■ 地震知識
一般に言われるマグニチュードと震度は意味合いが全く違います。
震度とはそれぞれの観測地点における揺れ幅(震幅)をもとに発表されます。
それに対してマグニチュードとは地震の規模そのものを示すものです。
つまりマグニチュードが大きな大規模地震でも距離が離れていれば震度は小さくなります。
日本では、揺れの度合いを10階級(0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7)に分けた「気象庁震度階級」が使われています。
この震度階級は日本独自のもので、欧米では12階級の「改正メルカリ震度階(MM震度階)」
国際的には12階級(無感”〜”景色の変貌”)の「MSK震度階」というものが使われています。
日本では、1996年の階級数の改正までは震度は8階級で、なんと気象台職員の体感など、
測定者によって誤差が生じそうな方法で震度を決めていました。
しかし、改正以降は、震度計で測った地震の加速度などから、客観的に決められています。
マグニチュードは地震の規模を示す値で、1935年にアメリカの地震学者リヒターが考案しました。
■ リヒターのマグニチュードの定義
震源から100km離れた、特定の種類の地震計が記録した最大の針の振れはばの大きさを、マグニチュードとする。
ただし、実際には、地震計が震源からちょうど100km離れたところにあることはまずないので、距離によっ
てマグニチュードの値を修正する。
地震の揺れは小さいものから大きいものまでさまざまなので、最大の振れはばの大きさを
そのまま数字で表すのではなく、その数字のケタ数をマグニチュードとする(常用対数)。
■ いろいろなマグニチュード
●表面波マグニチュード
地震計で観測した地震波の周期が20秒程度の表面波の最大の揺れと、
地震計と震央(震源ではない)との距離からマグニチュードを求める方法。
浅いところで発生した地震について用いるが、地震計の限界によりM8.5以上の値を表せなく、
巨大地震の規模を比較するのには向いていない。
日本の気象庁が発表している「気象庁マグニチュード」も表面波マグニチュードの一種である。
●実体波マグニチュード
地震計で観測した地震波の実体波(P波とS波)の最大の揺れと周期、
震源の深さなどからマグニチュードを求める方法。
深発地震の規模を表すために用いられているが、M7以上の値は表現できない。
●モーメントマグニチュード(Mw)
震源となった断層のずれの量、断層の面積、断層付近の 岩盤の性質などの、断層運動からマグニチュード求める方法。
これらの値は、地震波を長い時間観測しなければ求められないので、モーメントマグニチュードは地震速報には用いられない。
しかし、どんな大きな地震でも表せるので、巨大地震の規模はモーメントマグニチュードで表されることが多い。
ちなみに観測史上最大の地震は、1960年のチリ地震で、この地震のモーメントマグニチュードは9.5だった。
ちなみにM8の地震のエネルギーは7億トンのおもりを10km持ち上げるエネルギーに相当。
また、出力175万kWの発電所が1年間に発電する電力に等しいエネルギーです(1550EW/h)
★小さい地震が何度も続いても、大地震のエネルギーは解放されません。
マグニチュードが1大きいと、エネルギーは32倍になります。つまり、M7の地震のエネルギーを解放するには、
M5の地震が1000回起きなくてはいけません。したがって、「小さい地震でゆがみが解消されてれば、大地震は
こない」ということはありません
■ 震源から離れた場所の方が震度が大きいことがあるのはなぜですか?
太平洋プレート内部のかなり深い地震や、日本海溝そばの地震では、
震央の近くよりも、北海道〜関東の太平洋側で大きな揺れが発生することがあります。
これは、太平洋プレートのほうが、マントルよりも地震波を伝えやすいために、
太平洋プレートが地表から近い部分に存在している北海道〜関東の太平洋側で
揺れが大きくなるためと考えられています。
また、九州南方のやや深い地震でも宮崎や延岡など太平洋側の地域に異常震域が
見られることもあり、これはフィリピン海プレートによるものです。
なゐふる(日本地震学会広報紙) 用語解説:異常震域
http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/naifuru/vol19/v19p6.html 事例:2003年11月12日 紀伊半島沖 深さ390Km M6.5 気象庁見解
http://www.jma.go.jp/JMA_HP/jma/press/0311/12b/kiihantou.pdf(2ページ目左の図など)