ音の後、電車は完全に停止した。
土煙があたりを支配している。
僕は床に突っ伏したまま目が覚めた。
上半身を起こすと、腕に鈍い痛みが走る。
車内には色々な破片や荷物が散乱している。
隣を見ると、後輩も僕と同じような姿勢で倒れていた。
「・・・おい・・・おい、しっかりしろよ!大丈夫か!」
「・・・大丈夫・・・」
小さい声が聞こえた。
後輩は外傷もあまり無く、無事なようだ。
起き上がった彼も放心状態で、あたりをぼうっと見回している。
「事故でも起こしたみたいだな。」そう言った僕も、まだ周りの状況をあまり理解できていなかった。
他の乗客が何人か起き上がって脱出を試みているが、横転した車内にはまだ倒れたまま動かない人が沢山いる。
立ち上がって頭上を見ると、完全に扉が外れてしまっているドアが見えた。
電車は横転してしまっている。
「出られる。」
僕も後輩を起こすと、倒れた人や足元に注意しながら、そのドアを伝って外へ出た。
・・・世界が一変していた。
123 :
M7.74:2005/10/24(月) 20:25:04 ID:eDlcDzjd
124 :
M7.74:2005/10/24(月) 20:29:16 ID:eX7Fetna
((((;゚Д゚))))スピード出しすぎ!
125 :
地震厨房:2005/10/24(月) 20:32:45 ID:mi/BX0ZY
>>123 駄文スマソ。一応、地震の小説なんですが・・・。
そうですね。そっくりっすね・・・。
とりあえず、リア厨とリア工が地震で帰宅困難者になるっていうストーリー
を考えてます。
黒猫さんや
>>80さんに比べて、読みにくくて鼻に付く文章が続きますが、どうかご容赦下さいorz。
126 :
M7.74:2005/10/24(月) 20:36:26 ID:bMUkzg5d
>>123 あれは朝だけどね、どちらかと言うとTGVの事故っぽいけど。
あれ?これは言っちゃだめな約束?
127 :
地震厨房:2005/10/24(月) 20:38:36 ID:mi/BX0ZY
外へ出た僕らは、電車の上で呆然となった。
家々が軒並み潰れている。線路沿いのビルが手前に傾き、中から煙が上がっている。
倒れた電柱に車が押しつぶされ、白い煙を上げている。。
僕らが乗ってきた電車は脱線し、滅茶苦茶に傾いて止まっている。
辺りから消防車のサイレンの音が聞こえる。遠くから悲鳴や泣き声がこだましている。
僕らはそのまま屋根伝いに線路上に降りた。架線柱が折れて傾き、レールは曲がってしまっている。
後輩は、車両から離れた線路上にしゃがみこんだ。僕はそのまま、彼の隣でただただ突っ立っていた。
倒れた車両の下の地面が少し崩れていて、そこから皆、僕らとは反対に、線路沿いの道路に降りている。
他の車両の乗客たちもその車両下の道路に降りて集まっているようだ。
「とにかくさ、皆のところに行こう。」僕は後輩にそう声を掛けた。
・・・ズンッ!
さっきと同じ衝撃に、僕らは反射的に地面にしゃがみこむ。
地面が揺さぶられ始め、車両がきしむ音が後ろから響いてくる。
同時に、揺れが激しくなり、何かが崩れる音や、ガラスが割れる音が聞こえてくる。
遠くの方で何かが爆発したような大きな火の玉が上がり、
斜めに傾いていたビルやマンションが一斉に視界から消えていく。
何が起きているんだ?一体、これは何なんだ?
128 :
地震厨房:2005/10/24(月) 20:43:01 ID:mi/BX0ZY
>>126 ああ・・・すっかり鉄道事故の小説に・・・
やっぱり、頭の中でストーリーを考えてる時は「これはイケテルッ!」
って思ってても、いざこうやって文章にするとツッコミどころ満載の
駄文長文に・・・orz
129 :
地震厨房:2005/10/24(月) 20:57:20 ID:mi/BX0ZY
暫くして、揺れは潮が引くように収まっていった。大丈夫、僕らは無事だ・・・
後輩の方を向いて、僕は声をかけようとした。
ところが、彼は立ち上がって震えている。
「どうした・・・?」
僕の問いかけに、震える指で、彼は僕らが乗ってきた車両の方を指差した。
見ると、線路に大穴が開き、盛土の赤土が露出している。
彼は震えて、黙ってそちらを凝視している。
・・・車両が、無い。
「きゃあああああああああああああ!!!」
「はやく、引っ張り出すんだ!」
「大丈夫だ、大丈夫だから!」
「助けてあげて、ねえ、助けてあげてよお!!」
悲鳴とも怒号ともつかぬ叫び声があたりに響く。
線路の盛土が崩落し、横転した車両は下に降りている人々を巻き込みながら道路上に落下した。
今、落ちた車両の周りが一体どんなことになっているのかは容易に想像ができる。
救急車が来る気配も無く、辺りは騒然としている。
僕はただただ、落ちた電車の方から目を背けることしかできない。
目の前で今起きていることは、本当に現実なのだろうか。
人が大勢電車に押し潰されたことも。
街が滅茶苦茶になっていることも。
「大丈夫か!?」僕は後輩の体を強くゆすぶった。
彼は冷や汗をかき、震えていた。息も絶え絶えだ。
とにかく、彼だけでも落ち着かせたい。ここにいても、何も出来ない。
僕は彼の小柄な体を負ぶって、ふらふらと線路上を歩き出した。
周りの家々から黒い煙が立ち昇り、夕焼け空を黒く染めている。
130 :
M7.74:2005/10/24(月) 22:41:54 ID:eDlcDzjd
123だけど、あなたの小説を読んで、地震というのは怖いものだとつくづく感じました。
というのも、阪神大震災の体験者なんであんな思いはもうしたくないです。
でもいつかは首都圏に大地震がくるから、避けられないことは事実。
東京の大学に通っているから実家に帰るのは無理ポ
地震厨房さん頑張って下さい。
131 :
M7.74:2005/10/25(火) 00:08:26 ID:aXe0W6Dw
地震厨房さん、すごい!
132 :
地震厨房:2005/10/25(火) 17:45:51 ID:8uCwXsYD
>>130 >>131 レスありがとうございます。ではさっそく続きを・・・↓
線路の上は思った以上に足場が悪い。敷き詰められた石や枕木に注意しながら、
ゆっくりと歩いていく。
この路線の線路は道路より数メートル高い盛土の上にある。
先程と同じように、あちらこちらでそれが崩壊し、線路が飴の様にぐにゃりと曲がっている。
しかし、どうしても線路沿いの道路を歩く気にはなれなかった。
道路には車が玉突き事故を起こしたまま沈黙し、
叩き潰された家々があちらこちらで道を完全に塞ぎ、そこから炎が吹き出ている。
サイレンの音はするものの、消防車や救急車の姿はどこにも見えない。
ふらふらと歩いている人も見えるが、一体何が起きたのか分かっているのだろうか?
どちらにしろ、このまま線路上を歩くしかないのだ。
「大丈夫?苦しいか?」
後輩に声をかけても、か細い返事が返ってくるだけだった。
大きい道路を跨ぐ高架橋の上に出た僕は、変わり果てた街を眺める。
下の道路は川越街道だろうか。好き勝手な向きで止まっている車の周りを縫うようにして、
大勢の人々が逃げ回っている。奥の方ではタンクローリーが爆発し、轟音を上げている。
さっき見た火の玉もこれだろうか。
死んだような車のヘッドライトがぽつぽつと見える。
高架橋は落ちてはいなかったものの、大きな段差が出来ていた。
川越街道を跨いだということは、もうすぐ大山の駅に出る。
たしかあそこには、線路沿いにまだ新しげな病院があったはずだ。
「すぐ病院に連れてってやるからな。」
後輩にそう伝えると、彼は一言、すみません、と呟いた。
133 :
地震厨房:2005/10/25(火) 17:54:52 ID:8uCwXsYD
都立病院前に救急車がひっきりなしにやって来ては、大勢の怪我人を運び出している。
患者の量があまりにも多いらしく、待合室はおろか、外にまで溢れている。
一体、どの人に声をかけたらいいんだろうか。本当に彼を診てくれるのだろうか。
だんだんと不安が募る。
「先輩・・・下ろしていいですよ・・・」
「えっ、大丈夫なのか?」
「大丈夫・・・。座らしてください・・・」
病院ロビーまで来て、彼を下ろす。
後輩の息は荒く、指先が細かく震えている。
「ここに座って、待ってろよ。診てくれるよう、頼んでくるから。」
そう言ったものの、医者や看護婦を捕まえるのは容易ではなかった。
「あの・・・、あの、すいません、、」
声をかけることすらできない。
ただウロウロすることしかできない自分を、情けなく思った。
「すいません!」
大声を張り上げると、運良く、床に座って診察を待っている大勢の人々の間を走り回っている、
1人の若い医者をつかまえることができた。
「あの、こいつ、早く診てやってください。息が上手くできないみたいで・・・」
「うん、息が荒い、ね。わかった。」
すると、彼は後輩に話しかけ始めた。
「手や口がしびれたりしてる?」
「・・・はい」
「頭痛は?」
「少し・・・」
「意識がもうろうとしたりは?」
「・・・ないです。」
「うん、意識ははっきりしているようだし、これは軽い過呼吸症だね。
心配すること無いよ。地震のショックのせいだろう。」
「どうしたらいいんですか?」
「何か袋を彼の口に当てて、少し隙間を作るようにして、ゆっくり呼吸をさせなさい。」
そう言うと彼は緑色のタグを後輩の胸下に付けた。
「また、後で観てあげるから。」
「え・・・袋なんて・・・」
医者は他の患者の下へと駆けて行ってしまった。
134 :
地震厨房:2005/10/25(火) 18:05:06 ID:8uCwXsYD
見ると、周りに居る大勢の患者の胸元に同様のタグが取り付けられている。
緑、赤、黄色、そして、黒。
僕は肩からさげていた鞄を下ろすと、中をかき回すようにして袋を探した。
くしゃくしゃになったテスト用紙。筆箱。携帯電話。・・・あった、マックの紙袋だ。
捨てるにもゴミ箱が見つからずに、取っておいたのが功を奏した。
それを、横に少し隙間が出来るように注意して後輩の口に当てる。
そうしながら、家に電話をしようと携帯を耳に当てる。
「・・・只今、回線が混雑しています。暫く経ってから、もう一度・・・」
アナウンスが流れて電話が切れた。もう一度電話をかけるが、今度は完全な無音状態になってしまった。
ふと、受付横にあるテレビが目に入った。
画面には「各地の震度」の文字が映っている。
16:55頃の地震、M7.4、東京・千葉・神奈川で震度7。埼玉、茨城南部で6弱。
「地震、だったんですね、これ・・・」
後輩が袋にこもった声で言った。
地震という言葉を、僕は心の中で反芻させる。地震って、こんなにひどいものなのか?
すると、画面は新宿上空の空撮に変わった。
都庁や高層ビルの黒い影の後ろに、煙や炎が地を這っているのが見える。荻窪や吉祥寺のほうだ。
明かりが無く、真っ黒な街の影を這う炎の竜巻の姿をカメラは追っている。
「あれ、映画じゃないですよね。」
後輩がつぶやいた。
一体、これからどうすればいいのだろう。
僕の家は?
家族は?
不安な気持ちが心の中で交錯する中、僕はゆっくり目を閉じた。
135 :
まとめ:2005/10/25(火) 19:30:42 ID:ZSsV45HV
136 :
M7.74:2005/10/25(火) 20:14:15 ID:pXOcnbye
昔あった「嘘の地震速報を書きまくるスレ」
にも小説っぽいことが書いてありましたが
それを思い出しました。
137 :
M7.74:2005/10/26(水) 13:09:01 ID:LhPoG96i
そうなんだ…
138 :
M7.74:2005/10/26(水) 20:34:43 ID:nXtnLQdU
地震厨房さん、続き期待してます。
壊れた家の下敷きになってる人とかも可能なら助けてあげて欲しいな〜〜と強く思いました。
一歩離れたところから世界を見てる感じで、飄々としてる文体、好きだなあ。
139 :
M7.74:2005/10/26(水) 21:30:05 ID:yilwWvB8
地震ノイローゼスレに小説書いてた人、続きをこのスレに書いてほしいな、と
140 :
地震厨房:2005/10/26(水) 23:18:12 ID:QlGjfu11
>>138 レス有難うございます。
実は、壊れた家から人を助け出すシーンも考えてたのですが、
最初は主人公を線路上を延々と病院まで歩かせようと思いました。
そのほうが、一歩引いたところから街を眼下に望むカンジで、主人公達が
まだ現実を受け入れられない様子とマッチすると思いまして・・・。
でも失敗だったかもです。
>>139 激しく同意。気になりますよね。
141 :
地震厨房:2005/10/26(水) 23:19:45 ID:QlGjfu11
葛飾区にある大型マンションの7階。
既に時刻は午前1時を回っている。
自室の机の上に参考書を開きながら、横にあるテレビで深夜番組を見ていた。
附属大学進学権獲得の為の目標点数、もとい「何点ぐらい取ったら大学への道は安泰かなぁ〜」
という指標を書いた紙を壁に張りつつ、勉強にはあまり身が入らない。
「まだ起きてるの?・・・何よ、テレビ見てるの?」
ふいに、背後から声がした。母親だ。
「・・・ナンだよ、勝手に部屋に入ってくんじゃねぇよ。」
「明日、試験なんでしょう?ちょっとは一生懸命になってよ。」
「うるさいな。」
僕は乱暴にテレビを消した。
「わかったなら、少しは真面目にやってよね。」
「もう、いいから、勉強するから、出てって。」
母親はもっと何か言いた気に溜息をつきながらドアに手をかけた。
「そうそう、どんなことがあっても」
「えっ」
「―――ちゃんと、うちに帰ってきなさいよ。」
僕がドアの方を振り返ると、既に母親の姿はなかった。
「・・・母さん?」
ズンッッ!
突然の揺れに目が覚めた。
ゴゴゴ・・・と地響きが響き、病院の建物が軋む。
周囲から不安そうな声が上がる。
「せ・・・先輩!」
後輩が僕の腕にしがみつく。
「だ、大丈夫だ。大丈夫だから。」
これは夢じゃない。現実だ。僕は今、現実に引き戻された。
「大丈夫、大丈夫・・・」
しばらくして、揺れはまた引いていった。
他の患者たちの間から泣き声が漏れ、医師や看護士が走り回る。
142 :
地震厨房:2005/10/26(水) 23:20:39 ID:QlGjfu11
テレビでは、只今大きな余震を感じました、とアナウンサーが繰り返している。
このテレビを観られる家庭は、今、東京にどれだけ残っているんだろう。
周りが落ち着いてから、僕は後輩に尋ねた。
「・・・俺、どの位寝てた?」
「えっ、・・・・・・えっと、2時間ぐらいです。」
「・・・2時間?じゃ、今、7時ぐらい?」
「ええ。もうすっかり夜です。でも、安心してください。さっき僕のこと診てくれたお医者さんが、
おにぎりを1個ずつと、クリスタルガイザーくれました。これも1本ずつです。」
後輩は横からにこっと笑って、非常食を差し出す。
「お、良かった。サンキュー。」
食べないで、取っておこう。僕はそのわずかばかりの食料を鞄にしまいこんだ。
後輩は、もうすっかり回復したようだが、表情は少し硬い。
「それと、後で近くの区立体育館に避難して、一晩・・・」
その時、照明が全て消えた。一斉に室内が真っ暗になる。
テレビも消え、後輩の顔も見えない。
怖い、という悲鳴が周囲から上がる。
「落ち着いてください。今、自家発電機にトラブルが発生しました。
しかし、すぐに復旧する見込みです。どうか、避難している皆さん、患者の皆さん、落ち着いて。」
医者らしき人が大声でそう伝える。
すると、外の方からサイレンの音が聞こえてきた。同時に、先程の声が拡声器か何かで叫んだ。
「た、只今、火災が延焼しているということで、消防と警察の方から避難指示が出ました!
落ち着いて、動ける方は順序良く外へとお進み下さい!重症の患者さんは、我々病院側の指示をお待ち下さい!」
にわかに周囲がざわめき始める。こんな真っ暗な中、そしてこんな患者がひしめき合う中、
どうやって「冷静に」避難しろと言うのだろう。
すると、サイレンがふたたび大きく鳴り響いた。
それが合図だった。真っ暗な中、正面玄関めがけて人々が脱兎の如く駆け出し始めた。
と同時に、外から怒号が響く。人々の声はやがて悲鳴に変わった。
143 :
地震厨房:2005/10/26(水) 23:23:26 ID:QlGjfu11
病院の中はパニックに変わった。漆黒の闇の中、人々が出口に殺到している。
下に居る患者を踏み潰しながら――。
「慌てないで、落ち着いてください!!」
医者らしき声がそう叫ぶが、悲鳴にかき消される。
「かばん、持った?」
「えっ」
「しっかりつかんでろ。離れないように。」
そういうと、僕ら2人も出口に向かった。
手を強く握り、押されながら、もみくちゃにされながら。
外へ出た瞬間、病院内とは違う空気に気がついた。熱気と轟音に支配されている。
「せ、先輩!」
後ろを振り返ると、白い建物を赤い炎の明かりが照らしている。
「これ、さっきニュースで見た・・・」
炎の竜巻。あまりに巨大で、真っ赤で、まるで炎の壁だ。
沢山の人々が滅茶苦茶に逃げ惑う中、消防車のサイレンが大きく響く。
僕らはさっき通った線路の方へ走り出した。
病院前広場から道路に出る。後ろの後輩に声をかけようと振り向くと、病院の窓から炎が噴出すのが見えた。
病院が、飲み込まれた。
「先輩、どうしよう、どうしよう」
「大丈夫だ、線路の向こう側へ行こう。ついて来いよ!」
僕らは再び駆け出した。脂汗が吹き出すのがわかる。息苦しい。
線路の土手を無我夢中でよじ登る。
登り終えたところで、僕は立ち尽くした。
後輩が、いない。
そんな、どこに行ったんだ。つい、今までいっしょに走ってたのに。
眼下の道路には人が溢れかえっていた。病院からは煙が上がる。
炎の竜巻が巻き上げた破片を人々の上に容赦なく落としていく。
僕は後輩の名前を必死に叫んだ。どこにいるんだ。ちくしょう。そんな、そんな。
消防車も巻き上げられ、街は真っ赤になり、全てが炎に呑まれていく。
僕はただただ逃げるしかなかった。後輩の名を叫びながら。
母親は、夢の中でこう言った。
「どんなことがあっても、うちに帰ってきなさい・・・。」
144 :
M7.74:2005/10/27(木) 01:10:01 ID:E/Y//+0s
地震厨房さんすごいな……。
文章にリアリティがあって恐怖感が伝わってくる
めっちゃ面白いです。続き期待してます!
145 :
M7.74:2005/10/27(木) 02:16:59 ID:IWXCpxZt
後輩君見つかるといいなぁ・・・・
悲しくなってきた
146 :
黒猫:2005/10/27(木) 09:45:19 ID:HPgTCuPr
お久しぶりです。
すごいことになってますね!
地震厨房さん、これまた、ものすごい怖くって面白いです。
私の話が、おもちゃのように思えてきました、、orz。
なんですが、あつかましく、あとで、ちょっとだけ、続きさせてください。
147 :
黒猫:2005/10/27(木) 19:40:38 ID:HPgTCuPr
つまらないですが、もうちょっとすみません。
ちーちゃんが、バッグを漁っている。「これどうだろう」出した物は、絵筆だった。ちーちゃんは、美術学校の講師。長さ、太さ、バラバラだけど、添え木になりそうだ!
「あとさ、患部を綺麗にしないと!」かおりが、バッグからハンカチを出した。「今日使っていた奴だけど、しかたないよね」私が「水で、少し洗って、ハンカチ湿らせて拭いて、
絵筆の太いのを添えて、、え〜〜あ〜〜!!!白帯がある!!」「それで固定してみよう!」役に立ったじゃん!白帯!ブルーシートに、静かに、すーさんをおろして寝かせる。
周りが暗い。「パンスト破るよ?いい??」「うん」なんだか、変態っぽい気分だが、そんな場合じゃない。「ビリっ」左足のパンストを破る。血だらけの汚れまくり。
「ペットボトルの水で、流すよ?1本いいよね?」かおりが、新しいペットボトルの栓をひねる。「いくよ!」少しずつ、患部らしきところに流して、ハンカチで少しずつふき取る。
「いたいなぁ、、、沁みる」やっぱり、骨折か??消毒もできないし、あらかた綺麗になったようにみえるので、傷のひどいところに、ハンカチを当てる。そして、太い絵筆を選んで、添えていく。
「ガムテープで、まきつけて、落ちないようにしよう!」なんで、なかなか、医学の知識なくってもなんとかなるのねぇ〜〜みんな偉い!!すーさんの左足の、ひざから下が、ガムテープで、ぐるぐる巻きに
なったところで、今度は、帯を使って、まきつけて、固定した。「痛み、、引くわけ無いよね??」かおりが、すーさんに話しかける。「ありがとう。すっごい痛いし、多分歩けないと思うけれど、
みんながこんなにしてくれて、うれしいよ、、ありがとう」と涙ぐんでいる。いいのよいのよ、付け焼刃。なのに喜んでくれてありがとうなんて、、、「あ!!私、バハリンある!」たしか、化粧ポーチに
バハリンが入っていたはずだ!!「こんなひどい痛みに効くわけ無いだろうけど、一応飲んでみたら??」と多目に4錠のクスリを手渡す。ついでに、少し、寝てくれれば、、休んでくれれば、、、
「ありがとう」といって、バハリンを飲み込むすーさん。何か、上からかけてあげたい。エマージェンシブランケットかぁ、、、無いかな??「俺さ、ふーちゃんところに行って見るよ、家族でいるから
タオルの一枚や二枚持ってるんじゃないかな?彼女らなら貸してくれるよ。それに、大家さんだって、住人が怪我したって聞いたらどうにか考えてくれるかもしれないじゃん?」「すーさん、よろしく」といって
いまだ、喧騒の激しい、校庭にちーちゃんは出て行った。ちらりと携帯を見る。時刻はもうすぐ午前12時になるところ。
148 :
M7.74:2005/10/27(木) 22:50:02 ID:eotbSWGH
バハリン・・・バハリン・・・・バハ(ry
149 :
M7.74:2005/10/28(金) 00:45:49 ID:apUjwPTo
機材の積み込みに時間がかかり、日付を越えてしまった
あの震災から五年
久しぶりにつくば仮首都から、復興中の東京へ向かう
国土交通省から気象部門を外し、環境省の属下として出来た新気象庁の発足式の為だ
あの地震、結局は予知できなかった。予測は?それもダメだった内に入るだろう
起震3分前に発令したところで何が出来たのか。テレビの字幕発表が1分前。
買い出しに出ようとして怪我をした主婦が増えたが、家に潰された主婦は少なかった。新幹線、電車の被害は国連から称賛される程少なかった。自動車は……止まれと言われて止まるドライバーが全てじゃない。
少なくとも、俺の家族は助かった。あの時、仕事そっちのけで妻子に電話したからだ。まぁ、マスコミの人間も同じだったけど
今にして思えば、俺の仕事は、気象データの整理だから地震局の連中よりは暇だったから出来たんだろう。
150 :
M7.74:2005/10/28(金) 00:47:21 ID:apUjwPTo
陸路で大手町に向かうのは、葛西辺りのギャングに狙われるし、時間もかかる
お偉方はヘリで向かうそうだ。俺は新設された地震局の予調観測部の連中と機材を乗せて新鹿島港に向かう
水没した元羽田空港、現在の羽田港まで約9時間の船旅だ
つくば丸、元カーフェリーのオーシャンさうすの白い船体が見えて来た
顔見知りの甲板長に、日付を越えてしまった事を謝り、50分も遅れた事を船長に謝罪
遅い夕食を冷食自販機で取り、シャワーを浴びて、打ち合わせを済まし、やっと落ち着くことが出来た
二等寝台で寝ていると船内放送で、横浜に自衛艦隊が停泊している為、到着が遅れる、と言われた
仕方ない。瓦礫の埋立で使える航路が減っているのだ
みなとみらい周辺は瓦礫の埋立で10メートルも地面が上がってしまった
奇跡の横浜ランドマークタワーが見られるのは、10時間後になりそうだ
151 :
M7.74:2005/10/28(金) 01:04:45 ID:kf62VAXK
>>地震厨房
文体に緊張感があって面白い!
続きが気になるが、またーりとがんばってくれ(`・ω・´)
152 :
M7.74:2005/10/28(金) 16:53:53 ID:VMwr6lTa
>>149 新小説?
だったらペンネームつけて(出来たらトリップも)
よろしく。
153 :
地震小説(SF):2005/10/28(金) 20:30:49 ID:3BpLSAlc
恐縮ですが書きます
200X年12月25日夜5時03分
今はクリスマスシーズンまっただ中もう夕方・・
自分「さてそろそろ正月の用意にかかるか・・。」
そうやってソファーから腰を上げるとなにやら外から騒ぎ声が・・
自分「なんだなんだ。」
そうやって3Fのベランダから身を降ろすと道行く人すべてが空を見上げている・・
自分もみると愕然・・・・
空に∞のマークしかもおびただしい赤色をしている・・・
自分「これは・・地震雲・・・?。」
とりあえずよく言う避難袋でも用意しておく
やがて日もしずみはじまる・・・
夜になってもかすかに∞のマークが残っているっと思ったら消えた・・
自分「急に消える・・やっぱ地震雲?・・・!。」
不安になった・・自分は一人暮らしである・・・
とりあえず地震対策グッズを買いに行った・・・
11月6日 午後8時27分 東京都葛飾区を震源とするM7.4の地震が発生。
後に京葉地震と呼ばれるこの地震は、1万2018名の尊い人命を奪い、
日本国の首都東京に深い傷跡を残すこととなる。
いつもと変わらぬ朝、私は台所のコーヒーメーカーをセットすると、
めっきり冷え込んだ霜月の空気から逃げるようにして、まだ温かみのあるベッドへ滑り込む。
一日の中で最も生産性のない、それでいて最も幸せな二度寝を迎える為である。
頭から布団を被ったまま、テレビの電源を入れると同時にパソコンを起動する。
いつもと同じ、何ら変わりのない朝。Air H"スレが臨時地震板の最上位にみえる。
沸いたコーヒーを横着にも布団の中ですすりながら、一日の中で最も安らげる時を過ごす。
そんないつもと同じ朝だった。
トントン トントントン
ベランダと室内を隔てる大きな一枚ガラスが、あたかも私に何かを伝えたがっているかのように音をたてる。
ついで、蛍光灯から垂れ下がる一筋の糸が、ガラスの言葉を代弁するかのように忙しく跳ねまわる。
『震度2だな。』
私は誰に語りかけるわけでもなく、心の中でそうつぶやく。
そこには『お前らそんな地震で騒ぐなよ。』といった、ガラス達に対する軽い嘲笑が含まれている。
私は小学六年生の時、とある地方の大地震で震度7を経験していた。
そのときのことは10年以上経つ今でも昨日の事のように思い出せる。巨大地震にはそれなりの特徴があることも知っている。
すぐさまキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! スレに書き込みをして、ハイネットを確認する。
これもまた、普段の出来事の範疇にある生産性のない行為の一態様である。
生産性のない至福の時を過ごした後には生産性のない窮屈な時が待っている。
この窮屈な時は意外にも時の経過を進める作用があるらしく、私は殊に何も考えぬままに、午後を迎える。
特段の業務を与えられていなかった私は、南陽町の郵便局に使いに出され、200通ものDMを運ぶことになる。
空虚な二つ返事で事業所を出た私は、特に意識するでもなく携帯を取り出し、新着メールを確認する。
新着5件、全通差出人は同一人物であった。差出人が同じなら内容も全通共通。
昨日メールのやり取りをしている最中に寝入ってしまった私に対する不平不満である。
別に嫌いになったわけではない。ただもう少し自分の自由がほしいだけなのだ。
元来、生産性のない行為に贅沢を見出し、それを楽しむような性分である私なのだから、
几帳面にも (つ∀-)オヤスミー を送信しなくては寝られないような状況では息が詰まる。
これをよく理解してもらえればと思い、毎度この種のメールには返信をしないことにしているが、
この行為が誤解を生み、誤解の螺旋階段を形成していることに当然のように気づいているものの、
状況を打破しようとしないのは私の限界であろう。
使いを終えて事業所に戻る。事業所はこの時間が最も騒がしい時間である。
戻った私を見とめた小雀達が、まだ羽も生えていないにも関わらず、
生意気にも私の周りに群がり、芋虫を突くかのごとく、その小さな口ばしで私を突いてまわる。
『先生!宿題持ってくるの忘れたぁ。来週もってくるよ。』
彼女のこの言葉が実現したためしは過去に一度もない。
『おいおやじ、今日は何やんの?』
私は23だが、たしかに小雀から見たらおやじではある。
いつまでも群がる小雀を巣に追い返し、私は授業の準備に入る。
この子達に将来上手に餌をとることを教えるのが今の私の仕事である。
午後7時30分、この小さな小雀に餌の取り方を教え終わる。
この後は彼らよりもう少し大人になった、それでもまだ自分で餌を取れない雀達が、
より実践的な餌の取り方を学びにやってくる。
無邪気な雀達を親元に返し、次の授業の準備をしている時のこと、
同僚のよし子が今朝の地震の話題を振ってくる。
『今朝の地震、ちょっとびびったっしょ?』
『ん?そう?ま、ちょっと揺れてる時間長かったな、震度の割に・・・』
と、私は言葉を続けそうになったが、自己の発言を脳内の判定審議会にかけ、
言葉の続きを敢えて心の中にしまっておく審判が下った。
殊に大きな地震に不幸にも遭遇した者は、地震の話題に対して敏感かつ饒舌になりがちなものだ。
しかし、この選択は間違いである。大抵の人はそこから話をエスカレートさせていくにつれ、
顔が曇り、しまいには用事を思い出し去っていく。自分から話を振った人間でさえそうであるから、
日常の何気ないコミュニケーションとして地震の話題を提起した彼女にとってはなおさらの苦痛であるに違いない。
9割方心にもない服装にまつわるお世辞を彼女に投げかけ、私は授業に向かった。
今日の授業は生物分野の復習として数枚のプリントを回答させその解説をするという、
講師にとって比較的楽な類型の授業だ。私はプリントを配りながら遅刻してきた小雀に、
これまた心にもない通り一遍の小言を投げかけ着席させるという、これまた生産性のない行為に及ぶ。
そう、義務でもないことに遅刻する人間に、義務的に遅刻を禁止することほど効果のないことはない。
プリントの2枚目の解説を終えようとしたとき、生徒の一人が落とした消しゴムを拾おうとする。
クー クークーク− クークー
私の発する睡眠導入派に屈しようとしていた生徒ともども、室内にいた全員が普段の生活では経験したことがない
形容しがたい異音に耳をそばだてる。その重低音はクとコの中間音が大小の抑揚を繰り返すかのような音である。
最初は何に起因する音なのか検討のつかなかった私に、10数年前の鮮烈な記憶が、ある一つの答えを提示した。
『地震だ!』
巨大地震の始まりには言いようのない重低音が遠くから近づき、その音の終焉と共に激しい揺れが襲ってくる。
私の体は10数年前のこの現象を、若干の反応の鈍さを伴うものの、しっかりと覚えていたのである。
しかし、自然の猛威は私にその答えをその場にいる雀達に伝える猶予を与えはしなかった。
その重低音は瞬く間に直下から突き上げる衝撃の波と変わり、ガタンガタンという音と共に、
地面と接点を持つものすべてに押し寄せてくる。
バリーン ガッシャーン ククククク
教室から外の幹線道路を臨む窓ガラスが砕け散る。幸い履修者の少ない授業であった為、
窓ガラスの直撃を受ける雀はいなかった。
それと時を同じくして、天井に装備されている空調設備が音を立てて落ちてくる。
否、飛んでくるといった表現が適切であろう。
『おい、机もぐれ。』
私は妙に落ち着いた声色で、雀たちに語りかけるように言う。
決して落ち着いていたわけではない。一度経験してなれているからでもない。
地震の衝撃が、言いようもない恐怖が、自分では到底処理しえない事態に相対した私から、
大声で適切な指示を与える為の気力を奪っていたからである。
依然として激しい揺れが突き上げるようにして襲い掛かってくる。
停電した事にも気づかず、たたただうずくまり、ひたすらこの衝撃の空間が立ち去るのを待つ。
ゴー ゴゴー ダグッシャン
何かが崩れる音がはるか遠くから聞こえてくるが、何が崩れる音かはわからない。
暗闇の中で、一番前に座っていた生徒が机の下で震えていることだけが、生物の発する
生きている証である気配から伝わってくる。皆、押黙って地震が去ることだけを思い、
机の下でただじっとしているようである。
ゴン!
相変わらず何の音かはわからないが、何やら決定的な事柄を告げる音がする。
人の運命を決める、閻魔の裁定にも似た音が、都心の狭い教室を支配した瞬間、そのような感覚。
その音がしたかしなかったかの瞬間に、地下からの突き上げも峠を越え、
徐々にその一瞬の活劇が生み出した地獄絵図の一端を、私たちが受け入れる時が近づいてくる。
『地震?ねぇ、先生。地震だよね?』
私の雀達が漸く事実を受け入れた様だ。
『怪我してない?みんな無事?後ろのほう、返事してくれ、神田?』
私はその生徒の質問の答えを内包した形で、私の雀の無事を確かめようと試みる。
『俺は別に怪我してない。』最後方の生徒から無事の便り。
『もうちょい動かないでじっとしといて。余震とかあるし。』
普段は酔っている時しか出さない訛った語尾で生徒にそう告げる。
現状を把握するためにカンタイ細胞を全身全霊を籠めて活性化させる。
その成果もあってか、徐々に暗闇に目が慣れてくる。
普段ならば外を望めるはずの教室奥から、全く外が見えない。
『3階落ちてきてんのんか?』誰に問うわけでもなく、例によって落ち着いた声色で私は言葉を発する。
『いや、わかんないよ。見えないし。』生徒もまた、誰に答えるわけでもなく、それに答える。
『したら、ちょい周りの様子見てくるわ。掃除用具入れにしか懐中電灯ないし。』
そういって私は、机の下の生徒を残したまま、普段ならば3秒とかからない掃除用具入れに向かい歩きだす。
歩き出すといっても、辺りを照らす明かりもなく、手探りで壁伝いに歩みを進めるしかできない。
158 :
地震小説(SF):2005/10/29(土) 08:32:39 ID:a0EDrB9a
店にはグッズ買う人が結構いた
すこし安心しありきたりのものを買い店を出た寒い当然だが寒い
気温2℃とよけい寒さをさそう表示が電光掲示板に映し出されていた・・
家に帰ると暖かい
自分「お〜我が家はいいの〜〜。」とじじくさいことをいってみる
そして風呂に入ってると・・・・
グララララ・・・・・・・・・・・・
自分「わっなんだ〜〜〜。」
シャワーは落ち水はあふれ洗面器はめちゃくちゃに動く
自分「っていうかまだ耐震グッズつけてな・・。」
どごーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!
そういう大きな音とともにいきなり体が浮かび上がる
お・落ちてる〜〜〜〜
おそらく1Fが倒壊したのだろう少したちようやくゆれがおさまったと思ったら
今度は停電した・・・
本当の地獄はここからだった・・・・・・・
教室を出て3歩ほど歩いたところに掃除用具入れは存在する。
存在したといった方が適切な表現ではあるが。普段は一直線の廊下に、
行く手を阻むように居座っていたはずのそれは、私が大分暗闇に慣れた目で見ても、
確かにそこに存在しないのである。
『けいちゃん?』
突如、私の後方から聞きなれた声が聞こえる。よし子の声であろう。
普段より半音上ずった声で私の名前を呼んでいる。
『そっちの教室、全員無事?』
『一応点呼はとったよ。みんな返事した。』
よし子の意外にも冷静な対応に私は少し驚いたが、そのような感慨に浸る間もなく、
次々にこなさなければならない事柄が私の頭をよぎる。
『掃除用具入れは?』
そこにあるはずの掃除用具入れの所在を、掃除用具入れ置き場とは真逆に位置するよし子に訪ねる。
『ここー、私の足元。飛んできたんだよー。』
よし子の話が事実ならば、この大人二人がかりで設置した掃除用具入れは、
先ほどの衝撃で6m近く飛んだことになる。
もし、あの時廊下に人がいたならば、怪我では済まなかったであろう・・・。
天井からの落下物に足元をとられながら、何とか傍に寄ってみると、
たしかにあの巨大な箱が、為すすべもなく横たわっている。
『電灯出せそう?』
『ふた開いてるからその辺探したら転がってるかも。』
『あったあった、とりあえず1個みっけた。』
私は懐中電灯を手に取ると、すぐさまスイッチを入れる。
それは同時に、私とよし子にこの地震が巻き起こした事実のとある一情景を叙述する、
第二の手続きであることを意味していたのである。
たしかに、地震の直後から何かしら言いようのない閉塞感ににた気持ちを胸に抱いてた。
それは、地震直後の恐怖心からくる精神の圧迫と理解していたのであった。
しかし、懐中電灯のスイッチを入れた瞬間、その閉塞感が精神的な圧迫が原因でないことに気づく。
正確には、気づいたのではなく、閉塞感の原因そのものが、私たちに気づかせたのだ。
『これ、天井?』よし子は目を丸くして、私がそれ以外の返答をするはずがないことがわかっているにもかかわらず、
ただ唯一の事実に対する回答を求めてきた。
『だよね。全部落ちてこなくて良かった。』
いつもは頭上のはるか上に存ずるはずの天井が、建物の外側に向かってずり落ち、
いわばフロア内が直角三角形のような形にその姿を変えていたのである。
『だから外が見えなかったのか・・・』
私は一人で合点がいったことに少々の満足を覚えたが、すぐさま緊急時体制に頭を切り替え、
よし子に、『とりあえずロビー見てくるから。うちの教室とそっちの教室頼むわ。』
と申し向け、床に散乱した瓦礫の中からもう一つの懐中電灯を取り出し、ロビーへ向かった。
>>158 おはよー。続き書くみたいだから俺はここまでにしときますね。
161 :
牛乳風呂:2005/10/29(土) 17:29:58 ID:u8u9Ggxb
朝飯を食いながらケーブルテレビのニュースを見ていた
突然緊急地震予報が流れて来た
今日の正午から午後九時までにマグニチュード7クラスの地震が起きるらしい
地域連絡端末には学校の休校と汎用シェルターの案内が配信されて来た
母は身の回りの物と端末を抱えて荷造りをし始めた
妹は初めてのシェルターに緊張している
親父は保険会社に勤めている為緊急召集で急いで会社に向かわなければならない
普通の会社に勤めていれば休めるのに、マヌケだ
俺は友達とシェルターでの待ち合わせ場所を相談し始める
このくらいの地震じゃ運の悪い奴位しか死なないだろう
100年前の地震じゃ2万人が亡くなったと授業で聞いた
地震予知が確立された現在では有り得ない話だ
ドラムバッグに着替えと携帯ゲーム、文庫本を入れて玄関に集まる
居住フラットからシェルターまで京急で一駅だが、恐らく混んでいるだろうから自転車で向かう
無敵の京急は、50年前の地震でも避難命令ギリギリまで走っていたらしい
まぁ、ちょっと恐いけど少しの間地下で寝てれば地震の恐怖なんて過ぎてしまう
地震の予知技術を考えた連中には感謝しても足りないな
みらいの話は無し……かな?
162 :
横浜市民:2005/10/29(土) 21:05:11 ID:+SqVRTmb
京急と市営地下鉄とにはさまれた地域に住んでる・・・・・・
163 :
M7.74:2005/10/30(日) 01:10:20 ID:UmiW3o2I
165 :
163:2005/10/30(日) 11:28:55 ID:UmiW3o2I
>>164 え〜とっ 了解。
随分連載小説多くなってきたな。
もっと増えるようであれば数規制した方がヨサソ
166 :
M7.74:2005/10/30(日) 23:27:29 ID:G9GJ11O/
今日俺はいつものように臨時地震板を覗いていた。
特に役立つのが前兆系やくるぞー系。なんとなく頼りになるからだ。
そして地震にガクプルな俺は常にラジオを常備。ノーパソを忘れてもラジオは忘れない。緊急時に絶対役立つとおもうからだ。
そして会社に到着し、今日は平常どおりオフィスでパソコンをいじっていた。
↓
167 :
M7.74:2005/10/31(月) 07:30:56 ID:4HSVtkEu
>>154 〜
すごいいい感じですね、妙にリアルなのは震災体験者だからですか?
続きを早く読みたいです・
>>163 まあ、数規制はもう少し様子みませんか?
どんどんいい感じのが始まってるし...
トリップつけテスト。
お久しぶりです。随分賑やかになってきましたね。
◆ftUyddVdPI さん、続き期待してます。
どのくらい走ったのだろう。
今まで赤く照らされていた街の風景は、また闇夜へと変わり、
熱気と悲鳴に満ちていた空気はいつのまにかひんやりしている。
後ろを振り返ると、空が鈍く赤く光っているところが見えるが、病院の辺りだろうか・・・。
「・・・うわっ!!!」
突然、ガクンという衝撃が走り、体が地面から離れた。
突如として線路に現れた大穴に僕は飲み込まれた。
またどこか怪我をしたのだろうか。体のどこからともなく痛みが走る。
辺りには何も見えない。何の音もしない。
もう、いつも電車の窓から見ていた風景はそこには無い。
もう、隣でにこにこしている後輩の姿も無い。
僕は彼を、あの炎の中に置いてきてしまった。僕は彼をひとりにしてしまった。
僕は彼を何一つ守れなかった。彼に何もできなかった。僕は、彼を・・・
ぼろぼろと目から涙が溢れてくる。
唇をかみ締めても、歯を食いしばっても、それを抑えることができない。
もしかしたら、ここにもあの炎の竜巻がやってくるかもしれなかった。
崩れた線路の土手が、僕を生き埋めにするかもしれなかった。
でも、僕はそこを動けず、ただうずくまって、泣いた。
沈んだ街の静寂の中に、延々と嗚咽が響いていた。
170 :
M7.74:2005/10/31(月) 14:10:10 ID:4XfCMmo7
>>1 10/29 日テレ 恐怖
28歳以下種痘してねっー天然痘死
ニガ・東南アジア森林開発+売国ロシア細菌兵器⇒30種類の未解明 細菌死・ウィルス死
♪マイヤヒィー ♪マイヤフー ♪マイヤアフォー ♪マイヤ母
♪マイヤヒィー ♪マイヤフー ♪マイヤアフォー ♪マイヤ母
♪ハロー サル ノマノマイェイ ノマノマイェイ ノマノマイェイ 地震ノマエに細菌イェイ
171 :
M7.74:2005/11/01(火) 00:19:30 ID:FZimIGDy
172 :
黒猫:2005/11/01(火) 00:20:14 ID:WL+5dwtm
なんだか、本格的に面白いのが増えてきましたね!
私のは、すっかり、バカみたいな人妻のたわごとになてまいりましたが
今しばらく、続きいきます。すみません。
なんて、長い一日なんだ。「ねえ、タバコ吸っていい?」と私は断り、ブルーシートをおりて、さらに端っこに行く。「ふぅ〜〜」吸いながら考えた。明日、きっと区役所や、都の救援くるよね??
あれだけ、いろいろ煽ってきたんだし、、、物資はいっぱいあるはずだよね??すーさんも、病院いけるよね?朝になれば、だーちゃんも、すーさんの旦那さんも、けいちゃんも来るよね?
わたしが、無事なんだもん。だって、杉並区は、中越の地震の時、トラックで、何台も、「長岡救援隊」なんて、横断幕はった、トラックを出動させてたもんな。大丈夫。大場先生もああ言ってたし。ふいにかおりが、
「黒猫〜交代!」と言ってきたので、思考中断。「ああ、吸いなよ」場所を交換する。かおりが「ふぅーーーっ」と長く煙を吐き出す音がする。「ねえ、こんなんじゃ、今夜誰も眠れないだろうね」
「ほんっと、校庭の人は無理っぽいよね」「体育館の中の人は寝れるのかな?暗いし意外に眠れるのかもね」「赤ちゃんとか、お年寄り、体の不自由な人が大変だよね〜〜」
「明日になれば大丈夫だよね?」と、取り留めの無い話をすーさんとしていたら、「いたっ!!」と声が!がばっと顔をあげると、シロネコの制服のまんまの、けーちゃんだ!!「けーちゃーーーーん」と
かおりが、抱きつく。いいなぁ〜〜。「よかったよ、会えて、黒猫ちゃんに、すーさん、、??どうした?怪我??」かおりが説明する。「さっきのおっきな余震で、黒猫ちゃんちのマンションの外壁がばらばら落ちてきてさ、
運悪く、すーさんだけ、怪我しちゃったんだよ。どーやら折れてる感じ。ね?」とすーさんの方を向く。「うん、、ごめんね、迷惑かけて」「いいんだって!!お互い様!」「で、3人?」と、けーちゃん。
「あと、ちーちゃんがいるけど、今、すーさんにかけてあげる、タオルとか借りに体育館に行ってる」「よかったなぁ、、ちーちゃんも無事かぁ」「いやさ、遅くなったのは、営業所いいたときに、あの地震でさ、
3人も、荷物にうもれてしまって、大変な事になってしまってさ。救出で、大変だったんだよ。ついでに、配達に出た瞬間の奴が、事故って、2人、、死んだ。」「・・・・・・・」「大変だったんだね」かおりが涙ぐんでいる。
「あ、これこれ!」と、けいちゃんが、袋を渡してくれた。「何?」「会社で用意してあった、非常持ち出し袋だよ!ひとつもらってきたよ。」うわぁあああ!ナイスナイスだよ!グッジョブ!けーちゃん!
それは、いかにも、市販されてるまんまの、非常持ち出し袋だった。でも、すごい、、「え〜〜スーパー保存水2本、カンパン、缶入りの燃料だ、アルミの鍋!簡易点火具?手巻きの充電ラジオだ!!ライト!乾電池に、簡易トイレだよ!!
エマージェンシーブランケットだ!!すーさん!かけて!」しゃりしゃりとうるさい。「あと、軍手にタオル、救急セット、給水袋?万能シート、チェックリスト、手帳、、」「すっごい!ありがとう!けーちゃん」といいながら
またかおりが、抱きついている。はあ、、こんなものが入っているんだね。すごいわ。私も買っておけばよかった。などと考えていたら、ちーちゃんが戻ってきた。「おおっ!けーちゃん!無事かぁ〜〜まってたぞお!よかったなぁ」
男同士、がっちり握手してる。手には、バスタオルを持っている。「あれ?これなに?」とすーさんのかけているエマージェンシーブランケットをちょっとさわる。「シャリ」と音がする。
「これ、けーちゃんが職場から、非常持ち出し袋もってきてくれたのよ!その中に入っていたんだ!」「非常用の毛布だって」「じゃ、このバスタオルは枕にしなよ」と、くるくるまるめて、すーさんの頭の下にいれてあげる。
「ありがとう。」「これは誰が貸してくれたの?」「ふーちゃんの友達の家族、家の中は、めちゃくちゃで、電気もガスもないから住めないけど、崩壊はしなさそうなんで、いろいろと持ち出してきていて、物持ちだった」と笑顔。
せめて、部屋に入れる人はいいよな、、ピストン輸送で、なんとか必要な物を、持ってこれるもんな。
「で、けーちゃん、携帯使える??」とかおり。「駄目、職場の人もみんな駄目って言っていたよ、かけられればすぐかけるって!」だよね。続ける「だーちゃんは?すーさんは?旦那さんは?」「まだ、こないんだ」
「そっかぁ、、、とにかく、朝までがんばろうよ!!ね?」とけいちゃんが言う。「がんばろーーー!!」とみんなで大きな声出してみた。時刻は午前1時15分。
173 :
M7.74:2005/11/01(火) 13:04:24 ID:BcrKyjtE
夜も明け切れぬ朝5時15分 巨大地震が襲った
すごいグラグラ揺れ、こんな揺れはじめてでした。
家の中がグチャグチャなってしまった。したがって私は
避難所に行きました。 食べ物配り場にいくとバナナ一本だけでした
むいてたべました。食いおわったバナナの皮を見つめながら私はこれだけ?と激しく疑問を抱いたのです。たしか
さっきの奴らはみかんやりんごももらいやがってたはず。
私は怒りが抑えきれず思わず近くにあった拡声器を手にもち 配布係のババァの耳元で
「差別はんたーい」と叫んだのだ。 避難所内は一気静まり返りみんなこっちを見てる。
普段はシャイな私がこんな緊急事態にはこんなこともしてしまうなんて・・
恥ずかしさを押さえられず、どうしようもなくモジモジしてると
どどどどどどし〜ん 凄まじい音と揺れ なにかしら?
なんと余震だ。まさにグッドタイミング 私はチャーンス!と思いどさくさに紛れ、食料をかっぱらって
身をかがめながらそそくさとその避難所を去ったのだ。 (完)
174 :
地震小説(SF):2005/11/01(火) 18:38:23 ID:CxozSrCE
自分「糞〜〜まだつけてないのに〜〜。」
自分は渋々浴槽の外にでようとする・・・
自分「あっあかねーーーーーーーーーーーーーーー。」
どんなにやってもあきそうにない
しかたないのでシャワーをぶつける・・がっ効かない・・・・
自分「うんじゃ体当たりじゃーーーーーー。」
ドン!大きな音がするどうやらいけそうである
自分「うりゃあああああああああああああああああああああああああああ。」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
しかし効かない・・・・・・・・・
すると開けるのに夢中で気付かなかったがドアの左下になにやら
小〜〜さなスキマが出来ていた・・・ハムスターなら通れるといった感じである
すると脱力
自分「こんなにずれてんのに開くわけねーーー。」
思わずさけんでしまった・・
175 :
一人で頑張る!@:2005/11/01(火) 20:10:47 ID:2A7GA2L6
2005年11月11日深夜2時05分。東京S区。
閑静な住宅街のは寝皆静まってシンと静まり返っている。
その住宅街の一角に立つ10階建てのマンションの5階。
智子も夢も見ないでグッスリと寝静まっている最中だった。
・・・最初静かな揺れが起きた。しかしそれくらいでは目を覚まさない。
ダブルベットのスプリングは隣で眠る俊彦の寝返りでも揺れるのだ。
案の定寝室の規則正しい二つの寝息に変化はない。
しかし小さな揺れは暫く続いて、突然突き上げるような縦の揺れに変わった。
流石に熟睡中だった智子もハッと目を覚ました。
「地震・・・?!」目を開けたものの、起きるでもなく暫く様子を見ていた。
隣で眠る俊彦はいびきをかいたままだ。
カタカタカタ・・・・と居間でガラスケースの扉だろうか、小さく音を立てているのが聞こえる。
起きたほうがいいかな・・・と上半身を起こしたが、すぐに揺れは収まった。
上半身を起こしたせいで俊彦を起こしたらしい。
「どうした・・・?」と寝ぼけ眼で尋ねてきた。
「今地震だった・・・結構長く揺れてたよ。」
「ふ〜ん・・・」
俊彦は自分が感じなかったから関心が無いようで、もう寝なおそうとして寝返りを打った。
その時不意に携帯電話が鳴った。
おそらく登録している地震発生時にメールを送ってきてくれるサイトからだろう。
寝なおそうとしていた俊彦がメールの着信音に寝鼻を挫かれたのかこちらへ寝返りを打った。
智子は携帯を手に取りメールを開くと想像通り、地震の震度と震源地を示すメールだった。
「・・・震度どれくらい?」
「・・・震度2・・・意外と小さかったんだな〜?!震源地は東京湾だって」
「大したことね〜な」
俊彦はまた反対側に寝返りを打つとすぐに寝息を立て始めた。
・・・縦に激しく揺れた気もしたのだがベッドの中だし、大きく揺れたと感じたのだな・・・と思い、
智子も寝なおすことにした。時計を見たらまだ2時だ。
起きる時間まで4時間以上ある。
176 :
一人で頑張る!A:2005/11/01(火) 20:31:02 ID:2A7GA2L6
深夜の地震から3時間後の早朝5時34分また地震が起きた。
このときは流石に目覚める予定の時間1時間前だったため、夢を見ていて眠りが浅くすぐに目が覚めた。
最初から横にかなりの速度と大きさで揺れているのがわかるほどだ。
揺れで目を覚まし慌てて智子も俊彦も目を開き、寝たままお互いに顔を見合わせていたが、流石にベッドから起きた。
しかしベッドから起きた途端揺れは止んでしまった。
「なんだよ・・・さっきから・・・。」
俊彦はまた寝ようとベッドにもぐりこもうとしている。
智子はもう目が覚めてしまったので、どちらにせよ起床1時間前だ、
ちょっと早いが起きて寝室を出ると台所へ行きコーヒーを入れた。ぐるりと見回したが台所は大丈夫だ。
居間へ行きエアコンのスイッチをいれ、ついでにTVをつけてみた。震度は3で震源は深夜の地震と同じ東京湾。
一応居間のガラスケースや窓などはガラスが飛散しないようにフィルムもはってあるし、
ガラスケースの中の物も耐震ジェルでびくともしない。
もちろんガラスケース本体も耐震ジェルマットをしいているので動きもしない。
が・・・しかし、ああも派手にカタカタ言われると不安になるもので、
ニュース速報を見ながら居間の様子を見回したがなんら変わった所はなかった。
ホッと一息つきながら熱いコーヒーを一口二口と飲む。
最近はめっきり寒くなって特に朝の暖かい飲み物は格別なものだ。
TVではアナウンサーが今回の地震について色々と情報を伝えている。
どうやら千葉が一番大きな揺れで次いで東京・埼玉・・・ときているらしい。
交通には支障は今の所でていないらしく、通常通り運転している。高速道路も問題ないようだ。
電車が遅れれば遅刻できるのにな〜と不謹慎なことを思ったりして一人でちょっと苦笑いした。
そういえば今年の6月ごろもこんなことあったな〜と思い出していた。
177 :
一人で頑張る!B:2005/11/01(火) 20:45:13 ID:2A7GA2L6
5月辺りから地震予知研究科などから発せられた「大地震の噂」はネットのみならず世間でも噂になっていた。
智子自身はまったくその噂を知らなかったのだが、職場の友達から教えられてネットで調べたら大量の情報に圧倒されたものだった。
初めての大地震の噂にすっかり信じ込んでしまって、6月までにはなんとかしないと!!と意気込み、
白い目で智子を見つめる俊彦のオシリを叩きつつホームセンター等で地震対策グッズを買いあさり、
防災対策に着手したものだった・・・居間の状況はそのときのものだ。
6月に入って最初の週は智子自身体調を崩し、家で休養していたのだが、
そのときに東京湾を震源とした地震が3度も来て、すっかり2ちゃんねるの地震板をヲチすることが習慣になっていた智子は
ついに来た!しかもこんなに体調が悪い時に・・・と思ったものだった。
しかも体調が悪く臥せっていることをいい事にネットをしていたので、
地震発生時は2ちゃんねるは「地震キター!」と書き込む連中で「人大杉」になって閲覧もままならなくなることを知った。
その後地震は自分の体調が良い時に来るとは限らないと学び、もう一度避難用具の再点検を行ったりもした。
その度に俊彦は白い目で苦笑しながら手伝ってくれてたっけ・・・。
・・・もうあれから半年近くが経とうとしているんだ・・・。コーヒーをすすりながら智子は思った。
あの時は噂で終わったがその後起きた震度5の地震の時にはこの時のことも役に立った。
メールは送れるが送信までにやたらに時間がかかる。携帯電話は通話が出来なくなり、災害非常ダイヤルに切り替わる。
サイトもページ表示までに時間がかかる。タイムアウトなんかざらだ。
・・・そして2ちゃんは地震祭りの最中だったが、30分もすると落ち着いてニュースより早い現状報告が入ってきて役に立つことも覚えた。
(もちろんその中にはガセネタも多く含まれており、情報の精査が必要だと痛感したが・・・。)
TVはニュース速報から通常の番組に戻っていた。
智子は朝食の支度をするために台所へと向った。
178 :
一人で頑張る!C:2005/11/01(火) 21:08:22 ID:2A7GA2L6
冷蔵庫の上で丸くなって寝ていた猫のジジに餌を与え、朝食の支度を済ませ、
お弁当を包み、3度寝をしている俊彦を起こしに行った。
就寝中に2度も地震で起こされたせいか、いつもより眠そうだ。寝癖も酷い。
俊彦はTVを見ながら淹れたてのコーヒーに口をつけつつ
「一晩で二回の地震ってヤバイの?」
地震オタクになっている智子に尋ねてきた。
「う〜ん、一応今回の地震は大地震に繋がる予兆はないって言ってるけどね。」
ジャムを塗ったパンを齧りながら携帯で2ちゃんねるの地震板を見る。
「一応予知らしきものも出てたみたいだけど・・・まぁ2ちゃんねるではいつも通り大騒ぎだけどね〜。」
俊彦は目玉焼きを食べながら苦笑いを浮かべていた。
いつもと変わらない、ささやかではあるが幸せな光景だった。
食べ終わった俊彦は出勤の支度を始め、智子は洗物を片付けると自分も出勤のために支度を始めた。
猫のジジが足元に擦り寄ってくる。出勤の支度を始めるといつもこうだ。
「毛が付くから駄目よ〜〜〜」
そういいながらも空いている片手で背中を撫でながら化粧を続けた。
7時10分。多少いつもよりはやいけれど準備も整い二人して家を出た。
二人は自宅から歩いて10分の中小企業に勤めている。
俊彦は機械の設計などを担当する部署に、智子は受付兼事務担当だ。
元々智子は俊彦の会社の取引先の受付をしていた。
何度か俊彦が設計図面などを届けに行きお互い顔を覚えデートを重ねめでたくゴールイン。
智子は結婚と同時に前の職場を辞めて専業主婦になったものの子供もおらず、
時間をもてあましていたので子供が出来るまで・・・と再就職先を探していた所、
俊彦の会社で受付が辞め人手が足りなくなって困っており、
ちょうど人材を探していた所だったので、智子の前歴から採用してもらったのだ。
179 :
一人で頑張る!D:2005/11/01(火) 21:27:34 ID:2A7GA2L6
他愛もない会話をしながら職場へ向い7時30分にはタイムカードを押し終わっていた。
メールのチェックなど始業までにこなさなければいけないことは山のようにあった。
智子が制服に着替えようと更衣室へ向っていると、上司からお使いを頼まれた。
水道橋にある取引先に届け物をして、帰りに別の書類を受け取ってきて欲しいというのだ。
届けて欲しいものは書類の他に色々あるので会社の車で行って来てくれと言われたのでキーを受け取ると駐車場へ向った。
丁度廊下で俊彦に会ったので
「これから水道橋に行ってくるね〜」と報告した。
「お使いか?」
「そうそう〜。あの女性社員が沢山いる会社だよ〜。」
「え〜。いいなぁ〜俺が行きたいな〜。」
他愛もない冗談をい言う俊彦を突くと、智子は笑いながら出かけていった。
車の運転は嫌いではない。むしろ好きだが会社の車の運転は自分の車ではないので慣れていないこともあり不安だ。
道路を慎重に進む。世田谷通りを出て環八に出る。通勤ラッシュと物販輸送の渋滞にはまる。
でも予想していたことなので出来る限り裏道を使ったが、裏道も混んでいてお手上げだった。
30分もあればいけるところを1時間近くノロノロノロノロしてしまった。
時間指定のある仕事ではないので最悪まぁ午前中に着けばいいのでその点は気楽だった。
やっと渋滞中の環八を抜けてあとは20号をひたすら走ればいい。
新宿を過ぎたあたりで携帯が鳴った。信号待ちで確認するとメールでまた東京湾を震源とする地震が起きたらしい。
車に乗っていると大きな揺れはわからないものだ。
9時26分、震度3。今朝方の地震と同じくらいか・・・。
智子は些か不安を感じていた。普段は職場は家から近いし、俊彦とも一緒だ。
地震で職場が倒壊するかも・・・というのは古い建物なので不安だが、基本的には何も心配することない環境だ。
それがこうして一人で都心部へ向っている、しかも今朝はこれで3回も地震が起きている。
今大地震が起きたらどうしよう。
自分の車には車で生活セットも載せているくらい準備万端だが、これは会社の車だ。
車に乗る前に買ったジュースももう飲みきってしまいそうだ。
智子は車をコンビにの前につけた。
180 :
一人で頑張る!E:2005/11/01(火) 21:46:29 ID:2A7GA2L6
車をコンビニの前に路駐すると、カバンを持って店内に入った。
お届け物をして帰宅する頃にはお昼を回るかもしれない。
いつもいっているその企業ではお届け物のあとは必ず職場の方と近所でランチをするのが常だ。
もしもその時地震が起きたら飲み物も食べ物もないのでは困る・・・と思った。
店内では「軽くて」「腹持ちが良くて」「かさばらないもの」「カロリーが高いもの」を中心に見て回った。
チョコレート・カロリーメート・おつまみチーズ・ウィダインゼリー・サクマのドロップ缶・ビスコ等を買った。
これが取り越し苦労で今食べなくてもいずれは俊彦と夜食やおやつに食べられるものばかりがカゴの中に入っていた。
あとは飲み物。なるべく小さなボトルのものを数買おうと思い、250MLのペットボトルのお茶やお水を3本と、
500MLのお茶を3本買った。これだって今日飲まなくても後日のむことの出来るものだ。無駄にはまるまい。
レジでお会計をして袋に入れられたものを車に戻り最低限カバンに詰めた。
今朝用意したお弁当がカバンに入っていたので、それと一緒に残りは車の中に置いた。
お昼前にお届け先に着いたので車を地下駐車場へ停め、エレベーターで8階まで上がった。
地下駐車場に停めるのも怖かったしエレベーターも怖かったのだが、
どちらとも車から搬出するものの多さにそうせざるをえなかった。
お届け物を無事に終え、書類を受け取ると丁度お昼になった。
いつもお世話になっている方と近くのイタリア料理屋さんでランチになった。
ここも半地下のようなところにあって、
今地震が来たら・・・と不安に思ったがランチのお誘いを断るわけにも行かずついていった。
お店に入る前にあまりにもキョロキョロしていたのだろう、先方の方に
「どうかしたんですか?」
と聞かれてしまった。
まさか「地震が来た時、このお店大丈夫かな〜と思って」
とは言えず
「いえ・・・素敵なお店だな〜と思って」
と微笑みながら取り繕った。
181 :
一人で頑張る!F:2005/11/01(火) 22:09:02 ID:2A7GA2L6
無事ランチ中に地震が起こることもなく、智子は帰りの車の中にいた。
車内に置かれたお弁当などの入った袋を多少恨めしそうに見て、車を発進させた。
やはり取り越し苦労か。せっかく朝作ったお弁当も無駄になりそうだ・・・そう思った。
水道橋の交差点で信号待ちをしている間、信号機を何気なく見ていたら揺れていた。
横の街路樹を見ると街路樹もかすかだが揺れているようだ。
歩いている人は皆不安げに立ち止まっている。
車のアイドリングの振動なのか、それが地震の揺れによるものなのか車にいると良くわからない。
ラジオを付けるとやはり地震らしい。スタジオも緊張気味だ。
信号が左折を表示したのであたりを見回しながらゆっくり注意深く曲がった。
その時だった。ゴゴゴゴ・・・と地を這うような音がした。車の中にいてもわかる不気味な振動だ。
交差点を左折して直進してすぐに、下から突き上げるような揺れを感じ、ハンドルを左に取られた。
「きゃぁぁ」
智子は小さく悲鳴を上げながら一生懸命ブレーキを踏み、ハンドルを握って体制を立て直そうとするが
車はどんどん左へと寄っていってしまう。ついには路肩にぶつかるようにしてやっと車は停まった。
先ほどから聞こえているゴゴゴゴと地を這うような音はいまだ聞こえており、
停まった車だからわかる、ものすごい揺れだ。車の中はかき回されたように縦へ横へと揺れている。
地鳴りと共に人の悲鳴に混じって物凄い轟音が聞こえた。
後ろを振り返ると交差点の歩道橋はこちら側に向って倒れ、車が何台か下敷きになっている。
横を見ると歩道の人は皆地面に這いつくばっていて、街灯や電柱も大きく揺れている。中には倒れてしまっているものも多数ある。
車の中にいたほうが安全なのかそうでないのかわからない。
でもあまりにも激しい揺れで動くこともままならない。だから歩道の人は道路に這いつくばっているんだ。
恐怖に怯えながらも左を見るととりあえず横には建物はない。左折した時自分が先頭だったので衝突もしなかった。
後ろの車は・・・一台も見えない・・・。皆歩道橋の下敷きだ・・・。
ラジオも局アナの悲鳴を最後にザーという音に変わってしまっている。
182 :
一人で頑張る!G:2005/11/01(火) 22:23:23 ID:2A7GA2L6
・・・どれだけ揺れていたのだろうか。車の中で頭を抱えて伏せていたのだが揺れは収まったようだ。
あたりを見回すと揺れている最中にちらっと見たときとは打って変わって大変な事になっていた。
目の前の信号機の柱や電柱は皆なぎ倒され、その向こう側に見えていたビルは道路を寸断するように倒れていた。
反対車線の車はスピードを出していたのだろうか、ひっくり返っているものまであった。
しかも反対車線側のビルはギギギと不気味な音を立て、隣に寄りかかっているものもある。
あともう一度揺れが起きたら確実に倒壊しそうだ。
幸いこちら側にはビルはないので倒壊してくるものはなさそうだが、
反対車線側のビルが倒れてくればこちら側もただでは済まない。
しかも後ろで「誰か!助けて!」と悲鳴が上がっていた。
バックミラー越しに見ると歩道橋に押しつぶされた車の中から人が叫んでいる。
智子は周りを見回すと、車からおりて駆け寄ろうとした。
その時側にいた人が智子の腕を掴んだ。
「行っては駄目だ」
智子は涙目になりながら掴まれた腕を振り払おうとした。すると男は、
「見てみろ。あの車の状況と向こう側の車を」
そう言われてみてみると助けを求めている車は前の部分は辛うじて潰れずに済んでいる。
それで助かったようだ。しかし後部が押しつぶされているため、シャシーが曲がっていて扉が開かないのだろう。
そしてその押しつぶされている部分からガソリンが漏れて道路に広がりつつあった。
そして視線をその向こう側に移すと、智子は思わず息を呑んだ。
焼き芋屋さんの車なのだ・・・。これではいつ引火してもおかしくない状況だ。
だからこの男性はとめたんだ・・・そう理解すると智子は力なく膝から崩れ落ちた。
その時車に引火して大爆発が起こって人の叫び声が聞こえた。
智子は耳をふさいで叫んだ。
183 :
一人で頑張る!H:2005/11/01(火) 22:41:25 ID:2A7GA2L6
ボン!ボンッ!と倒壊した歩道橋の下から火の手が上がりあたりの車に引火していく。
離れていてもその衝撃は伝わってくる。智子は地面に崩れ落ちそのまま泣き崩れた。
智子の行動を止めようとした男性は未だに智子の腕を放してはいなかった。
「・・・この場所は危険だ。離れたほうがいい」
とういうと泣きじゃくる智子を立たせようとした。
そうだ・・・泣いている場合じゃない。とにかくこの場を離れないと。
男性はもう歩き出していたが、智子は車の中の荷物を全てカバンに入れると、前方の道路を%8
184 :
一人で頑張る!H・5:2005/11/01(火) 22:44:14 ID:2A7GA2L6
すんません。途中で切れちゃいました・・・orz
男性はもう歩き出していたが、智子は車の中の荷物を全てカバンに入れると、前方の道路を見た。
ところどころ陥没して、アスファルトはめくれ上がり、電柱は倒れ信号も動いていない。
更に前方のビルは倒壊して道路をふさいでいる・・・車ではいけない。
仕方が無いので車にキーをつけたまま、名刺を一緒に残し放置して歩き出した。
とにかく帰らなきゃ。まさか自分が帰宅困難者になるとは夢にも思わなかった。
俊彦は大丈夫かな・・・俊彦と家に残してきた猫のジジが心配だ。
自分はこの悪夢のような状態でも奇跡的に助かった。だったらその奇跡を信じて帰らなきゃ。
そう思うともう泣いている場合ではなかった。涙を拭うと先ほど智子の腕を掴んでいた男性の後をついていった。
男性も一人が不安なのか智子が車から出てくるのを少し先を歩いた所で待っていてくれた。
「先ほどはありがとうございました・・・。」
智子がお礼を言うと男性は
「僕は丁度あの歩道橋を渡り終えて道路を歩き始めてすぐに歩道橋が倒れるのを見ていたから・・・。
君の車だけがゆっくりと左折してきたのも見えていたからね・・・。」
男性も目頭を指で拭っていた。
「助けを求められても自分の命を犠牲にして助けてあげることは出来ない。
それが守るものを持つ人間の弱さなのかもしれないな・・・。」と男性はポツリと言った。
智子はその言葉に小さく頷いた。今無性に俊彦に会いたい・・・そう思った。男性は続けた。
「実は先月結婚したばかりで・・・。出来ちゃった婚で子供もいるんですよ。」
そういうと背広から男性と智子に面影の似た女性と可愛い赤ちゃんの写真を見せてくれた。
智子が黙ってみていると
「・・・お気づきかもしれませんが、あなたは僕のよめさんに似てて・・・それでつい・・・」
そういうと悲しそうな瞳で写真に視線を落とした。
185 :
まとめ:2005/11/01(火) 23:04:09 ID:Rm9aHUe6
*<現在連載中の小説>*
■ 黒猫さん作:
>>11〜
■ 80さん作:
>>80〜
■ 地震厨房 ◆ikExn4d2/Yさん作:
>>121〜
■ 149さん:
>>149-150 ■ 地震小説(SF):
>>153〜
■ ◆ftUyddVdPIさん:
>>154〜
■ 一人で頑張る!さん:
>>175〜
*<執筆終了の作品>*
■ 12さん(!?)作:>12-13
■ 173さん作:>173
*<不明>*
■牛乳風呂さん:>161
■166さん:>166
186 :
一人で頑張る!I:2005/11/01(火) 23:04:32 ID:2A7GA2L6
男性は更に背広から名刺を出すと
「もしもの時の為に交換していただけませんか」
そういうと智子に名刺を差し出した。講和出版 出版部 酒巻一郎とあった。
智子も慌ててカバンから名刺を出した。
「へ〜?!名前も似てるな〜。
僕のよめさん智美っていうんですよ。智の字が一緒ですね。」
そういうと酒巻は智子に笑いかけた。他愛もない会話がこの殺伐とした状況を和ませてくれる。
でも現実はあまりにも直視に耐えがたい状況だ。
酒巻と智子はゆっくりとした足取りでしかし確実に新宿方面へ向っていた。
とにかく足場が悪い。おまけに智子はヒールだ。歩きづらくて時々けつまづく。
そんな智子を酒巻が歩きやすい部分を選んで歩いてくれるので大分助かっていた。
やがて水道橋から見えていた道路をふさぐ形で倒壊したビルが見えてきた。
酒巻は智子に川とは反対側の道路へ行こうと提案していた。水道橋から四谷の交差点までは川沿いだ。
酒巻と智子は今歩いていた川沿いとは反対側の道路へ渡り、倒壊したビルは向かいのビルに突き刺さっていて通れそうもない。
仕方なく迂回する事にしてやや坂道になっているわき道へと入った。
するとまたゴゴゴゴと音が聞こえてきた。余震かと身構えたが水の音のようだ。
おそらく今朝から群発していた地震と同じ震源なら東京湾だ。これだけの地震なら津波が起きてもおかしくない。
後ろを振り返ると川は淵を洗うように人の歩く高さまで波となって、ありえない高さの津波が川を駆け抜けていった。
川沿いを歩いていた人は一緒に濁流へと飲まれて消えていった。
1時間も歩いただろうか。横道にそれてから改めて川沿いに戻って四谷を目指していた。
津波はどの規模で、そして何回くるのだろう。それがわからず川沿いを歩くのは躊躇われたが、反対側のビルもいつ倒壊してもおかしくない状況なので仕方なかった。
そろそろ休憩を取ることにしましょうと提案した。もう足が痛くて痛くて辛い。
187 :
一人で頑張るJ:2005/11/01(火) 23:16:31 ID:2A7GA2L6
酒巻は背広からイヤホンを取り出した。智子が不思議そうに眺めていると
「あ・・・僕競馬実況聞くんで・・・おやじっぽいですよね」
と笑いながら言った。そのためにカード型のラジオを持ち歩いているようだ。
「NHKなら情報聞けそうなんだけど・・・」
そう言うと酒巻はチューニングを色々と変えて拾える電波を探しているのだろう。
しばらくして黙って耳をそばだてていた。
智子はカバンからお茶を出した。喉が渇いていた。
5分くらい黙っていただろうか。酒巻が重い口を開いた。
「やっぱり東京湾を震源とした地震で東京は震度6弱。千葉に到っては震度6強らしい。」
智子も今朝の地震を思い出していたのでゆっくりと頷いた。
「東京湾では津波が発生して、江東区などの海面0地帯は津波で相当の被害が出たようだよ。
一応津波はもう来ないらしい。第二波は高波程度だそうだ。」
智子も重い口を開いた。
「あのあたりは前から危ないって言われてたものね・・・。避難できていればいいけど・・・。」
二人してため息をついた。酒巻がいなかったら情報はまったくなかっただろう。
お礼という訳ではないが酒巻にも水かお茶どちらがいいですか?とすすめた。
「助かった!ありがとう・・・本当にありがとう・・・。」
酒巻は一口一口大切そうに、一滴一滴を細胞に染み渡らせるようにゆっくりとゆっくりと飲んだ。
智子は携帯電話を見てみたが基本的に「圏外」でネットもメールもいわんや電話もかけられない状態だ。
強いて言えば時計と写真が見られることで勇気付けられる・・・ってとこかな。
188 :
一人で頑張る!K:2005/11/01(火) 23:30:39 ID:2A7GA2L6
天気が良かった事が唯一の救いだった。
これで雨でも降っていたら11月の雨は寒さを呼ぶので大変だっただろう。
今日は11月でも暖かいほうだった。
水も飲み落ち着いたので再出発した。もうすぐで四谷だ。
地震発生から2時間が経つ。駅前を通過するたびに駅の周辺は消防車と救急車で一杯だった。
川沿いを歩いているがその向こう側は電車の線路だが、地震発生から電車の姿は見かけない。
途中にあったコンビニやスーパーは物を買い求める人々で溢れかえっていた。
販売停止している自販機は略奪にあっていた。
陽気が良い分、避難して歩いていれば喉も渇く。
智子は酒巻に会えた事を本当に感謝していた。自分ひとりでちゃんと帰り道を歩けただろうか。
女性一人で飲み物の入ったビニールを持って歩いていれば襲われたのではないか。
時々背広から写真を取り出して自分を奮い立たせている酒巻を見上げ心から感謝した。
11月の日暮れは早い。
夕方4時近くなるとあたりが段々暗くなってきた。
ようやっと四谷まで来た。きっと足場さえしっかりしていれば徒歩でもそんなに時間はかからなかったのではないだろうか。
でも足場は悪いし、倒壊現場は迂回しなければならないしでかなり時間を費やした。
四谷まで来ればあとは新宿へ向うだけだ、そこからは裏道を使っても帰れる。
酒巻は家が京王線沿線だといっていた。智子は小田急線沿線なので途中までは一緒に歩ける。
黙々と歩くのも怖いので、時々お互いの家族の話などをした。
とにかくお互いの家族が無事であることを
そして無事な家族に自分も無事な姿で会えることを祈るばかりだ。
189 :
一人で頑張る!:2005/11/01(火) 23:31:17 ID:2A7GA2L6
疲れたので休憩します〜。
190 :
166:2005/11/02(水) 00:30:23 ID:8xGAlvul
およ?これってみんなで書く小説じゃないのか。
キーボードの音が鳴り響く。そんな中自分もメールを見る。新着150件なんて読む気になれない。
俺はこんな時間を無駄に感じる。それだったら家で2ちゃんねるをしながら情報収集をしたほうがいいんじゃないかと思う。
持ってきたラジオでJ-waveを聞く。プラス思考のお姉さんお兄さんが多いからだ。まぁ、これが唯一の娯楽。地震が来るなんてことを考えるとなかなかプラスになんかなれやしない。
そして他人の目を盗んではウィンドウをopenjaneに切り替える。メールソフトに似ているjaneは案外気づかれにくい。
・・・っと思ったら横を通った。危ない危ない。・・・とかいってる自分も馬鹿かもしれない。こんな10畳あるかないかの小さなオフィスで何をやっているのだろうか。しかもまだ19。新人だ。
大学は親父がリストラで行けなかった。だからこうやって仕事をしている。友人たちは大学でキャンバス生活。「いいよな〜あいつらは遊んでるだけで資格が取れるんだもんな〜。」
191 :
一人で頑張る!L:2005/11/02(水) 12:54:40 ID:RT5segR/
四谷へ向うカーブの坂下はスピードの出ていた車が停まれずにぶつかったのだろう。
そこここにビルに突っ込んだ車や炎上しているものも数多く見られる。
この大通りは今や車による火災街道だ。とてもじゃないけど歩けない。
やはり横道へそれて街道にそって歩く形になる。
街道からそれた道はどの道も大きくはないので倒れた建物が道をふさいで歩けない。
迂回の迂回をして段々方向感覚が失われていく。
ただ救いだったのは会社と自宅にそれぞれ2冊ずつ(俊彦と智子の分)帰宅支援マップを購入して置いてあったことだ。
もちろんこの日も智子はカバンにそれを入れてあった。
とても細かい地図ではないが大体のことはわかる。
横道にそれた時は歩きながらボールペンで歩いている方向を書き記した。
途中酒巻は尿意を催して建物の影で用を済ませていたが、智子もそろそろ限界だった。
マップによると20号まで出ればガソリンスタンドがあり、そこが今一番近い支援所だった。
そこへ行けばトイレも何とかなるだろうと思っていた。まだ我慢できる。
無事何とか坂道を登りきったが、20号に近づくにつれ熱い空気が立ち込めていた。
近づけば近づくほど乾いた空気は熱気を帯び、空から灰のようなものが降って来た。
「・・・火災が凄そうだ・・・」
酒巻は暮れ始めている空を見上げた。夕闇迫る時間だが空が赤い。
なんとか裏道を使って四谷の交差点近くへ出てきた。振り返って四谷の交差点を見ると大変な事になっていた。
青信号で結構皆スピードが出ていたのだろう。
横転している車、衝突している車、倒れた信号機の下敷きになった車、それらが皆業火の中にある。
業火の中心では空気が渦を巻き、ゴゥゥと唸り声を上げていた。
その火を囲むように消防車が必死の消火活動を行っているがあまりの車の数に対応し切れていない。
とにかく燃えていない車にもいつ火が点くかわからないので近寄らず速やかに避難するように指示が聞こえる。
幸い本日は風は殆ど吹いていない。そのためなんとか延焼は抑えられているようだ。
酒巻も智子も呆然とその燃え盛る炎を見ていたが、消防団の一人が
「危ないから迂回して避難して!」と叫んで回ってきたのでハッとなり、元来た道へと戻り、横道から新宿方面を目指すことにした。
192 :
一人で頑張る!M:2005/11/02(水) 13:18:57 ID:RT5segR/
智子は尿意が限界に達していた。酒巻もそれが一番気がかりだった。
そこらへんでしろとも言えないし、簡易トイレなんかも持ち合わせていない。
持ち合わせていたとしても物陰に隠れる必要があるだろう。
とりあえず横道にそれて暫く行くと倒れたファミレスの看板が見えてきた。
「たぶんあそこにファミレスがあるんだろう。あそこでトイレを借りよう」
酒巻は智子を励まして智子も恥ずかしいやら申し訳ないやらで俯きながら頷いた。
近づいて二人でため息をついた。ファミレスは倒壊してしまっていた。
ビルの一階が駐車場という脆い構造建築物で、一階が押しつぶされ2階のファミレスが一階になってしまっていた。
近づいて見てみたがドアはへしゃげ、とても入れる状態ではない。しかも今にも道路へ向ってビルごと倒れてきそうだ。
智子はこれ以上この建物の側にいるのは危ないと判断し、酒巻とともにその場を離れた。
暫く歩くと新しく出来たばかりのビルなのか、特に外見からは壊れているところがあるようにみえないビルが見えてきた。
「あそこで借りよう。支援所ではないけど貸してくれるよね・・・。」
智子は弱弱しく言うと周りを注意深く見回し、ビルへと入っていた。
酒巻も一緒についていく。次にトイレを見つけられるのはいつになるかわからない。
出せるものは出しておきたい。
立派なビルなので守衛にもしかしたらとめられるかも・・・と思っていたが入り口には守衛の姿はなく、
ロビーは天井のタイルが落ちてきたらしく、多くの人が怪我をしていない人に手当てをしてもらっていた。
智子は誰に声をかけるでもなくとりあえず構造上トイレは奥だろうと思い歩いた。
エレベーターホールを過ぎてすぐのところにトイレはあった。
どこもかしこも天井のパネル(ガラスも使っていたようだ)が落ちていて粉々になっているものや原型を留めているもの様々あり、歩くのに一苦労だ。
まだぶら下がっているものもあるので上も注意深く見ながらトイレへと進んだ。
トイレの中は新しいビルのトイレとは思えないほど悲惨な状態だった。
地震で水が来なくなったことからトイレが流せない。便器からは汚物があふれ出ていた。
6個の個室全てがこの有様なのか・・・と思って覗いていくと二つだけましなトイレがあった。
中に入るが扉もへしゃげているらしくちゃんとはしまらない。それでも構わないのでしまる所まで閉めてみた。
扉の内側には張り紙がしてあって「尿はバケツへ溜める。大はそのまま便器へする。バケツに尿がたまったら便器へ入れ流す」と書いてあった。
便器の中は汚物で一杯だったが溢れるほどではない。横のバケツには尿が半分くらいまで溜めてあった。
半信半疑で智子も便器ではなくバケツで用をたし、結構溜まったのでおそるおそる便器へ入れ、思い切り便器のノブを下ろした。
すると配管は無事なのか汚物は流れていった。
「・・・へ〜すごい。」
手を洗えないことが不満だったがこんな状況下でそんなことを言っていられない。
用を済ますとトイレを出て酒巻と合流した。
193 :
一人で頑張る!N:2005/11/02(水) 13:44:06 ID:RT5segR/
トイレも済ませ、ちょっと気分的に楽になった。でもこれはとても大変だ・・・とも思った。
喉が渇いたからといってやたらに水を飲むとトイレが近くなる。でもトイレはそう簡単には探せないのだ。
酒巻も同じことを考えていたようで、ビルを出たところで少し水を飲んだが口にちょこっとだけ含ませて暫く口の中や唇を潤してから飲み込んでいた。
少しだけこのビルの中で休憩を取ると再び歩き始めた。
歩き続けて1時間ほど経つと見覚えのある場所に出てきた。新宿御苑だ。本来ならこの時間帯は閉園していて入れないはずなのだが避難所になっているため人で溢れかえっていた。
出口と入り口を分けていて他の入り口は開けていない為かとても統制が取れている。
皆入り口で乾パンと水と毛布をもらっている。酒巻と智子もとりあえず一休みしようと思い中に入った。
ところが入り口で「新宿区民のみに配布している」と言われ、乾パンも水も毛布も何ももらえないどころか中へも入れてくれなかった。
職員が二人を押しのけて来たほかの人に「住所を証明できるものありますか?」とか「3丁目の田中さんですね」と名簿を見て確認を取っている。
「ちょっと休ませて欲しいだけだったんだけどな・・・」
智子も酒巻も恨めしげに新宿御苑の入り口を眺めていた。
良く見ると入り口やその周りにはやはり帰宅難民と思われるスーツ姿のサラリーマンやOLが道路に座り込んでいた。
新宿御苑のフェンスを乗り越えようとしている人の姿もあり、職員と喧嘩になっていた。
「人が多くて逆に怖いね」
智子は自分がかなりの非常食を持って歩いていることを知られることが怖かった。
「そうだな・・・もう少し先へ行ってみよう」
二人は新宿御苑を後にした。
相変わらず20号の方向は火災が凄いようだ。裏道を歩いていてもゴム製品の燃えるような嫌なにおいがする。
もう7時を回ったため夜空は真っ黒なはずがその方向は煌々と赤い。
帰るためには20号を渡らなければならない。どこかで渡れる場所があるのだろうか・・・。
ようやっと新宿駅前に来て見たが、歩いている人よりも倒れている人の方が多い。
通りすがりの人たちが「山手線が次から次へとぶつかって大変な事になってんだよ」と言っていた。
確かにダイヤがタイトなので5分おきくらいに電車が来る。でもそれぞれ停まることは出来なかったのだろうか?
194 :
一人で頑張る!O:2005/11/02(水) 14:25:15 ID:RT5segR/
酒巻もその会話の内容を聞いていた。暫くして口を開いた。
「色々な情報が入ってくるけど、自分の目とで見たものを基本的に信じたほうがいね。」
そういうと智子に笑いかけた。そうだ情報に振り回されるのが一番危ないと智子は6月頃に地震情報に翻弄されていた自分を振り返ってそう思った。
でも駅前は本当に大変な事になっていた。駅前のビルの外壁が崩れたらしく人が沢山下敷きになっていた。
駅の前の道路は20号と立体になっていたはずだが、今は20号の立体部分がない。
あったはずの場所には大量のタクシーらしき車と瓦礫の山が炎上していた。
ここも通り抜けられそうも無い。明治通り方面へ出て迂回するしかないかもしれない。
どこもかしこも火災だらけだ。目を開けているのが辛くなってきた。おそらく目には見えないけれど煤が目に入ったのだろう。
コンタクトレンズがかすむ。今日はメガネも持っていないし、コンタクトレンズを出すケースもない。
アクビをしたりして涙を分泌させるしかない。目を洗うことも出来ないのだから。
喉もかなり痛くなってきた。このあたりに長くいないほうがいい。疲れた足に鞭打って足早に駅前を後にした。
しかし明治通りへと向う間も空気の汚染度は酷くなっていた。
出来るだけ顔をハンドタオルで被う。酒巻も智子も顔は煤だらけだった。
20号と同じくらい明治通りも凄惨な状況なのかもしれない。
仕方無しに明治通りまで出るのは諦めて、その間の細い道をひたすらアルタ方面へ向って歩いた。
いつもなら賑やかな繁華街も今は電気が来ていないのだろう、真っ暗で足元も悪い為ゆっくりしか歩けない。
ゴゴゴ・・・と車や建物が燃える音は離れていても聞こえてくる。
その中倒壊しかけている建物の横を通るのは本当に怖い。小さな音も聞き逃せず全神経を耳へと集中させていた。
新宿駅を中心に南口西口東口・・・とひたすら歩き続けた。もともと新宿駅周辺はゴチャゴチャしている。
幹線道路が寸断され火災が起きて歩くこともままならない状況では避難することもできない。
どこの道でも一生懸命消火活動がされているが焼け石に水といった感じで遅々として進んでいない。
右が鎮火したと思ったら今度は左。その向こう側でも新たな火種が・・・といった感じだった。
195 :
M7.74:2005/11/03(木) 01:53:39 ID:CBA4fyZp
tuduki?
196 :
M7.74:2005/11/03(木) 03:00:31 ID:aGB9XS+B
黒猫さんの続き読みたい
197 :
M7.74:2005/11/03(木) 04:31:20 ID:zJeib02K
一人で頑張るさん、面白い!
緊迫感メチャあります。
198 :
黒猫:2005/11/03(木) 17:10:47 ID:a8zWUn5u
>>196 ありがとうございます、、、
忘れられたかと思っていましたww。
ちょっとだけ、続きいきます。
騒然とした、校庭の面々は、私達の声さえ、気にならないようだ。いいんだか?悪いんだか?と、こんな時になんだけど、トイレに行きたくなってきた。
でも、校舎のトイレは、、、おえ〜〜〜っ、なんだよな。使っちゃ悪いかな?と
思いつつ、言ってみた「ねえ、トイレいきたいんだけど、校舎のトイレ嫌なんだ、そのさ、簡易トイレ使っていい??」「もちろん!いいよ。」と、けーちゃん。
なんだか、心もとないけど、あくまでも簡易だもんね。
みんなにトイレ宣言してるから恥ずかしいけれど、さらに隅っこの、植え込みの裏側に回って、済ませた。はぁ〜〜、水飲むの控えよう。と誓う。
戻ると、ちーちゃんと、けーちゃんが、手巻きラジオを充電している。「ラジオ聞きたいよね〜」
「俺もここに来るまで、いろいろあったけど、この地震で、何がどうなってるかって?ちっともわからないんだよね、すごく知りたいよ」などど話している。
私も知りたい。東京がどうなってしまったのか??ふいに、ラジオの音が聞こえてきた。
「ザザッ、、ここまでの情報をまとめますと、確認できているだけで、死者657人行方不明者数不明、東京都内全域の公共の交通機関はすべて利用できなくなっています。
なお、主要幹線道路は、緊急車両が通行しますので、車での移動は絶対に避けてください・・」
「あのさ、死者657人って多いのかな?少ないのかな?」とわたしがつぶやくと「きっと、わかってるだけだろうからこれからどんどん増えるんじゃないの?だって、行方不明者数が不明って」とちーちゃん。
「だよ、だって、おれの職場だけで、2人も死んでんだぜ!」「黒猫みたいな人だって、まだいっぱいいるんじゃない?」とかおり。そうだ、私だって、今だ、マンションから出れなければ、
もし、ベランダが開いていなければ、その行方不明者の一人になってるところだったんだ。
「だいたいさ、最近って、地震が起きても、最初の震度が修正されたりさ、いろいろと対策練ってる風で、結構適当だと思わない?」シャリと、ブランケットの音をさせながら、すーさんも話しに加わる。
「私もそう思う。やたらさ、TVや新聞なんかで、やってる割には適当だよ」
「政府はもちろん動いてるだろうけれど、末端まで援助がくるのに本当はどのくらい時間がかかるんだろうな」とちーちゃん。
うわぁあ、私は、夜が明ければ、援助、救援の嵐で、少しはほっとできると思い込んでるんですけど!?ラジオは、相変わらず、同じような事を繰り返してるようだ。
目新しい情報はないらしい。ただ、わかったことがある。本当に、東京に大震災がきたんだってこと。来年になると、巨人のユニフォームの袖に「がんばれ東京」なんて書いてあるんだろうか?
てゆーか、東京ドームなんかBIG EGGだから、壊れちゃったかな?ドームがぺしゃんこ?
ああ、だーちゃんは今どうしているんだろうか?火災旋風とかに巻き込まれちゃった?うわぁああん。と、一人妄想にふける。
199 :
地震小説(SF):2005/11/03(木) 18:48:08 ID:2l8JSYlk
その後俺は冷静に考え始めた・・・・
キラーーーーーーン
自分「そうだあのスキマから瓦礫かなんかとって壊す!。」
しかし・・俺は自分の考えを後悔することになる・・・
覗く・・・・・
自分「わーーーーーーーー。」
なんと外には真上の部屋に住んでいるはずの当田さんが倒れていた・・
自分「あっあの・・大丈夫ですか・・・・。」
返事はないただの屍のようだ・・(DQ風)
さらにおそるおそる脈を計ってみる・・
自分「ま・・さ・・・・か・・・・な・・・。」
200 :
M7.74:2005/11/03(木) 21:12:59 ID:eXkFb0oJ
200ゲットしました
201 :
M7.74:2005/11/04(金) 01:24:23 ID:FC/x7BaH
どれも続き希望!
202 :
一人で頑張る!P:2005/11/04(金) 11:42:40 ID:G9OrWUPx
新宿駅周辺の大きな道路は皆火災で消火活動中で近づくこともできない。
最初は駅の構内を抜けようと考えていたがそれも無理だった。駅ビル自体は倒壊を免れてはいたがビルの外壁とガラスでビルの入り口は見えない。
その下には瓦礫の下敷きとなっている人の手や足といった一部分だけが見えていた。
なんとか迂回に次ぐ迂回で新宿大ガード下までやってきた。大ガード自体はなんとか無事なようだが、その上を見上げて智子は驚いた。
「あれって・・・電車?!」
ガードの上は線路なのだが、レール上に折り重なるように一両、また一両と電車が詰まっていた。
先頭の車両はそそり立ち、智子達のいるガード下からも見えるほどだ。
幸か不幸か、線路から脱線はしているようだが下の道路に落ちたりはしていない。乗客は無事だろうか・・・。
そんなことを考えながら電車を見つめていたのだが、やはり大ガードの下は衝突しあった車で火災が起きていて通り抜け出来ない。
「地下通路はどうかな?」
大ガード横の地下通路は奇跡的に健在だった。しかしそこに地下通路を使おうと人が殺到しており、列をなしていた。
二人はその状況を唖然としながら見つめていたがここを通らないと反対側へ行けない。
いつまでも新宿駅の周辺にいても家へは近づかない。
列の最後尾まで並ぼうと歩いていると、横入りしようとする輩は信じられないことにいない。
駅前の派出所の警察官達が通路への列をロープで仕切り、ハンドマイクを使って呼びかけているためだ。
しかも皆そのロープの中でジリジリと列を詰めながら歩いているので横入りする隙はない。
最後尾は信じられないことに伊勢丹の前からだった。ビルの外壁とガラスの破片が散乱しているが車の火災は起こっていないようだ。
しかし周囲の火災によりこのあたりも11月とは思えない暑さだ。
二人は無言のまま警察官の指示に従い列に並び周りを見渡した。
時間的なこともあるかもしれない。殆どがサラリーマンとOLだ。
自分の前にはこの時間にしては珍しく小さなお子さんを抱いたお母さんが並んでいる。
買い物に来ていて地震に巻き込まれたのであろうか・・・。
空腹感もピークに達していたがこの状況で食べ物や飲み物を出したらどうなるか・・・。
怖くて袋から物を出せず、おもわず左手に持っていた袋を両腕で抱え込んだ。
それがまずかった。
203 :
一人で頑張る!Q:2005/11/04(金) 12:02:00 ID:G9OrWUPx
ビニール袋のガサガサという音につられるように、前に並んでいた親子連れのお母さんがこちらを向いた。
智子は何気なくその親子連れを眺めていたので目が合う形になった。
やばい・・・そんな気がした。そしてそれは的中した。
「あの・・・すみません・・・。もしも飲み物をお持ちでしたら少しで構わないんです。この子に頂けないでしょうか。」
オズオズと本当に申し訳なさそうに話しかけてきたお母さんに、智子はなんて言ったらいいかわからず暫く固まってしまった。
本当ならすぐにでもあげたい。でも自分にとってもまだまだこれから歩く身では必要不可欠なものだ。簡単に手渡すことが出来ない。
しかもこの袋の中には飲み物だけでなく、食べ物やお弁当まで入っている。この衆人環視の中開けたら最後だ。
ここは心を鬼にするしかないのか・・・。
伏せた視線でちらりと子供を盗み見ると、泣きつかれたのか立っているのがやっと・・・といった感じだ。
どうしよう・・・どうしよう・・・。
その時だった。
「彼女の袋の中は空のペットボトルなんですよ〜。水をもらえるところがあったら汲む為に捨てずに持って歩いているんですよ。
で・・・これ・・・。僕の飲みかけで良かったらどうぞ。」
そう言うと酒巻が自分の飲みかけのペットボトルをお母さんに差し出した。
「・・・いいんですか・・・すみません・・・ありがとうございます・・・。」
お母さんは更に申し分けなさそうに酒巻からペットボトルを受け取ると、子供に「少しずつ飲むのよ」といって手渡した。
子供はお母さんから力なくペットボトルを受け取ると、躊躇いながら一口飲んだ。
それが喉の渇きを気がつかせるきっかけになったように続けざまにゴクゴク・・・と飲み始めてしまった。
お母さんは慌てて「もう駄目」と子供からペットボトルを取り上げた。
子供は「まだ飲みたい。喉乾いたよ・・・」と涙目で訴えた。
でもお母さんはひるむことなく「今は駄目。もう飲んだでしょう。また後でね。」と教え諭すように話しかけた。
しかし一旦火の点いた喉の渇きを我慢することは子供には難しくぐずる一方で終いには泣き出してしまった。
その鳴き声にイラついたようで前のOLとその連れのような男性がお母さんに向って怒鳴った。
「ウルセーンだよ!ガキを黙らせろよ。こちとら朝から歩き通しで疲れてイライラしてんだからよ!」
そういうと子供にも向って「ウルセーよテメエ」とわめき散らし始めた。
お母さんは必死に「すみません、すみません」と謝りながら子供に「泣かないで、みんなの迷惑になるから・・・泣かないで」と言うものの益々酷くなってしまった。
仕方なくお母さんは残りのペットボトルを子供に全部差し出した。
元々、酒巻がお母さんに渡した時点であまり入っていなかったものだ。
子供は泣きながらゴクゴクと勢い良く飲み干してしまった。
204 :
かるむ:2005/11/04(金) 12:10:51 ID:gwu+qiZL
とりあえず、地震が起きたら必要な物を廃墟から引っ張ってくるくらいの事は、しましょう。
どうせ、瓦礫の下で終る物ですから。
武器とか食い物とか本とか特に。
205 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/04(金) 19:52:32 ID:4v2FvbSG
一人で頑張るさん、現実感あっていいカンジ。
続き、期待してます。
とりあえず、私も勝手に続きを載せさせていただきます・・・。
206 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/04(金) 19:55:07 ID:4v2FvbSG
>>169の続き
泣き疲れて、暫くじっとしていると、だんだんと喉が熱くなってきていることに気がついた。
後輩から手渡されたクリスタルガイザーの容器を貪る様に口にあてる。
横から雫になって水が零れ落ち、むせ返る。
不思議と空腹感は無く、おにぎりはそのまま肩から掛けた鞄にしまいこんだ。
水を飲んだことで、生きる為の欲求を満たし、少しずつ立ち上がる力が沸いてきたような
気がした。ゆっくりともたれていた頭を上げ、前を見る。
目が慣れてきたせいか、夜の闇の中、一本の道が赤く照らされている街のほうへと
続いているのが見える。
歩ける。
そう思って立ち上がると、後ろから声を掛けられた。
「君、こんなところで何をしているんだ。避難指示が出てるんだぞ。」
振り返ると、自分の父と同じぐらいの年の警察官が立っている。
「大山の火災がこっちまで延焼するかもしれないんだよ。ここら辺の人も皆・・・」
こちらに近寄ろうとした彼が一瞬躊躇した。
「・・・君、そのカッコ・・・!」
僕のぼろぼろの格好と、真っ黒な顔が懐中電灯の光に照らされ、驚いたらしい。
彼は僕の顔のすすを持っていたタオルで拭った。
あの火災の中からよくここまで、大した怪我も無く来れたと彼は感心していた。
「私にもね、君と同い年ぐらいの息子がいてね。」
そういうと、彼は僕の話をゆっくり聞いてくれた。
電車で事故にあったこと。
病院まで後輩と一緒に来たこと。
病院が炎のタツマキに飲み込まれたこと。
後輩とそこではぐれたこと。
命からがら、ここまで逃げてきたこと。
大勢の人が死ぬを目撃したこと。
「ここら辺の避難所は、区立のスポーツセンターなんだ。そこまで一緒に行こう。」
彼は僕に優しく諭すように言った。
「きっと、君の後輩もそこにいるよ。」
207 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/04(金) 19:56:27 ID:4v2FvbSG
避難所はそこからすぐだった。
あの火災で焼け出された人々が押しかけているらしく、臨時救護所のテントも人で溢れている。
腕時計を見ると時計はちょうど午後9:00を指していた。
入口のホールではところどころタイルが剥がれているが、病院と同じく、目立った被害はない様に見えた。
だまって警察官の後に続くと、第一体育館、第二体育館の表示が見えた。
「第一体育館:避難所・配給所
第二体育館:安否確認所
仮設トイレ・救護所は、グラウンドにあります」
そう油性マジックで書かれた表示の前で、彼は立ち止まった。
「君は、第一体育館でゆっくり休みなさい。怪我が痛むようなら、混んでいるけど、グラウンドへ・・・」
「あの、僕・・・、後輩を探したいんで、第二のほうの体育館へよります。」
「いや、そこは私が探しとくから、第一の方で探しなさい。」
「え、でも、第二は安否確認って書いて・・・」
「いいから。」
体育館の中は外よりひんやりとしていた。多くの人が避難していたが、殆どがお年寄りや子供連れの女性だった。
きっと、若い男性の殆どが、職場から家に帰れないでいるんだろう。
そこに後輩の姿は見られなかった。
いくら名前を叫んでも、反応は無かった。
グラウンドは、体育館の中以上に大勢の人で混んでいた。
やっぱり第二体育館へ行って、安否確認した方が手っ取り早いかもしれない。
そう思って、僕はもうひとつの体育館へと急いだ。
第二体育館の入口には長机が用意されていて、数人の職員が受話器と書類を手に、忙しそうに走り回っている。
僕は1人の男の職員らしき人に尋ねた。
「あの、中学生の男の子、ここに避難していませんか?僕と同じ学校の制服を着た・・・」
「えっ、中学生?ちょっと待ってて・・・」
その職員はカタカタと手元にあったノートパソコンをいじる。
「・・・あ・・・」
「!来てるんですか!?」
「いや、確かにそれらしい子はさっきここに来てるんだけど・・・その子の身長とか、わかる?」
「160cmの中二の男子です。僕と同じ制服着た。」
「・・・ちょっと、ここで待ってなさい。」
そう言って、彼は他の職員と何か話すと、ドアの向こうの第二体育館へと入っていった。
もしかして、この中に避難しているのかも。
僕は、希望を胸に、そのドアを開けて中に踏み入った。
「えっ・・・」
僕は立ちすくんだ。
第二体育館の中には、避難している人など居なかった。
そのかわり、白い布にくるまれた「何か」が延々と並んでいた。
それをめくりながら、何人かの職員や警察官が書類に何かを書き込んでいる。
入口からすぐ近くにあった「何か」の前で、さっきの職員と僕をここまで連れて来てくれた警察官が話し合っている。
すると、警察官が僕に気付き、顔をこわばらせながら僕に近づいた。
「駄目じゃないか!あそこで待ってなさいと言っただろう。」
「あの・・・あの・・・これ、これ全部・・・」
警察官は、僕の肩を掴んで言った。
「まだ、君の後輩のものだと決まったわけじゃないんだから。しっかりしなさい。」
「・・・これ、これ、でも、僕と同じブレザーが付いてるし・・・小柄だし・・・」
「おい、何してるんだ、君、早く布をかぶせないか!」
警察官の声に慌てた職員が白い布をそれに覆い被せる。
めくれた布の下にあった、真っ黒に焼け焦げた小柄な遺体。
胸に付着した学校の紋章に、焦げ付いた学校支給の肩掛けバック。
僕は目の前の現実に、大声を上げて叫んだ。
208 :
166:2005/11/04(金) 22:54:35 ID:WZ2Q3zDz
しかーし☆ この俺でも大学は行けなくても実は彼女がいる。彼女はひとつ年上だがもちろん大学にはいっていない。彼女も親関係だったらしい。
今日は新本場でデート。仕事が終わり、地下鉄無楽町線で新本場を目指す。地下鉄というのはケータイの電波が入らないのでちょっとドキドキ。彼女を驚かそうとわくわくしていた。
0:21発の最終電車。最終と聞くだけでドキドキだ。この電車は例えて言えば消しゴム。この列車が通った跡は次々に消されていく。ちょっとせつない。しかし俺馬鹿だ。2番線からも電車が来た。
新本場までは約30分。少し長い道のりだ。でも俺はあの景色にロマンがある。だからあえて遠いがあそこにしたんだ。
車内アナウンス「ここから先はカーブが続き(ry」まぁ大抵アナウンスは無視する。俺が向かうのは新本場。別の情報はいらない。
本当に揺れた。
いや、別のゆれだ。足が振動する、そしてたっている人が大きく左右に揺れるそして振動は止まらないやばいこれはやばい・・・
・・・気がついたら電車は止まっていた。乗客も怪我してない。そのまんま。俺も別に異常はないが、変に敏感な自分はひきこもりみたいにうずくまっていた orz
結局、徐行運転に切り替わった。車掌が言うにはそれほど大きな地震ではない。とのこと。サービス優先の会社だから心配しない。なんか冷たいが逆に敏感すぎるのも変だよな・・。
なんでだろう。彼女に会いに行くというのに、なんでブルーなんだろう。
209 :
M7.74:2005/11/05(土) 14:15:17 ID:6hwlLQIX
ヤバい泣けてきた(T_T)/~
ドン!
と、下から突き上げるような、すごい衝撃が襲ってきたのはその瞬間だった。
おや、と思うひまもなく、巨人のハンマーで、下から上にむかって叩きのめされるような
衝撃が、
ドン! ドン! ドン! ドン!!
と、つづけさまに突き上げてきた。
―――――机の上の、ゆのみやインク壜が、そのたびに宙におどりあがり、画鋲を入れた箱が
弧を描いて飛び上がって、ザーッと床に鋲をぶちまけた。
つき上げるような激しい震動が、ちょっと収まった時、山崎はとっさに考えた。
―――――この間を利用して、階下へ逃げるべきか?
だが、逃げるひまは無かった。―――ドロドロというような、大砲の一斉射撃のような地鳴りが
遠くで轟きわたったかと思うと、
ゴーッ!
と建物全体が鳴りながら、ものすごい横揺れが始まった。
山崎は足をすくわれるように壁にたたきつけられ、ゆりかえしで床へ投げ出された。
掌に、さっきぶちまけられた画鋲が二、三本突き刺さった。あわてて膝をつこうとしたが、
立ち上がるどころか、四つん這いにさえなれなかった。
―――床は気違いじみたスピードで左右に揺れ、また床に転がされた。
212 :
166:2005/11/06(日) 00:32:11 ID:ung6+O/2
とりあえず15分遅れだが新本場に到着。すぐに彼女に電話。もちろん怒ってるわけがない。だってあいつは俺の彼女なのだから(意味不明)
そんな彼女も俺のことをわかってくれている。地震が怖いという情けないような自分でも彼女は好意をもってくれている。俺の話がおもしろいといってくれるんだ。
「さっき地震あったよねっ。だから遅れたんでしょ。びびってヒッキーみたいに固まってたかと思ったよっ☆」
あぁ。情けない。見える海のきれいな夜景が寂しく見える。雨も降ってきた。この雨がシャープな夜景を軽くぼかす。青々としてなんか幻想的だった。
地震が嫌いな自分だが、彼女といたときはさっきの地震なんて忘れてしまった。彼女の明るい姿が自分にスポットライトを当てる。それも太陽と同じくらいの。
さて、終電もいってしまったことだし、もちろん今日は1泊。近くのシティーホテルに泊まることにした。見える夜景は本当に絶好のポイント。
雨が降っている分ぼかしがかかり、この雨が僕らを隠している。この隠れ家を見つけるのは難しい。そして時間がやってきた。
もちろんこれはすべて予定通り。雨や地震は予定外だったが、とりあえず15分遅れの運行。1時12分。今日は雨でちょうどいい感じにぼけている。カーテンは薄いやつにしよう。
着替えももちろん準備。そしてこのゴムのような物だって。いや、数えて20年生きている俺にとってはここからがパラダイスなのか。大学に言ってるやつらよりも少し早いがそんなの関係ない。
鍵をチェック。ベットに二人で入る。これから楽しいひと時が始まろうとしている。都会の真ん中で裸になっている二人がゆっくりと接近していく。
俺の息子はとてつもないサイズにまで膨れ上がっていた。そしてはじめて見た。彼女のはもっとすごかった。これが2chでよく見る「おっき」という現象なのか。いやもう怖がってはいられない。
いきなりか。童貞&処女といういわゆるレスな自分たちにとってはやり方を詳しくなんかしらない。説明書だって無いのだから。
そして思うがままにあの穴に息子を入れてみる。どきどきだ。上には彼女の下着が置いてあった。なぜかブルマだった。時代からしてもそれはないが、実はそういうのが好きな俺にとって
はやばかった。見た瞬間にまた膨れ上がる息子。だがシールドで覆われたその太き棒があの穴に入れられる。しかしちょっと興奮しすぎなのかなかなか上手く入らない。
おかしい。だが彼女も興奮状態。穴の広がり方は異常だがやっぱりこんな馬みたいなものが入れられるわけがない。しかもなんだが塗れている。シールドが膨らんでいる。
まだ出す時じゃあなかったが、やっぱりあのブルマが原因だったんじゃないだろうか。しかし、これはこういう場面では標準。とりあえずゴムを替えて再挑戦。
下のほうからだと上手く入るというやり方があった。下から入れてみる。彼女のそれは瞬く間に広がっていき、どんどん入っていく。
そして興奮状態な自分はこの広がった穴がどんどん狭くなっていくことに気づく。・・・これはまさか。
その瞬間こそ、俺が男になったときだった。なんだか気持ちよくなり、棒を振り回そうとする。そしたら彼女は悲鳴をあげる。「なんでそんなことするの〜?というかなんか気持ちいい・・・」
このまま俺らは雨に濡れている感じのまま朝までやりつづけていた。
213 :
地震小説(SF):2005/11/06(日) 08:47:39 ID:39KZRV2b
シーーーーーン
自分「ぎゃあああああああああああああああああああ脈がねえええええええ
死んでるーーーーーーー。」
大騒ぎする自分
自分「と・兎に角速く外にでるんんんんんんだああああ。」
自分にひっしに言い聞かせる
自分はそこら辺の瓦礫を取り今度はそのスキマから壊し始めた・・
するとだんだんちょっとずつだが変形していく・・・・・
・
・
・
どれぐらいたっただろうようやく人が通れるぐらいになり
俺はとりあえず出て服を着た・・
214 :
M7.74:2005/11/06(日) 20:03:43 ID:W5dpndKV
黒猫さんの続き待ってます
215 :
M7.74:2005/11/06(日) 22:13:13 ID:TpfeKhXU
黒猫さんと一人で頑張るさんの続き読みたいよー
216 :
166:2005/11/06(日) 23:49:25 ID:ung6+O/2
外は朝になった。本当にさわ や かな朝を迎えた。二人はくっついたまま寝ていた。
彼女はあそこが血まみれに。そして自分にも血がべ っと りとついていた。
実は二人が寝静まってから2時間後の5時20分ごろ、東京湾でM8.3の地震が発生。幸い津波被害は無かったが建物はすべて壊れてしまった。
2つの愛がたゆまれしこの頃に お よび、血も涙もない永 わ の恋は幕を閉ざ り さないままに来世へと続いていった・・・。
-fin-
217 :
M7.74:2005/11/07(月) 10:56:36 ID:8wxA02ay
地震厨房さんのファンです,続き読みたい〜〜!
218 :
一人で頑張る!R:2005/11/07(月) 16:07:08 ID:KsVxGvNw
子供は水を飲み干すとお母さんに「もっと。」と催促した。
お母さんは困った顔をして「もう・・・ないのよ。沢山飲んだでしょ。」そう言うと悲しそうに子供に笑いかけた。
しかし子供は喉の渇きが完全に癒えた訳でもなく、また泣き出した。泣けば水がもらえるかもしれないと思ってしまったようだ。
「泣いても駄目よ。もうないのよ」お母さんは子供を抱き上げるとあやし始めたが、子供は突っ張るようにして抵抗している。
「もっと!もっと欲しい!!」大声を上げながら喚き散らしている。
お母さんは酒巻を見上げた。酒巻は瞳を閉じていた。仕方ないしにお母さんは黙って子供をあやし続けた。
しかし泣き止まない。ついには前のOLとサラリーマンの二人組みが「さっきからウルセーって言ってんだろ?!泣き止ませてから列に並べや!」
そういうとお母さんと子供を睨み付けた。お母さんは仕方なく回りに「すみません・・・」と謝りながら列から外れると後ろのほうで子供をあやしていた。
酒巻が目を開いて前の二人組みをみると、前の二人組みも酒巻を見ていた。
「中途半端に世話を焼くからあんなことになるんだよ。」吐き捨てるように言い、二人はカバンからなみなみと水の入ったペットボトルを出して水を飲み始めた。
酒巻はカッとなった。しかし事実は事実だ。智子を見ると智子は瞳を伏せている。
起こってしまったことは仕方ない。そう思うしかない。酒巻は自分の気持ちに精一杯従って出来るだけのことはした。
・・・ため息をつくとまた瞳を閉じた。
智子は一連のやり取りを本当に申し訳なく思っていた。
最初から智子が袋ごとお母さんに渡していればこんなことにはならなかったのではないか。
でもお母さんが智子に話しかけたときに、智子の気持ちを汲み取ったかのごとく酒巻は嘘を言った。
智子が思っていたことは間違いではないとそれで確信した。しかし現実は辛い。完全に自己犠牲の精神を持っているわけでもなく、完全に自己中心的にもなりきれない。
確かに中途半端は自分にも他人にも辛い・・・智子はそう思って、前の二人組みを羨ましくさえ思った。
列から外れた親子連れは再び列の後部に並んでいる。そしてその後ろについた人から智子にしたように水をお願いしているのだろう、ペットボトルを受け取っていた。
・・・まさか・・・ずっとああやって・・・?智子が嫌な予感を感じていると前の二人組みが智子に向って口を開いた。
「もう私達もここに並んで1時間ちょっと経つのですが、見ている間中ずっとああなんですよ。あの親子。」
智子は絶句してしまった。酒巻もその言葉を聞いて思わず後ろを振り返った。二人組みは鼻で笑うように、
「袋を持っていて、優しそうな人とか気の弱そうな人を選んでるの。子供もグルなの。もうあれでペットボトル4本分くらい。お母さんが飲んだ後は子供って感じで上手くやってるんだよね。
子供が欲しいといわれればちょっと余裕があればあげちゃうでしょ、普通。」
そういうとOLさんは空になったペットボトルを智子に見せた。
219 :
一人で頑張る!S:2005/11/07(月) 16:33:03 ID:KsVxGvNw
智子も酒巻もちょっとの間呆然としてしまった。「母は強し・・・だね。」智子は苦笑しながら言った。
酒巻も「そうだね・・・。本当にそうだね。」そう言うと、少し笑った。
OLさんは水を飲み終わると智子により一層積極的に話しかけてきた。
年のころは智子と同じくらいか?20代後半から30代前半といった所だろう。
飯田橋の会社にお勤めのOLさんでランチを食べて会社に戻ろうとした矢先に被災したらしく、胸からIDカードをぶら下げたままだった。
桜田 亮子IDにはそう書いてあって、笑顔の写真もついていた。
亮子曰く「もしも避難中に死んだりした時にこうしておけばすぐわかるでしょ。結構恥ずかしいけどね。」
と笑っていった。
サラリーマンの男性は同じ会社の同僚だそうだ。
同じくIDカードには大田 新次郎と書かれていた。
色々と話していくうちに、第一印象の怖そうな人たちだという印象は薄れた。親子連れのやり方に腹が立っていただけのようだ。
亮子はカバンをゴソゴソとあさって暫く何かを考えているらしく黙った後、おもむろにこう切り出した
「何かトレードしていただけませんか?」
智子はそう聞いて最初何のことかわからなかったのだがすぐに思いつたが、ここは慎重に・・・と思い即答は避けた。
すると亮子が「実は地震が来る前にランチを食べ終わってコンビニ行っておやつに・・・と色々買って来たのですが、それが皆しょっぱいものばかりで・・・。」
そういうとカバンの中を見せてくれたのだが、亮子が言うとおりカバンの中はプリッツ、おかき、おせんべい、ポテロング・・・とありとあらゆるお菓子が入っていたのだが、
皆しょっぱいものばかりだ。
「甘いお菓子は職場にまだあったので・・・しょっぱいものがなくなってたから、買ったら丁度地震で・・・。」
そういうと亮子は困ったように眉間にシワをよせつつ笑った。確かにこれでは喉が渇くだろう。
智子は比較的甘いものを中心に買ったので、チョコレートとおせんべいをトレードすることにした。
回りも3〜4人くらいでなんとなく固まっていたので、酒巻と智子も大田と亮子と共になんとなく列の中で固まっていた。
並んでいてもジリジリと動いた後は暫くは動きがない。立ち続けているのも辛いので、皆動く時は立ち上がり、それ以外のときは道に直接座り込んでいた。
二人だけだと周りの目も気になって怖いが、4人いればかなり安心だ。
向こうの二人もそう思ったのか、「お腹空いたね。ここでなら何か食べても大丈夫だよね。」と提案してきた。
酒巻も列の左右を見回したがどちら側も上手い具合に知り合いのような集団が並んでいて何か食べている。
これなら大丈夫そうだ。智子もそう思ったのか両手で抱えていた袋を開けるとお弁当を出した。
220 :
一人で頑張る!21:2005/11/07(月) 16:51:08 ID:KsVxGvNw
いつもの11月であればクリスマスの到来を待ちわびるかのようにイルミネーションで溢れかえる頃なのに、
今は電気一つ点いていない。暗い伊勢丹のあたりは現実感がない。
列は1時間かけてようやっと高野フルーツパーラーの前までやってきた。
「あ〜。お腹空いたね〜。いいなぁフレッシュなフルーツをお腹一杯食べたいね〜。」
亮子は目の前にある看板を見ながらため息をつきながら恨めしそうにしている。
その姿を見て智子は思わず笑ってしまった。
「そうだね〜。おいしそうだね〜。私達も何か食べましょうか。」
亮子は激しく頷きながら大田とウィダインゼリーを食べ始めた。
智子は一番最初に悪くなりそうな物を食べないと・・・と思い、自分で朝作ったお弁当を食べることにした。
酒巻にはコンビにで追加購入したおにぎりとサラダを渡した。コンビニのおにぎりは比較的持つが、自作のお弁当は怖い。
でも今日は簡単なもので良かった。卵など腐りやすいものは入っていないハムと野菜中心のサンドイッチだったので大丈夫そうだ。
暫く皆無言で食べていた。お腹は空いているのだが固形物は喉を通らない。無理にでも食べようとするのだが半分が限界のようだ。
残そうか迷っていると、亮子がお弁当を覗き込んだ。
「いいなぁ固形物・・・。」
その言い回しに智子はまた笑ってしまった。もう自分は食べられそうもないのであげようと思っていたら亮子が先に
「コレとサンドイッチ半分、トレードしてください。ダメ?」
そういうと450mlのグレープフルーツジュースとミルクキャンディーを差し出した。
「え?!いいよ・・・トレードなしで。」
智子は苦笑しながらそう言うと
「ダメダメ。貰いっ放しはだめだよ。持ちつ持たれつでないと・・・」
そういうと智子の手にジュースと飴を押し当てた。
「そこまで言うなら・・・ありがとう。ありがたく頂くね。」
そう言って押し付けられたジュースを受け取ると、サンドイッチを半分トレードした。
酒巻を見るとどうやら酒巻も固形物を食べるのが辛いらしい。なんだか胸が一杯といった感じで食べられないのだ。
酒巻も大田と何かをトレードしている。
221 :
一人で頑張る!22:2005/11/07(月) 17:29:08 ID:KsVxGvNw
もうすぐ9時になろうとしている。ある程度お腹が満たされると次の欲求は体を休めることと相場は決まっている。
案の定眠気が襲ってきてたまらない。そこで4人で全員寝てしまうと危険なのでそれぞれ二人ずつ仮眠を取ろうということになりまずは智子と亮子が仮眠を取ることにした。
大田は場所を智子と変え、智子は亮子の隣に来た。
「寝るには何か上にかけるものが欲しいね・・・でもそんな贅沢言ったところでどうにもならないしね。」
亮子は両腕を抱え込むと体育座りした。パンツスーツなのが羨ましい。智子は膝下のスカートにジャケットといったスタイルだったため、座るにもスカートを膝の下辺りに集めて膝を抱えて座っていないと下着が丸見えになってしまう。
だからといってアスファルトの上に正座やお姉さんすわりは足が痛くて出来ない。
酒巻はそんな智子を見て、当たりを見回すと「ちょっと待ってて」と言うと列の後ろの人にも「列から一瞬抜けますがすぐ戻ってきます」と言って列から出て行った。
酒巻は通りを渡って1本目の小さな路地に入って行った。
1本目の路地にいくつか洋品店が集まっていて、もしかしたら開いている店があるかもしれないと思ったからそこへ向ったのだった。
しかしこんな中営業している店などあるわけも無く、入り口が開いていて入った店は明かりこそ点いていないが営業中に被災したといった感じで、店は開いたままだった。
声をかけたが反応はない。仕方無しに酒巻はマントのようなコートを2着手に取ると店を出た。
周りを良く見てみると店はシャターが閉められている所と閉められていない所があった。
おそらくシャッターが地震でゆがんで降りてこなかったり、店の管理者が無くなったりして放置になった店はシャッターが下りていないのだろう。
他にもそういったお店を閉められずに開いている所がいくつかある。
酒巻は列へ戻ると智子と亮子に持ってきたコートを渡した。
「これ・・・もしかして・・・。」
智子が酒巻を見ると酒巻は頭をかきながら頷いた。
「そこの店で借りてきた・・・。無断拝借とも言う。」
と小声で言うと申し訳なさそうにしていた。
しかしそんな酒巻を見て亮子は
「仕方ないよ〜こういう場合は。後で落ち着いたら返しに行くか謝りに行けばよくない?」と言って嬉しそうにコートに袖を通している。
智子も「そうね・・・。非常事態だものね・・・。」そう言うと、酒巻にお礼を言ってコートを肩からかけた。
サイズを見ると3Lだ。小柄な智子には大きすぎるが寝る時にかぶるには丁度良い。
亮子も背は高いが細身なのでコートを着てみたもののぶかぶかでやはりかえってそれがいいと笑っていた。
列の前後の人たちも寝る準備に入ったらしく「ちょっと列抜けます」と皆トイレを済ませに行ったり、タバコを吸いに行ったり、酒巻と同じように何かを調達しに行ったりしていた。
222 :
一人で頑張る!23:2005/11/07(月) 19:31:54 ID:KsVxGvNw
亮子も智子も目をつぶると流石に疲れているらしくすぐに眠りに落ちた。しかしそれは一瞬の熟睡といった感じで、30分もしないうちにまたうっすらと目が覚めてしまうといった感じのものだった。
1時間ずつで交代もしくは列が動いたら起きるというように決めてあったので、まだまだ起きる時間では無いが眠れそうにも無い。
智子は家族のことを考えていたがますます不安が募り眠れずにいたが、とりあえず体力温存の為にも体を休ませることは必要だ、眠れなくても目だけつぶっていた。
耳には酒巻と大田の会話が聞こえてくる。小さく話すその声はなんとなく耳に心地よい。
どうやら酒巻と大田は似たような境遇らしい、お互い既婚者で小さなお子さんがいるようで、内容は子供の話ばかりだ。
亮子も睡眠が浅いようで、時々膝に乗せた頭を左右に動かしている。
その時だった。あの時と同じゴゴゴゴ・・・っと地を這うような音がした。
「地震だ!」
誰かが叫んだ。智子も亮子も飛び起きて地面に突っ伏した。
余震だ・・・しかし先ほどの地震のそれとは違う。地鳴りはしたものの震度4〜5あるかないかといったところだ。
でも今の心理状況には大きなダメージとなる。
揺れがあらかたおさまると、地面に突っ伏していた人々はゆっくりと頭を起こした。
遠くで轟音が聞こえる。本震で倒壊しなかった建物が倒壊したのかもしれない。
4人が寝始めた頃はちょうど交差点のあたりにいたので、倒れてくるものの何も無く安全だったのだが、列の後方は本震で落ちてこなかった外壁やガラスが今の振動で落ちてきて怪我をした人が出たようだ。
うめき声や悲鳴が聞こえる。
智子が気がつくと亮子は智子に抱きついていた。
「怖いよ〜〜〜いつまで地震、続くのかな・・・。」
すっかり涙声だ。きつく抱きつく亮子の背中を優しくさすりながら智子は
「大丈夫だよ。段々小さくなってきてるみたいだし・・・。」
とつぶやいた。しかしそれは違うとわかっていた。
本震とは同じとまでいかないものの、震度5程度の余震はいくらだって来る可能性がある。
今まで来なかったのが不思議なくらいだ。自分も恐怖で一杯だが亮子と抱き合っていると不思議とその恐怖感が和らいでいく。
酒巻はまたラジオを聴いている。
「震源はさっきと同じで震度は5強。津波は大丈夫みたいだ。」
他には何か情報は無いかと酒巻は一生懸命ラジオに耳を傾けている。
223 :
M7.74:2005/11/08(火) 01:44:25 ID:65B/1K5r
地震厨房、一人で頑張る、黒猫、
どれも続きを読みたいね。
期待してます。
224 :
M7.74:2005/11/08(火) 01:59:32 ID:aCs6bGHd
一人で頑張るさん大量更新ありがとー!
もっと読みたい!楽しみにしてます。
225 :
一人で頑張る!24:2005/11/08(火) 15:43:23 ID:EukPdh86
いつの間にか酒巻の周りには人だかりが出来ていた。皆今必要なのは確かな情報だ。
質問にが飛ぶたびに酒巻はラジオに耳をやり、賢明に情報を集めようとしていた。
列が乱れ始めたので警官がやってきて注意を受けている人もいるが、言い争いにはならない。
並び始めた頃は殺気立っていた雰囲気も時間が経てば経つほど気力が失われ、今や列に並ぶのが精一杯だからだ。口数もぐっと減った。
4人もすっかり眠気も覚めてしまい、余震の恐怖に怯えながらも列が進むのを並び始めた時以上に待ち望んでいた。
智子は遠くの空を見上げたが怪しいほどに赤く不気味なほどだ。
酒巻はこれ以上の新しい情報が望めないとわかるとすばやくラジオをしまった。そしてあたりを見回した。
「あそこらへん・・・危なそうだな。」
3人は酒巻の視線を追うと、新宿駅のすぐ横の列の人々はいつ余震でビルやその外壁が崩れてくるかもわからなず不安なのだろう。
列を少しでも進もうと皆詰めて歩いてる。列の前は進んでいない。前方の警察官は異変に気がついて「押さないで下さい!危ないですから、押さないで下さい!」と叫んでいる。
警察官が呼びかけを始めてすぐ位に、予想していたことが起こった。
「キャー!」という悲鳴と共にドドドッと音がして駅前の列は将棋倒しになった。
周囲を警戒していた警察官も大急ぎで現場に集まってきた。
倒れた列の上の人々は「痛いな、もう危ないじゃないか!!」と怒鳴ったりしていたが、大して怪我はしていないようだ。
皆口々に文句を言いながら自分で起き上がっている。列の中側だった人々の中には自分で起き上がれなくなっている人もいて警察官や周りの人に助けられて起き上がっていた。
そして・・・一番下の下敷きになったと思われる人々はピクリとも動かない。
警察官が必死に呼びかけたり脈を測ったり、人工呼吸したり心臓マッサージしたりしているが起き上がった人は誰一人としていなかった。
文句を言い合う人々で騒然としていたあたりも、亡くなった人たちを列から警察官が駅前の広場のほうへ並び始めた頃には静まり返っていた。
不意に亮子が泣き出した。智子も涙を零しながら亮子と抱き合った。
酒巻も大田も無言で視線を伏せていた。あたりは遠くに聞こえる消防車のサイレンだけが響いていた。
226 :
一人で頑張る!25:2005/11/08(火) 16:12:59 ID:EukPdh86
11時を過ぎた頃4人の並んでいた部分はようやっと新宿駅の横までやってきた。
確かに遠目からはわからなかったのだが、新宿駅の外壁はところどころぶら下がっている状態の部分があっていつ落ちてくるかと気が気ではない。
余震の後に将棋倒しになるくらいの恐怖を感じてもおかしくない。
列は先ほど以上に規制が厳しくなり、全員が全員前へは進めなくなっていた。警察官が進んでいい頃合になると指示を出しに来る。
でも逆にノロノロでも列が動いていると歩き続けなくてはいけないが、とまっていれば休息がとれる。そういった意味ではこの方法のほうがありがたかった。
亮子と智子は少しだが仮眠も取ったので今度は酒巻と大田に仮眠を取るように促した。
ところが酒巻は男が全員寝てしまうと心配だから自分は大田が起きたら寝ると言って眠らなかった。
亮子は大田にコートを渡した。智子は自分来ていたコートを脱いで酒巻に渡そうとしたが、酒巻は「寝る時だけいい。使ってて。」と受け取らなかった。
智子は半分亮子にかけると二人で寄り添っていた。
周りの列の人々も余震の前の静けさを取り戻したかのように仮眠をとったり飲食をとったりしている。
酒巻は再びラジオを取り出した。何か情報が得られるといいのだが・・・。智子も酒巻をじっと見つめる。亮子は智子に寄りかかって眠っている。
ラジオに耳をそばだてていた酒巻がおもむろに携帯電話を取り出したので智子も携帯電話を取りだした。画面を見つめるとかろうじてだが電波が1本立っていた。
智子は急いで寝ていた亮子と大田を起こすと携帯を見るように促した。
「ああ!!電波が1本立ってる?!」
4人とも浮き足立ちつつも電話をかけようとするが、特定の番号には繋がらない。
災害伝言ダイヤルのアナウンスが聞こえる。皆必死でボタンを押している。
智子は・・・171・・・171・・・と呪文のようにつぶやきながら電話をかけた。
自分よりは安全な場所にいるに違いない。もしかしたら一足先に家に帰っているかも・・・俊彦が何か入れているかもしれない。
そう思って智子はとりあえず自分の伝言を入れる前に「2」番を押すと自分の家の電話番号を入力した。
少し間があって「・・・俊彦です。智子大丈夫か?!これを聞いたら伝言残してください。こちらはジジも無事です。とりあえず自宅にいます。」とメッセージがあった!
30秒はとても短く感じられたが、俊彦の安否がわかっただけでも体にも心にも力がみなぎるようだった。
智子は溢れる涙を抑えきれずに泣きながら再び伝言をのこずべく「1」を押して自分の家の番号を押した。
「伝言聞きました!無事で安心しました。今新宿ですが怪我も無く無事です。明日までにはなんとか帰れると思います!」と伝言を残した。
もっと一杯しゃべりたいことはあったが途中できれてしまうのが嫌だったので手短に伝言を残した。
酒巻も伝言を残しているようだ。涙を拭いながら何か話している。亮子も大田も。
227 :
M7.74:2005/11/08(火) 16:17:37 ID:j0v+5ohp
あぁ、旦那さんも爺も無事でよかった!!また続き期待しています!
228 :
一人で頑張る!26:2005/11/08(火) 16:29:08 ID:EukPdh86
皆電話が終わるとぐしゃぐしゃの泣き顔に思わず顔を見合わせて笑った。
うん、頑張れそうだ。もう少しの辛抱だ、誰もがそう思っていた。
亮子はエックエックとしゃくりあげながら3人に自分の家族のことを話し始めた。
「うちの家族、あ・・・ママとパパと弟なんだけど、皆一言ずつメッセージ入れてんの。アホでしょ。犬まで吠えるように言ってんの。」
言いながら涙が溢れている亮子は本当に嬉しそうだった。智子も「うんうん。」とうなずきながら「うちも主人も猫も無事だったよ」と報告した。
酒巻も涙を拭いながらまた背広から家族の写真を取り出し語りかけるように
「うちも無事だった。嫁さんが子供を連れて近所の実家へ避難したそうだ。」
そういうと胸でギュッと写真を抱いた。
で・・・と言った感じで皆の視線は大田へ注がれた。大田は皆の視線を避けるように視線を落として、
「・・・うちは伝言は入ってなかったよ・・・。一応俺は残したけど・・・。」
そう言うと、握りこぶしでアスファルトを叩いた。
「俺が・・・俺が側にいさえすれば・・・。」
そう叫ぶように言うと「ウウウ・・・」と涙声になった。
大田を囲んで3人は口々に慰めの言葉を連発した。
「小さいお子さんがいるんでしょ、避難中で一杯一杯かもよ。」
「避難所も電話の台数は限られているから電話出来ないのかも。」
「大丈夫だ、無事に違いない。心配するな。」
その言葉達を大田は遮るように言った。
「皆は家族の安否がわかったからそう言えるんだ。俺は・・・俺だけが安否がわからないだなんて!
この気持ちはお前らにはわからないんだよ・・・。」
大田は肩をガックリと落とすとやけっぱちのように水を煽るように飲み干すとペットボトルで地面を叩いた。
カン!っと乾いた音を響かせてペットボトルは遠くに飛んでいった。
229 :
地震小説(SF):2005/11/08(火) 16:53:00 ID:/7dqh3Zx
周りは不気味なぐらい静かである・・そういえばここはM8が直撃しても
1mmほど揺れるだけの超耐震マンションだったはず・・
昔〜〜
自分「株で金もあるしこの超防犯・防災住宅にするよ。」
不動産屋「ありがとうございます!!!いやーー今時2700万の住宅をそ
れもキャッシュで買う人なんかほとんどいませんよでは案内します・・。」
今〜〜
そのマンションがこの崩れよう・・
まさか外はとんでもないことに・・・!
瓦礫等に注意しながら恐る恐る外を見る・・・
自分「のおおおおおおおおおおおおお!。」
おもわず叫ぶ外の建物はすべて潰れはるか遠くにわずかに倒れてない建物
が見えるのみ・・・・
自分「ま・・・マジ・・・?。」
おもわず自分の目を5回ほど擦る・・・・・なにも変わらない・・・
まさか・・・・生きてるのは俺だけ・・・?そんな錯覚すら覚える・・
・・・・
230 :
一人で頑張る!27:2005/11/08(火) 16:57:27 ID:EukPdh86
うなだれる大田の手からはアスファルトを拳で叩いた時に出来たのだろう、傷が出来ていて血が出ていた。
酒巻はそんな大田を見て、自分のしていたネクタイをはずしながら教え諭すように静かに言葉を選びながら話しかけた。
「君だけじゃない。僕だって家族が心配だ。こんな時に嫁さんを一人で大変な目に合わせて本当に辛いよ・・・。
伝言は残してはいたがかなり早い段階のものだ。今現在の安否がリアルタイムでわかっているわけではない。
不安な気持ちは誰だって同じだ・・・。無事に帰らないと嫁さんに会うことだって出来やしない。ましてや子供をその胸に抱く事だってできないんだぞ。
・・・守りたいものがあるなら尚更だ。助けられるような状態で戻らないといけないんだよ・・・。そうでなければ誰がお前の家族を守ってくれるんだ?!
お前以外に守れる人はいないんだぞ!」
酒巻はうなだれつつも頷く大田の傷ついた左手を取ると智子から受け取ったお手拭で傷を消毒するとはずしたネクタイで傷口を縛った。
大田は酒巻にされるがままになっていたが、傷の手当が終わると泣くだけ泣いたらスッキリしたのか「取り乱してスマン・・・。」と酒巻達に謝って、手当ての礼を言った。
そろそろ列が新宿駅前に移動しそうだ。前に並んでいた人々がゆっくりと地下道方面へ移動している。4人は今後のことを話し合った。
大田は下北沢に、亮子は中野に住んでいるらしい。結構皆近くまで一緒に行動できそうだ。
もしもはぐれた時はお互い探しあわずに一路家を目指して帰ることを決めた。できれば道中ずっと一緒にいられるといいのだが・・・。
時計を見るともう12時だ。ついに日付をまたいでしまった。
朝帰りなんて結婚以来始めてだ・・・。智子は俊彦の顔を思い浮かべながら絶対に無事に帰るんだと心に強く強く誓った。
警察官が来て列の移動を言われた。新宿駅の前にやってきたが駅構内が見えるが凄惨な状況だった。
右を見ればアルタ側の広場には先ほどの将棋倒しで亡くなられた方の遺体がずらりと並べられており、警察官が身元確認をしているのだろう、背広やバッグから遺留品を見つけては何かメモしている。
左を見れば駅構内は天井が崩れ落ち、非常灯のかすかな明かりの中埋まっている人の手や顔といった肌色の部分がぼーっと光って見える。
こうして自分が生きていることが不思議だ・・・智子は両腕を胸の前であわせ腕をさすった。
亮子も必死に左右を見ないようにしているが、右のほうでは亡くなった方の知り合いなのか泣き叫んでいる人がいる。
見ないようにしていてもどうしても視線がそっちへいってしまう。酒巻は目をつぶっていた。
231 :
一人で頑張る!28:2005/11/08(火) 17:30:33 ID:EukPdh86
こんな状況の中楽しい話が出来るわけはなく、4人ともいや周囲全体が静まり返っていた。
聞こえてくるのは遠くで燃え盛る火災の音と消防車のサイレン、時々救急車の音が聞こえるくらいだ。
また警察官から指示があるまで動けないようだ。今度こそはと3人は酒巻に仮眠を取るようにすすめ。酒巻も大田からコートを受け取ると一休みする事にした。
亮子はさっき自分も2度寝のように智子の横で寝てしまったので寝ていいよと言われたが眠れそうもないので大丈夫と言った。
・・・のにも関わらず何分寝てしまったのだろう、亮子の肩にもたれて寝てしまった。
大田に起こされて慌てて起きた。今度は結構寝てしまったらしい、時計を見ると1時ちょっと前だ。亮子も智子にもたれかかって寝ていたようだ、口の端をしきりに拭っている。
列がやっと移動に入った。これでようやっと地下通路を通れる。
通ってみてわかったのだが二人ずつ通るように言われた。中は両面通行状態だった。向こうから来る人の波がある。良く考えたら私達は皆新宿から都下へ向って帰りたいのだが、逆に帰りたい人もいるわけだ。
地下通路は長いものではないのにやたらに長く感じる。もちろん歩く速度が遅いと言うせいもあるだろうが、それだけではない。
いつ余震が来るかもしれないという不安な状況の中での逃げ場の無い閉塞的な空間にいるせいだろう。早く通路を抜けたい。
そう思う人が多いからだろう。警官は必死に「焦らないで下さい。一歩一歩ゆっくり進んでください。」と呼びかけていた。
通路から出るのに15分以上費やし、通りに出るまでに更に15分かかった。
道路は信じられないことに人で溢れかえっていた。まるでお祭りでもあるかのような人の波だった。
「多分新宿駅から甲州街道へは抜けられないだろうから裏道を使おう。」
酒巻はそう言うと通りをなんとか渡り、駅とは反対方向へと歩き始めたが、ビル群の中は抜けられない。駅前のビルはどれもこれも倒壊寸前だったからだ。
新宿中央公園方面へ向おうと歩いている途中の道もところどころで火災が起きていた。しかし新宿駅の前にとどまる前に見た甲州街道の燃え盛る車のような感じではなく、あらかた鎮火した後・・・といった感じだった。
真っ暗な夜道でもところどころで炎が上がっている為それが逆に街灯代わりになって歩くのには苦労はしなかった。
しかし道路には人と思われる形の黒焦げの遺体が道の端に置かれていたりと凄惨さは変わらなかった。
亮子は目をそむけながらもわざと明るく振舞おうとしているかのように、大田に向って上司がいかに変人かを面白おかしく話している。
智子もそんな亮子を見ながら微笑ましく思っていた。
大田と亮子は歩くスピードが早い。大田は普通の通勤靴で亮子はオフィス用の軽量サンダルだからだろう。
ヒールの智子とは段々距離が開いてる。酒巻が「あんまり距離をあけるないほうがいい」と呼びかけようとしたその時だった。
亮子の脇にあったビルの外壁が落ちてきた。酒巻と智子は「危ない!」と叫んだ。
232 :
一人で頑張る!:2005/11/08(火) 17:36:00 ID:EukPdh86
ご声援サンクスです。
個人的に「黒猫さん」と「80さん」と「地震厨房さん」の話がメチャメチャ気になっています〜。
早く先が知りたいものです!宜しくお願いしますです。
233 :
M7.74:2005/11/08(火) 20:14:45 ID:XdPg/qQ6
一人で頑張る!さん、本職の方ですか?
とっても面白いです。 頑張ってください。
234 :
M7.74:2005/11/09(水) 10:53:44 ID:JRXMvJZc
続きがんがん見たいす
235 :
M7.74:2005/11/09(水) 13:18:41 ID:tPrQ0cwx
続きを激しくキボン
236 :
まとめ:2005/11/09(水) 22:01:12 ID:RVbMgtUx
*<現在連載中の小説>*
■ 黒猫さん作:
>>11〜
■ 80さん作:
>>80〜
■ 地震厨房 ◆ikExn4d2/Yさん作:
>>121〜
■ 149さん:
>>149-150 ■ 地震小説(SF):
>>153〜
■ ◆ftUyddVdPIさん:
>>154〜
■ 166さん:
>>166〜
■ 一人で頑張る!さん:
>>175〜
■「日本沈没」小松左京さん:
>>210〜
*<執筆終了の作品>*
■ 12さん(!?)作:>12-13
■ 173さん作:>173
■ 牛乳風呂さん:>161
237 :
黒猫:2005/11/10(木) 14:00:54 ID:olpe1olp
お久しぶりです。続き〜と言って下さってる方、、感謝です。
体調を崩してしまってちょっと離れてる間に、どんどん凄い大作ですね!
続きどんどんお願いします!さて、お恥ずかしい限りですが
久しぶりに行きます!
みんなは、相変わらず、ぼそりぼそりと会話をしているし、ラジオが細くながれている、校庭の方は相変わらずざわめきが治まる様子も無い。
ああ、本当に非日常だとつくづく思いながら妄想が一人で続く。
だーちゃんは、新宿からの帰り、中野を通る。やっぱり結構危険。スーツに革靴。運動不足の体で瓦礫や火災を避けながら歩いてこれるのか?なんだか無理っぽい。
だめじゃん、最悪。え〜〜最近ダイエット始めたから、少しは体が調子よくって、体はぴんぴんしてるから
途中で、きっといろんな人を助けながらこっちに向かっているから、ここに来るのが遅れている。う〜〜あの人にそんな人道的なことができるのかぁ??
って、思っても自分の旦那だ、これがいい!だから私のところに来るのが遅れているんだ!と思おう。そうそう優しい人だからね。
あ〜〜すっげ〜〜ありえないけどそう思い込もう。今は、日常じゃないんだもん。年中喧嘩してることは、忘れてあげようか。
さて、ママだ。う〜〜っ、勤務地、渋谷!痛いな、大丈夫かしら。しかも、東横渋谷駅ホームの真横の事務所。渋谷駅が崩壊してたら、その瓦礫で、、
うわぁ〜その前に、始業が10時だったよな、あの会社。やばいって、東横乗ってる最中??東横はみんな高架になっているから、まさか、脱線転覆落下?
嫌だ、福知山線の事故の様子が目に浮かんでしまう。やばいよ、やばすぎる、この地震。通勤時間帯の満員の電車が東京中でいったい何本走って
いることだろう。ラジオの「死者657人」の亡くなってしまった方には、申し訳ないけれど、これですんでほしいなんていうのは、都合良すぎる妄想かもしれない。
東京はやっぱり脆い、弱い。今、この瞬間も、助けを求めて苦しんでいる人、間に合わず亡くなる人、ホワイトバンドの「3秒に一人の子供が
飢餓で死んでいく」じゃないけど、刻一刻と増えてるんじゃないの??怖い。どうか、ママ、死んでいないで!!これからは親孝行するから、絶対に生き延びて!
涙が不意に溢れてきて、がばっと両手で顔を覆う。傷が痛む。妹、横浜本牧。あそこはきっと大丈夫だろう。だけど子供が二人もいる。
マンションだけど、たしか2000年の建築基準法改正以後のマンションだ。高い買い物だったけれど、いいマンションを買っておいて良かったと、
今頃、避難することも無く家にいれてるはず。子供たちがTVが見れないと騒いでいるのを、きっと怒鳴りつけていることだろう。大丈夫。きっとがんばってくれ!!
みんなの会話に加わる。「ねえ、やっぱうちらの住んでいたマンションって、古かったのかな?ほら、詳しくはおぼえていないんだけど、昔、宮城県沖で地震があったあと、
昭和56年くらいだっけか?建築基準法施行大改正あったよね?あれより古いマンションだから、私は、出れなくなる、すーさんは大怪我をする
なんてことになったのかな?」かおりが「えらく詳しいね」といってくる。この期に及んでも、2ちゃんでなんとなく得た確認もしていない知識だなんて口が裂けても言えない私。
「ああ、ほら、うちさ実家が不動産屋だからさ」などと言葉を濁す。ちーちゃんが「俺さ、つい一ヶ月前くらいに、更新手続きしたんだよね、だけど、だめだ
思い出せないなぁ、築何年なんて書いてあったっけ?」
238 :
黒猫:2005/11/10(木) 14:05:54 ID:olpe1olp
すーさんが、ブランケットをシャリッと言わせて体の向きをかえて、話に加わってきた。「黒猫は知ってると思うけれど、私は、あのマンションに10年住んでいるのよ」
ちーちゃんが「ええっ!すーさんそんな長かったっけ?」「うん、でね最近なんだけど、3階の人が引越ししたのよね
そのとき、管理人さんと工務店の人だと思うんだけど、ピロティのところでしゃべっていたのよ。内装工事の話なんだと思っていたんだけど郵便物取ってる時に何気に聞こえちゃったんだけどさ、
階段の雨漏りも直しちゃいますか、って話。黒猫もちーちゃんも気が付いていたと思うけど、あそこさ、大雨降ると3階の踊り場だけにマットひかれるじゃない?
あそこ。雨漏りなんだよ。で、少なくともこの5年は放置してあったんだよね、気になってはいたんだけど。だからさ、私も、築年数は忘れちゃったけど、鉄筋コンクリートの表からみれば、
よく言えば、レンガタイル張りみたいな感じだし、人が引っ越すたびに、室内をこれぞとばかりに、綺麗に内装するじゃない、あれになんとなくだまされて
いるだけで、凄く古い建物じゃないかな?って思うんだ。黒猫が越してきた時も、すっごい部屋が綺麗だって言ってたじゃん、キッチンの総入れ替えしてあったって。」と、
一気に話し軽くため息をついた。私は「ああ、そうかもしれないなぁ、私もあの雨漏りは気になっていたんだ、だってさ、あんなところが雨漏りって変だよね?」
ちーちゃんが「俺もブーツ履いてる時滑りそうになったことがあるよ」けーちゃんが「う〜ん、表から見るとすっごい古い感じには見えないんだけどね、だってレンガタイル張りじゃないの?あそこ」
私はかおりに同意を求めるように「でもそのタイルだか、外壁だかが、余震でがらがらと崩れ落ちたんだよね?!すごかったよね?こわかったよね?
おかげですーさんは大怪我してるんじゃんね?」かおりも「確かに、あれはすごかった。朝の地震でなんとか耐えてたのが、あの余震で一気に壊れちゃったって感じだよね」
私が「そう考えると、青梅街道沿いとかって、マンション多いじゃない?うちみたいな、ぱっと見綺麗な感じなんて、ゴロゴロしてるじゃん、やばくない?」
かおりが「だからやばいって言ったじゃん、駅の方とか中杉通りはけが人いっぱいだって!あれ、瓦礫でしょ?下敷きになったり、すーさんみたいに直撃受けたりしたんでしょ?血を流してる人が、、、」
と言って光景を思い出したのか言葉を詰まらせた。駅そばに、大きな総合病院があるけれど、ここ阿佐ヶ谷の裏道の細さ、複雑さを思うと
病院までたどり着けない人、その途中で、余震に遭ってしまった人、すごく多いんだろうな。もし病院に入れても、もう駄目そうな人には、黒いの張られて放置され、軽症には、何色だったか?張られ放置され、地獄絵図なんだろうな。
と、このことを、話すとけーちゃんが「そうだよ、営業所の奴二人は、ハンドル取られて横転して車の下敷きになって
でも、K総合病院までは連れていけたんだよ。だけど、、診てもらえなかったんだ、で、死んだ、言うとおり、裏通りは細い道多いから、瓦礫でふさがって、乗り越えなきゃ通れないなんて感じのところは、多かったよ。おかげで、二人は、、
きっとすぐにいつもならすぐに診てもらえるものも診てもらえず、病院に着くのにも何時間もかかって、痛いって
小さく言うだけで、俺らもそれ聞くだけで、死んじまったんだよっ!」
校庭のざわめきと、ラジオの音をいっそう強調するかのように私達は沈黙した。時刻は午前2時30分。夜明けまでまだ長すぎる。
239 :
地震小説(SF):2005/11/10(木) 16:57:43 ID:vTVCuMYU
>>236まとめご苦労さんです
続き
気が付けば俺はマンション中の扉を叩き「生きてますか!!。」と言っていた・
しかし一つも返事が無いそういえば・・・
昔
自分「へえ・・ここか・・。」
不動産屋「では・・これで・・・。」
自分「そうだまだ金もあまってるし壊れてる所とか修理しよ・・。」
その時俺はわずかなほころびもなこさずコーティングしといた・・・
まさか・・その差?・・・・・
よくみると自分の玄関がすこししか変形していなく
なんとかさきほどの瓦礫等で開けられたのに対し他は数十pもずれていた・・・
ブル・・・
寒い・・・・・
240 :
黒猫:2005/11/10(木) 17:49:44 ID:olpe1olp
また3日ほどあいてしまうので、すみませんが
続きいっておきます。お付き合いいただければ幸いです。
で、書き込んだら、本当に空手の稽古に行ってきますww。
「あっ!」とかおりが小さく叫んだ。「電波!入ってる!」一斉にみんなが携帯を取り出し覗き込む。「私は駄目」すーさん。
もちろん、今時刻を見たばかりの私も駄目。「入るよっ!」とちーちゃん。○ダホンだけが入るのか?○コモのすーさんと私だけ電波が立たない。
本当に使えねーな。氏ね!「かけてみなよ!」というより早く、かおりとちーちゃんは携帯を耳に当てている。「かからないわ」ぼそりとかおり。
「回線が混みあってるあってさ」とちーちゃん。「災害伝言ダイアルは?」「だね」また二人が、携帯を耳に当てている。「私は無事です。
○杉小学校に避難していますけーちゃんも一緒」とかおりがふきこんでいる。
ちーちゃんもむこうを向いて何かふきこんだようだ。うらやましい。「誰に?」「親」「俺も親」すーさんが、「じゃ、誰かから伝言入ってるのも聞けるんでしょ?」
かおりが「だよね、きっと入っているだろうけれど、私いいや。聞かない。だって充電がもたなくなってしまうもん、かけたいところ一杯だけど、とりあえず親だけには安否知らせたからこれでいいんだ」
ちーちゃんも「まあ、一番の身内になんとか連絡とれただけいいんだろうと思おうよ。朝になれば、普通に会話できるように回復する可能性だってあるわけだからさ、ここは、無駄使いやめとこう」
あ〜〜みんな、先のこと考えて偉いなぁ。私だったら、かけまくって、電池なくなって、後で激しく後悔して泣くタイプ、馬鹿だ。
まあ、かけたくっても「圏外」を表示した、私の馬鹿携帯は使えないわけだけどね。すーさんが携帯を見つめている。旦那さんが心配なんだろうなぁ。すーさん自身も怪我がひどいわけだし、私なんかよりずっとつらいだろうなぁ。
一度着信があった私は、幸せなんだろう。ああ、疲れた。寝たい。だけど全く眠れる状態じゃない。「ねえ、みんなさ、眠くない?疲れてない?」
ためしに聞いてみる。「疲れたよ、でも無理だな、これじゃあ眠れないよ」とけーちゃん。「俺さ、腹減ってるんだよね」と続ける。「言ってよ〜〜!ごめん!けーちゃんだけ食べてないんだよね?
網かけられないからお湯沸かせないけどさ、パンあるじゃん!食べなよ」あくまでも、あの缶詰のパンが気になる私は勧めた。「いいの?」みんなで声を合わせて「もちろん!」
ペットボトルの水も一緒に手渡す。けーちゃんの手元に釘付けの私。はぁ〜私って。出てきたのは、なんだかおいしそうなフカフカした感じのパン。「これ、うまいわ、チョコの味だよ」とけーちゃんが言う。
かおりが「ちょっとちょうだい!」と横取りして口の中にパンを放り込んだ。「あれ〜〜美味しいのね、本当に」ちーちゃんが、「まあ、明るくなったら、みんなで食べよう
もう一回さ、網が乗っかるようにすれば、燃料もけーちゃんが持ってきてくれたわけだしお湯わかせるじゃん、カップ麺だって食べられるしさ、でも、こんな真夜中に瓦礫探しにでるのももう危ないから、
とにかく明るくなるまで、俺たちは我慢しよう」せっかく木炭を囲んだのに余震のせいで崩れてしまった簡易BBQ台は朝修復かぁ、、ちりちりと赤い火を見つめた。朝、すべてが見えたら
どんな光景が待っているんだろう?阪神淡路のような惨状がこの東京に起こっているんだろうけれど、願わくは見たくないし、夢でいいから、いつもと変わらない風景が広がっている事を、無駄と知りながら思う。
せめて雨が降らないでほしい、今夜は星がひとつも見えない。天気予報知りたいな。どうやら私は
こうやってすぐに一人で考え込んでしまう、いけないいけない。
空手(・∀・)ガンガレ!
242 :
M7.74:2005/11/11(金) 09:21:09 ID:sNXJNcyS
もうどれがどれだか解んなくなってきた
243 :
地震小説(SF):2005/11/11(金) 15:29:34 ID:yuKnzfmR
よく考えれば当然だグッズ買いに行ったとき2℃だったのだから
夜の今はさらに冷え込む
俺は絶望しつつとりあえず自分の家の食い物を捜した・・・
食いかけのケーキとその他モロモロ・・・・
地震などが起きると自動的に火が消えるタイプのストーブは
最後にその機能を発揮しもう動かなかった・・・
もし耐震だから大丈夫などと思って普通の物にしていたら・・・・・
寒い・・・・・・
とりあえずその辺の毛布にくるまった・・・外は一瞬で建物が倒壊し
火は起こってもこの寒さと瓦礫にジャマされほとんど燃え広がなかった
だろう・・・ ガヤガヤ・・
外が騒がしい・・・・ まさか生存者!?
自分は飛び起き外を見た・・・
自分と俺の2種類は分かりにくいのでこんどから俺に統一します
244 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/11(金) 21:25:42 ID:O1OlVUkq
警察官が、嗚咽をあげる僕を外へと連れ出した。
冷たいグラウンドの土の上で、僕は暫く声を殺して泣いていた。
「・・・彼の、生徒証が見つかったんだが・・・」
警察官はそう言って、少し焼け焦げた生徒カードを差し出した。
彼は気の毒そうに目を伏せている。
ふと、もしかしたら、これは後輩のではないかもしれないと思った。
そう思いたかった。自分のせいで、彼があんな姿になってしまったのではないと。
後輩のではありませんように。
後輩のではありませんように。
そうして、すがる思いで、僕はその生徒カードを受け取った。
「・・・アイツのじゃない。」
僕は思わずそうつぶやいた。
警察官が「えっ」と驚きの声を上げた。
「君の、後輩君のじゃないの?本当に?」
それは、彼と同じ学年の、だが僕には何の面識もない生徒の一人のものだった。
頭のよさそうなコが写真に写っている。だが、その面影はあの白い布の下にあるモノ
からは感じられなかった。
僕は、その焼死体が後輩のではないと分かっても、歓喜の声をあげたり、笑顔になったりはできなかった。
たとえそれが僕の知り合いでなくても、同じ学校に通う一人生徒の未来が奪われたという、
つらい現実に変わりは無かったから。
僕も警察官のオジサンも、ただ呆然と、グラウンドの焚き火の炎を眺めていた。
第二体育館で眠るそのコの両親は、まだ、彼の帰りを待っているのだろうか。
245 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/11(金) 22:14:17 ID:O1OlVUkq
警察のおじさんは、僕を第一体育館へ送り届けると、もう一度、後輩の名前と特徴を僕に尋ねた。
住所についても聞かれたが、僕は彼の家の最寄り駅と、携帯の番号しか知らなかった。
警察のおじさんが去った後、その場にしゃがみこんだ僕は、不意に声を掛けられた。
「あなた、学生さん?」
そう話しかけてきたのは、母とさほど年の変わらなさそうなおばさんだった。
彼女の横では、小学生ぐらいの男の子が毛布をかぶり、すやすやと寝息を立てている。
大勢居る避難民の一人のようだ。
「この近くに住んでるの?」
「いえ、家は葛飾区なんです。」
「えっ、じゃあ、学校から帰ってくる途中で地震に?」
「はい、電車が事故にあって、それで、後輩と一緒に避難してたんですけど、
途中でばらばらになってしまって・・・・・・。」
僕はそこまで話して、思わず黙ってしまった。
後輩のことや、あの火災や、電車の事故を思い出すたび、心に重い不安が湧き上がる。
「・・・私にも、実はあなたと同じくらいのもう一人の息子がいるの。文京にある都立高に通ってる。
新宿に勤めてる夫も、息子とも、連絡が取れないのよ。」
「・・・」
「さっきは、あなたと私の息子の学生服姿がそっくりだったから、思わず声をかけちゃったの。
でね、あなたの話を聞いていて、私、希望がでてきたの。
ああ、あなたみたいに私の息子も、ダンナも今、一生懸命ウチに帰って来てくれてるんだなって。
たしかに、私も、家族がもう死んでしまっていたらと思うと、凄く怖い。
でも、今は待つしかないの。もう二度と家族に会えないかもしれないけど、私たちは待つしかないのよ。」
「・・・待つ・・・しかない」
「そうよ、待つしかないの。だから、家に向かってるあなたたちと同じくらい不安だけど、
同じくらい一生懸命に待ってるの。」
「だから、あなたも、一生懸命帰りなさい。そして後輩君のことを一生懸命待っててあげて。」
胸が熱くなった。そして、こんな目にあっているのは自分だけじゃないと改めて感じた。
今、この首都圏で何百万という人が家路を急ぎ、何百万という人が家族を待っている。
そして、何千万という人が家族のことを考えてる。
後輩の家族も、あの秀才そうなコの家族も、警察のおじさんの家族も、目の前のおばさんの家族も・・・。
例え家族が死んでしまっていたって、会えるかどうか分からなくたって、
僕らは待つしかないし、帰るしかないんだ。
怖いけど、待つんだ。怖いけど、家路を歩くんだ。
僕は、顔を上げて、もう一度、家に帰ろうと思った。
246 :
M7.74:2005/11/11(金) 22:14:41 ID:Ed8Ucwh0
不謹慎だがよかった。後輩君。ううう・・・
247 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/11(金) 22:38:10 ID:O1OlVUkq
すでに日付が変わろうとしていた。
さっきまで一緒に話していたおばさんに教えられ、僕は災害時伝言ダイヤルを使ってみることにした。
ろくに使ってないはずの携帯は、バッテリーがまばらだった。
「・・・今、板橋のスポーツセンターにいます。俺は無事です。怪我も無いです。大丈夫。
明日の夜には家に着きます。心配しないで。」そう録音した。
依然として他のところにはつながらない。試しているうちに、電池がなくなってしまった。
後輩には手紙を書き、探し人の張り紙でいっぱいの掲示板にはることにした。
「大丈夫? 怪我とかないか? ちゃんとモノ食べているか?
お前とはぐれてから、ここに避難していました。無事です。
あの時、手を離してしまって本当にすまなかった。怖い思いをさせて、本当にごめん。
頼りない先輩で、本当にごめんな。
でももう、お前には心配かけないよ。大丈夫。
俺は葛飾区の家に帰ります。
お前の家は、戸田だっけ。
お前も、頑張って自分の家に帰ってくれ。俺のことは心配要らないから、
その分、お前のことだけを一生懸命考えて、帰ってくれよ。
俺は、先輩として、お前をずっと待ってます。
一生懸命待ってます。頼りないかもしれないけど、それでも一生懸命待ってます。
街も、なにもかもが元通りになったら、学校で会おう。
それまで待ってるから。
がんばって。」
そんな内容の文章を、あのテスト用紙の裏に書いて貼り付けた。
その後で、煌煌と電気のついた体育館に戻ると、強い睡魔に襲われた。
248 :
M7.74:2005/11/12(土) 02:21:16 ID:lfdRFRAq
韓国は、阪神淡路大震災の時に『天罰!』と載せた新聞を良いニュースです!と言って新聞社が号外を出す国。こんな新聞を出した国は勿論、世界でも韓国だけです。日本に災害があるたびに心底喜ぶ韓国人。人の死をも罵倒し喜ぶ。
249 :
M7.74:2005/11/12(土) 04:33:23 ID:MAEmoV6n
黒猫さん全部読みました。
続き待ってます!
250 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/12(土) 18:17:12 ID:AFZacRLt
僕は毛布の下で丸まって眠っていた。
寒気がして、うっすらと目を開ける。今は何時なんだろう。ここは――。
起き上がって、体育館を見渡すと、殆どの人が起きているのがわかった。
「おはよう。」
ぼおっとしてる僕に、昨日知り合ったおばさんが声を掛けてきた。
「おはようございます。」
「昨日は疲れてたのね。夜中、あなた毛布も掛けずに寝てたわよ。」
「・・・」
「グラウンドで、配給やってる。家帰るのに、いろいろ持ってった方がいいわよ。水とか。」
彼女のアドバイスに従って、グラウンドに出る。
体育館に横付けされたトラックの荷台には、発電機が轟音を立てている。
薄い水色の空には、スモッグのように、どこからとも無く煙が流れてくる。
配給の列は整然としていた。
僕もその列に加わると、どこからともなく聞こえる「被害に関しての情報」に耳を傾けた。
「・・・死者が一万人超えたってね。」
「・・・新宿から西の住宅街は、初台や中野から多摩・八王子までみんな火が這ったように焼け野原だ。」
「いや、被害が一番酷いのは下町らしい。浅草の雷門も倒壊・・・」
「・・・レインボーブリッジはすごい揺れたってな。緊急停止したゆりかもめに、一斉に車が――」
「大手町で・・・」「アクアラインで・・・」「ディズニーランドで・・・」「渋谷で・・・」
「足立も葛飾も荒川区も江戸川区も、沼みたいになったらしい。地震の瞬間に、地面が底なし沼になるんだ。
で、大きなビルとかも沈むように倒れたって。」
葛飾、底なし沼。僕のすぐ後ろで聞こえたその声に凍りついた。
そんなことあるわけ無いと思った。でも、もし・・・
僕は水とカンパンを受け取ると、すぐにウチへ帰る準備を始めた。
251 :
黒猫:2005/11/13(日) 13:29:34 ID:pCHzM3U2
>>249 ありがとう(涙)
少し続きいきます。
どうせ眠れないんだ!なんか気の利いた話でもみんなでして、励ましあうのがこんなときは大切なんだろうなぁ〜でも、、、何の話するの??わからない。
笑い話なんかできそうにもないし、素直に笑えないだろうな。第一不謹慎かな?校庭のざわめきは、どんな会話の集合体なんだろう?
食べ終わったけーちゃんとかおりは二人でぼそぼそと話をしているし、すーさんは、横を向いてしまっている。眠れてるわけは無いだろうけど。ちーちゃんは、ラジオの充電をしている。
私は?無力だなぁ、、軽く欝になってみる。なんて場合じゃないだろ!私!「あのさぁ〜朝になったらさぁ、救援くるよね?」みんなが私を見る。
「まあ、そう信じたいけど、さっきの話じゃないけれど、満足いくものかどうかは期待はしない方がいいかもね」と現実的なちーちゃん。「じゃいつまで待ったらいいのかな?」子供かよ?私!
「大丈夫だって!生きてるんだからなんとかなるって」とけーちゃん。「じゃあさあ、簡易トイレなくなったらどうするの?校舎のきったなーいトイレ、私行きたくないよ、それにさ、携帯の充電切れちゃったらどうするの?
今更、コンビニに強奪にいっても、充電器なんかこれっぽちも残ってないだろうしさ、どうにか非常用のバッテリーとかがあったって、モジュラージャックがなけりゃ、充電もできないし、
それにだよ、タバコが切れたらどうするの?救援物資にタバコなんかあると思う?嫌だね、私は、タバコが吸いたいよ。持ってる奴から奪ってでも吸いたいね。ビールだって飲みたくない?こんだけの酒飲みが集まって、火囲んでこんな深夜に酒もないんだよ?
耐えられる?こんなのが続いたら?」まくしたててしまった。本当に駄目だ私。困った顔をしたみんなの顔が私を見つめている。私だってこんな話がしたかったんじゃないのにっ!後悔したけど、言ってしまったものはしかたがない。
こういうときに本当に人間性が出るんだろうな。ひとつわかったこと、私は、ものすごく自分勝手で、最悪の人間だってこと。かおりが「黒猫らしくないねぇ、どした?」と言ってくる。声が出ない。
「黒猫の言ってる事わかるなぁ、昨日の晩に、今日こんなことが起こるってわかってたら、俺も、タバコと酒を真っ先に準備したかもしれないよ」と落ち着いた声で言うちーちゃん。けーちゃんが「そうだよな、だって俺らってさ、飲んでばっかだったしな、
こんなシラフで会うことってそんなにないもんなぁ〜ハハハ。」私の負けだ。「ごめん、変な事言って」小さくあやまる。「まあまあいいじゃんいいじゃんね、黒猫の言ってることが、本当の本心だと思うよ、
だってさ、まさかこんな事が本当に起こるなんて、昨日まで疑っていなかったんだからさ。そりゃ私も酒飲みたいし、タバコが無くなったら?って思うけど、しかたないじゃんね、大丈夫だって、日本沈没したわけじゃないんだし、東京やその近辺だけじゃん?
何10`か、西か東に行けば、普通の日常があるんだから、そこに酒もタバコもあるってば!ねぇ?」とかおり。
252 :
地震小説(SF):2005/11/13(日) 14:46:08 ID:ydpTu1Ou
ベランダから外を覗くすると救助隊が駆けつけていた・・
周りが静かすぎるためか彼ら声が良く聞こえる
救助隊「しんじられない・・M10とは聞いていたが・・・。」
M10????おもわず耳を疑う
救助隊2「生きてる人はこのマンションぐらいのものだろうな・・。」
自分「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいここにいますよー
ーーーーーーー生存者ーーーーーー。」
大声で叫ぶ・・・
救助隊「ドアは開きますかーーーーーーーーーーーー?。」
自分「開きまーーーーーーーーーーーーーーーーーーす。」
自分以外に生きている人がいると間近に分かり嬉しさがこみ上げていた
そして俺は役に立ちそうな物はすべて避難袋(買っといて良かった〜〜)に詰め
マンションをでヘリコプターで来たという救助隊2人と一緒に
避難所へ向かった・・救助隊の話によるとM10というあり得ない地震が
東京のど真ん中でおき震度1が北朝鮮あたりまで広がったというそして
関東はほぼ壊滅状態なのだそうだ・・・・
そしてだんだん建っている建物が増えていきようやくほとんどすべての建物
が建っているような状況になった時にはすでに愛知県に来ていた・・
ついたのは名古屋の避難所
東京に住んでいる俺が名古屋の学校に避難しているという異常な状況になった・・
253 :
M7.74:2005/11/13(日) 15:03:19 ID:MaXKVDWZ
黒猫さん頑張ってください。
続き期待あげ
254 :
M7.74:2005/11/14(月) 20:36:18 ID:7u6QGs89
一人で頑張るさん
黒猫さん
地震厨房さん
続きをとっても期待しています!
255 :
M7.74:2005/11/14(月) 20:37:39 ID:Nr5y5HCQ
今まで地震を題材にした小説ってないから、これは穴場かもね。
256 :
M7.74:2005/11/14(月) 21:00:49 ID:Er7PdiZ2
>>255 つ「震災列島 石黒耀」
この小説を知らないとは、あんたモグリだなw
257 :
M7.74:2005/11/14(月) 21:21:51 ID:EpT0EL2Z
日本沈没もよろしくね!
258 :
M7.74:2005/11/14(月) 22:43:42 ID:Jdj2HaJU
ここに書いてある小説をまとめてを1冊の本にして出版したら面白いかも
259 :
M7.74:2005/11/15(火) 00:14:39 ID:lGQ2R6Mm
260 :
M7.74:2005/11/15(火) 04:21:40 ID:ZAq4JzAm
>>256 「震災列島」はでも、なんか微妙に違うだろ。
中盤以降敵討ち話になってるし、「日本沈没」は
地震通り越して日本沈没しちゃうし。
261 :
80:2005/11/15(火) 05:10:57 ID:qShiWa38
>>112 の続きです。
非常事態宣言がされたところで、何も変わらない。
津波の被害状況が見えてこない。
第二波の予測はNHKに直接電話して伝えた。
第二波到達予想時刻、石廊崎9時11分、あと1分後だ。
ニュースで津波警報の情報を読み上げている。
天竜川に津波が逆流してきて、波高が7mにまで達したという。
沿岸および河岸から離れろと、何度も繰り返している。
海水浴シーズンでなかったのがまだ幸いだろうか。
今年の夏、海水浴に行ったビーチでは、津波の訓練が行われた。
地震が起きたのを想定してビーチから15mほど上の高台に避難した。
強制では無く、参加した海水浴客は1割にも満たなかった。
危機意識の低さに唖然とした。
スマトラ沖の例があるから、津波警報が出たら高台に逃げることは
頭にあるだろうが、実際は警報は待たずに、
揺れを感じたら即避難するぐらいの心構えでないと、とても間に合わない。
津波警報が迅速に出されるとは限らないからだ。
どれくらいの高さまで避難するべきか、どのくらいで避難できるか
あらかじめ知っておく、それが訓練ってもんだろ。
海岸沿いに住んでなくても、たまたま海岸にいたときに
地震が起こったらどうすべきか考えてる人がどれだけいるだろうか。
262 :
80:2005/11/15(火) 05:12:21 ID:qShiWa38
>>261 続き
NHKのアナウンサーが静岡放送局に問い合わせているが、
静岡の方が相当混乱しているようで
すぐに東京のスタジオに切り替わってしまう。
静岡放送局のアナウンサーは涙声だ。
とぎれとぎれに入ってくる音声で津波で家屋が多数倒壊、
焼津付近の国道1号が寸断し、
周辺の集落の状況が確認できない、
国道150号を走行中の車が多数波にのみこまれた、
日本坂トンネルが崩落した、
音声だけの情報だが、目を覆いたい気分だ。
通信担当SEが到着した。
歪んだドアを蹴破って出てきたらしい。
通信回線が復帰した。
入ってくるデータの量が多すぎて、処理しきれなかったようだ。
民放各局にも津波第二波の到達予想時刻を送信した。
逃げてくれ、早く、高台に逃げてくれ。
263 :
M7.74:2005/11/15(火) 07:34:07 ID:cYjgGuzO
保守あげ
264 :
黒猫:2005/11/15(火) 15:23:13 ID:vkBDBZlR
>>253 >>254 本当にありがとうございますm(__)mすごく恥ずかしいのですが
もう少し頑張りますね。よろしくお付き合いくださいな。
あと、今日はサーヤ様の結婚式ですね!朝から、津波を伴う地震で笑いましたww。
このネタも入れたかったのですが、無理っぽいのでやめときます。
黒猫の馬鹿話行きまーーーす!
「本当にごめん、私、駄目な奴だね、ごめんっ!」私は、みんなの顔も見れないまま、ただただ、ブルーシートに額をこすりつけるようにあやまった。
「やめてよ、黒猫」すーさんが、ブランケットをシャリっと言わせながら言ってくれる。優しいな。
「やめやめ!ね?こんなときだからこそやめよ!」かおりも言ってくれる。
「喧嘩ならさ、そのうちゆっくりやればいいって、な?ハハハ、黒猫はどんな緊急時も喧嘩ッ早いのはかわらないなぁ〜〜あ〜〜いい性格してるよ」とけーちゃんが、
さもおかしくてしかたがないといった風に言ってくれる。
すみませんねぇ〜〜、私は、売られた喧嘩は買いなさいって、育てられてきたんだよ!って反撃したかったけど、優しいみんなの顔を立てようと、精一杯の申し訳なさを顔に浮かべて、顔を上げた。
ぼんやりと、みんなの顔が見える、疲れてるだろうに、みんな笑顔だ。見ていられず、またガバっと両手で顔を覆い泣いてしまった。ウック、、エック、、、ズズ、、私の声にならない嗚咽と鼻をすする音だけが響く。
そのとき、ヌルリ、、という形容詞がぴったりな感じに、地面が動いた!ヌルリ、、ヌル、、グラ、、ほんの2〜3秒だろう、しかもたいして大きくない。だけど、地面に座り込んでいる体には、こたえる揺れだ。
校庭からみっともない叫び声さえ上がる事も無い大きさの余震。だけど、ちーちゃんは、しっかりと、動けないすーさんのことをかばっている。偉い。無用な言い合いもこれをしおにやめられそうだ。
涙でひどいことになっているだろう顔で言う
「震度いくつかな?」
「2とかだよ、小さかったけど、気持ちが悪いゆれだったよね」とかおり。「ラジオ聞いてみよう」とちーちゃんが、提案したので、ヴォリュームを少しあげて、みんなで聞き耳をたてた。
「〜23区で揺れを感じました。落ち着いて行動してください。今後も、この程度の余震が起こる可能性がありますが〜」「震度言わないね」とすーさん。「だな」けーちゃん。「東京のさ地震計がみんな壊れちゃってわかんないんじゃないの?」と、
そんなことがありえるかどうかもわからないままに、最悪の事を口走る私。「ええ〜〜っ?そんなにぬるいかなぁ??最悪でも、どっかの官庁とかぐらい残っているでしょ??都庁とかだって残ってるんじゃないの?
消防署だって残ってたじゃん、あ、少なくとも、そこのね」と青梅街道の方を指差すかおり。ここに来るまでに前を通ったんだろう、崩壊していないのか、、なんだかほっとする。「まあ、今のなんて、小さいし、今まで、何回か、
余震があったけどだんだん収まってきてるんじゃない?
大丈夫だよ。今のがたとえ震度2だろうが3だろうが、昨日起こっちゃった地震はもう取り返しつかないんだしさ」現実的なすーさん。ラジオの音が聞こえた「政府は本日早朝より本格的な救助活動を
開始します。なお、海外からの救援、救助も多数、関西国際空港に到着しており、東京方面に向けて移動を開始しています。一般の方は、救援救助の妨げになりますので、車での移動は絶対にしないでください。」
うぁああ〜〜うれしい!!夜が明けないかしら?早く!!
「よかったね!やっぱり日本は先進国だね。
このぐらいじゃへこたれないよねぇ〜、成田が駄目だって、関空もあるし、名古屋にも大きな国際空港できてるし、やっぱ日本に生まれてよかったぁ〜〜さすがは小泉さん、選挙行かなくってごめんねぇ〜」
私の発言がよっぽど変だったのか?みんながクスクスと声を殺して笑っている。
265 :
黒猫:2005/11/15(火) 15:29:25 ID:vkBDBZlR
「まったくさぁ黒猫よぉ〜泣いたりくだらねえこと言ったりさぁ〜ほんっと馬鹿だな!ワハハ!」ちーちゃんがこらえきれず爆笑している。
??確かにさっきまで泣いていたけどさ〜〜いいじゃんね?うれしいじゃんね?
「だってうれしくない?ここはさ、都心からもそんなに離れていないし、幹線道路も通っているし、多分、救助の車とかが来やすい場所だと思わない?
裏路地はやばいかもしれないけれど、私らは、ここに集まれてるわけだし、幸い、火の海が迫ってきても無い。お台場や下町みたいに地盤が弱いところでもない!
すっごく安全な部類の場所にいれてると思わない?だから真っ先に、救援くるって!
来やすいものねぇ〜明るくなったら、街道沿いで、救助の車を捕まえて、ここの校庭に誘導しようか??」明るくなったら救助・救援イコール真っ先に私達のところ、
と都合よく解釈する私はまくし立てた。
「まあまあ、ここが避難所になってることなんか把握されてるんだから、そう焦らなくってもさ、へたに歩き回って、怪我したりしても首をしめるだけじゃん」とけーちゃんががちらりとすーさんを見ながら言う。
「そうだよ、怪我しちゃったら困るって、
お医者さんが大挙して来てくれるとは思えないし、怪我だけでなく体調崩したりするのもまずいから、けーちゃんの言うとおりおとなしく待ってるほうがいいよ」と、すーさん。説得力がある。
「そだね」おとなしくひきさがる、私。「まあ、一服しといでよ!たばこならおれがまだあと一箱封切っていないの持ってるからさ!心配しないで吸っておいで」とちーちゃんが言ってくれた。
「じゃさ、眠れないし、ここの人たちがみんなどうしてるのかの偵察も兼ねて、
最初にタバコ吸ったところに行って吸ってこない?ここに座り続けるのも疲れちゃった〜〜」とかおりが提案してくる。「そうだね、たしかに、座りつかれた。もっと情報持ってる人もいるかもしれないもんね、
私は一人で行ってくるよ」と
立ち上がろうとしたら「あぶなくねぇか?」とちーちゃんが言ってくれた。私は、全然大丈夫だったんだけど「心配してくれるなんてうれしいなぁ〜♪やっぱ見るからにかよわいものねぇ〜私って、
だけど大丈夫よぉ、何かあったら、空手のいい実践になるってもんよ!」
なんていいながら、校舎の裏側に向かって歩き出した。「なんかあったら大声だせよおお」けーちゃんが背中に声をかけてくる。振り返らずに手だけ振る。校庭の人たちにまぎれた頃、軽く屈伸してみた。
「うう〜〜ん」と思わず声が出る。
すぐ横の、BBQセットを本格的に出して、火の番をしているだろう、お父さんっって感じの人が、「なんだこの女?」って顔して見ている。クックックッ。不審に見えるんだろうな私って。火のついていないタバコをくわえたまま歩く女。
片手は血が滲み、片手はTATOOが袖からのぞく。
普通の晩だったら、職質ものだな。クックックッ。なんだか、最初にタバコを吸いに来たところとは違う感じがするところにきてしまったけれど、ここも何かの裏なんだろう。
ご多分に漏れず、こんな時間でも、肩身の狭い喫煙者が集っている。ポツリポツリと赤く点滅する小さな炎と、ボソリボソリとしゃべる声。「いやあ、まいりましたよ。家は全壊ですよ。まさかとはおもっていたんだけど、
耐震診断でもしときゃっよかったななんて後悔してますよ」なんて話。
「寝たきりのじいさんがいるんだけど、日が落ちるまでに探し出せなかったんですよ、、、明るくなったら総出で探しますがね、、、年が年だし、、なんとかがんばってくれてればいいんですかがね、、、」
景気の悪い話が続く。「もう、どうしたらいんだよっ!俺わかんねぇよっ!」と何がわかんないのか?わからないけれど、泣きそうな声で、拳を地面に叩きつけてる若い男の子。どう見ても16歳くらい。足元にタバコの吸殻が散らばっている。
親とはぐれたか?彼女が死んだか?どっちにしろ、
まだガキってことでしょう。わかんないってことないよね?生きましょうよ?ねぇ?決して話しかけなかったけれど、色々な話が聞けた。景気はどん底に悪そうだ。はぁ〜〜。ゆっくりと一服しすぎた、気がついたら
フィルターの嫌なにおい。あわててもみ消す。ついでに携帯を見る。相変わらず圏外。時刻は午前3時45分。東京の日の出は何時なんだろうか?今朝の新聞は読めないんだな、と意味もなく空を見上げた。
266 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/15(火) 19:59:24 ID:F8sawzyr
今朝の地震は本当に驚きましたね。まさかとは思いましたがw
津波注意報のニュース見ながら
「これ、ネタに出来ないかな??」
と、
>>264の黒猫さんとおんなじことを考えてましたw
不謹慎で申し訳ない・・・。
267 :
黒猫:2005/11/15(火) 22:38:22 ID:vkBDBZlR
アハハ。地震厨房さんもですか?
本当に不謹慎でいけないとわかりつつも、、ですね。
しかし、一度も、お話したことないですね?
本当はおいくつなんですか?聞いちゃいけないのかな?
私は、あのくだらない小説のまんまなんですww。
友達の名前を、多少いじってるだけで。
いつか、誰かが、わかってしまうのでは?なんて、いらん心配していますw。
オフとかできたら、たのしいなぁ〜〜なんてね!どうでしょ?みなさん?
生黒猫見たくないですか?と言ってみるテスト。
268 :
M7.74:2005/11/15(火) 22:57:39 ID:uAoUsAqX
同じ主婦なんで、黒猫さんに親近感が沸きます。
でも私にはあんなに素晴らしい小説を書くことなんてできず、ただただ「すごいな」って
感心するばかりですw
生黒猫見たいです。
会ったらいっぱい話したいこと、聞いて欲しいことありますよ。
これからも頑張ってくださいね。
269 :
黒猫:2005/11/15(火) 23:19:51 ID:vkBDBZlR
>>268 同じ主婦さんですか!うれしいですね♪素晴らしい小説は言いすぎですがww。
この、くだらない話の中に、実は今の私の悩み事とかが反面教師的に入っていたりします。
どこがどうだかは言えないのですが、、
私も、聞いて欲しい事、話したいこと一杯あります。
そんな機会があったら、すごく楽しそうですよね?
なんて、2ちゃんではこんなことは無理なんだろうなぁ〜なんて、
でも、きっといつか、そんな出会いもあるかもしれません。
無理だと思ったら無理。出来ると思えば出来るってことですよね!
ありがとう!お互いがんばりましょう!
270 :
M7.74:2005/11/15(火) 23:29:40 ID:j5uT3UsJ
271 :
黒猫:2005/11/16(水) 01:41:27 ID:mooToVXs
>>270 やってみましたが、、どうでしょ?
ここ見てくれてる人は、ある程度わかるでしょうが、知らないとねww。
誰か書いていましたが、ご近所とは言いません、せめて同じ沿線なら
飲みあかしたいですね。黒猫姉さんがおごりますわ。
272 :
M7.74:2005/11/16(水) 02:39:42 ID:3soEQPcv
黒猫さんオフ会いいですね。
いやぁ、愛煙家の主婦仲間が欲しいと
思っていたのですよ。
あ、268さんではありません。
273 :
M7.74:2005/11/16(水) 02:46:09 ID:3soEQPcv
>>272 訂正
× あ、268さんではありません。
○ 私は、268さんではありません。
274 :
M7.74:2005/11/16(水) 04:25:53 ID:Z3fw7SqF
厨な主婦を総称してチュプと言う。
余計な話持ち込んでんじゃねーよ
275 :
M7.74:2005/11/16(水) 08:09:10 ID:70DobbrV
本当だよ、これだからチュプって・・・
鬼女板に(・∀・)カエレ!!
276 :
黒猫:2005/11/16(水) 14:20:24 ID:mooToVXs
>>274 >>275 もうしわけありませんでした。
板違いですね。
次はちゃんと小説もどきに戻りますので
今回は勘弁してやってください。
277 :
一人で頑張る!29:2005/11/16(水) 15:02:22 ID:t6KCvp5I
酒巻と智子の声にいち早く反応したのは大田だった。亮子は「何〜?」と振り向いている。
そこからの場面はスローモーションのフィルムを見ているかのようだった。
大きな外壁のかけらは亮子目掛けて落ちていく。亮子はまだ気がついていない。
外壁の小さなかけらが自分に当たって初めて亮子は自分に迫る危機に気がついたのか「キャー!!」っと悲鳴を上げた。
しかし気がつくには遅すぎた。もう逃げる間はない。
「亮子さん!!」と智子が叫んだその時、亮子を突き飛ばしたのは大田だった。
大田が亮子を突き飛ばしてすぐ、大きな外壁は土煙を上げながらズシンと音を立てて地面に落下した。
一部始終を目の当たりにして二人は思わず立ちすくんでしまい足が動かなかったが、
土煙がおさまり状況が確認できるくらいになってから我に返り、酒巻と智子は叫びながら走り寄った。
土煙がおさまった後の現場は先ほどまで道路だった場所が瓦礫の山になっていた。
智子は足元から震えが起こるのを止められなかった。膝から下がガクガクして今にも崩れ落ちそうだった。
酒巻はそんな智子を支えながらも現場に近づく。智子の腰にまわされた酒巻の手からも振動が伝わる。酒巻も小さくだが震えている。
瓦礫のすぐ脇に亮子は倒れていた。智子は必死に亮子の名前を呼んだ。
あまりにも智子が亮子を揺さぶるので酒巻は「頭を打っているかもしれない。あまり揺らさないほうが良い」と言うと静かに亮子の左手を取ると脈を見ている。
先ほどまで緊張した面持ちだった酒巻の表情が穏やかになっていく。
「大丈夫だ。気を失っているだけみたいだ。」
智子も亮子の胸に耳を当てた。トクン・・・トクンと規則正しい音が聞こえる。
「本当だ・・・良かった・・・。」
智子はバッグから水を取り出すとハンカチに少しだけ含ませると亮子の頬や額に当てた。
程なくして亮子が目を覚ました。
「・・・智子さん・・・。」
起き上がろうとする亮子を酒巻が制する。
「頭を打ってるかもしれない。無理に起き上がらなくていい。」
亮子は頭に手を当てながら「大丈夫・・・。」と言うとゆっくりと起き上がった。
起き上がると痛みが走ったのか「痛ッ」っと後頭部を抑えた。
倒れた時に打ち付けたのか、後頭部から出血している。
とにかく止血しないといけないと思い智子は亮子の傷口にハンカチを当てて、自分のしていたスカーフを取ると頭に結びつけた。
亮子は智子にされるがままになっていた。
278 :
一人で頑張る!30:2005/11/16(水) 15:29:57 ID:t6KCvp5I
とにかく亮子は怪我をしているものの命に別状はないようだ。智子はホッとした。
智子は手が震えてしまってスカーフが上手く結べない。何度も何度も試すが上手くいかない。
見かねた酒巻が智子にかわってスカーフを結んだ。
とりあえず手当ては終わった。智子は亮子に水を飲むようにすすめた。
智子からペットボトルを手渡されて一口飲んで、それまで口を開かなかった亮子がハッとなって言った。
「お・・・大田・・・太田さんは・・・?」
酒巻も智子もハッとなった。立ち上がろうとした亮子を酒巻は「ここに座ってなさい」というと、目の前に広がった瓦礫を見た。
智子も亮子が無事だったとわかって少しだけ落ち着いていたが大田が行方不明とわかってまた震えが止まらない。
ふらつく足元で瓦礫の周りを歩き回る。周囲をぐるりと見回しても大田の姿は見つからない。
「大田さん!太田さんどこ!?聞こえてたら返事をしてぇぇ!!」
亮子が叫ぶ、何度も何度も叫ぶ。そのうち涙声になって叫び声は声にならなくなり、小さな嗚咽に変わった。
酒巻も「大田さん!・・・太田さん!」と何回か叫んではサイレントタイムを設けて小さな音一つ逃すまいと耳をそばだてている。
智子は酒巻の邪魔にならない様に周りをうろつくのはやめて、手近にある動かせそうな瓦礫を車道側へ動かしてみた。
もしかしたら大田はこの瓦礫の下敷きに?!智子は嗚咽がこぼれそうになるのを抑えながらも懸命に瓦礫をどかした。
酒巻が何度か叫んだ後、智子側の瓦礫の下から携帯電話の着信音が鳴った。
「太田さん!!!!!」
智子は瓦礫をどかす手を早めた。早く!早く!もう大半の細かい瓦礫は撤去済みだ。
あとは男手が必要だ。「どいて」智子をやんわりと遠ざけると酒巻が渾身の力をこめて大きな瓦礫を勢い良くどかし始めた。
智子も酒巻の邪魔にならないように周りの自分が動かせる大きさの瓦礫をどかす。
あたりには放り投げ出される瓦礫のガツンガツンという音と大田の携帯の着信音だけが響いている。
一刻も早く大田を助け出さなければ。大田の携帯電話もいつ充電が切れるかわからない。
音がしなくなれば正確な位置はつかめなくなる。逸る気持ちを抑えながら瓦礫を一つ一つどかしていく。
泣き崩れていた亮子も走り寄ってきて「早く!!!早く!!!」と叫びながら瓦礫をどかしている。
瓦礫にはガラスや鉄骨も混じっており、3人は手を血まみれにしながら賢明に瓦礫を撤去し続けた。
15分も撤去し続けたであろうか、大田の携帯電話の着信音がクリアに聞こえ、携帯電話のライトが見えた。
279 :
黒猫:2005/11/16(水) 15:48:12 ID:mooToVXs
きょろきょろしながら、陣地に戻る。「ありがとう!先に悪かったね〜次行っておいでよ!」かおりが「じあ、けーちゃんと行って来ていい??」と言いながら立ち上がる。
「いってらっさーい」二人連れ立って、行ってしまった。
「聞いてよ!今さぁ、あっちの裏の方で吸ってきたんだけどさ〜やっぱ、みんなひどい目にあってる感じ。じいさんが生き埋めになってるとかさ、家が全壊したとかさ、若い男の子が泣いてんのよ?
よっぽどなんかあったんだろうなぁ?って思わない?」ちーちゃんとすーさんに話しかける。
「でしょうね、私が歩いてきた範囲では、大きな火災も起こっていたし、寝たきりの人とかあれじゃあ逃げるに逃げられないんじゃないかな?と思ったよ。実際さ、道すがらでは、まだ家の中に赤ちゃんがぁ〜〜とか、
おばあさんがぁ〜〜とか、、、」と言って、すーさんがいったん言葉に詰まっている。
軽く咳払いをして続ける「消防なんか来ていないし、どの家の人も自分の家のことで必死で、、、手伝ってあげた人いるのかな?私も薄情だと思ったけれど、あの場をさっさと通り過ぎなけりゃ、私まで火災に巻き込まれてしまうって、、
怖くなるほどありえない地獄みたいな様相だったんだ」
続ける「できるだけそういう光景見たくないから、避けて通って、迂回迂回よ。帰るのに時間がかかった所以ね」と言って、ふぅ〜〜と深呼吸するすーさん。「しかたないでしょ、私も、避けて逃げると思う。もうさ、避難が完了していて、
誰かを助けようと現場に戻ったんじゃない限り、私にはできないよ。救助なんか」
と私。ちーちゃんが「まあ、俺も人の事はいえないよな〜俺は、学校に行こうと、駅に向かってる最中だったから、このへんのことしかわからないけど、かおりがいっていたように、駅からこっちに戻る道すがらは、ひどかった。
瓦礫を避けて、ただただ、家の方に戻ろうとしか考えられなかったし、途中で、知り合いに会っても
ただただ無事だったことを喜ぶ話しかできないまま、別れちゃったし、俺もいざとなるとなんにもできないしょうもない人間だなって思うよ」「そんなことないよ!」「私のこと、マンションから助け出してくれたのはちーちゃんとかおりじゃない?
かおりがちーちゃん連れてきてくれたとき、生き返った気がしたよ!ロープ投げてくれたじゃん?
食料だって、水だって受け止めてくれたじゃんね?じゃなけりゃ、私はいまだにあの崩壊寸前のマンションの中に一人ぼっちなんだよ」と、熱く言ってみた。「まあね、あれはさ、俺の住んでいるマンションでもあるし、黒猫が閉じ込められてて、
しかも、かおりが、ここで血眼になって知り合い探したり、情報収集したり、黒猫を救助するためにどうしたらいいか?
必死になってるところに居合わせたわけだから、そりゃあ、手伝うでしょ?だから褒めるならかおりだね。あいつの必死さが伝われば、誰もが手伝う気になるって」と、ちーちゃんは謙遜を言う。すーさんが「そうだね、かおりは、一番若いけれど、
友達とかすっごく大切にするもんね〜ちーちゃんが見た必死のかおりの姿は、簡単に目に浮かぶわ」
「だろ?すごい必死だったよ。なんか約束でもしたの?黒猫?」と今更、あの救出劇の舞台裏のお話ですか?って感じだったけど答える。「約束なんてしてないけど、暗くなる前には、戻ってくるからって言ってくれた、で、言葉通り、ちーちゃんまで連れて、
来てくれたんだよね、これが、かおりにとっての約束だったのかもしれないなぁ〜」
280 :
黒猫:2005/11/16(水) 15:53:50 ID:mooToVXs
「かおりのことだから、そう言った以上は、女に二言はない!!って勢いだったんだと思うよ。実際すごいパワフルだったもん」
とその光景をを思い出したのか?ちーちゃんが少し笑った。「それにかおりの頼みなら誰もが聞いてあげたくなるよね、役得〜」とすーさん。
「そうなんだよ、人が次から次へと押しかけるこの学校のグランドでさ、入ってくる人入ってくる人、片っ端から捕まえて
ロープ持っていませんか?長くて丈夫なロープ!!って、ずっとやっていたんだって、で、そしたら、学校の関係者が、用具室に連れて行ってくれて、
あのロープをゲットしたんだってさ」「ふぇええ〜〜そんなに大変な思いして、、、かおりが戻ってきたら改めて御礼しなきゃ」と、居住まいを少し正して私は言った。
「私がマンションに閉じ込められたりしていなけりゃ、体育館のいいスペースを
確保したりする時間にあてられたのにね、ほんと、お礼言っても言い足りないなぁ〜」と、私達のこの寂しいスペースを見回しながら続けた。
「ここに比べたら、体育館のほうがいいのかもしれないけれど、、、私は、みんながいてくれるから、ここでも充分だよ、黒猫のおかげでブルーシートゲットできたことお忘れなく!」と、
すーさんがフォローしてくれる。「そうそう、体育館の中じゃ、火も炊けないし
黒猫は、食料だって、水だって持ち出してくれたじゃん?シートだってそう、すーさんの言うとおりだよ、こんな時は、誰が偉くって誰が偉くない、なんて問題じゃないと思うよ」と、
ちーちゃんまで言ってくれるなぁ〜。そこに、かおりとけーちゃんが戻ってきた。「たっだいま〜」「おかえり〜」やっぱりお礼言わなきゃ!「かおり〜〜ちょっと聞いたんだけど、私を助けるために、
相当色々がんばってくれたんだって?
ありがとう、他にしたい事あっただろうに、、、」と語尾を濁すと、明るい声でかおりが「普通だって!今思えば、もっと効率のいい方法があったんじゃないかなぁ?なんて思うくらい、
馬鹿みたいにロープさえあれば〜と思ってしただけのことだからねっ!気にしないでよ〜それに、ハシゴはちーちゃんが探し出してきたんだよ〜あれが無かったら、届かなかったじゃない?わたしだけじゃないよ、黒猫」
そうだ、いささか年季の入ったハシゴではあったけれど、あれがなけりゃ、4Fには届かなかった、、、「ちーちゃんもありがとう、、」また語尾が濁ってしまう。
どうしてはっきりとお礼が言えない?私の馬鹿!!「だからさ〜いいって、こんな話は、そのうち復興した時の、大武勇伝大会のネタにとっておこうよ」とちーちゃんが笑いながら言う。
「いいねぇ〜大武勇伝大会かぁ〜〜飲みまくろうぜっ!」と、明日にでもその飲み会が出来るんじゃないかと錯覚させるような声でけーちゃんが言った。ちらりと時間を見た。午前4時15分。
きっともうすぐ明るくなるに違いない。
281 :
一人で頑張る!31:2005/11/16(水) 15:59:53 ID:t6KCvp5I
「大田さん!!!」
酒巻が大田の頭部分を覆っていた瓦礫を取り去ると、そこには血まみれの大田の顔があった。
目を閉じていたが、酒巻の呼びかけにゆっくりと目を開いた。
亮子が「大田さん、今助けるからね。まってて!!」と一生懸命声をかけている。
大田は「・・・亮子ちゃん・・・無事だったんだね・・・。」というと目だけで笑った。
亮子は大田に「太田さんもすぐにここから出して病院へ連れて行くからね。もう少しの辛抱だよ!頑張って!!」
と声をかけながら、大田の血まみれの顔をタオルで拭いている。
酒巻も智子も大田が生きているのを確認できて、安堵の声にならない声を発しながら、「今助けるよ」と大田に声をかけた。
大田は瞼を閉じて頷いた。名前を呼ぶとかすかに反応を示すが、顔を動かすことすら出来ない状態だった。
ある程度の一人で動かせる大きさの瓦礫は撤去した。酒巻は次の瓦礫を・・・と大田を中心にあたりを見渡すとあることに気がついた。
大田に覆いかぶさるようにのしかかっている外壁はかなり大きく鉄骨で繋がっていた。
さすがに人間の力では動かせる大きさではなさそうだ。試しに3人で持ち上げようとしたがびくともしない。
仕方ないので大田の体の両脇に転がっていた鉄骨を挟み、瓦礫がこれ以上大田をつぶさないように支えを入れ、
大田の下側の瓦礫を撤去して、大田を引っ張り出そうとした。瓦礫のいくつかには血がべっとりとついていた。
瓦礫が撤去されて大田の左半身が見えてきて酒巻は愕然とした。
大田の左手はありえない方向に曲がっており、骨折しているのは明らかだった。そして最悪なことに左下腹部には下の瓦礫から突き出した鉄骨が刺さっていて、その鉄骨は大田の上に覆いかぶさっている外壁の大きな瓦礫を中心から支えていた。
酒巻の手が止まったのを不審に思った智子も酒巻の手元を覗き込んで声を失った。
大田を救出するには鉄骨を切るものが必要だ。しかしこの場で鉄骨ごと抜けば出血多量で失血死してしまうことは目に見えていた。
それでも智子は瓦礫をどかすのをやめなかった。流れ落ちる汗を拭いもしなかった。
もしかしたら大田の下の瓦礫は動くかもしれない。そしたら瓦礫の中心にまた鉄骨を入れて支えにして大田に刺さった鉄骨のついた瓦礫ごと大田を助け出せるかもしれない、そう思ったからだ。
酒巻も懸命に瓦礫をどかしている。しかし運命は残酷で大田のはさまれている状況が見えてくれば来るほど救出が困難であると言う事実がつきつけられた。
大田に刺さっていた鉄骨の出ている瓦礫は横へも別の鉄骨が出ていて別の大田の足元の瓦礫と繋がっていた。しかもその瓦礫自体別の大きな瓦礫の下敷きになっている。
左側がダメなら右側だと言わんばかりにまた酒巻は必死に瓦礫をどかしている。
ようやっと大田の右上半身が見えてきた。右手は無事なのか携帯電話を握り締めていた。
282 :
一人で頑張る!32:2005/11/16(水) 16:27:44 ID:t6KCvp5I
酒巻は覗き込むように大田の顔を見ると大田と目が合った。
「大丈夫だ。もうすぐここから出られるからな。」
酒巻はゆっくりと教え諭すように語り掛けた。すると大田が酒巻に携帯電話を押し付けた。
その行動に酒巻が戸惑っていると、大田は傷口が痛むのだろう、顔を歪めながら
「・・・もう俺は・・だめだと思う・・・。みんながここまで掘り起こしてくれるまでこれに遺書を残したんだ・・・。」
そう言うとゴハッと咳き込み大量の血を吐いた。酒巻が大田を注意深く見るとスーツの背中が赤く染まっている。
肺に何かが刺さっているのかもしれない。吐血の量だけでも相当量だ。
「何言っての?!頑張って!奥さんと子供さん、待ってるよ!!」
亮子は大田に泣きながら叫ぶように言い、必死にタオルで大田が吐き出した血液を拭いている。
「・・・自分の安全が確保されてからで構わない・・・よめさんに・・・届けてほしい・・・。」
そこまで言うとまた激しく咳き込み血を吐いた。亮子は大田の口からあふれ出る血液を両手で受け止めている。
これ以上の吐血は危険だと亮子の本能がそうさせるのかもしれない。しかし亮子の手から零れ落ちる血液を止めることもできない。
酒巻は静かに頷くと大田から携帯電話を受け取った。大田は視線だけで酒巻が携帯電話を受け取ったのを確認するとゆっくりと息を吐いた。
「・・・最後に・・・一目・・・会いたかったな・・・。」
そう言うと大田はゆっくりと瞼を閉じた。閉じた瞼からは大粒の涙が零れ落ち、頬を伝って落ちた。
酒巻は大田から受け取った携帯電話を操作すると家族が写っている写真を画面に表示させると大田に見せた。
大田は画面の光を瞼の裏側で感じて、ゆっくりと目を開くと携帯電話を見つめた。
「・・・二人とも・・・無事だといいな・・・。」
大田は肩で息をしながら写真を瞳に焼き付けるかのように見つめている。
「大丈夫だよ・・・家族はきっと大丈夫だ。・・・太田さんだってすぐに元気になって会えるさ」
酒巻は無理に笑顔を作ると大田に微笑みかけた。
亮子は「大田さん・・・太田さん・・・」とすがるように声をかけ続けている。
大田は静かに瞼を開くとそんな亮子に「泣くなよ・・・俺は大丈夫だから・・・」と小さく笑った。
その後すぐに大田は苦しそうにガハッと咳き込むとまた大量の血を吐き、苦しかったのだろう目を見開いてそのまま動かなくなった。
遠くで鐘の鳴る音が響いていた。
283 :
地震小説(SF):2005/11/16(水) 17:30:53 ID:SKao0oIN
長い間避難生活は続く・・・
だんだん人が少なくなるのを悲しく思う・・
家族への携帯はもちろん通じず生存や死亡の情報も入ってこない・・
専用の小屋も造られていく・・・・・
年末の除夜の鐘・・・
新年の初詣・・・・
あの赤い空がでるまで俺・・いや関東人は全員普通に暮らしていた・・しかし・・
そして・・・復興したのは・・・(俺のマンションが)1月30日・・
そして周りの建物も復興するまで貰った非常食を食いつないだ・・
2月・・・・・
建ち始めてくる建物・・・
3月・・・・・
もうだいぶたったスーパーも戻ったので物を買いに行ったら人でごったがえしていた・・
と・・思ったら人が少ない・・当然である東京の人口は1200万人からたまたま
出かけていたり俺みたいに超耐震住宅にすんでいた者20万人しか生きていなかった・・
これからは・・1人で・・・・・
4月になるとだいぶも・の・は元通りになっていった・・東京に引っ越してきた
人でだいぶ人口も増えていった・・・・
2chによればあの地震の死者は3000万人だという・・・
284 :
一人で頑張る!33:2005/11/16(水) 21:56:25 ID:t6KCvp5I
亮子は動かなくなった大田の頭をその腕に抱きしめながら何度も何度も叫ぶように名前を呼んだ。
しかし大田はピクリとも動かなかった。
亮子は「いやぁぁ・・・」と叫ぶとその場に崩れ落ちた。
酒巻は時計を見た、2時14分。そして大田の見開かれた目にそっと手を当てると瞼を閉じた。
今は静かな大田の顔を見つめ、酒巻は顔を歪めた。
智子は呆然と瓦礫の山を見つめていた。無意識に血まみれの手で握りこぶしを作っていた。
何も出来なかった・・・無力感だけが心を支配していた。
誰一人その場を動こうとするものはいなかった。その場に座り込みただボーっと大田のほうを見ている。
車道で消えかけているがまだ燃えている車の炎のパチパチと爆ぜる音が聞こえる。
・・・30分もたったであろうか、酒巻は意を決して「歩き出そう」と智子と亮子に声をかけたが亮子は「大田一人残して移動できない」と泣き叫んだ。
智子は大田の側を離れようとしない亮子の肩にそっと手をかけ、語り始めた。
「きっと・・・大田さんの奥さんは大田さんの帰りを待っているよ・・・。」
亮子はハッと顔を上げた。智子を見ると智子も相当泣いたのだろう目が赤い。煤で汚れた頬を何本も涙が伝った跡がある。
「・・・大田さんがいかに頑張っていたかを奥さんに伝えないと・・・。」
智子の目から涙が零れ落ちる。亮子は「ワァァ」っと智子にすがりつくように泣いた。
二人して小さな肩を震わせ、声を押し殺すように泣いた。どちらかの嗚咽が聞こえるたびに、どちらかを強く抱いた。
酒巻も二人からやや離れた所にいるがそんな二人を見て涙を流すのを隠さずにいる。暫く3人はそうして泣き続けた。
3時の鐘が遠くで聞こえる。抱き合ったまま泣き続けた二人もやがてお互いの顔を見つめあい、「頑張らないとね・・・。」と言えるまでになった。
智子の言葉に亮子も頷く。そんな二人を見て酒巻は大田に歩み寄るとスーツのポケットを探れるだけ探った。
ズボンのポケットにはお財布が、ジャケットの内ポケットにはパスケースが入っていた。裏を返すと家族3人が微笑んでいる写真が入っていた。
酒巻はこみ上げる感情を抑えながら、大田の上半身を少し起こすと首から提げていたIDをケースごと取った。
それらの遺品となってしまった品々を亮子の傍らに転がっていた大田のカバンに入れた。
大田から預かった携帯電話だけは酒巻のスーツのジャケットの内ポケットにしまった。
酒巻の準備が整った・・・といった雰囲気を二人は感じ取り、立ち上がった。
285 :
一人で頑張る!34:2005/11/16(水) 22:23:14 ID:t6KCvp5I
酒巻は大田のカバンを手に持とうとしたがそれはかなりの痛みを伴う行為だった。
思わず手を見ると血まみれで沢山の切り傷が出来ていた。それは智子も亮子も同じだった。
自分の通勤バックは襷がけのカバンなので両手が空いているが、大田のカバンは肩がけなどはついていないカバンだった。
手がふさがってしまうのは今の状況では怖い。しかも傷がまだ生生しく、痛みが強いのでもって歩くことは不可能だ。
仕方なく酒巻は大田のネクタイを取り、それを自分のカバンの紐に結び、もう片方を手繰り寄せブラブラしないようにしっかりとカバンのもち手に結びつけた。
智子もあたりを見回して何か落ちているものなどはないか確認したが特に何もないようだった。
亮子は大田の頬を優しく撫でると「必ず迎えに来るからね」と言い、大田の免許書から書き写した連絡先と自分の連絡先を書き記したメモを背広のポケットにしまった。
智子も酒巻も大田に「必ず奥さんに大田さんの伝言を伝えるね。」「携帯電話は必ず渡すから」と口々に言っては手を合わせた。
3人は名残惜しそうに誰も歩み出せなかったが、酒巻が「行こう」と言うとゆっくり躊躇いながらではあるが全員歩き始めた。
歩き始めてすぐに亮子は立ち止まり後ろを振り返った。大田の頭が見える。「ウウ」っと泣きながら智子に寄りかかった。
智子はそんな亮子を支えると、背中を優しくポンポンとさすった。
何も言わなくてもわかる。大田をこの場所に一人残していくのがたまらないのだ。
しかし今の状況では大田を連れて行くことは出来ない。
そして・・・どんなに辛くても待つ者がいる限り頑張って歩き続けなければならない。
それが残された生ある者の使命でもあるかのように。
亮子は智子の手の動きに合わせるように「ウン・・・ウン」と泣きながらも頷き、前を向いて再び歩き始めた。
結局大田の姿が見えなくなるまで3人は歩いては立ち止まり、また歩き、歩いては振り返る・・・を繰り返した。
振り返るたびに辛くなるだけだ、それは痛いほどにわかっていた。後ろ髪引かれる思いは皆一緒なのだ。
それでも振り返らずにはいられなかった。もうかなり歩いてきた。大田の姿は遠くにかすむようにしか見えない。
誰もが心の中で「必ず迎えに来るから」と何度も何度も自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
悲しみに暮れていても必ずいつかは笑顔になれる。明けない夜はないのだから・・・。
286 :
M7.74:2005/11/17(木) 00:43:29 ID:Y3M/KZTw
大田さん・・・
泣きそうになった。
一人で頑張るさんこれからも期待してます!
そして黒猫さん、続き楽しみにしてます!
287 :
M7.74:2005/11/17(木) 20:02:26 ID:Quf8On8T
死守的保守!
288 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :2005/11/18(金) 19:53:16 ID:DgtepzYQ
体育館の片隅で、スクールバッグにさっきもらったばかりの
ペットボトルとカンパンをせっせとつめる。
昨日に増して避難して来る人の数は増えているようだった。
人と人との間を縫うようにして移動する。
「あの」
僕は、昨日知り合ったおばさんに声を掛けた。
「・・・あの、もう、僕、帰ります。色々お世話になりました。」
まるで友人の家に遊びに行ったときの帰り際のようなセリフだった。
「やあね、私は何にもしてあげられなかったじゃない。お世話になりました、なんて。」
「いや、でも、昨日は心細かったんで、お話しできて嬉しかったです。」
「それは私も同じよ。ありがとうね。」
そういうと、彼女は微笑んだ。母さんとそっくりな笑顔で。
彼女の下の息子が、きょとんとした顔で僕の顔をまじまじと見ている。
「・・・じゃあ、気をつけて帰りなさいね。しっかりね。
お家は遠いみたいだから、無理しないで。」
「はい。」
「ほら、ショウ、お兄さんにさようならして。」
ショウと呼ばれたその少年は、僕に小さく「さようなら」と言った。
「さよなら。」僕もそれに答えた。
僕は体育館を出た。
289 :
地震厨房 ◆ikExn4d2/Y :
ホールには、昨日よりもっと沢山の人が詰め掛けていた。
昨日の警察官のおじさんがその人たちを整理していた。
僕は簡単に挨拶をした。
「君の後輩だけど、この避難所にも避難していないみたいだし、
遺体も見つかっていない。役所の人がこの辺りの避難所や臨時遺体安置所
に問い合わせたけど、見つからなかった。」
「有難うございます。わかりました。」
「もう、家に帰るのかい?もう大丈夫なのか?」
「はい、一晩寝たんで・・・だいぶ、楽になりました。」
「そうか・・・。気をつけて帰るんだよ。後輩君、見つかったら可能な限り
連絡するから。」
僕はおじさんにお礼を言った。おまわりさんは昨日、寝ていないようだった。
ここにいたひとたちは、おまわりさんも、おばさんも、役所の人も、ボランティアの人も
みな一様に、目の下にうっすらとくまを作っていた。
それは皆が今まで生き延びてきた証。
きっと、後輩も同じようにくまをつくって、僕のことを心配しているだろう。
母も、父も、皆疲れきったカオで待っていてくれているだろう。
皆生き延びてる。絶対。
僕はおまわりさんにさようならを言った。
後ろを振り返って、鞄をもういちど背負いなおし、すっかり汚れた靴のひもを結びなおした。
そして、僕は出発した。
避難所の外に出てすぐに、斜めになったカーブミラーを見たとき、僕は気付いた。
僕にも、生き延びてきた証が、目の下ににじみ出ていることに。