■長周期地震動について
長周期地震動とは、人が直接は感じないほど周期の長いゆれのことです。はっきりした定義はありません。
(なお、2004年1月18日放送のNHKスペシャルでは、周期5〜10秒の地震動について取り扱っていました。
以下の記述も、主にNHKスペシャルの内容に基づくものです。)
2003年9月26日発生の十勝沖地震M8.0で起きた、苫小牧のタンク火災の原因として、広く知られるようになりました。
大きな長周期地震動はM8クラスの巨大地震で発生します。よって南関東では、東海・東南海地震が候補になります。
十勝沖地震での被害などをふまえて、土木学会も東海地震などの巨大地震時の、長周期地震動
の予測に取り組み始めようとしているようです。
http://www.jsce.or.jp/committee/kyodai-jishin/ ●被害が出るのは巨大構造物
長周期地震動は、大きなゆれが長時間続くことで、構造物に大きな被害を与えます。
被害が大きくなる可能性があるのは、固有周期が対応する200m級以上の超高層建築や、
大型タンクなどです。★一般の戸建て住宅や普通のマンションは、関係がありません★。
(ただし、免震構造などで、固有周期が長くなっている建物は、この限りではないかも)
●三大都市圏は長周期地震動がおきやすい地盤
かたい岩盤の上に、すり鉢状にやわらかい土の層が積もっている所では、長周期地震動が
長時間続くことが分かっています。石油タンク火災の起きた苫小牧も、該当していました。
★三大都市圏平野部は、この特徴が当てはまり危険性が高いとされています。
●首都圏での長周期地震動による石油タンク被害シミュレーション
→「地球シミュレーター」による東海・東南海同時発生時のシミュレーション
・・千葉では、十勝沖地震M8の苫小牧を上回る揺れが予測
・・首都圏での被害予測→合計223基が危険性あり
横浜9、川崎25、千葉(市原)30基で、油があふれる
横浜3、川崎35、千葉(市原)121基で、タンク損傷
●長周期地震と高層ビル 想定南海地震発生時の大阪でのシミュレーション
「経験的グリーン関数法」・・ある地点の過去の中小地震での揺れから、大地震のときの揺れを推定する方法
→これによると、想定南海地震では、大阪では揺れは小さいが、8分も揺れる
★高層ビルのゆれの予測
30秒後→大きく揺れ始める
1分後→2mを超える揺れに・・3分間も続く。阪神大震災時の4倍もの損傷のエネルギーを受ける 。
―対策:「制震装置」、既存ビルにも可能、ただし数億円かかる、改修例はわずか
―中央防災会議の指針では、「対応を考える」程度のことしか書かれていない
※関連用語「スロッシング現象」
水を入れたバケツをゆっくりと揺すると大きく波立つように、容器の振動が液面を大きく揺らす現象です。
2003年09月26日発生の十勝沖地震で、苫小牧の出光製油所の原油タンクで火災が発生しました。
その原因として、周期5〜10秒程度の長周期地震動がタンク内の原油のスロッシング現象を引き起こし、
原油の揺れによって、タンク内の浮き屋根がずれてしまったことが挙げられています。